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第79回 財務省政策評価懇談会(3月11日開催)議事録

日時    令和6年3月11日(月)10:31~12:12

場所財務省第3特別会議室及びWEB会議

出席者

懇談会メンバー
(懇談会メンバー)

秋池玲子

ボストン・コンサルティング・グル-プ 日本共同代表

秋山咲恵

株式会社サキコーポレーション ファウンダー

伊藤元重

東京大学 名誉教授

江川雅子

成蹊学園 学園長

百合

株式会社日本総合研究所 理事長

和夫

阪急電鉄株式会社 会長

田中直毅

国際公共政策研究センタ-理事長

田辺国昭

国立社会保障・人口問題研究所 所長

広瀬道明

東京ガス株式会社 相談役

山本

東京大学名誉教授
一般社団法人青山公会計公監査研究機構 主任研究員

座長吉野直行

慶應義塾大学名誉教授、金融庁金融研究センター長、
東京都立大学経済経営学部 特任教授

(敬称略、五十音順)

(財務省)

茶谷事務次官、宇波官房長、坂本総括審議官、吉野主計局次長、青木主税局長、山崎関税局審議官、奥理財局長、三村国際局長、渡部財務総合政策研究所長

(国税庁)

住澤国税庁長官、中村審議官、長内監督評価官室長

(事務局)

目黒政策立案総括審議官、阪井政策評価室長

4議題

(1)令和6年度財務省政策評価実施計画等(案)について

(2)令和6年度予算編成等における政策評価の活用状況について

議事録

 ○吉野座長
 それでは、時間になりましたので、ただいまから第79回財務省政策評価懇談会を開催させていただきます。
 今回も前回と同様に対面とオンラインの併用のハイブリッド形式とさせていただきます。オンラインで御参加の皆様には、音声が聞こえないなど、何かトラブルがございましたら、事務局まで御連絡いただきたいと思います。
 それでは、本日の主な議題でありますけども、議事次第にございますように、議題(1)は令和6年度財務省政策評価実施計画についての案でございます。議題(2)が令和6年度予算編成等における政策評価の活用状況、この2点につきまして今日は御議論していただきたいというふうに思います。
 それでは、議事に入らせていただきます。まず令和6年度の財務省の政策評価実施計画(案)、これにつきまして目黒政策立案総括審議官から御説明お願いいたします。よろしくお願いいたします。

 ○目黒政策立案総括審議官
 では、御説明させていただきます。資料1「令和6年度財務省政策評価実施計画等(案)について」に沿って概要を御説明いたします。
 資料全体、通しで右下にページ番号を振っておりまして、資料1は3ページからになりますが、次の4ページを御覧ください。
 財務省の政策評価の基本的な枠組みについて御説明いたします。財務省の政策評価実施計画は、政府全体の政策評価法及び計画期間を5年間とする財務省の政策評価基本計画、これらに基づきまして、毎年度、外部有識者の御意見を頂きながら作成することとなっております。具体的には、財務省の主要な政策分野全てを対象として目標ごとに事前分析表を作成し、実績評価方式により政策評価を実施しております。実施計画の策定に当たりましては、外部有識者の方々の御意見を踏まえて策定し、3月末までに公表することとなっております。
 5ページをお願いします。次に、令和6年度政策目標の体系図でございますけれども、全体で33の政策の目標を策定しておりまして、その基本的体系に変更はございませんが、総合目標2、総合目標6及び政策目標2-1に変更がございます。資料下の欄外に注を記載しておりますとおり、政府税制調査会への諮問を踏まえまして、総合目標2の下線部を変更しております。また、令和6年度税制改正の大綱を踏まえまして、政策目標2-1の下線部を変更しております。こちらの2点の変更内容につきましては、後ほど改めて御説明を申し上げます。それから、総合目標6につきましては、昨年度まで新型コロナウイルス感染症への対応の文言を記載しておりましたが、新型コロナウイルス感染症が5類へ移行したことを受けまして、文言を削除してございます。
 6ページで令和6年度実施計画の主な変更点を御説明いたします。令和6年度実施計画(案)につきましては、令和5年度計画から内閣の基本方針や現下の政策課題に沿って取組内容を見直す変更を加えております。
 では、主な変更点の具体的内容について、7ページで御説明いたします。令和5年度の総合目標2、令和5年度は左側でございますが、これにつきましては少し前の令和3年11月の政府税制調査会への諮問を踏まえて目標設定を行っていたところでございます。このたび、資料上段にありますとおり、令和6年1月25日に新たな諮問がなされましたことを受けて目標の内容を変更したものでございます。また、下の政策目標2-1につきましても、令和6年度税制改正の大綱を踏まえた変更を行っているところでございます。
 8ページでございますが、総合目標、財務省として当面取り組んでいる大きな課題を国民に示すものとされておりまして、特定の年度において執行する事務処理的なものではなくて、内閣の基本方針等を踏まえて数年程度の中期かつ大局的な視点で財務省として取り組む大きなテーマを内容とするのがこの総合目標でございます。ここでは内容に変化があった総合目標のテーマ、それから測定指標の主な変更・追加点について御説明しております。
 1つ目、世界経済関係では、経済財政運営と改革の基本方針2023を踏まえまして、外交・安全保障の強化として対露制裁並びにウクライナ及び周辺国への支援を強力に推進するとともに、いわゆるグローバル・サウスへの関与を強化していくことを取組内容に追加しております。
 それから2点目、自然災害からの復興関係でございますが、本年1月1日に発生しました能登半島地震への対応を踏まえて、自然災害からの復興への取組として、令和6年能登半島地震の復興に全力で取り組んでいくということを指標の内容に追加しております。
 9ページを御覧ください。施策でございます。施策には取組内容を幅広く記述しているところでございまして、環境や情勢の変化及びそれに対応した新たな取組などを盛り込んでおります。ここでは変更・追加のあった主な施策として5つ取り上げてございます。
 上から順に、まず1つ目、財政広報関係では、国民に対して、財政を含めた持続可能な社会・経済への関心を高めるべく、いわゆるフューチャー・デザインの考え方を活用した取組を推進していくということを取組内容に追加しております。
 2つ目、アジアにおける地域金融協力関係では、我が国の持続的成長のため、太平洋島嶼国、太平洋地域の国々との経済関係を深めていくことが重要であることから、令和5年10月に初の次官級の日フィジー財務協議を開催しておりまして、今後も同地域との協力を推進していくことを取組内容に追加しております。
 3点目、国際協力銀行を通じた支援関係でございますが、令和5年10月に株式会社国際協力銀行法の一部改正法が全面施行されたことによりまして、サプライチェーンの強靱化、海外事業を行うスタートアップ企業を含む日本企業のさらなるリスクテイクの後押し、国際協調によるウクライナ復興支援への参画が可能となったところでございます。こうした枠組を活用し、開発途上国等を支援するとともに、日本企業の国際競争力の維持・向上を支援していくことを取組内容に追加しております。
 4点目、ウクライナ支援関係ですが、国際社会ではウクライナの復旧・復興を見据えた議論も進んでおり、我が国としては引き続きウクライナにおける経済復興を力強く推進する観点から、欧州復興開発銀行などの国際開発金融機関を通じて、主に民間セクターにおけるウクライナ支援の強化に向けて取り組んでいくことなどを取組内容に追加しております。
 最後、5点目、政府関係金融機関関係でございますが、令和6年能登半島地震につきましては、日本政策金融公庫等による令和6年能登半島地震特別貸付の創設や信用保証協会が通常の保証とは別枠で借入額の100%を保証する「セーフティネット保証4号」等を災害救助法の適用を受けた新潟県、富山県、石川県及び福井県の市町村に適用するなどの措置を講じておりまして、被災企業の資金繰りを支援していくことを取組内容に追加しております。
 最後、次の10ページから11ページは財務省のデジタル化の取組一覧、それから12ページが過去5年間における測定指標の推移表を参考資料として添付をしております。財務省では政府全体のデジタル化方針などを踏まえ、引き続き行政のデジタル化を積極的に進めていくこととしております。
 以上が令和6年度財務省政策評価実施計画(案)についての説明でございます。
 また、議題(2)、令和6年度予算編成等における政策評価の活用状況につきましては、資料2といたしまして、通し番号の13ページからですが、予算編成や税制改正において各府省の政策評価の結果を活用した事例を紹介した資料を配付しております。その中で今回は参考といたしまして、19ページからですが、主税局における政策評価の取組として、賃上げ促進税制の効果について、いわゆるEBPMの観点から検証を行った事例も併せて紹介をしております。
 私からの説明は以上でございます。

 ○吉野座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、委員の先生方から御発言を頂きたいと思います。本日はまず対面で出席されておられます広瀬委員から始めていただきまして、それからいつものように、あいうえお順で順次御発言をお願いしたいと思います。御発言の際には、対面の方はマイクをオンにしていただきまして、オンラインの先生方はミュートボタンを解除して御発言いただきたいと思います。それでは、私の隣にお座りの広瀬委員からどうぞよろしくお願いいたします。

 ○広瀬委員
 今日は対面で参加させていただいておりますけれども、最初にちょっと感想めいたお話をさせていただきたいと思うんですけど、今、日本は本当にハッピーな状況を享受しているのではないかなというふうに思っております。もちろんいろんな問題はありますけれども、他国を見るともっと大変な国がいっぱいあるわけで、そういう面で、相対的に見ると日本はまだまだましな状況にあるのではないかなということでございます。
 それから将来に向けては、後ほどいろいろ議論になると思いますけれども、大変深刻な問題を数多く抱えておりまして、ちょっとオーバーな言い方をしますと暗たんたる状況ですけれども、そういう面で正確に言うと今の日本人は大変望まれているということかというふうに思っております。
 その背景として、幾つかあると思うんですけれども、1つは50年以上前の高度成長の時代、これはイコール人口が爆発的に増大した時代ですけれども、その人口ボーナスを生かしてインフラを中心に国土形成を一生懸命やったということがあると思います。一方で、海外にも積極的に進出して、海外での資産形成に努めたと。そして何よりも、日本は資源がない国ですけれども、エネルギーや食料、これを海外から潤沢に供給してきた、供給できたということですね。それから国際紛争にもあんまり巻き込まれなかったというか、うまくコントロールして避けてきたと。それから、いろんな自然災害やエネルギー危機がありましたけれども、これもうまくダメージコントロールしてきたということで、一口で言えば課題への対応能力というんですか、対処力が優れていたのではないかなと。それから、ここ30年はまさに財政によってみんな幸せにしてくれたということもあるかというふうに思います。
 ところが、その膨大なインフラもさすがにここに来て老朽化して、これは非常に今深刻化してきておりますし、それからエネルギーもここ10年、化石燃料を中心に、日本はそれをうまく利用してきたわけですけれども、エネルギーの大転換時代が来たと。それから、日本周辺もどうもきな臭くなってきたし、そこに少子高齢化時代に入ってしまったと。財政もこれ以上は無理ということで、これから本当に厳しいというか、難しい時代になるのではないかなというふうに思っております。
 5ページに「財務省の使命」というところがありますけれども、広く国民の信用を守り、希望ある社会を次世代に引き継ぐというふうにありますけれども、希望ある社会を引き継ぐというのは、むしろ今の幸せな社会を引き継げるかということではないかなというふうに思っております。今、希望ある社会と言えるかというと、これはなかなか難しいのではないかなというふうに思っております。従来は、希望がある社会といえば右肩上がりの社会ということだったわけですけれども、これからはやはり成熟社会が続くわけですから、成熟社会でも希望が持てる社会にしなければいけないんじゃないかなと。どうしたら成熟社会でも希望を見出していけるのか、あるいは成熟社会での希望とは何かと、こういう発想の転換というか、価値観の転換が今必要になってきているのではないかと。これは、私は決して敗北主義ではない、むしろ対処能力だというふうに思っております。
 それから、今回、財政広報関係でフューチャー・デザインという考え方がありますけれども、私もこれは分からなくもないんですけれども、将来世代の利益とか、潜在的意欲とか、何となく持って回ったようなというかですね。私はもっとストレートに、問題があるならば問題があると正面から国民に向き合っていったほうがいいのではないかなと。国民も賢いと。もちろんいろんななんていうかですね、抵抗というか、選挙では若干そういうことになると思いますけれども、本質的なところは分かっているので、説明すれば十分分かるかなというふうに思っております。
 各論で2点、国内で最大の社会的問題と、それから国際的な問題でちょっとお話しさせていただきますと、やっぱり少子化対策ですけれども、今世界で80億人、日本で1億2,000万人、私は持続可能性という面では、これは多過ぎると。半分か3分の1ぐらいにしなければ無理かなというふうに思っておりますけど、問題は日本でこれがあまりにも急激に進んでいるということで、本来は100年、200年、四、五世代で変えていかなければならないソフトランディングができていないと。したがって、これは何らかの対策をとっていくというのは私は必要だというふうに思っております。どうしても少子化対策というと、直接的にお金を配るということも大事なんですけれども、今の少子化の原因というのはもっと社会的な側面が大きいんじゃないかなというふうに思っております。例えば女性が生きやすい社会とか働きやすい社会とか、これは男性もそうですけれども、そうした間接的にお金をつけていかないと根本的な解決にはならないんじゃないかなと。急がば回れと。昨年の結婚件数が50万件ですから、30年ぐらいの姿というのは見えているわけですね。したがって少し長期的というか、腹を据えてやらなければいけないような気がしております。
 2点目は安全保障でございます。これもまずはハード面、これがベースなんですけれども、併せてソフト面からのアプローチ、これは非常に大切なのではないかなと。特にグローバル・サウスへの関与を強化するということでは、まさにODAを中心とした技術支援とか環境面の支援とか人材育成、最近私もASEANに行くことが多いんですけれども、ASEANに行くとそういう面で非常に日本に対する評価が高いんですね。中国との比較ということになるかもしれませんけど、そういう面で日本の、そういう広く日本に対する評価についてはそういうソフト面の対応も必要なのではないかなと。昨年の末にASEANの首脳会議があって、各国のトップが来ていただきましたけれども、今年7月に島嶼国の首脳会談があります。全てのトップが来ていただけるのかどうか、そういう面で安全保障の問題も少し長期的な視点、地に足のついた地道な取組、そして官民一体ですね、もちろん役割が違います、民の役割も非常に大きいと思いますので、官民一体としてやっていくべきではないかなというふうに思っています。
 最後に、これは今潮目が大きく変わって、新しいステージに入ったと。インフレ、物価が上がる世界、賃金が上がる世界、金利のある世界に入ったわけで、やはり財政も含めて二、三十年、全く違った世界に入るわけで、よくよく考えていかなければならない。チャンスでもあるのではないかなと。
 もう1つ、身構えておかなければならないのはアメリカの大統領選挙でありまして、これまでアメリカの政権が変わっても、あるいは人が変わってもそんなに激変がなかったわけですけれども、トランプさんという大変個性的な人が大統領になって世の中は変わってしまったわけで、今回どうなるか分かりませんけれども、そういう面でその辺の注意というか、ウォッチをしていかなければならないのかなと。
 最後の最後に、これは質問になるかと思うんですけれども、2025年、プライマリーバランス黒字化という旗を掲げてこれまでずっとやってきたわけですけれども、何らかの形で今後考えていかなければならないということで、もし現在何らかのそういった考え方があれば御説明いただければと思います。
 すごく長くなりましたけれども、以上でございます。

 ○吉野座長
 広瀬委員、どうもありがとうございました。
 それでは、あいうえお順で、お一人5分以内で、秋池委員からお願いいたします。

 ○秋池委員
 政策目標全体については、異論はございません。その上で、4点申し上げたいと思います。
 1つは、まず今回の政策目標でコロナの文字が消えたということは、ある意味で非常に意義があることなのではないかと思います。政策というのは始めるとやめるのが難しいことでありまして、とりわけ責任ある機関であるからこそ、そこが難しいというところはあるかと思うのですが、目的を達したら終わらせて、もちろん必要な支援は継続しながらではありますが、前に進むという形が示せたことはよかったと思っております。
 2点目ですが、総合目標1で財政の健全化のことがありますけれども、これは引き続き変わらずに取り組んでいただけるということで、期待を申し上げるところでございます。昨年の秋に社会保障の領域において財務省、財務局の機動力を使った分析というのがありました。これは非常に意義があったと思っております。事実を見つめることができた、それをどう取り扱うというのは、またその後の議論ではありますけれども、きちんと事実を見つめることができたというのはとてもよかったと思います。EBPMという言葉がよく使われるようになりましたけれども、実際にはそんなに簡単なことではなくて、責任を持って数字を出していくというのは非常に難しいことですが、その効果を今回は見た思いでございました。非常にパワフルな取組でありますので、職員の方の働き方とのバランスも配慮しながら、将来的にもこういった非常に重要なものについては、また議論が分かれるものについては、こういったものが活用されていくのだと感じました。ついでながら、今回の分析は、非常によい分析で、まだしばらくの期間使えるものでしょうから、大切に使って積み上げてはと思いました。
 4つと言いながら5つでした。3つ目はインフラの維持について、広瀬委員からも今ありましたけれども、今おられる、そこに住んでおられる方々の生活の質を維持していくということはとても大事だと思いますし、様々な事故・災害等のときのために一定の冗長性を持つことは大切だと思っておりますけれども、それらも念頭にしながらも、今回したメンテナンスがまた将来のメンテナンスの負担にならないような在り方というものも、人口の動態と、それから国土のありようなども見ながら検討していく必要があるかと考えております。
 4点目ですが、総合目標2はよろしいと思っておりますが、政策目標2-1に「生産性」という言葉が出てきますけれども、生産性というのは、これは分母を小さくするということではなくて、分子を大きくしていくということも念頭に、人口が減るなら減るなりに、よりよい産業のありよう、収益性なども念頭に置いたありようを考えていけるといいと思いました。
 最後になりますが、本日くしくも3月11日で、また、お正月には能登半島の地震もありまして、ある確率で自然災害というのは日本におりますと起こるわけで、企業であれば、危機に備えて積立てというのをやるわけですけれども、それに国のレベルで当たるのは財政なんだと思っておりますので、引き続きの皆様のお取組に御期待を申し上げたいと思います。
 以上でございます。

 ○吉野座長
 秋池委員、どうもありがとうございました。
 続きまして秋山委員、お願いいたします。

 ○秋山委員
 御説明ありがとうございました。私も毎年のことながら年々進化しているこの内容について、まずは皆様にお礼、感謝と尊敬をお伝えしたいというふうに思います。特に今回に関しましては、政策評価の取組と活用について詳しく資料でお示しいただいた点が最も注目すべき点であったというふうに思っております。この点に関連して3点ほど申し上げたいと思います。
 資料19ページから主税局におけるEBPMの実施状況について、かなり詳しくお示しいただいたんですけれども、とても分かりやすい内容でした。ようやくEBPMもこういう形で実施されていると。つまりエビデンスに基づく判断をしていくんだということが目に見える形になったということがとてもいいというふうに思っております。秋池さんがおっしゃったように、なかなか最初は大変だと思いますけれども、こういったことが浸透していくことを期待しております。こういうことができるようになったというのは、まさにデジタル化の進展でもあり、つまりデジタル化に関して、これまでの報告は、特に初期の頃は、オンラインを使うようになりましたというような御説明が多かったんですけれども、むしろ本来のデジタル化はデータを活用するというところが中心になるべきところですので、そういった面でも大変いい御報告を頂いたというふうに思っています。
 2点目は、同じく資料で言いますと18ページのところでの政策評価を活用した見直し例で、国家戦略特区の事例をお示しいただいております。私、当時の制度設計にも関わらせていただいた経験があって、懐かしく思い出すとともに、実はこの当時、そもそも特別償却や税額控除に関しては制度の趣旨になじまないということで反対をした記憶があります。特にインセンティブになる内容でもない制度設計だったというふうに私は記憶しております。ただ、いろんな理由で政策として展開されたわけですけれども、まさに秋池さんもさっきおっしゃられたように、こういったものは一度始めてしまうと修正や廃止に大変な時間と手間がかかるというものになります。そういった面でも、今後こういうものを、なるべく早く修正・廃止ができるようにという意味でのエビデンスベースでの議論によって無駄を排除していくということを是非進めていただきたいと思います。
 3点目ですが、ちょうど本日、東日本大震災から13年目の日にこの会議が開かれているということに関連して少しコメントをしたいんですが、マスコミの報道などでは、例えばいまだに避難されている方が3万近くおられるですとか、あるいは災害援護資金の貸付、これは国というより地方自治体側だと思いますが、525億円実行された中の57億円が回収不能になっている、つまり10%以上の貸し倒れが発生しているというような報道がなされております。どうしてもマスコミの報道は、できていることよりは、できていないことに重きを置きがちな面はありますけれども、今般の、今年の元旦の能登地震の発災以降の状況を見ましても、災害の発生直後はどうしても議論が感情的にといいますか、一定のモメンタムが働いてしまいやすいなというふうに感じております。ですので、こういった政策についても、こういったエビデンスの蓄積によって、より効果の高い支援策が迅速に実施されるような形での取組ということを期待したいと思っています。これがまさに総合目標6に関わる部分になってくると思います。
 いずれにしても、今回の評価の取組と活用を通じて政策の立案から評価についての考え方の進化が見られるというふうに思います。これはある意味、コンピュータシステムで申し上げますとOSのバージョンアップに向けて今進化が進んでいるというふうに感じておりますので、是非ともさらに力強く推進していただきたいというふうに期待をしております。
 以上です。

 ○吉野座長
 秋山委員、どうもありがとうございます。
 それでは、伊藤委員、お願いいたします。

 ○伊藤委員
 どうもありがとうございます。今回も計画(案)について、毎回申し上げていることなんですけど、経済全体の政策や経済環境の変化を反映して非常に適切に修正されていると思います。これについては特に異論はございません。
 デジタル化への取組を紹介いただいたことは大変よかったと思います。言わずもがなですけども、デジタル技術の発達というのは非常に速いものですから、多分ここにとどまることはないと思いますので、今後ともデジタル化への取組、さらに加速させていただきたいと思います。
 その上で、今日はEBPMの話について、ちょっとお話をさせていただきたいと思います。各部局の政策運営について、政策評価の利用が明示されたことはよかったと思います。実際に政策がどのような成果を出したのか、あるいは出さなかったのか、エビデンスを挙げながら分析する姿勢をできるだけ多く政策運営に広げていただきたいと思います。その上であえて申し上げたいんですけども、私の読み方が悪かったのかもしれませんけども、今回の事例を幾つか読みますと、非常に明快で分かりやすいものもたくさんあるんですけども、正直何を言っているのかよく分からないと。多分読み方が足りないので、もっとしっかり読めというお叱りになるかもしれませんけども、問題によってということでありまして、実際には政策評価というのは政策の当事者の間でのコミュニケーションが一番重要であるから、当事者だけが分かればいいのかもしれませんけども、せっかくこういう形で出されるわけですから、外から見たときにその政策がどうなっているかということがもう少し読みやすい、あるいは分かりやすい形にできたら修正していただければというふうに感じた部分が幾つかございました。
 それから、政策評価とは直接関係ないかもしれませんけど、財務省が直面している政策問題についての大きな流れについての評価とか、あるいは分析について、幾つかこれからさらに強化していただきたいなと。今日の皆さんのお話の中でも幾つかそういう話が出てきたと思うんですけど、あえて私、2つだけ例を挙げますと、1つはコロナの問題で、コロナが終えんしたということは非常に結構なことではありますけども、コロナの最中に財政がどういうふうに出ていたのか、どういう成果があったのか、どういう反省点があるのかということをある時点でまとめて評価、あるいは判断するということが必要だと思いますので、そういうことをやっていただければなというふうに思います。
 もう1つ、これはこれからの問題なんですが、先ほど広瀬委員もおっしゃったんですけど、デフレ脱却からインフレ的な世界に仮に移行すると、すると多分財政の運営の仕方とか、財政の運営のいろんな制約というのが変わってくると思います。ここについても少しまとめて整理する必要があるかなと。常識的に考えますと、物価が上がっても下がっても経済に中立的であるというふうに考えがちなんですけど、釈迦に説法でございますけども、物価が上がっていく世界、下がっていく世界では、いろんなところで違いがあるわけで、これは特に財政については非常に重要な点で、それがプラスに働く面と、むしろマイナスに働く面とあるんだろうと思いますけど、そこら辺を整理してまとめていただけると非常にありがたいなと。こういうのは政策評価とは言わないのかもしれませんけども、財務省の政策にとって一番重要な、本丸である財政運営という視点から幾つかの重要な流れについて分析があるとありがたいなと思います。
 以上でございます。

 ○吉野座長
 伊藤委員、どうもありがとうございました。
 それでは江川委員、お願いいたします。

 ○江川委員
 ありがとうございます。5点申し上げたいと思います。私もほかの委員がおっしゃったように、財務省が毎年いろいろな形で工夫を凝らして政策評価を改善、進化させているということがとても印象に残りました。
 1点目は、秋山委員もおっしゃったEBPMの取組で、私もいいなと思いました。特に興味深かったのが、賃上げ促進税制に関しては大企業も中小企業もかなり応じているのに、教育訓練費のほうは大企業3割、中小企業1割ということで、あまり適用する例が少なかったということです。これに関して日本企業がリスキリングにあまり積極的でないのか、あるいは政策の組立てがニーズに合っていなかったのかという点は、仮に後者であれば分析していただいて、次に生かしていただきたいと思います。
 2点目は、総合目標1の財政再建に関してです。これに関しては、私は大きな危機感を持っておりまして、ほかの国がコロナ収束後に財政引締めに転じたのに、日本の場合には財政規模が膨らむ一方という印象がございます。今、伊藤委員がおっしゃったような点検も是非していただきたいと思います。私は教育現場におりますので、若い世代の将来に非常に危機感を持っておりまして、日本の若者は、ほかの国の子どもに比べて将来に対して希望を持てないでいるというのがアンケート調査結果でも出ています。それから、今NISAが若者の間でも広がっていますけれども、自分自身が20代、30代のときのことを考えると、年金のことは全く心配していなかったので、そういうことをしっかり、将来も考えるようになったというのはいい面もありますけれども、それだけ大人が不安を解消するような政策が打てていないというふうに捉えるべきだと思います。債務残高が1,000兆円を超えてしまったことに対して大きな危機感を持つべきだと思います。
 3点目は、構造的あるいは長期的な改革を先延ばしにして、場当たり的な政策が散見されるというところが気になっております。例として2点申し上げたいと思います。
 1つは、いわゆる年収の壁の対策で補助金を出した例です。以前から年収の壁というのはいろいろ問題になってきたわけなので、こういう一時的な対策ではなくて、社会保険制度をしっかり見直して、できるだけ第3号被保険者も第2号被保険者に移行していくような、そういった改革を行うべきだと思います。これは労働力の確保、それから女性の自立支援、自立を促進するという両方の面から必要ですので、そういう面で場当たり的なもので対応すべきではないと思いました。
 2点目はガソリンなどエネルギー価格が高騰しているということで、これに対する補助金です。これに関しても長期的には脱炭素を進めていかなければいけない状況であるにもかかわらず、補助金を出すというのは逆方向の政策を行っていることになりますので、慎重であるべきだと思います。
 4点目は、たまたま昨日の晩、ニュースで報道されていたので気になったのですが、東日本大震災からの復興のためのグループ補助金というのが、その後の状況の変化に応じて柔軟な対応ができないということで、結果的には借りた人たちが返還を迫られて廃業に至ってしまったというようなことが報道されておりました。私は昨日知ったばかりで詳しいことは存じませんけれども、ネットで調べたところ、2016年に日本商工会議所がもっと柔軟な対応を要望するという要望書も出しておられるので、何かできることはないのかと思いまして発言いたしました。
 最後、5点目は働き方改革です。霞が関、財務省を含めて、就職の人気がなくなっているということを非常に懸念しておりまして、やはり日本の国をしっかり回していく上でも、働き方改革をしっかり進めて、優秀な人材を引きつけられる、そういう組織であり続けてほしいと思います。広瀬委員から少子化対策には女性が働きやすい環境を整える必要があるという御発言がありましたけれども、働き方改革というのは女性・男性共に、働きやすい環境を整えていくということだと思います。本当に待ったなしの課題だと思いますので、是非よろしくお願いします。
 以上です。

 ○吉野座長
 江川委員、どうもありがとうございました。
 続きまして翁委員、お願いいたします。

 ○翁委員
 私からも4点ぐらい申し上げたいと思います。政策目標につきましては、適切に今回も環境変化に合わせて定められているというように思っております。
 まず1つ目の財政広報関係で、フューチャー・デザインという考え方を入れている点についてコメントしたいと思います。人口減少の未来、今も人口減少が非常に進んでおりますので、子どもたちの世代においても随分社会が変わっていると思います。そういった世代の社会を思い描いてしっかりと財政の問題を考えていくという、そういう方向は非常に重要ですし、特に既に私たちの将来世代というよりも、もう子どもたちの世代で大きな変化が出ようとしているので、そういったことをしっかり議論、広報していくということは大事だと思っております。一方で、フューチャー・デザインという考え方のちょっと難しいなと感じているところは、私たちは割と責務論というか、それだけでは、現在世代の責務として将来世代のことを考えなければいけないという議論は今までされているわけですが、今回これは将来世代の利益のために行動することが現在世代の潜在的意欲にもなるという考え方だということだと理解しております。ちょっとすぐには分かりにくい点もあるのではないかなと思っており、一般の方たちに分かりやすく発信して、子どもたちの世代についてしっかり考えていく、まず思い描いていくというところから始めて、上手に広報していただくことが大事かなと思います。しかし、非常に重要な取組だと思っております。
 2つ目ですが、今のことにも関係いたしますが、やっぱり日本は、現状は経済がよくなってきていて、潮目になってきていると思いますけれども、静かなる有事である人口減少、それからまた想定外の有事というのもたくさん起こり得る、後者については不確実性が高いですし、前者については本当に喫緊の人口減少問題に取り組んでいく必要があると思っています。少子化の加速をできるだけ防ぐという点では、今まで議論ございましたように、社会の改革も大事なんですけれども、財務省の果たす役割も引き続き大きいと思っておりまして、私はやはり給付と、それから保険料とか、それから税、こういったものを一体として見て、若い世代がどういうふうになっているか、公正になっているかということもしっかり見ながら議論していくことが大事だと思っております。財務省全体として、また社会保険も併せて、この問題を考えていっていただきたいと思っております。また、人口減少は残念ながら進みますので、今までも議論が出ていましたけれども、やっぱり人口減少の中でしっかりと成長・発展を遂げていく日本でなければいけないという意味で、そこへの取組というのはかなりまだ遅れているのではないかと思っています。社会・経済を強靱化していくというところの大きな要素は生産性を上げていくというところでありますけれども、ここは財政投融資でもそういった取組が大事になってきておりますし、また同時に税でも、どういうインセンティブでこういった生産性を上げるという方向でできるのかということをしっかり考えて、人口減少の加速を止めるとともに、人口減少の世界をどう強靱化していくという両面作戦で是非、財務省としてもお考えいただきたいというふうに思っております。
 3つ目は、最近内閣府のほうからようやく2060年までの成長見通しが出て、恐らく財政とか社会保障についても多分、成長ケース、ベースラインケース、いろいろ出てくるのではないかなというふうに思っております。こういった推計が出てくること自体は大きな一歩ではあると思っておりますけれども、こういったものをどう活用していくかということが極めて重要だと思っております。やはり人口が減少していく中で、まさに今まで申し上げたように子ども世代の時代がどうなっていくかという、そういった推計などもうまく活用しながら、中長期的な財政フレームをどういうふうにしていくかという議論につなげていっていただきたいというふうに思っております。
 最後になりますが、EBPMにつきまして、私も御説明を伺いまして大変すばらしい取組だと思いました。特に賃上げ促進税制につきましては、かなり詳細に分析をされておりまして、具体的に今回の税制改正にも反映されるようなエビデンスが出されているということが非常によいと思っております。是非こういう取組を広げていただきまして、先ほど秋山さんからもございましたけれども、租税特別措置などで効果が出ていないものはしっかりエビデンスで出していって、新陳代謝して、見直すべきものを見直していくということとか、本当のインセンティブになっているかということも検証して使っていただくということを、是非お願いしたいと思っております。
 以上です。

 ○吉野座長
 ありがとうございました。
 それでは角委員、お願いいたします。

 ○角委員
 ありがとうございます。私からは3点申し上げたいと思います。
 まず1点目、令和6年度の実施計画でございますけれども、税制、総合目標2、適正かつ公平な課税の実現におきまして、令和5年度に比べまして、より具体的な記述に変更がなされております。令和5年度の成長と分配の好循環、新しい資本主義という抽象的な表現から、少子高齢化、グローバル化、デジタル化等の経済社会の構造変化に対応する観点から税体系全般にわたる見直しを進める。物価高を上回る持続的な賃金の上昇が行われる経済の実現、生産性の向上等による供給力の強化等に向けた税制の着実な実施という内容に変更されました。経済界といたしましても非常に喜ばしい変更であると感じております。残念ながらバブル崩壊以降、超高齢社会の進展による社会保障の増大によりまして、経済全体で成長投資に予算が回らず、国民1人当たりのGDPは、2000年の1位から、昨年が21位に転落をしてしまいました。この原因は、もちろん成長投資に企業も含めてお金が十分回っていないということがありますけれども、やはり女性の生産性の向上というところにあまり企業としても目を向けてこなかったんじゃないか。ですから採用自体は例えば3割が女性、総合職の4割は女性というふうなことは取り組んでいるんですけれども、その採用した女性に活躍の場を、まさにダイバーシティだけじゃなくて、インクルージョンと、そして女性が活躍するような体制を作らなければならないという点で、まだまだ不十分ではないかと思います。
 そして、現政権は一昨年、原発並びに防衛3文書の改定という従来の政権ではなし得なかった改革を実施していただいたことで、非常によかったと思いますが、今後の課題といたしましては、来年のプライマリーバランス黒字化に向けまして、社会保障、年金も含めた、是非、財政規律についての抜本的な改革を現政権に期待するところですが、その辺につきまして、財務省も是非働きかけのほうをよろしくお願いしたいと思います。
 2点目でございますが、観光立国の実現に向けた着実な遂行ということでございます。コロナからの復活元年でございますが、コロナから復活するには、やはり地方を元気にするということが非常に重要ではないかなというふうに考えます。ということで、次に取り組んでいただきたいテーマといたしましては、観光立国の実現に向けた施策の着実な遂行であります。観光立国推進基本法は1963年の観光基本法を全面的に改定し、2006年に制定されました。そして昨年3月の基本計画が閣議決定されまして、訪日外国人旅行消費額5兆円、国内旅行消費額20兆円の早期達成を目指すという内容であります。観光産業は裾野が広く、かつ地方が元気になるというメリットもあり、また、観光産業に多くの外国人労働者を活用するということで、人口減少問題にも一定の効果が出るのではないかというふうに思います。
 3点目は医療とDXでございます。先ほど秋山委員からデータの活用というお話がございました。そして、医療とDXにつきましては2022年7月現在で全国で31、地域医療連携推進法人というものがございます。その中の1つ、兵庫県の川西市と猪名川町の川西・猪名川地域ヘルスケアネットワークにおきましては、医師会だけではなく、歯科医師会、薬剤師会の3師会が参加しております。また、日本海ヘルスケアネットでは3師会参加にプラスをして検査機能・手術機能の集約化、あるいはCT・MRI等の高額医療機器の重複投資を抑制し、共同利用による仕組みの構築を目指しておられます。また、デジタル診療の進歩によりまして、例えば五島中央病院の患者の診断を長崎大学病院で遠隔診断するという事例もありまして、医療の地域格差の解消にも役立っております。ただ、まだ0.1秒のずれがありますので、オペはまだ少し難しいというようでございます。
 地域医療連携ではDXはもちろんマストでございますが、その投資につきましては他の効率化で十分ペイするというふうに思いますので、こういった取組を31ではなく、全国に横展開をするように御指導いただければありがたいと思います。
 以上でございます。

 ○吉野座長
 角委員、どうもありがとうございます。
 続きまして田中委員、お願いいたします。

 ○田中委員
 どうもありがとうございます。私が申し上げたいのは、財務省の政策評価とは、総体としての日本の道筋にかかわる政策評価でもなければならないという点です。現在、物価と賃金の好循環という言い方を政府も日本銀行もされておりますけれども、果たしてこういう現状の規定の仕方でいいのかどうかという疑問が私はある。現実にデータで検証してみますと、機械受注は決して好調ではありません。物価と賃金の好循環によって資金が投資に回るということは、どうも動いていない。株価と対比したREIT、不動産投資信託を見ますと、ここのところ、むしろ状況は悪くなっています。これは商業不動産、あるいはオフィス、住宅、いろいろREITはありますけれども、総体として業務利益の先行きについて簡単ではないという見方が広がっている。もちろん、金利が上昇するということもあるでしょう。その延長線上で言いますと、日本国債、JGBの値段は今後どうなるのか。QQEからQT、金融の量的緩和から、これからは引締めに回っていく、物価が動いているわけですから。そういう情勢だとJGBの先行きについて、そんなに値段は楽観的ではいられない。これまで我々は日本国債について、大半を日本国民が保有しているので、海外から売りにさらされることはないだろう、そういう意味では安定的だというふうに見ていたわけです。そういう現状規定みたいなものがあったわけですが、今後を考えてみると、JGBを日本国民、あるいは日本の金融機関が大量に保有しているということからいくと、その値下がりは銀行のアクティビティにも影響を及ぼしますし、国民の経済活動にも大きな影響を与えるということになります。そういう意味で言いますと、我々が政策評価をするときに、マーケットでついている値段、あるいはその先行き見通しというところから見ると、危機感は広がらざるを得ない。既に為替レートについて言えば、危機の円高という現象はもはや見られません。そして今後について言うと、為替レートと円建ての金融資産全般との関係が問われる。
 では株価はどう考えるのか。1つの解釈の仕方として、コーポレートガバナンスの改善によって1回限りの価格改定が今起きているというふうに理解すべきなのではないか。残念ながらそういう可能性が強くなる、そういう理解になるのではないかと思っています。そういう意味では、政府・日本銀行が物価と賃金の好循環と言って、これが見られるかどうかは重要だというのでやり過ごしているのは、マーケットにおける指標から見て評価は既にそんな簡単な話じゃないということになっていると。したがって、私は財務省の政策評価を総体として見れば問題がある、日本国について問題がある。とりわけJGBの値段、これは金融政策の展開次第ではないかというふうに、荒っぽく言えばそういう面もあります。しかし、日本国債を保有している人たちがある種、損なわれるというおそれが広がっていることについて私は危機感を持つ。もしそれが現実になった場合に、忠良なる日本国民にとっては、全体として政府・政策のせいで利益が棄損されたということになりかねない。
 石を持ち上げれば足を痛める、足の上に石は落っこちてくるという言い方が中国であります。石を持ち上げれば、ずっと持っているわけにはいかない、やっぱり落ちてくるんだろうと。足の甲にそのままぶつかってしまうということになる。私は現在の財政状況全般として言えば、石を持ち上げれば足を痛めるという原則が既にマーケットの中で少しずつ確認され始めているのではないかと判断しています。そういう中で物価と賃金の好循環を成立させればいいのではという議論が国政のレベルで行われているのは、私は残念なことだと思っています。
 以上です。

 ○吉野座長
 田中委員、どうもありがとうございました。
 それでは田辺委員、お願いいたします。

 ○田辺委員
 4点ほど申し上げたいと思います。
 1つは、デフレから脱却というフレーズが今回の政策評価の計画の中に入ってきたということでございます。ただ、実際のところ、これをどういう形で各論のところで変化させているかというと、主として税制改正大綱の変化を受けて、どう展開するのかというところが最大の変化になっているような気がしています。ただ、税制を変化させるというのはある意味サプライサイドエコノミックスみたいなところがありまして、サプライサイドだけの問題でいいのかなという感じはしております。特に賃金と物価の好循環ということをやるときに、逆に言うと賃金を上げて物価が上がるというコストプッシュインフレ、1970年代にあったような形でいくということが正当化されているとはとても思えない。その裏には、恐らく生産性が上がることによって賃金が物価よりもさらに上がる、上昇するという好循環というのが期待されているんだろうと思います。ただ、この生産性をどういう形で上げていくのかというところは、単にサプライサイドだけではなく、恐らく財政政策等々の様々な予算の使い方等によってかなり左右されるところがあるんだろうと思っております。
 今回、税制のところは非常に大きく変わりましたので、逆に言うと、主計局絡みのものに関してはあまり手を入れてはいないような感じはするのですが、今後こういったところもだんだんと問題になるのではないかと思っております。
 2番目は、なかなか難しい問題ですけれども、社会保障の中では2040年問題というのは相変わらず言われております。それは2041年か2042年までに、やはり高齢者人口というのは拡大していくという側面がある。他方、急速に労働人口のほうは既に低下して、その低下がさらに増えようと、拡大しようとしているところがあります。そうすると、政権の打ち出しとしては、少子化対策というのを打ち出してきたというのは非常に重要なことではありますけれども、他方で社会保障制度の維持可能性の問題というのは、ここ15年ぐらいずっと続く、かつそれがかなりシビアになっているというところをどうするのかという観点というのは必要ではないのかなと思ったという次第でございます。
 3番目は、あまり触れられておりませんし、あと、理財局のところで淡々と書かれてはいるのですが、今年、新紙幣の発行というものが出てまいります。新紙幣の発行を円滑に行うというためには、当然ながら旧紙幣の回収というのをどういう形で上手にやっていくのか。他方、紙幣を取り巻く、通貨を取り巻く環境というのは、例えばキャッシュレスの決済というのが非常に増えていますし、また、デジタル通貨というようなことも言われている。その中で、この新紙幣の発行ということを経済に逆効果を与えることのないよう、着々と行うということもなかなか、この2024年に関しては重要になってくるのではないのかと思っております。
 ラストの4番目はEBPMのところでございます。特に主税局の分析を拝見させていただきましたが、非常にいい分析をやっているなという感じはございます。EBPMもいろいろあるんだとは思うんですが、ただ、一番原則に当たるところはデータをしっかり見ろということで、かつデータも全体としてのマクロのデータではなくミクロの、個々の企業ないしは個々の個人がどういう反応をしているのかというところをきちっと見て、その分布を見るというところが第一歩だろうと思っております。今回の分析はある意味、政策的な介入によって生じた分布のところだけ見ておりますけれども、政策の介入の在り方と、それから効果の分布の変化みたいなところをきちっと今後たどっていただけると、よりEBPMのより重要な展開というのができるのではないかと思っております。ただ、財務省全体としてデータの見える化ということを進めていらっしゃいますけれども、実際の政策を担当しているのは財務省というよりは、むしろ各省の様々な部署が行っているわけです。その意味で税務とか、それから財政に関わるようなデータというものと、それから各省が実際に何をやっているのか、それをどういう形で捉えているのかというところのリンクというのが今後このEBPMという、ある意味、効かない政策はやらないという方向で追っていくためには重要なところなのではないかなと思ったということでございます。
 以上です。

 ○吉野座長
 田辺委員、ありがとうございます。
 最後に山本委員、お願いいたします。

 ○山本委員
 ありがとうございます。細かい点は事前に事務局に伝えておりますので、3点ばかり申し上げたいと思います。
 冒頭、事務局から御説明がありましたとおり、総合目標2というのは政府の方針にしたがって適正に修正されておられて、非常にいいとは思うんですが、素人目に見ますと総合目標1と6、そして総合目標2では、財政健全化という点においては同じなんですが、財政健全化と同時に達成すべき目標というのが、総合目標1と6は「経済再生」となっておるんですが、総合目標2は政府税制調査会の関係で「経済成長」と財政健全化ということになっております。これは事実上同じことじゃないかという御意見もあるかと思うんですが、微妙な差もございますもんですから、そこら辺はなるべく統一化していただけるとありがたいかなというのが個人的な思いでございました。これが1点目でございます。
 2点目は、EBPMに関連して賃上げ促進税制の予算への反映等が非常にすばらしいという、それぞれの委員の方々の評価がありましたが、私はそれはそのとおりだと思うんですが、であればなおさら、EBPM的な手法の結果を踏まえた賃上げ促進税制ということをお書きなのであれば、せめて目標となる中小企業等の税額控除の適用率等の指標を、せめて参考指標等において入れられないのか、あるいはそれは中小企業庁の所管だから財務省としては入れられないということであれば、それはそれで分からないわけではないんですが、いずれにしても最終的な効果というのは、これは5か年の繰越控除制度ですから、時間的な経過というのが必要でございますからなかなか難しいとは思うんですが、特別税額控除の適用を受けるかどうかということは、これは国税当局のほうで的確に反映できるわけですから、そういった早く把握できるモニタリング的な指標を是非、政策評価の一環として、財務省がもし適用できなければ、他省庁にも推奨していただけるとありがたいなというのが2点目でございます。
 3点目は、翁委員等からも御発言がありましたフューチャー・デザインに関することでございます。これは西條先生等がずっと主張されておられることで、考え方としては私はそれなりに非常に高く評価しておるんですが、もし財務省としてフューチャー・デザインを本格的にやるとすれば、これは財政の広報以外にも当然、税制であるとか、国債の管理であるとか、国有財産、関税・国際関係等にも適用できるわけでございますが、フューチャー・デザインをもし本気でやるとすれば、将来世代にとっての価値は何ぞや、あるいは規範となるべき点は何ぞやということを明確にしないと、実は明確にデザインできないわけでございまして、そこら辺についても今後御検討賜れれば非常にありがたいかなという思いでございました。
 以上でございます。

 ○吉野座長
 山本委員、ありがとうございました。
 それでは、私からも数点コメントさせていただきたいと思います。
 1つはデジタル化で、是非、公的部門、日本の様々な公的部門の生産性の向上、これをデジタル化がしっかり進んでいるかどうか、EBPMで財務省によって見ていただきたいというふうに思います。最近のいろいろな国々を見ていますと、アメリカだけがうまくAI活用して、今回大きなショックというのはコモディティ価格が上がったわけですから、経済の言葉で言うと総供給曲線が上にシフトして、ヨーロッパも日本もアメリカもみんなインフレに見舞われたわけです。それに対する一番いい政策は、上がった総供給曲線を右下に引き下げるということができれば一番いいわけで、アメリカはそれを自動的にAIの活用などで生産性を向上させて、それを低くしているというのがアメリカの特色で、ヨーロッパはそれが完全にできていない、日本もまだまだ遅れているということだと思います。そういう意味では、公的部門のデジタル化、特にAI活用など、いろいろ使うところがありますから、生産性向上というのをきちんと見ていただきたいというのが第1点です。
 2番目は、よく一般のエコノミストの方々が財政出動が必要だと、こういうことを言われるわけです。最近若い研究者と一緒にやっていますと、財政出動も中身がものすごく重要であると。先ほど江川委員が東日本大震災の後の補助金の問題をおっしゃっていましたけども、補助金と、それからインフラなどの政府の支出と、それからTFPとかR&Dとか、こういうものの政府の支出を、3つを比べてみますと、補助金はDSGEモデルでは一時的にしか働かない。それからインフラのほうもある程度いいんですけども、このインフラが本当にそこの地域、あるいは経済にうまく影響を与えているかどうかと。これはインフラのスピルオーバー効果と言われるわけで、税のデータがものすごく使うことができます。そのインフラ、いろいろなインフラができた後、その周りの税収が、法人税、所得税、消費税、それから固定資産税、こういうものがどんなふうに変化していったかということを見ることによってEBPMを活用することができると思います。そういう意味では、財政出動といっても、最も重要なのはやっぱりTFPとかR&Dとか、そういうものを増資をさせるのが一番長くもちます。そういう意味では、高齢化の中では、私はやっぱり高齢者にもっと長く働いてもらって、それによって、高齢者が働くことによって、こういうAIなりデジタル技術が必要だということが現場でどんどん分かってきますので、そこに対する様々な民と官を含めた支出をすることによって生産性を向上させるということが一つ日本にとって重要ではないかというふうに思います。
 少子高齢化の場合に、生まれてくる子どもさんの数を増やすというのは、今はまだ生まれていないわけですけど、高齢者の方々は現に生活されているわけですから、そういう方々をなるべく長く社会に貢献し続けていただいて、そのための技術、そしてAIの活用というのが一つ望まれると思います。
 3番目は、ちょっと財務省とは違うふうにお考えかもしれませんけども、今度、金融経済教育の新しい機構が日本でできることになりました。この金融経済教育というと、財政と金融、分離になってしまいましたから、日本銀行とか、あるいは金融庁の分野だというふうに財務省の方は思われるかもしれませんけども、私はその中に税の教育というのを必ず入れるように、是非財務省のほうからも働きかけていただきたいと思います。それこそが全体の本当の金融経済教育であると思いますし、税の重要性を子どもたちに教えるということにもなると思いますので、是非お願いしたいと思います。
 4番目は、アジアとの関係でいきますと、やっぱり日本の人材、それから国際競争力、これが重要だと思います。私は慶應で教えて、たくさんの学生がいますけども、その中の、随分多くの学生が今シンガポールに住んでいます。それから一部の学生はロンドンに住んでいます。何でかと聞くと、やっぱりそっちのほうが給料が高い、それから生活しやすいと。そうするとせっかく日本で一生懸命やっていた人たちが、これからいわゆるブレインドレインという形で海外にどんどん逃げていってしまうかもしれません。そうであると、やはり日本の国内でもきちんとした給与体系という、そういうものがある程度できてこないと、優秀な人材がどんどん外に行くということになりかねないと思います。
 それから、国際競争力とかアジアの関係では、これはアジアの国際局のほうに関係すると思いますけども、是非いろいろなアジアのASEAN+3とか会議で、アジア発の世界への発信というのをお願いしたいと思います。最近、私、環境金融の分野をやっていますと、この分野の発言というのはヨーロッパのほうからどんどん出てきて、いろんな仕組みを作ってしまうわけですね。そうではなくて、それも見方としてありますけども、是非アジア全体でいろいろな分野、環境も含めた形で発信するものをどんどん作っていただいて、こちらから攻めていっていただきたいというふうに思います。
 それから、データの分野のところでは、最近の株価の動きというのは海外からの資金の動きによっても随分影響を受けているというふうに言われていますので、既にやられているとは思いますけれども、日本と国内と海外の資金のフロー、これがどんなふうになっているか、どういう国から来ているのかというのを是非、見続けていただいて、それから一番重要なのはペイシャントでロングタームの安定的な投資家が日本に来ることが重要で、短期的なスペキュレーションの人たちが来ると非常にボラティリティが大きくなると思いますので、そういうところも注意していただけるように、是非データの活用と、そこからの何らかのウォーニングがあれば、是非発信していただきたいというふうに思います。
 最後は、先ほど内閣府のいろいろな推計というのがありましたけども、モデルというのはいろいろ特色がありまして、私の見る限り、内閣府の推計は総供給の供給サイドからのところが強いモデルです。そして、あんまり需要サイドのところは反映しにくいモデルになっています。そういう意味では、いろいろなところで長期の推計が出ると思うんですけども、できればその中身がどういう形でこういう推計ができたかというのを見ておかないと、あるときには少し間違った方向の推計というのもあるかなというふうに思います。
 以上が私からのコメントでございます。
 それでは、ただいまの皆様方、委員の先生方のコメントを踏まえまして、これから財務省、国税庁の側から御発言を頂きたいと思いますけども、まず最初に政策評価全般に関しまして、目黒政策立案総括審議官から御発言お願いいたします。

 ○目黒政策立案総括審議官
 私からは財務省の政策評価の作業を束ねる事務局の立場から1点だけ申し上げさせていただきますけれども、委員の皆様方から貴重な御意見を頂きまして、誠にありがとうございました。その中で伊藤委員から、外に分かりやすい形での政策評価という御指摘を頂いたと承っております。確かに本日の懇談会の中でも何人かの委員の方々から、財務省の政策評価、中身が進化しているというありがたい御評価を頂きましたけれども、専門的な分析などを含めてまいりますと、一方で外に向けての分かりやすさという点で配慮を欠いている面があったのではないかなというふうに反省をしておりまして、是非この後は外に向けても、国民の皆さんにとっても、専門的なことも分かりやすく読めるような形で考えていきたいと思いますので、引き続き御指導のほどよろしくお願いいたします。
 以上です。

 ○吉野座長
 ありがとうございます。
 それでは、順番に主計局次長からでよろしいでしょうか。お願いいたします。

 ○吉野主計局次長
 次長をしております吉野でございます。よろしくお願いいたします。
 極めて多岐にわたる御質問、コメントを頂いていますので、全てを網羅的にお答えできるか分かりませんが、短時間でトライをしてみたいと思います。順不同でまいりますけれども、インフレもしくは金融政策による利上げ、金融正常化ということで、財政への影響ないしは有事に備えて財政のバッファーをどう考えるか、それからインフレにおける財政運営を、いろいろな影響がございますので整理をどうするか、中長期的な財政フレームのことを検討すべきではないか、それからPBに向けての心構えをといった御質問もしくはコメントがほぼ全員の先生方からあったかと思います。広瀬先生、秋池先生、伊藤先生、江川先生、翁先生、角先生からもありましたけれども、総じてお答えさせていただきますけれども、長期金利につきましては、もちろんインフレ下において長期金利は上がってまいりますけれども、金融政策に係る要因のみならず、経済財政の状況や海外の市場の動向など様々な要因を背景に市場で決まるものではありますけれども、長期金利が上昇し、利払い費が増加すれば、財政状況の悪化により財政運営に影響を及ぼし、政策的経費が圧迫されるおそれがあることは皆さん御承知のとおりでありまして、まずは政府といたしましてはこうしたリスクも念頭に置きつつ、足元、まずですね、今後プライマリーバランスを2025年に黒字化する、それから債務残高対GDP比を安定的に引き下げていくという方針のもとで、月並みではございますが、メリハリある予算編成や重要政策課題についての安定財源の確保を通じまして、引き続き責任ある経済財政運営に努めていくことが重要であると考えておりまして、とにもかくにも2025年のPB達成に向けて全力を挙げてまいりたいと考えております。
 それから、総合目標の関連で、田辺委員から税制改正大綱が非常に大きなメッセージが出ていて変わっているけれども、総合目標1の財政の書き方は今後変更があるのかどうかというお話もあったと思います。総合目標2の税制に関する記載につきましては、政府税制調査会への諮問がございましたので適切に反映されたものと承知しておりますが、他方、財政全般につきましては、総合目標1の財政に関する記載につきましては、2023年の骨太におきまして財政健全化の旗を下ろさず、これまでの財政健全化目標に織り込むとされておりまして、先ほどの繰り返しになりますが、国・地方のPB2025年の黒字化、債務残高対GDP比を安定的に引き下げていくことという政策目標、政府全体の財政健全化目標は変わっておりません。また、内閣府の中長期試算におきましても、民需主導の高い経済成長、歳出効率化努力を前提とすれば、2025年に国・地方のPBは黒字化するという姿もかろうじて描かれておりますので、総合目標1に関しまして、財政に関する記載につきましては変更を要しないと現時点では考えておりますけれども、政府といたしましてはとにかく財政の持続可能性の信認が失われることのないよう、引き続き2025年のPB黒字化目標を維持しまして、達成に向けて責任ある経済財政運営をしてまいりたいと考えております。
 それから、幾つかフューチャー・デザインのコメントも頂きました。江川委員からは評価を頂きましたり、翁委員からもより分かりやすくと。それから山本委員からはより分かりやすく、もしくは将来世代にとっての価値が何かというお話、特に今日の会合の前には江川委員からも、バックキャストとの異なり方、どういう相違点があるんだというお話、広瀬委員からもコメントを頂きましたけれども、それにつきまして端的にお答えいたしますけれども、フューチャー・デザインにつきまして、まず江川委員から会合の前に御質問いただきましたバックキャスト、バックキャスティングという話とはどう違うのかというお話を少しコメントさせていただきますけれども、フューチャー・デザインにつきましては、将来世代は現在の政策決定に意思を反映できないという問題意識に立ちまして、現世代が仮想将来世代になりきってデザインした未来の姿を考え、現世代に対して提言を送るといった手法により将来可能性の発揮できる社会の仕組みをデザインすると定義されております。どのくらい未来の話をするかというお話も御質問いただいておりましたけれども、フューチャー・デザインを実施した自治体の例ですと、そのときの課題認識や政策ニーズに応じて20年から50年ぐらい先を想像するケースが多いと聞いております。バックキャスティングとの違いにつきましては、未来の姿を想像し、逆算して現在は何をすべきかということについては類似していると考えますけれども、フューチャー・デザイン提唱者の先生のコメントを踏まえますと、バックキャスティングはあくまで現在の視点から望ましい未来を想像するため、現在の制約や価値観にとらわれる一方で、フューチャー・デザインにおきましては自分が仮想将来世代として未来に存在していることを想定するため、未来の利益や現在の価値観にとらわれず将来世代の視点を意識することができる点においてコンセプトが異なるということでございました。
 こういうことから考えますと、先ほど様々な委員の先生方から将来の世代にとって価値が何かとか、より分かりやすくといったことが非常に重要になるというふうに考えております。
 翁委員からは評価を頂きましたけれども、どのような経緯で入ったのかと言いますと、まず令和4年秋に開催された財政制度等審議会におきましてフューチャー・デザイン研究者の1人である委員の方から御紹介があり、審議会の建議にもこうした取組をすべきだという記述を盛り込みましたところからスタートいたしました。財務省主計局におきましては、建議の趣旨を踏まえまして、財政に限らず、持続可能社会を考えていく上での諸課題につきまして、フューチャー・デザインの考え方を活用した議論に社会各層を広く巻き込み、当事者としての関心を高めていくことが重要だと考えておりまして、フューチャー・デザインの考え方を社会に広く浸透させていくために対象と目的に応じた各種コンテンツの作成を、主計局調査課を中心、もしくは広報室とも協力をいたしまして取り組んでいるところでございます。
 山本委員からは将来どんなところに活用するのかという話をいただきました。個別具体的な取組がまだ定まっているわけではありませんけれども、将来世代の視点をどのように取り組んでいくかという研究を交えての分野でございますので、その考え方を取り入れて、行政の現場で実際に活用することで住民の行動変容を実現した自治体もあるというふうに聞いております。自治体ほど身近に感じづらい国全体の財政でありますけれども、財政の在り方を含め、持続可能社会を構築していくことにつきましてはフューチャー・デザインの考え方を活用した議論に社会各層を広く巻き込んで、当事者意識を高めていただくことは非常に重要だと考えておりますので、今後はフューチャー・デザインの活用事例を調査いたしまして、好事例なども学ばせていただきまして、活用のためのノウハウや知見の横展開を図るとともに、情報共有の基盤となるポータルサイトを開設いたしまして情報発信に取り組み、フューチャー・デザインのより一層の普及推進と現場での活用ということを考えていきたいと思っております。
 広瀬委員、秋池委員からはEBPMを予算編成にもっと活用せよという趣旨のコメントを頂きました。厳しい財政事情のもとで限られた資源を有効活用していくために政府としてEBPMの推進に取り組んでおりますが、まず一般論といたしまして、令和5年度行政事業レビューの抜本的見直しを図りまして、約5,000の事業につきましてレビューの実施単位を予算の単位と標準化、同一化させまして、行政事業レビューシートに事業の性質に応じて極力EBPMの手法を本格的に導入して、先ほど来、先生のお話にありました効果などの検証も含みまして取り組むようにしてきたところでございます。財政当局といたしましても、令和6年度予算編成におきましては行政事業レビューシートを積極的に活用しまして、秋のレビューにおける指摘を適切に予算に反映しているところでございます。
 予算編成をして終わりではなく、PDCAサイクルを適切に回していくことも重要でありまして、行政事業レビューの取組と併せまして予算の見直しや執行の効率化につなげていきたいということで、予算執行調査も引き続き行ってまいりたいと思いますし、とにもかくにも関係省庁の協力や連携が非常に重要でございますので、政策効果や時々の状況を可能な限り把握した上で予算の重点化・効率化に努めてまいりたいというふうに思います。
 EBPMの中で賃上げ税制のお話以外に、秋池先生から財務局の機動的調査のお話を頂きました。診療報酬に当たりまして医療法人の財務実態を、本来厚労省にお願いしたいところですけれども、全国の財務局を使いまして都道府県に開示されている情報を集めまして、いわゆる医療法人の財務状況を公表いたしました。それによりまして診療報酬改定の中でも一定の効果が現れたというふうに思っておりまして、財務局全体を活用するので相当人数がかかっておりまして、どのように継続していくのか、厚労省にどれだけお願いできるのかも含めまして考えていきたいと思います。
 それから、コロナのお話が幾つか頂きました。角委員、伊藤委員、江川委員から、コロナについていろいろ頂きました。特に角委員からは会合の前に病床確保料、1ベッド当たり3万6,000円ぐらいであるにもかかわらず、これは入院診療収益の単位だと思いますけれども、7万4,000円支払われており、トータルすると3年間で5兆円ものお金が支出されているのは問題だし、総括すべきじゃないかというお話がございました。病床確保料から、いわゆるコロナ全般のお話を御答弁させていただきたいというふうに思いますが、病床確保など多岐にわたる課題に臨機応変に対応する観点から、国民の命と暮らしを守り抜くために真に必要な支援を実施してまいりました。その中で病床確保料によりまして最大4.9万病床の病床確保を実現してまいりました。確保料につきましては令和5年5月の新型コロナ5類感染症への変更に伴いまして順次引下げを行ってまいりましたが、令和6年度からは病床確保によらない通常の対応に完全移行することから、先日公表いたしましたけれども廃止することにいたしました。病床・コロナ対応に多額の国費を投入してまいりましたけれども、今後の新興感染症対応におきましては新型コロナの経験を生かしていくことが重要だと考えています。具体的には病床確保をはじめ、数値目標を盛り込んだ計画を都道府県において策定した上で、各医療機関の機能や役割に応じた病床確保等の措置を実施することを内容とした協定をあらかじめ締結するということを今進めておりまして、事前の備えを計画的に行うことで危機時に確実に稼働する体制を整備・確保していけるようにしてまいりたいと考えております。
 それから、あとは個別のお話が多かったかと思いますけれども、江川委員から、いわゆるもう少し考え直すべきというテーマとしまして年収の壁、一時的な補助金の対応の御指摘がございました。御指摘のとおり、年金制度改革の中で3号被保険者のことを解決していかなければなりませんので、年金制度改革、今年の夏から本格化してまいりますので、きちんと議論をしていきたいと思います。
 同じく江川委員から、エネルギーの激変緩和措置補助金のお話がございました。いわゆる脱炭素化に向けて逆行するではないかと。おっしゃるとおりでございまして、G7の会議等におきましても2025年の終わり頃にはこの激変緩和措置、いわゆる化石燃料型燃料への補助金、不効率な補助金について見直せ、廃止せよという御提言をいただいておりますので、その方針に沿って、なかなか難しい課題ですけれども、電気・ガス・ガソリンにつきまして出口を見据えた議論をしていきたいというふうに思います。
 それから、東日本大震災のグループ補助金の御指摘がございました。マスコミの報道が出ておりまして、私も同じ報道を拝見したのですけれども、東日本大震災で創設されたグループ補助金は、個人の私有財産に支援できないという制約の中で、グループで復興事業計画を作成し、地域経済・雇用に重要な役割を果たすものとして県から認定を受けた事業をやっていくという議論の中で補助金を交付した経緯がございます。その中で事業を転換したりした場合に、どれだけその補助が継続できるのかという議論、難しい議論がございまして、今まで少なくとも東日本大震災の補助金につきましてはそのまま執行してまいりましたので、事業を転換するときに補助金を返還いただくという取扱いだったかというふうに思います。今後震災が、各委員からも御指摘のありましたように継続的に起こる日本でございますので、その補助金の在り方について引き続き議論していきたいと考えております。
 それから、翁委員から保険料と税の負担を合わせて社会の負担が公正かという議論を是非してほしいという御議論がございました。主税局、主計局、協力いたしまして税の負担だけではなく、保険料を合わせた負担がいかなる構造になっているのかと、それがこれからどうしても負担が増えていく社会において公正なものなのかどうかという議論を喚起していきたいと思います。
 それから、角委員から観光立国のお話がございました。必ずしも財務省だけで実現できるお話ではございませんが、観光旅客税、コロナの中で税収が減りましたけれども、ようやく税収が規模として戻りつつありますので、こうしたものを有効活用しながら取り組んでいきたいと思います。
 角委員から、医療DXの成功事例の御紹介がございました。最近物議を醸しております子ども財源の裏側で社会保障改革をしっかりやるということをお約束させていただいておりまして、改革工程という名の閣議決定を昨年末にさせていただきまして、今回法案の一部に盛り込まれますけれども、その改革の中には医療DXの推進も確実に盛り込まれておりまして、着実に推進してまいりたいと考えております。
 それから、田辺委員から社会保障の持続可能について、これは大きな課題であり、しっかり取り組めという御指示でございましたけれども、これはとにもかくにも財政の大きな問題でございますので、少子化、さらには年金の課題も控えておりますので、そうした問題に正面から取り組んでまいりたいと思います。
 私からは以上です。

 ○吉野座長
 どうもありがとうございます。
 続きまして青木主税局長、お願いいたします。

 ○青木主税局長
 すみません、時間もありますので、いろいろと触れていただいたのですが、EBPMの取組についてお話をさせていただきます。従来ですと、こういった政策評価の話は要望官庁がしっかりと行うべきということでしたが、今年はこの賃上げ促進税制が大きな課題になることは分かっていましたので、かなり早い段階から、課を挙げて、またこういったことを勉強されている学者の先生方にも御協力いただいて取り組みました。税制改正の中でもこれをしっかり議論したということで意味があったと思っておりますが、今回取り組んで気づいたことがあります。
 1つはデータの問題です。我々は国税庁にお願いして税務データを匿名で使わせていただいたのですが、それは非常に意味がありました。さらに、容易ではありませんが、一般的な統計データと税務データをさらにうまくつなぐという課題もあると思います。
 それから、適用実態から実際に効果があったのかどうかなどを見ていきますが、その先の話で、委員の先生方から御指摘もありましたが、適用実態だけではなく、賃上げ促進税制が本当にインセンティブになっているのかどうか、企業や個人が様々な判断をするときにこの税制が効いたのかどうかなど、もう1つ突っ込んだところというのは、このような分析のみで検証するのは難しいところもあり、手法をどのように深めていくのかという課題は1つあると思いました。
 また、今回は賃上げ促進税制のみでしたが、非常に意味のあることだということが分かりましたので、ほかの様々なものにもこのような取組を広げていく、深めていくいい機会になったと思います。
 最後に、翁先生からもお話がありましたが、負担の在り方のようなところも、データやエビデンスでしっかり見ていく必要があると思います。主税局も今まで、例えば1億円の壁などで取り組んできましたが、消費税や財政に対する国民の理解と、我々財務省や学者の方々の理解の間にはかなりギャップがあると感じており、データやエビデンスに基づいて、負担の今の状況やどのような負担のあり方が国民全体、経済全体にとっていいことなのかを示していかなければいけないと思っております。先ほど吉野次長からも話がありましたが、そういったことにもしっかり取り組んでいきたいと思っております。
 以上でございます。

 ○吉野座長
 どうもありがとうございます。
 時間の関係もありますので、是非ポイントだけで結構ですので、奥理財局長、次お願いいたします。

 ○奥理財局長
 お時間ない中、申し訳ありません。田辺委員から新紙幣の発行、改刷につきまして御指摘を頂きましたので一言だけ、補足的に御説明させていただきます。
 紙幣及び貨幣については、偽造防止の観点から一定の期間において新しいものに取り替えていくということが必要であり、前回から20年を経過いたしましたので、今年7月から新しい紙幣を発行するということとしているところです。キャッシュレスのお話などございましたけれども、確かにキャッシュレス比率を高めていくというふうな話もありますし、デジタル通貨の議論というのも今行われているところでありますけれども、日本の現状を見ますとキャッシュレス比率、諸外国に比べて現在30%程度ということで、かなりまだ低い状態にあり、特に銀行券、一万円札の趨勢などを見ますと、15年前と比べてかなり量が増えている、まだそういうような情勢にあり、日本の経済においては、現金に対するニーズというのはまだかなり高い状況が続いているという状態でございます。その上で委員から御指摘を頂きましたように、経済に大きな負荷をかけることがないよう、また混乱を生じることがないように、その発行を進めていく、また旧紙幣の回収というものを円滑に進めていくということが大事であるというふうに思っておりまして、私ども引き続き、旧紙幣についても今後も使用できるなど、混乱・誤解が生じることのないように周知・広報に努めてまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。

 ○吉野座長
 ありがとうございます。
 三村国際局長、お願いいたします。

 ○三村国際局長
 お時間ない中、申し訳ありません。吉野座長からASEAN+3等の枠組みの中でアジア発の世界への発信を是非というお話でございました。全く御指摘のとおりでございまして、ASEAN+3、日本は昨年の議長国をやっておりましたけれども、例えば気候変動の関係で言いますと災害リスクファイナンス、これは日本の地震保険の教訓も生かしながら気候変動の適応にも役立つというようなことで日本が旗を振ってございますし、それからヨーロッパが、ともすると明日から全部再生エネルギーに行けというような議論もする中で、そうは言っても化石燃料から再生エネルギーに行く中での移行の過程というものもあるのでトランジションファイナンスが大事だと、こんな話もして、この辺りもかなり世界でもだんだん浸透してきているかなと思ってございます。まさにこういったことをやっていくことが大事だと思っておりまして、時間を延長して余計な話までして恐縮ですけれども、私はよく国際局の職員に言っていますのは、サッカーの日本代表が世界で優勝するためにはエースストライカーが必要であると。国際会議の社会において日本がリードするためには、エースストライカーに当たるものはアジェンダセッティング能力でございまして、エースストライカーに対してディフェンスしているだけではワールドカップで勝てないように、欧米が設定したアジェンダに対してディフェンスしているだけではこれまた世界をリードできませんので、我が国際局もメッシやロナウドに負けないようなアジェンダセッティング能力を引き続き獲得するべく努力してまいりたいと思ってございます。ありがとうございます。

 ○吉野座長
 どうもありがとうございます。
 坂本総括審議官、お願いいたします。

 ○坂本総括審議官
 田中委員から我が国が抱える課題は非常に深刻なものがあるのに賃金と物価の好循環というふうなことを政策目標に掲げているのは非常に、これで事足りると考えているとすれば問題だという御指摘がございました。大変重要な御指摘で、全くそのとおりだと思います。我々、デフレ脱却ということでもがいていたものですから、そこから熱量のある持続的な経済成長のある社会にいくということをやや比喩的に、この一部を捉えて賃金と物価の好循環、この「好循環」の3文字にいろんな意味を込めてついつい使っているんですが、おっしゃるとおり非常にミスリーディングな面もあるので、コミュニケーションに気をつけてまいりたいと思います。大切なことはイノベーションなり、リスキリングをしっかり起こして生産性を向上することですとか、地政学リスクに適切に対応する、あるいは少子化を食い止める、そして財政健全化という形でこの国の経済社会のリスクをきちんと減らしておくといったようなことを、本質的なことをしっかり取り組んでいくということだと考えておりますので、そういった意思がしっかり伝わるようにコミュニケーションに努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

 ○吉野座長
 ありがとうございました。
 最後に、ちょっと時間をオーバーしてしまいましたけれども、茶谷事務次官から御発言をお願いいたします。

 ○茶谷事務次官
 今日は委員の先生方におかれましてはお忙しい中、御出席賜りまして、また、貴重な御意見を賜りましてありがとうございます。いよいよ何十年ぶりかで金利のある世界が起こり始めてきまして、財政面で言えば今までプライマリーバランスという概念で来ましたけれども、プライマリーバランスというのは御覧のとおり利払い費がない世界ですが、利払い費を本当に考える世界になると当然財政収支という概念も出てくるわけで、こういうことも今後視野に入れながら財政の目標をどうしていくかというのは議論をしていく必要がありましょうし、また、田中先生がおっしゃった足元、物価と賃金の好循環と、これはもう足元の課題だけではなくて、当然日本というのは委員の皆さん方がおっしゃったような人口問題、それから生産年齢人口の急速な減少とか、あるいは高齢者の高齢化がものすごい勢いで一挙に進んでいるとか、またあるいは生産性というのが決定的に先進国の中で劣後してしまったと、こういう様々な日本の課題というのを中長期的にどうしていくか、これは財務省も予算から税制、国際金融まで、お金にまつわる、ありとあらゆる政策を所管している省庁ですので、どうしていくかというのを考えていくというのは我々の大きな責務ですし、また、実際政策を考えていく上では、国民の方、関係者の方の御理解を得るという意味ではEBPMとか、こういう大きな手法も使いながら、どうやって国民の御理解を得ていくか、そういうことも考えながら我々なりに努力していきたいと思いますので、引き続きまた貴重な御意見を賜れればと思っております。
 今日はどうもありがとうございました。

 ○吉野座長
 どうもありがとうございます。10分ほどオーバーしてしまいまして申し訳ありませんでした。
 次回の懇談会でございますけれども、通例ですと6月頃の予定でございます。議事内容としましては、財務省の令和5年度の政策評価書及び国税庁の令和6事務年度の実績評価実施計画、これを予定しておりますが、改めて事務局より御連絡させていただきます。
 本日の懇談会の議事内容につきましては、各委員の御確認の上の後、財務省のウェブサイトで公表させていただく予定でございます。
 財務省におかれましては、今日の委員の先生方の御意見も踏まえまして、しっかりPDCAサイクルを回していただくようにお願いしたいと思います。
 これをもちまして今日の第79回の政策評価懇談会を閉会させていただきます。どうもありがとうございました




──了──