日 時:2025年12月22日(月)10:00~12:05
場 所:財務省4階 第1特別会議室
出席者:有吉委員、神作委員、武田委員、津曲委員、野崎委員、丸田委員、家森委員
(株)日本政策投資銀行 高澤取締役常務執行役員、牧取締役常務執行役員
成清執行役員経営企画部長、春日執行役員業務企画部長
全国銀行協会、全国地方銀行協会、第二地方銀行協会、
日本プライベート・エクイティ協会、日本ベンチャーキャピタル協会
金融庁
議事要旨:
事務局による開会挨拶の後、(株)日本政策投資銀行(DBJ)から資料に基づき説明を行った。その後、委員による自由討議を行った。主な内容は下記のとおり。
(特定投資業務に対する受け止め)
〇 特定投資業務の実績については高く評価をしており、先般の法改正で特定投資業務が延長されたことについては喜ばしく思う。投資機会がより長期かつミドルリスク・ミドルリターン、ハイリスク・ハイリターンに移っている中で、リスクマネーのニーズも広がっており、特定投資業務に対する期待は高まってきていると理解。
(特定投資業務の効果検証)
〇 特定投資業務の運用について、民間によるリスクマネー供給が浸透しつつある領域からは順次撤退し、民間金融機関等による資金供給のみでは十分な実施が困難な事業に対して率先して資金供給を行うといった制度趣旨に即したものになっていると理解。
〇 特定投資業務により供給される公的資金が「真の呼び水効果」を発揮しているか、すなわち各案件でDBJのリスクマネー供給があるからこそ投融資案件が成立するという事情が存在するかについて、供給される資金の性質・投資分野の動向も考慮するなど、引き続き分析手法をブラッシュアップしていただきたい。
〇 特定投資業務は、民間金融機関自身も目利き力や事業性評価力を発揮し、DBJとともに触媒機能を発揮して初めて「呼び水」としてのシナジーを発揮する。したがって、EBPMの観点では、民間金融機関を通じたリスクマネーの供給動向についても民間主体で分析することが重要。
〇 経営管理手法が金融機関間で異なるなどデータ面の制約があり、資金の性質や投資分野に着目したリスクマネーの分析は現状困難とも聞いていることから、全国銀行協会において各加盟行・全国地方銀行協会・第二地方銀行協会と連携いただきながら、民間金融機関によるリスクマネーの供給額を集計する取組に着手いただくとともに、「中長期的な金融仲介の在り方検討WG」における議論とも、適切に連携をお願いしたい。
〇 特定投資業務を通じた民間との協調投融資額は、DBJによる実行額の4.2倍に達しており、「呼び水効果」は十分発揮されていると考えられるが、協調投融資先の金額内訳をみるとメガバンクは50%、地域金融機関は4%となっている。この現状を踏まえ、課題があればその課題認識と改善策を教えていただきたい。例えばDBJの関与が地域金融機関側の人材育成にどう波及していたのかなどを把握する仕組みなども考えられる。
〇 直近の法改正では投資決定期限を5年、業務完了期限を10年間延長しているところ、その期間や年限についてどう認識しているのか。加えて、今後、特定投資業務をどのようにしていきたいのかを見解を教えていただきたい。
〇 特定投資業務においてどの程度のリスク・リターンを取っていくことが適切なのか。業務別収支計算書だけでは、各案件のEXITのタイミングにより結果が異なるため、その点も踏まえ検証を行うべきではないか。
〇 「DAC6項目方式」による特定投資業務の政策効果分析で、EXIT時の評価が「A」又は「B」となった案件が全体の約7割を占めることは評価すべきこと。なお、その定量的・定性的な評価方法や運用等に客観性が担保されていることが分かる説明は必要。また、不調だった案件の背景も参考となるため、情報共有いただきたい。
〇 賃上げや利上げなど、環境として新陳代謝が高まっていくステージであり、今は生産性を高める大きなチャンスと考えている。従前どおりの地域における取組も引き続き大事だが、世界での競争に敗れてしまえば日本でどんなに地域で頑張っても日本経済全体として負けてしまうので、日本の国際競争力という観点も引き続き重視してほしい。経営資源に制約のあるDBJにおいては、地域においても産業クラスター等、レバレッジの効いた仕事を優先すべき。
(地域における日本政策投資銀行の取組)
〇 地方の案件について、件数を積み上げていることは理解。今後も地域金融機関が取り切れないリスクの高い案件でDBJが補完する役割を負うべき。また、金額面も含めて取組余地があるとすれば、DBJと地域金融機関の連携に留まらない取組の深化も必要ではないか。
〇 地域支援の在り方を検討するにあたっては、最終的に地域金融機関に自立を求めてDBJによる支援を終了するのか、それとも、DBJが伴走をし続けるのか、いずれの想定かによってその在り方が変わってくるのではないか。
〇 今般の投資専門子会社等の業務範囲規制等の見直しも踏まえて、今後、各地の有力地銀がファンドのGPを担っていくということを考えれば、DBJの存在・役割は非常に重要。それ以外の中小規模の地銀はLP出資で参画してもらい、彼らの現場でのスキル獲得をサポートしてはどうか。
〇 地域金融機関のマインドセットを変えていくことも重要だが、DBJの特定投資業務を通してのみでは難しい。金融庁と連携して地域金融機関へリスクマネー供給に向けたマインドセットの定着に取り組むことが重要。
〇 本年6月の財務省告示改正で盛り込まれた「地域伴走支援強化策」の中では、地域金融機関との共同ファンド設立や勉強会の実施だけでなく、「地域の自治体と地域の社会課題への認識を共有し、その解決を図るため協働すること」も掲げられている。自治体にも温度差がある中、DBJの全国の支店網も活用しつつ、知見や好事例の横展開を図るべき。
〇 DBJは地域金融機関に対する人材育成・知見共有は今後も積極的な取組を継続してもらいたい。他の財投機関・官民ファンドとの間でも、様々な形での連携に取り組んではどうか。
〇 地域企業は本来新市場・領域に進出すべきだが、人口減少等で内需が低迷している中で、資材高騰・金利上昇も相まって設備投資に消極的。地元の地域金融機関も投資を通じた支援への積極性は認められない。このような状況下で、全国・海外に広がるDBJの支店網を生かし、特定投資業務を通じた地域企業の海外展開含む新市場・領域進出支援をお願いしたい。
〇 スタートアップ支援は小規模案件や東京の案件は直近で民間による資金供給が成長してきているが、大規模案件や地方スタートアップへの支援は未だ遅れているため、特定投資業務で特に強調して取り組んでいただきたい。
(特定投資業務の情報開示)
〇 企業側の目線で考えると、補助金とは異なり、投資は秘匿性を伴うものであるため、決定金額等の開示には躊躇するもの。EXIT時期や金額規模等はじめ個別の開示を強調し過ぎれば、DBJの支援を忌避してしまう投資対象先の企業もおり、特定投資業務の浸透と逆行する恐れ。
〇 一般論として、特定投資業務全体の透明性を高めるべきではあるが、個別案件の決定金額等の開示については、数値が独り歩きすることで、あるべき政策目的とのバランスを欠いた議論を惹起する可能性もある。政策目的とリターンのバランスが取れていること、また、全体としてのリターンは確保しつつも、個別の案件によっては失敗も成功もあるようなストーリーで開示をしないとリスクがあるのではないか。
〇 個別案件の情報開示については、関係者に生じうるネガティブな影響を考えると限界がある。また、生じる事務負担にも考慮する必要があり、「開示のための開示」になるべきではなく、特定投資業務の全体像について適切かつ正確に開示することが重要。外部有識者で構成される「特定投資業務モニタリング・ボード」など関連する既存の取組も活用しながら、案件ごとの特性も踏まえ、メリハリのある運用を行うべき。

