1日時 令和7年3月12日(水)13:28~15:02
2場所財務省第3特別会議室及びWEB会議
3出席者
(懇談会メンバー) | ||
秋池玲子 |
ボストン・コンサルティング・グループ 日本共同代表 |
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秋山咲恵 |
株式会社サキコーポレーション ファウンダー |
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伊藤元重 |
東京大学 名誉教授 |
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江川雅子 |
成蹊学園 学園長 |
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翁 百合 |
株式会社日本総合研究所 理事長 |
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田中直毅 |
国際公共政策研究センター 理事長 |
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田辺 国昭 |
東京大学大学院法学政治学研究科 教授 |
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広瀬道明 |
東京ガス株式会社 相談役 |
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山本清 |
東京大学名誉教授、 |
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座長吉野直行 |
慶應義塾大学名誉教授、金融庁 金融研究センター顧問、 |
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(敬称略、五十音順) |
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(財務省) 新川事務次官、坂本官房長、寺岡総括審議官、中山主計局次長、青木主税局長、高村関税局長、窪田理財局長、土谷国際局長、小宮財務総合政策研究所長 |
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(国税庁) 奥国税庁長官、中村国税庁審議官、松代監督評価官室長 |
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(事務局) 渡邊政策立案総括審議官、佐藤政策評価室長 |
4議題
(1)令和7年度財務省政策評価実施計画等(案)について
(2)令和7年度予算編成等における政策評価の活用状況について
5議事概要
事務局より議題について説明を行い、その後、メンバーから意見等を伺った。
メンバーからの政策評価に関する主な意見等は以下のとおり。
【政策評価制度全般】
- 政策評価の作業効率化をしたことは非常に良く、今後も環境に応じてどうやって実質的に政策評価を着実に進めていくか、という観点で見直しをして欲しい。
- 今回、いくつか目標項目の変更があったが、この評価制度の時期や目的からすればそうした見直しがあることは自然なことであり、丁寧に検討されていて特に異論はない。
- 総合目標は長期的に取り組むものであり、変えること、変えずに置いておくものについて、その都度、慎重な議論が必要。
【財政・経済運営等関係】
- 総合目標1について、デフレからインフレに少し動きが変わりつつある中で、財政運営のあり方も違ってくるが、その前にプライマリーバランスのことや債務とGDPの関係をどう考えるか。
- デフレに比べてインフレの方が一般的な財政運営に対してはフォローの風が吹くはずで、そのフォローをどう生かしていくのかが非常に重要。一般論として見たら債務GDP比率を下げる非常に良いチャンスである。
- 若い世代が公的年金制度の維持に懸念を持っているという状況は、本当に憂慮すべきこと。将来に希望を持てるように早期の財政健全化というのは本当に大きな課題である。
- 保険料のような負担の部分や税の部分、様々な手当の部分を即座に把握し、可処分所得がすぐ把握できるという制度やインフラを早く進めていくことが、様々な問題を解決する上で非常に重要。省内及び省庁横断的にしっかり議論を進めて欲しい。
- 提案に対して財源の議論が出てくるようになり非常に良かった。よく政局よりも政策と言うが、そういう意味では財政当局、特に財務省は大変重要になってきているので、したたかにしなやかにやって欲しい。
- 財務省の政策のロジックの中に、歳入・歳出面、貿易、国際関係等の中に経済成長を促すような政策があり、それが収入増や歳出効率化、プライマリーバランスの改善にも繋がるというストーリーが必要ではないか。
- 財政を締めるのは財務省しかいないので、ある程度悪者になるのは仕方がないが、R&Dや技術振興のために歳出し経済成長に貢献している、ただ単に財政をバランスさせるのではなく考えながらやっている、というところを示すことが必要ではないか。
- プライマリーバランスの目標が来年まで先送りになるわけだが、やらなくてはならないのは利払費までを含めたバランスであり、これまで貯まってきた財政赤字の返済シナリオを、学者も含めて考えていくことが必要ではないか。
【税制関係】
- 総合目標2について、今の時点では、デフレ対策ということに大きくウエートを置くよりも、デフレ脱却の次のステージのところが大きな問題になってくるのではないか。
- 環境に関しては、理論的には環境税が一番綺麗。同じことはカーボンプライシングでも達成することができ、それを使うことによって、CO2問題を解決することができると、企業や金融機関もすごく楽になるのではないか。
【税関業務関係】
- 米国のカナダとメキシコに対する関税が議論になっており、これは我々と無関係ではない。カナダ、メキシコ、日本は、TPPのフレームワークの中で大きな役割を担っており、当局者との間で議論することは極めて重要。
- 国際社会の秩序、国際経済秩序が大きく揺らごうとしているとき、関税局が中心となり国際社会に対する呼びかけをすることは、国民にとっての財務省評価に大きく関わってくるのではないか。
- 通関業務におけるデジタル化・システム化がかなり進み、完成形になってきており、従来よりも負担がなく、かつ迅速な通関業務が可能になってきた。関税率の問題が発生した際に時間が取られないよう、業務の部分の安定化が非常に重要ではないか。
- 不正薬物の取締りについて、水際対策というのは非常に大事であり、日本の安全・安心の元は、拳銃と薬物の規制が強いこと。税関で大量の麻薬密輸を摘発したニュースを見て、日本は麻薬の取締りが非常に厳しいということを証明してくれ、ありがたかった。日頃の努力というのはなかなか目立たないが、是非、頑張って欲しい。
【世界経済・安全保障】
- 国際局の目標に、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ、パンデミックに対する対応、気候変動等に対応することが明確にうたわれている。どこを重視した国際支援をしていくのかが非常に明確になっていて、この点は非常に高く評価する。
- 国際機関への日本の貢献は必要。日本の発言力を維持するため、国際機関での日本人の活躍がなければ、日本の持続的な成長なり、周りの国々との友好関係は結べない。
【地震保険】
- 地震保険の付帯率は7割近くまで上がっているが、世帯の加入率は35%でかなり低いため、これを上げていく取組が必要。
【財政投融資】
- 官民ファンドについて、中には大きな累積赤字を抱えているものもあり、国民のために本当に必要な投資なのかということを、財務省として問いかけながら切り込んでいただきたい。
- 官民ファンドについて、リスクマネーをどう提供するかというところで、地域の投資信託などの少しクッションができるものを資金ソースとするなど考えていただきたい。
【デジタル化関係】
- デジタル化による働き方改革により働き方が改善し、そこで生み出された時間を人間がすべき高度な仕事に使うような継続的な取組が行われることは大変良い。
- デジタル化を進め、それによって行政サービスがより効率的に、あるいは環境に負荷をかけずに提供される、業務の効率化に繋がっていることは非常に良い。
- デジタル化の影響をもっと日本は享受するようにしないといけない。省庁でAIの活用やデジタル化を進展させ、コスト削減につなげて欲しい。
【EBPM・データ活用関係】
- 租税特別措置などについては、EBPMでしっかりと検証して、データで出していくことが非常に重要。
- 税制だけでなく、どの分野においても、EBPMでいろいろな政策を考えていくということを、専門家も拡充しながらしっかり進めていただきたい。
- 総合目標の中で税制関係だけEBPMが目標の中に明示されているが、他の総合目標にはEBPMが明示されていないため、EBPMをもし全省庁的にやるというのであれば、もう少し包括的にカバーする記述にすべき。
【その他】
- 全体として、日々の業務、あるいは毎年の政策評価業務に真摯に取り組んでいると感じている。
- 行政として政策をしっかり伝え、国民の声も広く聴き(広聴)、財務省としてもより良い政策立案としていけるような機能の充実ということも必要ではないか。
- 最近、公務員志願者が減少しているという報道も目にするが、そういった点で見ても働き方改革を進めることはとても重要。AIも積極的に活用し、さらに働き方改革をしていただくと良い。
- 財務省の使命「健全で活力ある経済及び安心で豊かな社会を実現する」に対して、総合目標の結びつきについての説明がうまくできていない部分があるように感じる。もっと分かりやすい形で発信していく努力を続けていくことが大事なのではないか。
- 職員の働き方改革について、デジタル化の寄与などが出てきたが、エンゲージメントなりコミットメントなり、満足度の向上を図るような要素を総合目標6の中に加えていただくと、職員のモチベーションにとっても良いのではないか。
以上
(速報のため事後修正の可能性あり)