令和8年4月18日(土)(現地時間)に片山大臣はニューヨークを訪問し、ジャパン・ソサエティにて講演を行いました。その際の大臣スピーチの概要を公表いたします。
【導入/日米関係】
メリット・ジャノウ会長、ジョシュア・ウォーカー理事長。本日、ジャパン・ソサエティ会員企業の皆様の前で、日本の取組みについて紹介できる貴重な機会をいただき、感謝致します。
100 年以上前の 1923 年 4 月 18 日、ここ、ニューヨークに、旧ヤンキースタジアムが開場しました。ニューヨーク・ヤンキースでは、これまで、松井秀喜選手をはじめとする多くの日本人選手が活躍しました。現在も、大谷翔平選手をはじめ多くの日本人野球選手が、アメリカ社会に受け入れられています。これは、日米の結びつきがいかに強く、深いものであるかを象徴するものです。
政府と政府の間の関係も、負けてはいられません。現在、日米同盟はまさに「黄金時代」です。先月の日米首脳会談においても、経済、経済安全保障、安全保障といった分野で、具体的な協力を確認しました。私自身も、カウンターパートのベッセント財務長官とは、昨年 10 月の高市政権発足直後に彼が来日された機会を手始めに、対面・オンラインを通じて、頻繁に意見交換を重ねています。
【出張の成果/国際的諸課題】
今回こちらに来る前にワシントンD.C.で出席したG7 およびG20 では、現下の中東情勢への対応、経済成長に向けた取組み、重要鉱物、中国の過剰生産問題を含むグローバル・インバランス、そしてウクライナ支援など、幅広い国際課題について議論しました。
中東情勢に関しては、アジア各国は、原油・天然ガスの中東依存度が高く、特に注視が必要です。これらの国では、原油・石油製品の供給不足が既に深刻化しつつあります。こうした中、先日、日本は、高市総理より、アジア・エネルギー・資源供給力強靱化パートナーシップ、通称 「POWERR Asia」を発表しました。総額で約 100 億ドルの金融支援等により、アジア各国に対して、①緊急対応として、石油等の物資調達やサプライチェーン強靱化の取組みを資金面で支援するとともに、②構造的対応として、エネルギー・資源供給力強靱化に向けた資金面や技術面での支援を行うこととしています。アジア各国と日本は、貿易、サプライチェーン、金融など様々な面で深く結びついています。今般の一連の会議では、私から、こうした支援を実施することで各国の安定と成長を支えることが、巡り巡って日本を含む世界経済の強化にもつながるとの考えの下、日本は引き続き、アジア、ひいては世界経済の安定に貢献していくことを申し上げました。
重要鉱物については、今年 1 月、ベッセント財務長官の主催により、 G7 プラスの重要鉱物に関する財務大臣会合が開催されました。私はその場で、2010 年以降の中国による対日レアアース禁輸措置を受け、日本がどのように対応してきたかを紹介しました。これを契機に、財務大臣の間でも本格的な議論が始まりました。こうした流れを受け、今週、G7議長国であるフランスのレスキュール財務大臣と私が共同議長を務め、新たな会合を開催しました。
このように、重要鉱物を含む、国際的な重要課題の解決には、日米協力が不可欠であることを改めて強調したいと思います。
【責任ある積極財政(総論)】
今回の G20 会合では、米国議長の下、いかに成長への阻害要因を克服し、各国の持続的な成長につなげていくかについて、議論が行われました。その中で、私は日本の立場を共有しました。これに関連して、皆様に高市内閣のマクロ経済政策についてご紹介したいと思います。
中東情勢は依然として流動的であり、日本経済への影響を具体的に申 し上げる段階にはありませんが、日本経済の足元の状況は大きく改善してきています。企業収益は過去最高、設備投資も過去最高水準にあり、賃上げは 2 年連続で 5%を超え、3 年目となる今年も堅調です。日経平均株価も史上最高値を更新し、経済は確実に活気を取り戻しています。 先般の訪米時、トランプ大統領との晩餐会で、安倍元総理の言葉を借りて高市総理から申し上げたとおり、「Japan is back!」。
今後さらに日本経済を強くしていくため、「責任ある積極財政」の考え方に基づき、メリハリのある成長投資を進めていきます。成長率を高めることと相まって、債務残高対 GDP 比を安定的に引き下げます。市場動向を常に十分注視しながら、財政の持続可能性を確保し、マーケットからの信認を維持していきたいと思います。
【重点分野への戦略的投資】
日本は、「デフレ・コストカット型経済」から「成長型経済」への移行期にあります。一方で、「静かな有事」とも言うべき人口減少、そして戦後最も厳しく複雑な安全保障環境という課題にも直面しています。
こうした中で、潜在成長率は伸び悩み、個人消費は力強さを欠いています。この状況において、日本経済の強さを取り戻すことが重要です。将来的にも人口減少が見込まれる我が国において、「強い経済」を実現していくためには、「責任ある積極財政」の考え方の下で戦略的な財政出動を行い、日本の供給構造を強化し、経済成長率を高めることを通じて、所得を増やし、消費マインドを改善し、これが事業収益改善につながる好循環を実現する必要があります。
こうした観点から、高市内閣は、供給力の強化に向けて大胆かつ戦略的な「危機管理投資」と「成長投資」を進めていきます。経済安全保障や成長の観点から、AI・半導体や造船を含む 17 の戦略分野を選定しました。例えば、質の高いデータを集積し、学習させることで、ロボットによる自律的な人間の支援や、ものづくりを行う工場の無人制御などが可能となる、「フィジカル AI」の実現に向けた取組みなどを行っていきます。また、防衛力強化や教育無償化などの重要施策について、財源を確保しつつ、予算を増額しているところです。
【財政の持続可能性】
財政の持続可能性については、2026 年度予算において、公債金は 17年ぶりに 30 兆円を下回った前年度当初予算に続き、2年連続で 30 兆円を下回り、公債依存度は過去 30 年で最低水準、一般会計のプライマリーバランスは 28 年ぶりに黒字化する見込みです。
「給付付き税額控除」の導入までの 2 年間に限った、暫定措置としての「食料品の消費税率ゼロ」については、社会保障国民会議において議論を進めています。特例公債に依存しないことを前提に、市場への影響にも十分配慮しながら検討を行っていきます。
こうした日本政府の方針については、脆弱層支援は「budget neutral、 temporary、targeted」であるべきだとする IMF からも、一定の評価を得ています。3 月に来日したゲオルギエバ IMF 専務理事にも、改めて丁寧にご説明しました。
【金融】
金融担当大臣として、金融セクターに関する取組みにも触れておきたいと思います。資金の好循環を通じて経済成長と所得増加を実現するため、「資産運用立国」に向けた取組みや、その基盤となる中長期的な企業価値向上を目的としたコーポレートガバナンス改革は、高市政権の下でも引き続き推進していきます。
日本では、NISA の拡充もあって、個人の投資意欲が高まり、家計金融資産に占めるリスク性資産の残高は過去最高を更新しています。資産運用業者の運用受託額はこの 10 年で 3 倍に拡大し、過去 5 年間で約 50 の海外事業者が新たに参入しました。政府としては、日本の資産運用業の高度化に向け、海外からの新規参入も歓迎しています。
金融のデジタル化・グローバル化が進む中、ステーブルコインやトー クン化預金など、ブロックチェーンを活用した決済の高度化についても、政府として支援しています。
経済安全保障の観点も重要であり、日本版 CFIUS の創設を含む対内直接投資審査制度の高度化を目的とした外為法改正案を国会に提出していますが、同志国である米国からの投資は引き続き歓迎します。
【日本産の農林水産物・食品の輸出振興】
日本のお酒の振興についても少し触れたいと思います。今、日本政府を挙げて日本産の農林水産物・食品の輸出振興に取り組んでいます。私は、財務大臣としてお酒の振興も担当しています。NY には多くの日本食レストランがあり、和食や日本のお酒を、皆様にも是非楽しんでいただきたいと思います。
【結び】
最後に、国際的な課題が複雑化する中で、国際協調、そして日米連携の重要性はますます高まっています。その中で、ジャパン・ソサエティが果たす役割は極めて大きいと思います。
冒頭で触れた 1923 年 4 月 18 日のヤンキースタジアムでの最初の試合では、ベーブ・ルース選手がホームランを放ちました。彼はその後日本を訪れ、日本の野球少年たちに大きな夢を与えました。
私も、女性初の財務大臣として、そして女性初の総理大臣である高市総理の下、ベーブ・ルース選手ほど体は大きくありませんが、「政策のホームラン」を数多く打ち、日米の友好と協力に貢献していきたいと考えています。ご清聴ありがとうございました。

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