【答】
財政融資資金の運用財源に充てるために、国が発行する債券(国債)をいいます。財投債の発行収入は、財政投融資特別会計財政融資資金勘定の歳入の一部となり、歳出として財政融資資金に繰り入れられます。
商品性は通常の国債と同じで、発行も通常の国債と合わせて行われているので、金融商品として見た場合、通常の国債と全く変わりません。また、発行限度額について、国会の議決を受けている点でも通常の国債と同じであり、各年度の国債発行計画の中においても国債の一種として位置付けられています。
ただし、財投債は、その発行によって調達された資金が財政融資資金の貸付けの財源となるとともに、償還が財政融資資金の貸付回収金によって賄われる点で、一般会計などの歳出の財源となり、償還が租税などによって賄われる通常の国債とは異なります。
なお、財投債は、国際連合が定めた経済指標の統一基準に基づいた国民経済計算体系(SNA)(注1)上も一般政府の債務には分類されません。また、「国及び地方の長期債務残高」(注2)にも含まれません。
(注1)「国民経済計算体系(SNA)」とは、経済統計を各国が共通の基準に基づいて作成するために国際連合が作成した基準です。国民経済を構成している家計、企業、政府の3部門はそれぞれ経済取引を通じて互いに関連しながら経済活動を営んでいます。このほかに、国民経済は貿易や資本取引によって海外の経済活動とも結びついています。このような国民経済の構造・循環をとらえる仕組みが「国民経済計算体系(SNA)」です。その中で、公的部門は一般政府と公的企業に分類されており、公的企業の債務は一般政府の債務には含まれません。現在、財政融資資金は公的企業に分類されており、財投債は一般政府の債務には含まれません。
(注2)「国及び地方の長期債務残高」とは、利払・償還財源が主として税財源により賄われる長期債務を国・地方の双方について集計したものです。