1.日時 令和8年10月8日(木)10:00~11:30
2.場所 財務省 国際会議室
3.内容
(1)事務局からの説明
(2)意見交換
4.議事要旨
まず、理財局から、国債のオンチェーン対応について、資料に沿って説明が行われた。その後、意見交換が行われた。
▶構成員からの意見の概要は以下のとおり。
○ トークン化預金など金融機関の負債側のトークン化については、金融機関に対する規律や市場との相互連関も含めて学術研究が進んできている一方、金融機関の資産側のトークン化や、スマートコントラクトを活用した国債等の取引については、学術的な知見が十分に蓄積されていないように思う。研究会を通じて理解を深めたい。
○ 事務局による現状整理には特段の違和感はなく、今後、オンチェーン対応に係るメリット、意義、影響、類型の整理を進め、解像度を高めていくことが重要。
○ 市場参加者のニーズに応えるといった観点に加え、国債の発行体として何を実現したいのかという観点も重要。
○ オンチェーンで取引される国債と既存の仕組みで取引される国債が併存する場合、同じ年限・条件の国債について、同一のものとして扱われるのかという論点もある。市場の分断の問題と併せて検討すべきである。
○ 取引・決済にブロックチェーンを活用する試みは、10年ほど前にも各国の証券取引所等で行われていた。近年になってオンチェーン対応の議論が再び活発になった背景として、ステーブルコインの登場があるのか、何らかの別の技術的なブレークスルーがあったのか、確認したい。
○ 現在の国債振替決済制度では、資金と国債の双方を日本銀行が管理している点がポイント。オンチェーンの資金としてはステーブルコインや預金トークンがあるが、中長期的には、中央銀行マネーとの関係も併せて検討する必要があるのではないか。
○ オンチェーン対応の検討に当たっては、まず目的を明確化し、その目的を達成するためにブロックチェーンの活用が真に必要か、従来技術のほうが優れている分野ではないか、しっかり検討すべき。また、パーミッション型かパーミッションレス型かなど、ブロックチェーンの種類も多様であるため、目的に応じた技術の利用を検討すべきである。
○ 暗号資産で利益を得た投資家が、オンチェーン国債を一時的な運用先とするケースもあり得ると考えられる。こうした新たな投資需要をどのように評価するかについては、整理が必要。暗号資産市場の影響が国債市場へ波及する可能性もあるため、オンチェーン対応を通じて取り込もうとする投資家像や、金融システムへの影響について、丁寧に議論することが重要。
○ パーミッションレス型のブロックチェーンを国債取引に利用する場合、AML/CFTへの対応のみならず、差押え等の民事執行を実効的に行えるかという観点も重要。技術的な利便性だけでなく、権利保全や執行可能性を含め、法の観点から、望ましい技術仕様の在り方を検討することも必要。
○ 目先のニーズから検討を始めることは現実的であるが、長期的な将来像があるのであれば、そこへ向けた基本的な設計概念やアウトラインも検討することが適当。短期的なニーズに応えた結果、将来の発展の妨げとなることは避けるべきであり、最初の段階から中長期的な視点を持って議論の整理を行う必要がある。
○ 事務局資料に記載がある「オンチェーン待機資金の運用先」という市場参加者が享受するメリットについて、具体的にどのような投資家層を想定しているのか。
○ メリットと課題について、短期的なものと長期的なものを区別する必要。また、短期的な問題の中でも、移行期であるため生じる問題と、移行後も恒常的に生じる課題は異なる。これらを峻別することで、実現できることとできないことが明確になる。
○ 想定する将来の市場像が人によって異なることが、議論を難しくしている。大規模な金融市場インフラが形成されると考える者もいれば、限定的な仕組みにとどまると考える者もいるため、その違いを踏まえて議論する必要がある。
○ 長期的にどのような国債市場の姿を目指していくのか、具体的な制度論とは別に、理念的な将来像として整理することが適当。他方で、将来を完全に見通すことは困難でもあることから、現在の制度設計や技術設計が将来の選択肢を制約しないよう、柔軟性を確保することも重要。
○ 移行期間には、市場の分断以外にも様々な課題が生じる可能性がある。事業者が指摘する短期的なメリットだけではなく、現時点で広く認識されていない影響についても考えておくべきである。
○ 国債取引に係る事務フローや仕組みが効率化されることは望ましい。一方で、既存実務との接合性・親和性も重要。
○ 民間事業者への丁寧なヒアリングを通じて、ニーズや影響を冷静に見極めた上で、中長期的な観点も含めて何ができるかを検討すべき。
○ 民間事業者からは、資産取引全体の制度を変更するには相当の時間を要するため、まず投資信託法等の対応可能な制度から変更してほしいとの意見も聞かれるところ。短期的に対応する事項と、長期的に検討する事項を整理しながら進めるのは重要。
○ オンチェーンで取引される資産を、金融法制上どのように取り扱うかは重要な論点。現在は、不動産を裏付け資産としたセキュリティトークンの発行が増えている。今後、取引量の多い国債や投資信託がトークン化の対象となる際には、法制面の検討が重要になる。
○ オンチェーン対応による担保管理等の効率化の効果は、国債と社債で異なり得る。流動性の低い社債と比較し、国債の流動性は高いため、追加的なメリットは限定的となる可能性がある。債券市場全体の視点が、検討から欠落しないように注意すべき。
○ 金融市場の参加者は複数の金融商品を比較しながら取引しているため、ある市場だけで制度変更が行われれば、裁定取引や資金移動が生じる可能性がある。国債を中心に検討する場合でも、他市場への波及効果や副作用を確認すべき。
○ 短期的な波及効果と長期的な波及効果は、必ずしも同じ方向に現れるとは限らない。短期的には、流動性が既に高い国債をオンチェーン対応することで社債との流動性格差が拡大する可能性がある。一方、長期的には国債で制度整備を行うことが、社債市場の流動性向上につながる可能性もある。短期と長期の波及効果を区別して議論すべき。
○ 国債の流通市場は既に非常に高い流動性を有しており、オンチェーン対応によって向上することは期待しにくい。市場参加者がオンチェーン対応を求める理由は、担保取引の効率化ではないか。
○ 10年前に金融取引におけるブロックチェーン活用の機運が高まった際との違いとして、ステーブルコインの登場に加え、DEXの活用が挙げられる。実際、BUIDLについても、DeFiの活用がメリットとして示されている。
○ 国債価格及び金利は、担保価値だけでなく、金融取引全体の基準となる情報でもある。国債市場単体ではなく、国債が金融市場全体のインフラとして果たしている役割に目配りしながら、オンチェーン対応を検討すべき。
○ クロスアセットの視点に加え、国債が発行されてから償還されるまでのライフサイクルの各段階において論点を整理すべき。
○ オンチェーン対応により24時間365日取引が実現した場合、マーケットメイクを担っている証券会社等にどのような影響が及ぶかも検討すべき。業務量が増える、価格急変を抑制しにくくなる、マーケットメーカーが保有在庫を積み増す必要が高まり、在庫の価格変動リスクにさらされる、といったことがどの程度起こるのか、既存の国債市場の構造への影響を見ていく必要がある。
▶ 理財局からの説明
○ 議論の対象としている時間軸や、念頭に置いている将来の姿が様々あり得るため、前提条件を置き、マッピングした上で検討を進めたい。
○ 発行体としての目的は、安定的な資金調達の継続である。国債は、紙による管理、登録債、現在の振替制度へと変化してきた。特定の技術的な姿をあらかじめ目標とするのではなく、決済の仕組みや投資家行動が変化する中でも、確実に国債を発行し、必要な資金を調達できる状態を維持することが重要である。
○ 国際的な市場環境の変化に対して日本国債が劣後し、投資家に利用されにくくなることがないよう、技術面でのキャッチアップを行う必要がある。
○ 国債には様々なステークホルダーが関わっており、一連の仕組みをオンチェーン対応する場合の論点は広範である。そして、短期的な論点と将来的な論点では、必要な検討の水準が大きく異なる。委員の皆様のご意見を踏まえながら整理したい。
問い合わせ先
電話:03-3581-4111

