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第83回 財務省政策評価懇談会(6月16日開催)議事要旨

日時    令和7年6月16日(月)14:58~16:51

場所財務省第3特別会議室及びWEB会議

出席者

懇談会メンバー
(懇談会メンバー)

江川雅子

成蹊学園 学園長

翁 百合

株式会社日本総合研究所 理事長

田中直毅

CIPPS 理事長

田中弥生

元会計検査院長 東京大学 客員教授

田辺国昭

東京大学大学院法学政治学研究科 教授

広瀬道明

東京ガス株式会社 相談役

山本 

東京大学名誉教授
一般社団法人青山公会計公監査研究機構 主任研究員

座長吉野直行

慶應義塾大学名誉教授、金融庁金融研究センター顧問
東京都立大学経済経営学部 特任教授

(敬称略、五十音順)

(財務省)

新川事務次官、坂本官房長、藤﨑審議官、宇波主計局長、田原主税局審議官、
高村関税局長、窪田理財局長、土谷国際局長、小宮財務総合政策研究所長

(国税庁)

奥国税庁長官、中村国税庁審議官、松代監督評価官室長

(事務局)

渡邊政策立案総括審議官、佐藤政策評価室長

議題

(1)令和6年度財務省政策評価書(案)について

(2)令和7事務年度国税庁実績評価実施計画等(案)について

議事概要

事務局より議題について説明を行い、その後、メンバーから意見等を伺った。

メンバーからの政策評価に関する主な意見等は以下のとおり。

≪令和6年度財務省政策評価書関係≫

  政策評価制度全般

  • 財務省の政策評価について、異論はない。
  • 自らの手で行うチェックはもちろん重要ではあるが、目標設定があまりにも行政的で、国民の生活の在り方についての尺度がないという感触が広がっていると思う。
  • 財務省という、様々な資金であるとか関税であるとか、いろいろな政策手段の束を持っている省庁においては、ポリシーの見直しというところも不断に取り組んでいただきたい。
  • 6年度の評価について、5年度から低くなったものは厳正に評価した上で、次の改善につなげよう、逆に高くなったものは、その改善効果が現れて、今回リカバリーできたというふうなことだと理解をし、この評価制度が一定程度、有効に機能していると前向きに受けとめた。
  • 対国民向けには、財務省全体としてこういうことをやり、こういう結果になったということを、2,3行で打ち出していく方が良いのではないか。

  広報

  • 財務省の使命にある「納税者としての国民の視点に立ち」というところに立ち返ると、まだ努力の余地があるのではないか。ターゲットをある程度絞り、その人たちの声が表に出ていくような努力や工夫をしてみてはどうか。
  • サイレントマジョリティに対して丁寧なアプローチが必要ではないか。
  • 財務省は、国債発行や税の控除等の対応などで、政治や国民に対して、コミュニケーション能力或いはチャネルをもっと増やしていくことが重要だと思う。

  財政・税制・経済運営等関係

  • 財政健全化問題は喫緊の課題だと考えている。特に、補正予算については、仕組みそのものも含めて、財政健全化に資するように見直していただきたい。
  • 補助金などの再委託で、以前問題になったような9次に渡る再委託というようなケースもあり、きちんとやっていないところは予算を大幅減額するなど、決められたルールをきちんと守っていただくようにしていく必要がある。
  • 給付金の支給などがコロナ禍以降増えたが、効率的にできる体制を整えることが本当に大切。効率的にできることにプライオリティを置くようにしないと、政策執行にお金がかかるばかりで、真水の部分が減ってしまうのではないか。
  • これから人口が減少する中、戦後作られたインフラのメンテナンスを計画的に行っていくことを最重要課題にすべき。必ずしも必要としない新しいインフラは思い切って見直すなど、プライオリティにメリハリをつけることを考えてもらいたい。
  • インフラのメンテナンス、維持補修費の確保が難しい。インフラの問題点は、収入の大半が利用者料金であること。生活必需品の収入であれば、どうしても安くなってしまい、維持補修費は出ない。例えば水道事業などは、周りの地域にスピルオーバー効果が生じて税収増に繋がるので、その貢献分は維持補修費に戻さなければいけないと思う。
  • 日本は教育に対する公的支出が8%でOECDの12%を大きく下回っている。未来世代への投資ということもしっかり考えてもらいたい。
  • 財務省に対する厳しい見方について、マスコミやSNS等の対応も重要だと思うが、特に政策の執行方法のいろいろな無駄というのは、マスコミで報じられ国民も気になっているところだと思うので、無駄を無くすことは、あらゆる人にアピールできる材料ではないかと思う。
  • EBPMについては、その効果や更なる分析の必要性などの議論が深められることが非常に重要。また、税制以外の他の分野でもEBPMを広げていくことが重要。
  • 給付金については、真に必要な対象者を絞り込む努力をすることが公平・効率の観点からも望ましい。
  • 現状では、生活保護を上回る低所得の勤労者向けの支援が不十分である。税と社会保障の一体改革は進めていかなければならないので、財務省としてリーダーシップをとって、ぜひ目標に掲げていただきたい。
  • 日本銀行の国債購入の減額が進むとともに、生命保険会社などの長期国債の需要も一段落しており、国債の消化を取り巻く様々な状況についてもわかりやすく発信していくことが重要。
  • 税制自体を分かりやすく簡素なものにしていく努力も必要であるが、それを分かりやすく発信していくこと自体が大事。
  • MMTから発展して今起きている議論の中で、国債をもっと発行すべきだという意見が出ているが、これは財務省がというよりも、社会への不安やポピュリズム化への1つの象徴なのではないか。
  • 政策評価1-4の評価において、どの程度のミスだったかにもよるが、たった1つのミスでSから落ちるというのは腑に落ちない。
  • 本年度は財政健全化に対して、やはりかなり厳しい評価というか厳しい目が入っているなという印象。2025年度という目標が難しいということで2026年度に持っていくようだが、それを含めて財務省としての厳しい自己規律というか自己評価が出ているのだろうと思った。
  • 財政はまさに国家の根幹をなすものであるから、これが長期にわたって厳しい評価ということは、取りも直さず、国家的に大変大きな問題であるという認識を持っている。これはいわゆる行政評価ではあるものの、結果として政治評価に繋がっていることで、警鐘をここで感じ取り、改めて認識をされるということかと思っている。
  • 最近の世論調査などを見ると、結構、国民の方は冷静に見ていて、財源をどうするんだといった声がだんだんと出てきて、多くの国民はそれなりに実態を理解しているような気がしている。
  • 今後の国債の発行、償還について、日銀の購入が縮小され、日本国債の評価が落ちると、当然それは民間のファイナンスまで影響してくるので、どのように努力されるのか気になっている。
  • 財政再建をするとこういう良いことがあるという、ポジティブな面を主張された方が、結果的に財政再建を進めることができるのではないか。
  • PB黒字化について、専門家でも正しい情報が知られていないことがあり、正しい情報はきちんと主張すべきではないか。
  • 財政教育をきちんとやることは非常に重要で、この政策評価書に実施状況と効果を記述していただきたい。
  • 国債はいくらでも発行し、それを日本銀行が買えば良いという意見を言う方もいるが、そこに抜けているのは、国債を誰が買うのかという点や為替の影響の点。国債は、最終的には誰かが負担しなければいけないものであり、今たくさん発行していることは今の世代が負担せず、将来に先延ばしをしていること。
  • 将来世代に負担をかけないためにも、財政の規律をしっかりしていくことが重要であり、それができるのは国の省庁で言えば財務省しかないと思う。
  • 銀行の預金が減りだし、少子化によって保険の契約も少なくなり、年金も受け取る側が多くなる。そういった中で国債を更に買わなくてはいけないとなると、民間に流れる資金が減少しクラウディングアウトになってしまう。また、金利も上がってしまう。財政規律を保ち、財政健全化することで、そういった事態を避けられるのではないか。
  • 国債をどんどん発行し続け、国内消化ができなくなれば、海外保有率が高まることになる。そこで格付けが下がれば、より高い金利でなければ買ってもらえなくなり、利払い費が上がることになる。ギリシャやアルゼンチンも、海外保有率が高まったことで破綻してしまった。そのようなリスクがないようにすることが重要。
  • 給付金の話も出たが、長期的に効果を上げるのは、生産性向上のための財政支出をすること。
  • プライマリーバランスについては、それだけでは駄目であり、あくまで通過点。財政全体のバランスでないと破綻してしまうのではないか。

≪令和7事務年度国税庁実績評価実施計画等関係≫

  実施計画全般

  • 令和7事務年度国税庁実績評価実施計画等について、異論はない。
  • 税制自体を分かりやすく簡素なものにしていく努力も必要であるが、それを分かりやすく発信していくこと自体が大事。【再掲】
  • 国税モニターのアンケート調査結果の活用について、アンケートの対象は、オピニオンリーダー的な方に特化した方が良い場合のほか、オピニオンリーダー以外の一般の方が良い場合もあり得る。可能であれば将来に向けてご検討いただきたい。

  デジタル化

  • 国税庁のDX化は、着実に進めていただいているが、やはり全体の効率化などといった面からも大切だと思うので、更に力を入れていただきたい。
  • 国税庁のデジタル化の取組は良い。
  • 所得税のオンラインによる申告手続の目標を75%から78%に3%引き上げるというのは、意欲的な目標だと思うが、目標達成のためには、多くの人が利用するふるさと納税の添付書類の添付の取扱いなど、いろいろな改善が、必要ではないか。
  • DXを中心に、全体の目標値を上げていくということ、それからより使いやすいDXに向けて、というところは、賛同できる部分である。
  • マイナンバーカードの電子証明書としての機能が5年で切れてしまい、その更新でわざわざ市町村の窓口に行かなければいけない。これを何とかしてほしいという議論が出ている。所管省庁だけでどうにかできるものでもなく、同じようなボトルネックが国税庁のDX推進の中でも生じているのではないか。デジタルのことはデジタルで処理できるようにしていただきたい。
  • データ利活用の税務執行の効率化・高度化等については、具体的にどのようにするのか、支障のない範囲で積極的にアピールしたほうが良いのではないか。
  • e-Taxの利用を更に進めるためには、インセンティブが必要ではないか。例えば都道府県別で進捗度を見ることも必要ではないか。
  • 国税庁のデジタル化が進むことで、人員が少なくて済んだ部分はぜひ調査などの方向に仕向けていただき、不正を摘発していただきたい。

以上

(速報のため事後修正の可能性あり)