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第56回AfDB・第47回AfDF年次総会 日本国総務演説(令和3年6月22日)

第56回アフリカ開発銀行・第47回アフリカ開発基金年次総会 日本国総務演説
(2021年6月22日(火))


1.はじめに

 議長、総裁、各国総務、並びにご列席の皆様、

 アフリカ開発銀行(AfDB)及びアフリカ開発基金(AfDF)年次総会の開催にあたり、日本政府を代表して、一言申し上げます。

2.強靱で持続可能な成長に向けた取組み

 アフリカにおいては、依然として新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大が継続しており、状況を深く憂慮しています。COVID-19危機への対応のため、アデシナ総裁のリーダーシップの下、AfDBが迅速な資金支援を行ってきたことを高く評価します。

 COVID-19の危機は、貧困や債務の積み上がりなど、アフリカの構造的な課題や脆弱性を浮き彫りにしました。AfDBは、地域の開発金融機関として、構造的な課題や脆弱性に対処するための支援を提供する役割が期待されています。AfDBがこうした役割を果たすため、各出資国も厳しい財政状況にあることを踏まえ、AfDBが、利用可能な資金を有効活用することを求めます。日本は、AfDBに対し、AfDB第7次一般増資(GCI-7)やAfDF第15次増資(AfDF-15)の重点分野に含まれる以下の3点に取り組むことを期待します。

 第一に、債務の透明性・持続可能性の確保です。G20及びパリクラブの「共通枠組」を完全、透明かつ迅速に実施することが極めて重要です。一部の債権者がこの取組みに参加せず、あるいはその実行を遅らせれば、アフリカ諸国の債務問題は解決できません。また、債務データの平時からの透明性・正確性が確保されなければ、債務危機の再発を防ぐことはできません。この観点から、債務国のみならず債権国にも定期的な債務データ突合への協力を求めます。秘密保持条項の不適切な活用や、パリクラブによる債務措置を妨げる契約条項は、アフリカ諸国の発展のためになりません。こうした契約慣行の是正を含め、AfDBが、引き続き、アフリカ諸国の債務分野における能力構築の支援に取り組むことを期待します。

 第二に、気候変動や自然災害への対応です。アフリカは、自然災害のリスクが高い地域であり、特に適応分野への支援が重要です。また、各国の実情を踏まえ、トランジション・エネルギーを含めた低炭素型の経済成長の実現に向けた支援に期待します。こうした支援に当たっては、民間資金の動員も図るとともに、能力構築の支援も重要です。

 第三に、質の高いインフラ投資の促進です。ポストコロナの持続的な成長を実現するため、日本は、AfDBに対し、サイバーセキュリティを含む安全性、開放性、ガバナンスといった「質の高いインフラ投資に関するG20原則」に沿って、デジタル、グリーンの分野を含めたインフラ投資を支援することを求めます。

 以上のような取組みの前提として、AfDB自身が、透明性が高く信頼される国際機関であり続けるために、引き続き、ガバナンス強化に取り組むことが重要です。この点について、ガバナンス改革に関する暫定委員会による報告に期待します。

3.日本とAfDBとの協力

 AfDBは、日本がアフリカを支援するに当たっての長年のパートナーです。本年2月、日本は、AfDF-15に対して円借款7億ドル相当を供与しました。また、JICAとAfDBの協調融資枠組みである、アフリカの民間セクター開発のための共同イニシアチブ(EPSA)の下で、投資環境の改善や保健分野への支援を一層強化していく考えです。本年12月の東京での栄養サミットの開催を控え、栄養分野での支援も行っていきます。

 ビジネス面の協力に関しては、第3回日本・アフリカビジネスフォーラムの開催を含め、アジア代表事務所が、引き続き、重要な役割を果たすことを期待します。

4.結語

 来年の年次総会は、ガーナ・アクラにおいて対面で開催できることを祈念しつつ、私の演説を終わります。


(以上)