輸入事後調査の状況
令和5事務年度 | 令和4事務年度 | ||||
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前事務年度比 | |||||
調査を行った輸入者![]() |
3,576者 | 108.0% | 3,312者 | ||
申告漏れ等のあった輸入者![]() |
2,678者 | 109.9% | 2,437者 | ||
申告漏れ等の割合![]() ![]() |
74.9% | 1.3ポイント増加 | 73.6% | ||
申告漏れ等に係る課税価格 | 1,201億1,717万円 | 135.7% | 884億9,259万円 | ||
追徴税額 | 納付不足税額 | 128億2,932万円 | 137.3% | 93億4,333万円 | |
関税 | 8億5,888万円 | 106.2% | 8億872万円 | ||
内国消費税 | 119億7,043万円 | 140.3% | 85億3,461万円 | ||
加算税額 | 6億2,238万円 | 131.3% | 4億7,400万円 | ||
重加算税 | 4,336万円 | 327.8% | 1,323万円 | ||
計 | 134億5,170万円 | 137.0% | 98億1,733万円 |
(注)当該事務年度に調査が終了したもののみを計上しています。
納付不足税額が多い上位5品目
令和5事務年度 | 令和4事務年度 | |||||
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順位 | 分類 | 品目 | 納付不足税額 | 分類 | 品目 | 納付不足税額 |
1 |
90類 |
光学機器等 |
26億4,237万円 |
90類 |
光学機器等 |
22億5,775万円 |
2 |
85類 |
電気機器 |
17億601万円 |
87類 |
自動車等 |
14億4,649万円 |
3 |
84類 |
機械類 |
14億8,761万円 |
85類 |
電気機器 |
9億8,474万円 |
4 |
30類 |
医療用品 |
14億7,569万円 |
84類 |
機械類 |
9億5,543万円 |
5 |
87類 |
自動車等 |
12億6,813万円 |
64類 |
履物類 |
4億573万円 |
(注)分類は、関税率表(関税定率法の別表)に従っています。関税率表は、商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約(HS条約)の附属書の品目表(HS品目表)に基づいて作成されています。
主な申告漏れ等の事例
<重加算税が賦課された事例>
事例1:輸入者が低い価格のインボイスに合わせた虚偽の発注書を作成
輸入者Aは、中国の輸出者から衣類等を輸入していました。Aは、輸出者が作成したインボイスが正規の価格よりも低い価格であることを知りながら、正規の価格へ是正することなく、当該インボイスの価格に合わせた虚偽の発注書を作成し、課税価格の計算の基礎となる事実を隠蔽・仮装して、当該インボイス及び発注書に基づき申告していました。
その結果、不足していた課税価格は4億52万円、追徴税額は8,415万円(うち重加算税310万円)でした。
事例2:輸出者と通謀して虚偽のインボイスを作成
輸入者Bは、中国の輸出者から織ネームを輸入していました。Bは、輸入申告前に正規の価格を認識していましたが、輸出者と通謀して、取引価格よりも低い価格を記載した虚偽のインボイスを輸出者に作成させ、課税価格の計算の基礎となる事実を隠蔽・仮装して、当該インボイスに基づき申告していました。
その結果、不足していた課税価格は4,430万円、追徴税額は835万円(うち重加算税169万円)でした。
<その他申告漏れ等のあった事例>
事例3:輸入貨物に係る追加貨物代金の申告漏れ
輸入者Cは、シンガポールの輸出者から太陽光パネル等を輸入していました。Cは輸出者に対し、輸入貨物の代金を支払いましたが、輸入許可後に輸出者から購入した輸入貨物の一部に単価誤りが発覚したことから、差額の貨物代金を追加で支払っていました。本来、この差額は課税価格に含めるべきものでしたが、Cは修正申告をしていませんでした。
その結果、不足していた課税価格は9億3,497万円、追徴税額は1億277万円でした。
事例4:輸入者が無償提供した原材料及び加工賃の申告漏れ
輸入者Dは、米国等の輸出者から医薬品を輸入していました。Dは、輸入貨物の製造に必要な原材料を輸出者に無償で提供しその加工賃を支払っていました。本来、無償提供に要した費用や当該加工賃は課税価格に含めるべきものでしたが、Dは課税価格に含めずに申告していました。
その結果、不足していた課税価格は6億4,159万円、追徴税額は6,719万円でした。
(参考)
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調査の目的
輸入事後調査は、輸入貨物の通関後における税関による税務調査であり、輸入貨物に係る納税申告が適正に行われているか否かを事後的に確認し、不適切な税額等を是正するとともに、輸入者に対する適切な申告指導を行うことにより、適正な課税を確保することを目的として実施しています。
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調査の方法
輸入事後調査は、貨物の輸入通関後、輸入者の事業所等を個別に訪問する等して、輸入貨物についての契約書、仕入書その他の貿易関係書類や会計帳簿書類等を調査し、また、必要な場合には取引先等についても調査を行い、輸入貨物に係る納税申告の内容が適切かどうかを確認します。
なお、調査の結果、申告内容に誤りがあることを確認した場合には、修正申告を行うか税関長が税額等を更正すること等により、不足税額等を納付していただきます。
また、事後調査の過程において悪質な輸入者であることが判明した場合、犯則調査が開始され、その結果、関税等脱税事件として告発されることもあります。
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重加算税
隠蔽又は仮装により、納税申告をせず、又は誤った納税申告を行った者に対して課される附帯税で、無申告加算税や過少申告加算税より重い税が課されます。
(重加算税率の一例)適用前適用後
過少申告加算税10%→35%
無申告加算税15%→40%