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「財務省政策評価懇談会」委員からの意見等について

令和2年3月31日

財務省大臣官房文書課政策評価室


「財務省政策評価懇談会」委員からの意見等について


 「令和2年度財務省政策評価実施計画(案)」、「令和2年度財務省政策評価の事前分析表(案)」及び「令和2年度予算編成等における政策評価の活用状況」について、令和2年3月9日から13日にかけて、財務省政策評価懇談会委員から個別に意見等を聴取した。主な意見等は下記のとおり。


※敬称略、五十音順。

(秋池 玲子)

  •  国有財産の入札情報を全国版空き家・空き地バンクへ登録することについては、当該サイトへの登録で、どの程度の効果があるのかという検証が必要である。
     一方で、国有財産の情報を当該サイトに掲載することにより、当該サイトの閲覧数が増加する等、好循環が生まれる可能性があるので、そのような効果を含め、継続的に検証することが必要である。
  •  対内直接投資審査制度については、租税回避と同様で、どこかの国の基準が甘いとその国が抜け穴となってしまうので、適切に対応する必要がある。
  •  消費税率の引上げは、財政健全化に向けて不可欠な取組であった。今後も引き続き、財政健全化に向けて、財務省を挙げての努力に期待する。
  •  新型コロナウイルス感染症への初期対応として、チャーター機による帰還者等を財務省の研修施設へ受け入れたことは、国民として頭が下がる思いである。
  •  災害等への対応に当たっては、迅速かつ的確な対応が求められるが、情報不足の中でどのように判断を下すかなど、マニュアル等が整備されていても、実際に直面してみないと判明しない緊急対応の難しさなどもある。
     新型コロナウイルス感染症、自然災害及び金融市場の混乱など、過去にはなかった事象が発生した際には、事態が収束した後に、その対応に関して総括すると共に、将来に備えた演習・訓練等をしておくことも重要である。
  •  新型コロナウイルス感染症の影響で、中小企業は資金繰りが大変になると思うが、技術は失われると戻ってこないので、オンリーワン技術を持っている企業が倒産するような事態は、避けなければならない。オンリーワン企業は、今を乗り切れば、グローバルニッチの分野で利益を上げることにより、業績の回復が見込まれるので、当面しっかりと支えていくことが必要である。

(秋山 咲恵)

  •  政策評価実施計画に関して、各論に異論はない。ただ、総論として、気候変動の影響で、これまでにない自然災害が増えており、今回のコロナウイルス感染症も無関係ではない。
     人の往来、物流が世界的規模に広がっているため、影響が国内だけで止まらないなど、従来とは全く異なる影響が生じることから、新たな対応を検討していく必要がある。
  •  霞が関においても働き方改革が推進されているが、労働生産性向上の観点からも、各省庁の審議会・懇談会等の事前打合せの際には、オンラインを積極的に活用していくとよい。今回のような感染症の拡大防止策としても有用であり、これを契機として、これまで当たり前のように行ってきた事も、改めて見直す機会にしてもらいたい。
  •  全国一斉休校の影響のしわ寄せが、一人親世帯、シングルマザーや子どもといった社会的弱者のところに出ている。このような状態が続けば、個人消費に影を落とすことになり、更には、国民感情として、社会の分断を引き起こすことになるのではないかと危惧している。
  •  国民が安心して穏やかに生活できるようになることで消費が確保できるので、短期的に思い切ったベーシックインカム的政策の導入を検討すべきではないか。まさに今、トリクルダウンの逆、個人消費のところを温めることで、その恩恵が全体に広がっていくと思料する。
     コロナウイルスの感染が各国に広がっているが、日本は、各国と比較すると死者数が少なく、コントロールができているのではないか。ここで、財政面においても手を打つことで、国際的なポジションを良くすることにもつながる。

(伊藤 元重)

  •  政策の評価に当たっては、継続性が重要である。財務省の政策評価は、指標と目標の関係などについて、従来からよくまとまっている。
  •  内閣の基本方針等の変更に対する取組内容の見直しなどについて、調整をしっかりされている。

(江川 雅子)

  •  国有財産の有効活用の推進(政3-3-1)
     国有財産を有効活用して(定期借地権など)、介護や保育などの分野で積極的に活用する施策は意義がある。特に都心で介護や保育の施設が不足しているので重要である。
  •  日本たばこ産業の株式保有の見直し(政策目標11-1)
     日本たばこ産業の株式保有について20年後、30年後も保有し続けるのかどうか、長期的な観点から検討をしてはどうか。現状は人事面、配当収入など、現状を維持する意義が大きいと思うが、喫煙に関する見方が急速に厳しくなっている世界情勢(国内の見方との差が大きくなっている)、ガバナンスの課題などを鑑みると、長期的に保有すべきか検討した方がよいのではないか。
  •  政府の経済見通しの信頼性
     楽観的な経済成長、増収の見通しに基づいて予算が組まれており、財政規律の緩みにつながっている。2018年度の実質成長率の見通しは1.8%と民間予想に比べて高かったが、実績は0.3%と1.5%も乖離が生じた。昨年末に公表された2020年度の実質成長率は約1.4%で、民間予想の約0.5%と大きな開きがある。これは収入は少なめに見積もるという保守的な会計原則とも相容れないし、Evidence Based Policy Making と言っているのにいかがなものか。
     政府統計、見通しなどの信頼性は、国民の政府への信頼度に大きな影響を与えるので重要である。
  •  財政健全化の重要性
     「国の信用を守り、希望ある社会を次世代に引き継ぐ」というミッションステートメントを定めたのはとても良いが、それを担保するための財政健全化の道筋が見えないことが大きな問題である。
     今年度も大規模災害やコロナ対策などで財政支援が必要となっている。勿論これらは進めるべきだが、今後も毎年大規模災害などが続くことが懸念される。今後は従来以上の補正予算や予備費が必要となることを前提に、当初策定する一般会計予算の規模を抑制気味にすることはできないのだろうか。
  •  官僚の転職と働き方改革
     若い世代の意識が大きく変わり、社会全体で働き方改革が進んでいるが、国会対応のために官僚の長時間労働が続いており、若年層の転職が増えているという。これは重大な問題なので、締め切り以降の質問は受け付けない(あるいは要点のみの簡単な答弁書とする)など工夫して、是非思い切った改革を実行すべきである。海外では、すべての質問について、そのまま読み上げられるような答弁書は作成していないのではないか。
  •  イノベーションの促進策(スタートアップ企業からの購入に対する税制優遇措置)
     産業投資などの官民ファンドは、民間資金が行き渡らない分野に呼び水的な効果をもたらす意義はあるが、監督・管理にコストがかかり過ぎて非効率なので、最小限にとどめるべきである。以前に比べると民間のベンチャー投資、エンジェル投資も増えており、現在の課題は資金以外のエコシステムの問題の方が大きい。
     例えば、スタートアップ企業からの購入に対して大企業に税制優遇をする、などの措置はできないか。官民ファンドでは、投資対象を見極めるための目利き人材の発掘が課題である。大企業は自社で購入する製品について性能のよいもの、信頼できるものを慎重に選ぶので、この措置により、目利きの機能を大企業が代替してくれることになる。スタートアップ企業も売り上げが増え、大企業との取引実績ができる。中小企業を優遇する税制・措置は多いというが、それらの一部をスタートアップ企業支援に変更できないだろうか(例えば、設立から5年以内、あるいは一定の成長率を条件とする、なども考えられる)。

(小林 喜光)

  •  政策の基本目標:財政(総合目標1)について
     令和2年度の総合目標として2025年度のプライマリーバランス黒字化目標が設定されている。これは、平成28年度の総合目標において設定されていた「プライマリーバランスの2020年度黒字化」の目標達成が困難となり、平成30年度の総合目標として改めて2025年度に目標設定しなおされたものを堅持しているものと理解している。
     一方、昨年7月の経済財政諮問会議では、内閣府の試算として高めの経済成長を前提としたシナリオでもその黒字化は2027年度となる試算が示された。極めて深刻な日本の財政状況を鑑みれば、昨年10月に消費税を引き上げ歳入面での大きな手当てを実施したにもかかわらず、逃げ水のごとくその目標が先送りされることは許されるものではない。一刻も早い財政健全化の達成に向け、歳出削減を含めた目標達成のためのアクションプランの着実な実行に引き続き努力願いたい。
  •  政策の基本目標:財政・経済運営(総合目標6)について
     現下、我が国の最大の懸案である新型コロナウイルス影響を受けた世界的な景気減速リスクへの対策において、取り得る政策を総動員し、国民と国内経済へのマイナス影響を最大限に圧縮することが期待されている。急速に進んでいる株安や不安定な為替への対応も含めて、あらゆる施策を総動員し政府、日本銀行と一体となって取り組むことで、景気の下振れを回避し、国民の不安を解消すべく最大限尽力されることを期待する。

(角 和夫)

  •  社会保障制度の持続可能性の確保に向けた基盤強化の取組において、最重要施策は、後期高齢者の自己負担割合の引き上げであり、所得水準を可能な限り低く設定し、実効ある制度となるよう期待する。

  •  国有財産の更なる活用に関して、未利用国有地の保有状況は、2001年度末には15,859件であったところ、2017年度末には3,125件となっており、16年間で1/5になっている。
     売却しやすい土地から進めた結果、将来の地域活性化に役立つ土地の希少性が高まっている。売却ではなく、定借による留保財産の選定基準が定められたことは大いに賛成。
     コンパクトシティは、今後は都市部でも重要。
     選定基準以外の市区町村においても、将来の街づくりを考え、制度を活用することが期待される。

  •  「消費税」という名称に対するアレルギーがある。プライマリーバランスの黒字化達成のために、今後の消費税率の引上げを検討していく必要があり、その際には、名称を「社会保障税」に変えてはどうか。

  •  今回のコロナウイルス感染症対策を契機に、教育、医療など様々な分野で、技術進歩によって遠隔地からの対応ができるように、遠隔授業や遠隔医療等をより進めていく必要がある。

  •  コロナウイルス感染症対策について、感染の抑え方は、諸外国に比べて、日本では結果的に非常にうまくいっていると思うが、クルーズ船の対応や検査の仕方など問題がないわけではないと思う。そういった点を含めて、責任を追及するのではなく、しっかりと原因を解明し事後検証をしなければならない。

(田中 直毅)

  •  国が担う必要がある業務と民間が担うことができる業務を更に仕分けることやICTの活用により、パブリックセクターを縮小するなど、財政赤字縮小の方策を図るべき。
  •  日本は災害が多く、万が一に対する備えが重要である。今回のコロナウイルスといった感染症対策についても財政的措置が必要だが、そのためには予算のスクラップアンドビルドが不可欠である。
  •  日本においては、感染症のパンデミックが近年発生していないことから、今回の新型コロナウイルス感染症に対応するための体制整備等が不十分である。
     2003年に発生したSARSに対応した時の自分の経験を踏まえれば、これまでも感染症対策に係る人材育成や体制整備を図っていく必要があったし、これからも努力することが重要。
  •  政権交代などがあっても、国家の重要な機能の継続性が必要である。感染症対策についても言えることだが、客観的かつ冷静な意見を頂ける有識者の存在が必要ではないか。

(田辺 国昭)

  •  社会保障制度については、今後も長期的な検討課題であるので、総合目標1に記載し、しっかりと改革を進めていってほしい。
  •  総合目標2において、人口減少や働き方の多様化などの文言が入っているのは、課税の対象が世帯単位から個人単位へといった議論を踏まえているのではないかと思料する。また、それらの文言に加えて、経済のデジタル化等への対応についても記載されているが、社会経済の変化を踏まえて適切に対応願いたい。
  •  政府系金融機関による緊急対応としての融資は、今、正に必要であるが、引き際を見極めることが重要である。
  •  新型コロナウイルス感染症を受けて、実施計画等に速やかに反映されている。東日本大震災や今回の新型コロナウイルス感染症のように、大きな災害が10年位の周期で発生しているので、今後とも、同様の事案への対応も含めて、政府全体として財務省としても適切な対応を検討していかなければならない。

(冨山 和彦)

  •  令和2年度財務省政策評価実施計画等については、現段階では、やるべき仕事を適切に行っているとの印象。
  •  新型コロナウイルス感染症の影響で、インバウンド需要の減少により、景気が後退することが予見される状況ではあるが、為替取引については、かなりの割合がAI(プログラム)による売買が行われており、AIは統計的手法を用いて学習するので、過去の災害時と同様に原因が何であれリスクがある場合は円高となりやすい。
     経済の強弱で通貨価値が調整され、国際的に適切な資源配分が行われるなどの為替が持っている本来的な機能や変動相場制の趣旨が損なわれ、経済合理性のある市場価格形成が歪んでしまっている。
  •  税制におけるグローバル化やデジタル化への対応については、難しい課題かつ日本はリーダーシップを取りやすい比較的中立的な立場にいるので、引き続き頑張って取り組んでいただきたい。
     デジタル経済圏をどのようなレギュレーションでデザインしていくのかは競争政策と税制によるところが大きいので、両者を適切にシンクロさせる必要がある。
  •  新型コロナウイルス感染症対策として、政府系金融機関による緊急措置的な融資が必要である。迅速な対応が求められる一方、いつかは終息することなので、タイムリーな実施と引き際を見極めることが重要である。

(山本 清)

  •  総合目標1と総合目標2の関係につき、財政と税制の位置関係を整理する必要はないか。
  •  財政健全化と経済再生・経済成長の関係を国民にわかりやすく説明できているか確認する必要がある。
  •  国と地方の基礎的財政収支の推移と同時に予測・見込みがあったほうが将来に実績との対比が容易である。
  •  予算編成において必要性・重要性・優先度の高い・低いの具体的な基準があるとより説得的かつEBPMの推進にもつながると思われる。
  •  デジタル通貨の問題は国際社会における国の競争力に影響するため、日銀とともに在り方を検討し、政策目標4との関連を明確にした方がよいのではないか。
  •  総合評価についても積極的に取り組むべきではないか。
  •  官庁会計システムや国有財産総合情報管理システムは規模も範囲も大きいのでその効率的効果的な利用が図られているかに関して留意していただくと、地方や他省庁のシステム運用にも役立つと思われる。財務書類や会計検査などとの連携が可能な設計になっているので。

(吉野 直行)

  •  新型コロナウイルス感染症に対応する財政支出による財政赤字の増大については、短期的には仕方がないが、歳出と歳入のバランスをとるために、金融面での対応としては、日銀が国債を購入するのが一番良い方策である。
     しかしながら、終息後には、歳出と歳入を同時方程式でとらえ、長期的な視点から、歳出と歳入が均衡するようにするべきである。
     なお、終息の時期が見通せないので、新型コロナウイルス感染症が半年以上続いた場合も想定し、長期的な対応について検討することも重要である。
  •  政府や日銀においては、国民の不安を払拭できるよう、アナウンスメント効果についても考慮した上で、適時のタイミングで情報を発信することが重要である。
  •  政府系金融機関によるつなぎ融資の実施に当たっては、災害等による一時的な業績不振か、融資先企業の構造的な業績不振か(業績の向上が見込めない等)を見極める必要がある。
     また、終息後は、民間の金融機関等が融資を行えばよいので、引き際を見極めることが重要である。
  •  日本は低金利と人口減少により手詰まり感があるので、金融機関は、単に資金を融資するのではなく、ナレッジバンク(知識の銀行)として、企業に対し知見を提供するとともに、企業が抱える経営課題等を解決できるよう、企業と併走することが必要である。
  •  対内直接投資審査制度を実効性のあるものとするためには、国の安全等を損なうおそれがある投資かどうかを個別に審査する技量が必要であり、人材育成の取組も重要である。
  •  日本の成長のためには、政府とは距離を置いた中立的な立場から、長期的な視点に基づき政策提言等を行えるような専門家集団が必要である。
  •  高齢化社会への対応として、高齢者が長く働けるよう、能力に応じた給与体系に変えることが必要である。



以上