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「国際金融システムの悪用・濫用に対する行動」に関する蔵相報告書の概要

「国際金融システムの悪用・濫用に対する行動」に関する蔵相報告書の概要

(2000年7月21日 沖縄)

 

金融犯罪は、資金の移動性が格段に増し、新たな支払手段が急速に発展する中で、国際金融システムの大きな懸念となりつつある。
各国政府は、資金洗浄及び有害な税の競争に実効的に対処し、また国際的な基準の実施を実現させるため、協力体制と国際的なフレームワークを強化しなければならない。
両報告書に掲げられた全ての措置を実施することを決意し、国際社会のその他のメンバーとともに着実な進展に向けた作業を行う。

 

(1) 資金洗浄(マネーロンダリング)
本年6月に金融活動作業部会(FATF)が非協力国・地域(NCCTs)の最初のリストを公表したことを歓迎するとともに、次の対応策を講ずる。
国内の金融機関に対しては、FATFの勧告に従ってNCCTsとの取引に伴うリスク認識を高めることを要請する。
FATFのNCCTsとの対話への取組みを支持するとともに、NCCTsが資金洗浄対策の速やかな改善を図ることを強く求める。
必要な改革に取り組むNCCTsに対しては、助言や技術支援を行う一方で、適切な改革を行わないNCCTsに対し、共同して対抗措置を講ずる用意がある。
日本及びカナダにおける特定金融情報室(FIU)の設置を歓迎するとともに、FIU間の情報交換協定の締結を支持する。
我々は、専門家による既存のメカニズムを通じて、資金洗浄対策への努力を強化し、以下の諸問題について検討を行う。
法律家や会計士などのいわゆる「ゲートキーパー」の資金洗浄への関与に関する作業を継続する。
国際支払システムについては、送金者の特定方法を見出すことが重要であり、G10中央銀行の支払決済委員会や他の適切な当局とともに、技術的問題を検討する。
金融機関による本人確認を難しくするような違法な会社形態の利用を防ぐための措置を検討する。
公務員による公的資産の不正流用に対し、洗浄された資産の特定、追跡、差押えを行うための既存の法的手段等を検討する。

 

(2) タックスヘイブンとその他の有害な税制
本年6月のOECD閣僚理事会に提出されたタックスヘイブン・リストとOECD加盟国における有害な税制のリストを歓迎するとともに、OECDが引き続き有害な税制の抑止に取り組むことを奨励する。また、税当局の銀行情報へのアクセス及びそうした情報の交換を速やかに進めることを求めるOECDの報告書を支持する。
OECD租税委員会(CFA)とFATFの情報交換に関する共同の努力の進展を歓迎するとともに、両者の定期的な対話の促進を期待する。

 

(3) オフショア金融センター
オフショア金融センター(OFCs)に対しては、FATF(資金洗浄)、OECD(有害な税制)及び金融安定化フォーラム(FSF)(脆弱な金融規制)により提言されている改善策を支持するとともに、これらの3つのフォーラムが相互に協力し、適当な場合には歩調を合わせることを求める。
OFCsが1国際的な協力、2情報交換、3顧客の特定、4過度の秘密の禁止、5金融機関の効果的な調査、6金融監督の強化、7法制度の改善、8有害な税制の除去、の8つの分野に取り組むことを奨励する。
OFCsが国際的な基準実施に積極的な場合は、我々は技術支援や国際機関を通じて支援する用意がある一方、国際基準の実施をコミットしない場合、我々は必要な措置をとる。

 

(4) 国際金融機関の役割
プログラムや国際金融機関の信頼性維持のため、IMFや世銀に対し、これらの機関の資金の利用に関するセーフガードの強化及び加盟国のガバナンスの向上や腐敗対策の強化を求める。
国際金融機関に対し、加盟国への支援や金融セクタープログラムの設計の中で、資金洗浄対策などの国際基準実施の支援を行うことを求める。