1日時令和6年10月16日(水)13:00~14:34
2場所財務省第3特別会議室及びWEB会議
3出席者
(懇談会メンバー) | ||
秋池玲子 |
ボストン・コンサルティング・グループ 日本共同代表 |
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秋山咲恵 |
株式会社サキコーポレーション ファウンダー |
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伊藤元重 |
東京大学 名誉教授 |
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江川雅子 |
成蹊学園 学園長 |
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角和夫 |
阪急電鉄株式会社 会長 |
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田中直毅 |
国際公共政策研究センター 理事長 |
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広瀬道明 |
東京ガス株式会社 相談役 |
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山本清 |
東京大学名誉教授、 |
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座長吉野直行 |
慶應義塾大学名誉教授、金融庁金融研究センター顧問、 |
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(敬称略、五十音順) |
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(財務省) 新川事務次官、坂本官房長、青木主税局長 |
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(国税庁) 奥国税庁長官、中村国税庁審議官、松代監督評価官室長 |
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(事務局) 渡邊政策立案総括審議官、佐藤政策評価室長 |
4議題
(1)令和5事務年度国税庁実績評価書(案)について
(2)令和6事務年度国税庁実績評価事前分析表の一部変更(案)について
5議事録
それでは、皆さんおそろいになりましたので、ただいまから第81回財務省政策評価懇談会を開催させていただきます。
江川委員はちょっと遅れて来られるということでございますので、このまま始めさせていただきます。今回も前回と同様に対面とオンライン両方のハイブリッドで開催させていただいております。オンラインの方々で音声が聞こえないなどトラブルがございましたら、事務局まで御連絡いただきたいと思います。
それでは、早速議題に入らせていただきます。議題は2つございまして、最初は国税庁の令和5事務年度の実績評価書(案)、2番目が令和6事務年度の実績評価事前分析表の一部変更(案)、この2つでございます。
これを一括しまして渡邊政策立案総括審議官からまず御説明いただきたいと思います。お願いいたします。
○渡邊政策立案総括審議官
よろしくお願いいたします。
それでは、1つ目の議題であります令和5事務年度国税庁実績評価書(案)について御説明いたします。
まず、1ページをお願いいたします。令和5事務年度の実績目標と業績目標の評定一覧となっております。括弧内は前の事務年度の評定でございます。前事務年度と異なる評定となったものにつきまして緑色の四角囲みで示しており、全部で5つございます。
2ページに進んでいただきまして、こちらは令和4事務年度及び令和5事務年度における評定を集計した一覧でございます。右側の合計欄を御覧いただくと、Sの「目標達成」が7から4へ減少、それからAの「相当程度進展あり」が8から11に増加と、全体としての評定は低下しておりますが、5事務年度も4事務年度と同様、SとAのみの評定となっております。
3ページをお願いいたします。ここから5ページまで施策ごとの結果の内訳を前事務年度と比較した一覧となっておりまして、前事務年度から評定が変更となったものに緑色で色づけてございます。また、欄外に※印の表示がされているものは6ページ以降で御説明させていただく部分でございまして、原則、評定が変更となった箇所となります。なお、3ページ記載のオンラインによる税務手続の推進につきましては、前事務年度の評定Aを維持してございますけれども、内容にbを含んでいるため、原則、評定がBとなるところを、理由を付してAとしておりますので、その点についての理由も後ほど説明してまいります。
では、6ページをお願いいたします。こちらが評定が前事務年度と異なった目標の評定理由となります。1つ目でございますが、業績目標「広報・広聴活動等の充実」におきましては、評定結果が4事務年度のSから5事務年度Aに低下しております。こちらは、税務署の窓口に来られた方などを対象にアンケート調査を行いまして、国税の広報全般に関する印象について、5段階評価で、上位割合を80%とする目標を設定してございましたけれども、実績値が目標値を1%ポイント下回り達成度が「△」となったことから、5事務年度の評定結果をAといたしました。
7ページをお願いいたします。ここは2つございまして、まず、上の欄の「相談等への適切な対応」についての御説明でございます。こちらは苦情の3日以内の処理件数割合という測定指標について、一部の事案で、より適切に対応するための事実確認に時間を要したことや、納税者の理解を得るのに時間がかかったことなどにより、実績値が目標値を0.3%ポイント下回りまして達成度は「△」となったことから、評定結果はSからAに低下しております。
続いて、下の欄、「期限内収納の実現及び滞納の整理促進への取組」についてでございます。こちらは、集中電話催告センター室における催告回数という測定指標で、200万回とする目標を設定しておりました。4事務年度におきましては、7月から、AIにより滞納者の架電履歴等を分析した応答予測モデルを活用して電話催告を実施したことで応答率が向上し、滞納者が応答するまでに要する電話催告回数が減少したことで、結果として目標を達成することができませんでした。一方、5事務年度は、新規滞納発生事案のほか、これまで税務署で実施していた督促前納付指導を集中電話催告センター室が主体となって実施して、230万回に上方修正した目標を達成したため、AからSへと上昇しております。なお、こちらの測定指標は、AIを活用することで応答率が向上することにより、応答するまでに要する電話催告回数が減少しているため、6事務年度の目標からは廃止することとしてございます。
8ページをお願いいたします。ここから9ページまでは、理由を付して評定を行った目標を記載しております。
まずは「オンラインによる税務手続の推進」でございます。5つの施策のうち、1番目の施策、「オンライン申告の推進」の評定のみ目標未達であったことからbとなっております。この場合、評定はBとなるのが原則であるところ、評価マニュアルに沿って、理由を付してAとしております。
理由といたしましては、目標未達でb評定となった施策は1つにとどまっており、他の重要性が高い4つの施策はaかsであること。それから、bとなった施策は各税目のe-Taxの利用割合などを測定指標としておりますが、これらのe-Taxの利用割合や目標を達成できなかったものも含め、全て前年と比較して割合は上昇していること。それから、国税庁では、あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会の実現を目指して取り組んできたところ、自宅でのe-Tax申告利用者などが確実に増加していること。以上を総合的に勘案いたしまして、オンラインによる税務手続の推進は相当程度進展しているとして、前事務年度と同様に評定をAとさせていただきました。この取扱いにつきましては、欄外の注にあるとおり、評価マニュアル上、適切な理由を付すことで認められているものでございます。
続きまして、9ページでございます。実績目標(大)2「酒類業の健全な発達の促進」でございます。7つの施策のうち、一番上の「日本産酒類の輸出促進の取組」の施策だけがb評定となっております。この場合、目標評定はBとなるのが原則であるところ、評価マニュアルに沿って、理由を付してA評定としております。理由といたしましては、bとなった施策の測定指標に設定した3つの目標値のうち、展示会等参加事業者数だけが未達でありましたが、これは新型コロナウイルス感染症の影響緩和によるやむを得ない事情で参加者が減少したものであること。一方で、残り2つの目標値については達成しているほか、新規販路の開拓支援に努めたことで展示会等参加事業者と海外バイヤーとの商談件数は前年より増加していること。さらに、当該目標に係る施策のうち、他の重要性が高い6つの施策はsであること。以上のことを総合的に勘案いたしまして、評定をAとさせていただきました。
10ページと11ページは、5事務年度に国税庁で実施したデジタル化に関する主な取組を例年と同様に参考として記載しております。なお、5事務年度の実績評価書には記載がないのですが、5年6月に新たに事業者のデジタル化促進を加えた3つの柱に基づきまして税務行政のDXを更に前に進めていくこととしており、事業者のデジタル化の促進につきましては6年度の業績目標として新たに設けているところでございます。
12ページは評定基準となっておりまして、この評価マニュアルに沿って評定を行ってございます。
ここまでが令和5事務年度国税庁実績評価書の案となります。
続いて、2つ目の議題、令和6事務年度国税庁実績評価事前分析表の一部変更(案)について御説明いたします。
国税庁では、令和3年6月に閣議決定された規制改革実施計画を踏まえて策定した「オンライン利用率引上げに係る基本計画」を本年10月に改定いたしまして、この基本計画に基づいて各手続のオンライン利用率の目標値を設定しております。その際、オンライン利用率をより精緻に算定するため、法人税申告手続等の従来の算定方法についての見直し及びキャッシュレス納付の利用状況についても、5事務年度の実績値39%が6事務年度の目標値、これもまた39%ですが、これに達したため目標値の見直しを予定してございます。基本計画に基づくオンライン利用率の目標値の見直しに伴いまして、国税庁実績評価における目標値の変更も検討する必要があるということで、議題に上げさせていただいております。
次のページでございますが、見直しの具体的な内容といたしましては、法人に係るe-Taxの利用率につきまして、これまで技術的な問題がございまして、分母は前年度の年間申告件数で、分子は当年度の年間申告件数ということで、分母と分子で異なる年度の計数を用いて算定していたのですが、この問題が解消いたしまして、分母、分子を当年度の年間申告件数に統一することができるようになりました。また、休業・清算中法人の申告件数におきましても、分母と分子で生じていた齟齬をシステム改修で解消することができるようになりました。このようなシステム改修等によりまして、より精緻に算定することが可能となったことから、一部の目標値につきまして引下げの変更を行いたいと考えております。
また、キャッシュレス納付の利用状況につきましては、5事務年度において実績値が既に6事務年度の目標値39%に達したことから計画を見直しまして、39%から42%に引き上げたいと考えております。変更箇所は、表に記載のとおりでございます。令和6事務年度目標値につきまして、法人税のe-Tax利用率を93%から88%に引下げ、法人税の添付書類を含めたe-Taxの利用状況を76%から66%に引下げ、法人消費税のe-Tax利用率を93%から90%に引下げ、キャッシュレス納付の利用状況を39%から42%に引き上げることとしたいというものでございます。
見直しにつきまして、どうか御理解を賜りたいと存じております。
私からの説明は以上となります。よろしくお願いいたします。
○吉野座長
御説明、どうもありがとうございました。
それでは、いつものように、各委員の先生から御発言いただきたいと思います。対面で出席されている先生方が最初に、それからオンラインの先生方はいつものようにあいうえお順で御発言をお願いしたいと思います。対面の委員の先生方はお手元のマイクをオンにして御発言いただき、また、オンラインの方々にはミュートボタンを解除して御発言をお願いしたいと思います。
それでは、まず会場の対面の方々から、伊藤委員、田中委員、広瀬委員の順番でお願いいたします。
○伊藤委員
どうもありがとうございます。伊藤でございます。いつもながら丁寧に作業していただいて、特にコメントすることがないので困ってしまったんですけれども、4つぐらい感想と、あるいは、もし分かれば教えていただきたいということです。
感想のまず最初は、SとAの評価ですけれども、今日御丁寧に説明されたように、あまり大きな違いはないということで、実際の仕組みによって判断しなくてはいけないものですからSとかAとか出てくるんですけれども、今回のように、全体として見てどういうふうな評価の比較になるかということを知らせていただくことは今後も続けていただきたいと思います。
それから、前回も申し上げたと思うんですけど、デジタル化の取組について整理していただいたのは非常に結構だと思います。ただ1つ、これは可能かどうか分かりませんけど、デジタル化の取組に何をやっているかということも非常に大事ですが、これから何をやらなければいけないのか、あるいは、何ができていないのかということについても可能な範囲でまた是非お知らせいただければ。ここに今日書いてあることをやれば全部できたということであれば、それはそれで結構だと思うんですけど、多分これからもいろいろ取り組まなければいけないこともあると思うので、教えていただきたいと思います。
2点目も、なかなか難しいことだと思うんですけど、評価というのは幾つか評価があって、目標に対してどうであるかという評価、これが出ているわけですね。それから、結果的に昨年、場合によっては一昨年に比べてどうなったかという評価の変化もあるのですけども、世の中で一般的に日本のタックスのデジタル化がどう進んでいるかということで見ると、海外のベストプラクティスと比べてどうなのかということが非常に気になるところです。もちろん厳密に比較するのは難しいと思うんですけど、さはさりながら、ほかの国でもしできていることで日本でできていないことがあるとすると、そこは将来のチャレンジの方向だと思いますので、そこは是非また教えていただきたいと思います。
4つ目は、デジタル化で、もちろんここに書いてあるようにデジタル化が進んできていろいろなことが利用可能になったので、それをタックスに使っていろいろな効率化を図るとか、いろいろなことをやることは必要ですけど、多分、世の中的には逆の期待もあると思うんです。つまり、納税とか税金というのは非常に重要な活動で、個人にとってみても、紙で申告するのと、例えばデジタルで申告するのと違うとすると、世の中のデジタルを進めるためのドライビングフォースとしてもこの税のデジタル化というのは非常に大事になってくる。そこまで踏み込んで議論する必要があるかどうか分かりませんけど、ここについてもしお考えがあれば教えていただきたいと思います。
以上です。
○吉野座長
ありがとうございました。
それでは、お一人5分ぐらいで、田中委員、お願いいたします。
○田中委員
どうもありがとうございます。国税庁の皆さんが納税者との関係において、一つ一つ実績を積み重ねながら納税に関わる慣行をつくってこられていることに対して敬意を表します。
ただ、現在の日本の国家債務のGDP比率等を勘案しますと、国税当局と納税者との関係が今のような形で、いわば安定的といいますか、一つ一つ慣行を積み重ねるような形で推移するのかどうかという点について心配になることがあります。
私は、ソ連邦が崩壊した後、中央アジア各国を回ったことがあるのですが、そのときにウズベキスタンのタシュケント大学で少し実務の人と議論してくれという話がありまして、たまたまウズベキスタンの国税担当の人が大勢来たところでセミナーをやったことがあります。当時ももちろん日本の国家債務残高は非常に厳しい状態だったものですから、あまり胸を張るわけにはいかない。しかし、ウズベキスタンは、ソ連邦解体の後、大変なことになっていて、税金を取るのは困難を極めていた。そのときに、彼らウズベキスタンの国税関係者が言うのには、「日本の税務官はピストルを持って納税者のところへ行くのか」と。要するに、ウズベキスタンでは、別に相手がマフィアでなくても、自分の財産を国税当局が持っていくというと、意見が対立すると、ピストルを引っ張り出す者もいる。日本はピストルを持った人が横にいて国税当局が交渉しているのかと。いや、国もいろいろある。ソ連邦の成り立ちがいかにでたらめで、それがどういう形で崩壊したかというのはそのとき思ったんですが、しかし、よくよく考えてみると、納税者と国税との関係はあらゆるときに良好であるとは言えないわけです。
幾つか指標があります。ヨーロッパでのユーロ建ての日本国国債のETF(上場投資信託)を見てみます。これは昨今下落しています。日本銀行が金利を引き上げると言っていて、そういうスケジュールが出てくるのかもしれませんが、普通ならば円高になるという話です。実態は御存じのように簡単に円高にはならない。円が安いというのは円建ての金融資産が全般に売られているということでして、ユーロ建てのJGBはずっと下がっています。だから、日本銀行が指し値オペで買い支えるといっても、ヨーロッパで行われている日本国国債の評価は低下している。この大きな流れが起きたのは、ウクライナ危機以降で、以来本当に目立つようになった。すなわち、ウクライナ危機が起きた後、「日本はやっぱり軍事費を増やすのだろう。そのとき増税できるのかな」という問いが行われた。JGBの価値を考える前提として、日本が軍事費を増やすのはもう当たり前だろうと。例えば中国の軍事介入事例の勃発を前提にすれば。ところが、そのときになっても財務状況についての正確なコメントというか、信頼すべきコメントが日本から出ているようには思われない。このとき以来やっぱり円が売られる。要するに、円安は2022年のウクライナ危機以降テンポを増すようになり、円レートの回復は本当に難しくなる。それから、JGBについても中長期的に見て問題があるという評価をなされる。これが実態だと思います。
今後の日本社会の推移を考えると、問われるのはコンサバティズムです。日本社会の根底が覆されるようなことがあってはならないので、その要因を一つ一つ潰していくのだというのが保守主義者の考え方ですが、これが我が国保守党の内部においても極めて微弱であることはもう明らかです。これから総理にルール・オブ・ロー(法の支配)を説明していただく。でも、ルール・オブ・ローはもう日本国民誰でも当たり前だと思っているのですが、自律社会の方はどうなのか。こんなにも債務残高が放置されているのは自律社会とは言えないということだと思いますので、総理談話の中で自律社会の建設をやっぱり入れていただかなければ。本来ならば保守主義尊重と言ってもいいんですが、保守というのは手あかのついた言葉でもありますので、それよりは自律社会と言ったほうが私はいいと思い始めています。いずれにしろ、自らが自らにメスを加えることをやらない限り、今後も、国際的に見て、日本の将来は大丈夫かなという目線で見られる。G7の一国だからという、かつての制度主義的なメンバーシップの話ではもうなくなり始めているというのが私の予感であります。
そういう意味では、国税当局がこれまで納税者との間で実質上の取決めを結びながら、しかもこういう形で自己批評といいますか、自分でチェックすることを繰り返されていることは大変評価すべきことだと思います。でも、それは自律社会の建設という大前提がもう一度確かめられるということがあって初めてこれがサステナブルな納税者と国税当局の関係になるのではないかと思います。
どうもありがとうございました。
○吉野座長
どうもありがとうございます。
それでは、広瀬委員、お願いいたします。
○広瀬委員
ありがとうございます。まず、5年度の実績評価についてですけれども、個々の項目ごとに踏み込んで検討されております。また、評価が下がったものも数字的には微々たるものなので、特に問題というか、異論はございません。
その上で2点申し上げたいと思います。
1点目は、税の徴収についてです。デジタル化については、これまでいろいろ国税庁のほうで努力あるいは工夫していただいて相当実績も上がってきていると思いますけれども、そもそも日本は行政サービスのデジタル化が遅れていると言われて、今、政府挙げて一生懸命やっているわけです。徴税が行政サービスという言葉でいいのかどうか分かりませんけれども、いずれにしても、その最たるものが税の徴収ということになりますので、是非これからもデジタル化、e-Taxも含めて徴税業務が先頭を走っているようなことになればまさにデジタル化のシンボリックなものになる。そういう面で加速していただきたいと思います。
それに関連して1つ質問というか、確認なのですけれども、最近、年末調整を廃止するなんていうのが一部どこかで載っていたと思うんです。これは昔からある議論ですけれども、国税庁がそれに対してどんなスタンスなのか。先ほどの伊藤先生のお話とかぶるような感じですけれども、日本人が税の使い道にあまり関心がないというのは、自分でなかなか申告しないことにある。こういう説があるわけですけれども、今のままでやれば当然大変な業務量になるので国税庁はパンクしてしまうと思うんですけれども、デジタル化が相当進んでいけばそういうこともある面では一緒に解決される世界が今後あるのかどうかということも含めて、戦後ずっと長く続けてきた年末調整というんですか、私企業におけるそういったことも含めて、それにコメントがあれば教えていただきたいというのが1つです。
2つ目は、税の在り方でございます。岸田政権で、防衛費の増強とか少子化対策とかGXとかいろいろなお金のかかる課題が出てきまして、それに対して財源ということで増税議論が出たのですけれども、今回、総裁選などを見ると、一部に、先送りできるのではないかというような議論がまたございました。国の根幹に関わるような非常に大きな重要な政策ですし、予算規模も大きいし、また、長期にわたることから、しっかりした財源というか、税が必要になるわけですけれども、税のことですから当然痛みを伴うし、きちんと説明しなくてはいかぬ。逃げずに、是非正面から向き合っていただきたい。この選挙が終わるとそういうふうな議論がまた出てくるわけで、財務省がその矢面に立つわけですけれども、その決意というんですか、これから大変難しい局面、議論になってくると思うのですけど、その辺、もしコメントいただければありがたいと思います。
最後に、税の在り方でもう1点。今日もいろいろな数字を見せていただきましたけれども、今いろいろなものが好転してきて潮目が変わってきている。チャンスですけれども、1つ大きな問題として、ストックがなかなかフローに回ってこないというのがあって、ここ数年ずっとそれがなかなか経済成長に結びつかないんじゃないか。ストックというのは、1つは、個人的にはお年寄りにたまっているストックですね。もう1つ、企業でいえば大企業にたまっているストック。これは、ミクロ的には将来不安をカバーするために、ミクロ論としては非常にリーズナブルですけれども、全体としてはなかなかうまく経済全体が回っていないということで、いろいろなことを今やっているわけです。その中で税による解決というんですか、税によってそういったものが少し何か、貢献というとおかしいですけれども、ストックをフローに持っていく。多分いろいろな工夫があると思うのですけれども、その辺、コメントがあればいただければと思います。
意見というよりも何点か確認させていただきました。以上で終わります。
○吉野座長
どうも、いろいろ多面にわたって、ありがとうございます。
それでは、オンラインの委員の方々にあいうえお順で、いつものように秋池委員からお願いいたします。
○秋池委員
ありがとうございます。評価全体につきまして異論はございません。1%の未達でもSがAになってしまうというような、大変厳しく見ておられるということも含めまして異論のないところでございます。
評価をされてしまうのでSとAは大きな違いに見えてしまうのですが、目標値という数字に対して努力を重ねていくことはもちろん大切なのですけれども、大切なのは、本質的に良い取組になっているかということであったり、国民の側にこの行動に対して理解が深まっているかということであったり、国税庁なり財務省なりがそれに向けて組織能力を高めているかということですので、一つ一つの評価そのもの以上に、そういった視点で取り組んでいかれるとよろしいと思いました。
あとは、コロナが明けまして仕事の仕方も元に戻ったような部分もあろうかと思いますが、一方で、あらゆる税務手続がオンラインでできる社会をつくっていこうという高い目標を掲げておられて、実際、そのことの便益に裨益している国民や組織、企業も随分と増えてきていると思います。変わらずその御努力をお進めいただければと思います。
それから、2点目の目標値の見直しについてですけれども、いろいろな仕組みが整って精緻に数字を見ることができるようになったからこその前向きな変更だと思っておりますので、このことについても異論はございません。
広瀬委員からもありましたけれども、税はどうしても徴収される側のことばかりで、その受益を国民が感じにくいということがあります。これは国税庁ということでなく、全財務省として、より国民に御理解をいただけるようなコミュニケーションがあればいいと思います。財務省自身はそのことに非常に御努力されていると思うのですが、国民側の受け止めもそうなるような社会でありたいと思うところです。国税庁の皆様には本当に前線で多様な方々との間で大変なお仕事もされておられると思いますので、是非モチベーションを維持するような形でお仕事に取り組んでいかれると良いなと思っております。
以上でございます。
○吉野座長
どうもありがとうございます。
続きまして、秋山委員、お願いいたします。
○秋山委員
秋山でございます。ありがとうございます。
私も、今回御報告いただきました評定結果並びに評定の理由につきましては、いずれも理解と納得ができるものばかりでございますので、特段の異論はございません。
また、個々の内容を超えて、ここのところずっと続いてきた大きな政策と政策評価の流れの中で、大きなテーマとしては、デジタル化だとかオンラインによる税務手続ということが大きなトレンドといいますか、モメンタムになっているというふうに思うんですけれども、この点について少しコメントをさせていただきたいと思います。
先ほど田中委員から国家財政の問題を指摘されましたけれども、それと併せて、今日本が直面している大きなテーマとして人口減少の問題、これが昨今本当に、あらゆる現場で人手不足の深刻さというものが増しているということをとても肌身にしみて感じるような段階に入っていると思います。この現状を踏まえますと、デジタル化によるいろいろな仕事、業務の効率化は待ったなしであろうと。デジタル化については、デジタル化したことでどんな効果があったのか、効果の見える化という着目はよくしますけれども、今の状況を踏まえると、むしろ見えない損失、つまり人手不足が原因で、本来やるべきことだとか、やりたいと思っていることができない、諦めると。このことが社会の活力をそいでいるような状況に対する認識を私は強く持っております。
ですので、今回の御報告の中では、目標番号でいきますと1-2-1のオンラインによる税務手続ですとか、あるいは1-4-2などでAIの活用をされておられるとか、こういった点を大変期待しつつ、今後更に進めていただきたいと思っておりますし、あとは、社会全体でこういう状況を前に進めていくという意味では、前回あたりから御報告いただけた部分だと思いますけれども、国税庁として、自分のところのデジタル化だけではなくて、事業者、あと今回はいろいろな関係機関も含めてデジタル化を進めていくとうたっておられますので、こういった観点で是非進めていただきたいと思います。
そう考えますと、伊藤委員が先ほどコメントされた、財務省あるいは国税庁としてこのデジタル化を社会のドライビングフォースとして使っていくのかという踏み込んだ議論をこれからどうしていくかというような提案がありましたけれども、私は、やはりデジタル化を後押しするような政策を是非進めていくべきだと思いますし、そのことによって、国税庁あるいは財務省の政策によってマイナンバー制度の普及を後押しするだとかいうことが必要だと思っています。ですので、今回、目標値の見直しが提案されていましたけれども、いずれもデジタル化を更に進めるという観点での目標の見直し、追加になっている点、これを更に進めていただきたいと期待をするところでございます。
以上です。
○吉野座長
ありがとうございます。
続きまして、角委員、お願いいたします。
○角委員
今日たまたまですけども、午前中に財政制度審議会がございまして、私も長年、財政審にも出席しておりますけれども、ついにプライマリーバランスの黒字化が来年度達成できるという画期的な年を迎えることができました。財務省の非常に長きにわたる、2002年から目標を立てられたということですので20年以上かかりましたけれども、ようやく基礎的財政収支が黒字化できるところまで来たことに対して心より敬意を表したいと思います。
それで、人口動態ですけれども、大体1990年当時、生産年齢人口の15歳から64歳という人の割合が約70%ありました。それが足元では60%を切るところまで下がりましたし、これが2050年になりますと53%、人口の約半分になってしまう。逆に言うと、半分が子供さんか高齢者ということになりますので、子供さんは当然触りようがないですけれども、高齢者についてはできるだけ早く、65歳ではなくて、70歳まで上げるべきではないかと。70歳までは誰でも働くのだ、税金もちゃんと納めるんだという社会にシフトしていかないと、日本の将来は大変なことになっていくのではないかというふうに思います。ちなみに、2050年の推計ではいわゆる生産年齢人口は約50%にまで下がってしまいます。ですから、あまり時間がありませんので、是非基本的に70歳まで働いて、働くことによって健康が維持できますので、当然、社会保障費といいますか、医療費も下がるという別の効果もあります。健康で働いているほうが当然本人もハッピーですから、できるだけ早期に65歳定年を70歳まで延ばして、かつ、その後も最低5年は基本的には健康で働くという社会が来るようにできればなと思います。
基礎的財政収支の話をついでにもうちょっと触れさせていただきますと、2007年にPBのGDP比がマイナス1.3%でした。これがリーマン・ショックでマイナス7.3%になり、その後、官民ともに努力をして2018年にはマイナス1.9%まで来たのが、残念ながらコロナで更にマイナス9.1%まで下がってしまっていた。足元は今、マイナス3%強ですけれども、これが今のまま頑張れば2025年に初めてプライマリーバランスの黒字化が図れることになるということで、財務省の御努力は大変だったと思いますが、非常に画期すべき年になります。
資料をちょっと見せていただいて、10ページ「マイナンバー制度の普及・定着」という項目があるんですけれども、申告に必要な云々とあって、「「給与所得の源泉徴収票情報」を追加」すると。追加ということは、今まで入っていなかったのかということになりますので、その理由をできれば教えていただければと思います。
いずれにいたしましても、もう少し働いて、健康で税をきちっと納める人たちを増やす施策を、是非とも政府にはお願いしたいと思います。
以上です。
○吉野座長
ありがとうございます。
続きまして、山本委員、お願いいたします。
○山本委員
山本でございます。細かい点は別途、事務局を通じて出しておりますので、今日は3点ばかり申し上げたいと思います。
1点は、「効果的・効率的な徴収事務の運営」に関してであります。これは玄人的には分かるのですが、収納済税額が約85兆7,000億円とあるわけですが、それに近接した参考資料として、租税及び印紙収入として67兆2,500億円ぐらいが並んでくるのですね。そうすると、事務年度なり会計年度なり、あるいはその定義の違いだということは分かる人には分かると思うんですが、これはあくまでも実施庁としての実績評価でございますから、やはり国民の方、納税者に分かるように、もう少し分かりやすい記述をしていただけるとよりいいのではないかと思いました。
2点目は、これは毎年繰り返して申し上げて、ある意味では心苦しいことなんですが、納税者の国税当局に対する信頼性を得るという意味合いにおいて非常に重要な要素であります個人情報の取扱いに係る不適切案件が130件ある。こういうこと自身があっては良くないのですが、これは件数が書いてあるので私は非常に高く評価しておるんですが、もう1点、実は守秘義務違反があるわけですね。これは、納税者からすれば、あってはいけないことでありまして、これは残念ながら、毎年申し上げているんですが、件数とか具体的な対応の説明が文章上ございませんものですから、ここら辺も何らかの工夫をしていただいて対策を講じていただくことが、やはり今後の対納税者あるいは国民に対しての理解を得る意味においてもう少し御検討願えれば助かるなというのが2点目でございます。
3点目は、これはむしろ非常に評価すべきことでありまして、伊藤先生、ほかの先生からも出ておりましたデジタル化に関連するんですが、今回の評価年度において、国税専門官の採用試験において理工とデジタルの試験区分から81名が採用なされたと。これは非常にすばらしいことでございます。なぜかというと、人事院等がやっております大卒の一般職の理工系というのは採用定員を満たしていないんです。これはまさしく少子化の問題もありますし、人材登用、公務員に対する優秀な人材の確保という点においても非常にゆゆしき事態がほかの省庁では生じておるんです。こうした状況下で国税専門官でこれだけの人員を採用されたということは、デジタル化においても非常に意義深いことでございますものですから、これはどういうふうに頑張られたのか。もし分かればお教えいただくと、ほかの省庁にとっても参考になるのではないかということでございます。
以上でございます。
○吉野座長
ありがとうございます。
それでは、江川委員、お願いいたします。
○江川委員
ありがとうございます。遅れて参加して申し訳ございません。一部、もしかしたらほかの委員と重複するかもしれませんけれども意見を申し述べます。
私もオンライン化あるいはデジタル化というのが非常に重要だと思っておりまして、今、山本委員がおっしゃったような採用の取組ですとか、それからほかの委員もおっしゃっていましたけれども、目標の見直しとか、非常にいい傾向であると思います。
私が気になったのが、資料の8ページの業績目標1-2-1「オンラインによる税務手続の推進」の中で特に1-2-1-1「オンライン申告の推進」が今年b評価になっていることです。その理由としては、各税目等に係るe-Taxの利用状況・申告状況や利用満足度を測定指標としていて、利用満足度を除くと、ほかは上がっている。満足度だけが下がっているということです。ほかの指標がいいことは望ましいことですが、やはり利用満足度というのはいろいろな問題点を理解するために非常に重要な指標だと思います。ですから、なぜそれが改善しないのかという原因を究明していただいて、次回は是非a評価になるように尽力していただければと思います。オンラインを進めるというのは、国民にとっても国税庁にとってもメリットが大きいというのが私の認識です。
それから、私がいつもやり取りをする税理士さんからこの週末メールをもらったので、そのときに、日常的に税務署とお付き合いがあるので、「何か気がついたことがあったら教えてください。もちろん無理しないでください」とメールを送ったのが日曜日でした。「何かあったら火曜日の夜までに、ショートノーティスで無理のない範囲でお願いします」と言ったら、「本人のコメントだけでなくて、自分の勉強会とかネットワークの中で何か聞いてもいいか」と言われて、本当に驚いたのですけれども、2日ぐらいの間に10件以上のいろいろなコメントが来ました。全部は今御紹介できないので後でメールでお送りしますけれども、税務署のいろいろな取組に関して、もちろん税理士さんですから当たり前ですけれども、土日・休日もあったのに、こんなにコメントがすぐ来るというのはいろいろな意味で関心が高いのだろうとは思いました。
今のデジタル化、オンライン化に関わる一つのポイントとして、e-Taxで確認できる情報の更なる充実、それから、税理士による閲覧について改善してほしいというのがありました。いろいろなことが税務署に行かずにできるようにしようというのが今の大きな方向性だと思うのですが、一部のものに関してe-Taxのマイページで確認できない情報がある。そうしたときに、例えば、納税者が行った手続の控えを印刷し忘れたり、あるいは保存場所を忘れてしまったり、情報共有がうまくできなくて不自由なところがあるので、それを税理士さんも見られるようにしていただきたいというのがありました。
もう1つは、申告期間の拡大を検討していただけないかというのがありました。今、所得税に関しても、金融商品とか増えてきて所得が多様化してきたり、あるいは兼業をやる人も増えてきたり、それから所得税も複数税率とかインボイス制度とか、申告書の作成に費やす時間と労力が明らかに増えているので、やはり今の期間だと対応しにくいので、1月1日から3月31日までにしてほしいというようなそういった意見もございました。
すぐにできるものばかりでもないと思いますけれども、私もなるほどと思うものも幾つかございまして、後でメールでお送りしますので、御検討いただけたらと思います。
3点目は、寄せられたコメントの中に、現場の担当者の方が若干不勉強で間違ったアドバイスを言われたというケースとか、それから、何か相談を持っていったときに、いろいろやりにくいことがあるので、実態と異なった税の申告をすることを慫慂されたというような意見もございました。こういうのは本当に数が少ないとは思いますけれども、やはり税務署のガバナンスということでは大切だと思いますので、そういったことに関しても意を払っていただければと思います。
国民の目が政府に対して厳しくなっている中で、6万人の職員を抱えて徴税事務をしっかりミスなくやっていくというのは本当に大変なことだと思います。全体としては今回の評価は妥当だと思いますし、引き続き頑張っていただけたらと思います。
以上です。
○吉野座長
ありがとうございました。
最後に私からも数点、重複する部分も随分ありますが、コメントさせていただきたいと思います。
1つは、評価の点数を出すときに、いろいろな先生がおっしゃいましたけれども、目標値を設定されて、それと実績値との乖離を見る。これでSとかAを今ほとんどの場合につけられているわけですけれども、目標値の設定が良くないと変についたり、あるいは良くついたりするわけですから、これから目標値という場合には本当にそれが妥当な数字なのかどうかというのが非常に重要だと思います。もう1つは、実績値がどう変わっているのか。それから、さっき伊藤委員からありましたけれども、実績値が他国と比較してどうなのかというような形で、実績値の変化を見るというのももう1つ重要だと思います。もちろんやられているのですけれども、それでいろいろ評価するやり方もあると思います。
2番目は、これも各先生方がおっしゃっていましたデジタル化の場合に、税を払う個人、中小企業、法人企業、こういうところが使いやすいシステムである。プログラムということは重要だと思いますので、これから徴税される場合に、例えば簡単なソフトプログラムを中小企業の方とか法人企業の方々に配って、そこに入れればいいというような形で、こちらからデジタルが使いやすいようにする方法もあると思いますので、是非お願いできればと思います。
それから、e-Taxに関連してですけれども、恐らく国税局別に、地域別にいろいろ数字が違うのではないかと思います。そうであれば、どういう理由で、地域によってe-Taxが進んでいるところと遅れているところ、そういうものを比較して、いい意味でのいろいろな地域での国税局別の競争ができて、更にそれが進むことが望ましいのではないかと思います。
3番目は、お酒の輸出ですけれども、大分伸びてきたとはいえ、フランスなどと比べるとまだまだです。それから、例えば日本酒ですと、小さな企業が造っているところが多いわけですから。ウイスキーなどは大きな会社ですけれども。そうすると、家族経営とか中小企業の方が造っているお酒も輸出できるような何かやり方というのはあるかもしれませんので、これは必ずしも国税庁だけではないですけれども、是非進めていただければと思います。
それから、デジタル化が進めば、その分、これまで職員の方々が手でやっていたことが楽になるわけです。そうすると、職員の方の実地調査、実地検査といいますか、そちらがもっと増えるんだと思います。ですから、これからは実地検査がしっかりと増えてきているのだというような数字も出していただいて、それで納税者がきちんと払うシステムを構築していただきたいと思います。
それから、デジタル化の中では個人の番号がないといけないわけで、これも皆様からお話がありましたけれども、前に申し上げたかもしれません。マイナンバーという、アメリカではソーシャル・セキュリティー・ナンバーですけれども、これが学籍番号になっていますので、私なんか毎回試験のときにその番号を書いていますから絶対忘れないわけですね。マイナンバーがいろいろな試験のときに、入学試験のときにもこういうのを使えばいいと思うんです。実は大学はみんな、それぞれの大学が学生の番号をつけていまして、それが結構大変なんです。そうだとすると、マイナンバーがあれば、それを学生の番号にも使うとすれば、ものすごくいろいろなところでコンピュータライゼーションが楽になるのではないかと思います。
それから、税の中では、今、私は環境金融のことを勉強しているのですけれども、カーボンタックスがやり方としては一番いいという論文を書いたんです。日本では、カーボンプライシングとかグリーンボンドとかカーボンクレジットレーティングとかいろいろなことが言われているのですけれども、CO2の排出量をしっかり見れば、それによってカーボンクレジットレーティング、カーボンプライシングもカーボンタックスも結局同じになるんですね。そうなるとすると、カーボンタックスでかけるのが一番楽なんです。そういう意味では、どういうところでこういうのをもっと推奨していったらいいのか。どちらかというと経済産業省ならば、タックスという政策手段がないですから、そうするとそういうのはなかなか言わない。ですので是非何らかの形でカーボンタックスのメリットですね。もちろんデメリットもありますけれども、それも言っていただければと思います。
最後、2つは、角委員からございましたプライマリーバランスですけれども、その次にもう1つステップがあって、プライマリーバランス、プラス利払い費ですね。これを含めたもので黒字にならないといけないですから、是非その次のステップも目指して、国民の方々に理解していただけるように。特に金利の世界になってきて、金利が高くなってくる可能性がありますから。そうすると、利払い費も含めた意味での安定性というのを見ていただきたいと思います。
最後は、角委員がおっしゃった、高齢化の中では定年の年齢をどんどん上げていって、なるべく長く働いていただく。それが本当だと思います。それと同時に、生産性に応じた給与体系がきちんと日本で確立できるようにすれば、アメリカだと我々の同僚で80歳過ぎてもみんな働いています。アメリカでは3つの差別をしてはいけないと。1番目は人種差別、2番目が男女差別、3番目が年齢差別ということが言われていまして、ほとんどの職種で高齢者の方々も働いている。働けないのがパイロットとかバスの運転手さん、そういう限られたところは年齢で定年があるのですけれども、そうでないところは年齢差別はいけないとものすごく言われています。日本でもそういう形で高齢者の方々に長く働いていただいて、社会保障を減らして、支出の分を減らしていくという動きも重要ではないかと思います。
以上で私のコメントを終わらせていただきます。
それでは、あと30分ほどございますので、財務省と国税庁の側から御返事をいただければと思います。
最初に、国税庁のことに関しまして奥国税庁長官からお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○奥国税庁長官
国税庁の奥でございます。
本日は、御出席の委員の皆様、またオンラインを通じて御参加いただいている委員の先生の皆様方から様々な御意見、激励や御指摘など沢山いただきました。誠にありがとうございます。
それでは、順次、各委員の皆様からいただいた御指摘、御質問などにお答えをしてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
最初に伊藤委員からいただいた御質問、御指摘からでありますけれども、政策評価の実績評価のSとAの違いといったようなことについて、正確に確認したところをお答えさせていただきます。評価マニュアル上の定義でいいますとS評価というのは「目標達成」という評定でありまして、当該年度、その政策は適切に実施されて目標を達成したというようなことがSでございます。A評価というのは「相当程度進展あり」という評定でありまして、その中身としては、所期の目標を完全には達成しなかったが、概ね順調に政策を実施しているという内容になっております。秋池委員からも御紹介いただきましたけれども、S評価は、目標値を実績がすべて達成している場合で、A評価は、実際にはその目標値には達しなかったのですが、乖離が1%以下であった、そういう場合にはA評価ということになるということであります。非常に小さい数字かも知れませんけれども、そのようなルールで評定をしているということでございます。それから2つ目ですが、デジタル化によって事務の高度化を進めていくという必要性について御指摘をいただきました。国税庁において税務行政のデジタル化を進めていくに当たりまして、今後どのようなことを考えているかということについて申し上げますと、昨年の6月に、税務行政について考え方・将来像というものを取りまとめまして、「納税者の利便性の向上」、「課税・徴収事務の効率化・高度化」、さらに「事業者のデジタル化促進」という3つの柱を立てて税務行政のDXを推進しているところでございます。第3の柱である「事業者についてもデジタル化を促進する」という目標につきましては、秋山委員をはじめ、何人かの委員の方からも御指摘をいただきましたが、税務行政の税務手続だけではなくて、いわゆる企業の会計処理、経理の取扱い、取引、そういったものの側面においてもデジタル化を進めるということで、税務行政として、社会全体のデジタル化を推進・促進していく一翼を担う、という位置付けであります。こういうことになりますと、会社の経理においても、例えば単純誤りが防止されることによって、あるいは迅速になることによって、正確性や効率性が上がり、ひいては社会の生産性向上にもつながるということが期待されております。これらは国税庁だけでできることではありませんので、関係省庁や、その他の関係団体の方々、国税庁の組織の外部の方々ともしっかり連携をし、周知広報などを進めて事業者のデジタル化、業務のデジタル化を進めてまいりたいと考えているところでございます。3つ目に、評価について、目標に対して実績がどうであったかということだけではなくて、例えば実績が海外と比べてどうなのか、といった点からも考えたほうが良いのではないか、というお話をいただきました。これは吉野座長からも御指摘をいただいたところでありますけれども、御指摘のとおり、海外と比べてどうなのかということは大事な視点であるというふうに私どもも考えております。そういった観点から少し御紹介させていただきますけれども、今、日本の税務行政のデジタル化の水準、進展具合を私どもがどういうふうに認識しているかということについてでありますが、例えば電子申告率で見ても、日本よりもかなり高い国、例えば韓国、エストニア、あるいはアメリカやイギリスといった国々では、所得税などの電子申告率は日本よりかなり高い数字になっております。あるいは、その先進的な取組をしている諸外国ということで言えば、例えばエストニアというような国におきましては、行政手続だけではなくて銀行や医療機関なども含めて官民のデータベースが一元的につながっていくというシステムを構築しています。このうち税務手続に関して申しますと、給与所得や各種控除の情報、それらを中心として記入されている「記入済み申告書」というものができる仕組が導入されていると承知しております。我が国でも、そこまで行っているわけではありませんけれども、マイナポータルとの連携を進めておりまして、先ほど角委員からも御指摘がありましたけれども、従前から徐々にマイナポータルとの連携によって、データをダウンロードできる対象を広げてきております。例えば生命保険料の控除などの情報を自動的に入力できるような仕組みを作ったり、令和6年の2月からは給与所得情報がマイナポータルからダウンロードして自動で入力できるようにするなど、そのような対象の拡大をずっと行ってきておりまして、方向性としては、先ほど申し上げましたエストニアのような取組にできるだけ近づいていきたいというようなことで取組を進めているところでございます。4つ目に御指摘いただいた、世の中のデジタル化を進めていく上で、税というものが非常に大事である、というお話については、事業者のデジタル化の促進というようなことで取組を進めていくところでございます。
田中委員からは様々な御指摘をいただきました。ありがとうございました。参考にさせていただいて取り組んでまいりたいと思います。
広瀬委員からは幾つか御質問、御指摘をいただきましたけれども、税制の話でありますので、財務省からお答えさせていただくことになろうかと思います。
秋池委員からは様々な御指摘、御意見いただきました。ありがとうございました。励みにして頑張ってまいりたいと思います。
秋山委員からいただいた事業者のデジタル化の促進についての御意見については、先ほどお答え申し上げました。
角委員からいただいたマイナポータルとの連携に関する御意見については、先ほど申し上げましたように給与所得の源泉徴収について、マイナポータルとの連携によって自動的にダウンロードでデータを取り入れることができるようになったのは今年の2月から、そういう趣旨でございます。
山本委員からいくつか御質問、御指摘をいただいた点についてお答え申し上げます。「収納済税額」と「租税及び印紙収入の額」の違いということでございますが、「収納済税額」というのは、収納されました、国に入ってきた国税の金額全体を示しております。これに対して「租税及び印紙収入」というのは収納済税額から還付金の支払決定済額を控除した額であります。御指摘を受けまして、令和5事務年度の実績評価書の該当箇所に分かりやすく注書きを追記させていただきたいと考えております。次に、職員が職務上知り得た情報の取扱いに係る不適切事案について、何件あるか、といったことを分かるようにすべきだという御指摘をいただきました。不適切事案の内容、職員がその職務上知り得た秘密情報の取扱いについて、それらの事案の内容というのは事案ごとに事情もかなり異なりますので、これは事案一件ごとに内容の精査を行っております。その上で、納税者や税務行政に対する信頼などに大きな影響を及ぼす恐れがあるというふうに認められる場合には、私どもの方から記者発表を行うなどの方法で公表しているところでございます。今回の実績評価上の取扱いについては、何件あるか、ということよりも、むしろ組織内で守秘義務をしっかり遵守させる、ということが目標でありますので、事前予防ということが大切だと考えております。したがいまして、事前予防のための守秘義務の周知徹底というものを指標として掲げているところでございます。引き続き、私ども税務行政の執行に当たって職務上知り得た納税者の秘密を漏らすことがないように、会議や研修などあらゆる機会を通じて、周知徹底に努めてまいりたいと考えております。それから、国税専門官の採用試験の御質問をいただきました。デジタル人材の確保を目的としまして令和5年度試験から国税専門官採用試験に新設したものがあります。それが御指摘のあった「理工・デジタル系」でありますが、山本委員御指摘のとおり、令和6年4月に81名採用いたしました。そのうち大多数は、理学部、理工学部、情報系学部といった、理工系を専攻していた者であります。理工・デジタル系職員を採用するに当たりましては、新しく作りました試験区分を周知広報するためにポスター、リーフレットを作成したり、理工系学生を対象とした説明会への参加などを行ってまいりました。何か特別なことをやったというわけではありませんけれども、そういう試験採用区分を作って、各種の説明会に対し一生懸命足を運んで周知広報に努めたということであります。今後とも、理工・デジタル系を専攻する学生などからも、有為な人材を確保できるように、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
江川委員からの御指摘、御質問についてでございます。まずe-Taxの利用満足度についての御質問をいただきました。e-Taxの利用満足度が目標値を下回っている状態が続いておりまして、令和5年度、また低下をしたということであります。これまで利用者のニーズなどを踏まえて利便性向上に向けて各種施策に取り組んでまいりましたけれども、利用満足度が下がったということで、アンケート結果を分析したところ、各税目それぞれ低下をしているという傾向も見られますが、主な要因としては税の申告に不慣れな方が手続を行った場合に、手続やe-Taxの操作に手間取ったというようなケースが相当数あったということもあるのではないかと推測されるところであります。今年の5月にe-Taxソフトなどについては、複数のソフトを統合して複雑化した導線を整理するといったような改善を行ったところですけれども、引き続き、使い勝手の向上というものには不断に努力をしていかなければいけないと認識をしているところでございます。それから税理士の方々に幾つかお聞きいただいたというようなお話もありました。例えば、e-Taxで見られる情報の充実、拡充を図って欲しいというようなお話、あるいはその申告期間の拡大、延長といったお話を頂戴したということでございますが、これについては後程、メールで御意見をいただけるというふうにお聞きをしております。私どももかねてより税理士会の方からのご要望をいただいているところです。様々な観点から御意見をいただき、拝見させていただいて、検討してまいりたいと考えております。それから現場で不勉強で間違ったお話を申し上げたとか、あるいはその実態と異なった申告をしょうようされたとか、そのようなお話がございました。どういったような事例なのかということは正確には存じませんけれども、納税者の方々にとって親身になって正確な情報をお伝えするという意味で、能力の向上に不断に努めていきたいと考えておりますので、どうかよろしくお願いいたします。
吉野座長からお話を何点かいただいております。最初に設定した目標が妥当かどうか、実績値の変化を見ること、そして、海外と比べた中での位置付けについても、しっかり把握すべきだということについては、おっしゃるとおりであると考えております。それからe-Taxが増えるということで、実地調査が実際増えているのかどうかというお尋ねがございました。それに関して、実際に数量的にどれぐらい実地調査が増えたか、外部事務量というふうに私ども呼んでおりますけれども、それが増えたかということにお答えするのは非常に困難ではありますけれども、e-Taxの利用率が向上すれば、国税組織の中でシステムによってエラーチェックが行われるということでありますので、そういう意味で誤りを含んだ申告書が減るということから、誤りの是正をするための事務が明らかに減るであろうということ、また紙の申告書を受け取って入力するといった事務も減ること、それから紙申告書を物理的に管理し、整理しなければいけないといったような事務も減ると考えられますので、やはりこれは定量的にお示しすることはなかなか難しいのですが、税務行政全体の事務の効率化に非常に大きく資することなのであろうと考えておりますので、私どもとしては引き続き、e-Tax利用率の向上に努めてまいりたいと考えております。それから企業の方、納税者の方々が使いやすいソフトなどが提供できないかというお話については、普及がまだまだではありますけれども、例えばデジタルインボイスについて、各種のサーバーに共通する標準仕様のようなものを実際にベンダーの方々とも相談をしながら提供し、定めるといったようなことを通じて、納税者の方々にいろいろな種類のサービスを提供できるように、環境整備をするということを進めているところでございます。それから国税局別にe-Taxの利用率を比較できるようにすべきではないかという御指摘もいただいております。それに関しまして、国税局別のe-Tax利用率は、今年10月下旬に公表することとしております。座長からも御指摘がありましたように、局別の利用率というのは、地方であるとか都会であるとか、そういうようなことで利用率が高いとか低いとか一概に言えるような単純な違いにはなっていないのですが、局別に見ると一定程度違いがあるということは現状としてございます。その要因について、確たることを申し上げることは今の段階では難しいのですが、例えば、ある国税局においては、税理士が関与される割合が高い法人税申告や相続税申告のe-Tax利用率が他の国税局に比べて高い傾向にあるということでして、それは税理士の方々にe-Taxの利用をしょうようすることによってその成果が表れているといったようなこと、あるいは、元々その地域において、デジタルの利用を積極的に行おうという事業者の方々がいらっしゃったというような事情があったことなど、様々な要因が関係しているであろうと考えますので、同じ方法が通用するかどうかは分かりませんけれども、各国税局の取組を比較できるようにして、良い取組を他の局においても試みることによって不断に横展開で広げていくということが、私どもとしてやっていきたいということでございます。日本産酒類の輸出拡大についても御意見をいただきました。日本産酒類の輸出拡大につきましては、政府全体として目標を定めておりまして、農林水産物・食品の輸出額の目標値として2025年までに2兆円、2030年までに5兆円という目標を持っております。その中で、私どもが所管しております日本産酒類の令和5年の輸出額は1,344億円となっております。これは、少し減りましたけれども、過去最高水準となった令和4年に次ぐ水準でございます。我々国税庁といたしましては、酒類事業者による海外展開に向けた取組及び国内外の新市場開拓などの意欲的な取組を補助金によって支援をするほか、引き続き商談会や展示会の実施を支援するなど、在外公館等の関係機関とも連携しながら積極的に輸出促進に努めてまいりたいと考えております。
ありがとうございました。
○吉野座長
ありがとうございました。
では、青木主税局長、お願いいたします。
○青木主税局長
制度に関するお話を幾つかいただいています。
まず、防衛力強化に関する財源措置の問題です。防衛力は、申すまでもないですが、これは1回こっきりという話ではなくて将来にわたって継続的に維持、強化していく必要があるものでございますので、その財源も安定的なものである必要があると考えております。政府・与党で方針が示されておりますので、それに沿って、与党の税制調査会で具体的な議論がされますので、それにしっかり連携して参画してまいりたいと考えております。
それから、ストックをフローにというようなお話もあったと思います。これだけではないのですけれども、例えば法人税に関して、昨今、与党の税制調査会で議論されているものは、法人税改革ということで法人税率をずっと下げてきた結果、狙いとしては、まさに国内の投資であるとか国内の賃上げ、そういったものにしっかり企業は使っていただくことを目指してやったのですが、それがどうだったのだろうかというのをもう一回よく検証した上で税制の在り方を議論していく必要があるのかなということに今なっております。
個人のストックがフローにというのは、例えばコロナですとか、昨今もいろいろな給付金、あとは定額減税もそうですけれども、そういったことをやっているんですが、一方で、それが消費とかに回っているかどうかというのはいろいろ検証が必要だと思っています。背景には、やはり財政とか社会保障制度の持続可能性に対する懸念みたいなものが国民の間にもあるのかなということで、そこはしっかり対応していかなければいけないと思います。
あと、年末調整の廃止という御議論でございます。今は年末調整で、ほとんどの給与所得者の方はそこで課税関係が終わり、確定申告する必要はないということでございますので、仮に年末調整を廃止いたしますと非常に多くの方が確定申告をしていただく必要がある。先ほどの税務当局の受け入れる体制みたいな話ももちろんありますけれども、それ以上に、まさに個々の納税者の方が確定申告を一人一人が一からしていただくことの社会的なコストを考えますと、やや慎重な対応が必要なのではないかと。現状の我々のスタンスということであれば、そういうことでございます。
これは関連するのですけれども、税理士の方が、申告期間を延長してほしい、延ばしてほしい、広げてほしいというお話です。これは一人一人のまさに申告に要する税理士さん達のお仕事が大変なものですから、仮にたくさんの方がもっと確定申告することになると、そこはそこで非常に大変になるのかなというのが一方であります。あと、具体的な話としては、これもそういう制度になっているからそれをどうかという話はあるんですけれども、地方の個人住民税は、確定申告の情報が地方に行って、そこで住民税の税額決定が5月末までに決定されるということなので、そこの期間とかも考えますと、後ろに延ばすと今度は地方のほうが大変になるという問題もあるものですから、トータルとしていろいろなことを考えていく必要があるのかなと思っております。
ただ、要は、デジタル化が進んでいくと、そういういろいろな手続、税理士さんの仕事、いろいろなものが簡略化されていくという流れも当然あると思いますので、そういった流れもいろいろ見ながらこれからも考えていきたいと思います。
○吉野座長
ありがとうございました。
では、最後に坂本官房長と新川事務次官からお願いいたします。
○坂本官房長
各局の所掌を超えるお話が2点あったと思いますので、コメントを申し上げます。
1つは、田中委員から自律社会をつくっていかないととんでもないことになるという御指摘がございました。なぜこのような社会になったのか、個人的な見解としては、戦前、昭和恐慌が起こり、それが軍部の台頭を招いて、最後は戦争で負けるところまで行ってしまった。あるいは、バブル崩壊の後、日本人の自殺者が1年間で3万人を超える。あるいは、就職氷河期、サラリーマンの人生が路頭に迷う、巨大なリストラといった、社会的に非常に深刻な事態を招いた。こういった非常にインプレッシブな日本社会の経験から、恐らくほかの先進国には例を見ない、不況を回避して安定を図ることを強く志向する社会的傾向が生まれてきて、それが継続してきているということなのではないかと思っております。
しかしながら、例えば最近の世の中の議論を見ていますと、こうした安定志向が、結果として円安を招いて我々を今物価高で苦しめているんじゃないか、世の中全体はこのままでいいのか、もう少し普通の国にしなければいけないんじゃないかという議論がなされるようになってきた。例えばこういう議論をきっかけにして問題提起がなされ、財政を含む社会のあり方について議論されることが期待されるのではないかと個人的には思っております。
それから、角委員がもう1点おっしゃられた70歳定年でございますけれども、令和2年の法改正で70歳定年が努力義務になって、施行に入っていっている段階でございます。会社側にとっても働く方の人生設計にとってもいろいろ関わる大きな話なので、従来この種の話は、努力義務にして、その実施状況を見てそこから法定義務化していくというステップを踏んでおりますので、今の施行状況などを見ながらそうした検討がなされていくのではないか、また、その先には、吉野座長がおっしゃられるような年齢差別のない社会というようなことも選択肢に入ってくるのだろうと思っております。
○吉野座長
ありがとうございます。
最後に、新川事務次官からお願いいたします。
○新川事務次官
本日は、大変貴重な御意見、ありがとうございました。
本日のテーマは国税庁でございましたが、財務省の職員7万3,000人中、国税庁職員が5万6,000人でございます。直接国民と接する5万6,000人の職員に対する評価、これが恐らく財務省に対する評価にも直結するのではないかと思っておりまして、今日いただいた様々な御意見、日々の業務改善、それから組織改善に反映させてまいりたいと思います。また、職員の一層の励みにもなり、戒めにもなったと思います。
それから、財政全般に対して決意を述べよという御意見もあったように思います。コロナで膨らんだ財政の構造を一日も早く、一刻も早く平時に戻していくのが当面の方向性だろうと思います。政治としていろいろな御判断はあると思いますけれども、この方向性だけは間違ってはならぬというふうに思っておりますし、その先には様々な局面の変化、金利のある時代、それから、これは従前からですが、少子高齢化の進展、あるいは災害リスクや安全保障上の有事、こういったものに対して、その先は財政余力をちゃんと保持していく。こういった姿勢が重要ではないかと考えております。
いずれにいたしましても、今日の貴重な御意見を踏まえまして業務改善に役立てたいと考えております。本日は大変ありがとうございました。
○吉野座長
新川事務次官、どうもありがとうございました。財務省しか、ちゃんと財布のところを締めるという省はないわけですから、ここの皆さんに頑張っていただければと。是非よろしくお願いいたします。
それでは、これで今回の議論は終了いたしますが、通例ですと次回の懇談会は3月を予定しておりまして、財務省の令和7年度の実施計画を予定しております。
その前に、本日の議事内容につきましては、各委員に御確認の上、財務省のウェブサイトから公表させていただく予定でございます。
本日の議論を踏まえまして、国税庁には、委員の方々からいただいた意見をしっかり踏まえましてPDCAサイクルを回していただければと思います。
それでは、ちょっと時間をオーバーしてしまいましたけれども、第81回の財務省政策評価懇談会をこれで終了させていただきます。ありがとうございました。
──了──