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第78回財務省政策評価懇談会(10月23日開催)議事要旨

日時    令和5年10月23日(月)10:28~11:42

場所財務省第3特別会議室及びWEB会議

出席者

懇談会メンバー
(懇談会メンバー)

秋池玲子

ボストン・コンサルティング・グループ 日本共同代表

伊藤元重

東京大学名誉教授

江川雅子

成蹊学園学園長

百合

株式会社日本総合研究所理事長

和夫

阪急電鉄株式会社会長

田中直毅

国際公共政策研究センター理事長

座長吉野直行

慶應義塾大学名誉教授、金融庁金融研究センター長、
東京都立大学経済経営学部 特任教授

(敬称略、五十音順)

(財務省)

茶谷事務次官、宇波官房長、小宮主税局審議官

(国税庁)

住澤長官、中村審議官、長内監督評価官室長

(事務局)

目黒政策立案総括審議官、阪井政策評価室長

議題

 令和4事務年度国税庁実績評価書(案)について

議事概要

事務局より議題について説明を行い、その後、メンバーから意見等を伺った。

メンバーからの主な意見等は以下のとおり。

≪令和4事務年度国税庁実績評価書関係≫

   全体

  • 今回の評価については、全体に異論はない。
  • コロナ禍から回復するに伴い、このように確実に評価が上がる取組が行われていることは、極めて即応しているということであり、国税庁の取組に大変敬意を深めている。
  • 評価が上がったのは、コロナ禍が去ったからということだけではなく、新しい取組をはじめ、検討し、課題があっても乗り越えて進めているということが非常に大きい。
  • 今年の評価が昨年よりもかなり良くなっていることは大変喜ばしい。評価が向上するような努力を現場で続けられているものと理解している。
  • 国税庁の実績評価については、一旦悪化していた取組がコロナの収束とともにほぼ戻っており、DXについても非常に熱心に取り組んでいる。
  • 国税庁の人材確保は非常に重要である。国税庁に入ることが、日本の屋台骨を支えるのだという意識を作り、良い人材の確保ができるように、継続的な働きかけを行ってほしい。
  • 歳出歳入改革の中で、税は歳入の重要なところなので、ぜひ国税庁の一人一人が日本の財政収入の確保のために、引き続き頑張ってほしい。

   実績目標(小)1-1(税務行政の適正な執行)

  • 国税庁は全国に人材があるからこそできることがたくさんあり、新しい技術等を取り込みつつ、人でなければできないことも含め事業者や個人から信頼していただけるような、更なる取組が進むことを願う。
  • セキュリティ面については、個人情報などの情報管理は大事である中で、政府のシステムは、いろいろな技術によって様々な攻撃を受けている。DXが進めば進むほどしっかりとしたセキュリティ対策が必要であるため、対策が適切に取られているかしっかりと確認していっていただきたい。
  • 国税庁の職員、あるいは国税庁の仕事が、納税者にどう評価されているかということは重要なことだが、実績評価書に出ているいくつかのデータを見ても、国税庁に対する納税者の信頼は揺らいでいない。一方で、納税者の信念の揺らぎが起き始めているとすれば、国税庁の職員がそれを一番感じているのではないか。それをデータ的にどう確認できるのか関心がある。

  実績目標(小)1-2(税務行政のデジタル・トランスフォーメーション)

  • 今回の国税庁の評価については、特にDXについて、効率化及び利用者の利便性向上が図られていることが確認できる。
  • 着実に評価をしながらDXが進められていることに敬意を表したい。
  • 給付金などが何度も続いていることを考えると、トータルでの個人の可処分所得を把握できるようにすることが大事だと考えるが、政府全体としてデータ連携ができていないことが大きな課題だ。税だけでなく社会保険料や手当もトータルで把握できるようにデータの情報連携を政府全体として進めて、適正・公正な負担と給付の設計を作ってほしい。
  • セキュリティ面については、個人情報などの情報管理は大事である中で、政府のシステムは、いろいろな技術によって様々な攻撃を受けている。DXが進めば進むほどしっかりとしたセキュリティ対策が必要であるため、対策が適切に取られているかしっかりと確認していっていただきたい。【再掲】
  • 国税庁の実績評価については、一旦悪化していた取組がコロナの収束とともにほぼ戻っており、DXについても非常に熱心に取り組んでいる。【再掲】
  • デジタル化については、データの漏えい、サイバーアタックに対して十分に事前準備をしておき、万一、何か起こった時にすぐにそれに対処できることが重要である。
  • デジタル化の関係では、よくリトアニアが挙げられるが、将来の希望としては、各国が日本の税のシステムを参考にする、あるいは、日本の税のシステムが海外で使ってもらえるぐらいまでに目標を高めて、日本のデジタル化が世界でトップだというふうになることが一番良い。

  業績目標1-2-1(オンラインによる税務手続の推進)

  • オンラインによる税務手続の推進については、オンライン申告もかなり進んできており、ルールに従って総合的にA評価としたことは適切である。
  • オンライン申告は、非常に使いやすくて分かりやすくなっているし、スマホ対応などの様々な技術を導入して、セキュリティなどを確保しながら行われており、非常に優れた取組である。
  • オンライン申告の推進の施策がb評定になるのは致し方ない面がある。このため、オンラインによる税務手続の推進の目標の評定をAとすることに賛同するが、日本が諸外国に比べてデジタル化が遅れているということをかんがみて、更に改善するように頑張ってほしい。
  • キャッシュレスの納付割合は上がってきているが、一方で、所得の低い人、高齢者、デジタルディバイドの人たちのキャッシュレスは進んでいない可能性がある。今後、どういった層に対して進めていくことが効果的であるかを考えて進めていただきたい。

  業績目標1-2-2(デジタルの活用による業務の効率化・高度化)

  • 企業がDXを進める場合、今の仕事のやり方が適切なのか、あるいは組織の在り様が現在の時代にマッチしているのか、といったことを見直しながら進める方が、圧倒的に効果が高くなる。各省庁に分かれてしまっている部分の統合や再編成など、以前やっていた組織の見直しを、令和の時代にもう一度やっていただければ非常にありがたい。

  実績目標(小)1-3(納税者サービスの充実)

  • 中小企業の方々から、インボイスについてどうやったらいいのか分からないという話を聞いた。既に実施されているかもしれないが、ビデオなどで易しく、誰でも分かるように制度の周知徹底を行ってほしい。そうすれば、スムーズに導入できると考える。

  業績目標1-4-3(不服申立てへの取組)

  • 不服申立てへの取組の目標について、B評定からS評定に改善しているのは適切だと考えるが、一定の期間内に対応できたのかという評価指標だけでいいのか、例えば満足度のアンケートを取るといった工夫をすると、もう少し全体として改善につながるのではないか。

  実績目標(小)1-5(国際化への取組)

  • 海外への技術支援については、講義内容をビデオ撮影し、各国の人たちがいつでも見られるようにしてもらいたい。

  実績目標(大)2(酒類業の健全な発達の促進)

  • 日本の酒は美味しいので、酒類の海外輸出は、もっと進められる。官民一緒になって、一つの大きな産業になるようにしてほしい。

≪その他≫

  政策評価制度

  • 政策評価が始まってから随分時間が経過しているが、非常に安定的に継続されていることは喜ばしい。
  • 政策が年次の中で回っているということを考えれば、年に1回、評価結果を公表している運営は自然であり、改めるべきと言っているわけではないが、データがリアルタイムで収集できるようになる中では、年次で評価するだけでなく、期間内で数値を分析しながら政策を修正していくプロセスがあっても良いのではないかと考えている。
  • 年次目標の評価だけではなく、年次を超えた中長期的な政策評価の在り方についても検討する価値があると考えている。政策目標を具体的に検討すれば、年次目標だけでなく数年にわたった工程表などが必要な分野もある。評価の在り方についての議論も必要ではないか。
  • 財務省だけでなく、政府全体としても、データに基づいた評価ができるような体制を考えていくことが大事であり、政策を評価したことがデータで公表され、政策の見直しにつながるようなPⅮCAが回るような仕組みが必要と考えている。

  財政・税制・財務管理・経済運営等関係

  • 財務省全体の施策について、全体の傾向として、本来やるべき骨太の政策の検討を進めずに、一時的に補助金を出していることがかなり増えており懸念している。
  • GX移行債について、移行トランジションに関する定義や償還財源などいろいろ不透明な状況がある。販売にあたっては、入札を実施すると聞いているが、いろいろ不透明な状況だからこそ、海外の投資家も含めて丁寧な説明をして販売をしていくことが必要であり、日本の国債全体の信用を担保することにもなるのではないか。
  • 財政の長期持続性に対する懸念や本当に効果のある政策が行われているのか疑問がある。
  • 歳入改革なしに財政規律を良くするわけにはいかないのは自明のことである。何かのきっかけがいると考えるので、そのきっかけとしても、2025年の基礎的財政収支の黒字化が達成できない時点で、やはり歳入改革に踏み込んでいかざるをえないという空気を作っていっていただけないか。
  • 税収増の部分をいろいろ使える、工夫できるという話になってきているが、これがどういう結果をもたらすかは、マーケット、日本国債、円レート等の評価として出てくるが、実は納税者の信念に揺らぎが起き始めている可能性について、もう無視できないところに来ている。

以上

(速報のため事後修正の可能性あり)