1日時 令和6年3月11日(月)10:31~12:12
2場所財務省第3特別会議室及びWEB会議
3出席者
(懇談会メンバー) | ||
秋池玲子 |
ボストン・コンサルティング・グル-プ 日本共同代表 |
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秋山咲恵 |
株式会社サキコーポレーション ファウンダー |
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伊藤元重 |
東京大学 名誉教授 |
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江川雅子 |
成蹊学園 学園長 |
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翁百合 |
株式会社日本総合研究所 理事長 |
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角和夫 |
阪急電鉄株式会社 会長 |
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田中直毅 |
国際公共政策研究センタ-理事長 |
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田辺国昭 |
国立社会保障・人口問題研究所 所長 |
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広瀬道明 |
東京ガス株式会社 相談役 |
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山本清 |
東京大学名誉教授、 |
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座長吉野直行 |
慶應義塾大学名誉教授、金融庁金融研究センター長、 |
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(敬称略、五十音順) |
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(財務省) 茶谷事務次官、宇波官房長、坂本総括審議官、吉野主計局次長、青木主税局長、山崎関税局審議官、奥理財局長、三村国際局長、渡部財務総合政策研究所長 |
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(国税庁) 住澤国税庁長官、中村審議官、長内監督評価官室長 |
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(事務局) 目黒政策立案総括審議官、阪井政策評価室長 |
4議題
(1)令和6年度財務省政策評価実施計画等(案)について
(2)令和6年度予算編成等における政策評価の活用状況について
5議事概要
事務局より議題について説明を行い、その後、メンバーから意見等を伺った。
メンバーからの政策評価に関する主な意見等は以下のとおり。
【政策評価制度全般】
- 実施計画・政策目標については、環境変化に合わせて適切に定められており、異論はない。
- 毎年いろいろな形で工夫を凝らして政策評価を改善・進化させていることがとても印象に残った。
- 政策目標から、コロナの文字が消えたことは非常に意義があることなのではないか。政策は始めると止めることは難しいが、目的を達したら終わらせ、必要な支援はしながら前に進むという形を示したことは良かった。
【財政・経済運営等関係】
- インフラの維持については、人口動態、国土のありようなども見ながら将来のメンテナンスが負担にならないようなあり方を検討していく必要がある。
- 財政再建に関しては、本当に大きな危機感を持っている。他の国がコロナ終息後に財政引き締めに転じて行ったのに、日本の場合には財政規模が膨らむ一方という印象があるので、コロナ禍の財政支出等について点検を行っていただきたい。
- インフレ的な世界に仮に移行すると、財政運営の仕方や財政運営の様々な制約が変わってくると思うので、どのようなことが考えられるのかを整理する必要があるのではないか。
- 日本の若者が他の国の子供に比べて、将来に対する希望を持てないでいるというアンケート調査結果がある。大人が不安を解消するような政策を打ててないと捉えてやっていくべきであり、債務残高が1000兆円超えてしまったっていうことに対して、大きな危機感を持つ必要がある。
- いわゆる年収の壁の対策としての補助金やエネルギー価格の高騰に対する補助金のように、構造的或いは長期的な改革を先延ばしにして場当たり的な政策が散見されるというところが気になっている。
- フューチャー・デザインの考え方で財政の問題を広報していくことは大事である。その際には、一般の方たちにわかりやすく、発信することも大事である。
- 財政広報関係のフューチャー・デザインの考え方についてはわからなくもないが、問題があるならば問題があると、もっとストレートに正面から国民に向き合っていった方が良いのでないか。
- フューチャー・デザインの考え方は、財政の広報以外にも適用できるが、将来世代にとっての価値は何か、規範となるべき点は何かを明確にしないと明確にデザインできないので、その点についても今後検討してもらいたい。
- 少子化の加速を防ぐという点では、給付、保険料、税のように財務省の果たす役割も大きい。若い世代も公正になっているかということを見ながら議論していくことが大事であり、財務省全体として、この問題を考えてほしい。
- 人口減少が進んでいくという中で、子供世代がどうなっていくか、内閣府の推計などもうまく活用し、中長期的な財政フレームをどのようにしていくかという議論につなげていっていただきたい。
- 2025年のプライマリーバランス黒字化に向けて、社会保障、年金も含めた財政規律についての抜本的な改革を現政権には期待している。財務省もぜひ働きかけをしてほしい。
- 政府、日本銀行が、物価と賃金の好循環が重要だと言い方をしているがマーケットにおける指標を見ていると、日本経済に対する評価はすでにそんな簡単な話ではないということになっている。そういう中で物価と賃金の好循環を成立させればいいのではないかという、現状の規定の仕方でいいのかどうかという問題があると思う。
- 総合目標2に、デフレからの脱却というフレーズが今回の政策評価の計画の中に入っているが、生産性をどういう形で上げていくかは、特にサプライサイドだけではなく、財政政策等の様々な予算の使い方によって左右されると考えている。
- 少子化対策は重要なことではあるが、他方で社会保障制度の維持可能性の問題をどうするかという観点が必要ではないか。
- 少子化対策として、直接的にお金を配ることも大事であるが、今の少子化の原因は社会的な側面が大きいと考えている。生きやすい社会、働きやすい社会に向けて間接的にお金を付けていかなければ、根本的な解決策にはならない。
- 物価が上がる、賃金が上がる、金利のある、これまでと全く違った世界に入るので、よくよく考えていかなければいけない。チャンスでもあると考えている。
- 総合目標1、6と総合目標2は依拠する文書が異なることもあり、財政健全化と同時に達成すべき目標が「経済再生」と「経済成長」と違っている。事実上同じことというご意見もあると思うが、なるべく統一化してもらえると良い。
- 少子高齢化の中で、高齢者がなるべく長く社会に貢献し続けられるための技術、そしてAIの活用というのが一つ望まれる。そこに対して民と官を含めた支出をすることにより、生産性を向上させるということが日本にとって重要ではないか。
【税制関係】
- 政策目標2-1に生産性という言葉が出てくるが、人口が減るなら減るなりに、より良い産業のありようを、収益性なども念頭に置いたありようを考えていけると良いと思う。
- 税制の目標変更は、経済界としても非常に喜ばしい内容であると感じている。
- 金融経済教育の中に税の教育というのを必ず入れるようにぜひ財務省の方からも働きかけていただきたい。
【通貨関係】
- キャッシュレス決済の増加やデジタル通貨ということも言われている中で、新紙幣の発行を経済に逆効果を与えることなく実施するということが、重要になってくる。
【世界経済・安全保障】
- 安全保障については、ハード面がベースにはなるが、併せてソフト面からのアプローチも非常に大切である。グローバルサウスへの関与を強化するためには、ODAを中心とした技術支援や環境面の支援、人材育成が必要である。長期的な視点、地道な取組を官民一体でやっていくべき。
- 環境金融の分野では、ヨーロッパの方から発言がいろいろ出てきて、仕組みを作ってしまっている。アジア全体として、環境も含めたいろいろな分野で発信するものを作って、ASEAN+3などの会議で、アジア発の世界への発信というのをお願いしたい。
【デジタル化関係】
- デジタル技術の発達は非常に早いため、現状に留まることなく、今後ともデジタル化の取り組みをさらに加速させていただきたい。
- 公的部門でもデジタル化、特にAI活用などいろいろ使うところがあるので、公的部門の生産性向上について財務省でもしっかりと見ていただきたい。
【EBPM・データ活用関係】
- 昨年の秋に、社会保障の領域で財務省、財務局の機動力を使った分析があった。EBPMに取り組むことは、簡単なことではない中で、その効果を見ることができた。
- 賃上げ促進税制については、かなり詳細に分析をしており、今回の税制改正にも反映されるようなエビデンスが出されている。エビデンスに基づく判断をしていくことが目に見える形になり、非常に良い。
- 政策の修正や廃止は、大変な手間と時間がかかる。今後は、そこをエビデンスベースの議論によって、無駄を排除していくことを進めて欲しい。
- 実際に政策がどのような成果を出したのか、あるいは出なかったのか、エビデンスを上げながらできるだけ多く政策運営へ広げていただきたい。
- EBPMの取り組みを広げて、租税特別措置等で効果が出ていないものは出ていないことをしっかりエビデンスで出していき、インセンティブになっているかということを検証して、見直すべきものは見直していくことをお願いしたい。
- 財務省全体でデータの見える化を進めているが、実際の政策を担当しているのは各省である。税務や財政に関わるデータと、各省が実際に何をやっていてどういう形で捉えているかということとのリンクが、効かない政策をやらないと判断していくうえで重要になる。
- 賃上げ促進税制のEBPM的な手法の結果を踏まえ、目標に中小企業等の税額控除の適用率等の指標を参考指標等として入れることはできないか。
- 特別税額控除の適用を受けている状況については、国税当局の方で的確に反映できると思うので、把握できるモニタリング的な指標を政策評価の一環として適用してほしい。
- 外から見たときにその政策がどうなっているかということが、もう少し読みやすい、或いはわかりやすい形にしていただけると良い。
【その他】
- 霞ヶ関、財務省を含めて、就職の人気がなくなっているっていうことを非常に懸念している。日本の国をしっかり回していくうえでも、働き方改革を進めて、優秀な人材を引きつけられる組織であり続けてほしい。
以上
(速報のため事後修正の可能性あり)