1日時 令和8年3月16日(月)10:28~11:45
2場所財務省第3特別会議室及びWEB会議
3出席者
| (懇談会メンバー) | |
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秋池玲子 |
ボストン・コンサルティング・グループ 日本共同代表 |
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翁 百合 |
株式会社日本総合研究所 シニアフェロー |
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田中直毅 |
CIPPS 理事長 |
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田中弥生 |
元会計検査院長 東京大学 客員教授 |
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田辺国昭 |
東京大学大学院法学政治学研究科 教授 |
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広瀬道明 |
東京ガス株式会社 相談役 |
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山本 清 |
東京大学名誉教授、 |
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座長吉野直行 |
慶應義塾大学名誉教授、金融庁金融研究センター顧問、 |
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(敬称略、五十音順) |
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(財務省) 新川事務次官、坂本官房長、前田総括審議官、吉沢主計局次長、青木主税局長、 |
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(国税庁) 江島国税庁長官、武田国税庁審議官、祝監督評価官室長 |
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(事務局) 湯下政策立案総括審議官、熊澤政策評価室長 |
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4議題
令和8年度財務省政策評価実施計画等(案)について
5議事録
○吉野座長
ちょっと時間が早いのですが、皆様おそろいですので、ただいまから第85回財務省政策評価懇談会を開催させていただきます。
今回も前回と同様に対面とオンラインの併用でハイブリッドの形式で開催させていただいております。オンラインの御参加者の方々は、音声が聞こえないなど何らかのトラブルがございましたら、事務局まで御連絡いただきたいと思います。
また、公募によりまして傍聴を希望された方々がオンラインで傍聴されておられます。
それでは、議題に入らせていただきたいと思います。議題は令和8年度財務省政策評価実施計画等(案)についてでございます。最初に湯下政策立案総括審議官から全体の御説明をお願いいたします。
○湯下政策立案総括審議官
おはようございます。
それでは、御説明させていただきます。資料1、「令和8年度財務省政策評価実施計画等(案)について」に沿って概要を御説明します。資料の右下に通しでページ番号を付しております。
まず4ページを御覧ください。財務省の政策評価の基本的な枠組みについてでございます。財務省は、政府全体の政策評価法等を踏まえ策定した財務省の「政策評価基本計画」に基づき、その主要な政策分野全てを対象とした目標管理型の政策評価方式により、毎年政策評価を行っております。翌年度の実施計画の策定に当たっては、政策評価懇談会委員の御意見を踏まえ、3月末までに策定・公表することとしております。
5ページを御覧ください。令和8年度の政策目標の体系図となります。昨年同様、33の目標を設定しており、その基本的体系には変更はありません。資料下部の(注)に記載しておりますが、令和8年度予算編成の基本方針等を踏まえ、昨年度と変更した箇所に下線を付しております。
6ページを御覧ください。令和8年度実施計画(案)のポイントについて、4点御説明します。
まず1点目です。財政の総合目標については、「令和8年度予算編成の基本方針」等を踏まえ、一部変更を行っております。具体的には、令和7年度の目標では「2025年度から2026年度を通じて、可能な限り早期のPB黒字化を目指す。」「債務残高対GDP比を、まずはコロナ禍前の水準に向けて安定的に引き下げる」としておりましたが、令和8年度の目標では、「『経済・財政新生計画』の期間を通じて経済・財政一体改革の取組を進め、債務残高対GDP比を安定的に引き下げていくことで、財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信認を確保する。そのため、これまでの取組の進捗・成果を後戻りさせることなく、成長率を高め、併せて金利上昇に目配りすることで、成長率の範囲内に債務残高の伸び率を確実に抑えていく。その達成に向け、『強い経済』の実現を図りながら、歳入・歳出両面において財政健全化に取り組む」といった文言に変更しております。
2点目、世界経済の総合目標については、経済安全保障の観点を明確にしております。具体的には、総合目標・政策目標に「国の経済安全保障上重要な取組を推進する」と追記しております。
3点目、EBPMに関連しまして、租税特別措置・補助金見直しについて記述を追加し、財政投融資についても、データを活用した定量的な評価を行うなど、EBPMの取組を進める旨を明記しております。
4点目でございますが、実施計画全体を通じて、政策評価懇談会での御議論等も踏まえ、文章の簡素化・簡略化をしております。
7ページでございます。総合目標は、財務省として当面取り組んでいる大きな課題を国民に示すものとされており、内閣の基本的な方針等を踏まえ、数年程度の中期かつ大局的な視点で財務省として取り組む大きなテーマを内容とするものです。
総合目標における主な変更・追加について取り上げておりますが、先ほどポイントで取り上げなかったものについて幾つか紹介いたします。
総合目標1(財政)、中ほどの2つ目のポツでございますが、事前分析表の目標の内容及び目標設定の考え方に「『令和8年度予算編成の基本方針』において、EBPMやPDCAによって政策の実効性を検証し、国民生活の下支えや経済成長に資すると期待される施策(支出や税制)は大胆に重点化する一方、そうした効果が乏しい場合には見直すなど、歳出・歳入両面で、『強い経済』を支える財政構造への転換を推進するとされています」と追記しております。
総合目標2(税制)、総合目標6(財政・経済運営)につきまして、1つ目のポツでございますが、「『強い経済』の実現」といった文言に変更し、目標では「『強い経済』の実現と財政健全化の両立を図る」と記載しております。
8ページでございます。こちらでは政策目標・施策についての主な変更点について取り上げております。政策目標は、財務省設置法上の任務など個別具体的な政策における単年度の目標でございます。政策目標の変更及び施策についての主な変更・追加について取り上げておりますが、先ほどポイントで取り上げなかったものについて幾つか御紹介いたします。
政策目標2-1、3行目でございますが、事前分析表の取組内容を「令和8年度税制改正の大綱」を踏まえた文言に変更しております。
政策目標3-1、事前分析表の取組内容に個人向け国債の販売対象の拡大等について追記しております。
政策目標5-3、金密輸に対する対策について、事前分析表の取組内容で記載の変更を行っております。
政策目標7-1、事前分析表の取組内容に「『強い経済』を実現する総合経済対策」を踏まえ、「日本政策金融公庫等において、米国関税措置の影響を受ける中小企業・小規模事業者に対するセーフティネット貸付の金利引下げ等を行う」ことを追記しております。
9ページを御覧ください。測定指標の変更についての御説明となります。政策目標2-1の定量的測定指標、税制メールマガジン登録者数につきましては、近年の情報収集等の変更等を踏まえ、今後はメールマガジンに代わる新たな発信手段の活用を予定しており、令和8年度中にメールマガジンの配信終了を予定していることから廃止とさせていただきます。
10ページを御覧ください。予算編成時におけるEBPMの取組を事前分析表から抜粋しております。また、具体的な活用事例を紹介した資料として、資料2の令和8年度予算編成等におけるEBPMの活用状況を作成しておりますので、御一読いただければと思います。
参考といたしまして、11ページを御覧ください。11ページから12ページは事前分析表に記載されている財務省の施策・政策におけるデジタル化への取組の一覧となります。
最後に13ページは、過去5年間における測定指標の推移となっております。先ほど御説明しましたとおり、政策目標2-1における定量的測定指標、税制メールマガジン登録者数を廃止いたしますので、昨年度の141指標から140指標へマイナス1となっております。
以上が令和8年度財務省政策評価実施計画等(案)の概要についての御説明となります。
以上でございます。
○吉野座長
簡潔な御説明ありがとうございました。
それでは、委員の先生方から御発言を頂き、最後にまとめて財務省側から御発言を頂くということにしたいと思います。委員の皆様の御発言につきましては、対面でまず御出席されている委員の方々からお話を伺い、それからオンラインの方々にあいうえお順で順次御指名させていただきます。
会場にいらっしゃる委員の方々はお手元のマイクをオンにして御発言いただきたいと思います。また、オンラインの方々にはミュートボタンを解除して御発言いただきたいと思います。時間の関係で、恐縮ですけども、お一人当たり5分以内で御発言をお願いしたいと思います。
それでは、まず会場の田中直毅委員からお願いいたします。
○田中直毅委員
どうもありがとうございます。
今の湯下審議官のお話の実施計画の中に「マーケットからの信認の確保」があります。これは今後の日本の財政の在り方を考える上で極めて重要なポイントだと思います。今後はこの実施計画の中にマーケットからどういう評価が下っているのかについて1項目を立てていただいたほうがいいのではないかと思います。
私が注目しているのはJGBのETFがヨーロッパで上場されていることです。中期国債、長期国債、超長期国債を混ぜたETFなんですが、この値段が世界情勢の変化の中で大きく変化することがあります。最初に気づいたのは2022年の英国のトラス政権の財政上の破綻といいますか、マーケットで厳しく追い込まれたときです。わずか3か月程度でトラス政権は終わったんですが、そのときにヨーロッパに上場されていますJGBのETFが大きく売られた。これはどういう商いかというと、レポ取引で買い戻し条件付きで売りを入れる金融業者の人が大勢いたということです。トラス政権の下で英国がたどった道筋の中で、うまくやった金融業者もいれば、手ひどい打撃を受けたひともいたんだと思いますが、そのときにJGBのETFは使い物になった。使い物になるというのは、先ほど言いましたように、先物のところで買い戻し条件付きで足元で売りを入れて、それを人より早くやって、ここでロスの回復、あるいは更に儲けにするという作業です。
2022年12月の初めに日本銀行の政策担当者の人と議論する機会があったんですが、私はこのJGBがトータルに言えばグローバルには売られているよと。イールドカーブコントロールは本当に有効だと思っているんですかというお話をしました。そのときにその担当の人は、ヨーロッパで上場されているJGBのETFの値動きについてはチェックしますと言われました。黒田総裁の下で2022年の暮れにイールドカーブコントロールからの離脱の第一歩が始まったんですが、私は日本銀行の中でヨーロッパで上場されているJGBのETF、ユーロ建てなんですけれども、これが恐らく黒田総裁を説得する有力な材料になったのではないかと思っています。
コロナが終わった段階で中央銀行がバランスシートの圧縮に入ります。米国連銀のバランスシートの圧縮の行動が出ますと、このときもJGBのETFは売られています。ヨーロッパ、そして特に米国でバランスシートの圧縮を中央銀行がやっても、我が国ではその気配もない。ごく最近ですが、植田総裁がバランスシートの圧縮に100年を要するというような、これを絵空事と言っていいのか、よく分かりませんが、とにかくそういう発言が出るくらいのティミッドな現実への対応です。
そういう折に、やっぱりマーケットは、JGBは買えないんだと判断している。あるいはスペキュレーションの対象です。買い戻し条件付きで売っていますから、バランスシートの両方ありますから、もしへまをやったとしても大したけがではない、しかしうまく当てれば下がったところで買い戻せばいいわけですから、こんなうまい話はないという材料にJGBがなっているという厳しい現実があります。
私は今後、実施計画の中に「マーケットからの信認の確保」が重要だと言われるならば、この点についての定期的なチェックを、マーケットはどう反応したのかというのを1項目入れていただきたいと思っております。これは日本の中長期的な財政の在り方を考えたときに、マーケットが極めて厳しい評価をしている、これは為替レートにも当然反映しますから、円建ての金融資産の値段という形で為替レートに御存じのように反映しております。こういう中で現実の財政の在り方が論じられているわけですけれども、私は「マーケットの信認の確保」という極めて重要なところから、これを定期的にチェックすることが重要ではないかと思っています。
ありがとうございました。
○吉野座長
どうもありがとうございました。
続きまして、田辺委員、お願いいたします。
○田辺委員
今回の実施計画の中では、まず一番初めに債務残高対GDP比というところで安定的な財政の確保というところを打ち出しているという、それを取り込んだという点、2番目に経済安全保障というものをかなり強めに打ち出しているということ、3番目にEBPMというデータを活用して、これって本当に効くのというところを租特であるとか補助金、それから財投等に積極的に適用して判断していくということを打ち出しているというのが恐らく大きな変化というか、特徴だと思います。
田中直毅委員がおっしゃったように、それに対して市場がどう反応してくるのかというのは圧倒的に大切なことであり、恐らく財務省の各部署の方々もそれを気にしながら施策を展開しているということではあろうと思います。他方、財務省のもう1つの難しさというのは、政治の問題というのがあるので、政治的にどういうふうにこれを取られるのかということに関して、かなり反応が大きいというところなんだろうと思います。
今回の3つの部分、特に一番初めのところの債務残高対GDP比というところにある意味、財政のサステナビリティの指標というのを若干変えているというところは、紛れもなく政権の変化に対応するものだろうと思います。これ自体は実際にそれが本当に有効な指標かどうかという問題は別にして、政治のほうでそう御判断なさったので、それに対応して施策を展開するぞということで了解するところでありますし、また、経済安全保障というのも、やはり政権の動きはあるんだろうと思いますけれども、ただ、従来で言いますと経済安全保障に関しては経産省の独壇場に近かったものだと思いますけれども、財務省が主要な観点として入れてくるということによる変化というのは、恐らくかなり結構大きいのではないのかなと思っております。
3番目のEBPMに関しては、EBPM自体は各省の各事業のところで展開されているものではありますけれども、それを資源配分にどう結びつけるのかというところは非常に大きな一歩でありまして、各省庁で効かないからといってやめるかというと、あまりそうでもないところがあるので、それを積極的に資源配分の根拠として使っていくという方向性というのも、結構長期的には影響があるのではないのかなと思ったということであります。
実施計画の変化というのは、外からはあまり大きく見えませんけれども、それが中長期的に資源配分に結びつく、さらには財政安定に結びつけるというところでは、割と手段を通じ、こういう手段を入れ込むことによって、ほかの省庁に影響を与えるのだというところでは大きなものがあるのではないのかなと感じているという次第でございます。ここをよりよく財務省の中で展開いただくことを期待しております。
以上です。
○吉野座長
ありがとうございます。
それでは、広瀬委員、お願いいたします。
○広瀬委員
ありがとうございます。今回の総選挙で景色が大きく変わったわけですけれども、高市首相が「強い経済」を目指すというふうにおっしゃっているわけで、それを踏まえれば、今回の実施計画、それから目標等につきまして、適切というか、特に異論はございません。その上で何点か述べたいと思います。
まず予算ですけれども、3月中かどうかは別にして、実質的には年度内成立ということになるのではないかと思いますけれども、内容的に、1つは戦略的な危機管理投資とか成長投資、それが盛り込まれておりますし、さらにスタートアップとかイノベーションとか地域産業クラスターとか、そういったところにも配慮がされていると。一方で、当初予算としてPB黒字化が実現して、あるいは新規の国債も抑制するということ、財政規律の配慮もされておりますので、一定の評価はできるのではないかなと思っております。
その上で、今後の問題として、食料品の消費税を2年間ゼロにするということがこれから課題になってくるわけでありますけれども、昨年は米をはじめ食料品の値上がりが結構続きましたので、そういうことになったのかもしれませんけれども、ここに来て中東情勢、イランの戦争によって状況が大きく変わったのではないかなというふうに思っております。今後は、既に出ておりますけれども、エネルギー価格が相当高騰するということは避けられませんし、更にそれがいろいろな製品、これは日用品も含めてですけれども、波及していきますので、まずは大元のエネルギー価格を抑えるということが重要でありまして、年間5兆円の原資があるのであれば、そういうふうな対策に使ったほうが国民生活、あるいは経済活動にとっては速効性もあり、あるいは有効になるのではないかなというふうに思っております。
いずれにしても、いろいろな経緯でこれが出てきたわけですけれども、大きく情勢は変わっておりますので、そういったことも踏まえて対応していくべきではないかなというふうに考えております。
次に、コロナの後、ここ数年続いてきた巨大な補正予算を、在り方を見直すということが言われておりますけれども、これは大いに期待しているところでございます。今回も本予算の段階ではPB黒字化になっているわけですけれども、補正予算によってこれがまた元に戻ってしまっては元も子もないわけでありますので、これから秋に向けて是非この方針を高市首相の強力なリーダーシップで堅持していただきたいと思っております。
最後に、給付付き税額控除ですけれども、今までもその有効性ということが論じられてきましたけれども、捕捉の問題とか制度設計が非常に難しいということで、なかなか進まなかったわけでありますけれども、結果として、いつでもこういう制度があればいいのになということをずっと続けて今日に至っているのではないのかなと思います。したがって、取りあえず完全ではなくてもいいので、まずできることからこの制度をスタートさせるということも必要なのではないかなと。せっかく国民会議もできましたし、与野党もほぼ一致しているわけですから、今回は何らかの前進というか、形になればいいなというふうに期待しております。
いずれにしても、高市首相が言われている「強い経済」に欠かせないのが、「強い経済」の1つのピースになるのが財政の健全性、持続性ということで、「強い経済」と財政の健全性というのは相反するものではなくて、「強い経済」の1つとしてそれがあるということを改めて確認する必要があるのではないかなというふうに考えております。
以上でございます。
○吉野座長
どうもありがとうございます。
それでは、山本委員、お願いいたします。
○山本委員
ありがとうございます。いろいろ政治的な中でよく練られた案だと思いますが、最終的に「骨太の方針」でまたこの実施計画(案)も変わる可能性がかなり高いんですが、少し気になった点を何点か申し上げたいと思います。
最初は用語の使い方なんですが、用語集の最後のほうには基礎的財政収支、PBの話はまだ定義として残っているんですが、今回新たに盛られました債務残高対GDP比の債務残高が何を示しているかというのは、首相も明確におっしゃらなかったので致し方ないとは思うんですけれども、きちんとした定義が必要ではないかと思います。と申しますのは、最近いろいろな方々の発言等を聞いていますと、制度論的に非常に問題があるような発言もあって、債務償還費なんていうのは予算にもともと計上するのは日本だけでおかしいんだとか、そういうのが堂々と政府に関わっておられる委員の方々からも論述があるということで、この債務残高というのがいわゆるSNAベースの国と地方、いわゆる中央政府と地方政府を合わせたものを示しているのか、PBのようにですね、あるいは一般政府を示しているのか、あるいは抽象的な概念としての政府の債務残高なのかによっていろいろ違ってくるものですから、ここら辺はいずれ明確になると思うんですが、そこら辺を今後明確にしていただきたいと思います。表には一応、参考資料にはまだ依然としてPBも残っているんですが、債務残高がどうしたものなのかというのは、PBは分かるんですが、ということです。
それと、先ほど来御発言があったようにイランの原油に係る、今後いろいろな問題が出てまいりますので、文言の中に依然として「デフレからの脱却を確実なものとし」という文言が残っているんですが、私は景気の専門家でもないから言えないんですが、こういう表現でいいのかどうか、我々素人からすると違和感が若干まだ残っておるということです。
それと田辺委員もおっしゃったんですが、EBPMの話というのは非常に予算編成上も重要で、確かに評価からのフィードバックで日本版DOGEですか、そういうことで妙なものはやめるというのは非常にいいことだと思うんですが、本来EBPMの目指したものというのは、最初の段階で新規の政策等について証拠がないものはなるべくしないとか、証拠があるものに限ってなるべくやっていくという、かなり理想論に近いようなものからスタートしておりますから、そこら辺を忘れないようにして、予算編成の中で積極的にお使いいただくのがいいのではないかと思っております。
それと税制の広報の中で、将来の有権者、将来の納税者に対する広報が非常に重要であるというのは、これは私も全く同感でありますが、ここら辺の1つの活動指標的なものも、いろいろ税制の教育とか、あるいは税に対する作文とかされているということは承知しておりますが、ここら辺がもう少し、広報に係る活動的な指標を、参考でもいいかと思いますが、是非お考えいただければありがたいと思います。
最後に、気候変動の問題というのも、これは国際関係で非常によく議論されるわけなんですが、私が見た限りではパリ協定以降の話は、確かに国際的になかなかまとまっていないんですが、COP30もあったわけですので、そこら辺やや停滞的ではあるんですが、もし新しく書き下ろせるのであれば、少し新しい動向も踏まえていただくとありがたいということでございます。
以上でございます。ありがとうございました。
○吉野座長
どうもありがとうございました。
それでは、オンラインで御出席の秋池委員、ミュートボタンを解除して御発言いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○秋池委員
ありがとうございます。
3点ございまして、まず世界の情勢が大きく変化しているという中で、物価高、その他も見込まれないわけではなく、足元の生活が厳しいというようなことも出てくるかとは思うのですが、一方で長期の目線で見て、先ほど来出ていますマーケットからの信任、世界の国々からの信認ということを考えますと、財政が健全性を保っているということも非常に重要なことでありますので、そういった中でここに記載されているようなことを、非常に困難もあろうかと思いますが、お取組いただけるといいと御期待申し上げます。こちらの今回掲げられた目標につきましては賛同するところです。
2点目ですけれども、給付付き税額控除が昨今非常に議論が、以前から言われていますけれども、盛り上がっているというところがございます。この設計というのは非常に難しいというお話を聞くことがございますけれども、是非知恵を集めて、うまい形で作って、生活保護を受けずに踏みとどまっているような方たちも含めて、いい制度になっていくといいと思います。
3点目に、EBPMにつきまして、頂戴した資料2を拝見いたしました。いずれも大変お手間のかかるお取組だろうなと思うのですけれども、優れた分析がされていると思います。なかなか難しいところもあろうかと思いますが、最終的にはグランドデザインの中で同じものに対してアプローチしているものというのがきっと幾つかある、同じような予算の中でそういう取組がある、そういったときに、これとこれを組み合わせると、別の省庁のものでもあるけれども、より良い効果が出るというものもあったり、1つ1つを見ていると、こちらがあれば実はこちらは不要なのではないかというようなことも本当はあるのではないかということも考えたりいたします。そういう意味では、そういった大きな目で見ていけるようなお取組、これは非常に時間もかかるし、難しいところかとは思いますが、EBPMというものがこれから洗練されていく中で、そういったことも念頭に取り組んでいかれると良いのではないかなというふうに思いました。
目標につきましては、いずれもこういった記載でよろしいかと思っております。
以上です。
○吉野座長
どうもありがとうございます。
引き続きまして、翁委員、ミュートボタンを解除して御発言いただきたいと思います。
○翁委員
私も本日示されました実施計画(案)について、全体として賛同しております。私も、秋池委員とほとんど同じ論点で3つでございますけれども、用意してまいりましたので申し上げたいと思います。
第1点目は、やはりEBPMでございますが、御紹介の冊子のほうにもございますけれども、税制調査会で租税特別措置につきまして、1年前は賃上げ税制について、また本年は研究開発税制について、かなり公表データを用いたりして、相当洗練された分析を行っております。御紹介されているように少しずつ予算の見直しに反映されてきているかと思います。是非こういう取組を地道に続けていただきたいというふうに思いますし、大変いいなと思っておりますのは、担当省庁もお呼びして、それで専門家の方との議論を進めていることによって、担当省庁の方もこういったEBPMの重要性とか、技術的な面も含めてしっかりと取り組んでいただくことが大事だというふうに思っております。理財局とか、ほかの局につきましても、少しずつ取り組んでおりますけれども、しっかりこれが、省庁全体にこのEBPMをしっかりと根付かせていただいて、予算に反映させていくということができるとよいと思っておりますし、また、こういう取組自体は広報とか、こういったことでもしっかりとやっているというようなことを発信していくことも大変大事なのではないかなというふうに思っております。
日本版DOGEというものができておりますけれども、多分それは、私自身期待しているところは、ある政策に対して補助金がいいのか、それとも税制がいいのか、それとも財政投融資がいいのかといった、そういったことに関しましても少し横断的に、本当に有効な手段は何なのかというふうなことも含めてしっかりと効果的で、かつ効率的な財政運営ができるような方に生かしていっていただきたいなというふうに期待しております。
2つ目は給付付き税額控除でございますけれども、中低所得の勤労者への支援という意味だけでなく、これは大変インフラとしても所得把握ができるということを実現していくことは大変大事だと思っております。イギリスのユニバーサルクレジットにつきましても、まだ途中段階ですけれども、これをかなり整備させていたことでコロナへの迅速な給付が可能になったという評価もされているわけでございます。その意味では、本当に危機的なときにはスピーディに必要なところに届けるということとか、それからそれをばらまきでなく、本当に必要な人に届けていくというような財政の効果の面でも、大変インフラとしても大事になってきていると思っておりますので、省庁横断的、自治体も含めてだと思いますけれども、是非しっかりと取り組んでいただいて、この評価懇談会でも何度もこの議論は出てきていると思いますけれども、よろしくお願いしたいなと思っております。
3番目は、やはり中東情勢でございまして、どのようになるのか不確実性が高くて分からないんですけれども、かなりのエネルギー価格の高騰、インフレ、それから円安傾向、こういった状況が見えてきて、また将来の不確実性ということで、国民生活にもかなりの影響を及ぼしてきていると思います。ですので、マーケットについても、また国民生活についても非常に大きな影響が出てくる可能性があるわけでございますので、しっかりマーケットもよく見ながら、しかし実体経済の動きもよく見て、迅速かつ適切な経済財政運営をお願いしたいなというように思っております。
私からは以上でございます。
○吉野座長
どうもありがとうございます。
続きまして、田中弥生委員、ミュートを解除して御発言をお願いしたいと思います。
○田中弥生委員
ありがとうございます。私のほうからは財政に関すること、そして若干EBPMに関することを申し上げたいと思います。
まず最初に、今回出していただいた評価の計画書、こちらの内容については異論ございません。よくお作りいただいたと思います。
その上で、財政については大きく2点申し上げたいと思います。1つはPBの黒字化ですね。これはインフレに伴って達成するということもあったと思いますけれども、今回は目標、計画書の中からは取り除かれたわけですけれども、債務残高対GDP比を引き下げていくときに必要なロードマップというものがPBの黒字化、PB目標がないことによって見えにくくなったと思います。IMFの基準によれば、複数の財務指標、しかも目標値があるということが望ましいとされていることに比べますと、やはり日本の財政に向けた、健全化に向けた目標が以前よりも曖昧になっているのではないかということが懸念されるところです。これが1点目です。
2点目が「補正予算の平時化」です。これは本計画にはまだなく、恐らく「骨太の方針」ができて来年辺りに、あるいは今年の秋に議論が出てくると思いますけれども、既に高市政権のほうでこれが挙げられていますので、少し考えてみました。額面どおりにとれば、補正予算に依存し過ぎていたものを当初の予算のほうにできるだけのせていくということなので、これは予算の透明化と、それから、繰越を減らし執行で促すという意味では良いことです。しかし資料とか国会での答弁を聞いておりますと別の目的もあるのではないかと思います。それは政権が掲げている17の戦略目標であり、これを複数年で実行し、さらに予算をできるだけ当初予算に寄せて額を見せていく、それによって、予見可能性を高め、民間の投資をよりインバイトしやすくなるという意図があるというふうに拝見しています。そうなりますと、当初予算のほうで補正予算分も積んだけれども、何らかの理由によって秋に更に補正予算を積むということがこのままだと起こり得ると思います。そうすると、予算が膨張してしまう可能性がありますので、やはり補正予算についてルールを設けておかないと、予算が膨らみ続けるというリスクをはらんでいるんじゃないかというふうに思います。これが財政に関する2つのコメントです。
それからEBPMであります。先ほど翁委員もおっしゃっていましたけれども、税調のEBPMの資料は本当に優れていると思いました。昨年、賃上げ税制、中小企業分、それから教育費上乗せ部分については廃止になりましたけれども、会計検査院のほうでもEBPMを使わせていただきながら、あるいは税調の資料を拝見しながら提案をさせていただきました。そういう意味で税調のEBPM専門家会合の資料というのは、まさに制度を大きく見直す、あるいは改正するということに寄与している、とても良い例だと思います。本来のEBPMの使い方ではないかというふうに思います。
資料のEBPMのほうを拝見させていただいたのですが、デジタル化基盤改革支援事業の中の、中小の自治体のデジタル化を進めるための補助金に対するレビューアーのコメントに、アウトカム指標が書けていないというものがあります。そのとおりだと思いますが、実際に小さな自治体の現場を見てみますと、課題そのものが何であるのかということを把握し切れていないところが結構あります。つまり目標以前の問題のほうが大きいような気がします。その意味で、まず自治体の課題を整理するようなサポートが必要ではないかというふうに思いました。
以上になります。ありがとうございました。
○吉野座長
どうもありがとうございます。
それでは、今日御欠席の江川委員に関しまして、湯下政策立案総括審議官から代読をお願いいたします。
○湯下政策立案総括審議官
江川委員から御意見を頂いておりますので、代読させていただきます。
1、財政再建について、日本の政府債務残高対GDP比は約230から235%に達し、主要先進国の中で突出していることに危機感を持って財政再建に取り組むべきである。政策の基本目標、総合目標1について、「債務残高対GDP比を安定的に引き下げる」という目標では、インフレで名目成長率が高まると自然に債務残高対GDP比が低下し、財政再建が進まない可能性がある。インフレ下でも歳出の膨張を防ぐために実質ベースの目標を併用したほうがよいのではないか。
2、消費税と給付付き税額控除について、衆議院選の公約である「2年間の食料品消費税率ゼロ」は、①財源が確保されていない、②ゼロにした消費税を再度上げるのは困難、③小売店(零細小売店を含む)に頻繁なシステム投資の負担がかかる、などの理由から望ましくない。物価高騰に対する経済対策としては、給付付き税額控除をできるだけ早く実現すべきである。
3、トランプ関税への対応、日米関税合意の中の5,500億ドルの投資スキームは、トランプ大統領が発動した高関税に対応するためだったので、最高裁の違憲判決が出たことを踏まえて再交渉することが望ましい。それが難しければ投資のタイミングを遅らせるなどの工夫はできないか。
4、国有財産の管理・処分と有効活用について、「政策目標3-3、庁舎及び宿舎を含む国有財産の適正な管理・処分及び有効活用と情報提供の充実」について、「介護や保育などの社会福祉分野のほか、防災やまちづくりにおける国有地の更なる活用も含め、地域や社会のニーズ及び個々の国有財産の状況に応じた最適な形での国有財産の有効活用に取り組んでいきます」という考え方に賛同する。一時期、財務省は都心の宿舎等の国有財産を積極的に処分していたが、それらの土地には民間事業者の高級マンションが建設されることが多く、社会のニーズに合致した利用がなされていない印象があった。介護、保育、防災、まちづくりなど、幅広い社会のニーズに応じた活用が望ましい。
以上でございます。
○吉野座長
それでは、私のほうからコメントを数点させていただきたいと思います。
この政策評価の報告書は非常によくできていると思いますが、幾つか、今日の先生方のご意見も含めまして、まず1つは、何か1つの指標としてトラスタブル・ガバメントというような、いろいろな指標があると思いますから、将来そういう指標で日本がどれくらいになっているかというのがうまく、いろいろな指標があると思いますけれども、それを幾つか並べていただいて、政治へのメッセージということができれば、JGBとか為替とかFDIとか、それに対する信認が必要だということがメッセージとして出せるかもしれません。
2番目は、プライマリーバランスの黒字化がずっと掲げられているんですけれども、30年、40年前から経済学のほうでは、金利を含めたバランスというのを考えないといけないというふうに言われております。特に利子率がこれだけ、これから上がっていきますので、そうした場合には是非利払費も含めたバランスというのを念頭に置いた形の政策に変えていただくことが必要ではないかというふうに思います。
それから、この報告書が、たたき台ができた後にイラン戦争が起こってしまったんですけども、ちょうど日本のここ50年ぐらいのデータを見ていましたら、非常に悪いシナリオとしては大変なことが2つ起こりそうであると。1つは、石油危機のときにインフレがすごく上がりましたが、1973年、74年、1979年、80年、それで卸売物価が20%以上上がったわけですけども、それに近いことが起こるとするとインフレが起こると。2番目は、前の日本銀行のマイナス金利、そしてマネーサプライがすごく増えたことによってバブルが少し起こってきている可能性があると。そうすると2つのインフレが激しくなり、そしてバブルではじけてという、最悪のシナリオとしてはそういうのが来る可能性もあるかもしれないというふうに思っておりまして、少し中長期的に考えますと、それに対して何をしていったらいいかというと、一番オーソドックスは生産性の向上で、上がっている総供給曲線を下に下げるということだと思います。特に日本の場合にはAI・DXが入ってきているんですけども、ほかの国と比べるとまだまだ余裕がありますから、家計、企業、農業・漁業も含めて、それから政府のいろいろな事務のことも含めて、AI・DX、これを徹底的に使うことによって、生産性が5%改善すればインフレの5%抑制になるわけですから、是非いろいろなところでの生産性の向上、こういうのも将来予算の中に、どれくらい各省庁がAI・DXを入れて、それで政府の効率性を高めているかということも考えながら予算を付けていくような、何かインセンティブがあるといいのではないかというふうに思います。
シンガポールでは政府の方々の、もし間違っていなければ、ボーナスは実質的な経済成長率に従っていろいろ変わるというようなインセンティブを付けているそうでありますから、私はAI・DXをいかに使って、家計、企業、政府、農業・漁業も含めて生産性をいかに向上させるか、それによって、インフレが高くなっているんですけれども、その分だけ生産性が上がればインフレにならない訳ですから。
それから、財政政策が今いろいろ言われていますけども、前も申し上げましたけれども、4つの財政政策を比べてみますと、給付金というのが一番効かないんですね。政府の消費支出もあまり効かない。それから政府のインフラなどの投資支出、これも日本ではやはり少し落ちている。一番重要なのはR&DとかAIとかDX、こういうところに関係する財政に出すのが一番中長期的に、特に高齢化の中でもこれが一番効くということが出ておりますので、是非これを目指して、そしてインフレになっているんですけども、そこを下げるという、ですから何か起こるとすぐ財政で助けるというのではなくて、国全体がAI・DXを使って生産性を徹底的に上げようという、こういうところが必要だというふうに思います。
それから、ちょっと横にそれますけど、AI・DXに関しては世界銀行が最近、これは所得不平等を広げるんじゃないか、こういう議論があるんですけど、私はそういうふうに持っていかないことが必要だと思いまして、その理由というのは、ある程度技能がある人たちはそこで生産性が上がると。ところが、非常にシンプルな労働のところではあまり生産性が変わらなくて、そこにAI・DXが入ってくると、その方々の雇用が奪われちゃうんじゃないかと、こういうことで世界銀行は所得格差が広がるんじゃないか、こういうふうにおっしゃっているんですけども、それを解決するには、いろいろな職業の方々にジョブトレーニングができるような、そういうビデオのプログラムでもつくっていただいて、そういうのをちょっと聞くと、ここでAIとかDXを使うと我々の生産性が上がるんだなというところがたくさんありますから、そういう形で所得格差をなくして、むしろみんなが成長するような、そういうことが必要ではないかというふうに思います。
最後は、気候変動に関しては、エネルギー価格がすごく上がる中で、グリーンなエネルギーというのをもっともっと進められることが必要で、個人的には波の発電のようなことができれば、日本の場合、全部が海に囲まれていますから、いろいろなところで使えるのかなというふうに思いました。
以上が私からの意見でございます。
もし委員の先生方で、皆様方の御意見を踏まえて、もう一度御発言がもしあれば挙手をお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
よろしいようですので、それでは、ただいまの皆様方からの御意見に関しまして、財務省のほうから発言をお願いしたいというふうに思います。
それでは、主計局次長からお願いしてもよろしいでしょうか。
○吉沢主計局次長
たくさんの委員から財政健全化目標、あるいはPB、それから歳出構造の平時化、補正の平時化という点について御意見を頂きまして、ありがとうございました。
委員の皆様、よく御承知のとおりかと思いますけれども、今回のこの目標の記述につきましては、これまで「予算編成の基本方針」などで明らかになっていることを盛り込んだという位置付けでございますが、その中では、例えば財政健全化目標ですと債務残高対GDP比を安定的に引き下げていくという方向性が示されていたり、あるいは成長率を高めて、併せて金利上昇にも目配りをするということで成長率の範囲内に債務残高の伸び率を確実に抑えていくことが重要と。それからPBにつきましては、これまでの単年度ごとの達成状況を見ていく方針を数年単位でバランスを確認する方向に見直していくというような方針が示されております。ただ、いずれにしましても、これらの具体的な中身につきましてはこれから「骨太の方針」に向けて検討を進めていくということになっておりますので、今日先生方から頂きました御意見なども参考にしながら進めていきたいと思っております。
歳出の平時化につきまして、やり方によっては予算膨張の懸念があるのではないかというような御指摘も頂きました。これらにつきましても、夏から2年がかりの大改革だというふうに総理からは方針が示されておりますので、「骨太の方針」に向けて議論をよくしていきたいと思っております。
それから、用語についての御指摘も頂きました。例えば「債務残高対GDP比」、いろいろなものがあり得るという中で、公表資料におきましてはそれぞれにその用語については定義をしております。ただ、今回この財政健全化目標との関係でどのようなものが使われるかというのは今後の議論かと思いますので、そうした議論も踏まえまして、用語集の中での記載についてもよく検討していきたいというふうに考えております。
どうもありがとうございました。
○吉野座長
それでは、青木主税局長、お願いいたします。
○青木主税局長
いろいろと御意見をいただきましたが、大きく分けて3つあったと思います。1つ目が消費税と給付付き税額控除についてです。2つ目がEBPMについて、特に租税特別措置の見直しとの関係で様々な御意見を頂きました。3つ目が将来世代に対する広報活動について御意見がありましたので、御説明をさせていただきます。
まず1つ目、消費税と給付付き税額控除については、先週からこれらを議論する社会保障国民会議で、政府と各党の実務者による会議が始まっております。消費税につきましては、委員の方から御指摘もありましたが、事業者の実務への影響、昨今の中東情勢なども含めた経済や物価への影響、それからマーケットからの信認という意味でも、財源の問題、こういった問題について実務者会議で議論をしていきます。例えば実務への影響であればスーパーやコンビニなど食料品の小売業界、システム会社の方、経済・物価への影響であれば経済学者やエコノミストなど、様々な業界の方や専門家の方からお話を伺った上で、実現に向けた対応をどのように考えていくのかという議論をこれから進めていくことになっております。
給付付き税額控除につきましては、まず政策目的がどういったものであるのか、それに応じて制度設計、対象者などが決まってくると思います。委員の方からも御指摘がありましたが、実務、執行も非常に大事で、完璧なものを最初から求めればそれなりに時間がかかるかもしれませんが、一方で、早く進めるのであれば、こういうことであれば早くできるのではないかといった議論を、社会保障国民会議に近々立ち上げる予定の有識者会議で今申し上げたような論点を整理した上で、実務者会議で判断していくのかと思います。
この2つは関連しておりまして、総理は、給付付き税額控除を本丸として、特に税金や社会保険料の負担、物価高に苦しんでいる方々の負担を緩和したいとおっしゃっています。ただ、給付付き税額控除は、それなりに時間がかかるかもしれません。それまでのつなぎの措置として食料品に係る消費税率を2年間ゼロにする、そのようなお話をされています。こういった全体の話を先ほど申し上げた社会保障国民会議の中で、消費税よりも給付付き税額控除を急いだほうがよいのではないかとおっしゃっている党もございますので、そういった党も含めて御参加される各党で様々御議論の末、今年の夏前頃に中間的な取りまとめをしていくことに今のところなっております。私どもとしては、そうしたまさにオープンな議論にしっかり事務的にサポートさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
2つ目、EBPMでございます。翁委員からも政府税調の取組を御紹介いただきましたが、ここ数年の政府税調では、賃上げ促進税制や研究開発税制などについて、専門家のお力をお借りし、担当省庁も参加する形で検証を進めています。自分たちの政策がどのようにアウトカムに結びついていくのか各省庁だけでの分析は難しいところも従来はありましたが、専門家のお力もお借りして、できる限り専門的な分析をしてまいります。こうした取組をしっかり行って、中身のある税制改正としていくことが重要だと思っていますので、引き続き進めていきたいと思いますし、日本版DOGEというお話もありましたが、次の税制改正からは要望段階から取り組んでいきたいと考えております。
最後に、広報の話でございます。個人的な意見として申し上げたいのですが、役所は縦割りとなりやすいため、主税局に広報を担当する人がいて、公平な税制といったことを一生懸命広報していますが、地方税になると、それは総務省の担当ですからという話になります。納税者の方から見ると、国税であっても地方税であっても、若しくは社会保険料であっても、国・地方公共団体から徴収されるものは基本的に一緒です。それらを全体として見て公平かどうか、さらに申し上げますと、この3年ぐらい、減税の声がこれほど高まっている背景には、納めた税金がちゃんと使われているのかどうか、そこに対する納得感についてもいろいろな御意見がおそらくあるのだろうと思います。政府の仕組みというのは社会全体の助け合いの仕組みだと思いますが、社会全体の助け合いは不要だと、自分は自分でやるから余計なことはしないでほしい、だから給付ではなくて減税をしてほしいというお声がかなり強いのではないかと思っています。したがって、縦割りを越えて、給付と負担の両方を全体で見て、社会全体の助け合いのシステムが大事だということを若い世代へしっかり伝えていかないといけないと危機感を感じておりますので、私どももしっかり取り組んでいきたいと思いますし、いろいろ御支援を賜ればと思います。
以上でございます。
○吉野座長
ありがとうございました。
続きまして、井口理財局長、お願いいたします。
○井口理財局長
ありがとうございます。たくさんの委員から御意見いただきまして、大きく3つ、市場の信認に関するもの、国有財産の活用、EBPMについて、主に3つお答えできればと思っております。
最初の市場の信認の確保につきまして、田中直毅委員はじめ、非常に重要なテーマとして、特に田中直毅委員からはヨーロッパでのJGBのETFについての動き、トラス政権下のことだったということでございますけれども、非常に市場の与える影響というのは今日本の財政のみならず日本経済全体にも影響が増してきていると思っております。ただ、この点、若干ちょっと難しいと、私が改めて申し上げることではないかもしれないですが、やはりマーケットの影響というのはかなり多面的に及んでいるところがあると思います。特に直近、我々の世界ですとJGBの国債金利が直前、過去最高、30年、40年がなりましたのは1月20日でございます。これについて、何で上がったのかというのはいろいろな要因があると思います。国内の要因もあると思いますし、海外の要因もある。さらに国債についても株価、為替、商品、様々なことがございますので、なかなかマーケットについての評価を直接にやるのは難しいかなと思いつつ、当然我々としては国債発行当局として、我々の目標にも書いてございますけれども、中長期的に安定的に財源調達をどうするかという意味で、金利については関心を払わざるを得ないと思っておりますし、また先生がおっしゃったように広く財政、日本に対する評価という意味でも、例えば国債金利であれば利払費という形で見られていくという意味でも、市場の影響を今後重視しなくてはいけないということは間違いないことだと思っております。そういう意味で肝に銘じて対応していかなくてはいけない大きな問題だと感じております。
2つ目でございます国有財産のことについて、江川委員から御指摘がございました。国有財産、都心部という意味ではかなり限られてきておりますけれども、国有地の有効活用という意味では、今現在ですと例えばBCP対応宿舎をどうするか、これだけ防災が課題になっておりますので、そういうものについての対応をどうするか。あとは、中には留保財産という形で幾つか留保している土地もございまして、中には地元自治体、これは東京23区内でございますけれども、自治体と調整をして介護施設を建てているようなところ等々ございまして、そうした形で着実に対応していければと思っております。それが2つ目でございます。
最後、EBPMにつきましても、多数御指摘を伺っております。我々の場合、財政投融資というものがメインになりますけれども、先ほど税調、主税局の資料、主計局の資料の活用ぶりについて出ておりましたが、財投のほうもそうした他部局の経験を参考にさせていただきながら、更に進めていければと思っております。
以上でございます。
○吉野座長
ありがとうございます。
引き続きまして、今村国際局次長、お願いいたします。
○今村国際局次長
ありがとうございます。委員の皆様から御指摘がございましたように、現在はイラン情勢等々でマーケット、それから実体経済への影響というものが見られる中で、我々国際局といたしましても、例えばG7ですとか、そういったカウンターパートと今緊密に連携をとりながら、エネルギー市場、為替市場も含め、市場の安定化、それから経済への影響をどれだけミニマイズできるかというのを日々議論しているところでございます。
今日、国際局関連で大きく2つ御指摘を頂戴したかと思います。1つが経済安全保障の面、それから気候変動に関して、この2つに関して私のほうから申し上げたいと思います。
まず1点目の経済安全保障、田辺委員から御指摘ございまして、経済安全保障の中で財務省の役割がますます大きくなっているという点でございますけれども、まさに御指摘のとおりでございます。もともと外為法の所管をしているのは財務省でございますけれども、特に現在、経済安全保障の強化、これは極めて重要であると同時に、健全な投資というのは引き続きしっかり日本に来ていただく必要があると。そういう面から財務省というのは、その経済安全保障の強化と、それから健全な投資をいかにバランスをとっていくか、そこは例えばほかの事業所管官庁にはなかなか持てない視点でございますので、そういったことをしっかりやっていくと。その中で、吉野座長から御指摘ございましたように、DXですけれども、我々も遅ればせながら、例えば投資家のいろいろな手続を便利にする際にDXを活用しまして、一層健全な投資を呼び込むという努力を少しずつですけれども、やっておるということでございまして、そちらのほうは今回の政策評価の計画書の中にも書かせていただいているというところでございます。
2つ目の気候変動でございます。山本委員と吉野座長から御指摘ございまして、御指摘のとおりパリ協定ですとか、それに向けていろいろな大きな動きがあるわけでございます。その中でも日本といたしましては、そうした協定の目標に向けてしっかりやっていくと。他方で財務省は、なかなかツールといたしましても役割といたしましても、限られたところがあるというのは前提としてございますけれども、その中でも例えば日本がG7、2023年に議長をしたときにRISEイニシアチブというのを立ち上げまして、それは途上国でのクリーンテクノロジーというものをしっかり支援していきましょうというのをやっております。そちらも今回の計画書に書いておりますけれども、かなり今参加国も増えてまいりまして、日本発のイニシアチブでG7等々を巻き込みながら、途上国でクリーンエネルギーの技術をしっかり支えていこう、こういうことを引き続きこれからもしっかりやっていこうというふうに思っておりまして、なかなかツールが限られている中でございますけれども、そうした面、手綱を緩まさずやっていきたいというふうに考えておりまして、そちらを今回の計画書の中にも考え方を反映させていただいているというところでございます。
私からは以上です。
○吉野座長
ありがとうございます。
それでは、前田総括審議官、お願いいたします。
○前田総括審議官
私からは1点、山本先生から御指摘のございましたデフレからの脱却の件でございます。足元の消費者物価ですけれども、直近少し落ち着いてきたんですけれども、食料品価格を中心に前年比で2%を超える上昇率が続いているという意味では、デフレの状況にはないという認識はしていますし、また、御指摘のあったように物価上昇率だけを見ればデフレからの脱却は確実なものでないという目標の背後にある認識に違和感があるというのは、よく理解はできるところでございます。他方、デフレ脱却の判断、これ自身は内閣府の経済分析部門が行うということになっていますけれども、この判断に当たりましては、物価の基調だけではなくて、賃金の上昇の持続性ですとか、GDPギャップですとか、物価動向の背景となる実体経済面も併せて検討した上で、デフレに再び戻る見込みがないかどうかを総合的に判断する必要があるというふうに考えておられるようでございます。特にGDPギャップにつきましては、今ゼロ近傍なんですけれども、昨年の7-9月期はマイナスになったりして、なかなか安定してプラスになっていないという現状はございます。そういう意味で、現時点では再びデフレに戻る見込みがない、すなわちデフレを脱却したと言える状況には至っていないというのが内閣府の判断だろうというふうに承知をしておりまして、こうした判断を踏まえますと、総合目標において「デフレからの脱却を確実なものにする」という記載は残さざるを得ないのかなというふうに考えてございます。
○吉野座長
どうもありがとうございます。
それでは、江島国税庁長官、お願いいたします。
○江島国税庁長官
ありがとうございます。山本委員から、未来の納税者への広報というのが重要であり、作文なり租税教室なりに何らかの指標をというお話を頂戴いたしました。本日は財務省の政策評価でございますけれども、私ども国税庁も実績評価をやっておりまして、その中の施策で租税に関する啓発活動というのを掲げておりますが、その参考指標として御指摘のあった租税教室への講師派遣の人員ですとか、あるいは税の作文の応募数というのを設け、定期的にチェックさせていただいているということを付言させていただきます。ありがとうございました。
○吉野座長
ありがとうございます。
それでは、最後に新川事務次官から、まとめの御発言を頂ければと思います。
○新川事務次官
本日は大変ありがとうございました。
この行政評価・政策評価というのは、私から言うまでもないんですが、まずは行政府としては、立法府たる国会が定められた方針に従って、行政府の中で一定の担務を有します財務省の様々な施策について内閣の基本方針にのっとってやっていること、その前提で非常に大部の行政評価の原案、今回の原案についていろいろ先生方の御意見を賜りまして、全体としてはこの内容について評価いただいたことについて改めて感謝を申し上げます。
その上で、これだけの委員の先生方がいらっしゃる中ですから、それだけにとどまらず、政府として、あるいは財務省として、とるべき様々な今後の在り方についても今日貴重な御意見を賜ったと思います。大きなものとしては、財政健全化の目標なり、その取扱いについて、それからその前提で様々な政策手段、財政政策も含めてどのような手段をとっていくのがいいのかということについて、それをどのように適正なものを実現していくかということであったと思います。特にその手段として、今日多くの先生方が言及されましたEBPMの活用ですとか、あるいはマーケットの信認ですね、こうしたものをどのようにやっていくのか、こういったものを活用しながら、さっき申し上げたような制約はあるものの、どのようにして今起こっている情勢に対して適切に行政府として、財務省として対処していくのかということを、そうしたものを手段といいますか、武器といいますか、そういうことがより重要になっているのではないかと考えました。
それから、直近では中東情勢が非常に大きな課題になっておりますけれども、この問題で、今直近でも既に様々な問題が、日本の財政とか日本の経済が抱えている様々な問題が浮き彫りになっていると思いますし、今後起こり得る様々なリスクに対処していくためにも、より今回強く意識された中東情勢について、より重点的に対応していく必要があろうというふうに思っております。
これまでも先生方、非常に貴重な御意見、それから提言を頂きまして、是非それを生かしていきたいと思いますし、今回で最後となります委員の先生方もいらっしゃいます。長年の御指導、本当にありがとうございました。引き続き財務省に対して御指導賜ればと思います。
本日頂いた提言、それから日頃いろいろと御指導いただいている点も含めまして、政治も、それから経済・財政運営も非常に難しい局面、それからこれまでとは違う局面を迎えると思いますので、しっかりと対応していきたいと思いますし、いろいろな点で引き続き御指導賜ればと思います。本日は大変ありがとうございました。
○吉野座長
どうも皆様ありがとうございました。多分イラン情勢も含めて、すごく不確実性が増していますし、ややもすれば、そういうときには必ず財政出動、財政出動という意見が出るわけですけれども、本当に効率的な財政出動とは何かと。それから国の信認というのはあると思いますので、中長期的なことも考えていただきながら、財務省のここにおられる方々の役割はすごく大きいと思いますので、是非日本が変な方向に行かないように、今日のいろいろな先生方の御意見も踏まえて、政治にもいい意味での発信をしていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、これをもちまして本日の議題は全て終了いたしました。
次回の懇談会は、通例ですと6月頃を予定しております。議事内容としましては「財務省令和7年度の政策評価書」及び「国税庁令和8事務年度の実績評価書実施計画」を予定しておりますが、具体的な内容、あるいは日程につきましては、事務局からまた御連絡させていただきたいと思います。
本日の懇談会の議事内容につきましては、各委員に御確認の上、財務省のウェブサイトで公開を予定いたしております。財務省におかれましては、本日の皆様方の御意見を踏まえ、しっかりしたPDCAサイクルを回していただきたいというふうに思っております。
それでは、これをもちまして政策評価懇談会を閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。
── 了 ──

