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第68回 財務省政策評価懇談会(8月24日開催)議事録

日時    令和2年8月24日(月)14:59〜16:53

場所WEB会議(財務省第3特別会議室を含む)

出席者(懇談会メンバー)

懇談会メンバー

秋池玲子

ボストン コンサルティング グループ
マネージング・ディレクター&シニア・パートナー

秋山咲恵

株式会社サキコーポレーションファウンダー

伊藤元重

学習院大学国際社会科学部教授

江川 雅子

一橋大学大学院経営管理研究科 教授

百合

株式会社日本総合研究所理事長

小林喜光

株式会社三菱ケミカルホールディングス取締役会長

和夫

阪急電鉄株式会社代表取締役会長

田中直毅

国際公共政策研究センター理事長

田辺国昭

国立社会保障・人口問題研究所所長

座長吉野直行

慶應義塾大学名誉教授、金融庁金融研究センター長
政策研究大学院大学客員教授

(敬称略、五十音順)

(財務省)

太田事務次官、茶谷官房長、阪田総括審議官、矢野主計局長、住澤主税局長、田島関税局長、大鹿理財局長
神田国際局長、宮原財務総合政策研究所長

(国税庁)

可部長官、小宮審議官、椎谷監督評価官室長

(事務局)

藤本政策立案総括審議官、大森政策評価室長

議題

(1)令和元年度財務省政策評価(案)について

(2)令和2事務年度国税庁実績評価実施計画等(案)について

議事録

○吉野座長 
 それでは、1分ほど早いようですけれども、皆様つながったそうですので、ただいまから第68回の財務省政策評価懇談会を開催させていただきます。
 本日は、新型コロナウイルス感染症の感染予防のために、委員の先生方には御協力いただき、ウェブ会議とさせていただいております。ウェブ会議の場合には時々音声が途切れたりしますので、その際には皆様に再度お話しいただくこともあるかと思いますけれども、なるべくトラブルがないように進めていきたいと思います。
 まず、開会に先立ちまして、この懇談会の委員でおられました幸田委員が御退任され、代わりまして、本日から日本総合研究所理事長の翁百合委員に御参加いただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。

○翁委員 
 よろしくお願いします。

○吉野座長 
 ありがとうございます。
 それでは、早速ですけれども、議題に入らせていただきたいと思います。
 議題は2つございまして、まず第1番目は財務省の令和元年度の政策評価書、それから2番目が国税庁の令和2年事務年度の実績評価実施計画等、この2つでございます。
 一括しまして藤本政策立案総括審議官から説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○藤本政策立案総括審議官 
 それでは、資料番号1「令和元年度財務省政策評価書(案)の概要」と題しました資料に沿って御説明いたします。
 資料の右下に通しでページ番号を付しております。ページ番号では3ページからとなります。
 4ページでございます。元年度における財務省の「政策の目標の体系図」に目標ごとの評定を括弧書きで付記しております。
 5ページから目標ごとの評定結果を前年度と比較した一覧となっております。前年度から評定が上がったものに青く、下がったものに赤く色付けをしております。それぞれの理由につきましては、後ほど説明させていただきます。
 8ページを御覧ください。評定ごとの集計結果です。元年度においては、Sが17、Aが13となっております。
 9ページからは、評定が前年度より低くなった目標につきまして、その理由でございます。
 まず政策目標1−1、1−2、1−3、1−5につきまして、重点的な予算配分を通じた財政の効率化や必要な歳入の確保等には努めている一方で、新型コロナウイルス感染症の財政への影響を注視する必要があることから、評定を「A 相当程度進展あり」としております。
 少し飛びまして、13ページを御覧ください。政策目標6−1につきまして、国際金融システムの安定に向けた制度強化に関する国際的な取組への参画に係る施策に関し、測定指標「IMFによるサーベイランスの実施状況」が目標値を達成していないものの、外国為替市場の安定、資金洗浄・テロ資金供与対策等に積極的に取り組み、具体的な実績成果があったことから、評定は「A 相当程度進展あり」としました。
 14ページからは、元年度の評定が前年度より高くなった目標につきまして、その理由でございます。
 政策目標2−1につきましては、測定指標「財務省の税制関連ウェブサイトに関する評価について」、前年度、目標値を達成できませんでしたが、元年度は目標値を達成しました。その他全ての施策についての評定が「s 目標達成」であることから、評定は「S 目標達成」としました。
 15ページを御覧ください。政策目標3−3につきまして、コンプライアンスの確保などの取組を財務省全体で進めている最中であることから、前年度「A 相当程度進展あり」としましたが、国有財産について有効活用の推進、適正な方法による管理・処分や情報提供の充実に取り組み、全ての施策についての評定が「s 目標達成」であることから、評定は「S 目標達成」としました。
 16ページを御覧ください。政策目標3−4につきまして、主要な測定指標「一般会計歳入歳出主計簿と国庫原簿との突合結果」について、前年度は両者の金額に差異が生じましたが、元年度は一致を確認しました。その他全ての施策についての評定が「s 目標達成」であることから、評定は「S 目標達成」としました。
 17ページを御覧ください。政策目標4−1につきまして、前年度は、明治150年記念貨幣について追加発行すべき事態が生じましたが、令和元年度発行分の記念貨幣については、所要の手続を経て着実に発行しました。通貨の偽造・変造を防止する環境整備を進めるなど、全ての施策が「s 目標達成」であるため、当該政策目標の評定は「S 目標達成」としました。
 18ページを御覧ください。政策目標5−2につきまして、主要な測定指標「税関相互支援等の枠組みを構築した国・地域数」について、前年度目標値を達成できませんでしたが、元年度は目標値を達成しました。その他全ての施策が「s 目標達成」であるため、当該政策目標の評定は「S 目標達成」としました。
 19ページを御覧ください。政策目標8−1につきまして、迅速・確実な再保険金の支払いを行うとともに、「南海トラフ地震臨時情報」の提供開始といった地震保険制度を取り巻く環境の変化への対応や、地震保険制度のさらなる強靭性向上に向けて、地震保険制度等研究会を開催し検討を行うなど、安定的な地震保険制度の実現に向けた取組を行いました。
 なお、主要な測定指標「地震保険検査実施先数」については、実績値が目標値を下回りましたが、これは国内における新型コロナウイルス感染症の拡大を背景に、やむを得ず検査を延期する措置を取ったことによるものです。全ての施策が「s 目標達成」であるため、当該政策目標の評定は「S 目標達成」としました。
 以上が「令和元年度財務省政策評価」の説明となります。
 続きまして、資料番号2「令和2事務年度国税庁実績評価実施計画等」について御説明いたします。
 21ページを御覧ください。「実施計画の概要」です。今回の実施計画の策定方針としましては、目標については令和元事務年度の目標を継続することとし、各目標の施策や各種指標については、これまでの取組結果及び今後の取組方針等を踏まえ、見直しを行いました。
 ただし、測定指標の目標値につきましては、調査・徴収事務などの外部事務に関するものを中心に、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮した適正値の設定が困難なため、令和元事務年度の目標値を据え置いているものがあります。今後の感染症の状況によっては、評価の際の測定指標の取扱いを変更する可能性があることを御理解いただきたいと思います。
 次の24ページの「国税庁の使命」と「実績評価の目標」の体系図に変更はございません。
 25ページの「各目標の施策一覧」を御覧ください。施策数は昨事務年度より変更ございませんが、定量的、定性的な測定指標に増減がございます。
 27ページを御覧ください。「測定指標」の主な変更等のうち、まずは新たに設定した定量的な測定指標について御説明いたします。
 1つ目の「e-Taxの普及と利用満足度の向上」の申告手続関係の指標につきましては、従前の設定区分を見直し、所得税、法人税及び消費税の主要税目別に設定し直すとともに、消費税については個人と法人で区分して設定することとしました。
 さらに、昨年の10月からe-Taxの運用を開始した相続税の申告手続についても新たに設定することとしました。また、申請・届出等手続に関する指標についても従前の設定区分を見直し、引き続き利用拡大を図っていく必要がある納税証明書の交付請求手続について、個別に設定することとしました。
 2つ目の「期限内収納の実現に向けた各種施策の実施」に関する指標につきましては、キャッシュレス納付割合を新たな指標として設定することとしました。
 3つ目の「日本産酒類の輸出促進の取組」に関する指標につきましては、従前の設定区分を見直し、直接的な効果が期待できる新規販路の開拓支援に関するものと、中長期的観点からの効果を期待するものとに区分して設定し直すこととしました。また、目標値については、「新規販路の開拓支援」では商談実施割合や参加事業者数、開催回数を、「中長期的観点からの支援」では、企画する各種イベントの実施割合を記載のとおり設定することとしました。
 29ページを御覧ください。廃止した測定指標です。先ほど申し上げた「設定区分の見直し」に伴う廃止や、既に大半が電子化され、今後もその状況が継続すると見込まれるため、参考指標とした上で廃止するものなどとなっています。
 30ページを御覧ください。目標値の変更についてですが、「租税教室等受講者の理解度」の測定指標につきまして、実績値を踏まえ、目標値を引き上げております。
 31ページを御覧ください。名称を変更した測定指標です。施策の取組内容や法改正などを踏まえて施策の名称を変更しております。
 32ページでございます。施策、指標等の推移ですが、御説明した内容を反映しますと、定量的指標は8増7減で、前年比1増、定性的指標は増減なし、参考指標は12増4減で、前年比8増となります。
 以上で「令和2事務年度国税庁実績評価実施計画等」についての説明を終わります。

○吉野座長 
 藤本政策立案総括審議官、どうも御説明ありがとうございました。
 それでは、いつものように委員の先生方からまず御発言をいただきまして、それから最後にまとめて財務省のほうから発言いただくということにさせていただきたいと思います。
 それでは、あいうえお順でいつも恐縮ですけれども、秋池委員から御発言いただきたいと思います。
 それから、御発言が終わりましたら、マイクのところのミュートボタンを押していただいて、発言されるときにはミュートボタンを解除して御発言いただきたいと思います。
 それでは、秋池委員、どうぞよろしくお願いいたします。

○秋池委員  
 よろしくお願いいたします。
 まず財務省ですけれども、昨年度の評価は、いつもながらに自らに厳しめな評価ですが、妥当だと思っております。国税庁を含め、また財務省もおいおいそういうことになるのだと思いますが、今後についてですが、今回のような特別なことがあった年度の評価についてどう考えるかが、今年度の政策評価懇談会の一つのテーマになろうかと思います。
 例えば、全くコロナというものを斟酌しないで評価をするという方法も1つあります。株式市場でありますとかというものはそういうことは関係なく動いているということもございますし、それから、何があろうとも継続性というものがありますので、あまり物差しを変えないで評価し続けていくという方法がひとつです。
 一方で、そういうことになりますと、あまりにもこういった大きな影響があるときには、努力が全く反映されないのであれば、やっても仕方がないなということにもなりかねないということもございます。そういう組織ではないとは思いますけれども、一般論で言うとそういう考え方もございますので。
 例えばそういった場合は、今年度表出しなかったとしても、次年度以降につながる取組であれば評価していくという方法。例えば課題を見つけ、企画立案して実行するということの中の来年度の仕事が効率的に行えるような準備については評価していくという方法もあると思います。
 それからもう1つには、今後も、グローバル化した社会の中では、過去に鳥インフルエンザでありますとか、SARSといったようなものもございまして、こういう感染症のようなこともあると思いますし、また、災害といったような大きな出来事が起こるということは今後もあり得ることでありますので、今回の取組が将来そういったことが起こるときに活用できるものであるというような新たな解が見つけられるのであれば、それはプラスに評価していくというような方法もあると思います。
 いずれにしましても、この政策評価がこういった状況の中でどういうふうにすることが努力を引き出していくことにつながるのかということであったり、正しく今年度の取組を後に残していくことになるかということであったりを、議論もしながら工夫ができればと思います。特に財務省もそうですが、国税庁のように執行の部分がありますと難しいところもありますが、そういった形で見ていけるとよろしいのかと思いました。
 それから、今回改めて実感しましたのは、やはりこういった大きなことが起こったときの打ち手というのは、財政の余力や力があってということだと思います。不透明な状況の中でそのとき最善の判断をして進んできたと思いますので、これが後につながるようなものになればというふうに思っています。以上です。

○吉野座長  
 どうもありがとうございました。
 それでは、次に秋山委員、お願いいたします。

○秋山委員 
 よろしくお願いいたします。
 実は私も、今、秋池さんが御指摘されたように、社会の変化をどう政策評価に反映させていくのかという点が非常に重要であろうというふうに御提言申し上げようと思っておりました。今回の評価については、査定の内容欄を見ますと、コロナの影響を加味した形で評価をされておりまして、評価の内容とその結果については、私は特に異論はございません。
 ただ、今起きている新型コロナの影響をどう見るかというところもありますけれども、デジタル化をはじめとする社会経済環境変化がどちらかというと既に起きつつあったことが、こういう外的要因を契機にして変化が加速している状況というふうに私は感じております。
 そういった中で、今回のように国民生活の安全確保のために大型の財政出動が避けられないような状況を考えますと、例えば資料の一番最初の大きな政策目標の俯瞰図がございますけれども、ここに掲げられている重要なテーマについて具体的に取り組む目標というものをアップデートする機会でもあるのだろうというふうに考えております。
 幾つか気になるところはありますけれども、今日1つ指摘をしておきたいのは、改めて政策目標を見ますと、デジタル化へのシフトということに資する目標設定は、やはりまだ少ないのではないかということを感じます。例えば総合目標の1と2の2つにわたって社会保障・税一体改革というキーワードが出ておりますけれども、一体改革における例えばマイナンバーの活用というようなことにもう少し踏み込んでいくような取組、あるいは目標設定というものはできないものかなと。
 今起きているいろんな課題・問題に関しましては、必要な人にピンポイントで支援を届けるために、いろんなデジタル技術ですとか最新の仕組み、あるいはこれまでのやり方を変えるということで、まさに効率的かつ透明性の高い行政の実現というものに資することができると思いますし、税に関しましては、格差の固定化防止ということの有効な手段になり得るというふうに思います。
 マイナンバーの活用については、今、政府も積極的に推進していただいていると思いますけれども、私は、個人的にはこれを機に社会保障・税一体改革の有効な手段として、給付付き税額控除のようなものの実現に向けて進めていっていただきたいというふうに思います。
 また、デジタル化という切り口から言いますと、総合目標の4に関わります、あるいは場合によっては5にも関わりますキャッシュレス決済がこれから推進される中で、例えば通貨というものをどう捉えるか。あるいは偽造・変造の防止という大きなテーマをもう少し幅広く、デジタル化時代の偽造・変造防止といったようなことにも着目した目標設定がこれから増えていくといいのではないかというふうに思います。
 また、デジタル化シフトという意味では、今、行政のデジタルガバメント、あるいはワンストップサービスということについて大変議論がホットになっておりますけれども、例えば財政における予算配分についても、思い切ったデジタル化シフトというものが必要になってくると思いますし、今求められているデジタル化というのは、単なるペーパーレスではなくて、仕事のやり方自身を変えて、業務の中で仕組みそのものを変えるということが求められておりますし、あるいは必要な組織ごとにシステムを開発するということではなく、オープンAPIなどによる共通化を進めることによって、社会全体のデジタル化が進むような仕組みをこれから国も推進していくということが必要になってくると思いますので、そういった観点での目標設定が増えていくといいなというふうに思います。
 この辺りは、自然にそうしていくというよりは明確な強い意志を持って変わっていくということでなければ、なかなか進めることが難しいテーマだと思いますし、こういうことを積極的に取り組む姿勢というのが、若い世代にとっての仕事のやりがい、あるいは活躍の場ということにつながってくるという面もあるのではないかというふうに期待しております。以上です。

○吉野座長  
 秋山委員、どうもありがとうございました。
 それでは次に、伊藤先生にお願いいたします。

○伊藤委員 
 どうもありがとうございます。私は、前のお二人と同じような印象を持っておりまして、評価については毎年のことなんですけれども、非常に丁寧にやっていらっしゃいますし、それが目標となってそれぞれのセクションでしっかり成果を上げようということが読み取れるということで、こういう形で続けられることは非常によかったというふうに思っております。
 その上で、これも前のお二人がお話しされたコロナに関して、ちょっと違う点からコメントさせていただきたいんですけれども、政策評価とは別として、結果としての例えばプライマリーバランスの赤字だとか、あるいは財政赤字の数字を見ると、申し上げるまでもないことですけれども、リーマンショックを受けて大きく赤字が増えて、小泉内閣の時代だったと思うんですけれども、それまで一生懸命プライマリーバランスの赤字を減らしていくという目標をして、ある意味でいいところまで来たところでまたひどい状態になったと。
 御案内のように、安倍内閣の中でプライマリーバランスの黒字化を2020年目標で、多少成果は前後しましたけれども進めてきて、それなりにプライマリーバランスの赤字はもちろん縮小してきたわけですけれども、恐らく今回のコロナの結果、この先どうなるかもちろん予想するのは難しいんですけれども、リーマンショックのときに我々が経験したように、あるいはひょっとしたらそれ以上の形でまた赤字に戻ってしまう。
 その前は私はよくチェックしていないので印象で申しますけれども、恐らく2008年のリーマンショックの前には、1998年に日本の金融機関がありましたし、あるいは1990年にいわゆるバブルの崩壊があって、何となくこういう形で毎年毎年しっかり目標を持ってやりながら、残念ながら他方では、5年か10年に1回の危機的な状況の中で大きく修正されていくという中で、どういうふうに政策運営をしていくかというのはなかなか難しい問題だと思います。
 いわゆる各年度の政策評価の中でそういうことを取り組むことは非常に難しいんですけれども、ただ、恐らく今回のコロナのケースも特殊な事例として挙げて、それにどう対応するかということだけではなくて、やっぱり経済が大きく変動する中で、中長期的に健全な財政をどうやって守っていくのかということに対して、ある種もう少し踏み込んだ議論が必要で、それが政策評価の議論かどうかということになってくるとちょっと自信がないんですけれども、ただ、こんなことを言うとちょっと叱られるんですけれども、皆さん一生懸命やっていらっしゃるんですが、何かそれを空しくするような大きな変動というか、あるいは社会的な危機があるという中でどう考えていくかということ。これはむしろ私は意見というよりも、後ほどまたぜひそれぞれの担当の方に感想を伺いたいと思います。
 ちょっと感想めいた話で申し訳ないんですけれども、以上です。

○吉野座長  
 伊藤先生、どうもありがとうございました。
 それでは、江川委員、お願いいたします。

○江川委員  
 説明をありがとうございます。測定指標をこれまでの実績や本来の目標に沿っていろいろ見直していただいたりするのは妥当だと思いますので、その辺については特にございません。3つ申し上げたいと思います。
 1つ目は財政規律とコロナへの対応です。今、伊藤委員もおっしゃいましたけれども、私はキャリアの前半はずっと金融に関わってきたこともあって、ここ何年間というか、長い間に財政規律が緩んできているというのを非常に懸念しております。コロナへの対応ということはあるんですけれども、7月に発表された骨太の方針でも、プライマリーバランスの黒字化とか、それから債務残高、GDP比率を安定的に引き下げるというのが毎年目標として入っていたのがなくなってしまったというのはやっぱり大きな問題ではないかと思っています。
 ちょうど8月末の日経の「経済教室」に東大の岩本先生もこのことについて問題意識を書いておられました。その中で、例えば東日本大震災の復興事業では、一時的なショックでどうしても歳出が増えるのに対して、課税を平準化するために復興財源というのを確保して、長い期間にわたって財源を確保するようにしていたけれども、そういうことが考えられないのかということを書いておられたので、そのようなことは考えられないのかというのをお伺いできればと思います。
 今回コロナに関していろいろと対応せざるを得ないというのは分かるんですけれども、全体として後からどういうことだったのかというのを検証するのも大事だと思いますので、そういったコロナ対応ということで、それぞれの政策として別々に行われたものを参考のためにまとめて、後で検証するということも必要ではないかと思います。
 それから、例えばプライマリーバランスを黒字化しましょうという目標を20年くらいずっと立てていて、どんどん目標が遠のいていくということが続いているんですけれども、その1つの要因として、計画を立てるときに比較的楽観的なシナリオに基づいてつくっていることがあるように思います。
 GDPの成長率など、民間の予測に比べてかなり高い目標値に基づいて計画を立てたりというようなことが時々あります。そこはもっと悲観的なシナリオ、例えば民間企業ですと幾つかシナリオがあるときには、一番悲観的なものに基づいて保守的に計画を立てるということをやっているので、そういうことをぜひやっていただきたいと思います。
 それから、2点目がデジタル化です。これは秋山委員もおっしゃって、私も同じように非常に重要な施策だと思っています。実際、今回の資料を拝見すると、マイナンバーに関しても目標が書いてありますし、それから財務省では、例えばデジタル貿易協定とか、国税庁で言うと行政サービスのデジタル化の推進とか、いろいろなところにデジタル化のことが当然入っております。それから、政府全体としても、今年度の骨太の方針の中でこの1年間を集中改革期として、デジタル化に集中投資を実施するという方針が出ているので、実際にはいろんなことをされようと思っていらっしゃるのだと思います。
 多分今までの考え方だと、財務省の目標というのは、例えば健全な財政を運営するとか、社会保障制度とか、税制を安定的に運営するとか、そういうある程度恒久的なものが目標であって、デジタルというのはある意味でその手段なので、あまり目標にするのにそぐわないのかもしれないと思ったんです。
 ただ、実際問題として、この1年あるいはここ2〜3年はデジタル化ということを省を挙げてやっていかなければならないと思います。予算編成なども含めて財務省がしっかりデジタル化を推進するのはいろいろな方面への波及効果も大きいので、デジタル化という項目をそれぞれのところに小さく埋め込むのではなくて、省全体に関わる目標としてこの数年間掲げるとか、そういうことはできないのかというのは思いました。というのは、そういうふうにするとやはり透明度も増すし、それから、政策評価という意味でもそれを後から検証していくのにやりやすくなるのではないかと思いました。
 それから、3つ目は小さなことなんですけれども、283ページから始まる8−1の地震再保険事業の健全な運営に関することです。これは今回AからSに引き上げておられて、それは地震保険制度等研究会を開催して、地震保険制度の民間危険準備金残高が減ってきているので、それをしっかり安定的に運営できるようにしましょうということで見直しを行って、予算化もしてやっていかれるということで、これは評価できることですし、この評価自体は私も妥当だと思います。でも、まだ普及率が33%と低いので、今年S評価だからということで安心せずに、また気を抜かずに広報も含めて力を入れていただきたいと思います。
 それに絡めて、資料を見ていたときによく分からなかったのが、287ページに過去の予算と執行額がずっと出ているんですが、開きが大きいので、それの背景がどういうことなのかというのを後で教えていただければと思います。以上です。

○吉野座長  
 江川委員、どうもありがとうございました。
 それでは、翁理事長、初めてですけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

○翁委員  
 翁です。どうぞよろしくお願いいたします
 政策評価全般につきましては、私も妥当な評価がされていると思いますし、また、国税庁の計画につきましても特に大きな個別のコメントはございません。
 私も3点ほどちょっと申し上げたいと思うんですけれども、まず全体として政策評価に当たっても、デジタル化に伴う変化をうまく活用してやっていく必要があるのではないかと思います。今後、デジタル化が進むにつれて蓄積されるデジタル情報を用いて、経済の実体とか政策効果を即時に把握し、迅速に政策を見直していけるといったような体制をつくっていくべきではないかなと思います。
 1年に1回政策評価をなさっていること自体は、非常に私は意味のあることだと思うんですけれども、政策形成をもっとアジャイルにするというか、より機動的にいろいろ見直していくというようなときに、やはりデジタル情報をすぐに分析できる体制をつくっていくことは非常に重要ではないかと思っています。
 こういったことは、民間企業がリアルタイムで収集しているデータなども含めて分析して政策効果を分析できるような体制とか、そういったことをこれから検討していけば、政策を検証できるような仕組みというのがより高度化できるのではないかというふうに思います。
 特に、今回コロナでどんどん財政支出が出ているわけですけれども、これらもどのような効果を持ったのか、こういったこともしっかりデータを集めて検証するという必要があると思いますので、政策を打つ段階からどうやってデータを取るのかということを考えて検証していくことが必要なのではないかと思います。もちろんコロナ以外の様々な政策についても無駄な財政支出が増えないように、そういった体制をつくっていくということが大事ではないかというふうに政策評価の観点からも考えています。それが第1点目です。
 第2の点ですけれども、これは皆さんがおっしゃったことと関連しますけれども、やはり総合目標1というのは、経済成長を実現しながら財政健全化に取り組むというふうに書いてありますが、特にこれからの予算、税制といったところは、やはり今後のコロナに伴う社会変化をしっかり分析して対応していく必要があるのではないかということです。
 特に人々のアンケート調査を見ましても、大きく生活スタイルも意識も変化していますし、そういった意味で価値観も随分変わってきていると思います。今後、成長ということを考えるに当たりましても、皆様が御指摘されたようなデジタル化を進めて、生産性を上げていくということが非常に重要になってくると思いますし、また、テレワークを組み合わせることによる地域の経済の成長ということもいい機会になっていくと思います。
 ですので、やはり予算、税制を考えるに当たっては、こういった機会がどういうふうな変化をしようとしているのかということをしっかり捉えて、特にデジタル化などを一気に、財務省本体もそうですし、多様な主体が進めていけるように様々な政策を考えていく必要があるのではないかと思っています。
 一方で、データで見ていくという面では、格差の面が非常に大きく拡大していく可能性がありますので、再分配機能というのを考えていくに当たりましても、そういったところをしっかり分析して、そして対応していただくことが大事だろうと思っております。
 皆様がおっしゃったように、執行の面でも、給付・税徴収の面でも、財務省、国税庁ともに特にデジタル化、オンライン化というのを一気に進めていただくことがとても大事になってきていると思います。
 最後、3番目になりますけれども、やはり今回平時に財政を健全にしていることがいかに大事なのかということが改めて分かったような気がしております。今後しばらくは日本においては企業もいろいろ大変な状況になっていくと思いますし、財政支出は増加せざるを得ないわけですけれども、同時に、やはり数年後からのしっかりした財政健全化計画が実現していくことが極めて重要になってきていると思います。
 例えばドイツなどは、平時は財政を厳しく健全化していますけれども、だからこそすごく機動的に動けたし、一方で早速20年間の債務返済計画をしっかりつくっているということで、国債はどんと出していますけれども、機動的だなという印象を受けます。
 そういう意味では、今回のことで日本は今後も様々な危機が襲ってくるだろうということを改めて認識したわけですけれども、危機に備えるためにも平時の財政健全化を実現していくことが重要であるということを、これから広報の面からもしっかり説明していくことが大事ではないかなと思っています。
 また、コロナが終息したら、やはり将来世代にツケを回さないようにどういう財源がいいのかということをあらかじめ検討していくということがやはり非常に重要ではないかと考えております。以上でございます。

○吉野座長  
 翁委員、どうもありがとうございました。
 それでは、小林委員、次にお願いいたします。

○小林委員  
 ほとんど皆さんが述べられたことに私が付け加えることはないなという感じもあるんですけど、2点ほど申し上げたいと思います。
 まず、やはり財政健全化というか、総合目標の1番なんですが、ここだけは皆さんと評価そのものに対して私は意見が違うんです。少なくとも単年度ベースでこういう評価をする中で、民間ですと、こういうとんでもないデバステイティングなことが起ころうが、コンペンセーションプランなり、インセンティブプランというものは、幾ら他力本願というか、外的要因がどうあれ、結果として収益なり、キャッシュフローなり、明確な数値化された結果をベースに、どんな言い訳もなく評価するというのが一般的だと思うんです。
 それにのっとって評価するならば、財務省の評価そのものが、別に個人の評価なりには直接関係ないわけですけれども、やはり国民目線からして、これだけの国債を発行して、当然こういう状況ですから、そういう施策を取るのは逆に早くしてよかったというのは正しいかもしれませんが、もともとプライマリーバランスが2020年に黒字化、それが2025年になり、今や内閣府の名目3%、実質2%というベースでさえ、2029年度でようやくクリアするのかなというぐらいの、160兆円に及ぶこういう予算をつくった。
 だけど、結果として、やっぱり財政健全化に対しては大変な乖離が生じてしまったというこの事実を見れば、国民目線からすると、SがAというのはあまりに甘いんじゃないか。どう見たってBかCではないかなというのが、まず1点でございます。それに関して、やはりワイズスペンディングになっているのかなという今後の当然検証と、これに対するリカバリープランを早急に並行してやっていただきたいなというのが1つ。
 このコロナが終わりではなくて、リーマンがあり、3.11があり、コロナがあり、また違うコロナか、あるいは大地震か、水害か、次から次へそういうレジリエンス回りで、それが世界か日本国内かは別として、襲ってくる想定で、可及的速やかに逆に財政も一定程度のリカバリープランを早くつくっておかないと、大変な日本の状況になってしまうんじゃないかということを危惧します。ですから、やはり定量性をベースにして駄目なものは駄目、BかCという評価の基に今後どうするかという出発をしていただきたいというのが1つです。
 もう一つは、これも皆さんおっしゃっていましたけれども、特に国税庁回りや僕の感じだと、デジタル化はe-Taxを含め率先してやっていただいて、評価はすべきだなと思っておるんですが、そうはいっても、今回これだけ政府、国家挙げて、コロナによってデジタル化が遅れていたということがあぶり出された中で、今後の国家の政策のファーストプライオリティとしてデジタル化というのを置くには、やはり目標値としてここに挙がっている数値はちょっと低過ぎるんじゃないか。マイナンバーも含め、これはIT総合本部、あるいは規制改革推進会議等を含めて、大きな流れの中で税と社会保障の一体化も含めた形でのマイナンバーの捉え方をしていただきたいなと。
 基本的には透明化といいますか、日本だけ特殊な背番号制に反対という時代から、少なくともデジタルというのはアイデンティフィケーションというか、人であり、物であり、アイデンティフィケーションから出発するのに、それ自身ができていないというのは、そもそも根底からやっぱり国家が遅れてしまうという危機感を全体として持つべきかなと思います。以上でございます。

○吉野座長  
 小林委員、どうもありがとうございました。
 それでは、角委員、お願いいたします

○角委員  
 では、よろしくお願いします。
 今回、5項目でSからAに悪化しておりますけれども、多くがコロナの影響ということで、ある意味仕方がなかったと思いますけれども、今、まさに小林委員のお話になられましたように、9ページの「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」については、今後の財政への影響を注視する必要があるというふうに記載をされています。
 残念ながら、COVID-19を克服するには相当長期間を要する覚悟が求められることは、専門家をはじめ多くの人が認めざるを得ない状況にあります。1次、2次でGDP比約10%に相当する57兆円の補正予算が組まれました。
 一方、日本より人口当たりの感染率、死亡率が圧倒的に高いEUの状況につきましては、皆様御承知のとおり、7月に7,500億ユーロ、約93兆円の復興基金が創設されました。ただし、返済不要の補助金につきましては、当初案の5,000億ユーロから3,900億ユーロに減額となりましたし、その金額は21年から23年度にかけて3年間にわたり拠出される金額であります。
 また、2058年までの35年間でEU予算から償還義務が定められております。特に南欧の経済建て直しのための補助金の使途ということでありますけれども、約3分の1は昨年12月に始動したEUの新たな成長戦略、グリーンディール、気候変動対策に充てられる点が、いかにも欧州らしい合意だというふうに思います。
 冒頭申し上げましたとおり、日本においても長期にわたり経済対策が必要となることを考えますと、いずれ増税や社会保障の自己負担を見直さざるを得ないことは自明のことだと考えます。人口減少が続く中で、増税をはじめ痛みの伴う改革を進めながら、経済の腰折を防ぎ、安定的成長を続けるためには、イノベーションと生産性向上しか手段はありません。
 コロナで都市部を中心に大変な目に遭っている中、悪いことばかりではなく、社会全体の変革の芽が幾つも出てきているように感じます。医療・教育・行政にDXが起きつつあること、働き方につきましても、鉄道会社には不利に作用いたしますけれども、今までは一部の業界、あるいは子育て・介護に限定されたテレワークが一瞬にして進行し、チームの生産性をこれからどう上げていくかという課題は残るものの、個人の生産性は確実にアップしました。マイナンバーカードにつきましても、来年の健康保険証との一体化並びに今次のコロナの影響を受け、飛躍的に国民に浸透することを期待します。
 日本の国債格付がさらに下がり、金利が上昇すれば、日本財政は破綻します。それでなくても日銀が最大の株主という事態は避けなければなりません。ぜひこの機会に例えば財政規律基本法を制定し、プライマリーバランスの黒字化を法的に担保するよう厚くお願いいたします。以上でございます。

○吉野座長  
 角委員、どうもありがとうございました。
 それでは、次に田中委員、よろしくお願いいたします。

○田中委員  
 コロナウイルスの結果、私は、若年層に大きな影響が既に出始めていることが問題だと思います。ここでは政策評価ということですが、あえて言えば、政策目標のところをもう一度議論しなければいけないところに来ているのではないか。
 理由は、国債を増発して、その返済は次の世代が担うわけですが、今、大学、あるいは若年労働者のところにしわが寄っている。デカップルとでも言っていいような分断の状況が出ています。日本の企業社会は一度抱え込めばメンバーシップ型で、メンバーシップの一員になった人にはあくまでも優しく、できる限りのことはするということなんですが、そこに吸収されなかった、あるいは吸収されにくい人の場合は、特に若い人に問題が起きていると思います。
 教育のプロセスにもそれはありますし、それから、既存企業自体が、人的投資とか今後の雇用計画について言うと、従来に比べると大幅に下方修正しておりますので、若い人への悪影響は、悪くするとディケードの単位で起きる可能性がある。累積した国債の返済の負担も若い世代、それから現在、あるいは近い将来、社会に積極的に関与したいにもかかわらず、十分な教育の機会、あるいは訓練の機会が得られない可能性が彼らに出てきているということではないか。
 こうした問題、社会の亀裂をどう回復するのかということで、亀裂の現状そのものを調査する必要があると思う。日本の場合の社会階層は、例えば所得格差等について言えば、米国に比べれば日本はそんなひどいことはないというのが一応の前提でありますし、社会の内部に亀裂がある、あるいは世代間で大きな亀裂が入ってきているという認識はともすれば薄いように思いますけれども、現実には非常に大変な問題になってきている。
 言われているように、新生児の数が年間100万人を切って、いよいよ80万人台になっていますけれども、今の状態を前提にするとさらに下がる。少子化についてはこれから10年事態は改善するのではなくて、残念ながら日本社会にとって大変厳しい結果になる可能性が出てきます。
 累積する国債の負担を若い人がどの程度感じているかというのは、正直、明確な調査でもしてみない限り分らない。自分の親、あるいはじいさんの世代が勝手に借金したのを我々の世代で払うのかというような声にはなっていないでしょうけれども、しかし、彼らは直感的には社会の明日は明るくないと思い始めている。それは多分子どもの数に結果として出てくるというところまで来ているのだと思います。
 そういう意味では、コロナウイルスの発生そのものは我々にとってどうにも手の下しようがなかった話ですけれども、しかし、ここで起きていることは、従来我々の社会が本当は気づくべきだったことにより大きな亀裂として生まれているというのが、私は現実だろうと思います。
 そういう意味では、もしこれを放置すれば、賃金は上がらない、労働生産性は高まらない、日本銀行が幾ら金融政策に工夫を凝らしても物価は上がらない、金利もゼロ近傍、デフレといいますか、物価上昇も足元でゼロ、労働生産性の伸び率もゼロ、それなりに対応した結果ともいえるけれども、そうした対応の組み合わせの明日は決して明るいものではない。ですから政策目標のところを実はもう一度見直しを行うべきなのだろうと私は思います。
 特に若い世代のことはもう少し調査したほうがいい。いろいろ観察していると、企業の仕事の在り方をジョブ型にするか、従来のメンバーシップ型で行くのかという前に、若い世代に隠れたといいますか、インフォーマルな形の社会関与に迫られているというか、やむを得ずそういう関与の仕方をしている人が増えているという可能性がある。今後はそれがさらに拡大するのではないかという心配があります。
 私は、政策目標のところも議論した上で政策評価に落とすというプロセスをもう一度財務省を中心に霞が関が考えるべきではないか。そうでなければ、霞が関は日本の企画部とは言えない。少なくとも日本の企画部を持っているというのが従来の霞が関観であった。これにはある種の信頼があったと思うんですが、しかし、そこがどうも怪しいかもしれないということになると、これはただ単に財務省だけの問題でもなくなるように思います。いろいろ工夫をしていただければと思います。以上です。

○吉野座長  
 田中先生、どうもありがとうございました。
 それでは、田辺先生、お願いいたします。

○田辺委員  
 それでは、何点かコメントさせていただきたいと思います。
 まず第1に、財政のところでございます。皆様方がおっしゃっていただいたとおりだと思いますけれども、新しい財政シナリオを考えて、新しい目標設定というのが必要になってくるのではないか。今残っておりますのが、2025年にプライマリーバランスを黒字にするという目標だけでありますので、これは人々の行動を拘束する力を持っていない目標になっております。そうなると、各年ごとに具体的にここまでやれるか、さらには長期的なものも見直すという形で、実効性のある目標を立てていかないと、評価自体もかなり難しくなっているのではないかというのが1点目でございます。
 2点目は、コロナとの関係です。コロナが生じて、もっと早くやっておけばよかったという点が明らかにありまして、それはデジタル化ということでございます。コロナの後で対面型の行政が難しくなって、非接触型の行政というものにかなりウエートを置いていかなければいけなくなっている。その際に例えばe-Taxという目標を、増えてはいたのですが、もうちょっと目標自体を厳しくしてスピードを上げておければよかったかなという反省はございます。
 他方で、今後どうするのだろうというのが、非接触型でどうやるのだろうというものでございます。例えば税務調査であるとか、それから執行調査というものはある意味人と人が接して、そこで情報を取ってくるということによって成果が上がるものであります。さらには、酒類業のところで言いますと、海外展開ということで売り込みに行くというのも、ある意味距離を保ってというよりも対面で売り込んでいくということに意味があったものなんだろうと思います。こういうある意味強い武器が失われていくときに、行政の目標、やり方というのをかなり工夫していかなければいけないのではないか。それが来年度の一つの目標設定の契機になるのではないかと考えているところでございます。
 3番目は、理財局絡みのものであります。コロナの中であまり見えませんでしたけれども、理財でやっている国有の管理に関しましては、売却から利用へという方向に方向転換がなされまして、それに合わせる形でかなり着実に成果を上げていただいたというのは評価できるのではないか。さらには、通貨発行に関しても改刷が決まっておりますので、それに向けて着々と仕事をしていただいているということ、準備が行われているということがありますので、その点は評価してまいりたいと思います。
 4番目は、国際絡みのことでございます。今、アメリカと中国の対立というのが毎日のように報道されて、その中で自由貿易体制というものにコミットしているというのは、ある意味EUと、それからアジア地域では日本が中心になるのだろう。その中で、自由貿易体制の維持ということに関しては、地道ではありますけれども、一定の財務省の方々が成果を残していただいたということに関しては敬意を表したいと思いますし、この役割というのが減ることなく、来年度以降もさらに増大するものと考えているところでございます。
 最後に一言ですけれども、この評価のやり方というのは、基本的には毎年ここまでやるんだよという目標値を立てて、それが実施できたか否かという実行性を中心にチェックしていく仕掛けになっております。ただ、コロナのような外的に非常に大きなイベントというか、ショックがあったときには、実行性だけの評価ではちょっと難しいところがある。
 むしろシステム自体が生き延びられるようなレジリエンスの高いものであるのか。さらには、システムを急速に変えて環境に適応できるような形になっているのか。それは実行性というよりもむしろ適応性というような観点から、これは評価軸が全く違いますので、そういうことに関するある種の知恵というか、情報というものを今後一定の形でまとめていただくと、さらにこういうディザスターに近いことが生じたときにどうすればいいのかというフィードバックになるのではないかと考えている次第でございます。
 以上、5点ほど申し上げました。

○吉野座長  
 田辺先生、どうもありがとうございました。
 それでは、各委員の先生と重複になるかもしれませんけれども、私も数点、リピートするところもありますけれども、述べさせていただきたいと思います。
 1つは、今回のコロナは、別の見方をすると、かえって日本にとってpinch is chanceにできるのではないかと。これがなかった場合には日本だけが大幅な財政赤字になりまして、日本だけが破綻ということがあり得たと思います。ところが、ヨーロッパやアメリカも、日本ほどではないですけども財政赤字に直面している。
 そういう意味では、欧米各国とも、この大きな赤字をどうやって解消していったらいいだろうか、この議論は学会でもものすごく大きくなると思います。さらに、途上国ではこの議論がさらに進むと思います。そういう意味では、それに先んじながら、日本が財政の大幅な赤字をどういう計画を立ててどのように縮めていくかというプランをしっかり立てる必要があると思います。
 その中では、まず第1番目はデジタル化で、委員の方が皆さんおっしゃっていますけども、経済学の言葉でいきますと、総供給曲線をいかに右にシフトできるか。つまり、経済成長と物価の安定を確立するためには、総供給曲線のところが技術進歩により、生産性を上げられることが出来るかどうかが、一番重要な点です。
 次に、2つありまして、1つは、在宅勤務によって、各企業、あるいは各省庁がどれくらい生産性を上げることができているのか。これはぜひ予算配分のときにも、各省庁がどの程度、今回のコロナの影響による在宅勤務等によって生産性を上げることができたか。上げていなければ、それに対していろいろ予算の使い方に文句を言っていく。こういうような形で、仕事の効率化が実際にできているかどうかということを、ぜひ査定のときに使っていただければというふうに思います。
 二つ目は、教育に関しては、私は、デジタル化がひょっとすると、大きな教育に関するイノベーションを発揮するのではないかと思っております。例えばインドネシアなどは離島がたくさんあるため、なかなか地方の子供たちがよい教育を受けられない。
 彼らが今考えているのは、デジタル化によって、いろんないい授業を全部オンラインで聞けるようにする。例えば「物理」という科目を、日本で一番分かりやすく講義をする先生の授業を全国の子供たちが聞けるようにする。中学校、高等学校の各科目とも、それぞれの科目で教え方が全国でトップの先生から、直接に聞くことができるようにすることです。
 タッチパネルを子供たち全員が持てるようになれば、一番うまく教えてくれる先生の授業を、何回でも聞けるようになる。それなれば、塾などに行くよりは、タブレットでトップの先生の授業を聞く方がよっぽどいいわけです。つまり、教育という人的資源の高質化を実現できることになりますので、まさにpinch is chanceで、このような教育の高質化をどの国が達成できるかが、おそらく、国際競争力にもつながると思います。
 途上国でも、オンライン教育を使って、離島とか田舎の子供たちにも、よい教育を受けられるようにすることを考えています。ですから、日本もさらにその先を行って、日本で教え方のトップの先生が、それぞれの科目の授業を行い、現場の教室では、子供たちからの質問に、各先生が答えてあげるという教育ができれば、日本人という人的資源を、より高度に持って行くことが可能になると思います。また、それぞれの科目の講義を、繰り返し聴けるようにすれば、分からなかった箇所を、何度も聞いて、理解できるまで、時間をかけることができるようになります。
 それから、デジタル化に関しましては、皆様がおっしゃっていたように、いかに国税の業務でデジタルを活用できるようになるか、デジタル化の目標はもっと高いところに目標を持っていただき、税務調査も非対面でも効果が上がるやり方を現場で考えていく。これがまず第1番目には重要ではないかと思います。
 2番目は、財政赤字、特に国債の市場について、私は個人的に心配している点があります。現在、短期国債は67.9%を外国人が保有しています。この理由は、マイナスの国債金利ですから、国内の人は(担保目的以外には)持てない。ところが、外国人は為替の変動でもうけられますので、金利がマイナスでも、為替変動で利益が得られれば、もうけられます。よって、短期国債の67.9%は外国人が保有している。それから、1年以上の国債の方は、47.2%は日銀が持っています。どこまで、この日銀の保有が続けられるか?
 アメリカでニューマネダリーエコノミクスとか考え方が出てきています。いろいろな時代に、その動きを正当化しようとする新しい説明が出てきますが、その一つではないかと思っています。みんなその現状だけを見て、あたかもそれがいつも成り立つかのように正当化しようとする説明のように思います。リーマンショックが起こる直前、グリーンスパンFRB議長の時代、アメリカの経済はずっと成長を続けていました。あのときにも「この株価の動きは、アメリカのファンダメンタルズがよいからであり、バブルではない」と言う人が多かったです。これだけデジタル化が進んで、アメリカだけがデジタル技術が進んでいるから、この株価の上昇はバブルではないと、正当化する議論がありました。しかし、それが結局崩落したわけです。私には、ニューマネタリズムという説明の仕方も、同じように見えています。
 アメリカのようにデジタル化の技術の進展により、総供給曲線を右にシフトさせ、生産関数を上にシフトさせます。こういうことが働けば、経済の成長は可能になりますが、日本のデジタル化のスピードがアメリカと比べて遅れれば、膨大なマネーサプライの増加が続けば、必ずインフレか、バブル、どちらかが発生してしまう可能性は高いと思います。
 47%日銀が持っている国債を、日本銀行が持ち続けられるかといったら、持ち続けられないわけです。財務省に考えていただきたいのは、今後この大量の国債をどうやって消化していくのか。一番悪いシナリオは、中国人が買いに入ります。そうすると、長期国債は中国人が保有、短期国債は(為替変動で利益をあげる)ヘッジファンドに持たれる。こういうのが最悪のシナリオであると思います。
 これを防ぐためには、社会保障の増加要因のである、高齢化が一番問題なわけです。退職して、年金/社会保障に依存するのではなく、みんながなるべく長く働いて、社会保障に依存しないで生涯現役で頑張る期間を延ばすことです。また、新型コロナの影響により税収が下がっているのですが、国有財産や、霞が関の建物などを有効活用して、税外収入を増やすことを考える必要があります。
 ぜひお願いしたいのは、財務省にプランをいろいろ考えていただきたい。これから5年後、10年後にどういう形で、大量国債を消化し、その額を減らしていくのか、そのシナリオを考える必要があると思います。各委員のご発言のように、政策目標が経済の構造変化により、大きく変わってくると予想されますので、政策評価も、来年からは変えなければならない箇所が出てくると思います。
 最後に、関連する国債のところでは、グリーン国債が海外でよく発行されています。ところが、私の見方では、グリーン国債というのも、90%グリーンで10%グレーもグリーン国債と呼べます。60%グリーンで40%グレー、これもグリーン国債と呼べてしまい、海外では、発行されています。グリーン国債の定義がヨーロッパでは出されていますけども、その定義に当てはまれば、グリーン国債が発行できてしまっています。そうすると、結構グレーであっても、グリーン国債と呼べてしまっています。
 日本は真面目ですから、そういうグリーン国債は今発行できないとなっています。ヨーロッパのスウェーデンやデンマークでも、グリーン国債が発行されています。そのグリーン国債をヨーロッパの金融機関が買うと、ヨーロッパの金融機関はグリーン(環境)に配慮しながら運用を行っており、素晴らしい行動であると評価されます。ところが、日本はグリーン国債が発行されていませんので、買えない。そうすると、日本の金融業や日本企業はグリーン(環境)を重視した行動をしていないとみなされてしまいます。
 グリーン債券の定義が、必ずしも、CO2など廃棄物の量と一対一に対応していないのですが、目をつぶって、日本もグリーン国債というのを発行することが必要になるかもしれません。将来、日銀がマネーサプライを減らし、国債を売却するときに、売られる国債をグリーン国債に変換して、日本の金融機関や企業、国民に買ってもらうという方策を考えることも必要であると思います。
 3番目としましては、ちょっと大きな視点ですが、アジアの国々の為替レートが中国の為替に連動してきています。その理由は、中国の元が国際化されているというのではなくて、中国とアジア諸国の貿易量が多くなっていることが一つの原因です。
 中国の為替レートとアジア各国の為替レートが、あまり大きく変動してしまうと、自分の国の経常収支が大赤字になってしまうため、仕方なく中国の元と連動しつつ動かしている国が多くなっているようです。中国にとっては、アジア諸国の為替レートが、元の動きに連動すれば、輸出も輸入も、大きな為替変動なしで動きますので、中国とアジア諸国の物サービスの動きが、スムーズになるというメリットを享受できるようになります。
 こういう中で、日本が、どのようにアジアの中で力を持ち続けることができるだろうか。財政赤字になりますと、なかなか海外直接投資も進まないでしょうし、日本の海外直接投資が減少する中で、中国の海外直接投資は急増しています。それからいろんな援助を増やすという形で、アジアの全体像が変わってきつつあるような気がします。日本の財政赤字も含めてアジアにおける日本の役割を、どのように維持し続けられるか、大きな転換点に差し掛かっているように思います。
 以上、感じているところを述べさせていただきました。
 我々委員のほうから意見を述べさせていただきましたので、それでは、今度は財務省の側から、まず最初に藤本政策立案総括審議官から御発言いただいて、次に各局長の方々から、御発言を頂きたいと思います。お願いいたします。

○藤本政策立案総括審議官  
 政策評価と新型コロナとの関係、あるいはデジタル社会の加速化、適応力の評価といったいろいろ御提言とかサゼスチョン、御意見を頂きました。
 新型コロナウイルス感染症については目下のところ引き続き進行中でありまして、刻々変化する中で、今日頂いた意見を踏まえてどうしていくのが適切かということについて取り組んでまいりたいと思います。その際、評価全体を所管している総務省にも状況、問題意識を伝えていきたいと考えております。
 いずれにしましても、政策の評価の客観的、厳格な実施、その結果の政策への適切な反映、効果的かつ効率的な行政の推進、国民に説明する責務を全うするという政策評価制度の原点に立ち戻りまして、こういう非常な変化の下でどうしていくのかを考えていきたいと思います。
 また、データを集めて検証することの重要性についても御指摘いただきました、エビデンスに基づく政策立案が大きな課題だというふうに考えております。行革推進事務局とも連携して取り組んでいきたいというふうに考えております。
 私からは以上でございます。

○吉野座長  
 ありがとうございます。
 それでは、矢野主計局長から順番にお願いしたいと思います。

○矢野主計局長  
 主計局長でございます。
 幾つか御指摘を賜りましたけれども、ちょっと要領を得ませんけど概括的に申し上げさせていただきますと、1つには、デジタル化の必要性については、予算の配分についてもそうしていくべき。財務省の政策目標も構造的変革をもたらすべきだし、また予算の配分についての見直しもするべしという御指摘を頂きました。
 恐らく来年度、令和3年度の予算編成におきましては、新しい日常づくりに向けた予算編成ということで、当然デジタル化のことを踏まえて、これは働き方だけではなくて、学び方、生き方、医療の仕方、外交の仕方、全てについてのデジタル化にスポットが当たって、予算についても考えていかなきゃいけないというふうに認識をしております。
 あわせまして、これは余計なことかもしれませんけれど、デジタル化のみならず新しい日常へ向けての予算づくりということをしなきゃいけないときに、古い日常というとなんですけれど、これまでの日常のための予算についてのカルティベートといいますか、見直しということもしなければいけないと思っています。
 これもまた下手に言うと嫌味に聞こえますし、何が言いたいんだと怒られるんですけれども、財政規律を守るためだけではなくて、御指摘の中にもございましたけれども、日本全体の生産性を落とさないためにも、新しい、必要なところに予算の力点を置いて、古いところは必要じゃないと言うと語弊がありますけれど、相対的には移していくと。加えていくというよりも、移していくという考え方を取らなければいけないと自戒しております。それが1つ。
 それから、PB目標、その他財政健全化目標に関してですけれども、骨太に目標が消えたという御指摘もちょっとございましたけれども、分かりにくいという御指摘は残るんですけれど、一応2018、2019に掲げた云々という書き方で、PB目標、財政健全化目標というのはクウォートする形で残っております。
 すみません。御失笑を買っていますけれど、もっとしっかり分かるように書けよと。それは経済財政諮問会議の2本柱だろうという御指摘は、実は一部与党からも頂いていますけれども、役人的ですけれど、あるかないか、消えたか消えていないかというと、消えていないということが1つ。
 それからもう1つ。目標は既に達成不能になっておるのだから云々という御議論もございます。あるいは、中に2010年代初頭にPB黒字化を達成するという目標を小泉政権のときに掲げて、20年来ずり下がっているという御指摘も頂きました。
 10年代初頭から20年代後半になりかねない状況にあるという意味では、20年ずれつつあるという御指摘もそのとおりだとは思いますけれど、目標が達成不能、あるいは事実上困難になっているかというと、ここも政府の公式答弁としては、2025年度目標は、数字の上では成長実現ケースであっても、2029年前後というところに見えるわけですけれど、1つだけありますのは、毎年の予算編成における歳出削減努力というのをこれまでもやっておって、この先もやっていくわけですけれども、そこが織り込まれておらないものですから、皮算用ですけれども、仮にこれまで数年来の歳出削減努力のようなことを織り込むと必ずしも無理ではない。
 2026年前後に達成が可能という数字も見えなくはないということがございますので、西村担当大臣が記者会見で「目標を放棄する必要はないと思います」と言い切っているんですけれども、もちろん安易に達成可能なものではございませんけれど、それが今の政府の立場です。
 少し本音を申しますれば、目標を放棄することが最悪だとも我々は思っていますし、一方で、前提自体が楽観的な前提で目標をつくっていいのかという御指摘も今日頂きましたけれども、財政運営の要諦はプルーデンスですので、プルーデンスを欠いた目標設定自体がおかしいぞという戒めは、我々自身も常に腹の底に持っていなきゃいけないと思っております。
 あと、今回のコロナショックということもあって、そもそも、令和元年度の話ではないけれども、現実においては大きく傷んだのだから、それをどうするかという再建プランが数字的にない以上は、大きくバツがつくんだということもございました。
 先進各国において、先ほども御指摘ございましたけれども、EUは35年でつくった借金を返すということを決めました。EUの中のドイツは、20年で返済するということを決めました。アングロサクソンのイギリスとアメリカは半歩遅れていますけれども、それぞれ政府と議会で放置できないという声をオフィシャルに上げてきています。
 なので、少なくとも先進5か国を見て、積み上がったそれぞれ膨大な借金がコロナ対策としてはあるわけですけれど、それを放置していいなどという決断をした国はどこにもないので、我々としましても、性急にというわけにはいきませんけれど、逃げるわけにはいかない課題として検討していかなきゃいけないというふうに思っております。これまた声高に申しますと、気をくじくとか、性急過ぎるとかいうお叱りを頂きますので非常に難しいんですけれども、一言で言えば逃げられない課題だということを思っております。
 それから、大震災のときに、400年に1度とか1000年に1度とかという議論があって、その前のリーマンショックがあり、後のコロナショックがあり、結局10年に3回もメガトン級のショックがあって、400年に1回どころではないわけですけれど、という現実に鑑みますと、やはり多くの先生方から御指摘を頂きましたけれど、財政運営の在り方といいますか、目標自体が、平たく言えば、平時には一定以上の黒字を持っていないと有事対応ができないということをこの10年間に嫌ほど思い知らされたわけですし、そういう意味でも、この目標自体がこれでいいのかということも、直ちにではないにしてもちょっと腹の底で考えなきゃいけないという自覚は持っております。
 答えになっていませんけれど、そんなところでお許しを頂ければと思います。

○吉野座長  
 ありがとうございました。
 それでは、主税局長、お願いいたします。

○住澤主税局長  
 主税局長の住澤でございます。本日は貴重な御意見を多数お寄せいただきまして、大変ありがとうございます。
 御指摘いただいた中で、まず一番大きな御指摘として受け止めておりますのは、今回コロナ対応ということでこれだけの公債発行をしたわけですが、この影響を将来の世代にできるだけ持ち越さないという観点でできるだけ平準化をしていく。その観点からの取組が考えられてしかるべきなのではないかという御指摘を多数の委員の方からお寄せいただきました。
 この点について、現在の政府の対応といたしましては、感染の拡大防止と経済の再生をいかに両立していくかというところが最重点ということではございますが、感染の状況が少しでも終息してきた暁には、やはり将来世代に対する責任という観点から、非常に重い宿題を背負っているのではないかという自覚を持って取り組んでいく必要があるというふうに考えております。
 4月、5月のコロナに対する対応というのは、緊急事態における対応という側面が相当に強かったように思いますので、非常にある意味大胆な対応をしてきた面が政策的にはあったのではないかというふうに思っております。
 そういった中で、今後の対応、様々な局面において考えていく上では、やはりコロナという新しい事態に直面している中でも、経済の中で本当に傷んでいるセクターと、そうではない部分というのがあるであろうということ、また、国民の中での支え合いというものがこういった事態を乗り越えていく上でどうしても必要なんだということが、もう少し意識されてしかるべきだったかなというふうに思っております。
 社会の分断をもたらさないということは必要であろうと思いますが、どういった形でこの難局を乗り越えていくことがその負担の在り方として適切なのかということを議論できるような環境がいずれ訪れるとすれば、そのときに必要な材料を提供できるように、事務方としての準備は怠りなくしていきたいというふうに考えております。
 続いて、様々な御意見を頂いた中で、若者に非常に今大きな負担がもたらされているのではないかという御指摘をいただきました。この点については、ここ数年間、所得税の改革であるとか、資産課税の改革について御議論いただく中でずっと議論されてきたテーマであったかと思いますが、これが一層加速をしているのではないかという感を強くしております。
 例えば、昨今の非常時の対応の中で、持続化給付金の給付をめぐって様々な議論がございまして、その中でフリーランスという形で働いている若者の中には、事業所得という形でその所得を稼いでいる人だけではなくて、雑所得であるとか、あるいは中には給与所得という格好で所得を獲得している人もいるということで、これが支援策を進めていく上で非常に大きな混乱を招いたという側面がございました。
 この1つからも分かるように、現在の所得税の制度であるとか様々な制度が、働き方の多様化であるとか、若者の新しい就労形態に適応したものになっていないという側面が相当にあるということを今回改めて確認できたような気がいたしております。こういった教訓も踏まえながら、今後、所得税の在り方その他についても検討していく必要があるという思いを強くいたしております。
 また、国債の負担が将来世代にツケ回しをされてはいけないということとの関連において、どうしても国債の償還であるとか利払いというのは、国民の間で資源の移転が行われるという形であるとしても、それは金融資産を保有している層に対する配分が将来的になされていくということになるんだろうというふうに考えております。
 そういった面で、資産の面での格差というものが拡大していくことは、機会の平等という観点から将来的に大きな禍根を残していくという側面もあろうと思いますので、資産課税の在り方についても十分な検討が必要だというふうに考えております。
 また、デジタル化に対する対応ということでたくさんの御指摘を頂きましたが、税制の面におきましても、近年デジタル化に対応する観点から様々な取組を進めてきておりますが、今後の課題としては、確定申告でありますとか、年末調整に当たっての事務をできる限りワンストップで、あるいは書類の提出であるとか、確認ということをできるだけ省略する形で処理することができる仕組みの構築というのが求められていると思いますので、こういった面についても力を入れて取り組んでいきたいというふうに考えております。
 以上でございます。

○吉野座長  
 ありがとうございます。
 関税局長でよろしいですか。お願いします。

○田島関税局長  
 この7月から関税局長をしております田島でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 直接頂いたコメントはなかったと存じますが、デジタル化に関しまして一言申し上げますと、関税局は御承知のとおり税関行政を行っているわけでございますが、デジタル化に関しまして、ベースラインとなる手続の電子化というのは、産業の情報化、電子化と軌を一にして二人三脚でやってまいりましたので、御承知のとおり、NACCSという官民共同の会社の中でのシステムで、民民手続も含めて今、物流の相当部分をここで取り入れて、縦割りをなくしながらやっておりますので、その部分はまさに民間の情報化と同じレベルではないかという自負をしておるところでございます。
 したがいまして、今の目標というのは、まさにAIなどの最先端技術をどう使って最先端の税関にしていくか。それは、すなわち国際物流の中で日本の貿易のさらに競争力の強化というものにつながっていくかという問題意識で対応していくというところだと思ってまして、その問題意識でこの6月にスマート税関構想というのをまとめました。
 今後、それを推進していくわけでございますが、やはり大事なのは、こういう構想を役所が勝手に始めて、その後民間の方々にこれを使ってくれということのないように、この推進に当たって、7月からぜひ物流関係、メーカー関係、産業界全体の中で御要望なりを全部吸い上げて、そうしたものを反映しながら進めていこうということで今号令をかけておるところでございます。
 日本の貿易立国をさらに強化するという観点から進めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

○吉野座長  
 ありがとうございます。
 では、大鹿理財局長。

○大鹿理財局長  
 去る7月に理財局長を拝命いたしました大鹿と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 御案内のとおり、理財局行政は、国有財産、国債の発行・管理、それから財政投融資、あるいは国庫、通貨、さらにはたばこ・塩といったかなり幅広い分野にわたっておりますが、それぞれの分野におきましても、世の中の変化、動向をしっかりと捉えて、我々が現在抱えている課題の解決に資するような施策の展開を長期的な視点から行っていきたいというふうに考えております。
 その中で幾つか委員の方々から御指摘をいただきましたので、ちょっと付言をさせていただきますが、国有財産につきましては、御案内のとおり森友学園事案の発生を受けまして、様々な国会での御批判、御指摘もありました。また、会計検査院の検査結果も受けております。
 こういったものを含めて、平成30年からは国有財産行政、とりわけ公共随契を中心とした国有財産行政の見直しを実施してきております。管理処分手続の明確化であるとか、価格の客観性の確保、それから適正な文書管理といった点について累次の通達を発出して、それを着実に実施してきているところでございます。
 それから、それと並行しまして、従来、未利用国有地の売却に取り組んできたわけですけれども、これがかなりの進捗を見てきているということも踏まえまして、国有財産を売却から有効活用のほうに重点を移した取組をしております。   
 具体的には、定期借地権を活用した貸付けでありますとか、あるいは留保財産、これは有用性が高くて希少な国有地を国有財産として持っておくという形、また貸し付けるという形で活用を図るという取組をしておりまして、こうした地道な取組を続けることで、国有財産行政の信頼回復を図っていきたいというふうに考えております。
 それから、国債管理政策について御意見を頂きました。今回のコロナ禍に伴います2回にわたる補正予算で、財投債を含めますと国債の追加発行は約100兆円になっております。もともとあります借換債を含めますと、年度全体で250兆円の国債を発行するということになりまして、言わばステージがかなり上がったという状態になりますけれども、私どもとしては、まずは国債の確実かつ円滑な発行を図って、コロナ対応も含めた財源をきちんと調達するということが役割でありますし、あわせて、将来の財政収支の健全化に少しでも寄与すべく、中長期的なコストの抑制を図っていくということが使命であると思います。御指摘ありましたとおり、国債の保有割合、保有者別の構成といったものについてもよく注意をしながら、ほとんどが市場発行でございますので、市場との対話を重視して円滑な発行に努めていきたいと思っております。
 国債に伴いますいろいろな制度については、財政制度全般の中でいろいろなこれまでの議論がありましたけれども、そういったことについてもタブーを設けることなく、前向きに検討しておくということが必要ではないかと思っておりますので、十分な検討を進めていきたいと思っております。
 最後に、デジタル化への対応で、キャッシュレス化、あるいは通貨に関する御指摘がございました。御案内のとおり、民間における取引はかなりキャッシュレス取引も進んできております。様々な手段が出てきて、相当一般化してきているような状況にあるかと思います。また、金融機関においても、最近では通帳の発行を有料化するといった動きもありますとおり、ネット取引に向けたシフトが今後とも進んで、特にコロナの感染予防というようなことも追い風となって進んでいくのではないかと思います。
 そうした中で、いわゆるCBDC、中央銀行の発行するデジタル通貨でございますけれども、これにつきましても日本銀行とともに必要な勉強は進めていきたいというふうに考えております。一方で、金融システムに与える影響ですとか、あるいはセキュリティの問題について、かなり広範にわたって深い検討が必要であるかとは思いますけれども、よく日銀とも意見交換を行って検討を深めていきたいと思っております。
 なお、新札について言及がありましたけれども、既にデザインが発表されておりますけれども、新札は2024年度からの発行・流通が予定されております。これについても、もちろん当然必要な偽造・変造の防止といった点は、最新の技術を駆使して導入されておりますので、こういった点についても万全を期してまいりたいというふうに思っております。
 いずれにしましても、引き続き御指導をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○吉野座長  
 ありがとうございます。
 それでは、神田国際局長、お願いします。

○神田国際局長  
 ありがとうございます。国際局長の神田でございます。よろしくお願い申し上げます。
 吉野座長から対中経常収支、人民元、こういった御下問がありましたので、それを中心にお答え申し上げます。
 実際、経常収支における中国のシェアが高まると、人民元への連動が高まるという仮説は承知しております。特に通貨バスケットを採用している場合は、論理的な説明になる可能性がございます。
 これに加えまして、中国はドル以外の通貨、例えば中国/ロシアにおける人民元決済の拡大や、あるいはデジタル人民元の実現に向けた早急な取組、さらには、途上国援助をレバレッジにした人民元の活用、こういった行動をされていることが観察されておりまして、そういったことにビジラントであるとともに、しかし他方、一本調子ではない。
 先生方御案内のとおり、数年前に100兆円の外準を失うぐらいの人民元の流出、人民元というか、中国からの資本逃避がある中、今は非常に資本流出規制が厳しくなっております。この結果、海外直投、あるいは一帯一路的な援助なんかも過去のような感じではありません。
 ここら辺も今後どうなるのかしっかりと見ていかなければいけませんけれども、この観点では、今、コロナの関係で途上国の債務返済猶予というのを国際協調でやっている中、フリーライドをするような国がないように、しっかりと全ての国が公平に参加していただけるように担保していきたいと思っております。
 こういったことを含めまして、流動化する国際秩序、大きく変容するジオポリティクスにしっかりと対応していかなければいけませんけれども、とりわけコロナは、やはり全ての主体の行動変容、そして経済社会の不可逆的な変化、トランスフォーメーション、ひいては国際秩序を大きく変えていく。特に国際競争力の格差の拡大を加速化するリスクとともに、ある意味機会ともなっております。その王道は、やはり今日ずっと議論のあったデジタル化を含めた大きな人類社会の変化に対応した施策を、内政においても外交においても果たしていくことが必要であります。
 この点、国際的な議論におきましては、例えば同じコロナ対応でも、EUがグリーンリカバリーという概念の下で、財源論をしっかりやるだけではなくて、次世代のための投資といったコンセプトというのを非常に正面に打ち出されている。あるいは、OECDを含めて今の国際的議論の中で、コロナ対策は足元でやむを得ないけれども、しかし、そのモラルハザードがリソースを、将来性のある部門のシフトを妨げてしまって、生産性を引き下げる可能性に対しての警鐘というのが今高まっております。とりわけ、コロナ前からサステイナブルな企業へのプロテクション、あるいは労働の対価でない過度のベネフィットといったモラルハザードの危険性を指摘する議論が出てきていることには留意すべきだと考えております。以上です。

○吉野座長  
 どうもありがとうございます。
 それでは、阪田総括審議官、お願いいたします。

○阪田総括審議官  
 総括審議官の阪田でございます。御質問を頂きましたので、お答え申し上げます。
 江川委員から地震保険に関する御質問を頂きました。まずは、普及率はまだまだ低いので、S評価に安心せず今後もということです。もちろんそのとおりだと思っております。広報も含め、あるいは損保業界との協力も含め、今後も普及のために努力していきたいと思います。
 それから、数字について御質問いただきました。287ページに予算の数字が載っておりまして、当初予算に計上されている1,868億円だったり、2,011億円という額と、執行額が59億円だったり、130億円だったりという、この違いが何かという御質問だったかと思います。
 この数字は地震再保険特別会計の金額でございまして、地震再保険特別会計というのは、頂きました再保険料というのを歳入で受け入れて、実際それが幾ら歳出になるかというのは年度当初は予想がつかないものですから、予算の作り方としまして、歳出額には予想される歳入額全部が歳出されるという形で予算計上します。それがこの1,868億円だったり、2,011億円だったりする歳出の予算額なんですけれども、決算執行額においては実際に出ていった金額が計上されるものですから、乖離が生じるということでございます。
 29年度の59億円に比べて、30年度が130億円と増えていますのは、この年に大阪北部の地震があって、国が再保険料を賄う部分がその分大きくなった。こういった事情を反映しているということでございます。以上でございます。

○吉野座長  
 ありがとうございます。
 それでは、可部国税庁長官、お願いいたします。

○可部国税庁長官  
 国税庁長官を拝命いたしました可部でございます。よろしくお願いいたします。
 まず、お尋ねがございました新型コロナウイルス感染症拡大防止の下で、測定指標とそれの達成状況をどういうふうに評価するかという点でございますけれども、もともと接触を前提にした調査とか、徴収とか、そういうものの数字というのはなかなか現時点で起き難いものですから、お話がございましたように、目標値のみにとらわれずに最終的な目標達成に向けてどのような取組ができたか、例えば、翌年に向けた準備がどれだけできたかとか、あるいは御指摘ございましたように、実行性のみならず適応性という観点からどういうことができたのかということも含めて評価することを検討してまいりたいと思います。その結果については、また2年度の実績評価のときに御相談させていただきたいと思っております。
 また、多くの委員の先生方から御指摘のございました税務行政のデジタル化につきまして、現在、マイナンバーカード、あるいはe-Tax、こうした事柄について具体的な数値目標を設定させていただいて進めておりますが、おかげさまで、e-Taxのほうは個人で6割、法人で8割まで利用していただけるようになりました。また、今年の確定申告はできるだけ三密を避けるということで、スマホを活用したものも含めまして、自宅からのe-Taxが5割増えるという結果になっております。
 この7月に決まりました骨太方針でも、御指摘のとおり、1丁目1番地の最優先課題がデジタル・ガバメントとなっておりますので、この機会にぜひ一気にこれを進めていきたいということで、スケジュールとしては、この秋から年明けにかけまして、これからマイナポータルを活用した年末調整、確定申告、あるいは社会保険と税手続のオンライン・ワンストップ化が始まりますので、こうしたことも含めて抜本的な取組を進めていきたいと思います。
 3年前に「税務行政の将来像」、それから1年前に「スマート税務行政の実現に向けて」を発表しておりますが、新型コロナウイルス感染症拡大防止の下でデジタル技術は大きく進展をいたしておりますので、これを踏まえた新しいアップデートをこの事務年度に行わせていただきたいと思います。一つは今申し上げたような利用者の利便性向上、もう一つは調査・徴収について、お話がございましたように、データ等を用いてAIを活用した調査・徴収、こうしたものを深度ある形で行っていくという、2本柱でデジタル化を進めていきたいというふうに思っております。
 最後に、キャッシュレス化でございますけれども、これについても数値目標を設けて、政府全体のキャッシュレス化推進を行わせていただいております。これをぜひe-Taxの推進と併せて進めさせていただきたい、このように思っております。よろしくお願いいたします。

○吉野座長  
 ありがとうございました。
 最後に、それでは太田事務次官のほうからお願いいたします。

○太田事務次官  
 長時間にわたって、恐らく多分1時間半の予定だったと思いますが、延びてしまって申し訳ありません。委員の先生方から大変熱い御意見を承りましたので、各局長も何かしゃべらないといけないという気分でしゃべったと思いますので、延びたことをお許しいただきたいというふうに思います。
 まずは、今回から翁百合先生に御参加をいただきました。どうかよろしくお願いいたします。
 この懇談会は、毎回基本的には我々財務事務当局に対して大変シンパシーを抱いていただいている先生方から、だけど、至らない財政運営について厳しく御意見を承るというのが中心の会だと思っておりますが、特に今回の場合はコロナということがあり、それに対して第1次、第2次という大変大きい財政出動をいたしましたので、特に今日はその話が中心だったというふうに思っております。
 各局の局長、特に予算の話であれば、主計局長からお話を申し上げたとおりということではありますが、先生方皆さんがおっしゃっておられる予算、あるいは財政運営については、当然のことながらと言うと大変差し出がましいんですが、我々も基本的に同じような問題意識を持って取り組んでおります。
 取り組んでおりますが、結果がなかなかそうなっていないではないかという先生方の叱責、あるいはいら立ちは大変よく分かります。大変よく分かりますが、その中でそういう問題意識を持ちつつ、一方で民主主義国家でございますので、その民主主義の世論の状況を踏まえた政治との中で、具体的にどういうふうにするかという中でやらせていただいているというのが実情ではございます。
 全く問題意識は同じでございますので、それに向けて、あるいは現時点において1次補正、2次補正をどうしてああいうふうにしたのか、あるいはその過程についていろいろなことがあるわけですが、それを弁解がましく解説するわけにはいきませんので、結果としてああいうことになったことはある意味で我々の責任ですから、それを前提としてというふうに思っております。
 これから先のことを考えますれば、先生方からお話がありましたように、基本的に我が国は今プライマリーバランスというものを財政健全化の目標としているわけでございます。御案内のとおり、プライマリーバランスという目標は、毎年の税収、あるいは税外収入で政策的な支出、いわゆる一般歳出、そして地方交付税交付金というものを賄うというのを目標にしているわけでございます。そういう観点からすれば、まずはコロナという今回の状況に応じて、歳出面において1次、2次という膨大な歳出をつくったわけですけれども、その状況から脱して、要すれば、通常の状況の歳出規模に戻していくという状況にするということ。
 それからもう1つは、税収というものが、この状況下ですと、恐らく来年にかけて納税の猶予みたいなこともありましたので、令和2年度の当初予算で見積もっていた63.5兆円、消費税10%に上げさせていただいたこともあって、過去最大の税収を見込んでいる。それが63.5兆円なわけですが、それが今年度についても、あるいは来年度についても、もちろん努力はいたしますが、その数字に持っていくというのは、正直に申し上げれば大変容易でない状況だと思います。それはもう皆様も予想されるとおりだと思います。
 それをいかにして予算の支出も含めて経済を立ち直らせて、いわゆる我々の見込んでいた通常の税収に戻していくか。歳出歳入ともにある意味ではコロナ前の状況にどうやって戻していくかということがまず最大の課題。その上で、これだけの国債を発行しているわけですから、それについてどういうふうにしていくか。それは、東日本大震災のときにこうしたではないかというお話をいただきましたが、その話だと思っております。
 私も随分長らくこういう仕事をさせていただいて、この懇談会にもある程度の期間出席をさせていただいているんですが、毎回毎回というか、今回のコロナ、それはその前でいけば、やっぱり東日本大震災、その前でいけばリーマンショック、その前でいけばITバブルの崩壊、それから97年、98年の金融危機、それからバブルの崩壊、その前でいけばプラザ合意に伴うところの円高と常にあるわけで、それぞれその時々いろんなことがあったわけですが、常にそのことが起きると、「前例のない」とか、あるいは「過去最悪の」といったような形容詞がつくわけです。
 今回だってそういうふうにつくんですが、それは過去と比較すればということで考えると、1点だけ申し上げると、やらせていただいていて過去とは違うと思っていることは、東日本大震災であれ、リーマンショックであれ、あるいはその前の金融危機は多少ありましたけれども、基本的には1回大きいことが起きて、それを前提にしてということなんですが、特に今回1次補正、2次補正を編成しているときに思ったことは、その編成している最中に感染の状況、重症化の度合いというのが逐次変わっていて、1回起きたから、それを前提に…東日本大震災後というのは典型的にそのパターンなんですけど、そうではなくて、いろんなことをやっているうちに事態がさらに変わっていく、正直に言えば悪化していくという中で物事をやっていくというのは大変難しい。
 これは、残念ながらまだこの状況が続いていると思いますので、そういう中でやっていくのは大変難しいことだと思っていますが、難しいからといって弁解にはなりませんので、そこはその状況を踏まえた上で、今申し上げたように、通常の歳出歳入に戻していくということをまず第一義的にやっていきたいと思っております。
 そのための手段として、今日一番多かった議論は、デジタル化に向けてのお話だったと思いますけれども、デジタル化というのは、歳出歳入、特に経済全体、あるいは社会全体としてそうすることが、歳入が通常に戻っていくためには必須のことだと思っておりますので、予算当局として、そのことについて予算で最大限の努力をするというのは、言葉だけではなくて、1次補正、2次補正のときもそういう意識がありましたし、そこはそうしようと思っています。
 あとは、それぞれの各省庁さんにおかれて、予算の問題ではなくて、今までなかなか進んでこなかった例えばマイナンバーカードについて見れば、それぞれ利害関係者がいて、その方々がいろいろそれは困るといったことを言われると、それに応じてなかなか進んでいなかったということが、正直に言えば、皆さんからすれば何だと思われるかもしれませんが、それぞれの利害関係者からすればそういうことが大変多かったことは事実なので、その部分をこの機会にある意味で乗り越えていかなければいけないということなんだろうというふうに思っております。
 懇談会のメンバーの皆様にはいつもいつも大変熱い御意見をいただいて、その割にはなかなか思ったようには進んでいなくていら立たれることはよくよく承知をしておりますけれども、こういう意見を頂けるのは大変ありがたいこと。正直に申し上げると、予算編成過程で政治の場に出ていくと、反対側の意見の方しかほとんど聞くことはないので、そういう意味では、こういう意見を厳しく言っていただけることは、我々にとって厳しいですけどもありがたいことだと思っておりますので、どうか今後とも引き続き御指導をよろしくお願い申し上げます。

○吉野座長  
 太田事務次官、どうもありがとうございました。
 今日は、通信環境の関係で時々聞きづらいところもあったかもしれませんし、また大幅に時間をオーバーしてしまいまして、申し訳ございませんでした。やはりコロナ下の状況で、各委員の先生方もしっかりポイントをついていただきましたし、それから局長の皆さんからも熱心にお答えいただけたと思います。
 本日の議事内容に関しましては、各委員に御確認を頂いた上で、財務省のウェブサイトに公表する予定でございます。
 また、次回の会議でございますけども、通例ですと国税庁の実績評価について10月頃の開催予定というふうになっております。
 財務省におかれましては、今日の委員の先生方から頂きました御意見を踏まえまして、これをしっかりPDCAサイクルで回していただくようにお願いしたいと思います。
 今日は長時間になってしまいまして御迷惑をおかけいたしましたが、これで第68回の財務省政策評価懇談会を閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。



──了──