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政策評価に関する基本計画

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令和5年3月31日策定

第1章 計画期間

本基本計画の計画期間は、令和5年度から令和9年度までの5年間とする。

第2章 政策評価の実施に関する方針

第1節 政策評価の目的

1 財務省の使命、政策の目標、政策等を国民に明らかにし、納税者としての国民に対する説明責任(アカウンタビリティ)を果たすこと。

(1)政策評価の実施を通じて、国民に対して財務省の使命、政策の目標、政策の内容と実施状況を明らかにし、財務省の行政の透明性を高めることにより、国民に対する説明責任(アカウンタビリティ)を果たし、国の財務の総合的な管理運営を行う財務省の行政に対する国民の信頼性の向上を図るものとする。

(2)政策評価の結果の公表を通じて、財務省の政策の内容、実施状況などを明らかにすることによって、財務省の政策の在り方について国民から幅広く意見が寄せられることも期待される。そのような国民からの意見を集約し、納税者としての国民の声を政策の企画立案に活かしていくものとする。

2 財務省の行政全般について、客観的な政策評価の実施を確保することにより、常により効率的で質が高く時代の要請に合った成果重視の行政を目指し続けること。

(1)財務省の行政全般に政策評価のマネジメント・サイクルを導入し、サービス等を提供した結果として国民に対して実際どのような成果(アウトカム)がもたらされたかという成果を重視した行政運営を推進する。

このことにより、財務省全体の総合的な政策調整機能を強化し、機動力のある効果的な政策運営を図るものとする。

(2)政策評価の実施を通じて、「行政サービスの受益者」としての国民が求める質の高い行政サービスを、「行政サービスの費用負担者」である国民にとって必要最小限の費用で提供できる効果的・効率的な政策運営を実現するものとする。

(3)政策評価の実施を通じて、評価の結果を企画立案やそれに基づく実施に反映させるとともに、政策評価の継続的な実施を通じて得られる知見・経験を蓄積・活用していくことにより、政策の質の向上及び行政の政策形成能力の向上を図るものとする。

(4)政策評価の実施を通じて、時宜を得た目標設定を行い、時代の要請に合った行政を目指すものとする。

3 財務省の仕事の進め方を改善し、職員の意欲の向上、組織の活性化を図ること。

政策評価の実施を通じて、財務省の職員は、財務省の使命、政策の目標及び意図、活動の方針等をより明確に自覚できるようになる。そのことを踏まえ、組織として、政府全体の方針や国民の立場を意識して、政策等の代替案やコストの検討を行い、成果重視の行政サービスを提供していくことができるよう促すことにより、全体の活性化につなげていくものとする。

4 財務省が財政当局として、各府省の政策評価の結果を適切に活用していくこと。

政策評価の結果の予算・税・財政投融資への反映については、各府省は、評価結果を踏まえて、政策の改善・見直しを行い、その結果を予算要求等の段階で適切に反映することが期待されている。財務省は、財政当局として、予算編成等の過程において、各府省の政策評価の結果の適切な活用を図るよう努めるものとする。

第2節 政策評価の実施に関する基本的な考え方

1 政策評価の方式

政策評価の方式は、評価の対象となる政策の特性等に応じて、次のような方式やこれらの主要な要素を組み合わせた一貫した仕組みなど、適切な方式を用いるものとし、具体的な評価方式の適用についての基本的な考え方は、本基本計画の第5章第2節及び第6章第2節で定める。

(1)実績評価方式

政策を決定した後に、政策の不断の見直しや改善に資する見地から、政策の目的と手段の対応関係を明示しつつ、あらかじめ政策効果に着目した達成すべき目標を設定し、これに対する実績を定期的・継続的に測定するとともに、目標期間が終了した時点で目標期間全体における取組や最終的な実績等を総括し、目標の達成度合いについて評価する方式。

(2)総合評価方式

政策の決定から一定期間を経過した後を中心に、問題点の解決に資する多様な情報を提供することにより政策の見直しや改善に資する見地から、特定のテーマについて、当該テーマに係る政策効果の発現状況を様々な角度から掘り下げて分析し、政策に係る問題点を把握するとともにその原因を分析するなど総合的に評価する方式。

(3)事業評価方式

個々の事業や施策の実施を目的とする政策を決定する前に、その採否、選択等に資する見地から、当該事業又は施策を対象として、あらかじめ期待される政策効果やそれらに要する費用等を推計・測定し、政策の目的が国民や社会のニーズ又は上位の目的に照らして妥当か、行政関与の在り方からみて行政が担う必要があるか、政策の実施により費用に見合った政策効果が得られるかなどの観点から評価するとともに、必要に応じ事後の時点で事前の時点に行った評価内容を踏まえ検証する方式。

2 政策評価の目標体系

(1)政策の目標

財務省の政策は、国の財政、税制、国庫、通貨、外国為替等マクロ経済運営に関するものであり、国民生活全般に影響を及ぼすものが多く、国民に対する説明責任と政策の効率性、有効性等が強く要請される。このため、財務省の主要な政策について、目標を体系的に設定し、目標間の整合性を図るために、「政策の目標」として次のように整理するものとする。

[1] 総合目標

財務省の政策の目標の基本となるものを「総合目標」とし、次の「政策目標」の上位に位置する目標とするとともに、財務省が省として当面取り組んでいる大きな課題は何かを国民に示し、評価を通じてその達成状況についての財務省の認識を説明するものとする。したがって、特定の年度において執行する事務処理的なものではなく、内閣の基本的な方針等を踏まえ、数年程度の中期かつ大局的な視点で財務省として取り組む大きなテーマを内容とする。

[2] 政策目標

財務省が行う各分野の政策の目標を「政策目標」とする。財務省における基礎的な実績評価対象として、当該年度における政策実施状況を評価し、その後の政策実施に反映させることでPDCAサイクルを働かせるための単年度評価を前提とした目標とする。

(2)目標体系の明示

政策評価の体系的かつ合理的で的確な実施を確保するため、事後評価の実施に関する計画(以下「実施計画」という。)において、財務省の「政策の目標」をあらかじめ明らかにするものとする。

3 政策評価の重点化

政策評価の実施体制、業務量、緊急性等を勘案しつつ、次のような政策について、重点的かつ計画的な評価の実施を図るものとする。

(1)施政方針演説等内閣の基本的な方針等により重点的に取り組むべきこととされた行政分野において、財務省が所掌する主要な政策

(2)内外の社会経済情勢の変化を踏まえ、見直しや改善の必要があると認められる主要な政策

(3)国民からの評価に対するニーズが高く、評価を実施する必要があると認められる政策

(4)財務省において重点的に取り組むこととした政策

第3章 政策評価の観点に関する事項

評価の実施に当たっては、必要性、効率性、有効性の観点に加え、政策の特性に応じ公平性、優先性の観点から適切な観点を選択、具体化し、総合的に評価するものとする。

(1)「必要性」の観点

政策効果からみて、対象とする政策に係る行政目的が国民や社会のニーズ又はより上位の行政目的に照らして妥当性を有しているか。行政関与の在り方からみて当該政策を行政が担う必要があるか。

(2)「効率性」の観点

投入された資源量に見合った効果が得られるか、又は実際に得られているか。必要な効果がより少ない資源量で得られるものが他にないか。同一の資源量でより大きな効果が得られるものが他にないか。

(3)「有効性」の観点

得ようとする政策効果に対し、当該政策に基づく活動により実際に効果が得られているか、又は得られると見込まれるか。

(4)「公平性」の観点

行政目的に照らして、政策効果の受益や費用の負担が公平に分配されているか、あるいは分配されるものとなっているか。

(5)「優先性」の観点

当該政策を他の政策よりも優先的に実施すべきか。

第4章 政策効果の把握に関する事項

1 政策効果の把握に当たっては、対象とする政策の特性に応じた、適用可能であり、かつ、政策効果の把握に要するコスト、得られる結果の分析精度等を考慮した適切な手法を用いるものとする。

その際、できる限り政策効果を定量的に把握することができる手法を用いるものとし、これが困難である場合、又はこれが政策評価の客観的かつ厳格な実施の確保に結びつかない場合においては、政策効果を定性的に把握する手法を用いるものとする。

この場合においても、できる限り、客観的な情報・データや事実を用いることにより、政策評価の客観的かつ厳格な実施の確保を図るものとする。また、すべてにおいて、初めから高度かつ厳格な手法の適用を画一的に行 うより、簡易な手法であっても、その有用性が認められているものがあれば当該手法を適用し、政策評価の実施 の過程を通じ知見を蓄積して手法の高度化を進めていくことにより政策評価の質の向上を図っていく等の取組を進めていくものとする。

2 政策効果の把握に当たっては、政策の特性も踏まえ、より包括的な政府活動の目的に照らした効果・影響についてもできる限り把握するよう努めるものとする。

3 政策効果の把握に関しては、当該政策に基づく活動の実施過程を通じて政策効果の把握に必要な情報・データや事実が効果的・効率的に入手できるよう、その収集・報告の方法等についてあらかじめ配慮するよう努めるものとする。その際、関係者に協力を求める必要がある場合にあっては、その理解が得られる範囲内で適切な効果の把握に努めるものとする。

4 政策に基づく具体的活動の実施主体が行政機関以外であり、政策効果の把握のために必要となる場合にあっては、当該実施主体に対し把握しようとする政策効果やその把握のための方法等について示すなどにより、できる限りその理解と協力を得るよう努め、適切に政策効果の把握を行うものとする。

第5章 事前評価の実施に関する事項

第1節 基本的な考え方

事前評価は、政策の決定に先立ち、当該政策に基づく活動により得られると見込まれる政策効果を基礎として、的確な政策の採択や実施の可否の検討に有用な情報を提供する見地から行うものとする。その際、複数の政策代替案の中からの適切な政策の選択、政策の改善・見直しの過程を可能な限り明らかにするよう努めるものとする。

第2節 事前評価において使用する方式の基本的な適用の考え方その他事前評価の取組方針

1 事前評価の対象とする政策

法第9条の規定に基づき事前評価の実施が義務付けられた政策

 2 事前評価の方式

事前評価は、事業評価方式により行うことを基本とする。なお、国税における租税特別措置及び地方税における税負担軽減措置等(特定の行政目的の実現のために税負担の軽減・繰延べを行うものに限る。以下「租税特別措置等」という。)に係る政策の事前評価については、実績評価方式、総合評価方式及び事業評価方式の主要な要素を組み合わせた一貫した仕組みなど、適切な方式による評価を行うものとする。

3 事前評価の取組方針

(1)事前評価は、対象となる政策を決定する前に行い、必要に応じ事後の時点で事後に把握した政策効果について検証を行うものとする。

また、政策効果が発現した段階においてその結果の妥当性を検証すること等により得られた知見を以後の事前評価にフィードバックする取組を進めていくものとする。

(2)法第9条の規定に基づき実施が義務付けられた政策以外の政策についても、政策効果の把握の手法等に関する研究・開発を進めるとともに、積極的かつ自主的に事前評価を行うよう努めるものとする。

(3)研究開発を対象とする事前評価は、法、基本方針及び本基本計画で定めるところによるほか、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」(平成28年12月21日内閣総理大臣決定)を踏まえて行うものとする。

(4)規制に係る政策の事前評価は、法、基本方針及び本基本計画で定めるところによるほか、「規制の政策評価の実施に関するガイドライン」(平成29年7月28日政策評価各府省連絡会議了承)を踏まえて行うものとする(第6章第2節4(3)において同じ。)。

(5)租税特別措置等に係る政策の事前評価は、法第9条の規定に基づき事前評価の実施が義務付けられているもの以外の租税特別措置等に係る政策についても、積極的かつ自主的に行うよう努めるものとする。

租税特別措置等に係る政策の事前評価については、租税特別措置等の要望に際して、原則として評価によって得られる情報が有用なものとして用いられるよう適切なタイミングで行うものとする。また、要望の着 想から決定に至る一連の過程の中で、できる限り早期に評価を開始するよう努めるものとする。

4 評価書の作成・公表

事前評価を行ったときは、評価書を作成し、その要旨とともに適時に公表する。

第6章 計画期間内において事後評価の対象としようとする政策その他事後評価の実施に関する事項

第1節 基本的な考え方

事後評価は、政策の決定後に政策効果を把握し、これを基礎として、政策の見直し・改善や新たな政策の企画立案及びそれに基づく実施に反映させるための情報を提供する見地から行うものとする。

第2節 事後評価において使用する評価方式の基本的な適用の考え方その他事後評価の取組方針

1 事後評価の対象とする政策

財務省の主要な政策分野全てを対象に事後評価を行うものとする。

2 事後評価の方式

(1)事後評価は、実績評価方式により行うことを基本とするが、様々な角度から掘り下げた評価が必要と認められる場合には、計画的に総合評価方式による評価を行うものとする。

(2)規制に係る政策の事後評価は、事業評価方式により行うことを基本とする。

(3)租税特別措置等に係る政策の事後評価は、実績評価方式、総合評価方式及び事業評価方式の主要な要素を組み合わせた一貫した仕組みなど、適切な方式による評価を行うものとする。

3 事後評価の実施計画

(1)実施計画は、計画期間及び計画期間内において事後評価の対象とする政策並びに当該政策ごとの具体的な事後評価の方法を定めるものとし、毎年度末までに次年度分を策定し、公表する。実施計画の策定と併せて、その政策の目標の達成度を測るための測定指標等を明示した事前分析表を作成し、公表する。

(2)実施計画及び事前分析表は、政府の方針等が新たに設定・転換された場合には、計画期間内であっても、必要に応じ変更するものとする。

4 事後評価の取組方針

(1)実績評価方式による評価

[1] 実績評価方式による評価においては、明確な目標を設定し、客観的な評価の結果を公表することにより、財務省の政策の意図とその結果の良否を国民が最終的に判断するための情報を提供していく見地から行うものとする。

[2] 財務省の政策は、国の財政、税制、国庫、通貨、外国為替等マクロ経済運営に関するものであり、また、財務省ではコントロールできない外部要因に大きく左右されることから、政策の定量的な目標を設定することが困難なものがあるが、この場合においても定性的な目標設定に努めるとともに、財務省の各部局において事務運営上使用している経済統計・定量的指標を参考指標として公表することにより、国の財務の総合的な管理運営を行う立場にある財務省の活動状況を明らかにし、国民に対する説明責任に応えていくものとする。

[3] 実績評価方式による評価においては、純然たる成果だけを見るのではなく、所期の成果が上がらなかった場合の要因分析や前向きな改善策の提言、若しくは政策評価システム自体のより積極的な活用策又は改善策の提言にも重きを置いて、複眼的な視点から評価を行うものとする。

(2)総合評価方式による評価

[1] 総合評価方式による評価においては、特定のテーマを設定し、様々な角度から掘り下げて総合的に評価を行い、政策の効果を明らかにするとともに、問題点の解決に資する多様な情報を提供する見地から行うものとする。

[2] 総合評価方式による評価を行うテーマとしては、例えば、次のようなものが挙げられる。

・ 社会経済情勢の変化により改善・見直しが必要とされるもの

・ 国民からの評価に対するニーズが高く、緊急に採り上げて実施することが要請されるもの

・ 社会経済や国民生活に与える影響が大きいもので開始から一定期間が経過したもの

・ 従来の政策・施策を見直して、新たな政策展開を図ろうとするもの

・ 評価を実施してから長期間が経過したもの

[3] 総合評価方式による評価においては、実施のための費用もある程度大きくなることが予想されるため、緊急性、優先性等を勘案して計画的に実施するものとする。

ただし、社会経済情勢の変化等により、緊急に評価を実施する必要が生じた場合には、実施計画に関わらず、総合評価方式による評価の実施を妨げないものとする。

(3)規制に係る政策の事後評価

[1] 規制に係る政策のうち、事前評価を行った政策については、事後評価を行うものとし、それ以外の規制に係る政策についても、積極的かつ自主的に事後評価を行うよう努めるものとする。

[2] 事後評価の実施時期については、法令等に見直し条項(一定期間経過後の当該規制の見直しを行う旨の条項)があるものについては、その見直し時期、法令等に見直し条項がないものについては、見直し周期を設定した時期とする。なお、見直し周期は最長5年とする。

(4)租税特別措置等に係る政策の事後評価

[1] 租税特別措置等に係る政策のうち、法人税、法人住民税及び法人事業税に係る政策(行政機関が行う政策の評価に関する法律施行令(平成13年政令第323号)第3条第7号イ及びロに規定する政策に限る。)を対象に事後評価を行うものとし、その他の税目関係の租税特別措置等に係る政策についても、 積極的かつ自主的に事後評価の対象とするよう努めるものとする。

[2] 租税特別措置等に係る政策の事後評価は、その結果が租税特別措置等についての検討作業や税制改正作業において有効に活用されるよう、原則として8月末までの適切なタイミングで行うものとする。また、租税特別措置等については、定期的にその効果等の検証が行われることが重要であるため、事後評価を継続的に行うものとし、事後評価を行わない年度においても、不断の検証を行うよう努めるものとする。事後評価のサイクルとしては、原則として本基本計画の期間内に1回は評価を行うものとする。

その際、期限の定めのない措置や10年以上にわたって存続している措置から順に事後評価に取り組むなど、評価の必要性の高いものから計画的に評価に取り組むものとする。

なお、既存の租税特別措置等の拡充又は延長の要望に際して事前評価を行ったときは、事後評価の要素を含んでいることから、改めて事後評価を行うことは要しない。

5 評価書の作成・公表

(1)実績評価方式による評価においては、毎年6月末を目途に前年度分の評価書を作成し、その要旨とともに公表する。

(2)総合評価書方式による評価を行ったときは、評価書を作成し、その要旨とともに適時に公表する。

(3)規制に係る政策の事後評価を行ったときは、評価書を作成し、その要旨とともに適時に公表する。

(4)租税特別措置等に係る政策の事後評価を行ったときは、評価書を作成し、その要旨とともに適時に公表する。

第7章 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項

評価活動が財務省の政策全般にわたる基本計画及び実施計画の策定並びに事前分析表及び評価書の作成に当たっては、財務省内のみの議論ではなく、客観性を確保し、評価の質を高めるため、財務省政策評価懇談会の意見を取り入れるものとし、個々の政策分野に係る政策評価の実施に当たっては、評価の対象とする政策の特性、評価の内容、評価作業の効率性等に応じて、次のような方法により必要に応じその活用を図るものとする。

(1)学識経験者、民間等の第三者からの意見聴取

(2)学識経験者、民間等の第三者により構成される研究会等の開催

(3)外部研究機関等の活用

(4)審議会等の活用

第8章 政策評価の結果の政策への反映に関する事項

第1節 政策評価の結果の政策への反映

1 基本的な考え方

政策評価の結果については、政策の企画立案作業(予算要求、機構・定員要求、税制改正要望、法令等による制度の新設・改廃等の作業をいう。)における重要な情報として適時的確に活用し、当該政策に適切に反映させる。

2 実効性を高めるための仕組み

(1)評価書に今後の政策等に反映すべき事項に関する項目及び前年度評価結果の政策への反映状況に関する項目を設け、政策等に反映すべき事項とその反映状況を明らかにする。

(2)大臣官房政策立案総括審議官及び大臣官房文書課政策評価室(以下「政策評価室」という。)並びに各局の総務課等(以下「各局課評価担当組織」という。)は、個別の政策を所管する課等(以下「政策所管課等」という。)及び予算、税制、法令等取りまとめ担当課との連携の強化に努めるとともに、予算、税制、法令等取りまとめ担当課は、政策評価の結果の適切な活用に努める。

第2節 財務省が財政当局となっている分野(予算・税・財政投融資)

財務省が財政当局となっている分野(予算・税・財政投融資)においては、予算編成等の過程において、各府省の政策評価の結果の適切な活用に努めるものとする。

第9章 インターネットの利用その他の方法による政策評価に関する情報の公表に関する事項

第1節 政策評価に関する情報の公表

財務省の政策評価においては、政策評価の実施に際して、行政の透明性を確保し、国民に対する説明責任を果たすという観点から、政策評価に関する以下の情報を分かりやすい形で国民に対して公表するものとする。

(1)基本計画

(2)実施計画

(3)事前分析表

(4)評価書(政策評価の結果の政策への反映状況を含む。)

(5)評価書要旨

第2節 公表の方法

公表は、政策評価室が、財務省ウェブサイトへの掲載及び報道発表等により行うものとする。

第3節 公表に当たっての留意事項

本章第1節に掲げる情報の公表に当たっては、公表することにより国及び公共の安全を害する情報や個人のプライバシー、企業秘密に関する情報等の取扱いに関し、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(平成11年法律第42号)及び「個人情報の保護に関する法律」(平成15年法律第57号)の考え方に基づき適切に対応するものとする。

第10章 政策評価の実施体制に関する事項

第1節 政策評価の実施体制

財務省においては、政策所管課等、各局課評価担当組織及び政策評価室の相互補完に留意しつつ、以下のような役割分担の下、政策評価を実施するものとする。

(1)政策所管課等の役割

[1] 実施計画案の策定

[2] 事前分析表案の作成

[3] 評価書案の作成

[4] 政策評価の結果の政策への反映

(2)各局課評価担当組織の役割

[1] 各局課における政策評価の総括

[2] 実施計画案、事前分析表案及び評価書案についての一次審査

[3] 政策所管課等への政策評価の結果のフィードバック

[4] 各局課における政策評価の結果の政策への反映状況のフォローアップ

[5] 政策所管課等が行う評価の支援(評価手法に関する知見の提供等)

[6] 政策評価室との連絡調整

(3)政策評価室の役割

[1] 基本計画の策定・改訂等政策評価に関する基本的事項の企画及び立案

[2] 財務省における政策評価の総括

[3] 実施計画案、事前分析表案及び評価書案についての二次審査・取りまとめ

[4] 財務省の政策の横断的評価、複数の部局にまたがる政策の評価についての連絡調整

[5] 政策所管課等への政策評価の結果のフィードバック

[6] 政策評価の結果の政策への反映状況のフォローアップ

[7] 政策評価に関する手法等の調査・研究・開発

[8] 政策所管課等が行う評価の支援(評価手法に関する知見の提供等)

[9] 政策評価を担うことができる人材の養成・確保の推進

第2節 財務省政策評価委員会

財務省の政策評価の在り方及び運営について審議し、総合的観点から調整を行うために、事務次官以下局長級をメンバーとする財務省政策評価委員会を開催するものとする。

第11章 その他政策評価の実施に関し必要な事項

第1節 外部からの意見・要望等の受付窓口及びその活用

政策評価に関する外部からの意見・要望等の受付窓口は政策評価室とし、面接、文書によるほか、財務省ウェブサイトにおいても、財務省の政策評価に対する外部からの意見・要望等を受け付けるコーナーを設け、常時受け付けるものとする。

また、寄せられた意見・要望等については、政策評価室で一元的に管理し、その内容に応じて、関係部局にフィードバックすることにより今後の政策の企画立案作業や政策評価作業において適切に活用するとともに、その活用結果について公表するものとする。

第2節 基本計画の見直し

本基本計画については、社会情勢の変化、基本方針の変更、政策効果の把握の手法その他政策評価の方法に関する調査、研究及び開発の成果や動向等を踏まえ、必要に応じ所要の見直しを行うものとする。

第3節 その他

その他財務省の政策評価の実施に関し必要な事項は、大臣官房文書課長が別に定めるものとする。

第12章 国税庁が達成すべき目標に対する実績の評価等

1 政策評価に関する基本計画の準用

国税庁が達成すべき目標に対する実績の評価は、中央省庁等改革基本法第16条第6項第2号の「府省の長は実施庁の長にその権限が委任された事務の実施基準その他当該事務の実施に必要な準則を定めて公表するとともに、実施庁が達成すべき目標を設定し、その目標に対する実績を評価して公表すること。」との規定に基づき実施するものであるが、評価手法の観点からは、あらかじめ達成すべき目標を設定し、それに対する実績を測定しその達成度を評価することにより、達成度合いについての情報を提供するものであるという点で、財務省の実績評価方式による政策評価と実質的に同一であるため、本基本計画の定めるところに準じて実施するものとする。

なお、上記とは別に、国税庁の所掌する事務に関して租税特別措置等に係る税制改正要望を行おうとするもの及び既存の租税特別措置等について過去に当該要望を行ったものは、実績評価方式、総合評価方式及び事業評価方式の主要な要素を組み合わせた一貫した仕組みなど適切な方式により、本基本計画に定めるところに準じた評価を実施するものとする。

2 実施スケジュール

国税庁の事務が事務年度(7月から翌年6月)に基づいて実施されていることに鑑み、毎年6月末までに次事務年度の実施計画を策定するとともに、事前分析表を作成し、これらを公表するものとする。また、毎年10月末を目途に前事務年度の評価書を作成し、その要旨とともに公表するものとする。

なお、租税特別措置等に関して行う評価にあっては、本基本計画に定めるところに準じて行うものとする。

3 その他

国税庁が達成すべき目標に対する実績の評価等の事務実施に当たり、国税庁、国税局(沖縄国税事務所を含む。)及び税務署における、評価に関する詳しい情報・データの収集、対応すべき行政課題の把握のために必要となる実施体制及び事務処理手順は、国税庁が別に定めるものとする。