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第63回 財務省政策評価懇談会(8月22日開催)議事録

1 日時

平成30年8月22日(水)15:00〜16:35

 

2 場所

財務省第3特別会議室

 

 

3 出席者

(懇談会メンバー)

 

秋山 咲恵

株式会社サキコ−ポレ−ション 代表取締役社長

 

伊藤 元重

学習院大学国際社会科学部 教授

 

江川 雅子

一橋大学経営管理研究科 教授

 

小林 喜光

株式会社三菱ケミカルホールディングス 取締役会長

 

田中 直毅

国際公共政策研究センター 理事長

 

田辺 国昭

東京大学大学院法学政治学研究科 教授

 

山本 清

鎌倉女子大学教授 東京大学客員教授

 座長 

吉野 直行

慶應義塾大学 名誉教授

(敬称略、五十音順)

(財務省)

 今枝大臣政務官、岡本事務次官、矢野官房長、三村副財務官、茶谷総括審議官、
 太田主計局長、星野主税局長、高見関税局審議官、可部理財局長、土谷国際局総務課長、
 美並財務総合政策研究所長、木村会計課長

(国税庁)

 藤井長官、武藤審議官、天野監督評価官室長

(事務局)

 岡本政策立案総括審議官、江島文書課長、渡部政策評価室長

 

4 議題等

(1)平成29年度財務省政策評価(案)について
(2)平成30年度財務省政策評価実施計画等の一部変更(案)について
(3)平成30事務年度国税庁実績評価実施計画等(案)について

 

5 議事録

 

 

○吉野座長 

 それでは、時間になりましたので、ただいまから第63回の財務省政策評価懇談会を開催させていただきます。

 江川委員におかれましては、所用のために少し遅れて参加されます。

 本日は、私の隣に今枝大臣政務官に出席していただいておりますので、一言、御挨拶をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○今枝大臣政務官

 本日は、委員の皆様には大変お忙しい中、財務省政策評価懇談会に御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。

 委員の皆様からは、財政、税制など制度官庁としての業務をはじめ、実施庁である国税庁の事務に至るまで、財務省の業務全般又はその評価につきまして、職員の励みになるような御意見、そして時に厳しい御意見を頂戴してきましたことにつきまして、改めて厚く御礼を申し上げます。

 財務省では、6月4日に森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書を公表いたしました。決裁を経た文書を改ざんし、それを国会等に提出するようなことはあってはならないことでありまして、誠に申しわけなく思い、深く深くおわびを申し上げます。財務省として今回の事態を真摯に反省し、二度とこうしたことが起こらないよう、文書管理や決裁手続等に関する再発防止策を直ちに進めてまいります。

 本日は、財務省の平成29年度政策評価書(案)、平成30年度政策評価実施計画等の一部変更(案)及び国税庁の平成30事務年度実績評価実施計画(案)等を議題としております。評価の客観性の確保、また質的向上、国民の皆様に対する行政の説明責任を徹底する、こういった観点から委員の皆様には忌憚のない御意見と御指導をいただきますようにお願いを申し上げまして、簡単ではございますが、御挨拶とさせていただきます。

 どうぞよろしくお願い申し上げます。


○吉野座長

 今枝大臣政務官、どうもありがとうございました。

 それでは、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。退室をお願いしたいと思います。

 また、今枝大臣政務官は所用のためにここで御退席となります。御出席、どうもありがとうございました。

 それでは、まず最初に議事に入ります前に、財務省の幹部の方の御異動がありましたので、事務局から出席者の紹介をお願いしたいと思います。

 

○渡部政策評価室長

 政策評価室長の渡部でございます。よろしくお願いいたします。

 それでは、私から財務省の出席者を紹介させていただきます。皆様より向かって吉野座長の左側から順に紹介させていただきます。

 岡本事務次官でございます。

 太田主計局長でございます。

 星野主税局長でございます。

 高見関税局審議官でございます。

 可部理財局長でございます。

 土谷国際局総務課長でございます。

 藤井国税庁長官でございます。

 武藤国税庁審議官でございます。

 天野国税庁監督評価官室長でございます。

 続きまして、座長の右側に参ります。

 岡本政策立案総括審議官でございます。

 矢野官房長でございます。

 茶谷総括審議官でございます。

 三村副財務官でございます。

 美並財務総合政策研究所長でございます。

 江島文書課長でございます。

 木村会計課長でございます。

 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○吉野座長

 ありがとうございました。

 それでは、議題に入らせていただきたいと思います。

 議題は、財務省の平成29年度政策評価書(案)、それから平成30年度財務省の政策評価実施計画等の一部変更(案)、国税庁の平成30事務年度の実績評価実施計画(案)の3つでございます。一括して扱いたいと思いますので、まず最初に、岡本政策立案総括審議官から3つの議題について説明をよろしくお願いいたします。


○岡本政策立案総括審議官

 それでは、初めに平成29年度財務省の政策評価書(案)について御説明いたします。

 タブレットの画面をスクロールしていただければと思います。右下に通し番号が振ってございますが、4ページをお開きいただければと思います。こちらは、29年度における財務省の政策目標の体系図でございます。目標ごとの評定については、少し薄いですが、下のほうに青い色で示してございます。

 次に、5ページを御覧いただければと思います。これが全体の集計結果ですけれども、総合目標につきましては、「A」が1つ減り、「B」が1つ増えているという結果となっております。真ん中ほどの結果でございます。政策目標につきましては、「A」が3つ減って、「S」が1つ、「B」が2つ増えているという結果になっております。評定に変化があった目標につきましては、次のページ以降で御説明したいと思います。

 6ページをお開きください。黄色くマーカーが付してありますけれども、こちらのほうで御説明いたします。総合目標の3(財務管理)につきましては、28年度評定が「A」でありましたのが「B」としております。

 次に、7ページをお開きください。こちらのほうでは政策目標の2−1でございます。税制関係の項目でございますけれども、28年度評定が「A」でありましたのが「S」となっております。真ん中ほどでございます。

 その下に参りまして、政策目標3−3でございます。庁舎及び宿舎を含む国有財産の適正な管理・処分関係でございます。これは28年度の評定は「S」でございましたが、「B」としているところでございます。

 次に、下に参りまして、政策目標の5−2でございます。これは多角的自由貿易体制の維持・強化と経済連携の推進等々の税関分野における貿易円滑化の推進の項目でございます。28年度の評定が「A」でございましたが、「S」としてございます。

 8ページをお開きください。8ページにつきましては、政策目標5−3でございます。これは税関当局の実務に関係する項目でございますが、28年度の評定が「A」でございましたのが、「B」としているところでございます。

 それぞれ評定の変化の理由につきましては、次ページ以降で御説明をしてまいりたいと思います。

 9ページをお開きいただければと思います。これは、29年度の評定が前年度の評定よりも低くなった総合目標3についてでございます。そこに書いてありますように、テーマ「総合目標の3−3(国有財産の有効活用の推進)」という項目でございます。主要な測定指標である国有財産の有効活用に向けた各政策の取組状況につきましては「□」としております。これは、中期の目標で最終年度でない場合におきまして、途中年度の進捗がある程度順調と判定しているものですが、今般の学校法人森友学園に対する国有地の売却等の事案を踏まえまして、「b 進展が大きくない」ということが真ん中より下のあたりに書いてございます。その結果、総合目標の評定理由の一番下ですが、当該目標の評定につきましては「進展が大きくない」として「B」としているところでございます。

 次の10ページをお開きいただければと思います。10ページにつきましては、29年度の評定が前年度の評定より低くなった政策目標3−3、国有財産の適正な管理・処分等についての項目でございます。

 こちらにつきまして、測定指標は全て「○」と判定しているものでございますけれども、学校法人森友学園に対する国有地の売却等の事案を踏まえ、「c 目標に向かっていない」との評定にしております。

 一方で、中心的な国有財産の管理処分の施策でございますその有効活用の推進等以外につきまして、5つの施策については「s 目標達成」としております。こういうことを勘案しまして、政策目標3−3の評定につきましては、「B」の「進展が大きくない」としているところでございます。

 右側の「政策への反映」でございますけれども、学校法人森友学園に対する国有地の売却等の事案につきましては、国会での指摘や会計検査院の検査結果を踏まえ、公共随意契約を中心とする国有財産の管理処分手続につきまして一層の適正性の向上に努めるとともに、引き続き関係する通達を改正するなど手続の明確化に取り組みます。

 なお、平成30年度実施計画等においては、財政制度等審議会国有財産分科会での取りまとめに基づき、新たな測定指標を設定しているところでございます。

 また、決裁文書の改ざんや応接録の廃棄等につきましては、森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査の結果を踏まえて、公文書管理の徹底、電子決裁への移行加速化等や、コンプライアンス、内部統制の総合的な体制整備など、再発防止に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。

 次に、11ページを御覧いただければと思います。政策目標5−3でございます。政策目標5−3につきましては、税関関係の項目でございます。施策の5−3−3という項目は「税関手続きにおける利用者利便の向上」でございますけれども、その主要な測定指標でございます輸出入通関における利用者満足度の調査について、アンケート調査の高評価の上位3段階の実績値が目標値を下回っておりますことから、当該施策の評定を「b」の「進展が大きくない」と評定したところでございます。上段のところでございます。

 その下の項目、「5−3−5 税関行政に関する情報提供の充実」につきまして、主要な測定指標、密輸取り締まり活動に関する認知度の実績値が目標値を下回ったほか、測定指標「講演会及び税関見学における満足度」等々の一部におきましても、実績値が目標値を下回っておりますために、当該施策の評定を「b 進展が大きくない」としておるところでございます。

 以上を踏まえまして、当該目標の評定を「B 進展が大きくない」としておるところでございます。

 政策への反映でございます。右側でございますけれども、利用者満足度の把握に当たりましては、引き続き全体評価のみならず要素別の評価にも着目して、より細やかな利用者利便の把握に努めます。また、税関行政の情報提供につきましては、ソーシャルメディアを活用した情報提供を充実させることにより、認知度の向上に努めてまいりたいと考えております。

 次に、12ページをお開きいただければと思います。29年度の評定が前年度よりも高くなった政策目標2−1と5−2について御説明をしたいと思います。

 政策目標の2−1についてでございますけれども、上段でございます。新たな測定指標の「財務省の税制関連ウェブサイトに関する評価(分かりやすさ)」につきまして、実績値が目標値を上回ったということや、利用者の利便性を向上する観点からウェブサイトを見直したことから「○」と判定いたしまして、全ての測定指標が「○」となったために、「S 目標達成」としているところでございます。

 政策目標5−2につきましては、昨年、「△」でございました主要な測定指標「税関相互支援協定等の締結数」につきまして、目標値を達成しておることから「○」と判定いたしまして、全ての測定指標が「○」となったことから、「S 目標達成」としているところでございます。

 以上が平成29年度財務省政策評価の説明でございます。

 続きまして、平成30年度財務省政策評価実施計画等の一部変更について御説明いたします。

 14ページをお開きいただきたいと思います。30年度における財務省の政策目標の体系図でございます。今回変更を行います目標につきましては、赤枠で囲みました総合目標の1、中ほど総合目標の6でございます。下のほうに参りまして、政策目標1「健全な財政の確保」及び政策目標3「国の資産・負債の適正な管理」の5カ所でございます。

 次の15ページにスクロールしていただければと思います。ここでは、総合目標の一部変更について記載しておるところでございます。本年6月15日に閣議決定されました経済財政運営と改革の基本方針2018、いわゆる骨太の方針でございますけれども、ここにおきまして、「経済再生と財政健全化に着実に取り組み、2025年度の国・地方を合わせたPB黒字化を目指す。」、また、「同時に債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指すことを堅持する。」という閣議決定を踏まえまして、目標を変更したところでございます。また、関連する目標としては、総合目標6、政策目標1についても変更しているところでございます。

 次に、16ページをお開きいただければと思います。総合目標を構成するテーマにつきましても、今申し上げた関連から総合目標1−1及び総合目標6−1におきまして、骨太の方針に基づき変更しているところでございます。

 次に、17ページから18ページにかけましては、測定指標の変更について記載しているところでございます。17ページは、総合目標の測定指標である1-1-A-1、上のほうでございます。あるいは下のほう、6-1-B-1につきまして、骨太の方針に基づいて変更をしているところでございます。

 次に、18ページでございますけれども、政策目標の1-1-1-B-1という左側の測定指標、付番が付してございますけれども、こちらのほうにつきまして、政策目標が平成30年度の単年度の目標であるために、骨太の方針で示された2019年度から2021年度の3年間について、社会保障関係費については高齢化による増加分に相当する伸びに収める、非社会保障関係費についてはこれまでの歳出改革の取組を継続するといった、歳出改革の取組方針について反映しているところでございます。

 次に、19ページから20ページでございますけれども、政策目標の3−3でございます。これにつきましては、去る6月4日に森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書を公表したことを踏まえまして、所要の変更を加えているところでございます。

 また、総合目標の1(財政)のところで、骨太の方針2018に中間指標が設定されたことを踏まえまして、参考指標に「国及び地方の財政収支の推移」を追加しているところでございます。

 以上、平成30年度財務省政策評価実施計画等の一部変更についての説明をさせていただきました。

 続きまして、最後の項目でございますが、平成30事務年度国税庁実績評価実施計画等の説明に移らせていただきます。

 22ページをお開きいただければと思います。各目標の施策の一覧をこちらに43施策掲げさせていただいております。昨年より1つ減の施策となっておりますけれども、施策名などの網かけの部分がございます。少し青くなっておりますけれども、こちらが追加、変更などの箇所でございます。内容につきまして、以下23から25ページで御説明を順次させていただきたいと思います。

 まず、23ページをお開きいただければと思います。まず一番上、「追加した施策」がございます。こちらは1−4−3、「CbCR(国別報告事項)の情報交換の的確な実施」でございます。これはBEPSプロジェクトで、OECD、G20による多国籍企業の課税逃れ対策の最終勧告に基づき設けられた国際的な枠組みの下で、各国の税務当局が情報交換を行うというものでございます。国際的に非常に重要な取組であることから、施策として追加しているところでございます。

 続きまして、下段でございます。廃止した2つの施策についての説明を記してございます。1つ目は、施策「業1-2-2-4」との付番が真ん中ほどにございますけれども、これは、27年1月に改正相続税法が施行されまして、基礎控除額の引下げによって納税義務者が増加したので、適正な申告が行われるよう広報・周知に努めてきたところでございます。今後は、引下げ後の基礎控除額を前提とした広報を行っていくことになりますため、当該施策については廃止したところでございます。

 2つ目、下段でございます。これは1-3-3-3と付番が真ん中にしております。「改正不服申立制度の定着に向けた取組」でございます。これも、平成28年4月に改正不服申立制度が施行されまして、これまでその制度内容についての説明及び研修会など、その定着に向けて取り組んできたところでございます。その結果、定着が一定程度図られたと考えられることから、当該施策については廃止しているところでございます。

 次に、24ページをお開きください。これは、以下名称を変更した施策の一覧が並んでおります。一番上の1つ目でございます。付番が1−1−6となっておりますけれども、これはマイナンバー制度の国税庁のホームページの表記に合わせて形式的に名称を変更したものでございます。

 2つ目でございます。1−4−1と付番がございます。「税務当局間の要請に基づく情報交換」でございます。これについては、定義を明確にするということでその書き方を変えたものでございます。

 次に3つ目、1−4−2という付番が振っておるところでございます。CRS(共通報告基準)に基づく金融口座の情報交換の的確な実施でございますけれども、これは既に実施に向けた取組から的確な実施にスケジュールが進んできてございます。それに合わせて書き方を変えてございます。

 4つ目の施策、1−4―5の付番がございます。一番下のところでございますけれども、「外国税務当局との経験の共有」については、内容をより明確・簡潔にするための変更を行っているところでございます。

 25ページをお開きいただければと思います。測定指標数及び昨事務年度からの主な変更内容等を記してございます。昨年と比較しまして、この表の左一番下のところでございます。測定指標数は1つ減少の70となっております。

 まず上段でございます。これは定性的な測定指標を書いている項目でございますが、33となっておりまして、昨年度との比較で申し上げますと1増2減となっております。その内容につきましては、新たに設定した測定指標は、先ほど申し上げました国別報告事項を測定指標として設定いたします。廃止した測定指標を2つ下に書いてございますが、先ほど説明いたしましたように、相続税法、あるいは不服申立制度の定着、こういったことを踏まえて廃止するものが2つございます。

 下段に移らせていただきます。これにつきましては、37の定量的な測定指標数につきまして、数字自体は昨年と同じ数でございます。主な変更点は、その右側、酒類の取引状況等実態調査による「指示」という文言が制度の変更により加わっています。これは、法律の一部改正が行われまして、酒類に関する公正な取引に関する基準を遵守しない酒類業者等に対しまして、基準の遵守を指示できることとなりました。指示事項についての改善割合も目標に加えることとしたため、測定指標名を変更しているところでございます。

 最後に、目標値が変更された測定指標でございますが、「税理士会への研修会等の評価」につきましては、最近の実績値がそこにございますように70から75%ということで、実績を踏まえて目標値を引き上げるものでございます。

 以上で平成30事務年度の国税庁実績評価実施計画等の内容について説明を終わります。

 以上で私の説明は終わらせていただきます。


○吉野座長

 どうも御説明ありがとうございました。

 それでは、いつものように左の秋山委員から、お一人5分程度で御意見をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。最初に、秋山委員、どうぞ。

 

○秋山委員

 この1年間は、財務省にとっても非常に批判を集中的に浴びるという厳しい御経験を皆様がされた中での今回の政策評価懇談会ということになろうかと思います。そのこと自体についてはいろんなところで既に話がされておりますので、そういうものも通じて、今、私が感じていることを率直に少しお話をさせていただきたいと思います。

 今回の政策評価結果の御報告をいただいたときに、一番最初にぱっと見て感じた違和感というのがあります。それは、資料で言いますと4ページ目のところで、政策の目標についての評価結果が一覧表になっております。

 ここのところで、私を含めて国民の感覚、目線という言い方をしてもいいかと思いますけれども、財政の健全化についての目標が後退しているというような印象を持っています。そういう中で、健全な財政の確保について全てS評価がついているということについて、まずあれっと思ったんですね。

 これはどういうことだろうともう一度考えてみますと、設定された目標はちゃんと達成できたというのがこの表現だと思います。ただ、その目標自体が、例えば国民目線ということで見たときに、確かに本当に皆さんよくやったねというふうにもろ手を上げて言えるかというと、なかなかそこに感覚のギャップがあるのではないかということを、今年特に感じたところです。

 このギャップがどこから出てくるのかということを考えますと、これはいわゆる行政の問題だけではなくて、目標設定については政治も大きく関わってくるわけですから、広い意味での行政と政治の関係とかあり方という課題が浮き彫りになった一つの局面ではないかというふうに感じております。

 このあたりのところは、私は外部の者ですので推察するしかないのですけれども、日々お仕事をされている皆様もいろんなところで感じていらっしゃる部分ではないかなと思いますし、そういうところはより皆さんも仕事をしやすく、皆さんの仕事がより国民の皆さんからも評価されるというところにもっと向けていくべきだと思います。

 ただ、政治と行政のあり方というのは、なかなかそこについて当事者である皆さん自身が語るということは簡単ではないと思いますので、例えば政治と行政のあり方について、ちょっとテーマの置き方は工夫が必要かと思いますけれども、第三者がよりよいあり方について客観的な意見を提言できるような場を持つということは、今後のよりよいあり方に向けての一つの方策ではないかなというふうに感じております。これがまず1点目ですね。

 あえて言えば、文書管理の問題なども皆さんを取り囲む仕事の環境からいろいろ出てきている、土壌として起きている問題だとか、やりにくさだとか、その中で現場の皆さんがいろいろ工夫を積み重ねた結果、いろんなボタンのかけ違いが起きてしまうリスクが高い部分といったところもあるのではないかなと思いますので、将来に向けてどう皆さんが仕事しやすい環境をよりつくっていくか。これからも優秀な人材が財務省を目指して入ってきて、国のために一生懸命頑張ろうという人たちを多く迎え入れて、その人たちが高いモチベーションを持って仕事をするという環境をつくっていくのも、一つの大きなテーマだろうと思っております。

 それから、少し全然違う切り口になりますけれども、昨今、気候変動に伴って大規模災害が立て続けに起きている状況があります。そういう意味では、財政的な面でも機動的な対応というのがより一層求められる。既にこれは何か起きた事象というよりは、そういう時代に入ってきたのではないかと感じているのですけれども、こういった新しい時代の流れ、あるいは環境が変わってくることに対して、今の制度で見直すべきところはないかということを先回りしてといいますか、プロアクティブにそういう見直しをかけていくということは、ぜひお願いしたいところであります。以上です。

 

○吉野座長

 どうもありがとうございました。伊藤先生、どうぞ。 

 

○伊藤委員

 少し私も超越的な話をさせていただきたいと思うのですけど、少し表現が適切かどうかわかりませんが、財務省のブランドみたいなものについて少し考えていて、ブランドという言葉が適当でなければ、信頼感とか、尊敬ということのほうがもう少し当てはまるのかもしれませんけれども、企業にとって御存じのとおりブランドというのは重要で、ここをしっかり持たないと議論もできない。さっき言った優秀な人に入ってもらうということもそうでしょうし、商品を受け入れてもらう。よく言われることは、一旦傷ついたブランドを戻すのは非常になかなか大変だと。

 財務省のブランドと比較するのはちょっとおこがましいのですけど、結構、我々大学の教員にもそれがありまして、学生がやはり馬鹿にして先生を見ていると、まともな授業もできないわけですね。ですから、ある程度学生に対して公平であって、しかも教える知識と力を持っているということを学生に認識してもらうことが重要で、それをあえてブランドという言葉が適当かどうかわかりませんけど、そう呼んでみたときに、これをどうやって回復していくのかということがすごく重要で、これから本来しっかりやっていらっしゃるはずの仕事がやりにくくなるようなことがあってはいけないわけです。

 ブランドと非常に密接にかかわる概念にマーケティングという概念があって、コトラーというノースウェスタン大学の有名なマーケティングの大家がいるのですけど、彼が言っているんですが、マーケティングとは、自分の持っている商品とかサービスをもっとたくさん売るための手練手管ではないと。マーケティングとは、自分の持っているバリュー、価値は何なのか、自分のやっていることの価値は何なのかということをしっかりまず自分が認識して、企業の場合で言うと顧客になるわけですけども、それを顧客にどういうふうに伝えていくかというトータルなアクティビティーであると。

 そういう意味で見ると、まずは財務省がどういうスタンスで、どういう姿勢で、どういうことをやっているかということをもう一回自分たちでしっかり整理して考えていくと同時に、それを外に向かってどういうふうに発信していくかという2つがあるだろうと思うのです。

 別にこじつけるわけではないのですけど、こういう政策評価をやることのポイントというのは2つあって、1つは、マーケティングの世界で言えば価値ということだと思うんですけど、価値みたいなこと、自分でやっていることをどういうふうにしっかり押さえていくか。もちろん、細かい政策の具体的事例は多くありますから、あるものは非常にうまくいったものもあれば、あるものはそうじゃないものもあると思いますし、あるいは年によって変わっていく内容もあると思いますから、そこはもちろん丁寧に見なきゃいけないのでしょうけど、難しいのはそれをどうやって世の中に伝えていくか。

 この会でも何人かの方が今までにも、こういう情報発信だとか、あるいは一般の国民の方の目線も含めて、どういうふうに理解していただくかということが非常に重要だと思いますので、ブランドが少し毀損したことは非常に残念ですけど、もう一回回復させていく過程の中でどういうふうにやっていくかということの中に、ぜひ政策評価も位置付けていただきたいということが1つです。

 もう1つは、その話とは関係ないですし、政策評価の話とも関係ないのかもしれません。少しまた変な話をするんですけど、学生によく経済を見るためには3つの目が必要だと言うことがあるんですね。1つはいわゆるマクロ、鳥の目ということで、政策評価で見ると総合目標というのがそういうことなのかもしれません。つまり、具体的にマクロといいますか、大きな視点で何を今やろうとしているのかという目で見るのが非常に重要です。

 学生にもう一つよく伝えるのは、やはり虫の目、ミクロの目も必要だと。つまり、悪魔は細部に宿るというのですが、いろんなことをやろうとしても、やっぱりディテールを詰めていかないとうまくいかない。ここで言うと、おそらく個々の政策目標に落としていくとそういうことがいっぱいあるのだろうと思います。ですから、大きな政策効果があっても、実際に動くのはまさにディテールのところで何をやっているか。

 申し上げたいのは3つ目の目です。ここが悩ましいところですけれども、それは何かというと、マクロの鳥の目があって、ミクロの虫の目があって、半分冗談も込めて言うのですけど、3つ目に必要なのは魚の目だというのですね。これは何を言いたいかというと、別に魚は目で見ているわけではないのですが、潮の流れの変化みたいな、経済、社会はみんなそうなのでしょうけど、変化みたいなのがあって、その変化の方向とか、強さとか、あるいは去年とどこが違うのかとか、来年、再来年にどう違うのかということをしっかり見極めないといけませんよと。逆に言うと、そこをしっかり押さえておけば、ほかの部分は後でついてくるのかなという。

 すごく悩ましいのは、マクロ経済政策も多分全く同じだろうと思います。例えば社会保障政策を考えたときに、来年、再来年あたりに、いわゆる戦後直後に生まれた世代が75歳を超えるものですから、多分社会保障費が一時的に自然体でいくと少し抑えられるけど、その後今度は急激に増える話とか。

 あるいは、アベノミクスについて、これは金融政策もそうだと思うのですけど、2013年から始まって、とにかくデフレから脱却するということで、いろんな需要喚起策とか、あるいは金融緩和をやってきたわけですけど、ここに来て、じゃあこの先どういうふうにやっていくかというと、明らかにやはり今の時点で何が次の大きなスタンスかということに関して、違ってきているんだろうと思います。それは何かということについては、もちろんいろいろな政治的な議論はあるのだろうと思うのですけどね。

 悩ましいのは、そういう魚の目というのがここに一切入らない。あるいは入るのかもしれませんけれども、あまり入るのがいいとも実は思わないわけで、毎年毎年安定的にこういう政策目標があって、それに対する進捗度合いをしっかり消化する。ある種のコンシステンシーが重要なのだけど、ただ、おそらく実際に皆さんが現場で、これはマクロ政策だけではなくて国際金融もそうかもしれませんし、税制もそうかもしれませんけど、実際にやはり悩みながら一生懸命やっている部分というのは潮の流れの部分といいますか、魚の目の部分みたいなのがあって、さあどうするか。

 これは答えがなくて、印象論だけで申し訳ないんですけれども、さっきの話に戻りますが、そういうところも何らかの形で世の中に伝えるような、あるいは自分たちの中でも少し今やっていることの中身について意見をすり合わせてみるということが必要なのかなと思います。以上です。

○吉野座長

 ありがとうございました。では、江川委員、どうぞ。 


○江川委員

 私は、まず政策面で2つほどお話ししたいと思います。

 1点目は、2025年度のプライマリーバランス黒字化を目指しということで、年限が後ろに動いただけではなくて、言葉も非常に曖昧になったということで、目標が後退したという印象を強く持って、大きな危機感を感じました。この話は毎回しているので、なかなか難しいところがあるというのはわかっているのですけれども、私も以前金融の仕事をしておりましたので、やはりティッピングポイントということが大変気になります。つまり、問題がないように見えても、何らかの小さな変化によって急に流れが大きく変わるというようなことがマーケットではよくあります。

 財政の問題は徐々に徐々に進行するので、どうしてもこれまで大丈夫だったからまだ大丈夫だろうみたいなことになりがちですし、メディアの報道というのも少し前と比べてどうだったかといった議論が多く、深刻さが国民に伝わらないように思います。例えば10年ぐらい前に2010年代の前半までにきちんと財政を再建しましょうという話をしていたのですから、そういう意味で財政の問題をしっかり議論すべきであると思います。

 世論調査を見ていても、社会保障問題に対する関心が非常に高くて、それはやはり裏を返すと財政的な裏付けがきちんとできていないということをみんなわかっているので、不安に思っているということです。将来への不安から家計の支出も増えないので、経済も伸びないということで、悪循環に陥っているような気がします。もちろんそういった政治の問題は、最終的には国民が悪いということになりますけれども、やはり政治家のモラルハザードもあると思います。でも、その中で何ができるかと考えたときに、やはりわかりやすい広報をするしかないと思います。

 10年ぐらい前に私がまだハーバードの仕事をしていたときに非常に印象に残った出来事がありました。ハーバードのシニアエグゼクティブの研修プログラムに三菱商事から選抜された方がいらしていて、研修プログラムの中でいろんな国のカントリーアナリシスをやるコースがあって、その中で日本のケースも入っていて、それはデフレーション、デモグラフィー(人口問題)、デフィシット(財政赤字)というDを3つ重ねた、日本の大きな根本的な問題をわかりやすく説明したケースでした。それに取り組んだ三菱商事の40代か50代の社員の方は、日本の問題はこんなに深刻なのだから、急に何かやらなければいけない、政策を変えるために行動しなければならないということをおっしゃっていた。

 つまり、日本で生活していて、多分日本の平均レベルよりも、世界や日本の経済やいろいろなことをよくわかっているような人でも、日本の財政問題がどれぐらい深刻なのかということをしっかり肌身に感じて理解していないのだと思ったのです。ですから、やはり財政問題の深刻さをもっとわかりやすく広報する必要があると思います。

 国内で通常やっている広報ですとどうしても年度ごとの話なのであまり大きな流れがわからないのですけれども、ハーバードのケースはなぜわかりやすかったかといいますと、何も予備知識がない人にゼロから全部説明するという仕立てでケースがつくられているからです。そうすると、この数十年間に何が起きて、今どういう状況かということがよくわかるというのがあるので、そういう予備知識がない人でもわかりやすいような広報資料をしっかりつくるのが良いと思います。

 それから、今の日本の財政状況だと、例えばEU、日本はヨーロッパにないですが、EUに入りたいと思っても入れてもらえないという状況にある。日本はG7に出ているから先進国だと普通に思っている人が多いと思うのですが、例えばEUのメンバーにも相手にしてもらえないとか、本当にわかりやすいメッセージを使って広報しないといけないと思います。それが政策面の1点目です。

 それからもう1つ、私は、日本国内に立派な経済学者がたくさんいらっしゃるのに、アメリカから経済学者を呼んで消費税の引上げを後倒しにしてしまったというのもいかがなものかと思っています。

 吉野先生や伊藤先生がいらっしゃるので、事前に何もご相談せずに申し上げるのも申し訳ないのですけれども、やはり10年ぐらい前にハーバードの仕事をしているときに、当時の政府の経済運営を問題だと思った経済学者の方々が、みんな個人の立場で意見を取りまとめて、数十名で意見広告を新聞に出したことがありました。やはり著名な先生方がみんな名前を連ねていらしたので、それは非常にインパクトがあったと思います。ですから、今までやったことのないようなことを行って少し問題意識を喚起したり、少なくとも議論をするように持っていく必要があるかなと思います。

 要するに、今の状況というのは、税も上げたくない、社会保障は充実してほしいということで、両立しないことは何となくわかっているのだけど、その不都合な真実に向き合っていないというところが問題だと思います。それをしっかりディベートできるようなアジェンダ設定をしていかないといけないのではないかと思います。それが政策面の2点目です。

 もう1つ追加したいのは小さなことなのですが、マイナンバーに関してです。せっかくいろいろな取組をしているのに、私の周りで見ていても、カードを持っていないとか、あれは意味がないと言っている人もいないわけではないので、いろいろと個人情報との関係で難しいところはありますけれども、国のインフラとしては重要なものだと思うので、しっかり進めていただきたいと思います。

 それから、財務省に対する社会の信頼回復という観点から、2点ほどは組織運営に関して意見というか、コメントさせていただければと思います。

 1つは、組織の多様性ということです。お二人が先にお話しになったブランド、あるいは社会の見方の中に、組織が内向きで、その論理で動いていたというようなことも少しあったと思います。今、社会で多様性が言われていますけど、これは必ずしもポリティカリーコレクト、社会的公正ということでやっているわけではないのです。特に海外の組織や企業の方とお話をすると、やはり多様な意見を踏まえた上で意思決定をすると、意思決定の質が高まるということを本当に信じていて、それで一生懸命多様性を推進しているところがあります。

 実はこの会議室で何度も会議したことがあるのですけれども、今日はメインテーブルに、女性が初めて反対側に座っていらしたのでちょっとうれしかったんですけれども、例えば多様性といったときもなかなか財務省は難しい。長い間あまり人数を採っていらっしゃらなかったので大変だというのは打ち合わせのときにも伺ったのですが、今、通常、中途採用をしていない大企業が多様性を高めるためにという目的で、外国人とか女性とかいろんな方を採用していらっしゃいます。

 通常、金融庁にいらっしゃる方と一定レベル以上の交流はなかなかできないと聞いているのですけれども、例えば一定期間特例を設けるなど、今までやっていないことを少しお考えいただいて、多様性を高めて質の高い議論、意思決定ができるようにしていただければと思います。

 それから2点目は、人材育成に関してです。霞が関の人事制度は2年で回っていくというところがあって、金融危機のころにローテーションが短いと問題解決にタイムリーに取り組めないのではないかという議論を聞いたことがあって、それが気になっています。

 人材育成やローテーションの仕組みはなかなか簡単には変えにくいと思うのですが、今、民間企業も、グローバルにしっかり戦っていくために人事制度を見直さなければいけないということで、早い段階からリーダー育成に取り組んだり、いろいろな改革をしているので、できるところから少しそういったことも考えていただけるとよいと思います。以上です。


○吉野座長

 ありがとうございます。それでは、小林委員、どうぞ。 

 

○小林委員

 相変わらず財政の話からスタートしなきゃいけないというのは極めて残念ですが、少しコメントさせていただきます。

 まず、総合目標の1の関連で、平成28年度実施計画のときは2020年というかなりはっきりした目標が明記されていましたが、29年度実施計画になったらその目標年度がいつの間にかなくなってしまったのは何故なのか。長峯政務官はちょうど去年の今ごろ、まだ2020年度プライマリーバランス黒字化というのをしっかり言っていたわけです。この6月に骨太の方針で2025年という時期とGDP当たりの比率を明確にコメントしていますので、今回、平成30年度の実施目標というのは、当然のことですけど2025年度プライマリーバランス黒字化となっています。では、前回の29年度実施計画では2020年という達成時期を何で除いたのかなと。それは憶測なのか、はやりの忖度だったのか、どういった理由でそうなったのか、この辺が少しわかりづらく、気になるのが1つでございます。私は、岡本次官から伺った、ギリシャ神話のセイレーンの誘惑という絵が、オランダの財務大臣の部屋に飾ってあったというお話が印象に非常に残っています。財政に対して非常に強い危機感をお持ちの新しい体制だと期待しておりますので、是非この辺はよろしくお願いしたいと思います。

 2番目は、6ページの3−3−5にc評価がついて、今回大分評価を下げていますが、3−3の項目として平均しますと若干遅れているということでB評価になっています。この評価の手法として、1つでも「c」がある場合は全体としてC評価にならないのか。そういう評価自体が平均値でやって本当にいいのだろうか。森友のような問題で一部は「c」という評価をつけた、あるいは固有名詞も出したというのは評価に値すると思うのですけれども、全体をまとめたところでそれが「B」になってしまうというのは、なかなか納得しがたいなという感覚がございます。

 3つ目ですが、Evidence Based Policy Making(EBPM)を推進するのだということが明確に示されているわけで、財務省政策評価自身も、そういった政策の作成にEBPM、フィードバックをどうしていくかと、PDCAも含めてもう少しクリアにしていただけるとわかりやすいと思います。「A」、「B」、「C」、あるいは「S」、「S+」という評価は、内部の昇格とか各部局の評価とは関係ないとはいえ、基本的にはやはり国民へのフィードバックがなされ、国民がどういう納得を持ってこの評価を理解するのかということが非常に重要だと思います。そのためにも、エビデンスも含めたしっかりした政策評価として、もう少しブラッシュアップしていただければと思います。

 それから、当然のことですが、今後、国有財産等の管理適正化のためにも、電子決裁への移行を含め、デジタル化してITを利用していくことをより急ピッチで進めてもらいたいなというのがございます。

 後は、先ほどからお話が出ておりますけれども、直下型の地震なり、南海トラフでの地震なり、こういった大規模ハザード対応のシミュレーションというのは今やられているのでしょうか。そういう大変なハザードが起こると100兆円、200兆円、下手すれば500兆円というお金が要る中で、今1,000兆円以上の借財を持った国家として、そもそもどういう形で対応するのか、というイメージを持っておく必要があると思います。

 最後に、これからの時代は決済をスマホで済ませることが多くなってきます。Alipay、あるいはJD.com等がeコマースで日本に上陸してくる中で、現金とかカード決済から、QRコードなどを使うような決済へ移行することが想定されるわけですが、ここで言う総合目標の4の通貨・金融システムの信用秩序に対する何らかの財務省としての方策なり、考え方というものが要るのではないかと思います。

 このようなところを意見としてお願いしたいと思います。ありがとうございました。

○吉野座長

 ありがとうございます。それでは、田中委員、どうぞ。 

 

○田中委員

 財務省が今置かれている立場は非常に同情すべきことも多いけれども、プリンシパルとエージェントという話がありますね。財務省、MOFは、役所の中では一番国民に代わってといいますか、国民の代理人として将来にわたる課題を取り上げて、それに対応できる。税を取って、それをどこに配分するのか。それを通じて将来のリスクを遮断していくことで、ほかの役所の審議会には私はほとんど出たことがないんですが、これまで財務省にかかわる審議会を幾つか引き受けてきた理由を自分で考えてみると、やっぱりプリンシパル、エージェントの関係を一番霞が関の中で考えてきた役所だったと思っていたから自分なりに得心して、非常に部分的な関与ですがしてきたと思っているのです。

 ところが、今、財政が実は将来の日本社会にとってリスクになり始めている。財政そのものがリスクだ。1つは赤字。これはどうやってファイナンスするのか。それをめぐってトリプル安みたいな状況が何かを通じて起きた場合には、忠良なる日本国民が日本の金融資産を売りまくらないとどうにもならないという状況ですから、そういう状況を引き起こすかもしれない財政赤字のリスクというものについて、どう考えるかが1つあります。

 それから、配分の問題も私はリスクが既に出てきていると思っている。高齢者が増えることによって財政配分のゆがみがでるというのは、いろんな人が言っていることです。今、30代後半から40代の初めにかけて、非正規で、したがって年収が300万円に満たない、無業とは言わないけれども、非常に本人もじくじたる状況。それで単身。なかなか所帯が持てないということが重なってきますし、年金拠出も非常に不十分ですから、この人たちがもし60代に入るということになると、普通に考えると生活保護。今でも非正規、60を過ぎれば、まず無業に近い状態になる。それで単身。年金拠出は不十分。では、もう生活保護でカバーするよりしようがない。

 この世代は、たまたまいろんなことが重なってそういう世代が集中的に生まれたのですけど、ここに対する財政配分といいますか、政策は極めて不十分。ですから、日本社会がすぐ10年とか15年先に抱えるであろうものに対して、我々は十分手当てできているのかどうかということがあります。ですから、赤字の問題とは切り離して、配分の問題がどう議論されているのかは、私は重いと思っています。

 子ども手当、子どもの話は相当社会的に取り上げられるようになりました。もちろん子どもに対しての配分は要るのですけれども、しかし、例えば高等学校とか大学とかについて、高い所得を得ている家庭の子どもが安く高等学校や大学に入れるというのは、それはおかしいだろう、という議論が起きない理由の背景に、MOFの人たちが、プリンシパル、国民に対するエージェントとして自分たちの職務をもう一度規律付けするという作業が行われているのかなという疑念がある。

 もちろん、役所に所属されているから勝手に意見を述べる立場ではないでしょう。しかし、それはいろんな人が周りにいるわけです。学者もいるでしょうし、評論家もいるでしょうし、ジャーナリストもいるでしょう。そういうテーマについて世論喚起しつつ、社会的に見てきちんとした手当てをしていくということが、私はまだ残念ながら不十分と思います。

 政策評価懇談会に出てくるのは、私も何年か出ているので、こういう形式で出す以外にないのかなとも思うのですが、本当に自分たちはエージェントとしての役割を果たすというつもりになれば、もう少し提示の仕方があるだろうと。普通の国民はとても忙しいから、400ページなんて読めませんよね。それからしても、エージェントとしてプリンシパルに対する義務を果たしていると自己評価できるかどうかということを考えてもらわなければいけない段階ではないかと思っています。

 旧内務省の人が昔書いた国内の問題についてのリポートを見ていましたら、旧内務省はいろんな時期があって、社会局は左がかった人がいると書いてありますが、仕事と福祉と住まいが中心だったと言っています。旧内務省が国内を見る。職(ジョブ)の話と、ウェルフェアの話と、住まいの話からいくと、全体として、結果としてきちんと手当てされていない人たち、あるカテゴリーに入ると全部だめなんですね。60歳になればセーフティーネットに拾ってもらうというふうに諦めている人が、これだけ特定の世代に出たのは私は初めてだと思うのですが、そこへの議論がやはりない。

 それは、いろんな調査を見ると、安倍政権に対する支持率が一番低いところです。ですから、自分のことを支持してくれない人に対しては、向き合わないと別に思っておられるわけではないでしょうけれども、やはりいろんなデータから見てそういう亀裂ははっきりしていますから、配分に係る仕事をずっとされてきたはずなので、そこは一つ一つのアイテムごとに見るというよりは、全体として把握していろんな組み合わせでこの問題にできるだけ早く対処する。それがもちろん財政についての将来の支出を抑制することでもありますし、年金等保険会計からいけば拠出を確保するということでもありますので、私は、もう少しそこのところは論理的にきちっと分析した上で対応するというのが、次官、主計局長が中心になられるのだと思いますけれども、そこは対応していただかなければいけないのではないかと思っています。

○吉野座長

 どうもありがとうございました。それでは、田辺先生、お願いいたします。 

 

○田辺委員

 3点ほど申し上げます。

 第1番目は、29年度の財務省政策評価(案)の特に変更部分に関してでございます。税制の広報が「A」から「S」に上がっていますが、それはいろいろやった改正の中身を理解させるという側面でそのとおりなのだろうと思います。ただ、来年度は消費税の8%から10%上げがありますので、そのときの今年度の持つ広報の意味というのが、単なる制度改正とは違う、国民の理解を基盤として2%上げるということになりますので、できれば次年度の評価に関してもここは「S」をキープできるように頑張っていただければと思っている次第です。

 関税を見ますと、「A」から「S」に上がっているのは、関税の国際化みたいなところが非常に進展しているというのはそのとおりで、これも納得感があるところでございます。ただ、割と意外だったのは、関税の5−3のところで「A」から「B」に下がっているというところです。いろんな制度を入れて、事業者に対して認定したらフリーパスするような形を拡大していますし、関税のシステムもかなり展開しているので、どういうことなのだろうというのが若干わからなかったところでございます。

 ただ、利用する側からすると、おそらく今の水準というのが、こっちが上げたと思ってもそれが当然のことになってくるので、期待値がおそらく上がっているんだろう。それでさらに不満というものに対して応えていかなければいけないような形で、こういう「B」というものが出てきたのかなと考えております。

 おそらく、理財の国有財産の管理のところで「B」が出ていますし、それから、関税の通関業務における「B」というところが出ていますので、管理部門のある種の脆弱さというのが29年度の評価においては出てしまったのかなと感じたところでございます。これが1点目です。

 2点目のコメントは、平成30年度の実施計画の一部変更にかかわる部分でございます。2025年のプライマリーバランスの目標というのを政治決定に合わせて入れ込んで変更したというのは政治のほうから来たものなので、それをどうしろとここでいう気はありません。ただ、私が若干かかわっている医療分野においても2025年問題というのはずっと言われていました。

 2025年問題とは何かといいますと、ベビーブーマーの方々が後期高齢者の75歳になるということで、社会保障の側から見ると、これらの方々を地域で支えられる体制ができているのかできていないのかという問題です。それらの方々が後期高齢者になって、医療も、それから介護も必要になっているときに、必要なサービスが地域で提供できているような体制を早急に作り上げなければならないという問題だったわけであります。

 逆に言うと、財政的サステナビリティよりも提供体制の構築を重視する社会保障の側からすると第一義的なアジェンダではないところだったのかもしれませんが、ただ、プライマリーバランスが2025年という年を一つの目標年次として、提供体制としても支えられる、加えて財政のサステナビリティとしても可能な状況を作り上げるということを、ここで進展させていただければと思います。

 ただ、さらに社会保障では2040年問題というのがありまして、これは人口減少の底が行くところまで行って、高齢者比率が最大限に達する状況にどうするのかと言うことで、ある意味、財政を含めてさらなる先を見据えて、お考えいただければ、というのが2番目のコメントでございます。

 3番目は若干、視点が違うことで、行政からすると外からの影響の部分なのですけれども、本年度、参議院の改革の提案というのが出てまいりました。その中で政策評価に関わるもので参議院のほうでいくつかまとめられた提案というのがございます。従来ですと、国会のほうには全体の評価の概要を総務省がまとめて出して、政策に対する反映の全体の概要を出していくというぐらいの情報提供でした。これを、参議院の改革案を見ますと、本会議で議論したいといっております。それから2番目として、おそらく委員会レベルにおいて副大臣等に出席を依頼して、そこで、おそらくは決算行政監視委員会だとは思うのですけれども、やりとりをしたいというようなことを提言しております。

 これは大きな影響のあることだと思っております。1つは、従来の例えば財務省の政策評価というのは、有り体に申し上げて行政官の織りなす世界の政策評価だったのですけれども、国会に出てくるのは政治家の方々ですので、これが政治家を含めた政策評価のフレームになってくる可能性がある。それに対応できるのかなというのが、今、若干危惧しているところでございます。

 2番目は、国会に行くと各省横並びで見られるということは間違いないだろうと思います。そうすると、「S」とか「S+」になっているもの、それから「B」になっているもの、要するに、飛び上がっているものと下回っているものにかなり関心が行く。

 そこを議論の対象としたときにディフェンスできるようなある種の正当性と客観性を持つような評価体制に、これは財務省だけの問題ではないと思うのですけれども、なっているのかというところがございます。そういった点に関しましては、今後の実績評価の実施計画、それから中期的な計画等において、若干御配慮いただければと思っているところでございます。

 国税庁のほうの30年度の計画に関しましては、このまま着々と進めていただければと思っている次第です。

 以上、3点ほど申し上げました。

 

○吉野座長

 ありがとうございました。では、山本先生、お願いいたします。 

 

○山本委員

 先生方がおっしゃった点を少し別の観点で踏まえますと、かなり経済的なロジックをおっしゃったのですけど、日本は、村松先生もおっしゃっていますけれども、結果的に政官スクラム型の官僚制というのは崩壊したわけですね。ところが、全く崩壊したというわけではなくて、現在、ほんの限定的に政官スクラム型で政策が実現している領域もあるわけです。ですから、財務省の財政再建、健全化の本来的な政策がなかなか実現できないというのは、今の政官の関係上やむを得ないという気がいたします。

 ですから、それを突破するにはどうすればいいかというのは、先ほど広報という話もあったのですが、ある意味で経済的な政策起業家的な人を、財務省としても今まで組織的な展開をされていたと思うんですけれども、そういうことを少し変えてかなり個人的にする。そうすると、またコンプライアンスであるとか、全体的なブランドがどうなるのかという問題も起きてくるのですが、当面そういう方策しか私はないだろうと思っております。それが1点ですね。

 それと、今回の評価で少し評点が下がった点は森友問題ですけれども、再発防止に取り組まれるということだけではなくて、これは公文書管理法を読んでいただくとわかるんですが、公文書管理は必ずしも説明責任のことだけを言っているわけじゃなくて、要するに公文書管理をきちんとやれば行政の効率性も上がりますよということを言っているわけなので、決してディフェンスだけに入らないようにしていって、財務行政全体の効率性を高めていく、あるいは本当の意味の予算査定なりの効率性を高めるように、今回の公文書管理ということを、国有財産、あるいは予算管理も含めて、そういう面にも横展開をしていってもらいたいというふうに思います。

 あと細かいことはそれぞれ既に事務局を通じて提示しておりますので省略いたしますが、国税庁の実施計画(案)について1点だけ少し申し上げておきますと、「国民各層に対して」云々という言葉があるのですが、これはかねがね気になっているのですけれども、納税する人というのは外国人納税義務者もおられるわけなので、「国民各層」ということでいいのかどうかというのが少し違和感がありまして、これは「納税者各層」のほうがより的確ではないかというふうに従来から思っておったということを、個人的意見として付け加えさせていただきます。以上でございます。


○吉野座長

 では、江川委員、どうぞ。 

 

○江川委員

 少し発言し損ねたので、1点だけ短く加えます。

 今日、たまたまこの直前に出ていたほかの省の審議会で、その省そのものではないのですが、そこが監督している法人の評価をずっとやっておりまして、実はさっき話題にもなった省庁間の評価の一貫性ということで少し気になったことがあったので、申し上げます。

 今申しましたように省の評価ではなくて、そこが監督している法人の評価なのですが、7つあって、評価項目も238あるので、そういう意味ではデータとしては悪くないなと思うのですが、そこでの評価の考え方というのは、ある程度基準を満たしていたら「B」で、それを上回ったら「A」、本当によく上回ったら「S」という考え方をしているので、分布は「B」が60%、「A」が32、「S」が7、「C」が1となっていたんですね。

 今日見せていただいた財務省のだと「S」が7割になっているので、少しそこと違うかなといいますか、総務省がつくって、一応すり合わせをしているとは伺っているんですが、やはり解釈の違いが生じているのかわかりませんけれども、重要なことなので、すり合わせも少しずつしていただければと思います。

 

○吉野座長

 ありがとうございます。それでは、最後に私も数点申し上げたいと思います。

 1つは、伊藤先生とか皆さんから財務省のブランド化という問題がありましたけれども、ブラントの回復のためには、これだけの大量の国債の財政赤字を解消するということだと思います。それを財務省ができれば、必ず全員の国民がさすがと。

 それから、2025年にプライマリーバランスの黒字化と延ばしたわけですけれども、そこまで国債市場が持つかどうか。しかも、それで外国人が多く買い出すと、今のトルコとギリシャと同じ問題になると思います。それを防ぐために、日銀のこれだけの大量の国債の購入の後、どういう形で国債を消化していくか。それをきちんと財務省がやはりつくっていただきたいと思います。それができないと、ブランドの回復というのはできないような気がいたします。

 それからもう1つ、それによるコメントとしましては、歳出と歳入のまさに組合せの同時方程式でいつも議論する。例えば、災害対策が必要であれば、その分の税収はどこから持ってくるのか。あるいは税を上げないのであれば、その不足した部分をどこでカットするか。同時方程式で考えない限り絶対議論ができないと思います。ですから、ぜひ財務省としては、何か議論するときには歳入と歳出、いつも両方で議論する。それでどこが一番国民が望んでいるかというところを模索していただきたいと思います。

 それから、今、アジアの諸国を見ていますと、経済成長は絶対必要です。中国がこれだけ強くなったのは、10年間であれだけの成長があって2倍に膨らんだからです。経済成長がないところというのは、やはりあるところをどうしても分けるだけになってしまいますから、後ろ向きになってしまうと思います。そういう意味では、財政赤字のプライマリーバランス化と同時に、GDPギャップを減らして経済成長を促す。その政策をきちんと考えていただければ、私は、必ず財務省のブランドは回復すると思います。

 それから、インフラの老朽化という問題がこれから出てくると思います。アジアでずっとインフラのことをやっているのですけれども、インフラというのはものすごく波及効果があるわけです。

 よくインフラの収入というのは、通行料金とか、水道料金とか、それだけからの収入で全てをやろうとするわけですけれども、高速道路ができれば、その周りの土地の地価が上がって、そこに工場が立地して、それによって周りのところの税収がものすごく増えているわけですね。その税収が全然インフラをつくった人に戻ってきていない。これが今、大きな世界の問題だと思います。

 ですから、老朽化の問題も、インフラによっていろいろ恩恵を受けて、それによって経済活動が発展して税収が増えているわけで、そこを戻すという形の資金を入れていただくことが、やはりインフラの老朽化に対する一つの対策ではないかと思います。

 それから、少し細かいところですけれども、国有財産に関しましては、処分ということでは有効活用が非常に重要だと思うのですね。一時、よく証券化して処分しろと言われたわけですが、それは我々の世代で全て売り払ってしまうということだと思うのです。そうすると、我々の孫、子孫は赤字も背負うし、国有財産もない。そういう何か非常に自分勝手な人たちが国有財産を今売れと言っているような気がいたします。

 それであればむしろリースとかにして、ずっと将来も得られるほうがいいのではないかと思いますので、国有財産の今回の問題も含めて、有効活用というのは本当に売却がいいのかどうか。それは将来世代までを考えて何が最適かというのを考えないといけないと思います。

 最後、3つあるのですけど、1つは国際金融で、今トルコは非常に不安定になってきていますけれども、フィンテックが発展すればするほど、こういう国際的な通貨の暴落というのが起こりやすくなるのではないかと思います。簡単な御説明をいたしますと、トルコが少し危うくなると、まず外国人が逃げていきます。今度、フィンテックが発達すると、携帯電話で自分の預金をトルコから海外に持っていけるわけです。そうすると、為替がすごく安くなってしまいます。

 これが数年すれば全部の世界でできますから、少し危機が起こると、バーッとキャピタルアウトフローで為替がうんと安くなってしまう。そうすると、インフレがどんどん来てしまう。もし日本にこれが来たら大変なことですし、それこそが財政の健全性を保つということだと思います。

 それから、最近の貿易の議論に関しては、アメリカがいろいろ変わってきているのですが、貿易の議論のときには2つ目的関数がありまして、1つは自国のいろんな産業をどう守るかということと、世界的な貿易の秩序のオーダーによって世界の経済が発展していくという2つの目的関数があるわけですけれども、今のアメリカは最初だけしかないわけですね。2番目の目的関数が全くなくなったわけです。そう考えると彼らがやっている行動は非常に合理的であって、関税を上げると。

 さらにもう1つ、今の考え方は単一方程式で考えていますから、自分が動いたときに相手が動くということを想定しないで考えているわけです。まさにゲーム理論を知らないやり方ですね。一般均衡ではないわけです。そうすると、今のアメリカのやっていることは非常に説明ができて、自分のところは関税を上げて、それによって自分の国の産業を守る、あとは知らない。これが非常に単純な方程式で考える今の貿易の議論です。

 そういう中で、日本がどうやってこの貿易の秩序を考えながら、世界全体の経済成長も考えてやっていくか。これは、日本で来年G20ですから、まさに発信していただきたいと思うのですね。それから、昔はよく外圧を使って日本の問題を解決しましたから、うまくG20を使って、それが日本の財政赤字の解消につながるような、日本が言ったのではないというような形でうまくいろんなところから意見を持ってきてやっていただきたいというふうに思います。

 それから、ヨーロッパは国家公務員の方々が非常に強くなっています。フランスとか、ドイツとか、スウェーデン。フランスなんかは特に汚い英語をしゃべるのですけれども、結構みんな英語で頑張っているんですね。それは、EUという組織ができて、まずそこで非常に意見をもむのです。それから今度世界的に持っていくので、どうも私の見る限り、中でものすごく皆さん議論をして、そこでもまれた意見を海外に持っていくので、結構発言力ができているのですね。

 日本は、昔は財務省は非常に力があったと思うのですが、どういう形で今後日本のいろんな発言力を国際的にも維持していくか。1つは、日中韓でいろんな会議を今度もっと開いていってここでもみながら、それで海外に発信していくということが、やはり日中韓の協力を大きくするのかなという印象なのですけれども、日本だけで議論しているとどうしても国内にとどまりますから、EUのように何カ国かと議論していくということが必要かなと思います。

 最後は税の問題で、いろんなデータを使った電子政府というのが必要ではないかと思います。既にフィリピンが始めるのですけれども、税を使いながら、サテライトのデータを使って全部税を捕捉しようというのですね。それは、中小企業のレストランでは何人お客が来たかが毎日わかると。それから、農家でもどれぐらい緑の色があるか、それからトラックが何台農家に来たかというのが全部わかるのだそうです。

 それを見ると、いかにここの企業なり、農家が税をきちんと払っていないかというのがわかるらしくて、フィリピンはドミンゲス大臣が財務大臣ですけど、これをやると言っていますし、インドネシアもポリティカルがうまくいけばでしょうけれども、やはりそういうのを使いたいと言っていますから、日本でもいろんなデータを使いながらきちんと税が支払われるようにするということは重要だと思いますし、電子政府としても重要ではないかと思います。

 まだまだ皆さんはいろいろ御意見があると思いますけれども、だいぶん時間になってきましたので、最後に、それでは財務省のほうから御回答いただければと思います。

 

○岡本政策立案総括審議官

 お時間もありますので、ちょっとテクニカルな話で、小林委員と江川委員からお話があった政策評価の体系の話です。

 まず江川委員から、国立研究開発法人等の関係と財務省の評価の体系ということでお話がこの前もありましたので、調べてみましたら若干体系が異なっています。目標達成の基準ラインが、国立研究開発法人の場合は「B」になっていまして、国会に報告した各省のいわゆる政策評価の分布図もあるのですけれども、省庁について言うとある程度ばらけています。例えば、9割が「S」になっていて、「A」が1個しかなくて、「B」はゼロのような役所から、結構厳しくて「B」がほとんどで、「S」が1個とか、評価の考え方はそれぞれの役所が定めるというガイドラインになっていますので、役所ごとに開きがあるということと、それと研究開発法人のようなところと役所とではそもそも基準が違うということがあるということを1つ申し上げます。

 それと、小林委員からあった話は、当然、総務省のガイドラインに従って我々もマニュアルをつくってやっております。そういう中で言うと、大きな政策目標として、国有財産を適正に管理するという項目がある中で5つぐらい、先ほど言った例えば学校とか、老健施設とか、いろんなニーズに応えていきます、あるいは適切に管理しますというような項目が5つぐらいある中のものが、ほとんど「s」であった中で、1個のみ「c」だったと。

 これについては、評価の仕方として、問題点をそのまま放置してあるのか、抜本的な対策も含めていろんなことを検討していっているのかによっても評価が違ってくるような評価の仕方をしなさいというルールになっております。

 若干補足がありましたら、また理財局長からお願いしたいと思いますけれども、そういう考え方の中で一応今のように、ほかが全部「s」だからといって大項目も「S」なんていうことはないよね、「A」なんてないよね、でも、これは全体的な政策目標、大きな項目として言えば「C」とまではいえない、悩ましいけど「B」というようなことで、一応総務省のつくったガイドラインと我々のマニュアルに沿ってやっているということを私のほうからは説明して、補足はまた理財局長からあると思います。


○吉野座長
 ありがとうございます。それでは、局長の皆様からどうぞお願いいたします。

○可部理財局長
 今、岡本政策総括審議官のほうから御説明したことに補足をさせていただきます。

 小林委員のほうから、1つ「c」がある中で、3−3について「B」というのはいかがなものかというお話があり、また、電子決裁への移行を含めてしっかり進めてもらいたいという御指摘がございました。

 また、田辺委員のほうから、国有において「B」というのがついているのは、管理部門の脆弱性が出たということではないかという御指摘をいただきました。

 それから、山本委員のほうから、森友に関しては再発防止だけでなく、やはり行政の効率性につなげるような形の公文書管理をきちんとしていくべきではないかという御指摘をいただきました。

 今回の文書管理につきまして、決裁を経た行政文書の改ざんですとか、国会との関係における応接記録の不適切な取扱いがあったこと、この一連の行為はあってはならないことであり、真摯に反省いたしますとともに深くおわびを申し上げます。

 その上で今回の評定を「B」といたしましたのは、ただいま御説明がありましたように、総務省のガイドラインにのっとった取扱いでございますけれども、6つの施策の中で5つについては「s」、国有財産の管理処分のところで「c」になっているのが1つ。

 もう1つは、国有財産の売却件数自体も4,400件あったのですが、森友事案はそのうちの1件であった。その他の売却については適切に文書の管理が行われたということ。

 それから、国有財産行政に携わらせていただいている職員の大多数は、そういう意味では適正に業務を行っている中で、関与し処分された職員は一部にとどまっていることなどを考えますと、この1つの案件をもって国有財産の有効活用全てについて「C」というのは、総務省のガイドラインからいってもややどうかということがございまして「B」となっておりますが、いずれにしても、委員御指摘のとおり大変悩ましいところだというふうには考えたところでございます。

 その上で私どもとしては、今回の一連の行為は許されるものではなく、この評価結果にもございますように、今後、真摯な反省に基づいたコンプライアンス、統制の態勢の整備、それから、次回の30年度の計画にも書き加えてございますように、電子決裁への移行加速などを含めた取組を徹底し、信頼回復を図ってまいりたいというふうに考えております。

 とりわけ御指摘のございました電子決裁、あるいは電子化等の推進については、今年の7月20日、デジタルガバメント閣僚会議で電子決裁移行加速化方針が決定されております。これを受けて財務省全体、とりわけ理財局におきましても、国有財産の決裁に関して、添付書類の見直し等を行った上でできる限り速やかに移行を進めていきたい。その際には行政の効率化に資する形で進めていきたいというふうに考えているところでございます。

 それから、国有財産の関連で吉野座長のほうから売却ということだけでいいのかという御指摘がございました。御指摘のとおり、国有財産の有効活用については一般競争入札で売却するだけではなく、例えば一億総活躍社会の実現に向けた保育、介護における定期借地権による貸し付けなども積極的に行っております。

 国民共有の財産でございます国有財産について、現在のみならず、将来世代も含めた地域社会のニーズに対応して有効活用を図っていくことは重要でございますので、中長期的な視点も踏まえて、そうした具体的なあり方を検討していきたいというふうに考えております。

 それから、小林委員のほうから、これは官房マターも含んでいるかと思いますけれども、災害対応についてシミュレーションを、通貨とか、信用とかにかかわるのでしっかりやる必要があるのではないかという御指摘がございました。御指摘のとおりでございまして、官房を中心に各局において災害発生時における対応、とりわけ業務継続計画を策定し、災害発生における初動操作、それから、どのタイミングで何をやるかというのをそれぞれ整理させていただいているところでございまして、引き続き充実向上に努めていきたいと考えております。

○吉野座長

 どうもありがとうございます。時間なので、もし局長の方でなければ、最後に事務次官からお願いしたいと思います。 


○岡本事務次官
 本日は大変ありがとうございます。大変多岐にわたる御指摘をいただいておりますが、時間の関係もございますので、私のほうから一括してお答えをさせていただきたいと思います。
 まず最初に、このタイミングでの財務省の政策評価懇談会は大変意味の深い会議だというふうに私どもは受け止めております。再三申し上げておりますような文書の改ざん問題、また各委員、伊藤委員から御指摘がありましたブランド、信頼回復をどうやっていくか、これからまさに取りかかるところでございます。このタイミングでの懇談会での御意見は、本当に真摯に受け止めさせていただきたいと思います。
 政策評価につきましては今、岡本審議官からありましたように、一定のルールのもとでこのような形で目標を立てて、細かく細分化をして評価するというルールのもとでやっておりますので、テクニカルには今申し上げたとおりですけれども、私ども、おそらく今回の文書の問題等々で財務省全体が評価に値せずという指摘を国民から受けていると受け止めております。
 今回の政策の評価はこのような形でやらせていただいていますけれども、私どもとしては、そのような認識でこれからの組織の立て直し、さまざまな政策課題に対する対応に取り組んでまいりたいと思いますので、ひとつどうかまた御指導を本当にお願いしたいと思います。
 その意味では、例えば財政の問題につきましても、ここでのルール上は「健全な財政の確保」のところが全て「S」になっているということからすると、全てうまくいっているかということは、今の御指摘にありましたように違うでしょうということ。まさに財政健全化に対する道筋をきちんとやっていっているのかということに対する厳しい御批判があることは全くそのとおりだと思います。
 田中委員からもありましたように、国民からの負託に応えて、今後の財政の立て直しに向けて、これはもちろん財務省だけということでありませんけれども、財務省としてしっかりとした考えを示して取り組んでいくということで、何とかこの責務を果たしていきたいと思いますし、そのためにも、大きく落ちた信頼、ブランドをいかに立て直すかということとあわせて行ってまいりたいと思います。
 その上で、来年の消費税の引上げも控えている中で、広報についての御指摘も多くいただきました。これは大変重要な問題だと思っております。なかなか私どもは準備ができていないところがあるわけですけれども、いろんなメディアの変化もある中で、どういったツールで国民に私どもの考えを伝えるかということ、また若い職員を中心にいろんな形で意見をもらいながらぜひ対応していきたいと思いますので、本日の御意見を踏まえてまたしっかりと対応させていただきたいと思います。
 あと、様々な御意見がございましたが、いずれも重要な御指摘だと受け止めさせていただいておりますので、そこはまたしっかりと対応させていただきながら、また引き続き様々な観点からの御指摘を頂戴したいと思いますので、どうぞひとつよろしくお願いいたします。
 本日は、誠にありがとうございます。


○吉野座長
 どうもありがとうございました。
 今日の先生方の御意見につきましては、実績評価書及び実績計画書などに反映させていただくとともに、今後の政策の評価のあり方、政策・施策の見直しなどにぜひ活用していただいて、PDCAサイクルを回していただくようにお願いしたいと思います。
 今日の資料及び懇談会の議事内容につきましては、各委員に御確認させていただいた上で、財務省のウェブに公開させていただきたいと思います。

 次回の懇談会ですが、通常ですと国税庁の実績評価について10月頃の開催を予定しております。現在、議事内容、それから具体的な開催日程につきまして事務局が調整していると聞いておりますので、また御連絡させていただきたいと思います。
 今日は活発な御議論をどうもありがとうございました。これで閉会とさせていただきます。

──了──

財務省の政策