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第64回 財務省政策評価懇談会(10月10日開催)議事録

1 日時

平成30年10月10日(水)10:30〜11:36

 

2 場所

財務省第3特別会議室

 

 

3 出席者

(懇談会メンバー)

 

江川 雅子

一橋大学経営管理研究科 教授

 

角  和夫

阪急電鉄株式会社 代表取締役会長

 

田中 直毅

国際公共政策研究センター 理事長

 

田辺 国昭

東京大学大学院法学政治学研究科 教授

 座長 

吉野 直行

慶應義塾大学 名誉教授

(敬称略、五十音順)

(財務省)

 岡本事務次官、矢野官房長、星野主税局長

(国税庁)

 藤井長官、武藤審議官、天野監督評価官室長

(事務局)

 岡本政策立案総括審議官、江島文書課長、渡部政策評価室長

 

4 議題等

(1)平成29年事務年度国税庁実績評価書(案)について
(2)平成30年事務年度国税庁実績評価実施計画等の一部変更(案)について

 

5 議事録

 

 

○吉野座長
 
それでは、ただいまから第64回の財務省政策評価懇談会を開催させていただきたいと思います。

 まず最初に、岡本事務次官から一言お願いしたいと思います。


○岡本事務次官

 事務次官の岡本でございます。本日は、お忙しい中御出席いただきまして、ありがとうございます。

 本日は、国税庁の平成29事務年度の実績評価書(案)及び平成30事務年度の実績評価実施計画等の一部変更(案)を議題とさせていただいております。国税庁の実績評価につきましては、PDCAサイクルを通じて実績評価を次の政策決定に反映させることによりまして、効率的で質の高い税務行政を推進するとともに、国民に対する行政の説明責任を徹底するものでございます。

 このような目的を果たすためには、単に国税庁が自ら評価するだけでなく、委員の皆様方から率直な御意見をいただくことが、客観性の確保と評価の質を高めるために極めて重要と考えております。本日の懇談会におきましては、これらの観点から忌憚のない御意見、御指導をいただきますと幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。


○吉野座長

 事務次官、どうもありがとうございました。

 それでは、議題に入らせていただきたいと思います。

 画面にございますけれども、今日は2つの議題がございまして、1つは国税庁の平成29事務年度の実績評価書(案)、それから平成30事務年度の実績評価実施計画等の一部変更(案)、この2つを一括して御議論いただきたいと思います。

 まず、岡本政策立案総括審議官から2つの議題について御説明をお願いいたします。


○岡本政策立案総括審議官
 それでは、御説明させていただきます。

 資料番号の1ということで、「平成29事務年度国税庁実績評価及び平成30事務年度国税庁実績評価実施計画等の一部変更の概要」と題しました資料に沿って御説明させていただきます。資料のページとしては3ページからになりますので、3ページをお開きください。

 まず初めに、平成29事務年度国税庁実績評価書(案)について御説明いたします。

 次の4ページが全体の見取り図になってございます。国税庁の使命と実績目標等の体系図でございます。国税庁においては、国税庁の使命を踏まえ、3つの実績目標、大きいものは一番上の段でございます。真ん中ほどに4つの実績目標(小)、それと一番下のほうでございますが、6つの業績目標を設定しておるところでございます。

 評定の結果は、Sが「目標達成」、Aが「相当程度進展あり」、Bが「進展が大きくないもの」となっております。なお、括弧がついているものがございますけれども、これは昨事務年度の評定でありまして、四角の枠囲みは前事務年度と異なる評定となったものを示しております。

 評定方法につきましては、5ページに詳細をつけてございますけれども、これは昨年事務年度と変わっておりませんので、説明は割愛させていただきたいと思います。

 次の6ページをお開きいただければと思います。評定区分ごとの集計結果になっております。このうち昨事務年度と異なる評価になったものにつきましては、次のページで詳しく御説明をしたいと思います。

 次の7ページをごらんください。まず一番上の業績目標1−3−1、左側でございます。「適正申告の実現及び的確な調査・行政指導の実施」についてでございます。この目標については、右の欄にございます「評定理由等」に掲げておりますように、29事務年度は、当該目標に係る各施策につきまして、国際化・ICT化の急速な進展に対する的確な対応や更なる発展が想定される取引形態の把握、それらに応じたより一層的確な調査・査察の実施など、今後、各施策における課題等に対して着実に取り組む必要があることを踏まえまして、全ての施策を「a 相当程度進展あり」と評定したことから、当該業績目標につきましては、「A 相当程度進展あり」と評定いたしました。

 次に、2段目の中ほどの欄ですが、実績目標(小)1−4「国際化への取組」についてでございます。これも右のほうに評定の理由等が書いてございますけれども、29事務年度は新たに設定した施策となります施策番号1-4-2「CRS(共通報告基準)に基づく金融口座情報の情報交換の実施に向けた取組」につきまして、CRSに基づく情報交換は平成30年から開始されたものであり、制度を円滑に運営していくためには、今後の状況に応じて的確に対応していく必要があることを踏まえまして、当該施策を「a 相当程度進展あり」と評定したことから、当該実績目標につきましては、「A 相当程度進展あり」と評定したものでございます。

 一番下の段に参ります。実績目標(大)の2の「酒類業の健全な発達の促進」についてでございます。この目標につきましては、29事務年度は、施策:実2-2「酒類の公正な取引環境の整備」におきまして、酒類の公平な取引に関する基準の施行1年目でございまして、今後、新たな基準のもとで、更なる公正な取引環境の整備に取り組んでいく必要があることを踏まえまして、当該施策を「a 相当程度進展あり」と評定したことから、当該目標については、「A 相当程度進展あり」と評定したものでございます。

 以上が平成29事務年度国税庁実績評価書(案)についての説明でございます。

 続きまして、8ページでございます。こちらは国税庁の平成30事務年度実施計画等の一部変更に関しての説明となります。こちらは、業績目標1−2−3の「電子申告等ICTを活用した申告・納税の推進」という項目におけます定量的な測定指標の変更になります。

 これまでの取組といたしましては、こちらのページの1のところにありますように、国税庁では、電子政府推進に関する政府全体の方針に基づきまして、利用目標の設定を含む累次の計画を策定し、これに沿ってe-Taxの普及及び定着に取り組んできたところでございます。

 また、平成26年度以降は、「オンライン手続の利便性向上に向けた改善方針」に基づきまして、マイナンバーカードの交付目標枚数等を踏まえた財務省の改善取組計画が策定されましたことから、それに沿って取り組んでいるところでございます。

 2の今後の取組でございます。今後の取組といたしましては、2に記載しておりますけれども、電子政府推進に関する政府全体の方針である「デジタル・ガバメント実行計画」を受けまして、本年6月に財務省から「財務省デジタル・ガバメント中長期計画」が公表されております。当該中長期計画におきましては、税務行政において、納税者が簡便・正確に手続を行うことができるよう利便性を高めるとともに、社会全体のコスト削減や企業の生産性向上を図る観点から、税務手続のデジタル化を一層推進するとの方針が示されております。

 国税庁では、かかる方針を踏まえまして、目標の設定について、資料の8ページ下段の表に記載のとおり、右の下のほうでございますけれども、「増加」としておりましたものを具体的な数値の目標値に変更することとしております。また、当該目標値につきましては、現在のマイナンバーカードの交付枚数の状況や、これまでの各取組に係る実績を基に、今後の取組に向けた適正な目標値を新たに設定したところでございます。

 事務局からの説明は以上です。


○吉野座長

 どうもありがとうございました。

 それでは、いつものように委員の先生方から御意見、それから御発言をお願いしたいと思います。

 いつもあいうえお順で恐縮ですけれども、江川委員からどうぞ。


○江川委員

 2点申し上げたいと思います。

 1つは、実績目標(大)の2の「酒類業の健全な発展の促進」ということに関連してです。私もこの委員をずっとやっておりまして、国税庁の評価というと、どうしても税金をきちんと徴税するというほうに目が向いていて、あまりこの目標に関して考えたことがありませんでした。たまたま最近、蔵元をやっている方から酒類業界の課題として、日本酒の売上が今どんどん減っているという話を聞いて、危機感を持ったのでコメントをさせていただきます。

 大きなバックグラウンドとしては、若い人が減っている、お酒を飲まなくなった、お酒の中で日本酒のシェアが落ちているなど、構造的な問題があるのだと思うんですけれども、私が聞いてびっくりしたのは、例えば東京都ではワインの売上が日本酒の売上を上回ったという話です。日本酒は、高いものがいいもので、値段が高いというイメージができてしまって、普通に飲む人が減ってしまったということではないかと思います。

 日本酒の業界全体の売上が落ちていて、今、伝統のある造り手がどんどん身売りしているそうです。私が1つ聞いた話は、市島酒造という、北陸屈指の豪農の市島家が1790年に始めた酒屋さんらしいんですけれども、「王紋」という、私は知らなかったんですけれども、同席していた日本酒が好きな方は知っていて、ええっとびっくりしていました。そのように一般の方も知っているような伝統のある銘柄をつくっている、業界の中ではしっかりやっていると思われているようなところでさえ、身売りせざるを得なくなっているという状況だそうです。

 一方で、私が聞く話は、海外、特にアメリカでは日本酒の人気が出ていて、ワインと同じように、地域によっていろいろな特徴があって、そういったものが評価されていると聞いております。

 ですから、現在の目標は酒類の公正な取引環境の整備となっていますが、日本酒自体が、ユネスコの無形文化遺産に登録された和食、日本人の伝統的な食文化の中の非常に重要な一部であるということを考えると、もう少し積極的に業界の育成などに目標をシフトしてもよいのではないかと思いました。

 そのように思ったのも、今は変わったと聞いていますが、一昔前は税金の増加につながらないということで、例えば日本酒の輸出を振興するということに関して、あまり国税庁さんは熱心ではなかったという話を聞いたことがあるので、目標の設定の仕方を少し変えればいいのではないかと思います。

 受け売りですが、日本の伝統文化の担い手として日本酒づくりというのは、日本固有の麹づくりもかなりユニークなもので、発酵という面でも技術的に優れていて、世界的にも珍しいものだということです。それから日本酒は和食の文化の非常に重要な一部で、観光資源として日本の食文化を世界に発信して理解していただく取組の一部として重要だと思うので、業界の売上減を食い止めるために何ができるかということを少しお考えいただけるとよいと思います。

 特に、ほかのお酒のカテゴリーに比べて小さな造り手さんが多いので、例えば日本酒の人気を高めるためのキャンペーンのようなことも単独ではしにくいし、輸出も英語の壁とかが大きいと思いますので、いろいろ総合的に政策を打っていけるような仕組みを整えていただけるといいのではないかと思います。国税庁だけでやるのがいいのか、ほかと連携してやるのがいいのか私はわかりませんけれども、危機感を持ちましたので、コメントさせていただきました。

 2点目はマイナンバーで、これに関して旧姓使用の対応をお考えいただくといいのではないかという個人的な意見をお話したいと思います。

 例えば財務省さんでしていただく手続に関しては、私の戸籍上の姓が書かれているマイナンバーカードをお出しして、でも、それに写真がついているので、違う姓でもそれが江川雅子だということを認めていただいて、江川雅子という名前でいろいろな手続ができるんですけれども、金融機関は、やっぱり戸籍上の名前やマイナンバーに載っている姓と、口座名が同じでなくてはならないと言われます。でも、そうすると、金融機関の口座や、クレジットカードなどいろいろなものを全部変えなければなりません。

 働く女性が増えて旧姓を使い続けている人も多く、周りの女性の中で、両方の名前で銀行口座を持っていて、使い分けが面倒くさいとか言っている人もいます。今、職場で結婚前の姓を使っている方もいるし、事実婚をしている人もいるし、いろいろな方法があるので、それなりに大丈夫じゃないかとおっしゃる方もいるんですけれども、実際には結構不便もあります。

 逆にマイナンバーできちんと管理できるのであれば、姓が2つあっても、それが同一の人だということがわかるという意味では、わざわざ変えなくてもいいというメリットもあるわけですから、そこもお考えいただけると、不便も解消できるし、マイナンバーの利用も進むのではないかという個人的な意見です。よろしくお願いします。


○吉野座長
 ありがとうございました。それでは、角委員、どうぞ。

○角委員

 まず評価につきましては、定性目標を定量目標に変えられたということで、よりわかりやすくなったのではないかなというふうに思います。

 それと、秋の財政審が始まっておりまして、昨日も社会保障についての議論がございました。その中で今日、一部日経等には記載をされておりますけれども、何が言いたいかといいますと、要するに、2020年の基礎的財政収支黒字化が2025年に5年後ろに行ったということについては、財政審としては非常に残念な思いでいっぱいなんです。

 ただ、その中で、総裁選も終わりまして、もともと政権発足時に税と社会保障の一体改革を当然引き継がれたわけですけれども、その中でいろいろ曲折があって今日に至っておりますけれども、これから最後の3年をかけて、まず初年度には70歳まで働ける社会をつくろうと。

 65歳まで雇用がある意味で義務付けられたのが2004年です。完全な義務付けができたのは2012年ですけれども、2004年ですから、それから15年も経過しておるわけで、平均寿命は当然に延びて、将来的には100歳というふうな時代を迎えていく中で、日本ほど高齢化が進んでいない欧米ですら、65歳以降に公的年金の支給開始年齢を延ばす施策をとろうとされている。

 ところが、残念ながら、2010年に60から65まで延ばす。1歳延ばすのに3年かけますから、2025年までは65歳以降にできないんですけれども、それ以降も3年ごとに1歳ずつ延ばしていくということを今決めることによって、やはり若い人たち─私は大阪大学に年に1コマだけ講義に行くんですけれども、基本的には「まちづくり」とかいうことを話すんですけれども、税と社会保障の一体改革とかという話をしますと、マクロ経済スライドも入ったし、医療、介護は大変だけども、年金は何とか持続可能じゃないかという話をしますと、学生の大半が「えっ、本当ですか」という反応なんですね。

 ですから、先般新聞にも出ましたが、若い人たちの年金に対する見方というのは非常に厳しいものがあります。それが今の将来不安につながって、若者の個人消費が伸びないとかにも影響してきていると思うので、やはり将来のことではあるけれども、2025年以降もちゃんと支給開始年齢は遅らせていく。そして、所得代替率50%は確保しますよということを明言していただくことを計画に示すことによって、かなり世の中は明るくなるんじゃないかなと思うわけです。

 70歳まで元気で働くということは、年金を将来的に維持するという側面、支え手を増やすことによって社会保障を維持するという側面と、もう一つは健康寿命を延ばすという側面があると思います。65歳で仕事をやめて、あまり出歩かなくなっちゃうと、どうしても糖尿病の患者は増えますし、あるいは認知症の発生率も上がっていきます。ですから、できるだけ長い間元気で働いていただくということが、医療・介護の伸びも抑えるという方向にも進むと思いますので、ぜひともそのプランをこの1年かけてつくっていただければというふうに思います。

 ただ、最初はまず70歳まで働ける社会、支え手を増やしましょうと。残り2年で国民に負担を求める改革を進めていきましょう。これはこれで当然やっていただいたらいいんですけれども、とは言いながら、来年度に向けて今年でもやれることはあると思うんですね。例を挙げますと、児童手当について今、御承知のように960万円所得があっても5,000円支給。ですから、2人いれば毎月1万円児童手当が支給されておりますね。1,000万プレーヤーに児童手当を支給するというのは、これは当分の間の支給というふうになっているので、当分はもう終わったんじゃないかということで、こういったことの打ち切りですとか。

 もう一つ、これについては財務省もおっしゃっておられる、共働き世帯が半数を超えているにもかかわらず、いわゆる主たる稼ぎ手の、だから旦那さんか奥さんかどちらかの多いほうの所得によって、児童手当の支給を決めている。これは当然世帯の所得を基準にすべきであるということはすぐにでもやれるのではないかなと思います。それ以外にもやれることはやっていただく。要するに、国民がそれはそうだよなと思うようなことについてはやっていただければと思います。

 これは、今日の議論と全く関係ないんですけれども、次世代医療基盤法というのがかなり以前に決まりまして、今年の5月にいよいよ匿名医療情報に関する法律というのが定められました。要するに、医療データがいわゆるビッグデータとして来年から、認定機関を決めていただいたら、そこによって匿名加工をして、医療情報が全ていわゆる二次利用できるようになります。

 今、関西では健康・医療創生会議というのをつくりまして、千年カルテプロジェクトというのを始めているんですけれども、2018年度見込みで組織化される病院数が142あります。そして、病床数は3万5,000を超えております。AMEDのもちろん御協力のもとにされているんですけれども、来年度以降、例えばそこで医療情報が本人同意なしに全てとれるようになるわけですね。

 そのことによって、いわゆる創薬ですとか、あるいは健康寿命をどうやって延ばすのか。そのときに、病院の医療情報というのは病気の人だけの医療情報ですから、この情報にいかに健康な人、企業がやっている健康診断であるとか、あるいは人間ドックであるとか、そういう健康な人が受けているデータをイギリスのようにちゃんと集めて、それをビッグデータ化して、健康寿命を延ばす、あるいは創薬の国際競争力を上げる方向にいよいよ使える時代になりました。

 ちなみに、このデータセンターが自然災害で止まっちゃったんですね。ですから、これは当然二重系にしておかなきゃいけないなということもありますけれども、これをどんどん進めていこうというふうに関西は思っていますので、全国的な動きになっていけば、と期待します。

 だから、そういうふうに健康寿命を延ばしながら、もう一つは、例えば1割負担というのがいろんなところで問題が、生活保護のゼロはとんでもない話だと思いますが、1割負担というのはやはりいろんな弊害をもたらしているんだということで、生活保護の方の頻回受診対策も要りますけれども、後期高齢者の方の頻回受診ですね。1割ですからね、これも非常に問題になっていると思います。

 そして、それを2割に上げたときに、では低所得者はどうするんですかという話になりますね。ですから、そのときは、先ほど話題に出たマイナンバーカードの普及によって、きちんと資産、所得を把握していただいて、こういう形で低所得者対策をやるから、負担できる人は負担してくださいというふうになればと。

 生活保護についても誤解があったらいけませんね。私の主張は、生活保護は生活扶助を1割上げる。そのかわりに医療費は1割負担してください。高額療養費制度ではありませんけれども、月額一定額以上は当然本人負担ではないですよということをやっていただければという主張をずっとしている中で申しております。

 以上です。ありがとうございました。


○吉野座長

 ありがとうございました。田中先生、どうぞ。

○田中委員

 国税庁の執行については、日本の組織の中で最も優れた仕組みで、今日に至るまで国民はその能力について疑問を持っていないというのが私の認識ですので、今回の評価もこれで良いのだと思います。

 今日申し上げたいのは、税制の問題を国民が自分のものとして議論に参加していくということが本当に重要だと思うんですが、そのために、財務省、そして国税庁ができることが私はあると思っています。それは納税データ。国民は事業所に勤務している場合には天引きされているわけですので、給与所得についてのデータは全て把握されているはずです。これを異時点間、要するに10年前はどうだった、20年前はどうだった。通常、働く人は40年、あるいは40年以上納税をしていますので、そのデータをタイムシリーズに把握するということが、納税者が自分で政治家、政党を選んでですけれども、税制を選び出していくということにつながるんじゃないかと思っています。

 私がそう思うに至ったのは、小川是さんという皆さん方の先輩に当たる人がおられまして、彼から示唆を受けたことがあります。もともと彼との縁は、彼が証券局長だったときに私のところに来たいと言うものですから、当時、私は、日本の証券会社がダイバーシファイしなくて、そしてフィデューシャリーデューティーについて考慮を払わない、証券スキャンダルも幾つかありましたので、常に文句を言っていました。

 証券局長だから、文句をやめろと言ってくるんじゃないかと思って会ったんですが、彼はそうじゃなくて、「いや、私は隠れ田中派です」と言って、あなたが言うことに全く賛成なんだけども、行政というのはいろいろあちこち縦横十文字があるので簡単に動けないけれども動きますので、あなたは発言をし続けてくださいと言って、帰りました。

 それがきっかけでいろいろあったんだけど、彼が言った中で税金の話は非常に重要だと思ったんです。当時、私も行政改革に関与していたときに、小川氏は、自分が税金にかかわる業務をやっていて、目の子算でやってみたんだけれども、働いている人6,000万人のうち、1,000万人相当は実質役人の報酬システムだと言うんです。

 それはどういうことかというと、時間がたてばある昇格ラインで上がっていく。そして、ボーナス等の支給についてインセンティブが効くような仕組みはない。当時でも、国家公務員、地方公務員の数は500万人を超えてはいなかったんですけれども、第三セクターなどを含めて言えば、役所の基準が適用されている職場で働いている人が6,000万人中1,000万人いると言うんですね。

 行政改革を議論するときには、公務員をどうするかという話も重要だけど、日本が生産性を旨とした社会システムになり切れない1つの理由は、骨格のところの1,000万人だと彼は言うんです。彼がそういう意見だということを彼が生きているうちには皆さんに披露することができませんでしたけれども、金時山を登るのが好きだった彼も亡くなりましたので、ここで言ってもいいと思うんですが、彼は、日本社会の生産性とか、それから給与支払いについて本格的に議論しないと、行政改革なんかできないと思いますよと。それをやるんだったら、公務員のベースを1,000万人に広げて、そこで議論してくれと言うんです。

 彼が目の子算で1,000万人という数値を出したのは、国税にかかわる職場を通じて得ているデータではじき出したんだと思うんですけども、税金の今後を考えたときに、財務省が何か音頭をとって税のあり方を言うというのは、普通それが仕事だろうとお思いかもしれませんし、多くの人は思っているんですが、しかし、これはもう財務省といえども、インター・ガバメンタルポリティクスに巻き込まれると、最近は必ずしも勝者ではないケースも多いわけでして、国民のベースで議論しなければならない。

 そのためには誰が─誰がというのは、要するに6,000万人がどういう給与所得、とりあえず給与所得でいいと思うんですが、どういう税金を支払っているのかがわかる。しかも異時点間で、10年前にどう、20年前にどうということが比較フォローできるデータベースというのがやっぱり必要だと思います。

 そういうものが整備されれば、大学の経済学部で多少目端のきいた学生は、そのデータベースであるべき税制について論文を書くでしょう。そういう論文が学生でも書けるようなデータベースを今はもう整備することはそんなに難しくないと思いますので、匿名性の話はもちろん個人情報にかかわらない形にして、そして長期にわたる、40年、50年働く一人一人が前提になって、所得のカーブがどうなって、そして、納税がどうなるかということについて皆がやっぱり得心する形でないと、税金の議論は選挙じゃ難しいなみたいな話を通り相場にしていたのでは、デモクラシーの基礎が立ちませんので、そこにはやっぱり財務省、国税庁が税についてのデータベース化をやっていただきたい。

 だから、すぐ統計学者にトップになっていただいて、どういう形でデータを提示すると、ファーストユーザーは、そのトップをやってくれた、あるいはそのチームをつくった人たちと考えて、ファーストユーザーになれるような人を並べて、とにかくちゃんとした論文が書けるデータベースはどうやったらそろえられるかを議論してほしいなと思います。

 恐らくそれは、国民主権ということの内容を役所にある人たちが自分たちの権限を通じて明らかにして、制度を整えることではないかというふうに思っていますので、国税の執行にかかわるところは私は文句はありませんが、データベースの公開についての議論があまりにもなさ過ぎる。これがやっぱり日本における混迷といいますか、自分が主権者だという意味が、客観的に納税ということにかかわって自分のポジションを想定できないでいるということが非常に大きいと思っていますので、ぜひデータ公開の手法をきちんと議論していただければと思います。


○吉野座長

 ありがとうございます。では、田辺先生、お願いいたします。

○田辺委員

 3点ほどコメントを申し上げたいと思います。

 1つは毎回発言しているところでございますけれども、e-Taxの問題でございます。特に29事務年度に関しまして、「B」という結構きつ目の評価を出されているところであります。それ自体はそうかなと思うところはあるんですけども、ただ、評価の手順として若干違和感を感じたということでございます。

 まず1つは、29年度に関しまして、e-Taxの主要な利用率の数値目標を外しまして、29年度に関しては対前年度増加という形に直しております。ただ、これも含めてですけれども、残りの数値が入っているところの達成度を見ると全部「○」でありまして、個別のパーツに関しては「達成している」と出てくる。ただ、全体に関してはなかなかうまくいっていないぞというので「B」になったというところで、パーツは全部うまくいっているのに、何で全体がだめなのと。逆に言うと、全体がだめなところの分析がパーツに分解してできていないんじゃないのかという、読後感という変な言葉を使うかもしれませんけれども、そこがちょっと違和感を感じたというところでございます。

 特に、なぜ「B」にしたかという主要な解説のところで、28年度に関しては達成できていないというところで、国税庁は年度が若干違うので、ほかの一般の省庁と同じことは言えないんですけれども、ただ、前年度ができてないので、29年度はそれを引きずって「B」にしたというロジックというのは、あまりきれいに展開できていないなという感じがしたということでございます。

 これは、数値目標をどういうふうに立てるのか。特にe-Taxの利用率みたいなのは非常にコントロールが難しくて、ただ、方向性としては間違っていないというものに関して、それを外すと、本年度の29年度のような解釈学をやらないといけないような説明になってしまいますので、そこはちょっと反省点ではないかなと思っております。

 逆に申し上げますと、30年度以降、ここの部分に関してやり方も変わるんだと思いますけれども、具体的な数値目標みたいなのを復活させていただいて、それに向かって邁進できる。逆に言うと、終わった後で何が悪かったかということの評価がやりやすくなりますので、その点に関しては今後評価してまいりたいと思っております。これが1点目でございます。

 2点目は、1-3-1と1-3-2のところの税務調査と滞納処理にかかわる部分でございます。これは「A」評価ということになっておりますし、また数字の変遷を見ましても、確実にうまくいっているなというところは見て取れるところでございます。

 ただ、2点ほど何でこうなっているのかというところがございます。1つは、税務調査に関しまして、調査の対象となるような件数自体は非常に減っているというのは、ここに載っている数年の推移を見てわかるところでございますけれども、他方で、申告漏れであるとか、追徴を食らったというような1件当たりの金額が非常に伸びているとは言いませんけど、確実に増加しているというところがございます。これは一体どういうことなんだろうと。傾向としては何となくわかるんですけれども、そこの基盤にある法人、それから消費税関係の動きというのがなかなかわからないものですから、この点、何か情報があったらお願いしたいというのが1つです。

 もう1つは、集中催告制度の問題でございます。基本、評価は、催告の件数に関して、いっぱいやりましたよということで評価されていると思うんですけれども、ただ、催告して、その効果は一体どうだったのかというところはやっぱり知りたい。特にこの集中催告制度で、ありていに言うと、国税庁から日中に電話がかかってくるというのはあまりハッピーな状況ではないし、それは効き目はあるんだろうなということは何となくわかるんですけども、ただ、それがどのくらい税金の滞納になる前の支払いのほうにつながっているのかというところは、何かデータがあったらお教えいただきたいということでございます。

 特に税務調査と滞納処理に関しましては、言葉は悪いですけれども、消費税を上げる前にきちっとやっておこうやというところなんだろうと思います。来年になりますと、政権がちゃんとやってくれればですけれども、消費税の8%から10%上げがあり、かつ軽減税率というなかなか面倒くさいものを並行してやりますと、恐らく税務上の対応も非常に難しいというか、余計に仕事が増えてくるんだろうと思うので、ここの点に関してはきちっとやっていただいてよかったなと。それで、来年度以降に備えていただきたいと思っているところでございます。

 3番目は、1−4のところの国際化の問題でございます。中身を読んでいきますと、非常によくやって、特に税務行政の間の国際協調に関して対応しようと努力しているところは見て取れるところでございます。例えばCRSに関しても、実際の運用はもうちょっとということで、その準備というので非常に御尽力いただきました。ただ、実際に運用してみる前は何とも言えないというので、控え目な「A」という評価をしているところだろうと思います。これ自体はある種のバランス感覚かなということで、私自身は評価したいとは思います。

 ただ、この国際化に関しましてはパナマ文書問題があって、そこを引きずっている側面があります。つまり、国際化ということが、国内のある種の税務にかかわる不公平感の増大につながっているという、ちょっと不幸なつながりみたいなのが出かかっていますので、これを早期に芽を摘むという意味でも、今後、国際化の対応に関してはきちっと行っていただきたいなということでございます。

 以上、2つほど税務調査と滞納のところの質問はさせていただきましたけれども、3つほど全体のコメントをさせていただいたところでございます。


○吉野座長

 どうもありがとうございました。

 最後に、私からも数点コメントさせていただきたいと思います。

 1つは、昔、よくリカードの中立命題ということが言われたんですけれども、その考え方は、今の国債というのは結局将来の増税である。ですから、現在の国債でも将来負担なんだから、変わらないだろうというのがリカードの中立命題ですけれども、日本ではそれが成り立っていない。

 それから、さらに世代間が違う人が負担しなくちゃいけないというところが日本の大きな問題で、現在の世代ではなくて、子どもとか孫の世代がそれを負担しなくちゃいけない。そこがもともとの、一番最初のリカードの中立命題とはまず違っているところだと思います。そういう意味では、やっぱり国債の発行というのは将来世代の増税なんだということをはっきり皆さんにわかっていただくということがまず必要だと思います。

 それから、酒類業のところで、江川先生とか、あるいはこの数字が変わったところですけれども、ちょっと私も印象を申し上げますと、よく外国人が来たときに、日本の方がワインに御招待して、それで西洋料理をやられるんですけど、あるフランス人が来たときに、日本に行くたびにフランス料理屋に連れていかれて、ワインを試されると。非常にまずいワインで、まずいフランス料理なんだけど、何と答えていいんだろう。彼なんかのように、やっぱり日本酒があって、日本の食事を楽しみたいという人がいっぱいいるわけですね。ですから、もう少し和食の文化というのをせっかく日本に来た方々にはもっと楽しんでいただくということ。

 先ほど江川先生がおっしゃったように、恐らく市町村が、お酒のいいところを英語とか、あるいはタイ語とかいろんな言葉できちんとセールスできるようにして、インターネットで販売するとか、もっと行政が考えていただきたいことがたくさんあるのではないかと思いました。ウイスキーは、今、日本は売れているので、日本酒も多分うまくやれば同じようにいけるのではないかという考えですので、全く同じ意見です。

 3番目のコメントは、税と社会保障の一体改革ということですけれども、私がやっているモデルでは、税と歳出の一体改革でないといけないと思います。というのは、社会保障ばかりでなくて、そのほかの歳出も同時方程式で考えるということが必要であるというふうに思います。

 それから、税の捕捉のところでは、サテライトデータとか、恐らくいろんなデータが使えて税の捕捉ができると思います。この前も申し上げましたけれども、フィリピンではサテライトデータを使って、農家の緑がどれくらいかとか、トラックが何台来ているとか、そういうところまで見てこれから税を捕捉しようとしております。そういう意味では、日本でもいろんなことができるというふうに思います。

 それから、国際化のところですけれども、ここも非常に一生懸命やっていただいていると思います。ただ、これからさらにフィンテックが出てきますと、金融取引がもっと見えないところで、スマホとかインターネットを通じてやっていけるようになると思います。そういう意味では、資金の流れの国際的なきちんとした捕捉ということがますます必要になってくると思いますので、そこは何らかの形でインターナショナルなところで一緒にやっていくということをぜひ考えていただきたいというふうに思います。

 それから、年齢のところで先ほど角委員から御説明がありましたけれども、アメリカでは3つの差別をしてはいけないということがよく言われていまして、1つは、人種差別はいけない。2番目が、男女の差別はいけない。3番目は、年齢の差別はいけない。ですから、アメリカの大学ですと定年がないというような社会です。ただし、給料は生産性に応じた給料にする。

 そこが重要でありまして、そういう社会に日本がまさになる必要があって、ただ70とか年齢を言うよりは、働ける限りなるべく働いていただいて、生産活動に寄与するということが、私は日本では本当に必要だと思います。それこそが若い人の税負担を減らすわけですから、彼らの消費も増えるわけです。

 最後のところでは、データの活用についてちょっと個人的な議論をさせていただきたいと思います。よくインフラの経済効果がどうだったかというのがありまして、私は、インフラの九州新幹線の話ですけれども、その効果がうまく出たのかどうかというのを税を見ながら、新幹線の沿線の固定資産税とか法人税、所得税、消費税というのを見ていきまして、町ごとにそこが本当に増えていっているのか、それがどれくらいの距離で税が増えているかというのを見て、それによって九州新幹線の効果を出したかったんですね。

 ところが、ある国税庁の税務大学校の方にお願いしたんですけども、やっぱりそれは出していただくことができなかったわけです。ですから、県別のデータはあるんですけども、細かい市町村とかがわかれば九州新幹線の効果が全部出たんですけれども、そういうのは使わせていただけなかった。

 そういう意味では、いろんなところにデータがあると思うんですけれども、きちんと守秘義務さえ保って、それでいろんな効果に使えるような気がいたします。恐らく税のデータというのは、これから将来を考えていただいて、いろんなところで研究者も使い、それがいい意味でさまざまな日本の将来の政策につながるということを考えていただくことができればというふうに思います。以上が私のコメントでございます。

 今まで5人の方々から御意見をいただきましたけれども、頂戴いたしました御意見に関しまして、財務省、それから国税庁の側からコメントいただければというふうに思います。

 まず、国税庁に関しましては、藤井国税庁長官から御発言をお願いいたします。


○藤井国税庁長官

 貴重な御意見をありがとうございました。この場でできる限りの御説明なり、御回答をさせていただきたいと思います。

 まず酒の振興に関して、江川委員、それから吉野座長からいただきました。ここ何年間か、日本酒の輸出振興に関しては業界ともども相当熱心に取り組んできております。日EUの協議などもありましたけれども、そこでも日本酒の輸出しやすい環境を整備するような協定も結んでおります。

 それから、コマーシャルベースで申し上げると、業界団体のほうもかなり輸出に力を入れて、海外での品評会ですとか、あるいはマーケティングに取り組んでいるほか、政府全体では農産物の輸出振興という文脈の中で、JETROの下部団体がPRの役割を担っておりまして、主要7品目のうち3品目を酒が占めております。具体的には清酒とクラフトビールと日本産ワイン、これを主要品目としていろいろプロモートするような取り組みをしております。それで足りているのかということはあるのかもしれませんけれども、相当力を入れてやっているところです。

 あと国内で、外国の旅行者に対しては、酒蔵ツーリズムというのを各地域の酒蔵さんたちが連携してやっておりまして、そこでまさに酒蔵巡りを企画して、当然外国語で酒を紹介するという取組もやっているというのが現状であります。

 あとは、日本酒の蔵元さんも、取組が非常に積極的な蔵もあれば、残念ながらそうでない蔵もあって、そこは経営の差が出ているというのが現状だと思っております。海外に輸出するのに熱心な若手の経営者さんというのも多数出ておりまして、そういうところに対して輸出向けの設備投資、製造ノウハウを増強する際の免許については、現行法の枠内で比較的出しやすくするという措置を昨年講じたりして、そういう意味で輸出を後押しするような政策を幾つか講じているというのが現状でございます。

 そちらの方面で今後も、補助金とかはあまり持っていないものですから、なかなか補助金行政というわけにはいかないんですけれども、我々の持っているいろんなツールを使いながら、日本酒の振興、それから輸出振興というものをやっていく考えでおります。

 それから、データの話を田中委員、吉野座長からいただきました。給与所得者のデータは、私どもが民間企業から提出を受けておりますのは、年間500万円以上の給与所得者のデータは個別にもらっている。まずそういう実態がございます。それで、悉皆的に提出を受けておりますのは、自治体、地方税当局ということになります。

 それから、民間給与の実態調査というのをやっておりまして、サンプル数は数十万だったと思いますけれども、数十万のサンプルをもとに、日本全体の民間の給与所得者の姿を推計しているものでございます。年に1回発表しております。一定のカテゴリー別にそのデータはとっております。

 それをどういうふうに今の発表以外のことに活用できるかというのは、私自身、今データがどういう形で整理されているのかちょっと持ち合わせていないものですから、すぐにお答えできませんけれども、一方で現在、国税庁のシステムの更新を進めておりまして、それでもって国税庁保有のいろいろなデータをかなり使いやすくするということを、ちょっと時間はかかるんですけれども、数年かかりますが、そういうことをやっております。そのシステムの改変とデータの二次使用のニーズをマッチさせて、どういうことができるかということは考えてみたいというふうに思います。

 それから、田辺委員からe-Taxその他幾つか御指摘をいただいております。


○天野監督評価官室長

 e-Taxの評価手続の関係で御質問いただいたんですけれども、今回「B」評価とさせていただいたのは、先生御指摘のとおり、29事務年度の目標は前年より増加という目標を立てておりましたので、そういう意味では前年より実績としては増加したわけですけれども、1年さかのぼった28年度の目標値が58という目標を設定しておりまして、実は29事務年度になっても28年で立てた目標までに達成していなかった。

 そうすると、形式的には前年より増加したので目標達成というふうに言えなくもないんですけれども、やはりそこは過去の目標まで行ってないので、今回は「B」とさせていただいたということでございまして、28年度そのものということではございませんけれども、そういう事情で「B」とさせていただいたということでございます。


○藤井国税庁長官

 次に、調査、滞納処理について、特に滞納の集中催告制度の成果はどうだったのかということについて御質問をいただきました。今、手元にデータがないんですけども、電話催告した結果、滞納に至らないで処理された割合というのは数字がありますので、それは後日お示しできると思います。

 相当数、それこそ電話がかかってくるだけで納めていただいているというのは多いものですから、集中電話催告の仕組み自体、相当な効果を上げていて、その結果、19年連続で滞納額は減らすことができているという成果を上げているというふうに考えております。

 それで、御指摘のとおり、来年消費税が上がって、滞納が増加しないよう、そこはその芽を事前に摘むべく、さまざまな方策を講ずるように準備しているところでございます。

 それから、国際化について御指摘いただいて、パナマ文書の問題に端を発して、国内の不公平感が助長される可能性がある。もう既にされているんじゃないかという御指摘は、私も同感でございます。そういう意味で、自動的情報交換制度に私どもは期待しているところは大きいですし、BEPSプロジェクトを通じて、国際間も相当連携しようという機運が高まってきております。

 現に徴収共助制度というのが動き始めておりますが、新聞報道を引用した形で言いますと、8億円が滞納になっていた方について、その方が居住する国にある預金を8億円差し押さえたというようなことで、外国当局にまさに徴収してもらうというような仕組みが動き始めています。そういう意味で、国際的に協力しながら課税していきましょうというのは、まだ緒に就いたばかりと言っていいのだと思います。これからどんどん展開させていきたいというふうに考えているところでございます。

 それから、吉野座長から、今までお答えをうまくできていないところをプラスアルファーで申し上げますと、税の捕捉でサテライトデータなどを使ってというお話でございます。多分サテライトデータそのもので、ピンポイントにこの事業者さんは景気がいいから云々というのはなかなか難しいと思うんですけれども、マクロで見て、サテライトデータも含めてですけれども、さまざまなビッグデータを見て、この地域ではこの産業が今かなり儲かっているなとか、そういうことはできると思います。

 我々も、それぞれの国税局、あるいは税務署で、例えば今年はホタテが豊漁であるとかそういうようなデータをつかんで、それでもってどういうふうに税務調査を組み立てていくかということを企画しながらやっております。おっしゃるように、今後使えるデータはさらに増えると思いますので、そういうことで調査の高度化というものにつなげていきたいというふうに思います。

 最後に、九州新幹線絡みの市町村ベースのデータがなかなか出てこないという話については、先ほど申し上げたようなシステムの改変、データベースの高度化というのも今取りかかっておりますので、それでもって一定の成果が出せるかどうか、今後検討してみたいというふうに思います。

 以上、まだ足りない部分もあるかもしれませんが、今日はどうもありがとうございました。


○吉野座長

 国税庁長官、ありがとうございました。
 それでは、ほかの事項も含めまして、財務省の側からどなたかありますでしょうか。


○岡本政策立案総括審議官

 江川委員からマイナンバーのお話が出ました。直接の担当ではないので責任を持ったお答えではないですけれども、政府部内で言えば、内閣官房、総務省がマイナンバーの普及を、なるべく使いやすくするということと、それを悪用されないという、両方天秤にかけて一生懸命やっていると思います。今日の話は、御意見としてしっかり私のほうから関係機関にお伝えをするようにいたします。

 それと、角委員からも、例のデータ化ですね。ビッグデータ化して、特に医療情報のところ。これは法律が通って、いろいろ議論はありましたけれども、これをやっぱり創薬とかにどういうふうに生かすかというのは、成長戦略の重要な課題でもありました。関係機関にも今日お話があったことはしっかりと責任を持ってお伝えさせていただきます。

 その2点、少し私のほうからコメントさせていただきます。


○吉野座長
 それでは、最後に岡本事務次官からお願いいたします。

○岡本事務次官

 本日は、御多忙の中御出席いただきまして、国税庁の評価につきまして御意見を賜りまして、ありがとうございます。

 税務行政を取り巻く環境は非常に大きく変わっておりますので、本日もありましたが、国際化への対応、情報化への対応等々含めまして、これにしっかり対応していくということが非常に重要になっておりますので、本日の御意見をまたしっかりと踏まえて、国税庁のほうでしっかりと対応させていただきたいと思います。

 また、本日、特に財政に絡みます御意見も多く賜りました。社会保障の改革を具体的にどのように進めていくかが非常に重要になってまいりますし、今後の財政を考える上で最重要な課題だというふうに私どもも思っておりますので、今後、財政制度等審議会の御議論も踏まえながら、私どもも非常に大きな危機感を持って対応してまいりたいと思いますので、また改めましてさまざまな御意見を賜れれば幸いでございます。

 本日は、誠にありがとうございました。


○吉野座長

 本日は皆様から貴重な御意見、ありがとうございました。

 いただきました御意見につきましては、適宜実績評価書及び実施計画等に反映していただくとともに、今後の政策評価のあり方や政策・施策の見直しに生かすなど必要な対応を行っていただきまして、PDCAサイクルを回していただくようにお願いしたいと思います。

 本日の資料及び懇談会の議事内容につきましては、各委員に御相談の上、財務省のウェブサイトのほうで公開させていただく予定でございます。

 次回の懇談会につきましては、通例ですと来年3月ごろの開催予定でございますが、具体的な開催日時につきましては、改めて事務局から御連絡させていただきます。

 本日は、貴重な御意見をどうもありがとうございました。これで閉会とさせていただきます。

──了──

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