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「貧困削減と経済発展」に関する蔵相報告書の概要

「貧困削減と経済発展」に関する蔵相報告書の概要

(2000年7月21日 沖縄)

 

(1) 発展への包括的アプローチ
グローバリゼーションの急速な進展の中、開発途上国がその恩恵を受けられるようにしていくことが極めて重要。2015年までに貧困人口割合を半減するという国際開発目標の達成に向け、マクロ経済の安定化、民間部門の発展の促進、良い統治の促進、社会開発への投資、貿易自由化の加速、金融部門の強化等が重要。
貧困国は、国際開発目標に焦点を合わせた包括的貧困削減戦略を策定する必要がある。この戦略においては、透明性、説明責任、無駄な支出の削減及び良い統治が重視されるべきであり、戦略は、国際金融機関及び二国間ドナーの支援や市民社会の参加を通して発展するべき。

 

(2) HIPCs(重債務貧困国)に対する債務救済
拡充HIPC債務救済イニシアティブの下で、9ヶ国が既に決定時点に到達し、新たな枠組みの下で名目価値で総額150億米ドル以上(現在価値(NPV)で総額86億米ドル)の債務救済が行われるところである。本年末までには、更に最大11ヶ国が決定時点に到達できるであろう。
経済改革の進捗や債務救済を貧困削減に結びつける必要性に留意し、ケルン・サミットで示された目標に沿って、できる限り多くのHIPCsが決定時点に到達できるよう協力していくことが重要。この点で、現在多くのHIPCsが貧困削減を妨げ債務救済を遅延させる軍事対立に関与していることを懸念。
世銀とIMFが、本イニシアティブの迅速かつ効果的な実施に向け努力を続けることが必要。本年4月に世銀とIMFによる共同実施委員会が設立されたことを歓迎するとともに、同委員会が本イニシアティブの実施を促進することを求める。
本イニシアティブの効果的実施のために必要な国際金融機関の財源の確保における進捗を歓迎する。また、二国間ドナーが、公正なバードンシェアリングで、既にプレッジした財源をできる限り早急に利用可能とすることへのコミットメントを再確認。
G7各国は、商業債権を100%削減することに合意した。G7以外のいくつかの国も100%債務救済を実施する旨表明したことを歓迎するとともに、その他の国がこれに続くことを求める。

 

(3) 債務救済を越えて
政府開発援助は、貧困国の貧困削減や経済発展の努力を支援する上で、重要であり続けるであろう。HIPCイニシアティブが適用されている国々が再び過度の債務負担に直面しないようにするために、我々は、これらの国々に対してはODAの大半を無償の形で提供することをコミットした。
援助国は、十分に検討された、受入国主導のプログラムを支持し、支援手続を簡素化、あるいは調和するように支援内容を調整することを通じて、援助の効果を改善しなければならない。また、非生産的な支出を抑制するとの援助国のコミットメントを再確認することは極めて重要であり、我々は、OECDに、HIPCsや他の低所得開発途上国への輸出信用が非生産的な目的で用いられないようにするための強化措置をレビューするよう求める。

 

(4) 貿易・投資環境の改善
貿易・投資は、効果的な貧困削減と持続可能な経済成長の促進に決定的な役割を果たすであろう。次期WTOラウンドがHIPCsや他の低所得開発途上国の関心事項を積極的に取り上げていくことや、WTOのルールに沿った形での地域協力を促進することが重要。我々は、貧困国が生産的な投資を促進するような環境を創出する努力を支援すべき。

 

(5) グローバル経済への速やかな統合
グローバリゼーションとIT革命の急速な進展に鑑みれば、最貧国を含む開発途上国がITの新たな進歩の恩恵を利用し、デジタル・ディバイドを防ぐことが重要。
多くの開発途上国において、国内貯蓄と民間資本フローは、既に開発の資金手当ての面で重要な役割を果たしており、民間投融資の水準の上昇・安定は持続可能な発展にとって重要。国際金融機関は、開発途上国が将来的にはグローバルな金融市場に参加する方法を検討すべき。

 

(附属文書)重債務貧困国(HIPC)イニシアティブ:進捗状況