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「国際収支統計における旅行収支の算出方法の見直し」に関するお知らせ

 
2003年7月10日

「国際収支統計における旅行収支の算出方法の見直し」に関するお知らせ

 

 財務省・日本銀行は、わが国の国際収支統計における旅行収支の算出方法を見直し、本日公表した2003年1~3月確報及び5月速報から、新しい算出方法を適用することとしました。今回の見直しのポイントは、訪日外国人へのアンケート調査に基づき、外国人がわが国に持ち込んだ円貨及び持ち出した円貨等に関するデータを、旅行収支の受取・支払双方に、反映させたことにあります。

 

1.

 

見直しの背景

(1)

旅行収支は、訪日外国人が、わが国滞在中に消費した財貨・サービスへの支払額(旅行収支上は受取)と出国日本人が海外滞在中に消費した財貨・サービスへの支払額(同支払)の差を表しています。旅行収支作成のためのデータソースとしては、従来、マル1訪日外国人を対象としたパックツアー等の旅行代金、マル2わが国でのクレジットカード利用額、マル3わが国において訪日外国人が外貨から円貨に両替した金額などを用いて統計を作成してきました。

(2)

しかしながら、日本人旅行者が多いアジアからの入国者を中心に、海外に退蔵されている円貨をわが国に持ち込んだり、日本国内に設置されたキャッシュディスペンサーやATMから円貨を引き出して消費に充てる事例が多くなってきていると見られており、従来の計上方法では、こうした部分は把握できていないため、旅行収支には反映されておりませんでした(下記参考1図)。また、出国日本人が、アジア等において、日本国内から持ち出した円貨を用いて消費した金額についても、従来の計上方法で把握できていたのは金融機関経由で国内に還流する部分に限られていました(下記参考2図)。

 
(参考1図)旅行収支・受取の概念図、(参考2図)旅行収支・支払の概念図


2.


訪日外国人に対するアンケート調査

(1)

このような状況の下で、2002年度財務省が委嘱した訪日外国人に対するアンケート調査により、上記参考1図における(D)から(H)に該当する金額が判明したため、これまで把握できていなかった部分(X)を算出することができるようになったことから、当該部分を旅行収支の受取額に加算することにしました。

(2)

また、出国日本人による海外での円貨消費額については、訪日外国人が持ち込む円貨は、出国日本人が海外における消費活動に際して使用したものと、訪日外国人が使い残して自国に持ち帰ったものであると考えられるため、アンケート調査結果から、出国日本人による円貨消費額を算出し(上記参考2図(E))、旅行収支の支払額に加算することにしました。

(3)

なお、アンケート調査結果に基づき、2002年中の旅行収支のデータを用いて消費額(受取額、支払額)を試算すると、訪日外国人の一人当り平均消費額(旅行収支・受取)は約25万円(うちアンケート調査により把握可能となった額約15万円)となります。一方、同様に当該アンケートの結果を織り込んだ出国日本人の一人当り消費額(旅行収支・支払)は約24万円であり、旅行収支・受取、支払双方の一人当りの消費金額はほぼ同水準となります。


3.


具体的な計上方法の見直し

 アンケート調査結果に基づく、旅行収支・受取、支払の具体的な計上方法は以下のとおりになります。

(1)

受取の計上方法

 従来の計上方法による集計値(上記1図のA+B+C)に、以下の計算式で求めた値を加算する。

上記図1中D+E+F-G-Hの一人当り平均額×当月訪日外国人短期滞在者数

(2)

支払への計上方法

 従来の計上方法による集計値(上記2図のA+B+C+D)に、以下の計算式で求めた値を加算する。

マル1上記1図中D-Hの訪日外国人一人当り平均額×年間訪日外国人短期滞在者数(前年)


マル2年間出国日本人短期滞在者数(前年)
× マル3当月出国日本人短期滞在者数

(参

考)

マル1訪日外国人による持込み円貨と持出し円貨の差額の年間総額を算出し、マル2年間出国日本人短期滞在者数で除すことで、出国日本人の一人当りの円貨使用額(訪日外国人の手を介して日本に還流する分)を計算し、マル3当月出国日本人数(短期滞在者)を掛け合わせる。


以 上

 

連絡・問い合わせ先
財務省国際局為替市場課 国際収支室 国際収支第1係
TEL 03-3581-4111 内線2888