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第80回 財務省政策評価懇談会(6月10日開催)議事要旨

日時    令和6年6月10日(月)14:58~16:42

場所財務省国際会議室及びWEB会議

出席者

懇談会メンバー
(懇談会メンバー)

秋山咲恵

株式会社サキコーポレーション ファウンダー

百合

株式会社日本総合研究所 理事長

和夫

阪急電鉄株式会社 会長

田中直毅

国際公共政策研究センター 理事長

田辺国昭

東京大学大学院法学政治学研究科 教授

冨山和彦

株式会社経営共創基盤(IGPI)IGPIグループ会長

広瀬道明

東京ガス株式会社 相談役

山本

東京大学名誉教授
一般社団法人青山公会計公監査研究機構 主任研究員

座長吉野直行

慶應義塾大学名誉教授、金融庁金融研究センター顧問
東京都立大学経済経営学部 特任教授

(敬称略、五十音順)

(財務省)

茶谷事務次官、宇波官房長、坂本総括審議官、新川主計局長、青木主税局長、内野関税局審議官、藤﨑理財局総務課長、飯塚国際局総務課長、鈴木財務総合政策研究所副所長

(国税庁)

住澤国税庁長官、長内監督評価官室長

(事務局)

目黒政策立案総括審議官、阪井政策評価室長

議題

(1)令和5年度財務省政策評価書(案)について

(2) 政策評価に関する基本計画の一部変更(案)について

(3)令和6事務年度国税庁実績評価実施計画等(案)について

議事概要

事務局より議題について説明を行い、その後、メンバーから意見等を伺った。

メンバーからの政策評価に関する主な意見等は以下のとおり。

≪令和5年度財務省政策評価書関係≫

  政策評価制度全般

  • 財務省の令和5年の評価全体について、現在直面している現実を見れば、全体として適正評価である。
  • 令和5年度財務省政策評価書、令和6事務年度国税庁実績評価実施計画について、異論はない。
  • 全体の評定に関して、異論はない。

  財政・税制・経済運営等関係

  • 積年の課題であったプライマリーバランスの黒字化について、非常に厳しいが、2025年に何とか達成できるラインまできたということは、財務省の努力が実りつつあると感じている。是非、達成するよう努力していただきたい。
  • プライマリーバランスの黒字化というのは、あくまでも出発点であり、その後も、長年にわたって怠ってきた国としての経済成長に対する投資を、DXを最大限に活用しながら効率的に行っていただきたい。
  • 2025年のプライマリーバランス黒字化が喫緊の達成すべき課題であるが、その次の財政目標も明らかにしないといけない時期に来ている。
  • プライマリーバランスには利払費が入っていない。プライマリーバランスでは駄目で、金利まで含めた形でやらないといけないことは、昔から明確になっている。そちらを全面的に出すべきではないか。
  • 人口動態変化といった長期の視点で考えながら優先順位付けを行い、財政の持続性を確保していくということが、ますます重要である。
  • 人口動態の変化は、社会保障の費用負担と給付の問題に跳ね返ってくるが、負担と給付を併せて議論する場所がほぼない状況である。
  • 社会保障費については、今後の超高齢社会の中で、給付と負担のバランスの不均衡の是正が急務になっている。
  • 評価にも反映されているが、財政を健全化して、負担と給付のバランスをとっていかないといけない。
  • 財政の健全化が、財務省の使命である「健全で活力ある経済及び安心で豊かな社会を実現する」、「希望ある社会を次世代に引き継ぐ」にどう繋がるかが、国民の腑に落ちるうえで、非常に重要ではないか。
  • 2024年3月末時点で、国債や借入金等を合わせた国の借金が約1,300兆円という水準まできてしまった。この最大の原因は、約30年間、国としての経済成長に対する投資をしてこなかったということに尽きる。
  • 歳入改革については、付加価値税を緩やかに上げていくことについて、行政だけではなくて政治家に対しても理解を求め、長期的に経済の成長を鈍化させないような形で歳入改革を計画していただきたい。
  • 財政が厳しく、若年層の人口が減っている中で経済成長を維持していくためには、付加価値労働生産性の向上が必要である。そのため財務省には、付加価値労働生産性の向上に資する支出であるかという観点で、厳しく予算審査してもらいたい。
  • 財政を取り巻く状況については、コロナの有事から平時に戻すということに加え、いわゆる金利のある世界に入るということで正念場を迎えたと思っている。財政健全化に向け、舵取りを今後ともお願いしたい。
  • 財政の効率化・質的改善を推進するための調査研究には、財政学の人材育成も重要である。
  • 国民は財政健全化を否定しているわけではなく、面と向かって聞かれれば財政の健全化が必要だと認める。問題はどうして実現できないのかということにある。
  • 財政健全化の実現には、国民負担と財政健全化の関係性を、どうやって説くのかが重要である。統合政府の純資産はプラスだから問題ないという議論に対して、きちんと財務省が反論するということも必要ではないか。
  • 政策目標1-2において、「歳入に関する情報について説明責任の向上に努めていきます」とあるが、歳入と歳出両面での説明を広報戦略として強化していただきたい。
  • 最も重要な政策は、日本のTFPを上げること。それから民間のR&D活動を活発化させるようなシードマネーとしての政府の歳出、これが一番長く日本経済に効果がある。こういうことを考えて、本当に長期的に日本経済を再生させる政策となってるか、ぜひ見ていただきたい。

  国債

  • GX経済移行債を通して、環境問題に対する理解と協力をいただくということが日本のエネルギー環境対策の成否にも直結するのではないかと考えている。

  たばこ・塩事業

  • 塩事業で評価が下がっているのは、小さなミスかもしれないが、財務省はこういうことは絶対に失敗しない省庁だという今までの信頼が崩れることに繋がりかねないので、早期に芽を摘んでいただきたい。

  デジタル化

  • デジタル化に関しては、財務省・国税庁とも年々進化している。
  • 税関などについては、手続きのオンライン化が進んでいるということも確認ができてよかった。
  • 財務省のデジタル化の活用については、まだ情報発信に偏っているので、財務省の業務手続き、あるいは業務そのもののオンライン化の状況が知りたい。
  • 各省庁のデジタル化をもっと推進し、デジタル化によって歳出が減るということを国民に見せることで、歳入の増加も必要であると言えるようになるとよい。

≪令和6事務年度国税庁実績評価実施計画等関係≫

  実施計画全般

  • 令和5年度財務省政策評価書、令和6事務年度国税庁実績評価実施計画について、異論はない。【再掲】

  デジタル化

  • デジタル化に関しては、財務省・国税庁とも年々進化している。【再掲】
  • 国税のDXの計画は、税務署に行かなくても納税ができる体制に着々と向かっていると感じる。
  • 国税庁の目標の中に、「事業者のデジタル化促進」が新たに設定されたことは、社会全体のデジタル化を進めるために重要な目標設定ができたと評価している。
  • データ活用等による税務執行の効率化・高度化等の施策で、共同研究の実施状況の参考指標が新設されたことや、事業者のデジタル化促進関連施策の周知・広報が施策として新設されたということは大変重要である。
  • 事業者のデジタル化促進は、事業者にDXの対応を迫ろうという非常に踏み込んだ対応である。
  • デジタル化促進について、事業者のところまでは割とうまくいくが、国民のところまでとなるとなかなかうまくいかない場合があるので、その点を円滑に進めていただきたい。
  • これまでも、国税庁においては、AIを使って催告のタイミングを学習させるといった試みを行っており、部内のDXに関する目標も適切に設定されていることを、高く評価したい。
  • 業績目標1-2-2-2でオンライン照会可能な金融機関数を100から250に増加するとあるが、具体的なメリットや日本の金融機関をどれぐらいカバーすることになるのかなど、もう少し丁寧に記載した方が良い。

以上

(速報のため事後修正の可能性あり)