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第77回 財務省政策評価懇談会(6月14日開催)議事録

日時    令和5年6月14日(水)09:57~11:50

場所    WEB会議(財務省国際会議室を含む)

出席者

懇談会メンバー
(懇談会メンバー)

秋池玲子

ボストン・コンサルティング・グループ 日本共同代表

秋山咲恵

株式会社サキコーポレーションファウンダー

翁 百合

株式会社日本総合研究所理事長

角 和夫

阪急電鉄株式会社会長

田中直毅

国際公共政策研究センター理事長

田辺国昭

国立社会保障・人口問題研究所所長

広瀬道明

東京ガス株式会社取締役会長

山本

東京大学名誉教授、一般社団法人青山公会計公監査研究機構主任研究員

座長吉野直行

慶應義塾大学名誉教授、金融庁金融研究センター長
東京都立大学経済経営学部特任教授

(敬称略、五十音順)

(財務省)

茶谷事務次官、青木官房長、奥総括審議官、新川主計局長、坂本主税局審議官、山崎関税局審議官、齋藤理財局長、三村国際局長、江島財務総合政策研究所長

(国税庁)

阪田長官、中村審議官、原監督評価官室長

(事務局)

渡部政策立案総括審議官、原田政策評価室長

議題

(1)令和4年度財務省政策評価書(案)について

(2)令和5事務年度国税庁実績評価実施計画等(案)について

議事録

 ○吉野座長 
 それでは、少し時間が早いですが、皆様おそろいですので、ただいまから第77回財務省政策評価懇談会を開催させていただきます。
 今回もウェブ開催ということになっております。音声が聞きにくいなどのトラブルがございましたら、事務局まで御連絡いただきたいと思います。
 それでは、議題に入らせていただきたいと思います。
 議題は2つございまして、最初は財務省の令和4年度政策評価書(案)及び国税庁の令和5事務年度の実績評価実施計画書等(案)の2つでございます。これらをまとめて渡部政策立案総括審議官からまず御説明いただきたいと思います。
 渡部審議官、お願いいたします。

 ○渡部政策立案総括審議官 
 渡部でございます。冒頭御説明をさせていただきます。
 通しで表紙からページを512ページまで打っておりますが、画面には出ますので、ページについてはそれをもって御説明させていただきます。
 まず初めに、財務省の令和4年度政策評価書(案)につきまして、資料1の概要ペーパーに沿って御説明をさせていただきます。ページ番号は3ページからということになります。
 1枚おめくりいただきまして、4ページになります。「政策の目標」の体系図に令和4年度の評定、S+、S、A、B、Cの5段階になりますが、これを記載しております。財務省においては、6つの総合目標と24の政策目標、国税庁の政策目標3つを除きますが、合わせて30の目標がございます。これらの評定について前年度の評定から変化があった目標は2つ、政策目標の6-1、それから11-1だけで、それ以外の目標は前年度の評定から変化はございませんでした。評定に変化があった目標については後ほど御説明をさせていただきます。
 次に、5ページを御覧いただければと存じます。こちらは令和4年度における5段階の評定区分ごとの集計結果でございます。総合目標につきましては、「A 相当程度進展あり」が4つ、「B 進展が大きくない」が2つとなっております。政策目標につきましては、「S+ 目標超過達成」が1つ、「S 目標達成」が17、「A 相当程度進展あり」が4、「B 進展が大きくない」が2となっております。
 次に、6ページのほうに進めさせていただきます。こちらは総合目標の評定結果一覧となります。総合目標は、財務省が省として当面取り組んでいる大きなテーマを示しているものでございまして、中期の目標としております。評定に当たっては、中期的視点から見て、外部事情も含め、総合的な判断を行っておるところでございます。令和4年度においては、総合目標1と6はB、それ以外はAとなっております。
 次に、7ページと8ページに進めさせていただきます。こちらは政策目標の評定結果の一覧になります。政策目標は、個別の政策に係る目標になります。測定指標の達成度を基礎として、単年度評価を行っているところでございます。令和4年度におきましては、Bが2つ、政策目標の1-1と1-2になります。それで、Aが4つ、政策目標の1-5、3-1、5-3、7-1でございます。それからS+が1つ、これは6-1でございます。残りがSとなっております。なお、Bにしたものにつきましては、評定理由などについて後ほど御説明をさせていただければと存じます。
 次に、9ページに進めさせていただきます。9ページは、令和4年度における財務省の主な取組について各局1項目ずつ記載したものですが、時間の関係から説明は割愛とさせていただければと存じます。
 次に、10ページのほうを御覧いただければと存じます。こちらは、令和4年度の評定が「B 進展が大きくない」となった目標について、評定理由と今後の政策への反映について記載したものとなります。B評定となった目標は合計4つございますが、順番に御説明をさせていただきます。
 総合目標1、財政になりますが、これは、真ん中の「評定理由」欄に記載がございますように、全世代型社会保障に向けた改革に取り組み、社会保障制度の基盤強化を進めましたが、財政健全化に向けた取組を実施し、2025年度のプライマリーバランスの黒字化等の目標に向かっているものの、新型コロナウイルス感染症への対応や物価高騰対策等の影響もあり、我が国の財政状況は極めて厳しい状況が続いているということを踏まえ、B評定としております。
 そして、右側の「政策への反映」欄に記載がございますように、このような評価結果も踏まえまして、引き続き経済再生を図りながら、歳入・歳出両面において財政健全化に向けて取り組むこととしております。
 次に、総合目標6、財政・経済運営の目標でございます。関係府省と連携しながら、経済成長と財政健全化を両立できるよう、「骨太の方針」等に沿って適切な財政・経済の運営を行ってきましたが、先ほどの総合目標1の御説明と同様に、新型コロナウイルス感染症への対応や物価高騰対策等の影響もあり、我が国の財政状況は極めて厳しい状況が続いております。このような状況を総合的に勘案し、B評定としておりますが、評価結果も踏まえまして、引き続き適切な財政・経済の運営を行うとともに、予算を迅速かつ着実に執行し、相次ぐ自然災害からの復興の加速に取り組むということとしております。
 次に、1ページおめくりいただきまして、11ページになります。こちらは、政策目標1-1、財政の効率化・質的改善というものでございます。必要な予算措置を行うとともに、様々な改革努力も積み重ねてきましたが、我が国の財政状況はより一層厳しさを増しており、今後とも歳出・歳入両面の改革に取り組む必要があるということから、B評定としております。引き続き重点的な予算配分を通じた財政の効率化・質的改善を図ることとしております。
 次に、政策目標1-2、歳入の確保でございます。政策的経費を賄うのに十分な歳入の水準を確保できておらず、また、歳入増につながる具体的な制度改正等の取組も十分に行うことができていないことから、B評定としております。今後もコロナや足元の経済情勢を踏まえつつ、経済指標や課税実績等の幅広い要素を基に見積りを行うことにより、税収及び税外収入の確保に努めるということとしております。
 次に、12ページを御覧いただければと存じます。こちらは、令和4年度の評定が前年度の評定より高くなった目標について、評定の理由等を記載したものになります。前年度より評定が高くなった目標は2つ、政策目標の6-1、11-1でございますが、順番に御説明をさせていただきます。
 まず、政策目標6-1、外国為替市場、国際金融システムの安定というものでございますが、こちらは、前年度はS評定だったところ、令和4年度はS+評定となりました。その理由でございますが、令和4年2月から始まったロシアによるウクライナ侵略及びベラルーシによる当該侵略等の支援に対し、G7をはじめとする国際社会とともに金融制裁の強化に取り組んだと。具体的には、暗号資産が制裁の抜け穴となることを防ぐための外為法改正、資産凍結等の累次の制裁措置、世界的なエネルギー市場の安定を図りつつ、ロシアのエネルギーによる歳入を減少させるためのプライスキャップ制度の導入、その他様々な対応を行ったところでございます。政策環境の激変に対応する中で達成されたこれらの実績は、目標の達成を目指して標準的に事務を行った結果達する程度を明らかに超える水準であるというふうに自己評価いたしまして、S+評定とさせていただきました。
 13ページのほうに参らせていただきます。政策目標11-1でございます。たばこ・塩事業のものになります。こちらは、前年度はA評定でございましたが、令和4年度はS評定となりました。その理由でございますが、たばこ事業に関しては、従前より製造たばこ小売販売業の許可に係る標準処理期間達成率という測定指標を設定しているところでございます。これは、申請を受理した日の属する月の末日から原則2か月以内に処理するというものでございます。この測定指標につきまして、令和3年度においては実績値が目標値を下回りましたが、令和4年度においては実績値が目標値を上回ったということで、S評定とさせていただいたところです。
 それから、14ページ、15ページは、令和4年度における財務省本省のデジタル化の取組を取りまとめたところでございます。デジタル化の取組は、引き続きしっかりと進めていきたいというふうに考えているところでございます。
 以上が、財務省の令和4年度政策評価書(案)の説明になります。
 続きまして、国税庁のほうに移らせていただきます。国税庁の令和5事務年度実績評価実施計画等(案)につきまして、こちらは資料2の概要ペーパーに沿って御説明をさせていただきます。通し番号のページだと18ページになりますが、御覧いただければと存じます。
 今回の計画の概要についてでございますが、「目標の継続」とありますように、令和5事務年度における実績目標等は、前事務年度と同様の体系を維持してございます。その上で、「測定指標等の見直し」とありますように、まず1つとして、「あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会」の実現を目指し、納税者の利便性を向上する観点、2つ目として、デジタルの活用により調査・徴収事務を更に効率化・高度化する観点、この2つの観点から測定指標と参考指標の見直しを行ったということでございます。
 次に、19ページのほうを御覧いただければと存じます。令和5事務年度の目標の体系図となります。令和3事務年度の計画におきまして、中段にございます税務行政のデジタル・トランスフォーメーションと、その下にございますそれに関する業績目標2つを新たに設置したところでございます。令和5事務年度においてもこの目標体系は維持した上で、内容をさらに深化させていきたいと考えているところでございます。
 20ページを御覧いただければと存じます。20ページからは、今回の計画において、主にデジタル・トランスフォーメーションの推進の観点から行った指標の見直しについて記載をしているところでございます。一例を申し上げますと、1つ目でございますが、納税証明書の15分以内の発行割合という測定指標につきまして、これまで継続して目標を達成しており、迅速かつ的確な処理が定着したと考えられること、それから、オンラインによる請求・取得の利用拡大を図ることがより重要となっていることなどを踏まえまして、廃止とさせていただいております。
 2つ目のe-Taxの利用状況等という測定指標でございますが、こちらは、利用率の現状などを踏まえまして目標値を上方修正してございます。例えば所得税のe-Tax利用率につきましては、目標値を65%から71%に引き上げております。
 次に、22ページのほうに進めさせていただきます。上から2つ目でございますが、データ活用による調査・徴収の効率化・高度化という定性的な測定指標を新設させていただいております。これは、膨大なデータ及びAI等を活用して、申告漏れリスクの高い者などを効率的に抽出して調査事務に生かしたり、滞納者への接触に際して最適なアプローチを予測して滞納整理事務に活用したり、また、このようなデータ活用のための人材を育成していこうというものでございます。
 最後に、27ページと28ページの参考2でございますが、こちらは国税庁全体のデジタル化の推進の取組の状況を一覧にまとめたものでございます。令和5事務年度におきましても、デジタル化は引き続きしっかりと進めていきたいと考えているところでございます。
 以上で国税庁の令和5事務年度実績評価実施計画等(案)の説明を終わらせていただきます。
 最後に、配付資料はないので口頭になりますが、政策評価制度の全体の動きにつきまして、簡単に御説明をさせていただきたいと存じます。本年3月28日に総務省が政策評価法に基づき定めております政策評価に関する基本方針が一部変更となっております。この変更によりまして、政策効果の把握・分析機能の強化を図り、政策の実施状況や効果の的確な把握と意思決定過程における一層の政策評価の活用に取り組むということとされたところでございます。
 さらに、この変更を踏まえまして、総務省におきましては、令和5年度内を目途に、評価手法や意思決定過程における活用方法等を示す新ガイドラインを策定する予定となっております。このため、財務省におきましても新ガイドラインを踏まえまして、3月に策定し、この場でも御議論いただきました基本計画等の変更については検討してまいりたいというふうに考えております。
 冒頭、私からは以上になります。

 ○吉野座長
 御説明どうもありがとうございました。
 それでは、いつものように、あいうえお順で各委員の方々から御発言をいただきたいと思います。
 あいうえお順で御指名させていただきましたら、ミュートボタンを解除して御発言をお願いしたいと思います。時間の関係もありますので、お一人当たり5分以内で発言をお願いできれば幸いでございます。
 それでは、秋池委員から、まずよろしくお願いいたします。

 ○秋池委員 
 まず全体に、令和4年度財務省の政策評価、それから令和5年度の国税庁の実績評価実施計画等につきまして、私は個別な異論はございません。その上で、まず財務省ですけれども、今、少子化その他様々な議論が世の中であります中、これは学問的にというよりも私の感覚的なところになりますが、これだけ財源の議論も共にされているというのは、恐らく財政、税制の両方でかなりの御努力を皆様がしてくださったからではないかと思っております。このままの財政の状態で行くわけにいかないということが広く知られる。それから、何か政策をするときは財源が必要なのだということが、より国民に浸透するような流れに今なっているかと思っておりまして、そのことに大変敬服をするところでございます。
 それから、世界が極めて激しく、かつ速く変化する中で、通貨・金融システムも大変難しいことが多いと拝察します。それにつきましても様々な御苦労もおありと思いますが、お取組をしておられることにつきましても、大変よかったのではないかと思います。
 課題としては、今後コロナ禍対策をいつ終わりとするのか。それから、物価高騰対策ということも出てくるわけですけれども、健全なインフレということは、この先長期にあり得ることでありまして、何を物価高騰と呼び、何を健全なインフレと捉えるのかというあたりも踏まえて、財政投融資、政策金融に関わらず、様々な政策についてより考えを深めていけるとよろしいかと思います。本当の意味でのこの国の将来や全体像を描けるということについて、財務省の取組に非常に期待を申し上げるところでございますので、引き続きの御尽力をお願いできればと思います。
 それから、国税庁の件につきましては、デジタル化ということが大きく取り上げられています。当然ながら今までどおりの業務もなさりながらデジタル化ということですが、デジタル化は手段でありまして、これで生み出された効率性でありますとか、正確なお取組といったものをどう生かしていくかというところについて恐らく様々な議論をなされていると思いますけれども、そういった辺りがいずれ実ってくることも併せて期待したいと思います。
 以上でございます。

 ○吉野座長 
 どうもありがとうございました。
 引き続きまして、秋山委員、お願いいたします。

 ○秋山委員 
 秋山でございます。
 私も、秋池さんと同様に、全体としておまとめいただいた評価については異論ございません。とりわけ、今回最も印象的で、コメントさせていただきたいと思いましたのは、今回B評定になった部分です。これは、経済再生と財政健全化の両立について、なかなか財政規律の面で困難に直面しているというふうに理解をしておりますけれども、これは財務省の政策というより本質的には政治のモメンタムによって引き起こされた問題であって、今回の評価においてここがB評定になったということは、政治に対するメッセージでもあるし、あるべきだなというふうに思いました。そう考えると、この評定結果がどの程度特に政治に対するメッセージとして有効なのか、あるいは有効であるべきなのかということについて、今回は改めて認識をした次第です。
 先ほど、最後に御説明がありました総務省によって政策評価制度の見直しというか、バージョンアップが行われる予定で、新しいガイドラインが発出されるということですけれども、この辺りは、こういう観点から今後取り組んでいければいいのかなと思います。特に課題として挙げられて御指摘いただいている補正予算ですとか予備費の問題については、ガバナンスとして守るべきガイドラインですとか、あるいは目標と評価といったものがやはり必要なのではないかということも改めて感じた今回の評定結果でございます。
 あと、国税庁に関しましては、従来よりコメントさせていただいておりますように、デジタル化に向かう姿勢は大変すばらしいと思っておりまして、特に今回の報告書の中でもデータとAIの活用は、効率においても効果においても非常に可能性が高いものだと思いますので、これからの更なる活用に期待をしております。
 以上です。

 ○吉野座長 
 ありがとうございました。
 それでは、翁委員、お願いいたします。

 ○翁委員 
 御説明ありがとうございました。私も、財務省の令和4年政策評価書(案)、それから国税庁の令和5年実績評価実施計画(案)につきまして、大きな異論はございません。私も秋山さんと意見が共感するところが非常に多くて、少し重複する面もあるんですけれども、コメントさせていただきます。
 私も、財政や経済・財政運営のところでBとなっているところについて、これをどういうふうによりよい形で取り組んでいくかということが今後の課題でもあるなと思っております。現状、防衛費の問題とか、子育てとか、それから産業政策自体も、様々な半導体関係とか日本が劣後している分野に対して、歳出しなければならない分野というのはどうしても増えてきていると思っておりますし、それ自体は大変大事なことなので、しっかり見極めて予算をつけていくということは大事だと思っております。一方で、財源についてある意味ここまで、防衛のときもそうでしたし、子育てのときもそうでしたし、これをどうするのかということが必ず議論になっているわけでございますけれども、この点についての議論がさらに国民全体で深まっていくことが非常に大事だと思っております。
 その点を3点申し上げたいんですが、1つは、今も出ております歳出改革ということでございます。1つは補正予算の話。これは秋山さんもおっしゃいましたけれども、ここに対する規律みたいなことは大変重要なことだと思っております。
 それから、今回歳出改革というのが子育てのところでも出てきているわけでございますけれども、社会保障の分野につきまして、どこに給付と負担の問題、適正化をするところがあるのかということをしっかりデータで見せて、そして、ここの歳出改革が必要なんだということがしっかり見えてくるということが大事なのではないかと思っております。
 やはりできるだけ医療機関も含めて情報の開示を進めて、そして様々な統計も駆使して、こういったところの歳出改革が必要なんだということをエビデンスベースでできるだけ明らかにしていく努力がどうしても必要になってくるのではないかと思っておりますし、そういったものの開示で国民もなるほど改革が必要だというふうに納得できるのではないかと思っております。
 2つ目は、どうしても最終的に国債に依存するということになりがちなんですけれども、一方で、将来世代というか、人口はどんどん減少していく。人口減少が加速しないように今一生懸命やっているわけでございますけれども、人口が減少していくということが、先般人口統計などでも明らかになっているわけでして、この場合、将来世代の負担がどうなるのかというようなことがより明らかになることによって、国民全体にとって危機感みたいなものももう少し明らかになるといいのではないかと思います。   
 3点目は、EBPMの徹底です。

 ○吉野座長 
 翁委員の音声が少し聞きにくいんですが……。

 ○翁委員 
 成長戦略をいろいろやってきて、効果があったのか、どこに問題があったのか、そういったことのPDCAが回るような形で、しっかり必要な政策は打って持続的な経済成長につなげていただきたいと思いますが、その効果をしっかり測るという努力をさらにしていくことが必要ではないかと思っております。
 それから、国税庁に関しましても、非常に今デジタル化を進めていただき、大変御尽力いただいており、今後も取り組まれるという実施計画になっておりまして、大変心強く思っております。デジタルインボイスですね。今年はインボイスが始まりますけれども、ここの分野も官庁横断的に取組が進んでおりまして非常に心強く思っていますが、こういったものが全体として進んでいくことは、日本経済の生産性にとっても非常に重要だと思っておりますので、取組をぜひ各官庁が一体になって進めていただきたいと思っております。
 また、AIですね。これは秋山さんが正に御指摘いただきましたけれども、先ほどの御説明では、滞納者の抽出なんかに非常に効果を及ぼすんじゃないかということで取組をされるということですが、正に効率化と、付加価値の向上と、様々なデータを分析することによって、いろいろな分野で使えていくと思っております。人手の問題もあると思いますけれども、ぜひAIをデジタル化の1つの大きな活用のツールとして、税務行政に活用していただきたいなと思っております。
 以上でございます。

 ○吉野座長 
 どうもありがとうございます。
 それでは、田中委員、お願いいたします。

 ○田中委員 
 税負担の問題が、日本の将来課題に対して正当に割り当てられていないことをどう考えたらいいのかという問題に帰すると思います。これまで財政規律は、霞が関におけるある種のマトリックスによる解の模索過程に依存してきました。ブラフ(脅し)があったり、あるいはペイオフ(利得)のやりとりがはさまる場合もありました。政治家と役人との間でも、そういうペイオフマトリックスを前提にして、結果として財政規律を働かせるということだったわけですが、それが御存じのように効いていない。
 GDP比で見て、260%の国債残高負担というのは先進国の中でもとびきりの数値になった。それから、日本銀行のバランスシートも、大きなものになった上にエグジット(出口)が工夫できないでいる。指し値オペはこれからもやるという姿勢です。ですから、日本についての国際社会における信頼性というのは、その都度、一体どの程度信頼できるのかというのが試され続けるわけです。
 国際社会で、例えばイタリア国債が下がるとか、あるいはイギリスにおいてトラス政権ができて、財政規律が無視されるというような状況のときには、彼らの国債が下落するのは当然です。日本国国債(JGB)のETFがヨーロッパで上場されていますが、そういうときには、必ずリスクヘッジのためにやっぱり日本国国債を皆売っている。
 ですから、指し値オペで買い続けているから、利回りはある幅を超えないんだと、日本銀行はそう言い続けていますけれども、私は日本銀行の人に、そういうことを言っていられる時期もあったし、もうちょっと続けられるかもしれない。だけど、次に大きな先物でJGBをはじめとして円建ての金融資産が売られるときには、これはもう歯止めが利かない。財政規律が利いていないことは売り材料だ。日本が得意だった政官業の間で利かせる仕組みが働いていない。
 ですから、私は、財務省としては、これはある種の国民運動によって、コミュニティにおける自己保全動機を呼び覚ますという方向性を模索すべきです。どうやったら我々の社会の不安定性を封じ込めることができるのかというテーマに関心があるのは、普通で言えば保守陣営、あるいは保守主義的な思想の持ち主ということになります。自分たちの社会の不安定性をできるだけ未然に摘んでおきたいということは、普通の言葉で言えば保守主義なんですが、本当の意味での保守主義は日本社会に今こそ必要なんだと思います。
 20年以上前に霞が関の間で政策評価の仕組みを入れたのは、各役所の横並び感覚を当てにして自分たちだけが力量が足りない、あるいは覚悟が足りないというようなことは回避するだろうから、横並びで政策評価をしてもらおうと。それによって、行政官庁間に規律を持ってもらおうという趣旨だった。しかし、それが全体として働いていないという厳しい現実から議論を開始しなければいけないと思います。
 コミュニティレベルでは、コミュニティセンターの維持は難しいとか、橋が維持できないとか、どんどんこれが進んでいきます。本州と四国に架かっている3本の橋は、本当に3本の橋の補修が今世紀の半ば過ぎまで続けられるのか。1本は残すとしても、あとの2本は落とさなければいけないというような試算だって登場しかねない。現実はそういう状況になっている。
 そうすると、やっぱり財務省が抱えている課題ではあるんですが、財政規律をどうしたらいいのか。でも、財務省が他の役所、あるいは政治との間でディールを中心にして案をまとめ上げていくというやり方がもう限度に来たというか、それが利いていない。既に役割を果たしていないということから議論すべきではないかと思います。
 そういう意味では、政策評価の話の導入された時期と今日とでは状況が変わってきている。このことを何らかの形でメッセージとして伝えなければならないと私は思っています。
 以上です。

 ○吉野座長 
 どうもありがとうございます。
 それでは、角委員、お願いいたします。

 ○角委員 
 皆さんがおっしゃったように、今回の評価につきましては、残念ながら仕方がないのかなと思います。特に総合目標6についてB評定です。これは初めての経験ということもあったと思うんですけれども、例えば阪急交通社が、入院をしない罹患者の方たちのケアといいますか、情報をやり取りする、そういったことを受託してやらせていただいたんですけれども、旅行事業をやっているよりもはるかに多額の営業利益が出るというのは、業者の選び方、あるいはその価格の設定の仕方について問題があったと思いますので、次回以降はそういうことがないように適正な価格で発注するということを、今回の反省材料としては認識しておいていただけたらなというふうに思います。
 そして、総合評価以外の話で、1点は安全保障ですけれども、前回の政策評価懇談会におきまして、昨年末新たに策定されました画期的な防衛3文書によりまして、戦後70何年にしてようやく「自分の国は自分で守る」という方向性が示されたことは非常によかったけれども、5年間で26兆から43兆円にする。財源を手当てするだけではなく、国防は永遠に続くわけですから、安全保障については安定財源の検討が必要であるということを申し上げました。かつ、GDP比1%を2%にする。これは、例えば海保が国交省の予算というふうなことも考えますと、実質的には1.6%を防衛省の予算を上げていかなければならないという約束は国際公約でもあります。
 そして、政府・自民党の広報紙が出されました。その中で、今後5年間で増額する防衛費の内訳が公表されております。その主な項目を読み上げますと、1、スタンド・オフ防衛能力が0.2兆から5兆円、そして、2、宇宙・サイバー等領域横断作戦能力が3兆から8兆円、3、弾薬・誘導弾が1兆から2兆円、4、装備品の維持整備費・可動確保が4兆から9兆円となっております。
 この1、2の項目については誰もが納得すると思いますが、3、4については、今までのいわゆる防衛庁のやってこられた取組が、残念ながらいざというときには役に立たない状態ではなかったのかと言われても仕方がないのかなというふうに思います。
 そして、ウクライナ、今回のロシアの戦争が証明いたしますように、今後の紛争では、2、宇宙・サイバー等の項目が最も重要であり、かつ日本だけではなくて、今日はいろいろ連携の新聞記事が出ておりましたけれども、自由主義国の連携を深める必要があります。今こそ防衛につきまして国民の理解、納得感を得るにはどうすればいいのか、真剣に考えて行動すべき時期だと思います。
 2点目が、まさに今、国会で問題になっております少子化対策です。少子化につきましては、デフレ、低成長によります将来不安が最大の原因であると申し上げました。では、なぜ先進国の中で日本だけがこれほど長期間賃金が上がらなかったのか。そして、ホテルの価格にしても、ハンバーガーにしても、管理職の年俸にしてもなぜ上がらなかったのか。その理由としては、企業も国も成長投資、あるいは人への投資を怠ってきたことを反省すべきではありますけれども、ダイバーシティ&インクルージョン、特に女性の活躍に熱心でなかったことで、女性の生産性がトータルとして低いままとなってしまったことが大きく影響していると思います。
 ここ数年、各企業が非財務情報の改善に熱心になりまして、女性の採用、管理職の比率、役員数、男性の育休の取得状況等につきましても、かなり熱心に開示をする企業が増えてまいりましたので、少し期待が持てると感じております。女性が活躍し、安心して出産し、M字カーブが起きないよう経済団体も頑張っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。
 そして、これは別件ですけれども、公費比率の話ですが、医療については43%、介護は55%に対しまして、子供・子育てについては公費負担が82%。要するに、事業主と雇用保険が9%負担というふうになっている点については、見直す時期ではないかなと思います。ただ、解散がどうなるのかという状況で、増税についてあまり期待はできない状況でございますが、少し時間をかけて、安全保障の問題だけではなくて、少子化対策やDXについての将来像を国民に示し、そして、これには当然幾ら切り詰めても足らない部分が必ず出るわけですから、そういった増税について選挙後に期待したいと思います。
 最後、財政規律ですけれども、フランスの国債が格下げされたことによって、金利が上昇をしております。財政審でも、特に中空委員が何度か国債の格付問題についてはリスクが高いという発言がありましたけれども、今回の「骨太の方針」で財政規律に対する表現が緩んでしまうと、かなりの確度でリスクが現実のものとなってしまうおそれがあると思いますので、ぜひその辺についての配慮をよろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。

 ○吉野座長 
 角委員、どうもありがとうございました。
 それでは、田辺先生、お願いいたします。

 ○田辺委員 
 田辺でございます。
 今回の財務省の政策評価の結果に関しましては、おおむねその評定に関しては異存ございません。要するに財政、それから経済運営に関しては、ほかよりも劣ってBということ、それから外為に関しましては、よくできたということでS+という評点が与えられております。
 まず、前者の財政のほうでございますけれども、恐らく皆様方と私も意見は一緒でありまして、Bというのは仕方がないんだろうとは思います。ただ、これは政治的なメッセージだけではなく、やはり財務省として今後どうするのかという問題が出てくるのだろうと思います。例えば、最近新聞で明らかになりましたけれども、東京財団のほうで経済学者と一般の国民との間の財政に対する考え方の違いみたいなのをふき出しにしております。簡単に申し上げますと、比較的経済学者のほうは消費税みたいなものを上げたほうがいいのではないかとか、それから、財政赤字の原因に関しましては社会保障であって、公務員の無駄遣いとは余り関係ないとかという真っ当な議論をしているところですけれども、必ずしも国民のほうはそうは思っていないところがございます。
 この乖離ということは、結局ある程度財政規律を緩めたままずっと動いてしまうということを国民基盤でもって可能にしてしまうのではないか。この点から申し上げますと、金融教育とかいろんな教育が打ち出されておりますけれども、やはり財政教育というものに関してもう少し取り組んでいただいて、この状況というのを改善していただくことが必要になってくるのではないかというのが1点目でございます。
 2点目は、その中でもやはり社会保障というのは最も人口構造の影響を受けるものでありますし、人口構造の変化というのは、社人研のほうで明らかにしましたけれども、相変わらず高齢化が進み、2040年ぐらいまでですけれども、と同時に少子化が増えていく傾向にあるということでございます。これは、ほぼあまり大きな間違いはないと思いますので、これを前提に次に政策的にどうするのか。
 年金であるとか、医療であるとか、社会保障という、かなりお金が大規模であるけれどもコントロールできるというか、読めるものに関してどう手を打っていくのかという議論を今後積極的に打ち出していく必要があるのではないか。それは、少子化に関する議論に関しても同様であって、エビデンスベースと、それから未来の像に着目しながら、それを明らかにして対応するような施策を打っていくことが必要になっているのだろうと思います。
 2番目は、外為のところでございます。特にロシアによるウクライナ侵略を受けた国際社会の断固たる対応に関して、比較的日本の果たした役割というのは大きい。従来で言いますと、FATFなんかの評点というのは日本はあまり芳しくなかったというところで、日本がある意味抜け穴になっているのではないかというような議論というのも時々出てまいりましたけれども、今回に関してはこれを上手に国際的にもマネージした。かつ、アジアの中でこういうことができる国というのは恐らく日本だけかどうか分かりませんけれども、日本は非常に重要な役割を果たしておりますので、そこをきちっと役割を果たしたという点では、S+という評価は適切だったのではないかと思っている次第でございます。
 3番目は、国税庁のDXの話であります。DXに関しまして、利用者と国税庁の内部効率化のために使うのだという方向性をかなり明確に出していただいたという点は評価したいと思います。特に前者の利用者に関しまして、今、マイナンバーカードというのがぼろぼろにたたかれておりますけれども、国税庁はある意味これに対する防御になっているところがございます。1つは、マイナカードの利用、特に医療とかですけれども、あれは三者関係とは言いませんけども、ステークホルダーがいっぱいありまして、要するに省庁と、それから例えば医療で言いますと、健保組合と医療提供者という少なくとも3者の間でどうしなきゃいけないということになりますけれども、国税の場合は、要するに国税庁と納税者という2者の関係の中でもともと収められて、それでDXを進めるということが可能になっていますので、そこは利点かなと思った次第です。
 2番目は、DXの進行に関しまして、厚生労働省は明らかにマイナンバーカード1本頼りでありまして、これがこけると全部こけるという形ですけれども、国税庁の利用者のDXは、例えばスマホを使ったりと、別にマイナカードだけには限定されておりませんので、その意味で多様なDXというある意味当たり前のところを打ち出して、それを進めていくという形になっているので、非常に戦略としてうまい方向を出しているなというのが1点目でございます。
 あと、内部の効率化に関しましても、恐らく各府省はDX化を進めたいと誰もが思っていることは確かですけれども、これを明らかに表に宣言したという点では、私の知る限りは国税庁が初めてではないか。それによって行政の効率化、それから照会等の適切化を進めるというのを打ち出した点では、非常に大きな意味を持っているのではないかと思った次第でございます。
  以上、3点ほど申し上げました。

 ○吉野座長 
 どうもありがとうございました。
 引き続きまして、広瀬委員、お願いいたします。

 ○広瀬委員  
 ありがとうございます。財務省の最大かつ喫緊の課題が財政の健全化と、これは言うまでもないかと思っております。その一丁目一番地の一が施策の1-1-1ということになりますけれども、これが、いろんな御努力をしていただいたにもかかわらず、結果として進展が大きくないというのでB評価になった。それがずっと上位項目まで影響しているという構図が今回のここになっているわけですけども、少し厳しいかもしれませんけれども、その重要性からしてこれはやむを得ないのかなと思っております。
 前回も申し上げましたけれども、私は、今、日本の最大のリスクの1つが財政だと思っておりまして、今、日本経済は株も上がって、賃金とか物価も少しずつ動き出したと。一見すると順調のように見えますけれども、それは財政破綻という時限爆弾みたいなものを抱えて、何かのきっかけでそれがいつ爆発するか分からないという危険性を内包した極めて危なっかしいものだと思っております。
 そこで、まずはコロナで相当緩んでしまった財政規律を一刻も早く有事から平時に戻すというのが肝心かと思います。2025年まであまり時間はありませんけれども、とにかくプライマリーバランスの黒字化を1年でも早く実現していくということが必要かと思っています。
 それから、今後、GXとか、防衛強化とか、少子化対策とか、本当にお金のかかる重要政策がめじろ押しですけれども、そのためには、皆さんもおっしゃるとおり歳出改革。今日もメディアもまずは歳出改革と言っていますけれども、何回も歳出改革と言われて、何となく呪文のようなものになってしまったということは非常に残念に思います。今度こそきちんと既存の政策、予算に相当厳しくメスを入れないと、こういった重要政策は実施できないんじゃないかなと。
 実は一方で、今回の予算というか、増額規模を考えますと、歳出改革は本当にできるのかなと。やっぱり新たな財源、その歳入改革というのが避けて通れないんじゃないか。そうでないと勘定が合わないわけですね。
 そこで、税制についてですけれども、今回、NISA制度を見直したり、それから贈与税、相続税の関係を整理したり、あるいは高額所得者の税率を上げるとか、いろんな改善をされて非常によかったと思っております。ただ、一般国民からすると、高額所得者の基準が最後になってふにゃふにゃとなってしまったのは少し物足りなかったのかなというのが、国民の恐らく率直なところじゃないかなと思っております。
 それから、今申し上げたのは、いずれも部分的な見直しですけれども、今後は大規模な財源を確保するということであれば、当然消費税というのが視野に入ってくるんだろうなと思っております。高額所得者の基準引き下げも、そのときまでに取っておくということであれば理解できなくもないわけですけれども、いずれにしても、これまで歳出改革が叫ばれてきましたけれども、今後は歳出改革と歳入改革を一体として取り組まなければいけない。これは皆さんおっしゃっていましたけれども、私は全く同じ認識で、そういう時代に入ったのかなというふうに思っております。
 それから、各論で何点か申し上げたいと思います。1番目が安全保障です。これは、まずベースに防衛力の強化というのがあるわけですけれども、もう1つ、ODAの充実などを通した外交力、ソフトパワーも私は非常に重要ではないかなと思っております。もちろん力のない外交というのはないわけで、あくまでベースは防衛力の強化ですけれども、全体的に見て最も効果的で効率的な安全保障は何かという視点が必要かと思っております。
 2番目が国際関係というか、国際・国内関係と言ったほうがいいかもしれませんけれども、最近、サプライチェーンの国内回帰というふうに言われております。例えば半導体の誘致に相当な国家予算を投入しておりますけれども、これは今までにない大胆な発想で、これはこれで高く評価いたしますけれども、一方で、エネルギーとか食料はすぐに国産化するということができませんので、当面はそれをいかに円滑に輸入できるか。戦争とかパンデミックといったフォースマジュール的なことが実際に起こるわけですから、なるべく懐を大きくして、その中で柔軟に対応するということになるのではないかなと思っています。
 現在、エネルギーに対して激変緩和的な国の助成措置が取られているわけですけれども、これは私も必要だったし、適切だったと思いますけれども、そろそろ出口戦略というのを本気で考える時期に入ったのではないかなと思います。出口戦略という意味では、コロナに伴う給付金、金融支援がいよいよ返済が始まって、注意深く見なければいけませんけれども、またそこに新たなものを繰り返すということは避けなければいけないんじゃないかなと思っています。
 3番目は、皆さんからも出ていましたけれども、デジタル化です。マイナンバーカードがいろいろ今トラブルが発生しておりますけれども、もちろん適切に対処しなければいけませんけど、私は、これだけの大きな変更ですから、何らかのトラブルというのはある程度起きるわけで、ぜひ将来のことを考えて、ここは腹をくくって前に進めていただきたいと思っております。
 最後に、1つ質問でございます。最近、税収が見込みより相当上振れするということですけれども、あんまり最初から楽観的にするというのは問題で、少し厳しめに見ているのかもしれませんけれども、かといって狼少年的になってもいけませんので、この辺、税収見込みというか、最近の税収の動きをちょっと教えていただければありがたいと思っております。
 以上でございます。

 ○吉野座長 
 ありがとうございます。
 それでは、山本委員、お願いいたします。

 ○山本委員 
 山本でございます。
 まず、財務省の評価につきましてコメントしたいと思います。ほかの委員の御指摘のように、評定自身は私も妥当なものだと思っておりますし、特に国際関係業務については非常に高い評価をされておられますが、それは当然のことだと思っております。
 その上で3点申し上げたいと思うんですが、やはりこれは実績の評価でございますものですから、東日本大震災の対策の項目につきましてはまとめた項目が設置されておりまして、説明責任の観点からいっても非常に妥当な評価書だと思っておるんですが、やはり国民的な見地からは、新型コロナ関係の歳出・財源につきまして、予備費の使用を含めてこれを明らかにすることは、決算ということではなくて、歳出と財源について財政当局としてやはり明らかにするということをどこかでまとめて記述をお願いしたい。これは昨年度も申し上げましたが、一応私は個人的にはそう思っておりますというのが1点でございます。
 2点目は、ほかの委員からも、財政規律につきまして、とりわけ補正予算の扱いについてお話がありました。これはまさしく論点だと思うわけでございます。まさしくこれは政治的な要素もありますし、あるいは財政的に当初予算比で非常に公債費を削減したとか、あるいは社会保障についての歳出を抑制したということをアピールされるという点においては、非常に御努力もあるし、当然それはそういう表現になるということも分かるんですが、やはり実績評価ということから言えば、これは決算ベースではなくて補正後の予算ベースで結構でございますが、やはり補正後の予算で年度間を比較するということによって、逆に政治に対するアピールとか、財政規律を働かすことができるのではないかというふうに個人的には常々思っております。現在のこの書き方が駄目だということではなくて、こういった補正後の予算ベースで比較するということもぜひ御検討賜れば、これは政治的な圧力に対する行政側からの一つの対抗策になり得る要素かもしれませんので、ぜひ御検討賜りたいと思っております。
 3点目は、細かい話は事務局に既に提出してございますから申し上げませんが、幾つかの指標で令和4年度に急激に大幅に大きくなったとか、小さくなったというものがございまして、これにつきましては何らかの御説明をしていただければありがたいと思っております。
 次は、国税庁の評価計画の案についてでございます。国税庁におかれましては、DXとかe-Taxで非常に御尽力いただいて、またスタッフにつきましても、DX人材の採用・登用等を非常に御尽力されておられるということにつきましては、高く評価したいと思っております。
 しかし、同時に、自主的な納税を促進するという観点から言えば、やはり税務当局に対する信頼性を向上させるということで、職員の態度とかモラルの向上というのは非常に重要になってまいります。若干の不祥事も報道されるような事態もございますものですから。そうした場合に、具体的にどういった研修を充実されておられるのか等の人事管理の要素につきまして、さらに踏み込んだ計画等がなされると非常にいいのではないかと思っております。
 あと2点ほどありますが、これも事前に事務局に細かいことは伝えてございますものですから、参考にしていただければと思います。
 以上でございます。

 ○吉野座長
 どうもありがとうございました。
 それでは最後に、私からも数点意見を述べさせていただきたいと思います。
 大分皆様から御意見がございましたので類似のところもありますけれども、よく一般の方々から言われるのは、税を上げる前に歳出の無駄をなくせと、無駄が多いじゃないかというふうに言われております。ですから、財務省としては予算で全部見ているわけですから、無駄はもうないんだということを明確に言っていただいて、それで国民の方々にまず歳出のカットというのは難しいんだというところを納得していただく。そうすることによって、税の負担をお願いするということができてくると思います。
 その意味では、コロナ対策で、先ほど角委員からもございましたけれども、いろんな支出がなされました。恐らくその中には国民の方々が言う無駄と後から見ればそう思われる歳出もあったかもしれません。例えばコロナ対策の信用保証の資金ですと、本来であれば一時的に業績が悪くなった企業にそういう対策をするわけですけれども、構造的に悪い業種にも、それから一時的に悪い業種にも、みんな十把一からげに出されたような気がいたします。そういう意味では、今後とも財務省のいろいろな予算の中で無駄はもうないんだと、そういうことはさせないんだということをしっかり国民の前に言っていただければと思います。
 それから、皆様からございましたけれども、アメリカでは先週、先々週に財政規律の問題で大きくなりましたけども、デットGDPレシオでいけば、日本の半分であるわけです。それでも危機感を持っているということですから、日本の場合は、今までおかげさまでISバランスで国内貯蓄がたくさんあったと。それから、対外バランスの経常収支も黒字であったという面があったために、財政のほうは赤字でもそれがうまく賄えてきたと思いますが、これがだんだんに財政収支の黒字もなくなってくる、それから国民の資産もだんだんに取り崩されていくということになると、国債のJGBの格付に影響するというふうになると思います。
 それで、この間、学生に国債の話をしたときに、国債というのは、君たちの世代、あるいはその次の世代が負担しなくてはいけないんだよと。結局我々の世代が負担していないんだということを言ったら、学生がびっくりしまして、「国債ってそういうことなんですね」と。やはり国債というのは、現在の世代が本来であれば税で負担すべきことを、全て将来の世代に負担を回しているんだと。財務省のほうでもよく言っていただいていると思いますけれども、ぜひそれを明確にしていただいて、やっぱりそれぞれの世代で自分たちで将来にツケ回しをしないように、そういう形の財政を組んでいかなくちゃいけないということは、当たり前ですけど、ぜひいろんなところで言っていただきたいと思います。
 それから、国税庁に関しましては、デジタル化、DX化は皆さんおっしゃったとおりですが、恐らく世界ランキングみたいのが出ているのではないかと思います。昔聞いたエストニアは結構いい国ですから、そうすると、今世界ランキングでこんなところにいるんだと。これをうまく上に持っていくことが国税庁としての目標であるというようなところでぜひ世界との比較をしていただき、それを上に上げていくということを努力していただきたいと思います。
 それから、国税庁のデータでは、我々経済学者の目から見ますと、47都道府県における様々な税のデータがあると思います。そうしますと、高齢化の中でもうまくやっている県、それからそうでないところと、いろんなところでデータの分析が使えると思いますので、滞納者のことを見るような税のデータ、それと同時に、更に将来のための経済分析などができるように、このデータの活用をますます進めていただきたいと思います。
 それから、国際金融分野に関しましては、今、株価が上がり、これは海外からの資金の流入が多いためではないかと思いますけれども、こういう資金がまた今度は金利が変わったりしますと海外へ流出が激しくなる。そうすると為替レートが大きく振れることになりますので、今後ともファンダメンタルズから大幅に乖離したような為替レートのシフトというものを防ぐようなことを続けていただきたいと思います。
 それから、アジアの中で、前にほかの委員からもございましたけれども、各国とも財政赤字がアジアでも増えていまして、いかにそれを解決していくかということがありますので、外からのプレッシャーとして日本に対して働きかけるには、アジアのいろんな国々と一緒になって、お互いにこれでやっていこうという形で、財政規律を日本の国民の方々に持っていただいて、それを実行していくということを、国内だけだと難しいでしょうから、アジアの国々と一緒にぜひやっていただければと思います。
 それから、優秀な人材を公務員としていかに集めるか。それから、やっぱり財務省も含めて優秀な方々に来ていただくということはこれからも必要だと思います。前も申し上げたかもしれませんけど、私がアジア開発銀行研究所にいたときに、アジアに行くと、アメリカ人というのは、民間のビジネスの人は英語ですから、自分で別に官の援助はなくてどんどんやっていけるわけですね。ですから、アメリカは官の力は要らなかったわけです。
 ところが、フランスとかドイツを見てみますと、やっぱり官と民が一緒になってどんどんいろんな国に出ていっているわけです。そういう意味では、私は、優秀な人材が中央省庁に集まって、それで官と民がある程度一緒になっていくということはぜひ必要だと思います。フランスなんかは、シアンスポ、ENAという官僚の組織ができていて、今でもあれが強くなっております。
 そういう意味では、どういうふうにしたら、官僚の方々、特に財務省の仕事の魅力を若い人たちに伝えてあげられるのか。仕事のやりがいといいますか、財務省のやっていることは歳入歳出を含めて全てのことを見られるわけですから、ぜひ優秀な人材が公務員として来るように、また、財務省が優秀な人材を集め続けられるように考えていただければと思います。
 それから、安全保障のところは角委員とか広瀬委員がおっしゃいましたけれども、私は今、太平洋諸国のところで、今日はパラオの大統領が日本に来られています。太平洋諸国を含めた形での日本の様々な支援というのは、これからも必要であると思います。
 以上が私のコメントでございます。
 それでは、委員の方々からコメントをいただきましたので、まず最初に渡部政策立案総括審議官から発言をお願いして、それから各局の方から御発言いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 ○渡部政策立案総括審議官  
 渡部でございます。
 政策評価全般の話といたしまして、通し番号のページで38ページ、39ページ辺りが財務省における政策評価の枠組みということで御紹介させていただいております。
 田中委員からも御指摘がありましたように、政策評価自体は、平成13年の行政機関が行う政策の評価に関する法律というスキームに基づきましてこの20年ぐらいやられてきておりまして、昨年来、総理の御指示もあって、政策評価の在り方、あるいは行政改革のほうでアジャイル型の行政というような形で、いろいろな行政のやり方を見直すということで検討が進められてきておりまして、その中にはここで今御指摘があったようないろんな問題意識もあるというふうに理解しております。
 最終的には、実際にそれが、この法律のスキームの中ではあるんですけど、どういうふうに落ちてくるか、まさに新ガイドラインというのが総務省から示されるということになっておりまして、率直に言うと、ガイドラインの形成は総務省においてもかなり難しいお仕事になるかと思うんですが、私どもといたしましては、その御議論は、ガイドラインの形成過程でまた意見を言う機会もあると思いますので、今日、各委員からいただいたような御意見も制度官庁でございます総務省にも伝えつつ、この政策評価という枠組みを現行の日本の政策運営の中でどう生かしていくかということについては、絶えず検討を続けてまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。

 ○吉野座長 
 それでは、局長の方々から御発言いただきたいと思います。
 最初に、新川主計局長からお願いいたします。

 ○新川主計局長 
 新川でございます。
 貴重な御意見、大変ありがとうございました。全てお答えできるかどうかはちょっと分かりませんけれども、順次お答えしたいと思います。
 まず、様々な重要施策について財源が必要だという意識をいろいろ訴えていくということが大変重要だと思います。最近、国会での御議論もそうですし、それに至る前の様々な国民の方々からの御意見もそうなんですが、例えば防衛、あるいは子どもといったものについてお話をさせていただくときに、財務省は何でこの件だけ財源が要ると言うのかと。財政なんていうのは全体なんだから、なぜこの件だけわざわざ取り上げて、それに特別に財源が必要だと。せっかくいい話をしているのに台なしじゃないかというかなり強い御意見をいただくことが多いです。
 考えてみましたら、何をやるにしても財源が必要であるということをこの数年あまり強くは申し上げてこなかったというのがあるのかもしれませんが、過去を振り返りますと、例えば社会保障と税の一体改革をはじめとして、大きな規模の恒久的な政策をやるときは必ず恒久的な財源をということを繰り返し訴えてきてまいりました。したがって、今になっていろいろな重要施策は全部財源が必要であると、今さら何を言うのかというお気持ちは分からないでもなく、いろいろ反発もあると思いますけれど、その都度その都度財源が必要であるということをしつこく言っていきたいと思っております。
 それから、コロナに関して様々大きな対策を取ってまいりました。未曽有の経験ということもあって、規模とか、内容とか、あるいは個別のミクロの単価ですとか、事業の執行の仕方について、結果として過剰であったり、足らなかったり、多くの場合は過剰であったかもしれません。そういった部分があったことは率直に認めざるを得ないという部分はあります。
 いろいろなものについて、例えば単価がどうだったのかということで開示せよという要求があったり、いろいろ個別について国会においても、あるいは会計検査院においても様々な御指摘をいただいておりますので、マクロについても、ミクロについても、こういったことでありましたということについてしっかり説明していきたいと思います。
 現にコロナについては、海外ではこういうことをやっていると、日本でもやるべきだということで、世界に先駆けてやるものもあれば、海外に倣ってやったものもあるんですが、どうしても我が国の場合はそこからエグジットするというのがなかなか苦手な部分があって、海外ではとうにやめていることをまだやっているという部分もあったりいたします。
 コロナについては、順次節目節目で今規模を縮小していっているところであり、真正面からの必要性で撤退というのもありますけれども、これもまた必ずしも褒められた話ではないですが、海外ではとっくにやめていますということも交えながら、今エグジットをコロナについては図っているところでございます。
 それからもう1つ、物価高騰でございます。これについても様々巨額の財源を費やして対策を講じておりますけれども、あくまで激変緩和ということでございますので、いつまでもやっていられない。ガソリン補助なんかが典型でありますけれども、これも海外ではどんどんやめていっていますので、こういったことをやめていかなきゃいけないと思います。他方、電気料金みたいなものについてもかなり手厚い対応を取っております。これも今後どうしていくかを考えていかないといけないと思います。
 物価高騰と健全なインフレとどう峻別していくのかと。やはり激変緩和については、激変の部分の緩和が終われば順次やめていくべきだと思いますし、何といっても、賃金の上昇を伴うような持続的な物価上昇を受け入れていくということでデフレ脱却、これが最大の課題だと思っておりますので、人づくり革命等々、賃金が上がっていけるような労働慣行、労働市場の改革等をはじめとして、こういったものを結びつけていきたいと思います。幸い経済界の御協力をいただいて、今年の春の賃上げについてはかなりの水準を確保していただいておりますので、構造的にもこういったものが続くような対応をしていきたいと思います。
 それから、先ほどと重なりますが、補正、あるいは予備費に関する評価、ガバナンスです。予備費については国会とのガバナンスの関係も出てまいりますので、補正につきましても、とにかく結果として余ってもいいから通常の見積りよりも多めに措置しておけというようなことが正直コロナについてはあったと思いますが、1つのガバナンスが制度上ありますのは、例えば予備費なんていうものは、物の性質上、非常に未曽有なことが起こるときには万全の構えでということで多く積んではおりましたけれども、結果として使わなかった部分も大きかった。
 予備費に関してはむしろ無理に使うということの方が問題だと思いますが、そうしたものについては制度上国債の減額に充てるということが定められておりますので、使わなかったものについては、将来世代の負担の減に充てていくということをきちんと決算の段階でも説明してまいりたいと思います。
 それから、防衛、子育て、あるいは産業政策、特に最近ではモダン・サプライサイド・エコノミクスというようなことで、サプライサイドに働きかけるということで、それぞれにやっぱり財源が必要になってまいります。安定財源を確保するということもありますが、他方で歳出改革によってきちんと対応していく。データで国民に分かるようにという御意見もございましたので、例えば医療機関その他、個別個別で経営状況はどうなのかといったようなことについてもより詳しく、人件費も含めてデータを示していこうということが大切だと思います。
 それから、歳出改革につきましても、2つの側面があると思いますが、無駄をなくしていく。これは歳出改革。当然これはなくしていかなければならない。無駄はないということを分かるようにする。
 歳出改革にはもう1つ意味がありまして、予算の配分の見直しも歳出改革と呼んでおります。実は、財源の規模として大きく出てくるのは、予算の配分の見直しという意味での歳出改革ですが、分野を横断して配分を大胆に見直していくというのが歳出改革の本質だと思いますので、そういった点についても国民によくお知らせをしたいと思います。
 それから、国債依存というのは将来世代の負担にどうなるのかということについて、実は人口構成の問題ですとか、そういうものをより分かるように、かつては現役世代は何人で高齢者を何人支えていくというようなことをかなり詳しく言ったこともありますけれども、そういったものも含めながら御説明してまいりたいと思います。
 一例としてですが、例えば防衛増税、現下の家計の負担増にはつながりませんという御説明をしたところ、多くの方から、それは分かるけれども、そのために例えば課税期間が延びてしまうと。それは将来世代の負担増じゃないのか、将来世代に先送りしているだけじゃないのか、これが割と強い意見として出てまいります。
 多分こういった意見になるのは、給付と負担の関係ですとか、あるいは論点がある程度具体化されて、皆が頭を整理して考えやすい状況にあるからだと思います。実はこれはその局面だけには限らなくて、現下の負担増にならないようにすると、おおよそ全てのことは将来世代への負担の先送りになるわけでありますけれども、今は負担増になっていなくても、将来の負担増じゃないか、若者に負担を押しつけるだけではないかという意見が自然に出てまいります。こういった点も踏まえながら、国民への訴えはやっていきたいと思います。
 それから、成長戦略につきましては、先ほどの重要分野に対する政府の介入というのが各国とも強めてきていますので、そういった部分について、どうしても必要なものについては我が国だけやらないというわけにはいきませんから、きちんと対応することは必要だと思いますが、かつていろいろやってきた成長戦略について、それが必ずしも成長につながっていないのではないか。むしろ、一定のリターンを前提にしなくても、事業開始、プロジェクト開始ができるという意味では、かえって成長を阻害したのではないかというようなこともあり得るので、その部分についてはPDCA、あるいは分析をしっかりとしてまいりたいと思います。
 それから、1つ大きなお話として、財政規律を利かせる仕組みとして、財務省が政治、あるいは他省とディールをする中で一定のところに収めていく。そうした仕組みがうまく働かなくなっているのではないかという御指摘がありました。国債発行がほぼノーコストでできるんだから、そんなのはどっちでもいいじゃないかというかなり暴論に近い意見もある中で、やはり財政膨張というのは政府の国民生活に対する関与の増大、経済政策への増大、それから、コミュニティレベルでもいろいろコミュニティで決めていかなきゃいけないことを政府の側があらかじめ決めてしまう。あるいは国債という形で将来世代が自分の税金を自分でどう使うか決めるべきことをあらかじめ国が決めてしまう。保守主義という点から見るとむしろ逆のことをやっているわけでありますが、先ほどの防衛増税の件で、ある程度の具体的な分かりやすい、あるいは限定された中でこの話をすると分かっていただけるケース、あるいは我々が言わなくても、将来世代にそんなことをやらせるわけにいかないだろうという議論が自然と出てまいります。コミュニティレベルでいろいろなことを、この財政というものも規律として働かせていくという御指摘は、確かに全体としてだけの財務省がこうだこうだということだけではない。そういうガバナンスというものを入れていくということは重要だと思います。
 それから、コロナについて、例えば調達の価格がどうだったのかとか、あるいはいろいろな補助単価がどうだったのか、こういった面について、確かにいろいろ今になって見てみると、かえってコロナになって業績がよくなっているとか、そういった分野がございます。それを戻していただくとか、いろんなやり方があると思いますけれども、例えば社会保障につきまして様々な価格設定をこの年末にやっていくわけでありますけれども、そういった部分に反映させることで、その過程ではコロナでこうであったということを申し上げざるを得ないと思いますから、そういうものを明らかにしていきたいと思います。
 それから、安保について、新しい防衛戦略が策定されたわけでありますけれども、確かに戦後最も厳しいと言われる安全保障環境ですが、新しい戦い方に対応するためのスタンド・オフ防衛能力ですとか、宇宙サイバーといった新しい分野横断的に対応していくということについて財源を振り向けていくのみならず、弾薬ですとか、施設整備ですとか、いわゆる継戦能力とか抗堪性の部分ですけれども、確かにこの部分についてのこれまでの取組が、例えば正面装備なんかをやっていくと併せてできていたかといったら、それができていない部分がある。これは率直に防衛省も認めているところでありますので、こういった部分をしっかりしていくということが重要であろうと思います。
 それから、少子化対策でありますけれども、御指摘がありましたように、働き方の面、特に女性の働き方の面、あるいは企業としての部分、こういったものもかなりあると思います。昨日まとめました子育て戦略でありますけれども、その中でどうしても経済的支援のところだけが注目されるわけでありますけれども、働き方という部分についてもかなりな取組をしようとしております。その部分について、今後も、財政だけじゃなくて、これは制度の部分も大きくありますので、引き続き対応を求めてまいりたいと思います。
 それから、医療、介護に比しての様々な公費の比率、あるいは保険料の比率といった部分もあります。子育て世代については、昨日ありましたように、徹底した歳出改革で安定財源を図っていくというのが基本方針でありますが、この徹底した歳出改革の中では、無駄の排除というだけではなくて、分野横断で予算の配分を変えていくという部分が含まれていると思います。
 実際に申し上げますと、社会保障関係費の中で一定の枠を組んで毎年予算編成をしてまいりましたが、この5年、10年間、高齢者に対する歳出を見直していく中で、子ども政策に対する比率を増やしてきたということをずっとやってきております。役所が2つに分かれますので、それがうまくスムーズに行くかどうかという部分はあるんですけれども、引き続きこういったことを徹底することで、社会保障全体の配分を見直して、確かに子ども政策に多くの資源を振り向けるというのは正しいベクトルだと思いますので、そうした部分についてより強く徹底してまいりたいと思います。
 それから、国債の格下げが金利などに与えるリスクは、フランスの例をいただきましたけれども、これは現実のものになり得るわけであります。現在、検討中の「骨太の方針」においても財政健全化の基本的な部分について後退をしないようにという御指摘があります。引き続きその部分についてはしっかりと堅持をしてまいりたいと思います。
 それから、東京財団の調査で、国民の財政に対する理解と経済学者、専門家の先生方に対する理解のずれがあるという御指摘がありました。これも私も非常に関心を持っておりまして、1つ目の関心は、この調査によると、財政が破綻する国債をどんどん出すことについて、専門家の方々も、国民もこれは懸念を持っておられるということ。幾らでも国債は出せるということでは必ずしもないということであります。
 ただし、その中身について行政に無駄があるんじゃないのかと。それで財政が悪化しているんじゃないのか。あるいは社会保障制度が少子高齢化の進展によって赤字が出ているのではないか。財務省のパンフレットなんかでは後者のほうを言っているわけでありますけれども、確かに財政教育という面ではそういう点が重要だと思います。
 それから、よく例になります負担をすれば、国に対する信頼があれば、必ず給付として返ってくるんだから、そういうことで負担を求めればいいのではないかとか、あるいは日本は福祉の程度は中だけれども、負担は少ないのではないかという部分もあるんですが、私が個人的に考えていますのは、国民と専門家の間の大きな差異というのは、人口ピラミッドが逆ピラミッドになっていることも影響しているのではないかと思います。
 負担する世代が少なくて、給付を受ける世代が多いと、マクロで見れば、確かに負担が少ない割には給付は中ぐらいですよといっても、一人一人で見れば実はそうではないということがあって、確かに国がこの説明を受けたとしても、一人一人の国民の立場に立ってみると、いやいやそういう感じは自分は全然持っていない。負担は非常に重くて給付は少ないと。
 これは恐らく、実は人口ピラミッド、人口構成によるところが大きいんですけれども、一人の立場に立ってみれば、そうなっている以上、誰か中で抜いているんじゃないか、無駄があるんじゃないかと。やっぱり身を切る改革がないと駄目なんじゃないのかという意識を持つのは自然なことだろうと思いますので、こういった日本の人口構造は、もちろん無駄があってはなりませんが、身を切る改革は必要でありますけれども、構造的な要因もあるのですと。一人一人で見た場合、全体として世代で見た場合、こういう構造になりますということをしっかりと御説明したいと思います。
 財政リスクについても、できるだけプライマリーバランスの黒字化については、この目標を堅持して、財政健全化の旗を下ろさず、「骨太の方針」においてもしっかり対応していきたいと思います。
 それから、安保に関しては、ODAに代表されるソフトパワーという御指摘がありました。実は年末の防衛3文書で一番上位概念になる国家安全保障戦略というのがありますけれども、そこでは総合的国力ということがあえて定義されております。防衛だけじゃなくて、外交力ですとか、経済力、財政力、技術力、こういったものを総合的にやっていかなきゃいけない。その中で防衛力の抜本的な強化のためには、まずは外交的努力、防衛力の抜本的強化、それから米国との関係の深化といったものがありますので、こういったものを総合的に対応していかなければ、一時、予算編成の過程ではそういったものをいろいろ考えるのを、財務省が水増し論議をしているんじゃないかというような議論もありましたけれども、実際どう考えても、安全保障というのは、防衛装備だけではなくて、こういう総合的なものが必要になってまいると思いますので、財源に限りはありますけれども、有機的につなげることで、より有効に、戦略的にODAを活用することになろうと思いますので、それはしっかりやっていきたいと思います。
 それから、エネルギー政策、コロナにつきましても、出口戦略について先ほど申し上げたとおりですが、やはり中身を明らかにし、中身を規律していく。決算がこうなりましたということだけではなくて、単価はこうでありましたですとか、どうしても限界は一定程度ありますけれども、そういったものについては開示をする。逆に開示をしていかないと、コロナでいろいろたまっている部分を使わせていただくとか、あるいはコロナ予算をカットしていくといった部分に理解を得られないと思いますので、できるだけの公開はしていきたいと思います。
 それから、補正後の予算でよりアピールすべきであるというのは、全くそのとおりであると思います。補正予算の規模というのは、コロナの前は数兆円程度でありましたけれども、それが数十兆円程度になっています。最近、あえて補正予算と当初予算を合わせて並べた図というのを我々は使うようになっているんですけれども、それを見れば一目瞭然の状態でございまして、確かにノーマライズしていく中で、補正予算も含めた形でこういう予算になっているという部分についてはよく説明をしていきたいと思います。
 それから、無駄をなくすという点については、負担を求める以上、これは必ず国民の納得感という問題にとって極めて重要だと思います。防衛予算につきましても、まずは歳出改革なり、政府の改革、できる限りの財源を集め、無駄をなくした上でどうしても足らない部分について、増税による対応、税による対応をお願いするという対応を取っていますので、これもまだ税制部分については法案も提出しておりませんし、それから、防衛財源のその他の税外収入の確保の部分も審議中でありますが、しっかり御説明をしていきたい。あるいは実際に無駄も排除してまいりたいと思います。
 国債というものは将来世代の負担にすぎないということについても、マクロな点、ミクロの点、地域のコミュニティ、こういったものも交えて、より国民の皆さんに実感を持って分かっていただけるように御説明をしてまいりたいと思います。
 長くなりましたが、私からは以上です。

 ○吉野座長 
 どうもありがとうございました。
 続きまして、坂本主税局審議官、お願いいたします。

 ○坂本主税局審議官 
 主税局の坂本でございます。大変貴重な御意見、ありがとうございました。
 私からは、広瀬先生から2点御指摘をいただきました。1つ目は、今回の税制改正で高額所得者に対する課税というのを新たに入れて、それはいいことなんだけれども、再配分の観点からは物足りなかったのではないかという御指摘でございます。
 おおむね平均的な水準で30億円を超えるような高額所得者の方には、どういうふうに稼得したかをあまり問わず、22.5%のいわゆるミニマム課税という制度を導入したんですけれども、我が国ではこういうミニマム課税的なものを導入するのは実は初めてのことであったことと、それから、こういう課税の対象になる方の中にはいわゆる創業者利得があるような方が散見されて、そうした方々、あるいはそうした方々を応援しようという方々からすると、思い切って人生をかけてリスクを取って、その結果ものすごい収入を今得ているということに対して、少し懲罰的な課税をするというふうに取られかねないことをすることが、どういうメッセージになるんだろうかという声があったこともございまして、御指摘のように、再分配という観点からは、物足りないという意見も出るような制度になってございます。
 当面は、新しく導入された制度でもございますので、まずは、この制度を始めてみてということだと思っておりますが、御指摘がありましたような大きくこの国の税体系全体を変えていくような見直しが仮に将来ある場合には、当然この制度も含めて検討の対象にはなってくるということだろうとは思ってございます。
 2つ目は、税収の動向、あるいは見込みとの乖離というお話がございました。税収全体の高さの動きを決算ベースで御紹介しますと、ここ2~3年ですが、平成30年が60.4兆円でございました。翌令和元年が58.4兆円でちょっと下がりまして、令和2年は60.8兆円と戻りまして、令和3年は67兆円ということで、平成30年から令和3年の3年間で6.7兆円税収が増えているということで、コロナで凸凹はありますけども、趨勢的には好調でございます。
 内訳は、所得税も法人税も消費税もみんな伸びていまして、その原因としては、凸凹はあるものの、雇用者報酬も順調、配当も順調、譲渡益も出ている、法人の収益も好調、消費税の原因となる消費、あるいは輸入も好調ということで、どの指標を見ても底堅い、あるいは順調という動きにあることがこのベースにあります。
 そういうトレンドの中で、なぜ税収見込みとの乖離が起こるのかということでございますけれども、例として令和2年で申し上げますと、令和2年の当初予算では63.5兆円税収が入るだろうと思っておったんです。これは令和元年の12月に見込みを立ててのものです。その後、年明け以降、新型コロナの感染が深刻化していく中で、どうも63.5兆も入ってくるわけはないじゃないかということで補正で減額しまして、8兆円減額して55兆円ぐらいだろうという見込みを立てたわけですけれども、蓋を開けてみると60.8兆円と、補正後の見込みに比べると大きかった。これは、やや未知のリスクを前にしてどれほど税収が落ちていくのかというのが見えない中で、保守的に立てた見積りと結果との乖離ということだろうと思います。
 同様のことは令和3年にも起こっていまして、当初の見積りは57.4兆円だと思っていたのが、蓋を開けると67兆円ということなんですけれども、当初見積もった時点では、大きく令和2年の税収が落ち込むだろうと思っていて、これを土台に令和3年の税収を見ていたわけですけれども結果的に土台が上振れたので、令和3年度税収が上振れたということでございます。
 いずれにせよ、税収見積りが信用がないような状況になるということは決して好ましいことではないので、精度の高い見積りということで、ヒアリングの充実などを試みて努力をしていきたいと思ってございます。
 以上でございます。

 ○吉野座長 
 ありがとうございました。
 それでは、阪田国税庁長官、お願いいたします。

 ○阪田国税庁長官 
 国税庁の阪田でございます。数々のご指摘ありがとうございました。DXに関してお言葉をいただきました。
 国税庁は、社会経済活動の複雑化と国際化という中で、実際に調査に行ける日数が非常に減ってきている一方で、定員、予算等がそう増えないということの中でどうやって調査の効率化を図るかという意識が非常に高いものがあり、この鍵を握るのは、デジタルトランスフォーメーションしかない、という強い意識を持って取り組んでおります。もちろんいろいろな観点からDXが有効だと思うわけですけれども、まずは納税者の利便性の向上ということで、デジタル化を進めれば進めるほど、納税者の方々の税に関する手間が減り、自動的に申告が作成されるということになりますと、いわゆる私どもは「コンプライアンス」と言っておりますが、正しい納税をするということが非常に簡単になり、逆に、不正な納税・脱税等をすることはとても難しくなるという利点がまずありますので、そういった意味でデジタル化によって納税者の利便性の向上に取り組んでおります。
 そうしますと、調査しなくてもより適正な納税分野が広がってくると、今度は限られた国税庁の人員を、より不正の濃い調査対象者に振り向けて集中することができる、という二つ目の効果が出てきますし、内部事務の効率化、DXを進めることでもそれは出てきます。さらに、税務行政のみならず社会のデジタル化が進むほど、数々のいろいろなデータがデジタルで利用できるということになってきますので、正にこういうところでAIが活用されるわけですけども、より不正を見つけ出す手段としてデジタル情報は使えるということで、ますます調査の対象の重点化を図れるということで、いろいろな面から、DXが今後の国税庁の適正・公平な課税のための調査への鍵になるという考えで進めさせていただいております。
 そういう意味では、秋山委員からもご指摘いただいた、AIの活用には大きな期待をかけておりまして、国税庁の内部でも数々のモデルを今開発して、予測精度というものを検証しているところですし、各国税局でも独自の数々のモデルを開発して実際に活用に至っているものもあるという現況でございます。
 翁委員からは、デジタルインボイスを通じた、日本経済全体の生産性を上げる、というご指摘をいただきましたけれども、これは正に国税庁としても我が意を得るところでございまして、経済全体のデジタル化が進めば進むほど、当然、納税の局面だけを取っても企業や個人事業者の手間はすごく軽くなって、その時点でも生産性が上がってくるわけですし、先ほど申し上げたように、国税庁の方も適正な納税を確保することに非常にそれが資するということでございますので、国税庁としても、デジタルインボイスは、民間協議会で標準仕様が決まったところですけれども、庁を挙げて、その普及に協力していきたいと思っております。
 田辺委員と広瀬委員からは、マイナンバーカードの関係のご指摘をいただきました。確かにマイナンバーカードがなくても、e-Tax等々デジタルで申告ができる道もこれまで開発してきたところでございますけれども、やはり決定的に納税者利便を向上させていくためには、マイナポータルとの連携とマイナンバーカードの普及、これがやはり重要になってくると思っておりますので、国税庁としても引き続きマイナンバーカードの普及、そしてマイナンバー、マイナポータルの活用ということを、デジタル庁等々と連携しながら、これをもっと進めていきたいと思っております。
 また、内部のDXによる効率化の方向性について表に宣言する役所も比較的珍しいというお言葉をいただきましたけれども、これまで申し上げてきたように、国税庁としてはDXを進める以外活路がないということを見定めておりますので、今後も内部でこういうふうにDXを使って効率化していく、ということをどんどん、むしろ外に出して、国税庁全体としてもDXの動きに退路を断って前に進んでいきたいと考えております。2年前に税務行政のDXの将来像というものを公表させていただいたところなのですが、それをアップデートしたものを今月中にも公表すべく内部で努力しているところでございます。
 それから、吉野座長から世界との比較のご指摘をいただきました。なかなかDX順位表みたいなものはまだ存在しないところなのですけれど、OECDをプラットフォームとしまして、各国の税務当局とつながっておりますし、ずっと対話が続いております。また、OECDが事務局となって、いろいろな比較の論文をまとめたりという活動が常時行われております。その中で、おおまかな日本の国税庁のDXの立ち位置というものは見えております。決して先進的な部類ではなくて、真ん中くらいかなという感じがしまして、全ての情報がデジタル化されていて税務署には書類が一切ない、みたいな先進的な国もたくさんありますので、そういう意味では日本はまだ遅れていますが、そういったOECDから得られる情報あるいは他の調査で得られる各国の情報などを集積しながら、今後も日本の立ち位置というのは上げていきたいと考えております。
 それから、データを活用して経済分析をますます進めてほしいというご意見もいただきました。もちろん、膨大な税務行政のデータがございますので、それを匿名化してオープンリソースとして使えるようにするということは、今も研究しておりますし、研究者の方々と税務大学校が共同してデータを加工しながら政策分析をするというような道も開かれて、今、研究テーマが何本か走っているところでございます。DXを進めていった先には、そういう経済政策の立案などにも貢献できるのではないかという頭で取り組んでいるところでございます。
 山本委員から、モラル、信頼性のお話をいただきました。これは税務行政にとって何よりも大事な死活的な問題でございまして、信頼を確保するためには、税務職員のモラルある行動を確保しなければいけないということは、古くからずっと最大のテーマでございます。そういう意味で、もちろん研修の中には、税務職員としてあるべき行動をとるといったようなものも組み込んで、初任者向けに研修をしたり、あるいは監察官、署長、そういった役職者が非行を予防するための講話というものを実施していくとか、様々なプログラムを走らせているところではございますが、それでもやはり去年の、持続化給付金の不正受給という非常にショッキングな不祥事が発生したりするわけでございまして、今、いろんな「こうしたらいけないんだ」という研修だけでも大事なのですけど、さらに、非行の端緒を初期に発見してそれを矯正できるような努力はもっとできるのではないか、ということで、例えば、コミュニケーションが大事なのではないかという観点から、税務署内の若手を横断的に集めて勤務時間内に意見交換したり、あるいはテーマを一緒に研究したり、そういう場を作ってのコミュニケーションの量を増やすとか、あるいは直接のラインの上司にはなかなか言いにくいことも、ハラスメントとかがあるという想定の下で、斜めの隣の上司と若い人が懇談して身上把握をしていく、といったいろいろな多角的な取組を現場で始めているところでございます。なかなか、研修実施計画というところまで、かちっとした姿にはまだ至っていないんですけど、不祥事を撲滅するにはどうしたらいいかというのを更に意識を高めて今取り組んでいるところでございます。今後も試行錯誤をしていきたいと思います。
以上でございます。

 ○吉野座長 
 ありがとうございました。
 それでは、最後に、茶谷事務次官から御発言をお願いいたします。

 ○茶谷事務次官 
 委員の先生方には、日頃より大変お世話になっております。改めて御礼申し上げます。また、今日は数々の貴重な御意見を賜りました。どうもありがとうございます。
 最近の日本経済自体、20何年ぶりにほとんど動かなかった物価も動き始めて、これに合わせて賃金も上がり始めて、国際環境が激変する中で、日本経済というのは大きな転換点になってきているかと思います。
 そういう中で、この財政についても様々な諸課題があって、防衛とか、少子化とか、グリーン・トランスフォーメーションとか、いろいろ議論がされておりまして、これに合わせて財源をどうするかというのが我々にとっての非常に大きな課題で、これはまさに今現在進行形ですが、さらに、当然その先には、いろいろな先生方からもお話があったように、給付と負担の問題は財政そのものの大きな構造的な問題ですが、これには真正面から当然消費税の議論も含めていずれ立ち向かっていかなければならない。
 そのためには、当然国民的な議論というのが不可欠でありますが、このときにはどうしてもやっぱり、先ほどから無駄をまずなくせというような議論がある。これは昔から伝統的に常にある議論ですが、もう1つは自然増収論的な議論といいますか、税収が伸びるから、それを使えば財源になるんじゃないかとか、あるいはもうちょっと別の話で言えば、これを今歳出として投資すれば税収として何倍も返ってくるからいいじゃないかというような議論、これは実は何十年も前から常にあって、こういう議論についてどう考え、国民の方の御理解を得ていくか。
 さらには、一部には、いまだ国債の償還財源は借換債でいいんだとかというような底抜けたような議論というのも正直で言ってあったりしますが、こういう議論に対してどう国民的な御理解を得ていくか。それを我々としては今後やっぱり地道にやっていくしかないなと思っているところであります。
 ただ、そのためには、財務省という組織自体が信頼される組織でないとなかなか政策も進められないものですから、これにつきましては、コンプライアンスの遵守というのはもちろんのことですが、様々なAIも含めたDXを取り入れて、財務省自体が効率的に業務を行える。そういう中で働いている人間もきちっと働きやすくやっていける。こういう組織づくりというのもさらに併せて重要な課題だと思っておりまして、こういうことにも併せて我々は意を用いてまいりたいと思いますので、これからも引き続き御指導、御鞭撻のほどよろしくお願い申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 ○吉野座長 
 どうもありがとうございました。
 それでは、これをもちまして、皆様からいろいろな御議論をいただきましたが、本日の会議は全て終了いたしました。
 通例ですと10月頃に次の懇談会が開催予定でありまして、現時点では国税庁の令和4年事務年度の実績評価書を予定しておりますけれども、具体的な議題、あるいは開催日時につきましては、改めて事務局から皆様と御相談させていただき、連絡させていただきたいと思います。
 本日の懇談会の議事内容につきましては、各委員に御確認の上、財務省のウェブサイトで公表を予定しております。財務省の皆様におかれましては、本日いただきました委員の先生方からの御意見を踏まえ、しっかりPDCAサイクルを回していただければというふうに思います。
 それでは、これをもちまして第77回の財務省政策評価懇談会を閉会させていただきます。どうもありがとうございました。



──了──