現在位置 : トップページ > 国際政策 > アジアにおける地域金融協力・二国間支援 > アジア通貨・経済危機の概要とその対応の経緯等 > マニラ・フレームワーク > 金融・通貨の安定に向けたアジア地域協力強化のための新フレームワーク(仮訳)(1997年11月18日、19日)

金融・通貨の安定に向けたアジア地域協力強化のための新フレームワーク(仮訳)(1997年11月18日、19日)

アジア蔵相・中央銀行総裁代理会合
金融・通貨の安定に向けたアジア地域協力強化のための新フレームワーク

(仮訳)
(1997年11月18日、19日 於マニラ)

 

1. オーストラリア、ブルネイ、カナダ、中国、香港特別行政区、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、ニュージランド、フィリピン、シンガポール、タイ及び米国の蔵相・中央銀行総裁代理は当地域における金融の安定化を図る協力方策を協議するために、1997年11月18日及び19日にマニラで会合した。カナダは、APECの現議長国として参加した。IMF、世界銀行及びアジア開発銀行からもハイレベルの代表が出席した。

 

2. 代理達は、過去数十年のアジアの力強い成長と、他に類を見ない個人所得の増加に注目した。当地域の力強い成長は、経済の対外開放が進んでいることの反映でもあることで意見が一致した。アジアの堅固な経済ファンダメンタルズは、当地域が確固たる成長率を回復し、グローバリゼーションから恩恵を受け続け得るというコンフィデンスを支えるものである。従って、近隣の市場の混乱は、開かれた資本市場が経済に大きな恩恵をもたらすという一致した見方を何ら変えるものではない。しかしながら、市場の混乱は金融市場のグローバリゼーション及び資本移動の変動の増大に伴う課題に焦点をあてることとなった。

 

3. このような背景をもとに、代理達は金融市場安定への見通しを強化するための域内協力のフレームワークが必要かつ望ましいことで合意した。このフレームワークは、国際通貨制度におけるIMFの中心的役割を認識しつつ、以下のイニシアティブを含むものである。(a)IMFのグローバル・サーベイランスを補完するための域内サーベイランスのためのメカニズム、(b)特に国内金融システム及び規制に関する対応能力の強化における更なる経済・技術協力、(c)金融危機への対応のためのIMFの対応能力の強化のための方策、及び(d)IMF資金を補完する、アジア通貨安定のための協調支援アレンジメント(CFA)。

 

4. これらのイニシアティブは、経済成長の促進及び持続のための、健全なマクロ経済及び構造政策、適切な為替政策、並びに強固な国内金融機関及び監督体制の維持の重要性を強調するものである。また、透明性とディスクロージャーを強化するための方策が、経済及び金融の安定を維持するための努力を補強するであろうことも認識している。

 

5. 代理達は、域内サーベイランスのための新しいメカニズムを設立することに合意した。このメカニズムは、IMF、世界銀行及びアジア開発銀行からの協力を受けて、参加国の大蔵省及び中央銀行間のサーベイランス及び対話をより強力で高いレベルの参加者によるプロセスとするものとなろう。また、本メカニズムは成長や金融市場安定に対する潜在的なリスクの認識を助け、それらのリスクを軽減する適切な政策対応についてアドバイスに役立つものとなろう。このための会合は年2回開かれる他、必要に応じ開催されることとなる。

 

6. 代理達は、銀行・金融システムを強化し資本市場を深化させるために、経済面及び技術面で協力することが重要であることを強調した。彼らは、これまでに国際金融機関や国際監督組織が、この分野での各国当局の取り組みを支援する努力を行ってきたことを歓迎し、これらの機関に以下のことを促した。
国際金融機関が支持するマクロ経済政策及び構造改革パッケージの不可欠の要素となりうる適切に構成された融資及び技術面、分析面での助言によって、緊急時に、銀行・金融セクターの困難な状況に対応できるように準備しておく。
当局が金融システムを改善することを支援し、危機の伝播に対応するため、市場規制当局と監督当局の協力を強化することを助け、厚味があり流動性のある成熟した債券市場の育成を促進する。
地域の担当者とともに、金融部門や法人部門の対外債務の過度の増加及び対外債務の満期構成の短縮を監視し防止するため作業する。この作業は、また、外貨ポジションの慎重な管理にも注力する必要がある。
金融市場の統合性や機能を高めうる、その他の方法を模索する。

 

7. 代理達は、強固なマクロ経済・金融プログラムを支援するために迅速に十分な支援を動員でき、また、適切な場合には、深刻な金融危機にあって公的資金の多くの部分を供与できることを確保することでIMFが国際通貨システムの中心的な責任を遂行する能力を強化することが共通の利益であることを認識した。
彼らはIMFのクォータを増加する最近の決定を歓迎し、特に、地域の多くの国々のクォータが相対的に増加したことを歓迎した。彼らは、参加国が早急に新規借入取極(NAB)への参加通告を行うよう要請した。
彼らは、市場の信認を回復するために十分な規模の資金が動員できるように、例外条項の発動も含め、IMFにアクセス・ポリシーの見直しを行うように促した。
彼らは、また、例外的なスタンド・バイ取極や拡大信用取極に加えて短期のファイナンシングを供与する新規のメカニズムの設立を前向きに検討するようにIMFに促した。

 

8. 代理達は、IMF及び他の国際金融機関の資金を補完するためのアジア通貨安定のための協調支援アレンジメント(CFA)を設けることの必要性についても合意した。この協調支援アレンジメントにおいて、参加国は、ケース・バイ・ケースで、IMFとの協議の上、IMFが支援するプログラムへの補完的資金を提供することができる。このような支援に当たっては、IMFがまず最初に例外条項や他の新たな融資の仕組みにより供与される柔軟性を最大限に利用すべきであり、そうしたIMFの資金を利用した後で、例外的状況において、国家の外準を増大させるために供与されうる。必要な場合には、参加者はこの枠組みに参加するために法律上の事前手続きを行うこととなろう。他のIMF加盟国も、個々のケースにおいて、適切な方法で補完的支援の提供に参加することが期待される。

 

9. 代理達は、民間債権者が、危機が生じた際には適切にリスクを評価し、調整と金融支援の負担を分担する可能性が高まるよう、モラル・ハザードを抑制するために、金融支援のイニシアティブは注意深く設計されなければならないということを強調した。彼らは地域における最近の金融市場の危機に鑑み、国家の流動性危機の解決策(オードリー・ワークアウト)の手続きに関するこれまでの作業をすさらに推進するために、地域内外における利害関係国及び関連する国際機関から専門家による作業部会を設置することを促した。

 

10. 日本は、この枠組みの下でこれらのイニシアティブを推進するために、来年前半にも次回会合を主催することに同意した。IMFはホスト国と調整しつつ、本会合の事務局としての技術的な支援を行うことに合意した。

 

11. 代理達は、フィリピン政府の暖かい歓迎と素晴らしい準備に一致して感謝の意を表した。