輸入事後調査の状況
| 令和6事務年度 | 令和5事務年度 | ||||
|---|---|---|---|---|---|
| 前事務年度比 | |||||
| 調査を行った輸入者 |
3,609者 | 33者増 | 3,576者 | ||
| 申告漏れ等のあった輸入者 |
2,690者 | 12者増 | 2,678者 | ||
| 申告漏れ等の割合 |
74.5% | 0.4ポイント減 | 74.9% | ||
| 申告漏れ等に係る課税価格 | 1,390億7,156万円 | 115.8% | 1,201億1,717万円 | ||
| 追徴税額 | 納付不足税額 | 148億8,929万円 | 116.1% | 128億2,932万円 | |
| 関税 | 9億2,797万円 | 108.0% | 8億5,888万円 | ||
| 内国消費税 | 139億6,132万円 | 116.6% | 119億7,043万円 | ||
| 加算税額 | 8億1,870万円 | 131.5% | 6億2,238万円 | ||
| 重加算税 | 4,228万円 | 97.5% | 4,336万円 | ||
| 計 | 157億799万円 | 116.8% | 134億5,170万円 | ||
(注)当該事務年度に調査が終了したもののみを計上。
納付不足税額が多い上位5品目
| 令和6事務年度 | 令和5事務年度 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 順位 | 分類 | 品目 | 納付不足税額 | 分類 | 品目 | 納付不足税額 |
| 1 |
85類 |
電気機器 |
30億4,712万円 |
90類 |
光学機器等 |
26億4,237万円 |
| 2 |
87類 |
自動車等 |
21億7,616万円 |
85類 |
電気機器 |
17億601万円 |
| 3 |
90類 |
光学機器等 |
20億9,324万円 |
84類 |
機械類 |
14億8,761万円 |
| 4 |
84類 |
機械類 |
16億8,433万円 |
30類 |
医療用品 |
14億7,569万円 |
| 5 |
30類 |
医療用品 |
10億1,313万円 |
87類 |
自動車等 |
12億6,813万円 |
(注)分類は、関税率表(関税定率法の別表)に従っている。関税率表は、商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約(HS条約)の附属書の品目表(HS品目表)に基づいて作成されている。
主な申告漏れ等の事例
<重加算税が賦課された事例>
事例1:輸入者が自らインボイスを改ざん
輸入者Aは、X国の輸出者からペットボトル原料を輸入していた。Aは、自ら正規の価格よりも低い価格に書き換えたインボイスを作成し、課税価格の計算の基礎となる事実を隠蔽・仮装して、当該インボイスに基づき申告していた。
その結果、不足していた課税価格は1億952万円、追徴税額は2,134万円(うち重加算税569万円)であった。
事例2:輸出者と通謀して虚偽のインボイスを作成
輸入者Bは、Y国の輸出者から中古バイクを輸入していた。Bは、輸入申告前に正規の価格を認識していたが、輸出者と通謀して、取引価格よりも低い価格を記載した虚偽のインボイスを輸出者に作成させ、課税価格の計算の基礎となる事実を隠蔽・仮装して、当該インボイスに基づき申告していた。
その結果、不足していた課税価格は7,129万円、追徴税額は960万円(うち重加算税247万円)であった。
<その他申告漏れ等のあった事例>
事例3:輸入者が無償提供した部材の申告漏れ
輸入者Cは、X国の輸出者からCPU基板を輸入していた。Cは、輸入貨物に組み込まれる部材を輸出者に無償で提供していた。本来、無償提供に要した費用は課税価格に含めるべきものであったが、Cは課税価格に含めずに申告していた。
その結果、不足していた課税価格は11億3,912万円、追徴税額は1億2,579万円であった。
事例4:輸入貨物に係る開発費の申告漏れ
輸入者Dは、Y国の輸出者から産業用ロボット等を輸入していた。Dは輸出者に対し、輸入貨物に係る開発を依頼し、当該開発に係る費用を支払っていた。この開発費は課税価格に含めるべきものであったが、Dは課税価格に含めずに申告していた。
その結果、その他の申告漏れ等も含め、不足していた課税価格は6億7,259万円、追徴税額は7,220万円であった。
(参考)
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調査の目的
輸入事後調査は、輸入貨物の通関後における税関による税務調査であり、輸入貨物に係る納税申告が適正に行われているか否かを事後的に確認し、不適切な税額等を是正するとともに、輸入者に対する適切な申告指導を行うことにより、適正な課税を確保することを目的として実施している。
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調査の方法
輸入事後調査は、貨物の輸入通関後、輸入者の事業所等を個別に訪問する等して、輸入貨物についての契約書、仕入書その他の貿易関係書類や会計帳簿書類等を調査し、また、必要な場合には取引先等についても調査を行い、輸入貨物に係る納税申告の内容が適切かどうかを確認する。
なお、調査の結果、申告内容に誤りがあることを確認した場合には、修正申告を行うか税関長が税額等を更正すること等により、不足税額等を納付していただく。
また、事後調査の過程において悪質な輸入者であることが判明した場合、犯則調査が開始され、その結果、関税等脱税事件として告発される場合もある。
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重加算税
隠蔽又は仮装により、納税申告をせず、又は誤った納税申告を行った者に対して課される附帯税で、無申告加算税や過少申告加算税より重い税が課される。
(重加算税率の一例)適用前適用後
過少申告加算税10%→35%
無申告加算税15%→40%

