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令和5年3月31日策定  文第92号

第1章 総則

1.基本事項

(1)政策評価の概要

政策評価とは、行政機関が行う政策の評価に関する法律(平成13年法律第86号。以下「法」という。)に基づき、国の行政機関が主体となり、政策の効果等に関し、測定又は分析し、一定の尺度に照らして客観的な判断を行うことにより、政策の企画立案やそれに基づく実施を的確に行うことに資する情報を提供することであり、「企画立案(Plan)」、「実施(Do)」、「評価(Check)」、「企画立案への反映(Action)」を主要な要素とする政策の大きなマネジメント・サイクルの中にあって制度化されたシステムとして組み込まれ、実施されるものである。

(参考)政策評価制度の経緯については、(参考1)「政策評価制度に関する経緯」を参照。

(2)政策評価の目標体系

財務省の主要な政策について、政策評価の体系的かつ合理的で的確な実施を確保するため、以下の考え方により目標を整理し、事後評価の実施に関する計画(以下「実施計画」という。)及び事前分析表において、「政策の目標」(総合目標及び政策目標をいう。以下同じ。)としてあらかじめ明らかにするものとする。

[1]総合目標

総合目標は、政策目標の上位の概念としての財務省の基本的な目標であるとともに、財務省が、省として当面取り組んでいる大きなテーマは何かを国民に示し、評価を通じてその達成状況について説明するものとする。

したがって、特定の年度において執行する事務処理的なものではなく、閣議決定、施政方針演説、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」といった内閣の基本的な方針を踏まえ、数年程度の中期(長くても10年程度)かつ大局的な視点で財務省として取り組む大きなテーマを内容とする。

目標設定に当たっては、国民に分かりやすいものとなるよう、訴求力のあるキーワードを盛り込むよう努める。また、目標の表現が、可能な限り政策目標と重複しないよう留意する。

総合目標は、「目標管理型の政策評価」に、財務省独自の視点で深度を加えた付加価値のある目標と位置付けられる。

(注)1~6の目標番号を付す。なお、「体系図」等においては、便宜、「財政」など当該目標の属する政策分野を表す見出しを付す。

[2]政策目標

政策目標は、財務省における基礎的な実績評価対象であり、財務省設置法上の任務など個別具体的な政策についての目標を設定する。一定の政策分野ごとの個々の政策を目標として設定し、当該年度における政策実施状況を評価し、その後の政策実施に反映させることでPDCAサイクルを働かせるものである。

あくまでも単年度評価を前提とした個別の政策に係る目標である点で総合目標と異なる。

財務省の場合、一般的には、財務省設置法の任務に大きな変更がなければ同様の目標が継続されることが多いと考えられ、そのような恒常的な目標に係るその年度の実施状況を評価する。

(注)政策目標設定の背景となる「一定の政策分野」について1~11の整理番号及びその政策分野を表す見出しを付し、政策目標には、その属する政策分野の整理番号を基礎番号とする枝番号の形式で、目標番号(「政策目標1」について「政策目標1−1」等)を付す。

[3]施策

政策目標については、これを達成するための手段を「施策」として設定する。各政策目標について一つ以上の施策を実施計画及び事前分析表において明示し、各施策に一つ以上の測定指標を設定するものとする。測定指標は、可能な限り定量的な測定指標の設定に努めるものとする。

評価の段階で、事前に明示したもの以外の施策がある場合には追加する。

政策目標に係る政策評価は、一次的に施策ごとの評定を行い、次に各施策の評定を総合して、その政策目標全体の評定を行う。

(注)施策には、その属する政策目標の目標番号を基礎とする枝番号の形式で、施策番号を付す。

なお、総合目標については、単年度の目標ではないため施策の設定は行わない。ただし、一つの総合目標に複数のテーマが盛り込まれた場合には、上記の方法に準じ、一次的にテーマごとの評定を行い、その評定を総合してその総合目標全体の評定を行う。

(注)総合目標におけるテーマについては、その総合目標の目標番号を基礎とする枝番号の形式による整理番号及び内容を要約した適宜の見出しを付す。

(参考1)総合目標及びテーマの例

総合目標3:財務管理 【目標番号及び見出し】

経済金融情勢及び財政状況を踏まえつつ、・・・中略・・国有財産の有効活用を進める。 【目標】

テーマ3−1:適切な国債管理政策を実施する 【テーマの整理番号及び見出し】

(参考2)政策目標及び施策の例

政策目標5:貿易の秩序維持と健全な発展 【政策分野の整理番号及び見出し】

政策目標5−3:関税等の適正な賦課及び徴収、社会悪物品等の密輸阻止並びに税関手続における利用者利便の向上 【目標番号及び目標】

施策5−3−1:関税等の適正な賦課及び徴収 【施策番号及び施策名】

2.政策評価の実施スケジュール

(1)事前評価

事前評価は、政策の決定に先立ち、的確な政策の採択や実施の可否の検討に有用な情報を提供する見地から行うものであり、あらかじめその実施スケジュールを明示することは困難であるが、適時的確に評価を実施する。

[1]研究開発、公共事業及び政府開発援助を目的とする政策

8月まで評価書の作成・公表

8月末政策評価の結果を予算要求に反映

[2]規制の新設、改廃を目的とする政策

規制の新設又は改廃が法律による場合、事前評価書及びその要旨の公表は、遅くとも法律案の閣議決定までに行う。政令以下の下位法令による場合は、遅くともパブリックコメントまで(パブリックコメントの適用除外のものについては閣議決定又は制定まで)に公表する。

なお、条約等国際約束に基づいて新設又は改廃される規制に関しては、国会承認を要するものについては当該国際約束を国会に提出するまで、要しないものについては当該国際約束を締結するまでの間において、関連する国内法令を含めて事前評価書等を公表することが望ましいものと考えられるが、国内法令の制定又は改廃を行う場合には、遅くとも原則にのっとった公表を行う。

[3]租税特別措置等に係る政策

国税における租税特別措置及び地方税における税負担軽減措置等(特定の行政目的の実現のために税負担の軽減・繰延べを行うものに限る。以下「租税特別措置等」という。)の要望に際して、原則として評価によって得られる情報が有用なものとして用いられるよう適切なタイミングで評価を実施し、評価の結果を公表する。ただし、要望の段階で、要望の内容を具体化することが困難な場合には、要望後の適切なタイミングで評価の結果を公表する。

(2)事後評価

事後評価は、政策の決定後に政策効果を把握し、政策の見直し・改善や新たな政策の企画立案及びそれに基づく実施に反映させるための情報を提供する見地から行うものであり、概ね以下のスケジュールにより実施する。

[1]実績評価方式による事後評価(以下「実績評価」という。)

4月から前年度の評価書の作成作業

6月末目途前年度の評価書の作成・公表

7月から前年度の政策評価の結果の政策への反映

翌年1月から次年度の実施計画の策定及び事前分析表の作成作業

3月末次年度の実施計画及び事前分析表の公表

[2]総合評価方式による事後評価(以下「総合評価」という。)

評価を行うテーマに応じて適時的確に評価を実施し、評価の結果を公表する。(総合評価は、場合によっては複数年度にわたって実施することも考えられる。)。

[3]規制に係る政策の事後評価

事後評価は、法令等に見直し条項があるものについては、その見直し時期、法令等に見直し条項がないものについては、見直し周期を設定し、その見直し周期に評価を実施し、評価の結果を公表する。

[4]租税特別措置等に係る政策の事後評価

評価結果が、租税特別措置等についての検討作業や税制改正作業において有効に活用されるよう、原則として毎年8月末までの適切なタイミングで評価を実施し、評価書を作成・公表する。

第2章 事前評価

第1節 事前評価の対象政策

1.評価の単位

評価の単位は、事務事業(政策を具現化するための個々の行政手段としての事務及び事業であり、行政活動の基礎的な単位となるもの。以下この章において「事業等」という。)が中心となるものと考えられるが、政策の性質等に応じ必要があれば更に大括りな行政活動のまとまりについても対象とする。

なお、租税特別措置等に係る政策の事前評価の単位は、その結果が、税制改正要望や、その後の税制改正作業に適切に対応するものとなるよう、原則として税制改正要望を行う租税特別措置等の単位に対応させるものとする。

2.事前評価の取組方針

事前評価については、法第9条の規定に基づき事前評価の実施が義務付けられた事業等について着実な実施を図るものとする。なお、事前評価の実施が義務付けられていない事業等についても、評価の実施に係る事務量等を勘案の上、可能な範囲で事前評価を行うよう努めるものとする。

(参考1)事前評価の実施が義務付けられた事業等(法第9条、行政機関が行う政策の評価に関する法律施行令(平成13年政令323号)第3条)

[1]研究開発: 事業費10億円以上のもの

[2]公共事業: 事業費10億円以上のもの(施設の維持、修繕に係る事業を除く。)

[3]政府開発援助: 供与限度額 10億円以上の無償プロジェクト
供与限度額150億円以上の有償プロジェクト

[4]上記[1]から[3]に該当する事業を実施する者に、費用の全部又は一部を補助するもの

[5]規制の新設・改廃を行うもの(法律又は政令の新設・改廃を伴うもの)

[6]租税特別措置等(法人税、法人の道府県民税(都民税を含む。)、法人の事業税又は法人の市町村民税に係るものに限る。)の新設、拡充又は延長する措置を要望するもの

(参考2)事前評価の実施は義務付けられていないが、対象となりうる事業等の例

[1]上記[1]から[2]に係るもので、それぞれの金額基準以下のもの

[2]規制の新設・改廃を行うもの(省令等の新設・改廃を伴うもの)

[3]法人税、法人の道府県民税(都民税を含む。)、法人の事業税又は法人の市町村民税以外の税目について租税特別措置等の新設、拡充又は延長する措置を要望するもの

第2節 研究開発、公共事業及び政府開発援助に係る政策の事前評価

1.事前評価の観点

事前評価(研究開発、公共事業及び政府開発援助に係るものに限る。以下この節において同じ。)は、基本計画第3章に定める評価の観点に基づき行うとともに、以下の点についても留意する。

(1)事業等の実施により、費用に見合った効果が得られるかについて検討する。このため、可能な限り、予測される効果やそのために必要となる費用を推計・測定し、それらを比較する。その際、効果については、受益の帰属する範囲や対象を極力特定し、可能であれば定量化する。また、費用については、事業等に係る直接的な支出のみならず、事業等により付随的に発生するそれ以外の費用(例えば社会費用等)についても含めることを検討する。

(2)必要に応じて、より効率的で質の高い代替案がないか、事業等の目的に照らし、その効果の受益や費用の負担が公平に分配されるか、他の事業等よりも優先的に実施する必要があるかについて検討する。

2.事前評価書

(1)事前評価書は「事前評価書の様式例及び記載要領」(別紙1)を参考として、以下の事項について記載することを基本とするが、事業等の性質に応じ適宜調整を加えるものとする。

[1]評価の対象とした事業等の名称

[2]事業等を行うこととする背景、実施期間及び事業費など、評価の対象とした事業等の概要

[3]事業等の実施により達成しようとする目標及び事後の検証時期

[4]評価の観点及び評価結果

[5]学識経験を有する者の知見の活用

(2)事前評価書の要旨は、上記(1)の事前評価書の概要を分かりやすく、原則として1枚にまとめたものとする

3.事前評価の実施手順

(1)個別の政策を所管する課等(以下「政策所管課等」という。)は、事前評価の対象となり得る政策判断(予算要求)を行う可能性が生じた場合には、各局の総務課等(以下「各局課評価担当組織」という。)を通じ、大臣官房政策立案総括審議官及び大臣官房文書課政策評価室(以下「政策評価室」という。)に連絡する。

(2)政策評価室は、政策所管課等及び各局課評価担当組織と調整の上、事前評価の実施の要否を決定する。

(3)政策所管課等は、各局課評価担当組織及び政策評価室と調整の上、評価の観点、評価書に記載する項目等を決定する。

(4)政策所管課等は、事前評価を実施し、事前評価書案及び要旨案を作成する。

(5)各局課評価担当組織は、事前評価書案及び要旨案の一次審査を行う。

(6)政策評価室は、事前評価書案及び要旨案の二次審査を行う。

(7)政策評価室は、必要な手続を経て事前評価書及び要旨を公表する。

4.事後の検証

(1)事前評価を実施した事業等については、事業等の実施後に把握した政策効果に基づき、当初見込んでいた効果が実際に得られたのか、得られなかった場合はどのような事情によるのかを明らかにするため、事後の検証を行う。

(2)事後の検証に使用する様式については、政策所管課等が、各局課評価担当組織及び政策評価室と調整の上、決定するものとする。

実施手順等については、後記第3章第2節の実績評価書の作成に準じて行うものとする。

第3節 規制に係る政策の事前評価

1.事前評価の観点

事前評価(規制の新設、改廃に係るものに限る。以下この節において同じ。)は、基本計画第3章に定める評価の観点並びに「規制に係る政策評価の事務参考マニュアル」(平成29年7月総務省行政評価局政策評価課)、「規制の政策評価における競争状況への影響の把握・分析に関する考え方について」(平成29年7月31日公正取引委員会事務総局)及び「規制の政策評価における競争状況への影響の把握・分析に係る事務参考マニュアル」(平成29年9月26日公正取引委員会事務総局)、「「規制改革実施計画」(令和2年7月17日閣議決定)を踏まえた規制の事前評価について」(令和3年1月29日内閣府規制改革推進室、総務省行政評価局政策評価課)に基づき行う(第3章第4節において同じ。)。

2.事前評価書

(1)事前評価書は「規制の事前評価書の様式及び記載要領」(別紙2)を参考に、以下の事項について記載する。

[1]規制の新設・改廃に係る法律又は政令等の名称

[2]規制の目的、内容及び必要性

[3]直接的な費用の把握

[4]直接的な効果(便益)の把握

[5]副次的な影響及び波及的な影響の把握

[6]費用と効果(便益)の関係

[7]代替案との比較

[8]その他の関連事項

[9]事後評価の実施時期等

なお、[2]には、規制の必要性の前提となる現状と課題について、統計データ等を利用してベースラインを明記する。また、簡素化した評価手法を用いて評価を行った場合の事前評価書は「規制の事前評価書(簡素化)の様式及び記載要領」(別紙3)を参考に、以下の事項について記載する。

[1]規制の新設・改廃に係る法律又は政令等の名称

[2]簡素化した規制の事前評価の該当要件

[3]規制の目的、内容及び必要性

[4]直接的な費用の把握

[5]副次的な影響及び波及的な影響の把握

[6]その他の関連事項

[7]事後評価の実施時期等

(2)事前評価書の要旨は上記(1)の事前評価書の概要を分かりやすく簡潔にまとめる。

3.事前評価の実施手順

(1)政策所管課等は、事前評価の対象となり得る政策判断(法令改正)を行う可能性が生じた場合には、各局課評価担当組織を通じ、政策評価室評価係に連絡する。

(2)政策評価室は、政策所管課等及び各局課評価担当組織と調整の上、事前評価の実施の要否を決定する。

(3)政策所管課等は、各局課評価担当組織及び政策評価室と調整の上、評価の観点、評価書に記載する項目等を決定する。

(4)政策所管課等は、事前評価を実施し、事前評価書案及び要旨案を作成する。

(5)各局課評価担当組織は、事前評価書案及び要旨案の一次審査を行う。

(6)政策評価室は、事前評価書案及び要旨案の二次審査を行う。

(7)政策評価室は、必要な手続を経て事前評価書及び要旨を公表する。

第4節 租税特別措置等に係る政策の事前評価

1.事前評価の内容

事前評価(租税特別措置等に係るものに限る。以下この節において同じ。)は、以下の内容により行うものとする。

なお、事前評価の結果は、事後評価によって必ず検証されることが重要である。

(1)分析対象期間

租税特別措置等の新設を要望しようとする場合、分析対象期間としては、要望に係る租税特別措置等の適用期間、効果や減収額等の推計における予測精度を考慮して、個別の事例に応じた適切な期間を設定する。

租税特別措置等の拡充又は延長を要望しようとする場合、将来にわたる予測部分についての分析対象期間としては、上記新設の場合による。また、過去の実績部分についての分析対象期間としては、3年から5年を一応の目安として、個別の事例に応じた適切な期間を設定する。

(2)租税特別措置等の必要性等

[1]租税特別措置等により実現しようとする政策目的

要望に係る租税特別措置等によって実現しようとする政策目的が何かを説明する。

政策目的の説明に併せ、当該政策目的がどのような根拠(法律、政令、閣議決定等)に基づくものであるかを明らかにすることにより、当該政策目的が優先度や緊要性の高いものとして位置付けられているかを説明する。

また、あらかじめ明示された政策体系におけるその政策目的の位置付けを明らかにする。

[2]租税特別措置等により達成しようとする目標

上記[1]の政策目的の下、租税特別措置等によって達成しようとする具体的な目標が何かを説明するとともに、当該目標の測定指標を設定する。その際、政策目的に対し、達成しようとする目標の実現がどのように寄与するかも説明する。

(3)租税特別措置等の有効性等

租税特別措置等の適用数や適用額、減収額及び効果を予測・把握するとともに、税収減を是認するような効果が見込まれるか(確認されるか)を説明する。租税特別措置等の新設を要望しようとする場合は、推計によることになり、拡充又は延長を要望しようとする場合は、推計に加え、過去の実績を把握する。減収額等の定量的データについては、算定根拠を明らかにする。

租税特別措置等の適用数、適用額及び減収額については、「租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律」(平成22年法律第8号)及び「地方税法」(昭和25年法律第226号)に基づき把握される適用実態等に関する情報を分析するほか、その他の種々の情報を用いて予測把握する。

租税特別措置等による効果については、直接的効果とともに、租税特別措置等により実現しようとする政策目的がどのように達成されるか(されたか)をできる限り定量的に把握する。効果の将来予測を行う場合は、租税特別措置等が新設されない場合、拡充又は延長されない場合に予想される状況についても説明する。

租税特別措置等の拡充又は延長を要望しようとする場合は、上記(2)[2]の目標の実現状況を明らかにするとともに、所期の目標が既に達成されていないかを説明する。また、適用数が想定外に僅少であったり、想定外に特定の者に偏っていないかを具体的に説明する。

効果の把握においては、租税特別措置等による様々な波及効果についても、データの精度や客観性に留意しつつ明らかにするよう努める。

また、効果の発現状況が地域ごとに異なる場合は、できる限り地域ごとのデータを把握するよう努める。

租税特別措置等の拡充又は延長を要望しようとする場合において、それまでの間に効果が上がっていないと考えられる場合は、その要因を分析する。

(4)租税特別措置等の相当性

政策目的の実現のための手段として、補助金等や規制など様々なものがある中で、租税特別措置等の手段をとることが必要であり、適切であるかを説明する。

また、同様の政策目的に係る他の支援措置や義務付け等がある場合には、適切かつ明確に役割分担がなされているかを説明する。

地方税に係る租税特別措置等(国税に連動して地方税にも影響がある場合を含む。)については、地方公共団体が政策目的の実現に協力することが相当であるかについても説明する。

2.事前評価書

(1)事前評価書は「租税特別措置等に係る政策の事前評価書の様式」(別紙4)を用い、以下の事項について記載することを基本とするが、必要に応じ適宜修正を加えるものとする。

[1]政策評価の対象とした政策の名称

[2]対象税目(政策評価の対象税目、上記以外の税目)

[3]要望区分等の別

[4]内容

[5]担当部局

[6]評価実施時期及び分析対象期間

[7]創設年度及び改正経緯

[8]適用又は延長期間

[9]必要性等(政策目的及びその根拠、政策体系における政策目的の位置付け、達成目標及びその実現による寄与)

[10]有効性等(適用数、適用額、減収額、効果、税収減を是認する理由等)

[11]相当性(租税特別措置等によるべき妥当性等、他の支援措置や義務付け等との役割分担、地方公共団体が協力する相当性)

[12]有識者の見解

[13]前回の事前評価又は事後評価の実施時期

(2)事前評価書の要旨は、上記(1)の事前評価書の概要を分かりやすく、原則として1枚にまとめたものとする。

3.事前評価の実施手順

(1)政策所管課等は、事前評価の対象となり得る租税特別措置等の新設、拡充又は延長についての税制改正要望を行う可能性が生じた場合には、各局課評価担当組織を通じ、政策評価室に連絡する。

(2)政策所管課等は、事前評価を実施し、事前評価書案及び要旨案を作成する。なお、実施に当たり、同一の租税特別措置等について、複数の行政機関が要望を行う場合は、必要に応じて、各行政機関が相互に連携・協力して評価に取り組むことができる。

(3)各局課評価担当組織は、事前評価書案及び要旨案の一次審査を行う。

(4)政策評価室は、事前評価書案及び要旨案の二次審査を行う。

(5)政策評価室は、必要な手続を経て事前評価書及び要旨を公表する。

第3章 事後評価

第1節 実施計画及び事前分析表

1.実績評価の実施計画

(1)実績評価の実施計画の内容

財務省の主要な政策分野全てを対象に実績評価の実施計画を定める。なお、政策の目標や測定指標等の具体的な内容については、事前分析表に記載する。

(2)実績評価の実施計画の記載事項

実績評価の実施計画は、以下の事項について記載して作成する。

[1]評価の対象期間

[2]評価方法

[3]対象となる政策の目標

[4]評価基準

[5]事前分析表の作成

2.総合評価の実施計画

(1)総合評価の実施計画の内容

行政が国民のニーズや社会経済情勢に的確に対応するためには、政策の効果を具体的に明らかにするとともに、行政として対応を求められる問題点やその原因などを分析し、その解決に資する情報を提供することにより、的確な改善・見直しにつなげていくことが必要である。特に、これまでの取組を見直し、新たな政策展開を行おうとする際には、このような評価が求められる。

基本計画においては、様々な角度から掘り下げた評価が必要と認められる場合には総合評価を行うこととされているが、総合評価を実施する機会としては、例えば、次のような場合が想定される。

[1]実績評価において、目標の妥当性の検討や目標に対する実績の評価の際に、掘り下げた総合的な評価が必要と判断された場合。

[2]法律の見直し条項による制度の見直しや、期限が到来した時限法のその後の対応について検討を行う場合。

[3]各種中長期計画の策定や改訂を行う場合。

(2)総合評価の実施計画の記載事項

総合評価の実施計画は「総合評価の実施計画の様式」(別紙5)を用い、以下の事項について記載する。

なお、実施計画の対象年度において、総合評価の着手又は公表のいずれの予定もない場合には、当該実施計画は策定しないこととする。

[1]総合評価を行うテーマ

[2]当該テーマの背景や問題意識、明らかにする政策効果など、総合評価を行うテーマの概要

[3]評価の着手予定時期や公表予定時期などの実施期間

3.規制に係る政策の事後評価の実施計画

規制に係る政策の事後評価の実施計画は、「規制に係る政策の事後評価の実施計画の様式」(別紙6)を用い、以下の事項について記載する。

[1]規制の名称及び条項

[2]規制の事後評価の実施時期

[3]規制の具体的な事後評価の方法

4.租税特別措置等に係る政策の事後評価の実施計画

租税特別措置等に係る政策の事後評価の実施計画は、「租税特別措置等に係る政策の事後評価の実施計画の様式」(別紙7)を用い、以下の事項について記載する。

[1]評価方法

「実績評価方式、総合評価方式及び事業評価方式の主要な要素を組み合わせた一貫した仕組みなど、適切な方式により、租税特別措置等の必要性、有効性及び相当性等の観点から評価を行います。」旨を記載する。

[2]評価対象

租税特別措置等に係る政策の事後評価の評価対象は、本省分と国税庁分に区分して、「以下の事項について記載する。

イ 租税特別措置等の名称、税目及び条項

ロ 租税特別措置等の創設年度・適用期限

同じ租税特別措置等に係る政策について事前評価を行う年度にその事後評価の実施を重複して行う必要はなく、事前評価の実施の要否と併せて判断する必要があるため、租税特別措置等に係る政策のうち、法人税、法人住民税及び法人事業税に係る政策(行政機関が行う政策の評価に関する法律施行令(平成13年政令第323号)第3条第7号イ及びロに規定する政策に限る。)を記載した上で、「令和○年度においては、次の租税特別措置等に係る政策のうち必要なものについて、財務省が行う税制改正要望等の状況に応じて、事後評価を実施します。法で評価の実施が義務付けられている税目(法人税、法人住民税及び法人事業税)については、改正要望が行われる場合には事前評価を実施するほか、事前評価を基本計画期間内に実施していないものに限り、当該期間内に少なくとも一度は事後評価を実施することとしています。」

旨を記載する(国税庁分にあっては、「政策」は「事務」と、「財務省」は「国税庁」と変更して記載する)。

なお、実施計画対象年度に事後評価を実施することが明らかなものがある場合には、その旨を記載する。

5.事前分析表

政策の目標ごとに作成し、以下の事項について記載する。

[1]総合目標

総合目標の事前分析表は「事前分析表(総合目標)の様式」(別紙8)を用い、「事前分析表(総合目標)記載要領」(別紙9)に定める記載要領により、総合目標ごとに以下の事項について記載して作成する。

イ 総合目標を設定した意図、理由等に関する基本的な考え方

ロ 総合目標を構成するテーマ

ハ 関連する内閣の基本方針

ニ テーマの取組内容

ホ 総合目標の達成度合いを定量的に把握するための測定指標

その指標に係るテーマについての最終目標年限における最終目標値を「目標値」とした上で、直近4年度分の実績値をモニターとして記載する。ただし、指標の性格に応じて適切な変更を加えて差し支えない。

指標の設定根拠欄には、そのテーマの達成状況を測定するために当該測定指標の設定を妥当とした理由及び目標値の設定根拠を記載する。法令や閣議決定等の根拠に基づく場合は、その内容を簡潔に記載する。

新設した場合には、測定指標名の次に「[新]」と付記する。

なお、新たに測定指標を設定した場合には新設した意図及び理由等を、測定指標を廃止した場合にはその理由を記載する。

(注)テーマごとに、そのテーマに係る定量的な測定指標ついて、指標番号(そのテーマの整理番号を基礎とする枝番号に定量的測定指標の区分を示すAを付したもの)を付す。

ヘ 総合目標の達成度合いを定性的に把握するための測定指標

そのテーマにおいて最終的に達成すべき内容をその測定指標の「目標」とし、「指標の内容」欄に簡潔に記載する。

「指標の設定の根拠」欄には、そのテーマの達成状況を測定するために当該測定指標の設定を妥当とした理由を記載する。法令や閣議決定等の根拠に基づく場合は、その内容を簡潔に記載する。

新設した場合には、測定指標名の次に「[新]」と付記する。

なお、新たに測定指標を設定した場合には新設した意図及び理由等を、測定指標を廃止した場合にはその理由を記載する。

(注)テーマごとに、そのテーマに係る定性的な測定指標ついて、指標番号(そのテーマの整理番号を基礎とする枝番号に定性的測定指標の区分を示すBを付したもの)を付す。

ト 参考指標

チ 総合目標に係る予算の情報

当初予算書(組織別事項別内訳)に記載されている「令和○年度要求額」(過去の年度分について、補正予算が編成されている場合には補正予算書(組織別事項別内訳)に記載されている「改令和○年度予算額」、補正予算が編成されていない場合には、当初予算書(組織別事項別内訳)に記載されている「令和○年度要求額」)をその総合目標に関係する予算書の項・事項ごと及び合計額に区分して記載する。また、行政事業レビュー対象事業に係る金額を各々内訳として記載する。なお、「事項」は、主なもの以外は、「その他」としてまとめて記載する。

リ 行政事業レビューの事業名及び番号

事前分析表の当初作成時には、行政事業レビューの対象及び番号は確定していないため、合計欄等対象となり得ない場合は斜線、対象となり得る場合は「(注)」と記載(別の注記がある場合は、「(注1)」)し、欄下に「(注)行政事業レビューの対象か否か及び対象となった場合の番号は、確定後に記載する。」と記載する。

ヌ 総合目標の担当部局名(「参考2」参照)及び政策評価実施時期

なお、ニの取組内容並びにホ及びへの測定指標は、テーマごとに区分して記載する。

[2]政策目標

政策目標の事前分析表は「事前分析表(政策目標)の様式」(別紙10)を用い、「事前分析表(政策目標)記載要領」(別紙11)に定める記載要領により、政策目標ごとに以下の事項について記載して作成する。

イ 政策目標を設定した意図、理由等に関する基本的な考え方

ロ 政策目標を達成するための施策

ハ 関連する内閣の基本方針

ニ 施策の取組内容

ホ 政策目標の達成度合いを定量的に把握するための測定指標

その指標に係る施策についての目標値及び直近4年度分の実績値を記載する。ただし、指標の性格に応じて適切な変更を加えて差し支えない。

目標値の設定根拠欄には、その施策の達成状況を測定するために当該測定指標の設定を妥当とした理由及び目標値の設定根拠を記載する。法令や閣議決定等の根拠に基づく場合は、その内容を簡潔に記載する。

新設した場合には、測定指標名の次に「[新]」と付記する。

なお、新たに測定指標を設定した場合には新設した意図及び理由等を、測定指標を廃止した場合にはその理由を記載する。

(注)施策ごとに、その施策に係る定量的な測定指標ついて、指標番号(その施策の施策番号を基礎とする枝番号に定量的測定指標の区分を示すAを付したもの)を付す。

ヘ 政策目標の達成度合いを定性的に把握するための測定指標

その施策について、対象年度に達成すべき内容をその測定指標の「目標」とし、「令和○年度の目標」欄に簡潔に記載する。

「目標の設定の根拠」欄には、その施策の達成状況を測定するために当該測定指標の設定を妥当とした理由を記載する。法令や閣議決定等の根拠に基づく場合は、その内容を簡潔に記載する。

新設した場合には、測定指標名の次に「[新]」と付記する。

なお、新たに測定指標を設定した場合には新設した意図及び理由等を、測定指標を廃止した場合にはその理由を記載する。

(注)施策ごとに、その施策に係る定性的な測定指標ついて、指標番号(その施策の施策番号を基礎とする枝番号に定性的測定指標の区分を示すBを付したもの)を付す。

ト 参考指標

チ 政策目標に係る予算の情報

当初予算書(組織別事項別内訳)に記載されている「令和○年度要求額」(過去の年度分について、補正予算が編成されている場合には補正予算書(組織別事項別内訳)に記載されている「改令和○年度予算額」、補正予算が編成されていない場合には、当初予算書(組織別事項別内訳)に記載されている「令和○年度要求額」)をその政策目標に関係する予算書の項・事項ごと及び合計額に区分して記載する。また、行政事業レビュー対象事業に係る金額を各々内訳として記載する。なお、「事項」は、主なもの以外は、「その他」としてまとめて記載する。

リ 行政事業レビューの事業名及び番号

事前分析表の当初作成時には、行政事業レビューの対象及び番号は確定していないため、合計欄等対象となり得ない場合は斜線、対象となり得る場合は「(注)」と記載(別の注記がある場合は、「(注1)」)し、欄下に「(注)行政事業レビューの対象か否か及び対象となった場合の番号は、確定後に記載する。」と記載する。

ヌ 政策目標の担当部局名及び政策評価実施時期

なお、ニの取組内容並びにホ及びへの測定指標は、施策ごとに区分して記載する。

評価書において適切な分析を行うためには、まずは事前分析表において、目標・測定指標が適切に設定できていることが重要である。

目標、測定指標、達成手段といった事前分析表の各要素が適切に設定できているかを確認する手法の一つとして、これらの関係を一覧できる「ロジックモデル」を作成することが推奨される。

(注)「目標管理型の政策評価に係る評価書の検証結果等(平成29年度)」(平成30年3月政策評価審議会政策評価制度部会)によれば、ロジックモデルとは、「プログラムのための利用可能な資源、計画している活動、達成したいと期待する変化や成果の関りについて、皆様の考えを体系的に図式化するものです。」とされている。

6.実施計画の策定及び事前分析表の作成の手順

(1)政策所管課等は、実施計画案の策定及び事前分析表案の作成を行う。

(2)各局課評価担当組織は、実施計画案及び事前分析表案の一次審査を行う。

(3)政策評価室は、実施計画案及び事前分析表案の二次審査を行う。

(4)政策評価室は、必要な手続を経て実施計画及び事前分析表を公表する。

(参考)策定・作成の手順については、(参考3)「実施計画の策定及び事前分析表の作成のための作業手順」を参照。

7.実施計画及び事前分析表の計画期間内の変更

実施計画及び事前分析表は、政府の方針等が新たに設定・転換された場合には、計画期間内であっても、必要に応じ変更するものとする。

(1)実施計画及び事前分析表を変更する場合の判断基準

[1]当初の実施計画及び事前分析表に定めた政府の方針等の政策の方向性が変わらず、単に政策が具体化・詳細化されたにとどまった場合は、実施計画及び事前分析表を変更しない。

[2]当初の実施計画及び事前分析表に定めた政府の方針等が大きく変更されて、政策の方向性が従来と違う方向へ転換された場合は、実施計画及び事前分析表を変更する。また、政府の方針等の政策の方向性が変わらない場合でも、大幅な取組内容や測定指標の変更を伴う場合には、その計画期間中の行政運営への影響の大きさを検討し、必要と判断した場合は変更する。

(2)実施計画及び事前分析表を変更する場合の時期

政府の方針等にあわせて実施計画及び事前分析表を変更する場合には、その都度適切な時期に変更することとするが、基本的には財務省政策評価懇談会の開催時期にあわせて変更することとする。

第2節 実績評価の実施

1.評価の観点

実績評価は、基本計画第3章に定める評価の観点を踏まえ、「評価マニュアル」(別紙12)に定めるところにより、実施する。

2.実績評価書

(1)実績評価書の内容

[1]総合目標

総合目標の実績評価書は「実績評価書(総合目標)の様式」(別紙13)を用い、「実績評価書(総合目標)記載要領」(別紙14)に定める記載要領により、その総合目標に係る目標番号及び目標のほか、以下の事項を記載して作成する。なお、作成に当たっては、前記1.に定める「評価マニュアル」を参照する(下記[2]において同じ。)。

イ 総合目標の概要

ロ 総合目標の評価結果

(イ)総合目標についての評定

(ロ)評定の理由

(ハ)政策の分析

ハ テーマの実施状況

(イ)テーマの整理番号及び見出し

(ロ)定量的な測定指標

指標番号、指標名、目標値、直近5年度分のモニター実績値、評価対象年度における目標達成度の表示、目標値設定の根拠(必要に応じて指標に係る注記事項を追記)、目標達成度の判定理由、及び当該指標の出所を記載する。

(ハ)定性的な測定指標

指標番号、指標名、目標、目標設定の根拠(必要に応じて指標に係る注記事項を追記する。)、実績及び目標達成度の判定理由、及び目標達成度の表示を記載する。

(ニ)テーマについての評定

評語及び符号、評定理由

ニ テーマに係る参考情報

ホ 評価結果の反映

ヘ 財務省政策評価懇談会における外部有識者の意見

財務省政策評価懇談会の内容を踏まえて、政策評価室において記載する。

ト 総合目標に係る予算額(当該目標に関連する予算額がある場合)

予算の状況(当初予算、補正予算又は繰越等)及び執行額の区分に応じた評価対象年度を含む4年度分の金額並びに予算の概要を記載する。

チ 総合目標に関係する内閣の主な重要政策

リ 政策評価を行う過程において使用した資料その他の情報

ヌ 前年度の政策評価結果の政策への反映状況

ル 担当部局名及び政策評価実施時期

[2]政策目標

政策目標の実績評価書は「実績評価書(政策目標)の様式」(別紙15)を用い、「実績評価書(政策目標)の記載要領」(別紙16)に定める記載要領により、その政策目標に係る目標番号及び目標のほか、以下の事項を記載して作成する。

イ 政策目標の概要

ロ 政策目標の評価結果

(イ)政策目標についての評定

(ロ)評定の理由

(ハ)政策の分析

ハ 施策の実施状況

(イ)施策番号及び施策名

(ロ)定量的な測定指標

指標番号、指標名、評価対象年度を含む5年度分の目標値及び実績値、評価対象年度における目標達成度の表示、目標値設定の根拠(必要に応じて指標に係る注記事項を追記)、目標達成度の判定理由、及び当該指標の出所を記載する。

(ハ)定性的な測定指標

指標番号、指標名、目標、目標設定の根拠(必要に応じて指標に係る注記事項を追記する。)、実績及び目標達成度の判定理由、及び目標達成度の表示を記載する。

(ニ)施策についての評定

評語及び符号、評定理由

ニ 施策に係る参考情報

ホ 評価結果の反映

ヘ 財務省政策評価懇談会における外部有識者の意見

財務省政策評価懇談会の内容を踏まえて、政策評価室において記載する。

ト 政策目標に係る予算額(当該目標に関連する予算額がある場合)

予算の状況(当初予算、補正予算又は繰越等)及び執行額の区分に応じた評価対象年度を含む4年度分の金額並びに予算の概要を記載する。

チ 政策目標に関係する内閣の主な重要政策

リ 政策評価を行う過程において使用した資料その他の情報

ヌ 前年度の政策評価結果の政策への反映状況

ル 担当部局名及び政策評価実施時期

(2)評価書の要旨

法第10条第2項に規定する要旨については、「政策評価の実施に関するガイドライン」(平成17年12月16日政策評価各府省連絡会議了承)2(2)[9]の規定により、実績評価書で兼ねるものとする。

3.成果重視事業の評価

(1)成果重視事業について

成果重視事業は、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」(平成17年6月21日閣議決定)において、成果目標(Plan)−予算の効率的執行(Do)−厳格な評価(Check)−予算への反映(Action)を実現する予算制度改革を定着させるための取組の一つとされ、政策評価との連携強化が求められている。

このため、成果重視事業については、本章第1節及び第2節の実績評価の枠組みで評価を行う。

(2)成果重視事業の評価書の内容

成果重視事業の評価書は「成果重視事業の評価書の様式」(別紙17)を用い、以下の事項について記載して作成する。

[1]成果重視事業の名称

[2]成果重視事業の概要

[3]達成しようとする目標、その設定の考え方及び達成度合いの判定方法

[4]目標の達成状況(未達成の場合は、原因分析と改善方策)

[5]予算執行の効率化・弾力化によって得られた効果

4.実績評価の実施手順

(1)政策所管課等は、実績評価を実施し、評価書案を作成する。

(2)各局課評価担当組織は、評価書案の一次審査を行う。

(3)政策評価室は、評価書案の二次審査を行う。

(4)政策評価室は、必要な手続を経て評価書を公表する。

(参考)実施手順については、(参考4)「実績評価書の作成のための作業手順」を参照。

第3節 総合評価の実施

1.総合評価の観点

総合評価は、基本計画第3章に定める評価の観点を踏まえて実施するとともに、次のような点についても留意する。なお、評価のテーマや評価対象の性質等によって評価の内容は一定のものではなく、必ずしもすべての内容が該当するものではない。

(1)政策・施策の効果の発現状況を様々な角度から具体的に明らかにする。

(2)政策・施策の直接的効果や因果関係、場合によっては、外部要因の影響についても掘り下げた分析を行い、さらに、波及効果(副次的効果)の発生状況及びその発生のプロセスなどについても分析する。

(3)(1)及び(2)を踏まえ、政策・施策に係る問題点を把握するとともに、その原因を分析する。

(4)政策・施策の効果とそのために必要な費用(マイナスの効果や間接費用を含む。)を比較・検討する。また、国民にとってより効率的で質の高い代替案はないかについて検討する。

2.総合評価の実施方法

総合評価は、次の3つの方法を基本として実施することとする。

(1)財務省自らが総合評価を行う。

(2)審議会や学識経験者等による研究会等で審議・検討を行う。

(3)外部研究機関等に委託する。

3.総合評価書

(1)総合評価においては、テーマの設定や評価の実施方法等において様々な選択肢があることから、法第10条に規定される記載事項については網羅する必要があるものの、評価書の様式は特に定めないこととする。

(2)総合評価書の要旨は、上記(1)の総合評価書の概要を分かりやすく、原則として1枚にまとめたものとする。

4.総合評価実施に向けた準備

総合評価は、その計画、情報・データの収集などの準備なども含め、評価に要する期間が長く、コストもある程度大きくなることが予想されることから、総合評価の必要性が生じると見込まれるテーマについては、あらかじめ情報・データの収集等の準備作業に努める。

第4節 規制に係る政策の事後評価の実施

1.規制に係る政策の事後評価書

(1)規制に係る政策の事後評価書は「規制の事後評価書の様式及び記載要領」(別紙18)を参考に、以下の事項について記載する。

[1]規制の新設・改廃に係る法律又は政令等の名称

[2]事前評価時の想定との比較

[3]費用、効果(便益)及び間接的な影響の把握

[4]考察

また、簡素化した評価手法を用いて事前評価を行った場合の事後評価書は「規制の事後評価書(簡素化)の様式及び記載要領」(別紙19)を参考に、以下の事項について記載する。

[1]規制の新設・改廃に係る法律又は政令等の名称

[2]事前評価時の想定との比較

[3]費用及び間接的な影響の把握

[4]考察

(2)規制に係る政策の事後評価書の要旨は上記(1)の事後評価書の概要を分かりやすく簡潔にまとめる。

2.事後評価の実施手順

(1)政策所管課等は、原則として事前評価書において記載した事後評価の実施時期に事後評価を実施し、事後評価書案及び要旨案を作成する。

(2)各局課評価担当組織は、事後評価書案及び要旨案の一次審査を行う。

(3)政策評価室は、事後評価書案及び要旨案の二次審査を行う。

(4)政策評価室は、必要な手続を経て事後評価書及び要旨を公表する。

第5節 租税特別措置等に係る政策の事後評価の実施

1.事後評価の内容

事後評価(租税特別措置等に係るものに限る。以下この節において同じ。)は、租税特別措置等に係る政策の事前評価の単位を踏まえ、適切な単位で、以下の内容により行うものとする。

(1)分析対象期間

事後評価の分析対象期間としては、3年から5年を一応の目安として、個別の事例に応じた適切な期間を設定する。

(2)租税特別措置等の必要性等

[1]租税特別措置等により実現しようとする政策目的

租税特別措置等によって実現しようとする政策目的が何かを説明する。政策目的の説明に併せ、当該政策目的がどのような根拠(法律、政令、閣議決定等)に基づくものであるかを明らかにすることにより、当該政策目的が優先度や緊要性の高いものとして位置付けられているかを説明する。

また、あらかじめ明示された政策体系におけるその政策目的の位置付けを明らかにする。

[2]租税特別措置等により達成しようとする目標

上記[1]の政策目的の下、租税特別措置等によって達成しようとする具体的な目標が何かを説明するとともに、当該目標の測定指標を設定する。その際、政策目的に対し、達成しようとする目標の実現がどのように寄与するかも説明する。

(3)租税特別措置等の有効性等

租税特別措置等の適用数や適用額、減収額及び効果を把握すると ともに、税収減を是認するような効果が確認されるかを説明する。減収額等の定量的データについては、算定根拠を明らかにする。

租税特別措置等の適用数、適用額及び減収額については、租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律及び地方税法に基づき把握される適用実態等に関する情報を分析するほか、その他の種々の情報を用いて予測把握する。

租税特別措置等による効果については、直接的効果とともに、租税特別措置等により実現しようとする政策目的がどのように達成されたかをできる限り定量的に把握する。その際、上記(2)[2]の目標の実現状況を明らかにするとともに、所期の目標が既に達成されていないかを説明する。また、適用数が想定外に僅少であったり、想定外に特定の者に偏っていないかを具体的に説明する。

効果の把握においては、租税特別措置等による波及効果についても、データの精度や客観性に留意しつつ明らかにするよう努める。

また、効果の発現状況が地域ごとに異なる場合は、できる限り地域ごとのデータを把握するよう努める。

事後評価において、効果が上がっていないと考えられる場合は、その要因を分析する。

(4)租税特別措置等の相当性

政策目的の実現のための手段として、補助金等や規制など様々なものがある中で、租税特別措置等の手段をとることが必要であり、適切であるかを説明する。

また、同様の政策目的に係る他の支援措置や義務付け等がある場合には、適切かつ明確に役割分担がなされているかを説明する。

地方税に係る租税特別措置等(国税に連動して地方税にも影響がある場合を含む。)については、地方公共団体が政策目的の実現に協力することが相当であるかについても説明する。

(5)評価結果の反映の方向性

事後評価の結果を、評価の対象とした租税特別措置等の在り方にどのように反映させるかを説明する。

2.事後評価書

(1)事後評価書は「租税特別措置等に係る政策の事後評価書の様式」(別紙20)を用い、以下の事項について記載することを基本とするが、必要に応じ適宜修正を加えるものとする。

[1]政策評価の対象とした政策の名称

[2]対象税目(政策評価の対象税目、上記以外の税目)

[3]内容

[4]担当部局

[5]評価実施時期及び分析対象期間

[6]創設年度及び改正経緯

[7]適用期間

[8]必要性等(政策目的及びその根拠、政策体系における政策目的の位置付け、達成目標及びその実現による寄与)

[9]有効性等(適用数、適用額、減収額、効果、税収減を是認する理由等)

[10]相当性(租税特別措置等によるべき妥当性等、他の支援措置や義務付け等との役割分担、地方公共団体が協力する相当性)

[11]有識者の見解

[12]評価結果の反映の方向性

[13]前回の事前評価又は事後評価の実施時期

(2)租税特別措置等に係る政策の事後評価書の要旨は、上記(1)の租税特別措置等に係る政策の事後評価書の概要を分かりやすく、原則として1枚にまとめたものとする。

3.事後評価の実施手順

(1)事後評価の対象となる租税特別措置等に係る政策について、過去に当該租税特別措置等の要望を行った政策所管課等は、事後評価を実施し、評価書案及び要旨案を作成する。なお、実施に当たり、同一の租税特別措置等について、複数の行政機関が関係する場合は、必要に応じて、各行政機関が相互に連携・協力して評価に取り組むことができる。

(2)各局課評価担当組織は、評価書案及び要旨案の一次審査を行う。

(3)政策評価室は、評価書案及び要旨案の二次審査を行う。

(4)政策評価室は、必要な手続を経て評価書及び要旨を公表する。

第4章 学識経験者等の知見の活用に当たっての留意事項

第三者からの意見聴取等によるその活用に際しては、以下の点に留意することとする。

(1)第三者に専門知識の活用を期待するのか、チェック機能を期待するのか、また、どの程度の役割を期待するのかなど、第三者の活用についての基本的な考え方をあらかじめ明確にしておくとともに、コスト等についても十分に勘案した上で効率的な実施にも配慮すること。

(2)外部研究機関、コンサルタント等を活用する場合は、評価に用いる情報・データや前提条件、得られる結果などについて委託者である各担当部局が適切な説明を行うようにすること。

(3)委託とする趣旨を踏まえて、外部研究機関等の専門調査研究機関としての地位を尊重すること。

(4)基本計画及び実施計画の策定、事前分析表及び評価書の作成に当たっては、財務事務次官の私的懇談会である「財務省政策評価懇談会」を開催して、外部有識者の意見を聴くこととする。

第5章 公表資料

1.基本計画

「基本計画」を策定した場合には、速やかに公表する。

2.事前評価に係る評価書

事前評価書を作成した場合には、速やかに、「要旨」とともに「事前評価書」を公表する。

3.実施計画及び事前分析表

毎年、原則として3月末までに、「政策評価実施計画」及び「事前分析表」を公表する。「政策評価実施計画」においては、以下の計画を併せて公表する。

(1)総合評価の実施計画(実施予定がある場合)

総合評価のテーマ等の具体的な内容を記載する。

(2)規制に係る政策の事後評価の実施計画(実施予定がある場合)

規制の名称等の具体的な内容を記載する。

(3)租税特別措置等に係る政策の事後評価の実施計画

租税特別措置等の名称等の具体的な内容を記載する。

4.事後評価に係る評価書

下記(1)については、毎年6月末を目途に「政策評価書」として、(2)については適時に「総合評価書」及び「総合評価書(要旨)」として、(3)については適時に「規制の事後評価書」及び「規制の事後評価書(要旨)として、(4)については適時に「租税特別措置等に係る政策の事後評価書」及び「租税特別措置等に係る政策の事後評価書(要旨)」として公表する。

(1)実績評価書

実績評価の結果、政策評価結果の政策への反映状況等を記載する。

(2)総合評価書

総合評価の評価結果を記載する(参考文献等は大部となるため掲載しない。)。

(3)規制に係る政策の事後評価書

規制に係る政策の事後評価の結果等を記載する。

(4)租税特別措置等に係る政策の事後評価書

租税特別措置等に係る政策の事後評価の評価結果等を記載する。

第6章 役割分担

1.政策所管課等は、所管する政策について最も詳しい情報・データを有し、対応すべき行政課題を把握しやすいことから、実施計画案の策定並びに事前分析表案及び評価書案の作成を行う。

2.各局課評価担当組織は、政策所管課等に次いで、政策所管課等の所管する政策について詳しい情報・データを有し、対応すべき行政課題を把握していると同時に、各局内においては、評価に関する知見・情報等を最も豊富に有し、評価の実施・運営における指導的立場にあると考えられる。このため、政策所管課等が策定した実施計画案、並びに作成した事前分析表案及び評価書案の一次審査や政策評価の結果の政策所管課等へのフィードバックなどの役割を担う。

3.政策評価室は、各局課評価担当組織及び政策所管課等と一定の範囲で互いに牽制し合い、評価の客観性・質の確保を図る必要がある。また、評価の計画的実施・定着を図るとともに、評価手法の研究開発、政策所管部局に対する情報提供等を行うことにより、政策所管部局の行う評価を補完・支援し、財務省全体の政策評価の取組を 推進する。

別紙1~参考4(PDF:1728KB)