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天皇陛下御在位20年記念貨幣に関する会合(平成21年4月17日開催)議事要旨

1.日時平成21年4月17日(金)16:00~17:00

2.場所財務省 第3特別会議室(本庁舎4階)

3.出席者

[座  長]小宮山宏
[メンバー]板垣信幸、岩崎慶市、潮田道夫、岡部直明、緒方貞子、奥田碩、
髙木剛、林田晃雄、平野啓子、宮田亮平、吉野直行
(欠席:高橋尚子、平山郁夫、山崎正和)     (敬称略)
[財 務 省]与謝野財務大臣、竹下財務副大臣、石田財務副大臣、
杉本事務次官、佐々木理財局長、上野理財局総務課長、
古谷理財局国庫課長、橋本理財局国庫企画官
[造 幣 局]新原理事長

4.議事

  • (1)天皇陛下御在位20年をお祝いするに相応しい記念貨幣とするため、発行する貨幣の種類や図柄、発行枚数などについて

  • (2)今回の御慶事にあたり、記念貨幣の販売方法など国民の皆様と共にお祝いするに相応しい取組みなどについて

5.議事経過

  • (1)冒頭、財務大臣より、出席者に対して別紙1[PDF,51kb]のとおり挨拶があった。

  • (2)次に、理財局より配付資料に基づいて説明が行われた(略)。

  • (3)続いて、意見交換が行われた。

    概要は以下のとおり。

    なお、参加メンバーの率直かつ活発な意見交換を促進する観点から、本会合については、議事録を作成・公表せず、議事要旨を公表することとし、参加者から了解を得た。

    • (注)欠席したメンバーからは、事前に意見を頂き、当会合において理財局より披露した。

    • ○天皇陛下御在位20年をお祝いするに相応しい記念貨幣とするため、発行する貨幣の種類や図柄、発行枚数などについて

      • (総論)

        • 経済金融危機に直面している現在の社会状況や、そのような状況を大変に心配しておられる両陛下のお気持ちも察して、過度に華やかとならないように執り行うことが肝要ではないか。この観点から、御在位10年記念貨幣に準じた取扱いをすることが望ましいのではないか。
        • 今の風潮というのが、皇室に関しても、それから例えば政府紙幣の問題にしても、いろいろとセンシティブな時期なのではないか。今回の記念貨幣については、リスク管理的に、非常に保守的に物事を考えてやっても良いのではないか。とりわけこの貨幣の発行によって政府が利益を得ないということは難しいかもしれないが、利益を少なくするといったことを考えていただきたい。
        • 最近の金融危機に絡んで、政府紙幣の発行論議といったことが特に政界等で盛んになっており、それと間違われないように限定的な発行にしたほうが良いのではないか。
        • 金貨については、一応額面があり、その上で販売価格を決めなければいけないが、どのように販売価格が決まっていくのか。また、現在の状況から考えると販売価格がどれくらいになるのか。
        • 基本的には御在位10年の例を踏襲するという慎重な対応で良いのではないか。今回は御在位20年と金婚式が重なっており、お祝いの二重奏になっているので、国民が静かにお祝いするという姿勢で良いのではないか。
      • (種類・素材等について)

        • 御在位10年記念貨幣と同じように、プレミアム型の金貨と引換型のニッケル銅貨の2種類で良いのではないか。
        • 御在位10年の時と同じ種類、並びで良いのではないか。
        • 御在位10年を踏襲したほうが良いと思う。金貨はプレミアム型であり、質もやはり御在位10年のものより落としてはいけないのではないか。御在位10年と同程度の質は保たなければならないのではないか。
        • 5百円貨幣については、地方自治記念貨幣で採用しているバイカラー・クラッド貨幣にしても良いのではないか。
        • 5百円貨幣については、国民みんなが、子供達にも手が届くニッケル銅貨の引換型が良いのではないか。金貨のほうはプレミアム型で、やはりこれは本当に欲しい方々が買われるということで良いのではないか。
      • (図柄について)

        • 今までと同じように肖像を用いないという伝統に照らして、肖像を用いないことが望ましいと思う。また、これまでの皇室記念貨幣でご指導頂いている平山先生にお願いしてはいかがかと考える。
        • 肖像もいいかなという気持ちもあるが、やはりオーソドックスな形でやられたほうが良いのではないか。
        • 前回の御在位10年の時に肖像の議論があったということであるが、どのような議論があったのか。
        • 私たちが日頃、陛下を思い浮かべる時に、陛下のどういうお姿を思い浮かべるか。そういうものを彷彿とさせるものがありがたいなと思う。例えば、樹木を大切にされているお姿、田植えだとか稲刈りをされているお姿、そういったものが何か、肖像ではなくて、そのイメージとして図柄の中に込められると良いと思う。
        • 貨幣にした際に、より高度な彫刻となるようもっていっていただきたい。くれぐれも10年とは違う、しかし品位のあるというところまでもっていっていただきたい。また、貨幣を収納するケースについても徹底して良いものをつくっていただきたい。
        • 御在位20年をお祝いするに相応しい、陛下のお人柄を象徴するような記念貨幣を造っていただきたい。
        • 皇室関係の行事は、なるべく静かに行い、陛下に対する批評に及ぶようなことは避けていただきたい。陛下は決して個性としてご自分を誇示されるようなお立場ではないことから、記念貨幣の図柄に肖像を用いることは馴染まないのではないか。
        • 今も残る有名なギリシャのアレキサンダー大王の金貨からは、当時の国の歴史や文化を感じることができる。今回の貨幣も1000年、2000年後に我が国の歴史や文化を伝える品格のある立派な貨幣を造っていただきたい。御在位10年のデザインに沿って瑞鳥である鳳凰をモチーフにしたものや、二輪の菊の花をモチーフにしたデザインが考えられるのではないか。
      • (発行枚数について)

        • 売れ残りがあってはいけないので、プレミアム型の金貨の発行枚数は慎重に決めていただきたい。また、引換型の貨幣の発行枚数については、国民の皆様に広く保有していただくことを考えて決めていただきたい。
        • 通貨供給に影響を与えたり、退蔵資産になってしまってタンス預金が膨らんでしまうというようなことに余りならないように、限定的に発行したほうが良いのではないか。
        • コイン収集家のブログやなにかを見ると、プレミアム型は手に入りにくいので、はじめからあきらめてしまって、収集意欲が落ちたというようなことも言われているようなので、そのあたりの関係をどう考えるか。また、前回、御在位10年の際の注文と発行枚数の倍率はどれくらいであったのか。
        • 枚数はやはりなるべく余らない、もう少し造っておけばよかったかなと思うようなぎりぎりのラインを試算していただければと思う。
        • もし追加発行が可能であれば、ある程度の枚数にしておいて、もし需要が非常に多いのであれば、もう一度その後で追加的に発行するというのも一つではないかと思う。そうすれば余ることがないように少し調節できるのではないか。
    • ○今回の御慶事にあたり、記念貨幣の販売方法など国民の皆様と共にお祝いするに相応しい取組みなどについて

      • 国民の皆様によく知っていただくためのいろいろな努力が必要ではないか。
        例えば、広い報道・広報、また、こちらにいらっしゃる先生方のいろいろなメディアへのアクセスもおありになるようなので、広く周知していただけたらと思う。
      • 販売の方法は、余り大々的にやるのも好ましくないが、セットで販売するという前回の例もあり、もう少し馴染みやすいパッケージにならないか。例えば、地方自治の記念貨幣では地方の特色や文章等の情報が入っており、今回の記念貨幣のパッケージについても、日本という国について、何か適切な文字情報を入れられないか。
      • 余り派手にということは好ましくないが、世界同時不況に飲み込まれている中、今回の記念貨幣は御慶事という意味でおめでたい話。御成婚50年も重なっており、やはりそういうおめでたいということを踏まえながら出していったら良いのではないか。
      • 販売方法については、消化がうまくいかないといけないので、一定の、余り派手にならない範囲で、広告をいろいろなメディアなどを通じてやるというのは妥当ではないか。
      • 記念貨幣が発行されることは大変喜ばしいことであり、少しでも多くの人が参加するよう、つまり記念貨幣を手に入れてお祝いの気持ちとするよう盛り上げていきたいと思う。盛り上げるといっても、華美な形という意味ではなく知らない人が誰もいない、多くの人に今回の記念貨幣を知ってもらった上で、手に入れる方、あるいは眺める方もいらっしゃるかもしれないが、とにかく皆さんに知っていただくように努力をしていきたいと思う。
      • 販売価格については、日常ほかに買うものがいっぱいある中、一つの家計として考えるので、調査して決定していただければと思う。
      • 御慶事であり国民の皆様に幅広くお祝いしていただけるような発行の方法などについてよく考えていただきたい。
    • ○その他

      • 偽造を防ぐための工夫をぜひやっていただきたい。
      • 何よりも混乱なく円滑に発行を進めるということがお祝いの気持ちを示す一番のことであろうと思っており、偽造防止でどんな工夫ができるのか、あるいは、発行の段階での混乱をどう防ぐか。ゆめゆめ情実的な形で、公正でないなんていう話が取り上げられでもしたらお祝いムードも一変してしまうので、ゆめゆめそういうことの無いようにしていただきたい。
      • 10万円金貨の時に随分偽造が出たと思うので、是非そういうことのないようにしていただきたい。
  • (4)以上の意見のうち、質問に対する事務局の回答は以下のとおり。

    • 肖像について、御在位10年の議論としては、エリザベス女王の金貨など、肖像があることで親しみがわくのではないか、やはり時代も変わってきたので、特に若い方には違和感がないのではないか、との肖像を採用することについての前向きな意見があった。他方で、やはり西洋と東洋は違うという議論、日本の天皇の在り方は決して個性として自分を誇示されるような御立場ではないので肖像は馴染まない、日本の長年の伝統もあり今どうしても肖像ということではないのではないか、陛下に批評が及ぶようなことは避けた方が良いのではないか、などの意見があった。
    • 販売価格については、御在位10年のものは額面1万円であるが、量目は  20グラムであり、当時の金の地金で計算すると素材価格は額面を相当に上回ったものとなっており、それに製造費用等を加えて4万1千円となっている。また、今回、仮に金貨を20グラムとした場合には、現在の金の地金は1グラム3千円程度であることから、素材価格だけでも6万円程度になり、それに製造費用等を乗せて販売価格を決定することになるかと思う。
    • 御在位10年の金貨幣申込み倍率については、おおむね6倍程度であった。
  • (5)上記を踏まえ、小宮山座長から今回の意見のとりまとめが以下のようにされた。

    • ○発行する貨幣の種類・素材等について

      • 御在位20年は大変な御慶事であるので、それにふさわしい、前回の御在位10年の際と同様に金貨幣を発行することが適当であるという御意見が大勢。また、金貨幣に合わせて広く国民に保有していただけるような500円の貨幣を発行することが適当。
    • ○貨幣の図柄について

      • 御在位10年と同じではというような御意見、あるいは陛下のお人柄をしのばせるようなという御希望を含めた上で、まとめるとすれば、御在位20年を記念するにふさわしい品格のあるものとしていただきたい。
    • ○貨幣の発行枚数について

      • 余剰が生ずることのないように注意しつつ、国民に広く保有していただけるよう、しっかり検討した上で決めていただきたい。
    • ○記念貨幣の販売方法など国民の皆様と共にお祝いするに相応しい取組みなどについて

      • 御在位20年に金婚式も重なっており、こうした御慶事を国民の皆様とともにお祝いするため、記念貨幣発行の広報をいろいろなメディアでしていただけるよう、しっかりとした取り組みを行っていただきたい。
  • (6)最後に、竹下財務副大臣より、出席者に対して別紙2[PDF,55kb]のとおり挨拶があった。

(以上)