このページの本文へ移動

円の国際化推進研究会報告書(平成13年6月27日)

円の国際化推進研究会報告書

平成13年6月27日


円の国際化推進研究会 メンバー

 浦田秀次郎

 早稲田大学教授
 太田 赳 大和銀総合研究所理事長
 奥畑 明 東京三菱投信投資顧問取締役社長
 加藤 隆俊 元大蔵省財務官
 川俣 喜昭 三和銀行市場国際部部長(13.5~)
 神崎 泰雄 日興リサーチセンター相談役
 神田 秀樹 東京大学教授
座長 行天 豊雄 国際通貨研究所理事長
 小林秀一郎 日本生命保険常務取締役(12.10~)
 近藤 剛 伊藤忠商事常任顧問兼政治経済研究所所長(~12.11)
 篠原 興 預金保険機構理事(~13.4)
 長谷川康司 トヨタ自動車常務取締役
 藤本 公亮 三和銀行専務取締役(12.10~13.4)
 村井 隆次 第一勧業銀行専務取締役(~12.6)
 森中小三郎 住友商事専務取締役
 山田 昌弘 日本生命保険常務取締役(~12.6)
 吉野 直行 慶應義塾大学教授

(注)敬称略、五十音順、肩書きはメンバー当時のもの

円の国際化推進研究会報告書(要旨)
(平成13年6月27日)

I.外為審答申のフォローアップ

  • 円の国際化推進研究会は、1999年4月の外為審答申のフォローアップ及び円の国際化推進に必要な施策等について調査・研究を行うため、同年9月発足、以後11回開催。

  • 外為審答申以降、円の国際化の推進に向けた各種施策を順次実施。

II.最近の円の国際化の進展状況

  • 円の国際化については、外為審答申以降、一部には進展があるものの、全体としては状況は変わらず。

  • 円の国際化が進んでいない背景は、日本経済に対する信認の問題、円利用に対するニーズの低さ等。

  • 国際取引の通貨選定を決定する要因は経済合理性にあり、その結果としてドル建てでの取引が一般的となっているが、内外の経済状況の変化に伴い、ドル利用を前提とした制度・慣行を見直し、円使用の可能性を探求する機運が高まっていることは注目に値。

III.今後の円の国際化

  • 円が国際通貨として広く受け入れられていくためには、日本経済・金融システムの再生と一層の市場開放、円の利便性向上に向けた環境整備の推進が不可欠。

  • 国際取引の多くがドル建で行われる背景として、企業の現場における「円の国際化」の必要性・中長期的なメリットに対する理解の欠如が指摘されており、経営方針として通貨建て選定慣行の見直し・取引の円建て化が企業の現場に浸透していくことを期待。

  • アジア諸国の関心は、自国の持続的成長のための域内貿易・資本取引の促進。各国の為替制度、貿易・資本取引における円の役割の見直しを、地域協力の枠組みの中で議論することが適当。域内協力が進展していく中で、円利用の一層の促進に向けた構造変化がもたらされる可能性。

  • 円の国際化は、アジア地域の通貨・経済の安定を通じて世界の通貨・経済の安定に貢献し、ひいては日本経済の安定に寄与するものであり、長期的に、粘り強く取り組んでいくことが重要。


目次


I.外為審答申のフォローアップ

II.最近の円の国際化の進展状況
 1.現状
 2.背景
 3.国際取引の通貨選定に係る制度・慣行上の問題の検討-新たな展開の可能性-
  (1)「経済合理性」に基づく通貨の選定
  (2)円とアジア通貨の直接為替市場の不存在
  (3)アジア諸国の為替制度
  (4)国債の市場流動性の問題
  (5)慣性の存在
  〔参考〕通貨バスケット制についての議論の概要
III.今後の円の国際化
 1.今後の課題
  (1)日本経済・金融システムの再生と一層の市場開放
  (2)円の利便性向上に向けた環境整備の推進
  (3)貿易・資本取引における通貨建て選定慣行の見直し
 2.アジア諸国との関係
 3.おわりに
別紙1
別紙2
別添資料
  1.日・米・欧の経済規模等比較
  2.日本の輸出入決済における円建比率(金額比率)の推移
  3.日本の輸出入決済の建値通貨別内訳(地域別比率)
  4.銀行の対外資産残高における建値通貨別内訳
  5.国際債の建値通貨別状況(残高ベース)
  6.各国通貨当局保有外貨の通貨別構成比
  7.全世界外為取引における通貨別内訳
  8.アジア9ヶ国にとっての日本・米国・EU
  9.日本にとってのアジア・米国・EU
  10.アジア9ヶ国・米州・欧州の経済規模
  11.国別・地域別実質GDP成長率の推移
  12.各国・地域における為替相場制度の概要
  13.国債の非居住者保有比率の各国比較
  14.サムライ債、非居住者ユーロ円債の推移

円の国際化推進研究会の開催状況