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EBRDで勤務する日本人スタッフからのメッセージ

○ 久米 可織氏(銀行部門インフラ・チーム アソシエート・バンカー)

 私は2017年9月、International Professionals Programme (IPP) を通じてEBRD Banking部門に入行し、現在はBanking部門インフラチームにて投融資業務に携わっております。

 私の代のIPP Banking部門の場合、EBRD本部(Head Quarter: HQ) のあるロンドンでBanking部門を10か月、Risk部門を7か月、EBRDの支援対象国にある地域事務所(Regional Office: RO)で7か月の計24か月のプログラム構成でした。所属部門及び個々人により回る部署は異なりますが、私の場合、HQ Banking Sector teamでのローテーションを終えた後、ポーランド・ワルシャワのオフィスでRO業務に従事、HQにもどり、Equity Risk部門で業務を経験致しました。

 IPPの魅力の一つは、早い段階で異なる部門やチームを回れることから、HQやROの考えや知見に直接触れ、銀行の全体像や動きを学ぶことができることです。これは、EBRDという国際組織で様々な部門の人々が一つの案件に関わり、議論を重ねる銀行業務において、とても参考となります。このように異なる視点から銀行の業務を捉えることができるローテーションプログラムであることが、私がIPPを目指した一つの理由であり、実体験としてその魅力を強く感じました。
 IPPのもう一つの魅力は、様々な業務研修の機会に恵まれていることです。我々の代は、最初のローテーション期間、IPPメンバー全体で一緒に受ける研修が多くありました。EBRD行員には業務研修や会議参加の機会が多数設けられておりますが、こうした一連の研修をIPP同期の仲間と共に受ける機会があったことは、ネットワークを構築する上でもとてもよい機会であったと考えます。

 EBRDは国際金融機関として、市場経済化の支援という使命に鑑み、 投 融 資 の 実 施 に あ た っ て は、①市 場 経 済 へ の 移 行 促 進 の 効 果 (Transition Impact)、②商業銀行では代替できない支援の実施 (Additionality)、③健全な金融判断に基づく融資 (Sound Banking) の3原則を満たすことが求められています。また、EBRDの投融資は、 民間部門に対するものを中心に行うこととされており、 投融資残高のうち、民間部門に対する投融資が大部分です。BankerとしてBankabilityを求められる一方、こうした社会的意義も求められる点から、Impact Investorとしての難しさと面白さを日々感じております。
 各部門、各チームにカラーがあり、仕事へのアプローチの仕方も人それぞれです。EBRDという国際機関、多国籍の異なる文化を持ち合わせた同僚が集まる環境で、そうした差異を理解し合い、認め合い、上述の同じ目標に向かって協力し、取り組むことができることは、大変刺激的であります。なにより、EBRDの案件を通じて、様々な国の経済や政治、社会情勢などをより深く理解する機会に恵まれていることは、国際金融機関で働く醍醐味であると考えます。
 銀行業務以外に、私は行内活動であるDiversity and Inclusion Committeeの中のAsian Network Committeeの副代表を務めております。2015年に設置されたこのCommitteeの元来の趣旨は、マイノリティである日本をはじめ東アジア諸国の文化や経済などを銀行内に紹介するというものでした。その後Asian Networkの包括地域は広がり、現在では中央アジアやインドなど幅広くカバーし、講演や各地のお祭り、武術のセッションなど多岐にわたり開催しております。

 最後に、こうした刺激と学び溢れるEBRDに、より多くの日本の皆様が御関心を持っていただき、御活躍いただけたらと思います。IPPを通じて御縁があるかもしれませんし、EBRDの各部門ポジションを通じて御縁があるかもしれません。いずれにしても、自己との対話を進める中で、EBRDがその場所であると感じたならば、迷わずご応募いただければ幸いです。