
はじめに
繰越制度は、財政法における「会計年度独立の原則」に対する例外であり、複雑多岐にわたる国の経費を全ての場合にこの原則どおりに処理することはかえって不経済・非効率となり、実情に沿わないこととなる場合もあることから、一定の条件のもと年度内に支出を終わらなかった歳出予算の金額を翌年度に繰り越して使用することができるようにするものです。
繰越制度の運用にあたっては、適正な事務手続きが必要となる一方で、予算を執行し、実際に繰越手続を行っている各府省、地方自治体からは、“繰越要件・承認基準が不明瞭”“繰越手続が複雑”“繰越承認までに時間がかかり過ぎる”などの御意見が寄せられてきたところです。
こうした御意見に対応するため、繰越要件、手続等について、「明瞭」「簡素」「迅速」の観点から見直しを行い、その具体的内容を盛り込んだ通知を平成22年1月15日に発出するとともに、平成22年3月「繰越しガイドブック」を新たに作成し、財務省HPで公表するなど、広く活用していくこととしました。
本年度においては、繰越手続の更なる効率化の観点から繰越申請様式を改定することで、繰越要件の確認項目の重点化を図るとともに、エラーチェック機能を追加するなど、申請・審査側の双方における手続の迅速化に資する改善を行ったことから、これらに係る記述等を追加しています。
また、本改訂版から「本編」と「参考資料編」の2分冊にすることとし、「本編」には、繰越制度全般、繰越手続等について、より理解を深めていただくため、繰越制度の意義、繰越手続等の基本的な項目から、各種繰越関係書類の記載例、Q&Aを、「参考資料編」には、繰越しに関する各種事例、関係法令、通達・事務連絡を載録しています。
内容について必ずしも十分でない点もあるかと思いますが、本冊子が繰越事務に携わる方々の執務の参考書として活用され、繰越制度の理解の一助となり、ひいては予算の効率的な執行に資することになれば幸いです。
令和6年6月
財務省主計局司計課
繰越しガイドブック |
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本編(一括ダウンロード)(PDF:4424KB) 第Ⅰ章 繰越制度
第Ⅱ章 繰越事由
第Ⅲ章 記載例
第Ⅳ章 その他
1.予算成立後の事由に基づく繰越明許費(事例) 1.歳出予算の額に増減はないにもかかわらず繰越明許費として補正された例
2.既に成立した予算においては、繰越明許費として国会の議決を経ていなかったが、補正予算により予算額が補正追加され、これと同時に、既に成立した予算に係る経費もあわせて繰越明許費とされた例 3.予備費の使用により予算措置された経費(繰越明許費として国会の議決は経ていない)に補正予算により予算額が補正追加され、これと同時に、予備費使用による予算に係る経費もあわせて繰越明許費とされた例 2.事故繰越しの事例1.異常気象等2.工事現場等での障害 3.住民・地権者等関係者との調整等 4.請負業者の倒産等 5.他事業・他機関等との関係 6.資材の入手難 3.繰越しの個別案件事例1.定額給付金給付事業2.子育て応援特別手当支給事業 3.地域活性化・緊急安心実現総合対策交付金 4.地域活性化・生活対策臨時交付金 5.地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金 6.プレミアム付商品券事業(事業費、事務費) 7.地方創生拠点整備交付金等 8.個人番号カード利用環境整備費補助金 4.法令集1.財政法2.会計法 3.予算決算及び会計令 4.特別会計に関する法律 5.通達・事務連絡集1.事務委任関係2.繰越しの取扱 3.繰越し及び翌債の事務手続 4.簡素化関係 |