このページの本文へ移動

日 時:令和元年103日(木)13201520

場 所:財務省4階 第1会議室

出席者:川村座長、神作委員、高田委員、武田委員、宮本委員、家森委員

(株)三井住友フィナンシャルグループ 奥名誉顧問

((株)日本政策投資銀行特定投資業務モニタリング・ボード 議長)

(株)日本政策投資銀行 福田取締役常務執行役員、地下取締役常務執行役員、
                玉越執行役員業務企画部長、高澤執行役員経営企画部長

金融庁

 

議事要旨:

開会挨拶の後、委員による互選により座長の選出を行った。続いて、事務局及び(株)日本政策投資銀行(DBJ)から資料に基づき説明を行った。その後、特定投資業務モニタリング・ボード議長からモニタリング・ボードにおける議論の説明と委員による自由討議を行った。その主なご意見は以下のとおり。

 

(成長資金供給市場の現状)

〇 リスクマネーが不足しているのは事実であるが、バーゼル規制などの国際規制や、ノウハウ不足、長期ファンディングの制約等により、民間金融機関がリスクマネーの供給を急増させるには制約があることも考慮する必要がある。

〇 バブル崩壊後、資産デフレや金融機能の変容による「エクイティ・デット・スワップ」、財投機関による長期資金供給の滞り等により、疑似エクイティ資金を含むエクイティ性の資金が失われた。本来は民間によるエクイティ性資金の供給を増やすことが必要だが、特定投資業務のような制度によって人為的にリスクマネー供給を増やす必要がある。

〇 リスクマネー供給が増えない原因の一つとして、中長期的な資金の供給者である年金マネーによる供給が十分でない点が挙げられる。

〇 エクイティ投資が成功するには、失敗案件が多くある中で、成功する案件のリターンがそれ以上に大きい必要があるが、日本ではリスクマネーからのリターンが小さい。ベンチャー企業も規模を大きくする前にIPOしてしまう点が問題だと考えられる。

 

(特定投資業務の評価)

〇 特定投資業務モニタリング・ボードは、①政策目的への合致、②企業の経営資源の有効活用の状況、③適切な民業補完、の観点から審議しており、全体として特定投資業務の運営には問題はないと評価している。また、モニタリング・ボードにおける審議が業務運営の一定の規律として寄与しているのではないか。

〇 民間金融機関との補完・協働という観点において、政府系金融機関について問題になるのは運転資金などへの低利融資であり、特定投資業務が対象としているエクイティを中心としたリスクマネーの供給においてはそもそも競合するものではない。

〇 特定投資業務の成功要因として、DBJに案件を掘り起こすネットワークや、金融機関等とのリレーションシップがあり、知見やノウハウ、コンサルティング能力が蓄積していることが挙げられる。

〇 投資件数・金額といったアウトプットだけでなく、例えば、地域活性化がどの程度推進されたか、といった政策目的のアウトカムについても中長期的に評価する必要がある。

 

(成長資金供給の促進を図るための取組)

〇 投資案件の管理や、今のペースで特定投資業務を継続することで、呼び水効果も含め日本のリスクマネー市場に相応の効果があると考えている。

〇 金融機関のデットカルチャーをいかにエクイティカルチャーに変えるか、リスクマネー供給の担い手をいかに増やすか等の観点も重要であり、例えば、好事例を纏めた事例集を周知することも考えられる。また、金融機関だけでなく、ソリューションを求めている企業にも特定投資業務を認知してもらうことが有用である。

〇 日本において中長期的な成長とイノベーションを促進するエクイティの思想やスチュワードシップや顧客本位の情報提供を重要視するフィデューシャリーの概念を根付かせるためにも、特定投資業務は有効な手段となる。

〇 政策目的ではないが、社会課題の解決という点も重要。成長資金がイノベーションに繋がり、ビジネスによって自律的に課題が解決される好循環を生むことを示す必要。

〇 地域の横連携や地銀同士の繋がり、異業種の連携など、面で広げていくことが政策効果の創出において重要。また、デジタルトランスフォーメーションやグローバル化に対応するためにも面的な対応が重要である。

〇 観光や農業等、トラックレコードのない分野において投資をする際、DBJが支援をしながら、他の官民ファンドとも連携していくことが考えられるのではないか。

                                          (以上)