日 時:2024年11月5日(火)9:45~12:05
場 所:財務省4階 第1特別会議室
出席者:家森座長、有吉委員、神作委員、津曲委員、丸田委員
(一社)全国地方銀行協会((株)常陽銀行) 小野常務取締役
(一社)日本プライベート・エクイティ協会 飯沼会長
(株)相川車座 雨宮社長(オンライン)
(株)日本政策投資銀行 村上取締役常務執行役員、高澤取締役常務執行役員
成清執行役員経営企画部長、春日執行役員業務企画部長
金融庁
議事要旨:
全国地方銀行協会、日本プライベート・エクイティ(PE)協会、相川車座から資料に基づき説明を行い、委員による自由討議を行った。その後、日本政策投資銀行(DBJ)から補足説明を行った後、改めて委員による自由討議を行った。主な内容は下記のとおり。
(成長資金供給市場の現状)
〇 ここ数年の地域における動きを見ると、DBJからの特定投資業務を通じたノウハウ提供もあり、地域金融機関による成長育成ファンドへの出資件数や投資金額が増加し、地域金融機関が単独で組成したファンド数も増加するなど、エクイティ供給に関して一歩踏み出す地域金融機関も増えてきている。
〇 他方、各地域では、今後、データセンターといったDX案件、メガソーラーや洋上風力といったGX案件等、大型の資金需要も見込まれる中、リスク許容度や投資ノウハウといった面で課題を抱える地域金融機関が一定数存在。また、一般的な地域の案件はサイズが小さく、今後人口動態のトレンドにしたがって各地域で増加が見込まれる事業承継案件を含め、PEファンドとしては手が出しづらいといった担い手不足の課題も存在。
〇 国内PE市場は、ここ10年で案件数が安定的に増加しており、市場規模についても、大規模案件の有無による影響はあるものの、直近数年で拡大。他方、全体の規模感は諸外国と比べるといまだ小さい。
(特定投資業務の評価)
〇 特定投資業務を通じた地域金融機関との協働実績も着実に積みあがってきている状況。リスクマネーという長期資金を供給するDBJと、日常的な取引を通じて地域の事業者と深い関係を構築している地域金融機関は補完関係にあり、民業圧迫の声は聞かれない。専門性の高い分野、地域金融機関が単独では対応できない案件などにDBJが積極的に関与しているといった好意的な声が寄せられている。
〇 リスクマネー供給に当たっては、投資人材の育成が非常に重要。PEファンドでもトレーニーを受け入れているが数には限界がある。DBJは、共同出資によりノウハウ・ナレッジを共有し、地域金融機関と人事交流を行うなど、担い手育成に大きく貢献。金融機関側からもDBJとの連携・ノウハウ共有が望まれている。
〇 ファンドを組成する際、DBJのネームバリューは非常に大きい。投資ノウハウやファンド運営経験が豊富なDBJが出資していることで、ファンドの収益性やガバナンスの確保といった観点で、他の投資家の間で安心感が広がり、呼び水効果を発揮している。
〇 民業の補完・奨励の観点から、特定投資業務が原則として出資比率50%以下で運用されていることを評価。地域の案件を含め、民間だけでは50%以上の資金供給が困難なケースも見られるが、そうした場合に、例外的にDBJが50%を超える資金供給を行ったとしても民業圧迫とは感じない。
〇 各地域ではリスクマネーの担い手不足に加え、ファンドを組成するに当たっても、ファンドの管理・運営に必要な人材をある程度確保できるよう、サイズアップのための追加資金が必要な状況。また、PE市場においても、資産運用立国に向けて国内への資金還流が求められる中、大型案件を中心としたDBJとの共同出資、民間ファンドへのLP出資などが期待されており、引き続き、特定投資業務を継続してもらいたい。
〇 ファンドを組成する際は、ハンズオン支援による効果発現や収益性確保に5年程度を要することを踏まえ、存続期間を10年程度と設定するのが一般的。地方の案件になると、投資先における管理・運営体制のノウハウ・リソースが不十分なことが多く、投資回収まで10年を超える時間がかかることもあるため、回収期間の長期化も検討してはどうか。
〇 案件の長期化が見込まれる中、国の資金が入っている特定投資業務においては、フィデューシャリーの観点もより意識をして、資金供給のみならず、期中管理・エグジットのタイミング・方法も含めて、しっかりと運用していってもらいたい。
〇 DBJは、投資人材の育成、課題提言をはじめとしたナレッジの共有により、地域に貢献してきているが、各地域に特定投資業務が浸透しきっているとは言い難く、情報発信を強化していくべきではないか。その際、特定投資業務による民業の質的補完の側面を丁寧に説明していくことで、DBJの役割がより分かりやすくなるのではないか。
〇 各地域においてリスクマネー供給のためのエコシステムを構築し、地域課題を解決していくためには、地域金融機関のみならず、自治体も含めた協働が重要であり、引き続き、DBJには関係者をつなぐ触媒としての役割が期待される。
(以上)