【別添1】
輸入事後調査の状況
令和3事務年度 | 令和2事務年度 | ||||
---|---|---|---|---|---|
前事務年度比 | |||||
調査を行った輸入者![]() |
1,484者 | 207.6% | 715者 | ||
申告漏れ等のあった輸入者![]() |
1,118者 | 186.3% | 600者 | ||
申告漏れ等の割合![]() ![]() |
75.3% | 83.9% | |||
申告漏れ等に係る課税価格 | 591億920万円 | 93.7% | 630億6,743万円 | ||
追徴税額 | 納付不足税額 | 62億6,224万円 | 98.6% | 63億4,965万円 | |
関税 | 7億2,200万円 | 75.1% | 9億6,109万円 | ||
内国消費税 | 55億4,024万円 | 102.8% | 53億8,855万円 | ||
加算税額 | 1億9,336万円 | 55.6% | 3億4,751万円 | ||
重加算税 | 1,156万円 | 8.9% | 1億2,968万円 | ||
計 | 64億5,560万円 | 96.4% | 66億9,715万円 |
(注)輸入者数、課税価格及び追徴税額には、前事務年度以前に着手し、当該事務年度に調査が終了したものを含みます。
納付不足税額が多い上位5品目
令和3事務年度 | 令和2事務年度 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
順位 | 分類 | 品目 | 納付不足税額 | 分類 | 品目 | 納付不足税額 |
1 |
85類 |
電気機器 |
13億5,953万円 |
90類 |
光学機器等 |
17億2,974万円 |
2 |
90類 |
光学機器等 |
8億7,550万円 |
85類 |
電気機器 |
12億5,292万円 |
3 |
30類 |
医療用品 |
5億3,490万円 |
84類 |
機械類 |
4億1,693万円 |
4 |
87類 |
自動車等 |
4億3,321万円 |
17類 |
糖類 |
4億696万円 |
5 |
84類 |
機械類 |
4億1,311万円 |
62類 |
織物衣類 |
3億7,450万円 |
(注)分類は、関税率表(関税定率法の別表)に従っています。関税率表は、商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約(HS条約)の附属書の品目表(HS品目表)に基づいて作成されています。
主な申告漏れ等の事例
<重加算税が賦課された事例>
事例1:輸入者が自らインボイスを改ざん
輸入者Aは、中国の輸出者から衣類を輸入していました。Aは、輸入申告前に正規の価格を認識していましたが、正規の価格が記載されたインボイスをもとに、自ら正規の価格よりも低い価格に書き換えたインボイスを作成し、課税価格の計算の基礎となる事実を隠蔽・仮装して、低い価格が記載されたインボイスに基づき申告していました。
その結果、不足していた課税価格は1億1,619万円、追徴税額は2,947万円(うち重加算税727万円)でした。
事例2:輸出者と通謀して偽った製造工程書を作成
輸入者Bは、中国の輸出者から健康食品の原料を輸入していました。Bは、輸入申告前に輸入貨物には関税が課されることを認識していましたが、輸出者と通謀し、虚偽の製造工程書を輸出者に作成させ、納付すべき税額の計算の基礎となる事実を隠蔽・仮装して、関税が課されない輸入貨物として申告していました。
その結果、追徴税額は264万円(うち重加算税21万円)でした。
<その他申告漏れ等のあった事例>
事例3:輸入貨物に係るロイヤルティの申告漏れ
輸入者Cは、イタリアの輸出者から医薬品を輸入していました。Cは、輸出者との間でライセンス契約を締結し、輸出者から特許及びノウハウ等が使用された医薬品を輸入して、その対価としてロイヤルティを貨物代金とは別に支払っていました。
本来、このロイヤルティは課税価格に含めるべきものでしたが、Cは課税価格に含めずに申告していました。
その結果、その他の申告漏れ等も含め、不足していた課税価格は11億5,254万円、追徴税額は1億1,682万円でした。
事例4:輸出者が不適切なインボイスを作成
輸入者Dは、中国の輸出者から国際宅配便を利用してスマートフォン修理部品を輸入していました。輸出者は、正規の価格よりも低い価格でインボイスを作成しており、Dは輸出者の作成したインボイスの内容を十分に確認しないまま、当該インボイスに基づいて申告していました。
その結果、その他の申告漏れ等も含め、不足していた課税価格は5億8,275万円、追徴税額は4,982万円でした。
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事後調査の過程において悪質な輸入者であることが判明した場合、犯則調査が開始され、その結果、関税等脱税事件として告発されることもあります。
(参考1)輸入事後調査の目的と方法
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調査の目的
輸入事後調査は、輸入貨物の通関後における税関による税務調査であり、輸入貨物に係る納税申告が適正に行われているか否かを事後的に確認し、不適切な税額等を是正するとともに、輸入者に対する適切な申告指導を行うことにより、適正な課税を確保することを目的として実施しています。
(注)輸入貨物には、関税のほか輸入に係る内国消費税が課されます。このため、外国から貨物(入国旅客の携帯品等を除く。)を輸入しようとする者(輸入者)は、貨物の輸入の際、税関に対し、輸入申告に併せて関税及び内国消費税の納税申告を行い、必要な税を納付しなければなりません。
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調査の方法
輸入事後調査は、貨物の輸入通関後、輸入者の事業所等を個別に訪問する等して、輸入貨物についての契約書、仕入書その他の貿易関係書類や会計帳簿書類等を調査し、また、必要な場合には取引先等についても調査を行い、輸入貨物に係る納税申告の内容が適切かどうかを確認します。
なお、調査の結果、申告内容に誤りがあることを確認した場合には、修正申告を行うか税関長が税額等を更正すること等により、不足税額等を納付していただきます。
(参考2)重加算税
隠蔽又は仮装により、納税申告をせず、又は誤った納税申告を行った者に対して課される附帯税(無申告の場合40%、過少申告の場合35%)です。無申告加算税(15%)や過少申告加算税(10%)より重い税が課されます。