第59回アフリカ開発銀行・第50回アフリカ開発基金年次総会日本国総務演説
(2024年5月29日(水) 於:ケニア・ナイロビ)
1.はじめに
議長、総裁、各国総務、並びに御列席の皆様、
ケニアで発生した洪水によりお亡くなりになられた方々並びにその御家族に心からの哀悼の意を表するとともに、負傷者の方々にお見舞いを申し上げます。
今般のアフリカ開発銀行(AfDB:African Development Bank)グループ年次総会のホスト国であるケニア政府に対し、日本政府を代表して心より感謝申し上げます。また、AfDBの設立60周年を祝福いたします。
2.アフリカの開発課題
3.国際金融アーキテクチャー改革
G20が、より良く、より大きく、より効果的な国際開発金融機関(MDBs:Multilateral Development Banks)の必要性を強調しているのは決して偶然ではありません。AfDBは業務・戦略に関してより良く、金融イノベーションを通じてより大きく、パートナーシップや組織の強化を通じてより効果的な機関にならなければなりません。進行中の国際金融アーキテクチャー改革の観点から、以下、アフリカの変革のために重要と信じる4つの論点について申し上げます。
4.アフリカ開発銀行グループへの期待と日本の支援
第一に、日本は、MDBsとして初の試みとなるハイブリッドキャピタルの発行など、G20 の「MDBsの自己資本の十分性に関する枠組(CAF: Capital Adequacy Framework)の独立レビュー」に関するAfDBの多大な成果を歓迎します。我々は、重要な取組であるSDR チャネリングを含め、AfDBが不断の努力を継続することを求めます。さらに、我々は、格付会社とのコミュニケーション強化に向けたAfDBによる力強いコミットメントに期待しています。
第二に、低所得国支援は改めて優先的に扱われるべきです。日本は、今年後半に予定されているアフリカ開発基金(AfDF:African Development Fund)第16次増資中期レビューに向けての議論に積極的に参加することにコミットしています。提案されている譲許性が緩やかな融資(MCL:Moderately Concessional Loans)は、適切な設計が行われれば、AfDF対象国による変革的なプロジェクトへの投資を促すゲームチェンジャーになり得るものと考えます。
第三に、グリーン資金及び気候資金の重要性を強調したいと思います。増大する気候資金へのニーズを踏まえれば、民間資金の動員がアフリカにおいて重要です。COP28で岸田総理が発表したとおり、日本は「アフリカのグリーンインフラのための協調枠組み」(AGIA:Alliance for Green Infrastructure in Africa)に10百万ドルの貢献を行いました。これにより、AGIAが、グリーンインフラ案件向けの官民資金の規模拡大に資することを期待します。さらに、日本とAfDBの協力の象徴である「アフリカの民間セクター開発のための共同イニシアティブ」(EPSA:Enhanced Private Sector Assistance for Africa)は、グリーンな成長を促進するために民間セクターに様々な支援を行います。こうした取組を前進させるため、東京に所在するAfDBアジア代表事務所は、日本企業が有する知見の動員において重要な役割を果たすことができます。
第四に、アフリカにおいて増大する債務の脆弱性を解消しなければなりません。日本は、債務の透明性と持続可能性の強化やその他の改革を進め、EPSA 5の下で、債務状況を着実に改善している途上国を支援するために、最大10億ドルの特別枠を用意しました。そして、昨年10月に日本が主催した「G7-アフリカラウンドテーブル」で強調されたとおり、債務管理・透明性を改善するためには技術支援が効果的です。我々は、この点においてAfDBのリーダーシップを期待しており、日本信託基金を通じてその取組を支援する考えです。
5.結語
アデシナ総裁のリーダーシップの下、AfDBグループの戦略的重要性はますます高まっています。日本は、地域における開発課題の解決に向け、AfDBの融資額を維持するための一般請求払資本増資の提案を支持します。そして、引き続きAfDBグループが、アフリカのみならず全世界に貢献していくことを期待します。
(以上)