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EBRDで勤務する日本人スタッフからのメッセージ

 私は2013年3月にEBRDに入行しました。現在はAgribusinessチームにおいて、技術協力プロジェクト(Technical Cooperation (TC))の組成・管理を担当しています。

 私とEBRDとの出会いは7年前に遡ります。仕事の関係でEBRD関係者にお会いした際、EBRDで働くには何が必要とされているのかを伺ったところ、専門性を磨くことと競争力を付けることに注力する必要があるとのアドバイスを頂き、国際機関とはそのようなところなのか、と身の引き締まる思いがしました。この経験が、その後の自分のキャリアプランを考える上で非常に大きなステップとなりました。

 私は過去9年間、公的機関(外務省専門調査員、UNDP(国連開発計画))と投資信託の管理を行う日系金融機関にて勤務してきました。様々な土地と環境での勤務を通じて、自分が生涯を通じて『携わりたい仕事と向いている仕事』を模索して、漸く辿り着いたのが、開発と金融・財務の橋渡しとなる仕事でした。途上国の現場でプログラムを実施する仕事を通じて、困難な環境を改善するための支援をすることへの情熱と、プログラムの財務面、資金管理の重要性を身を持って感じ、そこに私の『携わりたいかつ向いている仕事』があると気づきました。その意味で、国際開発金融機関であるEBRDは、私の今までの経験と、そこで獲得した専門性を生かせる場所だと思っています。

 現在私は、Agribusiness チームにて、Technical Cooperation Managerとして、技術協力プロジェクトの組成・管理を担当しています。技術協力は、EBRDの中心的な業務である銀行業務に付加価値を付けるため、通常、EBRD投融資プロジェクトに付随して組成されます。正に、開発的要素と金融業務の橋渡しをする業務に当たっているといえます。現在チームでは、食糧安全イニシアティヴ(Food Security Initiative)の一環として、FAO(国連食糧農業機関)との協力の下、原産地証明を発展させるプロジェクトをセルビアに於いて実施しています。これは、セルビア産のフルーツ、肉製品に原産地を証明するマークを付けることで、各商品特有の質、特徴、特殊な生産方法を保護し、2015年に予定されているEUへの市場開放を前に、EUひいては国際市場での競争力を付与することを目的としています。私の役割は、限られた時間内に多方面のニーズを汲み取り、書類に起こして、内部承認を得、比較的短期間にプロジェクトを立ち上げることが求められるため、プレッシャーの高い仕事です。しかしながら、プロジェクト実施国を訪問し、現地の人々の期待のこもった高揚感に触れたとき、大きなやりがいを感じます。今後の私自身の課題は、Agribusinessセクターと、バンキングディールに関する理解を高め、より質の高いプログラムを関係部門のニーズに沿う形でタイムリーに組成することだと考えています。常に自己研鑽に勤しみ、切磋琢磨できる環境がここにはあります。

 ヨーロッパ、中東欧、バルカン地域、ロシア・CIS諸国、中央アジア、地中海東南岸地域といった、多様な文化的バックグラウンドの人々と共に働くことが出来るのもEBRDの大きな魅力のひとつです。今まで親しんできた対人関係やビジネス慣習と異なるものと接して驚きを感じることも多々あります。そんな中、個々の多様性を尊重し、違いを楽しみながら、共通の目標を達成することを目指すことが出来るのは、非常に価値のある経験だと感じています。

 

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Technical Cooperation Manager(Agribusiness チーム)
門 愛子