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第8回日韓財務対話プレスリリース(令和5年6月29日)

令和5年6月29日

財務省

プレスリリース 第8回日韓財務対話 於:日本・東京

共同プレスリリース(仮訳)
第8回日韓財務大臣級対話
2023年6月29日、日本・東京


Ⅰ.序
1.鈴木俊一日本国財務大臣と秋慶鎬(チュ・ギョンホ)韓国経済副総理兼企画財政部長官は、2023年6月29日に日本・東京にて、第8回日韓財務大臣級対話を開催した。両大臣は、現在の世界経済や地域経済、及び二国間や多国間の協力強化の方策を含め、様々な課題について意見交換を行った。


Ⅱ.世界経済及び地域経済
2.両大臣は、世界経済・地域経済が、新型コロナウイルスのパンデミックやロシアのウクライナに対する侵略戦争、これに伴うインフレ圧力など、複数のショックに対する強靭性を示していることを認識した。しかしながら、両大臣は、世界経済や地域経済の見通しについて不確実性が高まっていることを認識し、地域経済の成長を支え金融の安定を維持するため、引き続き警戒し、機動的に政策対応を行うことの重要性を共有した。

3.両大臣は、ロシアのウクライナに対する侵略戦争を非難することで結束する。ロシアの戦争は、インフレ圧力を助長し、サプライチェーンを混乱させ、エネルギー及び食料不安を高めるなど、世界経済の課題を悪化させた。両大臣は、ロシアの戦争に起因する世界経済の困難に対処するために、引き続き国際協力を促進する決意であり、ロシアのウクライナに対する不法な戦争の即時の終結を求める。


Ⅲ.G20における協力及びG7とパートナー国との対話のフォローアップ
4.両大臣は、G20プロセスにおける緊密な連携の継続を再確認するとともに、強固で、持続可能で、均衡ある、かつ包摂的な成長を達成することを目指し、様々な世界経済の課題に共同で取り組むことに合意した。

5.両大臣は、低・中所得国の債務脆弱性に対処する緊急性を再確認するとともに、予測可能かつ適時に、秩序だった方法で連携した「共通枠組」の実施を改善するためのG20の取組を支持した。両大臣は、債権者委員会の下でのスリランカの債務再編の迅速な妥結の重要性を共有した。また、両大臣は、債務の透明性を高めることの重要性に同意し、G20へのデータ共有の取組を拡大することを支持した。両大臣は、G20国際金融アーキテクチャ(IFA)作業部会の共同議長である韓国のリーダーシップの下、債務問題における更なる進捗を期待する。

6.両大臣は、国境を超えた課題によりよく対処するために、国際開発金融機関(MDBs)のビジネスモデルを変革するためのMDBsの改革に関する進行中の作業をさらに加速させることを支持し、奨励する。また、両大臣は、G20の「MDBの自己資本の十分性に関する枠組みの独立レビュー」の勧告の実施に関する野心的なG20ロードマップを策定すること、及びMDBsに対し、その長期的な財政の持続可能性、強固な信用格付及び優先的に弁済を受ける地位を守りつつ、その実施のための取組の強化を求めることへのコミットメントを再確認した。

7.両大臣は、パンデミック基金の初回案件募集に続き、案件の成功裏の実施に向け、理事会における同一グループのメンバーとして連携を深めるとともに、G20財務・保健合同タスクフォースにおいて、既存の資金源を包括的に評価し、他の国際フォーラムにおける議論を十分に考慮しつつ、パンデミック発生時に必要な資金を迅速かつ効率的に供給できる「サージ」ファイナンスの枠組みの構築に向けた取組に貢献することに合意した。

8.両大臣は、クリーンエネルギー製品のサプライチェーンが高度に集中しているという既存の脆弱性に対処し、低・中所得国がサプライチェーンの中流及び下流においてより大きな役割を果たせるよう支援することが、緊急に必要であると認識した。両大臣は、2023年5月に新潟で開催されたG7財務大臣・中央銀行総裁会議での議論等を踏まえ、両国が、資金、知見、及びパートナーシップを組み合わせて、「RISE(強靭で包摂的なサプライチェーンの強化)に向けたパートナーシップ」の迅速な設立と実施に向けて協働することにコミットした。


Ⅳ.インフラ投資を含む第三国協力
9.両大臣は、国際協力銀行(JBIC)と韓国輸出入銀行(KEXIM)間の覚書(MOU)への署名を歓迎した。JBICとKEXIMは、本MOUを通じ、知識・経験を共有しJBICとKEXIMによる共同支援の機会を模索しつつ、特にインド太平洋地域をはじめとする第三国での質の高いインフラプロジェクト開発や、多様かつ強靭なサプライチェーンの確立、世界的なカーボンニュートラルの達成のために連携を強化する。


Ⅴ.二国間及び地域の金融協力
10.両大臣は、2023年5月2日に韓国・仁川で開催された、日本共同議長下における第26回ASEAN+3財務大臣・中央銀行総裁会議、及び韓国議長下における第23回日中韓財務大臣・中央銀行総裁会議の成功を歓迎した。

11.両大臣は、新型コロナウイルスのパンデミックの傷跡やその経済への影響、及び世界・地域経済を巡る不確実性が、二国間及び地域金融協力を更に強化する重要性を強調したことを再確認した。この観点から、チェンマイ・イニシアティブを更に強化するため、両大臣は、緊急融資ファシリティの迅速な創設、及び払込資本の仕組みの長所と短所に関する調査を通じたものを含め、あり得る資金構造に関するロードマップの作成を求めた。

12.両大臣はまた、地域金融セーフティネットの強化を目的として、100億ドルの通貨スワップ取極の再開に合意した。更に、両大臣は、二国間金融協力のあり得る更なる改善について、議論を継続することに合意した。

13.自然災害から将来生じうる経済的及び財務的損失に対する強靱性を高めるため、両大臣は、東南アジア災害リスク保険ファシリティを含む域内における自然災害リスクファイナンスを促進することで合意した。


VI. その他二国間協力
14.両大臣は、二国間協力の主要な分野において、次の共同活動に合意した。
  • 税関:両大臣は、第32回日韓税関協力会議(局長級)を本年後半に韓国で開催することについて、対ロシア・北朝鮮制裁の履行、越境電子商取引における課題、及びその他取締りに関する課題を議論することを含め、合意した。
  • 国際課税:両大臣は、税の安定性を含む投資・ビジネス環境の向上や、国際課税の問題に関する協力強化を目的として、税の専門家間で、国際課税に関する定期的な議論を開催することに合意した。
  • 人事交流:両大臣は、経済政策のより良い相互理解と、職員間のより緊密な関係強化を目的に、財務当局間で短期の人事交流プログラムを開始することに合意した。
  • 拡散金融:両大臣は、大量破壊兵器の拡散と、北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)を含む前例のない数の弾道ミサイルの発射及び核計画の進展を可能にした拡散金融に関連する、北朝鮮の不正な活動がもたらす脅威に対する深刻な懸念を共有する。両大臣は拡散金融対策分野における協力の更なる強化に合意した。両政府は、域内における拡散金融のリスク低減についての議論を開始する。

15.両大臣は、相互の金融投資の重要性を認識した。この点から、相互の金融投資、及び日本の投資家に対する関連情報の普及を含む、投資家向け広報活動(IR)を強化する韓国の取組みを歓迎した。


Ⅶ. 結語
16.両大臣は、2006年に開始された日韓財務対話が、両国の財務当局間で様々な経験を共有し、共通理解を高める上で非常に有用な場であるとの見解で一致した。また、両大臣は、再開した対話が両国首脳間のシャトル外交に貢献することに合意した。両大臣は、様々なレベル及び分野において、財務当局間のコミュニケーションをさらに強化する意図を共有するとともに、第9回日韓財務大臣級対話を2024年に韓国で開催することに合意した。