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第18回日中韓財務大臣・中央銀行総裁会議

共同ステートメント(ポイント)
【2018年5月4日 フィリピン・マニラ】

  1. 我々は、日本の麻生太郎副総理兼財務大臣の議長の下、フィリピン・マニラにおいて、第 18 回日中韓財務大臣・中央銀行総裁会議を開催し、世界経済や地域金融協力の最近の進展について意見交換した。

  2. 我々は、現在の経済動向と金融市場における潜在的なリスク要因やその基礎となる経済状況について議論した。我々は、ASEAN+3 地域が持続的な経済成長と安定的なインフレを維持しつつ、世界経済の成長に貢献していることを認識した。他方、世界経済の回復を脅かす下方リスクについても引き続き注視する。また、我々は、保護主義の台頭、想定よりも早期の金融引き締め、地政学的緊張の不安定性から生じるリスクを認識した。これに関連して、我々は、南北首脳間で2018年4月27日に合意された板門店宣言を歓迎し、域内の地政学的リスクの緩和に向けたさらなる進展を期待する。我々は、あらゆる保護主義への対抗、ルールに基づく開かれた多元的な貿易・投資システム、外的ショックに対する強靱性の強化の重要性を強調し、中国、日本及び韓国の3か国間での意思疎通及び協調を更に高めていくことに合意する。

  3. 我々は、第1回目のチェンマイ・イニシアティブ(CMIM) の定期的な見直し作業が、成功裡に進捗したことを歓迎する。この見直しは、金融支援を強化し、また、IMFと協調して実施する資金支援時により良い連携プロセスを確立することにより、地域金融セーフティネットとしての CMIM をより強固にすることに貢献する。加えて、我々は、CMIM 運用ガイドラインの更新や IMF との合同テストランの実施といった、 CMIM の即応性を高めるための代理による継続的な作業を歓迎する。さらに我々は、CMIM の危機予防機能の適格要件の向上について進展があることを認識する。また、2018 年に実施予定のIMFとの第9回合同テストランに期待するとともに、コンディショナリティフレームワークの策定に向けた進展がみられることを歓迎する。

  4. 我々は、ASEAN+3 マクロ経済リサーチ・オフィス(AMRO)が、域内のマクロ経済サーベイランス、CMIM 支援及び技術支援のための能力強化により、成熟した国際機関に発展するべく、継続的な努力がなされていることを認識する。また、我々は、 AMRO による、IMF や欧州安定メカニズム(ESM)との覚書締結や国連のオブザーバーの地位獲得といった、ASEAN+3 域内及びグローバルな機関とのパートナーシップの確立・拡大に係る進捗を多とした。我々は、AMRO が、ASEAN+3 地域において、独立し、信頼できかつ専門的な国際機関としての使命を果たすべくサーベイランス及び組織能力を強化することに対し、AMRO を強く支援することを再確認した。

  5. 我々は、アジア債券市場育成イニシアティブ(ABMI)の多岐にわたる顕著な進捗を留意する。特に、我々は、2017 年 12 月に信用保証・投資ファイシリティ(CGIF)の増資決議が出資者によりなされたことを歓迎する。我々は、域内のインフラニーズに対応する現地通貨建てグリーンボンドの促進に資する研究報告書の刊行を歓迎する。また、我々は、日本銀行と香港金融管理局により、CSD-RTGS リンケ ージを、2021 年春頃の実施に向けて開発することが決定されたことを歓迎する。これは、クロスボーダーかつクロスカレンシーによるレポ取引における決済リスクの削減に貢献する。我々は、2018 年 4 月にシンガポールで開催された ASEAN+3財務省中央銀行代理級会合で承認された「非 ASEAN+3 国による ABMF 参加のための一般的な原則」の承認、及び「債券市場育成のためのグッドプラクティス」の更新に向けた努力を歓迎する。

  6. 我々は、世界銀行の技術支援の下、ASEAN 諸国への気候変動及び災害リスク保険によるソリューションの提供を目的とした東南アジア災害リスク保険ファシリティ(SEADRIF)の最初の成果物として、日本、ラオス、ミャンマー、シンガポールによる地域の災害保険リスクプール設立合意を歓迎する。

  7. 我々は、2018 年 ASEAN+3 財務大臣・中央銀行総裁会議の共同議長としての韓国とシンガポールのリーダーシップを多とした。また、我々は、2019 年 5 月に開催される第 22 回 ASEAN+3 財務大臣・中央銀行総裁会議において、中国とタイが共同議長を務めることについても支援していくことで合意する。

  8. 我々は、2018 年 5 月 9 日に開催される第 7 回日中韓サミットの成功を確かなものとするために協力する。今次サミットは、地域金融協力における我々の緊密な関係を更に強固にすると確信している。

  9. 我々は、日中韓財務大臣・中央銀行総裁会議が、政策対話と連携を高めるための効果的な場として役割を果たすと確信し、2019 年 5 月にフィジー・ナンディにおいて再会することを決定した。