このページの本文へ移動

令和4年の全国の税関における関税法違反事件の取締り状況(令和5年2月15日)詳細

1.不正薬物

  • 不正薬物全体の摘発件数は1,044件(前年比25%増)、押収量は約1,147kg(同8%減)となった。摘発件数は過去3番目を記録し、押収量は7年連続で1トンを超え、過去10番目を記録した。

不正薬物の摘発件数と押収量の推移

グラフ(不正薬物の摘発件数と押収量の推移)

(注)その他とは、あへん、麻薬(ヘロイン、コカイン、MDMA等)、向精神薬及び指定薬物をいう。令和4年の数値は速報値。

令和元年は、平成31年1月から令和元年12月を示す。以下同じ。

  • 不正薬物全体の密輸形態別摘発実績では、摘発件数はいずれも前年より増加し、航空貨物の摘発件数が前年比92%増、航空機旅客の摘発件数が前年比約3.9倍と大幅に増加した。
    また、国際郵便物の摘発件数が前年比5%増となり、前年に引き続き高水準となった。

不正薬物の密輸形態別摘発件数の推移

グラフ(不正薬物の密輸形態別摘発件数の推移)

(1)覚醒剤

  • 覚醒剤の摘発件数は、300件(前年比約3.2倍)と増加し、押収量は約567kg(同44%減)と減少した。

  • 押収した覚醒剤は、薬物乱用者の通常使用量で約1,892万回分、末端価格にして約335億円に相当する。

  • 覚醒剤の密輸形態別摘発実績では、航空貨物、国際郵便物及び航空機旅客において、摘発件数・押収量共に前年より増加した。一方、海上貨物は前年より減少し、船員等の摘発はなかった。

密輸形態別の摘発件数と押収量の推移

グラフ(密輸形態別の摘発件数と押収量の推移)

  • 覚醒剤の密輸仕出地別摘発実績では、件数の割合をみるとアジアが34%(101件)と最多となった。また、押収量の割合についても、アジアが24%(約137kg)と最大となった。

仕出地別摘発件数

円グラフ(仕出地別摘発件数)

仕出地別押収量

円グラフ(仕出地別押収量)


[事例1]

写真(アラブ首長国連邦から到着した携帯品に隠匿された覚醒剤)

アラブ首長国連邦から成田国際空港に到着した日本人3名の携帯品に隠匿された覚醒剤計約9kgを摘発した。

(令和4年5月・東京税関)


[事例2]

写真(トルコから到着した食料品缶詰に隠匿された覚醒剤)

トルコから到着した航空貨物(食料品缶詰)に隠匿された覚醒剤約5.6kgを摘発した。

(令和4年1月・東京税関)


[事例3]

写真(メキシコから到着した国際郵便に隠匿された覚醒剤)

メキシコから到着した国際郵便物に隠匿された覚醒剤約1.7kgを摘発した。

(令和4年4月・名古屋税関)


[事例4]

アメリカから到着した航空貨物(3Dプリンタ用フィラメント)に隠匿された覚醒剤約2kgを摘発した。

(令和4年11月・東京税関)

写真(アメリカから到着した3Dプリンタ用フィラメントに隠匿された覚醒剤)

画像(空き部屋を利用した密輸が多発)


(2)大麻

  • 大麻(大麻草・大麻樹脂等)の摘発件数は148件(前年比26%減)と減少した一方、押収量は約431kg(同約2.8倍)と増加した。

  • 大麻草の押収量は約315kg(同約14.5倍)と増加し、大麻樹脂等(大麻樹脂のほか、大麻リキッド・大麻菓子等の大麻製品を含む。)の押収量は約117kg(同11%減)と減少した。

  • 仕出地別の摘発件数では、アメリカが51%、次いでベトナムが15%、カナダが11%となり、北米で約6割を占めた。

摘発件数と押収量の推移

グラフ(摘発件数と押収量の推移)

仕出地別摘発件数

円グラフ(仕出地別摘発件数)


[事例5]

写真(アメリカから到着した国際郵便物に隠匿された大麻草)

アメリカから到着した国際郵便物に隠匿された大麻草約1.3kgを摘発した。

(令和4年8月・大阪税関)


[事例6]

写真(インドから到着した木製テーブルに隠匿された大麻樹脂)

インドから到着した航空貨物(木製テーブル)に隠匿された大麻樹脂約4.8kgを摘発した。

(令和4年6月・門司税関等)


(3)麻薬

  • 麻薬(ヘロイン、コカイン、MDMA等)の摘発件数は前年とほぼ同数の232件となり、押収量は、重量は約131kg(前年比約2.2倍)と増加し、錠剤型は約78千錠(同41%減)と減少した。

  • MDMA等の摘発件数は96件(同19%増)と増加し、押収量は、錠剤型が約78千錠(同40%減)と減少し、その他の形状が約46kg(同52%増)と増加した。

  • コカインの摘発件数は28件(同18%減)と減少し、押収量は約48kg(同約3.3倍)と増加した。

[事例7]

ペルーから関西国際空港に到着したペルー人1名の携帯品に隠匿されたコカイン約10kgを摘発した。

(令和4年9月・大阪税関)

写真(ペルーから到着した携帯品)写真(ペルーから到着した携帯品に隠匿されたコカイン)

[事例8]

ドイツから到着した国際郵便物に隠匿されたMDMA約1.6kg及びケタミン約212gを摘発した。

(令和4年8月・名古屋税関等)

写真(ドイツから到着した国際郵便物に隠匿されたMDMA及びケタミン)


(4)指定薬物

  • 指定薬物の摘発件数は348件(前年比15%増)と増加し、押収量は約17kg(同13%減)と減少した。

[事例9]

台湾から到着した国際郵便物に隠匿された指定薬物(亜硝酸イソブチル)計約31gを摘発した。

(令和4年2月、11月・横浜税関)

写真(台湾から到着した国際郵便物に隠匿された亜硝酸イソブチル)

画像(指定薬物の密輸の特徴)


2.知的財産侵害物品等

(1)知的財産侵害物品

  • 商標権を侵害するバッグ等や著作権を侵害するワッペン等の知的財産侵害物品の密輸事件を9件告発した。

[事例1商標権を侵害するバッグ等の密輸入事件

写真(商標権を侵害するバッグ)

中国から到着した国際郵便物により商標権を侵害するバッグ等349点を密輸入しようとしたほか、商標権を侵害するバッグ等15点を密輸入した中国人及び日本人を告発した。

(令和4年4月・函館税関)


[事例2著作権を侵害するワッペンの密輸入事件

写真(著作権を侵害するワッペン)

中国から到着した国際郵便物により著作権を侵害するワッペン5,989枚を密輸入しようとした日本人を告発した。

(令和4年6月・神戸税関)


(2)ワシントン条約該当物品

  • サル(コモンリスザル等)等の密輸事件を3件告発した。

[事例3サルの密輸入事件

写真(タイから密輸入されたサル)

タイから航空機によりサル(コモンリスザル等)21匹を密輸入しようとした日本人を告発した。

(令和4年10月・東京税関)


(3)輸出事案

  • 廃電子基板等の不正輸出事件を1件告発した。

[事例4廃電子基板等の不正輸出事件

外国籍船舶によりマレーシアへ廃電子基板等(バーゼル法に該当する貨物)を不正に輸出しようとした法人及び中国人6名を告発した。

(令和4年11月・大阪税関)

(4)金地金

  • 金地金密輸入事件の摘発件数は9件(前年比80%増)、押収量は約135kg(同約5倍)と共に増加した。

    *金地金には、金塊に加えて一部加工された金製品も含む。