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第75回 財務省政策評価懇談会(10月6日開催)議事録

日時    令和4年10月6日(木)10:00~12:03

場所WEB会議(財務省第3特別会議室を含む)

出席者

懇談会メンバー
(懇談会メンバー)

秋池玲子

ボストン・コンサルティング・グループ 日本共同代表

秋山咲恵

株式会社サキコーポレーションファウンダー

伊藤元重

東京大学名誉教授

江川雅子

成蹊学園学園長

百合

株式会社日本総合研究所理事長

和夫

阪急電鉄株式会社代表取締役会長

田中直毅

国際公共政策研究センター理事長

田辺国昭

国立社会保障・人口問題研究所所長

広瀬道明

東京ガス株式会社取締役会長

山本

鎌倉女子大学教授、東京大学名誉教授

座長吉野直行

慶應義塾大学名誉教授、金融庁金融研究センター長
政策研究大学院大学客員教授

(敬称略、五十音順)

(財務省)

茶谷事務次官、青木官房長、住澤主税局長、諏訪園関税局長、三村国際局長

(国税庁)

阪田長官、中村審議官、原監督評価官室長

(事務局)

渡部政策立案総括審議官、原田政策評価室長

議題

(1)令和3事務年度国税庁実績評価書(案)について

(2)令和4年度財務省政策評価の事前分析表の一部変更(案)ついて

議事録

○吉野座長 
 それでは定刻になりましたので、ただいまから第75回財務省政策評価懇談会を開催させていただきます。
 本日も、新型コロナウイルス感染症の予防のために、皆様に御協力いただきましてウェブ会議とさせていただきますけれども、途中で音声が聞こえにくいとか何かございましたら、事務局のほうに御連絡いただきたいと思います。
 それでは、議事次第に沿いまして、今日は2つの議題について一括議論させていただきたいと思います。
 1つは、国税庁の令和3事務年度の実績評価書(案)、それから、財務省の令和4年度政策評価の事前分析表の一部変更(案)、この2つを一括して扱わせていただきます。
 それでは、渡部政策立案総括審議官から、この2つの議題について御説明をお願いいたします。

○渡部政策立案総括審議官
 おはようございます。今座長からございました議題につきまして御説明をさせていただきます。
 まず、令和3事務年度国税庁実績評価の概要について御説明いたします。
 5ページを御覧ください。国税庁の使命と実績目標等の体系図でございますが、国税庁の実績評価において、大小8つの実績目標、7つの業績目標、合わせて15項目を設定しております。今回の評定結果はSの「目標達成」が2項目、Aの「相当程度進展あり」が10項目、Bの「進展が大きくない」が3項目となっております。令和3事務年度においては、「不服申立てへの取組」の項目におきまして、複雑、困難な事件の影響などにより、審査請求事件の1年以内の処理件数割合という測定指標が目標に達せず、AからBにランクダウンしております。このため、その上位項目である「適正な調査・徴収等の実施及び納税者の権利救済」、更に上位目標でございます「内国税の適正かつ公平な賦課及び徴収」の項目がそれぞれAからBにランクダウンしております。
 なお、「不服申立てへの取組」の項目については、12ページにおいて評定理由の詳細を記載させていただいております。
 次に、7ページを御覧いただければと存じます。今般の評価における留意点を記載しております。令和3事務年度においては、新型コロナの影響が継続したことを踏まえ、感染症の影響といったやむを得ない事情により目標未達だったものについては、代替として実施した事務の実施状況など、他の事情も総合的に考慮し評価を行いました。この方法により評価を行ったのは9項目ございますが、これについては13ページから18ページにおいて評定理由の詳細を記載しているところでございます。
 少し飛びます。19ページを御覧いただければと存じます。業績目標「オンラインによる税務手続の推進」でございます。1番目の施策「オンラインの申告の推進」の評定はb「進展が大きくない」となっておりますが、一部目標未達成となった測定指標があるものの、e-Taxの利用率や満足度が前年より上昇していること、そして、他の重要度の高い4つの施策の評定がs「目標達成」、またはa「相当程度進展あり」であったことなどを総合的に勘案し、当該業績目標の評定をA「相当程度進展あり」としております。
 以上、全体を通じて申し上げますと、令和3事務年度は、新型コロナウイルスの影響が継続する中、新たに設定いたしました税務行政のデジタル・トランスフォーメーションの実績目標を踏まえ、デジタル化の取組を推進するとともに、業務の優先順位づけを機動的に行いながら、リソースの再配分も適切に行いつつ、目標達成に向けて様々な工夫を行い、機動的かつ柔軟に業務を実施してきた事務年度だったと言えるのではないかと思っております。
 次に、資料の20ページ以降になりますが、前回、6月の懇談会でも委員の御関心の高かった国税庁のデジタル化への取組、あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会を目指した取組として、納税者サービス等の充実、業務の効率化・高度化等に関する令和3事務年度のデジタル化の主な取組をまとめております。
 以上が令和3事務年度国税庁実績評価の概要の御説明となります。
 次に、もう一つの議題でございます。令和4年度財務省政策評価の事前分析表の一部変更について御説明いたします。
 資料22ページを御覧いただければと存じます。骨太の方針2022におけるウクライナ情勢に係る記述を受けまして、政策目標6-2の政策目標の内容及び目標設定の考え方及び政策目標5-3、政策目標6-1、政策目標6-2の取組内容の変更を行います。具体的な変更内容については、23ページから27ページに記載させていただいております。
 以上が令和4年度財務省政策評価の事前分析表の一部変更の御説明となります。
 私からの説明は以上となります。

○吉野座長 
 渡部政策立案総括審議官、どうもありがとうございました。
 それでは、いつものように、委員の先生方からそれぞれ御意見をいただきたいと思います。お一人5分以内で御発言いただきたいと思いますので、あいうえお順に、いつものように秋池委員から御発言をお願いいたします。
御指名を受けられました先生方は、ミュートボタンを解除して御発言いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、秋池委員、お願いいたします。

○秋池委員
 ありがとうございました。評価全体につきましては、私は異論がありません。丁寧によく評価をされていると思いました。
 その上で感じたことが2点ございます。まず1点目についてです。改めて確認して思いましたのは、PDCAという言葉は世の中ですごくよく使われていますが、本当にPDCAがきちんと回っている組織がどのくらいあるかというと、非常に心もとないところがあると思っております。とりわけ、Pはやるけれども、Dはやらないとか、Dはやるけれども、何となく途中でやめてしまうというようなことがある中で、これだけ継続してサイクルを回しているということに改めて思いを致しまして、非常に優れた組織としての取組になっていると思いました。それが1点目でございます。
 2点目ですが、コロナの影響があったということがありまして、評価を丁寧にされているからこそですけれども、少しコロナ影響を勘案した形で評価しているところがあります。私自身はその点については賛成しておりまして、いかんともしがたいということでよろしいと思っています。では、それをいつ通常の状態に戻すのかというのが難しいと考えておりまして、そのことにつきましては、当然ながら、次回以降の議論になろうかと思います。過剰に厳しく評価というような意味では決してなくて、コロナ禍での評価のありようのエグジットではないですけれども、そういったことも検討していけるとよろしいのかと思いました。
 そして、申し訳ありません。2点と言いながら3つ目を申し上げますと、先ほどのPDCAではありませんが、それを回していく中で、マンネリに陥らないというか、いつも少し先を見て取り組んでいかれるという要素がとても重要だと思っておりまして、そのことも今回の評価の中には、次に向けてということで織り込まれているかと感じたというのも、1点目の補足でございますが、ございました。
 以上でございます。

○吉野座長 
 どうもありがとうございました。
 それでは、引き続きまして秋山委員、お願いいたします。

○秋山委員  
 秋山でございます。私も秋池委員と同様に、全体の評価につきましては特段の異論はございません。とりわけ13ページ以降にお示しいただきました目標未達のものについての総合的な判断の根拠、判定理由を分かりやすくお示しいただいたことは大変納得感があり、正に丁寧に評価、そして、PDCAサイクルを回していると私も感じております。
 その上で、今日、私は1点、デジタル化に関してコメントをさせていただきたいと思います。
 5ページ目の目標の体系の中に、新たに実績目標(小)としてデジタル・トランスフォーメーション、そして、その業績目標として、オンラインによる税務手続と、業務の効率化・高度化という新たな目標が設定されているわけですけれども、この目標設定のキーワードとして「オンラインによる税務手続の推進」に「利用者目線に立った」という点が入っていること、それから、「業務の効率化・高度化」について、「従来の慣行にとらわれることなく」というこの文言が入っていることが大変すばらしいと思っておりまして、これが、今後どのように実施されて評価されていくのかということを注視してまいりたいと思います。
 とりわけ「従来の慣行にとらわれることなく」というのは、正にデジタル・トランスフォーメーションの本質そのものを表していると思います。その中でもとりわけ注視していきたい重要性が高いと思っているのは、マイナンバー制度の活用です。マイナンバーの利用可能範囲を今後どのように広げていけるかということ、それからもう一つは、デジタル化を進める中で、従来のアナログの行政手続をどれだけ残さずに、二重行政にならないようにしていくことができるかということが重要だと思っております。
 もう随分前になりますが、ドイツで行政手続に窓口に行ったときの経験がとても印象的でしたので御紹介いたします。日本ですと、行政機関に行きますと、手続ごとに窓口が分かれていて、それぞれの窓口に行ってそれぞれの手続をするということが一般的なのですけれども、ドイツの行政機関に行ったときには、窓口が1つ、そして、そこにオペレーターというか、係員のスタッフの方がいらっしゃって、その方の前にパソコンが1台置いてあって、幾つかの行政手続について、そのスタッフの方と会話をしながら、そのスタッフの方がパソコンを使って複数の手続をワンストップで対応してくださるというようなスタイルでした。
 これからデジタル化が進めば、日本もそのような形でのデジタルな活用による業務の効率化・高度化、並びにオンラインによる税務に関しては税務手続の推進ということが大きく進むのではないかと思っておりますので、今後の取組に大変期待をしております。
 以上です。

○吉野座長 
 貴重な御意見をどうもありがとうございました。
 それでは、続きまして伊藤委員、お願いいたします。

○伊藤委員  
 御説明ありがとうございました。毎年のことなんですけれども、大変丁寧に分析されて、説明も非常に分かりやすかったので、今回については特別申し上げることはないんですけれども、2つか3つ感想めいたことをお話しさせていただきたいと思います。
 1つは、今回はコロナという大変なことが起きたために、これまでと同じようなペースで仕事ができない。それに対応していろいろな柔軟な対応をされたということで、これは仕方がないことだと思いますし、重要なことは、それを含めた御説明、それが非常にしっかりされているので、ここのところは今後もこういう姿勢を取っていただきたい。
 より一般的に申し上げますと、経済環境が大きく変わる、あるいはコロナのような外部的な環境が変わるということによって、現場の仕事のやり方だとか重点が変わっていくということは十分あり得るわけで、そういう柔軟性を一方で持ちながら、それをしっかり評価して説明していく。つまり、これまで与えられたレールの上で見るだけではなくて、どういう対応をしたか、よりきめ細やかに対応すると同時にそれを説明していくという姿勢を今後是非続けていただきたいと思います。
 その上でもう一点お話ししたいのは、今の点と多少関係があるんですけれども、こういう政策評価の中の基本的な考え方というのは、ある一定の定まった通常の状態、定常状態の中でどういうことを目標にしていくのかということをきちっと検証していく。ある意味で言うと、決まった流れの中でどう対応していくかということがあるんですけれども、もう一つこういう問題を考えるときに大事なことは、一方で非常に大きな変化が世の中で起きている。
 変化というのは、いろいろな変化があるわけで、コロナだけではないと思うんですけれども、それに対してどう対応していくのか、変化をどう取り込んでいくのかという定常状態とは違った形の政策的な対応というのは非常に重要になってきていて、そこが全くないと、変化のない日常業務だけが表に見えてくるわけです。もう少し変化に対してどんなふうに捉えられているのか、あるいはそれがこの政策目標の微調整にどう関わってくるのかということについて、時々踏み込んだ議論をさせていただけるといいのかなと思います。そのためにも、こういう会議があるのかもしれません。
 とりわけ変化については、外事的な変化だけではなくて、むしろ政策そのものの中に変化を取り込んでくる。先ほど秋山さんが、マイナンバー制度の話をしたんですけれども、恐らくデジタル化の中で、マイナンバーをどううまく活用していくのかというのは、今の時代で言うと非常に重要な、プライオリティが高いものになってきている可能性が高いわけです。そういうものをどうするかということをこの制度の中で考えていくとすると、変化に取り組んでいくということだろうと思いますので、どういうふうに変えていくかという議論ばかりしても仕方がないと思いますけれども、定常状態あるいは通常の状態の動きにフォローするかということ以外に、意識的にどういうふうなところに重点を置きながらやっていくのかということを議論できていければいいと思います。
 更にもう一つ、これも評価とは全く関係ない話なんですけれども、評価とは何かという話を一般論ですると、今ある状態を見て、目標との違いで評価するということもあるんですけれども、多分比較する軸があると、評価の中身が濃くなってくると思うんです。これも先ほどの秋山さんの話を申し上げて恐縮なんですけれども、例えばドイツで行われている事例を見ることによって、では、我がほうとどう違いがあるのかというのは、やはり比較対象があるから非常に分かりやすいわけで、いろいろな面で、別に海外が優れているという意味ではないんですけれども、具体的ないろいろな取組の状況と日本の状況と比べたときに、こういうところがもう少しできるのではないだろうかというふうな形の視点も、これも評価表の中に出てくるのはなかなか難しいと思いますから、こういう議論の場だと思います。是非また、そういう点からもいろいろ教えていただければと思います。
 以上でございます。

○吉野座長  
 御意見どうもありがとうございました。
 それでは、引き続きまして江川委員、お願いいたします。

○江川委員 
 江川でございます。まず最初に、コロナの中で業務に尽力された国税庁の方に敬意と感謝を表したいと思います。現場でいろいろな人と向き合う業務は、今コロナ禍の中でいろいろ大変だと思いますが、そういう中で業務をしっかりやられて、評価にもそれが反映されています。そのことはすばらしいと思いました。評価全体に関して、私も賛同いたします。
 細かいことも含めて、4点申し上げられればと思います。
 1点目は、コロナの影響を受けて、KPIを一部見直したという件に関しては、私も秋山委員と同様に賛同いたします。コロナ後ということを私たちはよく言いますが、一方で、ウィズコロナという言葉もあって、今後どういうふうな形で向き合っていくかというのはまだ見えないところがあります。ただ、この3年間で何が変わったかを考えると、デジタル化が予想以上に進んだり、あるいは働き方が変わったりということで、私たちの常識や前提条件が変わった面があります。ですから、今後KPIを見直す際には、単に元に戻すというよりも、むしろ現在の状況や将来やるべきことを見据えた上で、何が適切な指標かということを考えていただきたいと思います。
 2点目は、DXに関することです。今回デジタル・トランスフォーメーションに絡めて、目標を見直して新しいKPIをつくっていただいたのは非常にいいことだったと思います。その中で、私もほかの委員と同様、マイナンバーのことがとても気になっています。これがいろいろな分野で使われないとDXが進まないというのは誰の目にも明らかです。一方で、マイナンバー制度の普及、定着に向けた取組が、昨年も今年もS評価になっています。これだけマイナンバーの普及が進んでいないのにという観点から、若干違和感を覚えざるを得ません。
 マイナンバーは総務省マターだと聞いているので、国税庁としては、その中でやるべきこととして広報活動とかいろいろ取組をされて、それはしっかりやられたので、ある意味で評価の仕組みからするとS評価になるのは当然のことなんだろうと思います。ですから、今から申し上げることは、評価や国税庁の業務を超えているかもしれないんですけれども、マイナンバーが普及しないとデジタル化が進まないというのは明らかですので、政府全体として何をすべきかをしっかり考えて取り組んで、その中で国税庁としても最大限の努力をしていただければと思います。
 3点目は、酒類業の健全な発展と促進です。これに関しては、数年前、私もこの懇談会で申し上げて、その後順調にこの取組が進んでおりますし、今回も前年度に比べて6割以上売上げが伸びたということでよかったと思っています。一方で、ワインが世界中に受け入れられているのと比べると、日本酒ももっとポテンシャルがあると思いますし、日本文化の発信の非常に重要なエレメントだと思いますので、引き続き努力を続けていただきたいと思います。
 4点目、最後のポイントは、必ずしも政策評価とは関わりませんが、税金に関わることなので申し上げます。今人的資本の重要性とか多様性ということが非常に言われています。産業や社会の変化が激しくなってきているので、転職が当たり前になってきています。その中で日本企業の伝統的な給与制度は、ある意味でお給料の後払い的な退職金の比重が高くて、それが人材の移動の一つの足かせになっている面もあるのではないかと思います。ですから、今後退職金に対する税の見直し、あるいは兼業など人の働き方が柔軟になってきていますので、そういったことも反映した税金のかけ方というのを考えていただければと思います。
 以上です。

○吉野座長  
 ありがとうございました。引き続きまして、翁委員、お願いいたします。

○翁委員 
 私も、今回の国税庁の評価につきましては大きな異論はございません。コロナ禍の中で、評価が下がっているものもございますけれども、いろいろ工夫をして地道に仕事をしっかりこなされているということが分かりましたし、そういった職員の方々の取組に敬意を表したいと思っております。
 2点申し上げますと、私も秋山さんと同じようなことを申し上げようと思っておりまして、今回、税務行政のデジタル・トランスフォーメーションということで本事務年度からいろいろ評価が始まりましたけれども、重要なのは、ユーザーの視点というのが極めて重要だと思っておりまして、ここの評価を上げていくということが極めて大事だと思っておりますし、また、単にデジタル化ということではなく、業務を抜本的に見直して、その上でデジタル化をするということで業務の効率化につながっていくし、効果的な業務にもつながっていくというふうに思いますので、特にこの2点をしっかりと取り組んでいただくということが今後も重要ではないかと思っております。
 それからもう一点は、酒類の輸出でございます。リアルで難しい中で、オンラインなどで商談をして増加につなげたことが御説明の中に書いてございました。これからリアルも可能になっていきますけれども、オンラインでいかにうまく輸出を促進していくかというところに是非工夫をしていただきたいと思っております。輸出というのは、こういった為替の環境になってくると非常に重要なことだと思っておりますし、江川委員からもありましたけれども、この酒類の輸出ということに関しましては、まだまだこれからも拡大の余地があると思っておりますので、是非お取組をしっかりお願いしたいと思っております。
 それから、財務省政策評価の事前分析表の変更のところで、1点、ウクライナ情勢の変更でこういったところを変更しましたというお話をいただき、資料もいただいておりますが、ロシアのウクライナ侵攻によって、日本経済も大きな影響を受けていると思っております。資源高、円安、そして物価高ということで、大きな財政支出圧力もかかってきておりますし、一方で、今まで見てきたように、コロナで大きな財政支出圧力がございますし、少子化も進むというような状況になっております。こういうことを考えますと、財政にとって考えなければいけない点というのがすごく出てきていると思っております。
 イギリスで金融市場が混乱したりしておりますけれども、日本としましても、日本にとって本当に必要な、成長にとって必要なものについてしっかり予算をつける一方、本当に必要のない無駄になっているようなものについては、しっかりめり張りをつけて歳出改革を行っていってほしいと思っております。長期の日本の財政や経済、持続的であるかということについて、本当に重要な局面になってきていると思っておりますので、しっかりとした発信とともに、しっかりとした政策を実現していっていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

○吉野座長  
 どうもありがとうございます。それでは、角委員、お願いいたします。

○角委員 
 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 国税庁の実績評価につきましては、皆様各委員がおっしゃっておられるとおり、非常によくされておられると思います。資料の12ページに「不服申立てへの取組」ということで、これだけコロナによって対面による聞き取り調査とかが難しい中で、目標値は95%に対し、コロナ要素を除きますと92.6%ということですので、ほぼ目標達成ということで、このコロナの状況の中で適切に業務推進、業務運営がなされていると思います。
 そして、ウクライナ問題について幾つか御指摘がございましたけれども、最近の経済界から、財政についての意見を申し述べさせていただきます。
 まず1点目は、2025年問題が最近あまり議論されなくなっているということについての危機感があります。特に介護について、給付が飛躍的に増加し、受益者負担を厚くしていかないと立ち行かなくなるということは当然のことだと思います。要介護は仕方がないにいたしましても、要支援の方についてはやはり自己負担割合を見直す時期ではないかと思います。例えば来年の4月から、鉄道駅のバリアフリー料金制度というのが始まります。目の不自由な方が転落をされてお亡くなりになるとか、その他悲惨な事故を防ぐために、可動式のホーム柵の全駅設置が望まれるわけですけれども、当社の場合で、1駅10億円平均投資が必要となり、なかなか進まないのが現状です。これを解消するために、1乗車10円お客様から頂戴する。定期の場合は1か月380円を御負担いただく、このことによって、総整備費の50%程度を賄いまして、スピードアップしていくということが可能となります。
 また、関西の高速道路網のミッシングリンクの問題が言われていたんですけれども(淀川左岸線、湾岸線西伸部で約1兆円ぐらいの投資です)、これについても半分弱が受益者負担、高速道路を利用する人がまだできていない高速道路のためのお金を負担するということで実現したという経緯もあります。
 受益者負担の中で、次は生活保護世帯の医療費の問題です。以前財政審で生活保護世帯の医療費が高額である問題が議論されましたけれども、最近は少しその議論が途絶えております。私の主張は、生活扶助費を増額し、生活保護者といえども、病気になる人もならない人もいるわけですから、医療費の一部負担をすべきと考えます。
 更に、基礎自治体が子どもの医療費の無償化を競って導入しようとされています。基礎自治体としては、老朽化したインフラの更新であるとか、もっと長期的視点で重要なお金の使い道があるにもかかわらず、どうも目先のポピュリズム的な政策が先行しておるように思いますので、これを何とか抑制するような手だてを取っていただければと思います。
 それと、2点目は、国際公約の実現をどう財源手当てをするかということでございます。今年の5月に、前国家安全保障局長の北村さんが「経済安全保障」という本を出されました。そして、その中で非常に分かりやすくロシアのウクライナ侵攻、2014年のクリミア半島と現在の違いについて書かれておりますけれども、前回は、準備も何もできていないところにサイバー攻撃を受けて、非常に小さな戦力でクリミアがあっという間に侵略されてしまったということがあります。今回は、それについては十分にサイバー攻撃の対策を取って、逆に現在の状況になっています。
 要するに、いかにサイバーとか宇宙が大事であるかということですけれども、主要国政府の研究開発費のうちの国防研究開発費の割合を見ますと、米国が47%、イギリスが8.5%、ドイツが4.2%、韓国が16.6%、日本はそれに比して1.4%しかありません。海保を含めまして、全省庁の予算をEUと同じように入れていくということは、もちろん賛成なんですけれども、そういった中でもう少し研究開発を強化していかないと駄目ではないかと思います。この点につきましても、今後日米同盟の深化を考えたときに、サイバー、宇宙部門での共同研究開発が非常に重要になると思います。
 そして、カーボンニュートラルにつきましても、財政負担が必要であることは当然のことですが、この財源をどうするかということで、企業も国民も、広く、薄く、シンプルに負担をするしか道はないというわけです。第1ステップとしては、まず企業からスタートする。現在、外形標準課税が、全法人263万社のうち、この対象法人はたった2万社しかありません(今回コロナによって、申し訳ないですが、本来退場すべき企業が3年間延命したということもございます。これからどうなっていくか、これは制度自体に問題があるのではないか)。
 要するに、日本で企業活動をする以上は、利益を出しているか出していないかではなくて、外形標準的にもっと負担する企業数が増えるような制度に変える必要があるのではないか。その制度を変えるには少し時間がかかりますので、例えば法人住民税均等割りの増額を考えたときに、現在は住民税的な考え方ですから、都道府県と基礎自治体しかないんですけれども(都道府県が1,400億円、市町村が4,200億円、合計5,600億円ですが)、これに国の分を増額して、国の分ということは、要するに国を守るためのお金を企業が負担するということですけれども、そうすると、この5,600億円のいわゆる財源が生まれるということです。
 第2ステップとしては、消費税の税率を10%から15%に最低限上げる必要がありますので、これを長期的に、一気に3とか2とか上げますと、また腰折れ問題が生じますので、できるだけ緩やかに時間をかけて、長期的ではあっても、2年に1回であっても、1%ずつ上げていけば、10年たてば15%になりますので、是非ともその議論を始めていただきたいと思います。
 先般、9月26日なんですけれども、日銀総裁と関西経済界との意見交換会がありまして、全体会議が終わった後ですのでクローズな状況ですので意見を求められましたので、ちょうど黒田総裁が10年前に着任されたときに、政府・日銀のアコードの話が出ました。そして、今回は、少なくともバトンを渡す前にマイナス金利の解除をしていただけないかと。それと、一方、財政政策としては財源の問題を確保した上で、成長投資についてやっていただかないと、30年間社会保障費と、国債費だって今9兆円増えただけですけれども、これが今の低金利だからその数字になっているわけで、これを放置することはとても問題があるわけです。どちらにしても、30年間成長投資をしていない企業というのは、当然退場しなければならなくなるのは当然なんです。ですので、何とか国も成長投資できる財源を確保する歳入改革の議論をしていただければとお願いするところでございます。
 残念ながら、この主張に対しては、総裁からのコメントはいただけなかったんですけれども、言いっ放しにはなっておりますが、マイナス金利を解除しますと、地銀の預貸による利益が1,200億円と言われております。リスクを負って地方経済を支えるということをするためにも、マイナス金利の解除は是非ともよろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。

○吉野座長  
 貴重な御意見、どうもありがとうございました。引き続きまして、田中委員、お願いいたします。

○田中委員  
 国税庁の士気、そして能力の堅牢性については、今日の御報告もありますし、事前の打合せのときも御説明いただきました。大変立派だと思います。問題は、日本全体の企画部門です。日本全体の中で財務省はどういう役割を果たすのか、あるいはそれに対して、言論に関わる者がどう関与できるのかという問題が残っていると思います。トリプル安が、御存じのように起きていまして、為替が下がっているのは誰でも分かるわけですが、債券も、国内では残存期間20年ということならば売りが進んでいます。利回りは上昇していますし、それから、ヨーロッパでETFという形で、日本国国債が取引されていますけれども、これも大きく値下がりしています。
 トリプル安の可能性というのは、これまでも何度か言われていた。しかし、実際にはそれを押しとどめていたわけですが、この半年、そうもいかなくなった。ウクライナの情勢を受けて、ヨーロッパが大きく打撃を受けます。イタリアで財政赤字の問題が議論され、イタリアの国債が売られる。利回りが上昇するという局面になると、もっと財政赤字がひどい国があるではないかということに誰でも気づくわけですが、これが今回ついに日本に来たということだと思います。それが起きないように包摂する。そのためにも財政健全化のために何ができるのかということです。
 霞が関あるいは永田町との組合せで言うと、ここに十分手が打たれてきたというふうには言えない。参議院選において、与野党ともに財政赤字の問題を取り上げるという雰囲気は全くなかった。これは、アセットマネジメントをグローバルに行っている人たちから言えば、日本は、日本社会が抱えている本来的なリスクに正面から向き合う姿勢が与党にも野党にもない。日本のポリティカル・アジェンダにこれが登場するめどは当面つかないということを満天下に示したわけで、今回起きているトリプル安の背景には、もちろんウクライナを受けて、ヨーロッパが再び問われたこと、それとの関連はありますけれども、いずれにしろ、我々が見たくないものとしてできるだけ見ないようにしてきたんですけれども、ついにそうはいかなくなったということがあると思います。
 この政策評価懇談会の仕組みは、霞が関の行儀が悪かったとか、スキャンダルも含めていろいろなことが起きたときに、各局あるいは課ごとに行政の目標を立てて、それで身を正そう、あるいはそれをやってくれという国民の意向を受けてこの仕組みが入ったわけですが、国税庁のレポートが端的に示すように、士気、能力において、現場は大丈夫だと。問題は、企画調整に関わる、日本国のありように関わるところにおいて、この機能が発揮されていないということなんだと思います。
 ですから、この政策評価懇談会は、これは法制上、位置づけられているものですから続けられると思いますけれども、そろそろ問うべき、あるいは答えるべきということかな、それを明らかにもう一度定義し直してやる必要があるのではないかと私は思っています。先ほど角さんもそういう御発言をされましたけれども、全体として、これはやはり問題だと。
 とりわけ社会の不安定を封じ込めるための財政赤字をコントロールするという視点がどの政党にもないというのは、これは大変なことなので、これが日本が今売られている、あるいはこれもなかなか止めるわけにいかない、これからもまだ続く可能性が、残念ながらあると判断すべきでしょう。ということになれば、それは正面からこの際取り組むべきだろうと思います。永田町、霞が関の連合体がこれに対して十分な力を発揮できていないということになれば、主権者としての国民にとって大問題ですから、どういう枠組みでこれを議論するのかということになります。こういう懇談会もその一環として位置づけられるべきではないかと思っています。
 以上です。

○吉野座長  
 田中委員、ありがとうございました。それでは、田辺委員、お願いいたします。

○田辺委員  
 3点ほど申し上げたいと思います。
 まず、全体といたしまして、特に国税庁がコロナ禍の2年目における業務を適切に遂行していかれたということには敬意を表したいと思います。
 逆に、若干ぶしつけになるのかもしれませんけれども、コロナという状況を奇貨としまして、組織の内側の作業の仕方を変えていくという側面、同時に、国税庁と国民との関係を変えていくということに適切に寄与したという点に関しては、コロナというものとDXという目標とが相まってプラスの方向を向いたのかなと、全体として思ったという次第でございます。
 コメントの第1点目は、その中でも不服申立てという、ある意味従来あまり点数が上がったり下がったりしないところがB評価ということで若干下がっております。もちろん、デジタル化、それから国際化という問題があって、その中で不服申立てというのが出てくるわけですから、当然ながら案件としては非常に難しいものになっているというのは理解いたします。
 ただ、この案件が期間内に処理できないというのが滞留すると、これは国税庁の作業のかなりの部分ではないかもしれませんけれども、滞留して、滞留してというのが重なっていくような状況になりますと非常によくないと思いますので、そういった点に御注意いただきまして、今後こういう難しい案件の処理ということで次年度に先送りしないというところを適切に、質を保ちながらやっていただければと思ったというのが1点目でございます。
 2点目は、国税庁のDXに関わる部分であります。政府全体としてのDXを進めていく中では、1つは税金のところで広めるのと、あと2番目は、医療制度においてDXの部分というのを広めるというのが肝になっているのではないかと私は思っている次第であります。それは、対国民との関係で、DXをどういうふうに広げていくのかというのは、従来なかなかうまくいっていなかったという部分があって、そのツケがかなり回ってきているんだろうと思います。
 税と医療の違いというのは2点ありまして、1つは、税の特に支払ってもらうところのDXのシステム負担というのはほぼ政府のほうに来ていますので、誰にシステムの負担をしてもらうかという問題はあまり生じないという点がございます。
 他方、医療のほうは、医療機関のほうがシステムの一部を負担するであるとか、保険者のほうが負担するというので、負担の配分の問題というのはかなり進展を妨げているという部分があった。そこは国税庁としては適切に頑張っていただきたいというのが1つ。
 あと2番目に違いますのは、国税庁のほうは、これは無理やり広げるというか、レギュレーションをかけて広げるということは、どうもしておりませんけれども、医療のほうはあまりに進まなかったので、オンライン資格確認を医療機関のほうに義務づけるということをやっております。逆に言うと、DX利用を義務づけないとやってくれないという状況に陥っております。こっち側がいいのか悪いのか分かりませんけれども、国税庁もそのうち義務づけるという部分がもしかしたら出てくるのかもしれないと思ったという次第でございます。
 他方、今回の評価の中を見ていきますと、スマホによる利用というのが1.5倍という形でかなり急速に伸びております。恐らくスマホですから、マイナカードみたいなものは関係なしに、番号さえあれば何とかやっていける処理形態なんだろうと思います。それを考えますと、DXが広まった後では、いかにこれを便利に使っていただくか。恐らくスマホの場合には、利用の便利さという点に関してかなり拡大しながら使いやすい方向に向けていったので、昨年度のような結果が出たのではないかと思ったという次第でございます。今後、スマホの中でできることの拡大、それから、その利用のしやすさという点に関しても御配慮いただければと思ったという次第でございます。
 3番目は、事前分析表の中で、ウクライナ情勢の持つ部分というのを記述の中に加えたということでございます。特に関わっているのは、例えば国際局とか関税局絡みのものだと思いますけれども、恐らくウクライナ情勢の持つ広がりというのが経済情勢に関する広がりに転ずるにつれまして、このような事前分析表のちょっと入っている部分だけではなく、非常に全体を揺るがすような変化というか、目標の部分に影響を与えてくるのではないかと思っているということでございます。
 以上、3点ほど申し上げました。

○吉野座長  
 貴重な御意見、どうもありがとうございました。それでは、広瀬委員、お願いいたします。

○広瀬委員  
 ありがとうございます。今回不服申立てに対する取組について厳しく評価されたのは、恐らく更に改善していくことを自らに課したということで、大変良いことであり、時宜を得たものだと思います。この取組は、不服を言う納税者の方とそれに対応する職員の方の問題ですが、広く捉えれば、双方のコミュニケーションということになります。今後、こうした納税者の不平、不満、苦情、不服までいかないにしても、そういったものが増えて、それに対する国税庁、実際は職員の方の対応が非常に大変になってくるのではないかと思います。
 来年の予算編成を見ても、防衛関係、子ども関係、それからGX、膨らむ要素ばかりであり、社会保障もこれから本格的な高齢化社会に伴い、更に膨らんでいくということが予想されます。当然それに対する財源問題がありますが、赤字国債にこれ以上頼るのは、誰が見ても限界に達していることから、増税という選択肢は避けて通れないと思います。
 一方で、払う方は、個人にしても中小企業にしても今四苦八苦しているので、国税庁の「納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する」という使命の重みが改めて肩にのしかかってくるのではないかと思います。まずは、増税そのものを理解、納得してもらうことが必要ですが、これはなかなか現実的に難しく、簡単ではありません。
 例えば、デジタル化も、長い目で見れば効率化して便利になりますが、移行期は恐らくお年寄りを中心に、不平や不満、苦情、更には不服申立てにつながるわけで、そういう面で、広報広聴活動に更に力を入れなくてはいけませんし、納税者の困り事とか相談事に対してきめ細かく対応していくことが必要ではないかと思います。
 大本は政治の責任なわけですが、実際にそれに対応するのは国税庁、職員の皆さんですから、国税庁、職員に課せられた役割、責任は、ますます大きくなると思います。今回Bという評価ですが、これを前向きに生かせれば、その時点でこれはAに値するものになっていくのではないかと私は思います。
 以上でございます。

○吉野座長  
 どうもありがとうございました。それでは、山本委員、お願いいたします。

○山本委員  
 山本でございます。ありがとうございます。
 私も基本的に国税庁の実績評価の結果につきまして異存ございません。また、財務省の分析のウクライナ関連の表現の訂正につきましても、特に異論ございませんが、2点ばかり申し上げたいと思います。
 今広瀬委員も御発言がありましたとおり、国税庁というのは、確かに納税者サービスをやっているわけですが、同時に公権力の行使もやっておられるわけですので、財務省の使命にもありますように、一部の不祥事等もありますが、国税当局に対する信頼なり信任というのがもう少し基本的な目標なり長期的なトレンドを把握するということをおやりになってもいいのではないかというのが1点でございます。
 それと、今回コロナ関連におきまして、非常に丁寧な御説明をいただいていることは高く評価したいと思います。しかし、同時に政策評価をやっておる者といたしましては、例えばコロナの関係で現場に行けなかったとか、そういう物理的な障壁等々で目標が達成できないような状況と、満足度が低くなった、ぎりぎりになったとか、そういう場合の状況は、同じ目標達成をしなかったといっても、違うのではないか。
 とりわけ、あくまでもこれはアカンタビリティ目的もあるかもしれませんが、国税庁の業務改善等にも資するということから言えば、満足度というのがどういう要素で成り立っているのであろうかということについても、例えば調査されているサンプルの中には、年齢であるとか、ほかの属性等もある部分を捉えているわけですから、そういった満足度の要因分析等も今後更に進めていかれますと、よりアカウンタビリティ目的以外の効率性であるとか、質の向上等にも役立つと思いますので、是非チャレンジしていただきたいと思います。
 なお、ほかの詳細なことにつきましては、事前に事務局にお送りしておりますので、参考にしていただければと思います。
 以上でございます。

○吉野座長  
 どうもありがとうございます。
 それでは、最後に私からも幾つかコメントさせていただきたいと思います。
 委員の先生方からございましたけれども、この政策評価の懇談会というのは、ほかの審議会と違ったところがあると思います。それぞれの分野での議論というのは各審議会でやる。しかし、それを全部包括的に考えて、国全体として、あるいは財務省全体として、どういう方向にあるべきか、あるいは国税庁全体としてどういう方向にあるべきか、これがこの政策評価の懇談会の役割だと思います。その意味で、様々な分野の方々、様々なバックグランドの方々がここにお集まりいただいて、それぞれが大所高所からの御意見をいただく。そういう意味では、この政策評価懇談会というのは、各省庁ともに重要であり、恐らく財務省の政策評価というのが日本全体を見ながらやるという意味もあるのではないかと思います。
 中身に入りたいと思いますけれども、皆様の御意見のように、コロナ禍で国税庁の方々が非常によく頑張られて、そこはいい人材を確保されているということであると思います。今後ともいい人材を確保するときに、ほかのところで始めていただいたんですけれども、表彰制度をやっていただくといいのではないか。幾つか各地域でいい仕事をされた方、あるいは全国レベルでよい仕事をされている方、こういう方々を毎年国税庁長官に表彰していただいて、やる気のある方、非常に真面目にやられている方、そういう方々を是非評価していただく。そういうことが職員のやる気につながっていくと思いますし、長期にいい仕事をしようというインセンティブにもなると思います。
 それから、デジタル化で必要なところは、国税庁がデジタルのところを進めると同時に、各委員がおっしゃっていましたマイナンバーの活用がないと、両輪ですから、うまくいかないと思います。私は、伊藤元重先生と同じ年に、アメリカに40年以上前に留学したんですけれども、マイナンバーカードが大学の学籍番号になっているんです。そうしますと、試験のたびに全部自分のマイナンバーカードを書くわけです。そういうような形に日本もなれば、子どものときからマイナンバーが全部頭の中に入るわけで、その普及というのがいろいろなところで一緒にやれれば、アメリカのようにもっと普及というのは進むのではないかと思います。
 それから、各委員もおっしゃっていました利用者目線、これで考えられているということはすごくいいと思います。ただもう一つ、日本の場合、高齢者の方が増えていますから、高齢者の方々も使いやすいような、そういうことも一つ目線の中に入れていただいて、変な言い方ですけれども、お年寄りの方々も御自宅から税務のことが少しできるということになれば、本当に全体の目線になると思います。
 それから、これも各先生がおっしゃっていましたように、コロナの前とコロナとコロナの後、この3つの段階で、コロナの後が、コロナの前と同じ経済構造かというと、そうでなくなってきているということが分かってきているわけであります。そうしますと、財政政策、財務省の政策も、根本的に少し違った形で考えなくてはいけないという方向になっているのではないかと思います。
 先ほど皆さんの御意見がありましたけれども、インフレ、円安、財政赤字の増大、社会保障費の増大、これは今後更にこの問題というのが大きくなると思います。国債市場をずっと前から見ておりますけれども、これまで日本が安定してきたのは、国内の人たちがほとんど保有していた。そこで今度は日銀がばっと出てきて、一応国内ですけれども、それが購入した。これで今度は、では、引締めに入ると、日銀が買っていた国債が出てきますけれども、それを誰が買うのか。国内で吸収できるのかとなる。
 ギリシャが破綻したのは、私が見る限りは、外国人の保有が3分の2ぐらいになってきて、国債市場が非常に不安定になったからです。ですから、この後引締めになると金利を上げる。それはいいことですけれども、そうしますと、国債を日本銀行が今度は売却していきますから、それをきちんと買えるんだろうか、こういうわけです。怖い話が、中国人の知り合いが、中国が買ってやると言われたので、ぞっとしたんですけれども、そういうように国債を増やさないと同時に、これから日本銀行が引締めになったときに、どうやってその国債を吸収するかということももう一つあると思います。
 それから、各委員がおっしゃっていましたように、社会保障費を増大させないようにしないと、あるいはむしろ減少させるようにしないと、幾らいろいろな税を上げても間に合わないと思います。前から申し上げているように、みんながエリザベス女王のようになって、死ぬ前の日まで働ければ、社会保障費、年金は要らないわけですから、定年を遅らせて、賃金を生産性に応じて、年功序列ではなくて、なるべく社会に貢献できる、そういうものを全ての業種、全ての公務員も含めたところで、大学も含めて、やらなくてはいけないと思います。アメリカの場合、大学では定年退職がありませんから、私の友人なんかは、80歳以上でも、みんな働き続けているところです。
 それから、国税に関しまして、目指していただきたいのは、いろいろな指標で世界一というのをデジタル化なりで是非目指していただきたいと思います。このデジタル化の中で、エストニアという国が各国からすごく注目されまして、みんなエストニアへ行って調べてくる。そういうことがありましたけれども、是非国税庁がいろいろな分野で日本一になって、日本の国税庁に行ってみて、それで調べてみようと、そういうふうに世界の各国の方々がなれるような形で、いろいろなところで頑張っていただくとすばらしいと思います。
 それから、お酒の酒類業に関しましては、日本酒はすごくおいしいわけで、これをもっと海外に販売できるように、いろいろなところで、大使館も通じて、是非宣伝をしていただいて、フランスのワインだけではなくて、日本酒だってもっとおいしいんだというところを見せていただきたいと思います。
 それから、集める税に関してはいろいろ御意見がありましたけれども、学者の理論的な論文でいきますと、炭素税、CO2タックスというのは、これが一番資金の配分のポートフォリオをゆがめないというのが出てきておりまして、これが1つ新しい税として更に日本を救える可能性はあるのではないか。来年G7ですけれども、そういうところでこういう炭素税なり環境税、これを日本が少しリードして、最低走るだけでいいと思うんですけれども、全世界的に同じ税率にしてCO2課税を課す。これが一番資金の配分をゆがめないということになるわけです。
 現在衛星写真で、工学部の方にお聞きしますと、各家庭の温度まで何度かと分かっちゃうんです。そうすると、夏、冷やし過ぎている家庭も分かるし、冬になると、あそこは暖かくし過ぎているというのも全部分かるので、そうすると、企業ばかりではなくて、家計に対してだって、極端にやっている人に対しては炭素税をかけることだって可能になるわけですから、いろいろな消費税を上げたりすることも必要ですけれども、新しい税というか、これまでの税を更に拡充していくということも、もう一つ必要ではないかと思います。
 それから、最後は、様々なときに、みんな税に頼る。それで、今回のコロナのときも、どういう補助金があるのかというのをみんな必死に見て、この補助金をもらおうと。そういうところにインセンティブが行ってしまいましたので、そうではなくて、生産性を上げたり、あるいは効率を上げたり、そういうインセンティブに対して何か報いる。こういう形でないと補助金ばかりみんなが一生懸命見るということになると思います。
 財政でいろいろやることは必要なんですけれども、先ほど角委員がおっしゃった受益者負担といいますか、もう一つは、クラウドファンディングというのが今日本で随分進み始めていますので、いろいろな事業をやろうとするときに、そのクラウドファンディングで集めるとなると、意外にお金がばっと集まることもありますので、官の資金だけではなくて、民の資金を利用して、それから受益者負担ということを是非続けていただきたいと思います。
 以上が、皆様方からの御意見も踏まえ、私の意見も述べさせていただきました。
 今日は冨山委員が御欠席でございますけれども、資料の6として、247ページに冨山委員の御意見を掲載しておりますので、皆様、後で見ていただければと思います。
 それでは、これから財務省と国税庁側からコメントをいただきたいと思います。
 最初に、国税庁に関する事項につきまして、阪田国税庁長官からお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○阪田国税庁長官 
 国税庁長官の阪田でございます。日頃から政策評価懇談会委員の皆様には、私どもの税務行政をリードしていただける貴重な御意見をいただいておりますこと、また、今回、私どもの実績評価の結果につきまして、肯定的な評価を皆様からいただきましたことに厚く御礼申し上げます。その上で、幾つかコメント等をいただきましたことにできる限りお答えさせていただければと思います。
 まず秋池委員からいただいたお言葉についてです。今回はコロナの影響を勘案しながらの実績評価となりましたけれども、もちろん通常にいつ戻るのかについてはコロナの状況ですし分からないところではありますが、既に現場では、現在の足下のコロナの状況を念頭に調査・査察の件数をコロナ以前に戻していこうと、事務運営のギアを元に戻しつつあります。そういう意味では、いろいろと税務行政の執行では通常に戻す動きが始まっておりますけれども、これをどのようにして適切に実績評価の目標に反映していくのかについては、柔軟に考えていく必要があると思っています。コメントありがとうございました。
 秋山委員からも何点かお言葉をいただきました。特に利用者目線、それから従来の慣行にとらわれることなくという目標の考え方について、温かいお言葉をいただきましたことを御礼申し上げます。その中でも特にマイナンバー制度の活用について注視されているというお話をいただきました。マイナンバー制度は事務的な意味では様々な名寄せや申告書の突合が楽になり、所得把握の正確性が向上する、あるいは預金口座への付番が進むことによって、預金口座の特定が迅速化・確実化するといった税務行政全体の効率化に非常に資する面もあるわけですけれども、更に言うと、申告がますます簡単になっていくという効果に非常に期待しております。そういう意識の下、私どももマイナポータル連携を促進し、様々な控除に関する情報が更に自動化されるよう、毎年のように新しい項目を加えてシステム更改を重ねております。マイナンバーカードを利用したe-Tax申告が便利になればなるほど納税者の税制に対するコンプライアンスが高まり、ひいては税務行政も、より悪質な納税者への調査に力を集中できるという相乗効果も出てくると思います。納税がシンプル、スピーディ、そして簡単になるマイナンバー制度の普及に向けて税務当局としても貢献していきたいと考えております。また、オンライン活用を今後も期待するというコメントの中で、ドイツの事例をご紹介いただきました。重要な視点だと思います。私どももDXをいろいろ進めていますが、例えば税務署の受付に行けば、そこにあるパソコンから中央本部の相談担当者にオンラインで直接相談できるという取組をしている税務署が現れており好評であることなどが判明しております。オンラインは様々な活用局面があると思いますので、更に活用を進めてまいりたいと思います。 
 伊藤委員から、税務行政を取り巻く環境が変わっていく中で柔軟に対応していくことが必要である、そして丁寧に説明する姿勢を続けてほしいというお言葉をいただきました。正に現場は柔軟性を発揮しなければ環境変化に追い付けませんので、是非そういう姿勢を続けていきたいと思います。その中で実績評価の目標設定の仕方を微調整していくということになるわけですけれども、こうした懇談会の場を通じていろいろ議論をさせていただければと思います。また、海外と比べてみる視点が大切だとの御指摘をいただきました。実際、世界各国の税務当局は急速にDXを進めております。海外との意見交換・情報交換は非常に大事だと思っています。そうしたものを取り込みながら私どもの税務行政の在り方、実績目標を柔軟に見直していければ、と考えております。
 江川委員から、KPIをコロナ以前に戻すのではなく、先を見て考えることが重要である、というお言葉をいただきました。実際、既に税務行政はコロナ前とコロナ後では違うものになるということがはっきりしておりますので、そういう意識をもって取り組んでいきたいと思います。それからマイナンバー制度の普及に関してS評価としたのはいかがなものかとのコメントもいただきました。事務所掌上は、マイナンバーカードそのものの普及については総務省の施策になるわけですけれども、それを後押しできるようマイナポータル連携で税務申告がより簡単になる項目を次々に追加していくというのが、国税庁のマイナンバー普及への貢献であると考えており、その面からするとS評価という評価をさせていただいたわけですけれども、おっしゃるとおり、マイナンバーカード全体の普及に政府が苦戦している面もあると思いますので、それを後押しできるように、マイナンバーカードを取得すれば税務申告もこんな便利になりますよというようなキャンペーンを張るなどコラボしながら応援していきたいと考えております。酒類業につきましては、ワインと比べて日本酒はまだまだである、ポテンシャルがあるのだから引き続き頑張るようにとのお言葉をいただきました。全くそのとおりだと思います。政府の農産品の輸出目標は非常に高い目標を掲げており、その中にあっても国産酒類の輸出の伸びは大変優等生であると思っています。引き続き、国産酒類の輸出の振興に取り組んでまいりたいと思います。
 翁委員からは、ユーザーの視点と業務の抜本見直し、この2つの視点をしっかりと実施してほしいというお言葉をいただきました。この点ですが、数年先に税務行政は大きなトランスフォーメーションを計画しております。DXを進めていき、次世代システムへの移行を令和8年に予定しております。また、令和8年には納税者の管理事務などの内部の業務を、税務署から移行してセンターに集約するという、相当巨大な業務改革を計画しております。お言葉のような視点を維持しながら、業務改革と業務の抜本見直しを進めていきたいと思います。また、酒類の輸出に関しては、オンライン商談会について評価いただきありがとうございます。今後も、リアルでの輸出振興を進めてまいりつつ、オンライン商談会を通じて得たノウハウなども有効に生かせるようにしていきたいと思います。
 田辺委員からは、不服申立てについてお言葉をいただきました。ありがとうございます。もちろん、不服申立ての処理が滞留することは非常によろしくないことでありますし、件数の管理というのは国税不服審判所にとって非常に大事なことですので、若干実績値が目標値を下回ったことをもってB評価という厳しい評価にしたわけでございます。国税不服審判所の本部において、支部ごとの処理の進捗段階を詳細に把握して個別に聴取するなど、進行管理や関与を強化することを考えております。また、支部に対する本部の支援も従前以上に積極的に実施し、この滞留が増えないよう、次回は目標が達成できるように努力してまいります。また、DXに関して、税と医療の関係の御指摘もありました。例えば、国税申告において自動的に医療費情報を利用できるようなオンライン改修などを進めております。国税庁としてできることについて全力を尽くし、今後も取り組んでまいりたいと思います。また、スマホの機能が進化して、スマホから直接マイナンバーカードの情報を読み取ることができるようになったことは大きいと考えております。今後も、特に次の確定申告の機会などを捉え、できる限り納税者をスマホ申告へ誘導し拡大に向けて努力してまいりたいと思います。
  広瀬委員からは、特に増税局面になってきますと様々な不服や不満が出てくるかもしれないため、広報・広聴に力を入れて相談にもきめ細かく対応するべきである、というお言葉をいただきました。正におっしゃるとおりだと思います。広報・広聴と相談体制を今後ともしっかり充実させていきたいと考えております。
 山本委員からは、信任度、信頼度のトレンドの把握をしたらどうかという提案をいただきました。もちろん、今までも税務署や国税庁ホームページなど様々なルートを通じてこうした御意見を集めているところでございますけれども、確かにトレンドを測ること、把握することも重要な視点かと思います。研究させていただければと思います。それから、同様に満足度というものを更に分解して深く研究してはどうかといった貴重な御意見をいただきました。ありがとうございます。研究してみたいと思います。
 最後に吉野座長から、幾つかお言葉をいただきました。まず、表彰制度でございます。実は、毎年6月に国税庁長官表彰、国税局長表彰を行うという仕組みがございます。優秀な実績を上げた職員を対象にした制度ですけれども、座長の御指摘のとおり、良い人材を確保しその士気を高めるという意味で重要な制度だと思っておりますので、御指摘を踏まえながら更にこの制度をきちんと生かしていきたいと考えております。マイナンバー活用の御指摘もありました。これは、今までお答えしましたとおり、国税庁にとっても税務コンプライアンスを最終的に引き上げていく非常に大事なツールだと思っておりますので、全力を挙げて協力していきたいと考えております。また、高齢者の利用者目線も忘れないようにというお言葉をいただきました。おっしゃるとおりでございます。今後ともこの点は常に意識して取り組んでまいりたいと思います。特にDXにおいてということだと思いますが、世界一を目指してほしいというお言葉もありました。業務の見直しとシステムの更改など、様々な要素が関係してまいります。また、世界一となるためには、経済実態そのものにおいて相当DXが進んでいる背景が必要になると思います。国税庁は、既にDXを最大限活用し業務の抜本見直しをするという方向に舵を切っておりますので、そのように胸を張れる状態になれるよう、頑張ってまいりたいと思います。そして、酒類の販売について更に努力を、というお言葉をいただきました。今後とも引き続き、日本産酒類のポテンシャルを最大限に出せるよう、国税庁としても業界支援をしてまいりたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。

○吉野座長  
 阪田国税庁長官、どうもありがとうございました。それでは、住澤主税局長と青木官房長から一言、それから最後に、茶谷事務次官からお話しいただきたいと思います。住澤主税局長、先にお願いいたします。

○住澤主税局長  
 住澤でございます。各委員から大変貴重な御意見をいただきましてありがとうございます。その中で、江川委員から、人的資本の重要性と労働移動との関係で、税制が妨げにならないようにということで、非常に重要な御指摘をいただいたと思います。退職金税制のあり方について、御指摘のような観点から、従来から退職所得控除の金額が勤続20年のところで大きく変わるといったような問題も含めて、これまで御指摘をいただいてきております。そのあり方については、今後きちんと検討していく必要があると思います。
 また、それとも関連いたしますが、こういった退職給付、年金給付との関係で、私的年金、企業年金ですとか個人年金の取扱いについて、どういう企業で働いているか。企業年金を実施している大企業で働いているのか、あるいはそうではない中小企業をはじめとするそういった企業で働いているか。あるいは雇われて働いているのか、フリーランスとして働いているのか、こういったことによって取扱いが大きく異なっているという問題も指摘をされてきております。
 本日御提出いただいている冨山委員の御意見とも若干関連する問題でございます。こういった点も、労働移動を円滑化し、どういう働き方をしていても等しく扱えるような制度をつくっていく。あるいはポータビリティのある私的年金の制度を構築していくという観点で重要な課題であると考えておりまして、近年、iDeCoを中心に、逐次税制改正を積み重ねてきておりますが、引き続きどういった働き方をしていても等しい取扱いが実現できるような制度の構築に向けて努力をしていきたいと考えております。
 また、角委員、田中委員、広瀬委員、吉野座長から、財政の健全化、また、防衛費をはじめとする歳出増にどのように対応していくかという観点から、歳入面の改革の必要性についての御指摘をいただきました。角委員と吉野座長からは、具体的な取組の考え方も含めて御示唆をいただいたところでございます。
 特に角委員からは、受益者負担的な考え方が重要であるということで、鉄道料金におけるバリアフリー料金制度の在り方も含めて御紹介をいただきました。今後の財政を考えていく上で、税金というのが社会で共通に必要となる費用をみんなで分かち合うためのいわば会費的なものであるという性格、これについてもう一度確認をして議論をしていく必要があるのかなと感じております。
 その一方で、広く公平に負担を分かち合っていくという考え方に照らしてみたときに、経済力に応じて相応の負担をしていただくということもまた重要な視点でございますので、そういった観点から、極端な不公平感が生まれないような制度ということも重要な視点になってくるのではないかと考えておりまして、本日いただいた御意見も踏まえながら、引き続き議論をお願いしてまいりたいと考えております。

○吉野座長  
 住澤主税局長、どうもありがとうございました。それでは、青木官房長、それから茶谷事務次官、お願いいたします。

○青木官房長  
 時間があるようでしたらということで発言を希望していたんですけれども、簡単に。
 財務省のDXの関係で申しますと、国税庁や税関など納税者と接点の部分でユーザーの利便性向上、効率化、業務改革を目指して、組織的に行っている部分がまず一番大事なものとしてあるんです。それ以外に財務省の内部事務みたいなことにつきましても、様々な取組をしているんですけれども、大きく分けて2つございます。簡単に御紹介させていただきます。
 1つは、DXをやっていくための環境整備みたいなことでございまして、今年の1月にLANを更改したことに合わせまして、情報端末も持ち運んで、自宅でオフィスと同じように仕事ができるようなリモート環境の整備でありますとか、それから、マイクロソフト365というツールを入れて、それぞれの担当の部署で、自分たちの作業的な仕事を自動化するみたいなことに使えるツールを入れまして、それをみんなで研修したりとか、実際にそれを使ってみていろいろ個々にやっていくみたいなことを始めているところでございます。
 もう一つ、私自身は若手の育成とかやりがいみたいなことを高めていく上ですごく意味のあることだなと思っている取組が1つありまして、それが財務省のDXプロジェクトというものがございます。これは、若手、中堅の職員が自分で手を挙げて、昨事務年度でいくと、30人ぐらい全部でメンバーがいるんですけれども、彼らが自主的に自分たちの周り、また自分の仕事について自動化を図っていったりとかする、そういう取組、みんなで勉強会みたいなものをやっています。
 これは、若手のみんなが組織横断的に自主的な取組をして、自分のスキルを高めていこうみたいな取組ですので、人材育成とかやりがいの確保みたいなことについても意味のあることだなと思っていて、これを有志による立ち上げから、組織としてしっかり後押ししていくということにコミットして、今年からは更にそれを深めてやっていきたいと考えているところでございます。
 私のほうからは以上、簡単な紹介でございます。

○吉野座長  
 ありがとうございました。
 それでは、最後に茶谷事務次官、お願いいたします。

○茶谷事務次官  
 事務次官の茶谷でございます。平素より大変お世話になっておりましてありがとうございます。改めて御礼申し上げます。また、本日、貴重な御意見を多数いただきました。誠にありがとうございます。
 税務行政につきましては、正にコロナとか物価高、デジタル化、グローバル化で、取り巻く環境が急速に変わっておりますので、これについては業務改革をしながら、組織を挙げて取り組んでいくということに尽きるかと思いますが、多くの先生方から、財政の話について御指摘を頂戴しました。2020年度、令和2年度にコロナが起こる前、例えば補正予算を毎年やりましたが、これは、実は大体3兆円ぐらいの規模でした。ところが、令和2年度に入って補正予算を組み始めてから、1回の補正予算当たりが30兆円という、相場としておよそ10倍の規模の補正予算がここしばらくずっと組まれてきているという状況でございます。
 それで、今また新しい経済対策、補正予算が議論されていますが、物価高という新しい課題はございますが、コロナということ自体は収束してきているわけですから、予算の相場感が一時期は極めて例外的なものになったという、その相場感を関係者間で元に戻していくという作業が今一番喫緊の課題かなと思っているところでございます。
 その上で、そもそも多くの委員の先生方から御指摘いただいたように、予算にはそもそも財源をセットとして考える。これは本来当たり前のことですが、ここしばらく、正直言って忘れられていた感があります。これを一つ一つの個別で我々はやっていく必要があろうかと思います。特に一番喫緊の課題であれば、防衛でございます。これについては、そもそも日本の国防のためにどういうことが必要か、実行可能性をもって何ができるかという中身を議論した上で、必要な財源で、どうしても国民の方に御負担いただくような部分、これは多分中身の性質からして、広く御負担いただくというのが正に合っているかと思いますが、これについて、これは令和5年の当初予算なので、そんな時間もないものですから、これを急ぎ関係者でよく議論しながら、国民の皆さんに御理解を得ながら議論していく必要があります。
 更に、これも御指摘いただいたGX経済移行債と子育て予算、これについては財源を確保しながらということ自体が、今年6月の骨太で閣議決定がされているものですから、この財源というのをきちっと議論していく。その上で、更に、金額的にはこれよりもずっと大きな話として、医療、介護、年金という社会保障、これについては常に恒常的な大きな課題でありますが、この中身の改革、見直しには、マイナンバー制度の活用というのは非常に重要な手段かと思います。その中身を見直していきながら、財源というのは基本的に保険料と税なわけですから、この在り方をどうしていくかというのが更に我々として取り組むべき大きな課題だと認識しておりまして、そんな時間軸を頭に置きながら、これから頑張っていきたいと思いますので、引き続きまたいろいろ御指導と御意見を賜れば幸いでございます。
 今日はどうもありがとうございました。

○吉野座長  
 茶谷事務次官、どうもありがとうございました。
 今日も活発な御議論をいただきまして大変ありがとうございました。
 次回の会議では、通例ですと来年の3月頃を予定いたしておりまして、第6次の政策評価に関する基本計画及び財務省の令和5年度の政策評価の実施計画、これを予定しております。
 また、本日の懇談会の議事内容はウェブで公表させていただきますが、その前に各委員に御確認いただく予定でございます。
 今日は少し時間をオーバーしてしまいましたけれども、第75回の政策評価懇談会、御出席ありがとうございました。これで終了させていただきます。


──了──