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第77回 財務省政策評価懇談会(6月14日開催)議事要旨

日時    令和5年6月14日(水)09:57~11:50

場所WEB会議(財務省国際会議室を含む)

出席者(懇談会メンバー)

懇談会メンバー

秋池玲子

ボストン・コンサルティング・グループ 日本共同代表

秋山咲恵

株式会社サキコーポレーションファウンダー

百合

株式会社日本総合研究所理事長

和夫

阪急電鉄株式会社会長

田中直毅

国際公共政策研究センター理事長

田辺国昭

国立社会保障・人口問題研究所所長

広瀬道明

東京ガス株式会社取締役会長

山本

東京大学名誉教授、一般社団法人青山公会計公監査研究機構主任研究員

座長吉野直行

慶應義塾大学名誉教授、金融庁金融研究センター長
東京都立大学経済経営学部特任教授

(敬称略、五十音順)

(財務省)

茶谷事務次官、青木官房長、奥総括審議官、新川主計局長、坂本主税局審議官、山崎関税局審議官、齋藤理財局長、三村国際局長、 江島財務総合政策研究所長

(国税庁)

阪田長官、中村審議官、原監督評価官室長

(事務局)

渡部政策立案総括審議官、原田政策評価室長

議題

(1)令和4年度財務省政策評価書(案)について

(2)令和5事務年度国税庁実績評価実施計画等(案)について

議事概要

事務局より議題(1)及び(2)について説明を行い、その後、メンバーから意見等を伺った。

メンバーからの政策評価に関する主な意見等は以下のとおり。

≪令和4年度財務省政策評価書関係≫

  政策評価全般

  • 令和4年度財務省政策評価書、令和5事務年度国税庁実績評価実施計画について、個別な異論はない。
  • 補正予算や予備費の問題については、ガバナンスとして守るべきガイドラインや、目標と評価といったものが必要なのではないか。
  • 必要な政策は打って持続的な経済成長につなげて頂きたいが、PDCAを回すにあたり、政策効果をしっかりと測る努力が更に必要ではないか。
  • 政策評価制度の導入趣旨の一つは、省庁に規律を持ってもらうことだったと思うが、今日ではそれが全体として機能していないので、議論すべき時期に来ていると思う。
  • 今回の財務省の評価結果については、概ね異論がない。
  • 財務省の評定自体は妥当だと思う。特に国際関係業務については、非常に高い評価だが当然のことだと思う。
  • ロシアによるウクライナ侵略を受けた国際社会の断固たる対応において日本が非常に重要な役割を果たしたという点で、「S+」という評価は適切だと思う。
  • 説明責任の観点から、新型コロナ関係の項目を整理し、予備費を含め何にどれだけ使用されたかについて、まとめて記述をお願いしたい。

  財政・税制・経済運営関係

  • 財政・税制両方の努力のおかげで、今の財政の状態でいくわけにいかない、何か政策をする際には財源が必要であるということが、より国民に浸透する流れに今なっていると思う。
  • 今回「B」評定になった部分は、財政規律の面で困難に直面しているということと理解したが、これは財務省の政策というより本質的には政治のモメンタムによって引き起こされた問題であって、この評定結果は、政治に対するメッセージでもあるし、あるべきだなと思う。
  • 財政や経済財政運営の目標が「B」評定となっているが、これをよい形で取り組んでいくことが、今後の課題だと思う。
  • 防衛費、子育て、産業政策など歳出しなければならない分野が増えており、しっかり見極めて予算をつけていくことは大事であるが、一方で、財源の議論が更に国民全体で深まっていくことも非常に大事だと思う。
  • 補正予算については、規律みたいなことが大変重要だと思う。
  • 社会保障分野の歳出改革にあたっては、どこに給付と負担の問題があり、適正化を図るべきであるということを、データで示すことが大事だと思う。医療機関も含め情報の開示を進め、様々な統計も駆使し、歳出改革の必要性をエビデンスベースで明らかにしていく努力が必要であり、こうした取組によって国民も納得できるのではないかと思う。
  • 財源は最終的に国債に依存することになりがちであるが、人口減少による将来世代の負担への影響がより明らかになることによって、国民全体の危機感のようなものももう少し明らかになると良いのではないか。
  • 財政関係の「B」評定は、残念ながら仕方がないと思う。入院をしないコロナ罹患者の情報をやりとりする事業を受託した際、旅行事業よりも遥かに営業利益が生じた。業者選定や発注価格設定の方法に問題があったと思うので、次回以降は適正価格で発注することを今回の反省材料として認識して頂きたい。
  • 今後5年間で増額する防衛費の内訳が公表されているが、ロシアによるウクライナ侵略も踏まえ、今こそ防衛について国民の理解・納得感を得るにはどうすればよいのか、真剣に考え、行動すべきだと思う。
  • 公費負担が、医療43%、介護55%に対し、こども・子育て82%(事業主・雇用保険各9%)となっているが、見直す時期ではないかと思う。
  • 少し時間をかけて、防衛安全保障だけではなく、少子化対策やGXの将来像について国民の理解を深めつつ、切り詰めても足りない部分は必ず出てくるので、その部分の増税は選挙後に期待したいと思う。
  • 税負担が日本の将来課題に対して適切に割り当てられていないことについて、検討すべきではないか。
  • 財務省が他省庁や政治との間でディールを中心にして予算案をまとめ上げることを通じて財務規律を働かせるという現在のやり方は限界が来ている。如何にして社会の不安定性を封じ込めることが出来るのかという考え方が必要ではないか。
  • 財政に対する考え方は、経済学者と一般国民とで異なるということが最近の報道で明らかになった。財政規律の維持に向けて財政教育に取り組み、この状況を改善する必要があるのではないか。
  • 少子高齢化が進む中で増加する社会保障費をどのようにコントロールしていくのかという議論を、今後積極的に打ち出していく必要があるのではないか。
  • 財政に関する目標が「B」評定となっているが、喫緊の課題であり、その重要性からするとやむを得ないと思う。日本の最大のリスクの一つは財政と考えられるので、コロナで緩んだ財政規律を一刻も早く戻し、プライマリーバランスの黒字化を1年でも早く実現する必要があると思う。
  • 今後は、GXや防衛力強化、少子化対策などお金のかかる重要政策が目白押しであり、歳出と歳入の一体改革が必要だと思う。
  • 最近、税収が見込みよりも相当上振れしているのは何故か。
  • 実績の評価という観点から、当初予算ではなく補正予算の編成を踏まえた予算の年度比較をするべきだと思う。これにより、逆に政治に対するアピールとか財政規律を働かせることができるのではないか。
  • コロナ対策予算の使途を含め、財務省が、歳出のムダはこれ以上は無いということを明確に述べることで初めて、国民に税負担をお願いすることができると思う。
  • 国債により将来世代へ負担を先送りするのではなく、それぞれの世代で負担すべきであることを国民に伝えるとともに、そのような形で財政を組んで頂きたい。
  • 財政規律についての国民の認識を促すためには、アジアなど海外からのプレッシャーというのも活用してはどうか。

  国際金融

  • 世界が極めて激しく、かつ速く変化する中で行われている通貨金融システムの取組を評価する。
  • 今後とも、為替レートの変動が大幅にファンダメンタルズから乖離することのないよう、取り組んで頂きたい。

  その他

  • 財務省の取組は、この国の将来をかけるという意味で非常に期待している。
  • この先長期的には健全なインフレをしていくこともあり得る中で、何を物価高騰と呼び、何を健全なインフレと捉えるのかというあたりも踏まえて、財政投融資・政策金融にかかわらず、様々な政策についてより考えを深めていけるとよいのではないか。
  • 少子化は、デフレ・低成長による将来不安が最大の原因である。そして、先進国の中で日本だけが長期間賃金が上がらなかったのは、企業も国もダイバーシティ&インクルージョン特に女性の活躍に熱心でなかったことで、その生産性がトータルとして低いままとなってしまったことが大きく影響していると思う。女性が活躍し、安心して出産し、M字カーブが起きないよう、経済団体も頑張っているので、国の対応も期待したい。
  • フランス国債が格下げされ、金利が上昇している。財政審でも国債の格付問題について発言がなされているが、今回の骨太の方針で財政規律に対する表現が緩んでしまうと、かなりの確率でリスクが現実となる恐れがあるので、配慮をお願いしたい。
  • 安全保障のベースは防衛力強化であるが、ODAの充実などを通じた外交力も非常に重要であり、全体的に見て最も効果的で効率的な安全保障は何かという視点が必要ではないか。
  • サプライチェーンの国内回帰と言われているが、エネルギーや食糧は、半導体誘致のようにすぐに国産化することができないので、戦争やパンデミックも念頭に、当面は円滑な利用、柔軟な対応ということが必要だと思う。
  • エネルギー価格に対する国の助成措置については、出口戦略を本気で考える時期に入ったと思う。また、コロナ貸付の返済が始まっており、注意深く見守る必要がある。
  • 中央省庁に優秀な人材が集まって、官民がある程度連携していくことが日本として必要だと思うので、財務省においても引き続き優秀な人材確保に努めて欲しい。
  • 安全保障の観点から、日本による太平洋諸国への支援は引き続き必要だと思う。

≪令和5事務年度国税庁実績評価実施計画等関係≫

  実施計画全般

  • 令和4年度財務省政策評価書、令和5事務年度国税庁実績評価実施計画について、個別な異論はない。【再掲】

  DX

  • 国税庁のデジタル化の取組について、これで生み出された効率性だとか、正確な取組といったものをどう生かしていくかというところが、いずれ実ってくることも期待したい。
  • 国税庁のデジタル化に向かう姿勢は大変素晴らしいと思う。特に、今回の実施計画の中で言及されている、データとAIの活用は、効率においても、効果においても、非常に可能性が高いものだと思うので、これから更なる活用に期待している。
  • 国税庁の実施計画は、引き続きデジタル化の取組を進める計画となっており、大変心強く思っている。今年はインボイスが始まるが、この分野においてもデジタル化に向け官庁横断的な取組が進んでおり、こういったデジタルインボイスへの取組が全体として進んでいくことは日本経済の生産性にとっても非常に重要であるため、是非進めていただきたい。
  • AIの活用は、効率化と付加価値の向上につながり、様々なデータを分析することによっていろいろな分野で使えると思うので、税務行政のデジタル化に当たっては、一つの大きなツールとしてAIを活用していただきたい。
  • 国税庁が、納税者のためと内部事務の効率化のためにDXを使うという方向性を、かなり明確に打ち出した点は評価したい。
  • 国税庁は、納税者に関するDXについて、マイナンバーカードに限定することなく、スマホを活用するなど多様なDXを進めており、戦略として非常に良い方向性を打ち出していると思う。
  • 内部事務の効率化という観点からDX推進を宣言した省庁は、私の知る限り国税庁が初めてではないか。それにより、行政の効率化などを進めると打ち出したということは、非常に大きな意味を持つのではないかと思う。
  • e-TaxやDX人材の採用などに尽力している国税庁のDXの取組は、高く評価したい。
  • 税務行政のデジタル化については、世界ランキングのようなものが出ていると思うので、世界と比較し、国税庁として日本の順位を上げていく努力をしていただきたい。
  • 国税庁には47都道府県ごとの様々な税のデータがあると思われる。将来のための経済分析などができるように、データ活用をますます進めていただきたい。

  その他

  • 自主的な納税を促進する観点からは、税務当局に対する信頼性向上に向けて、職員の態度やモラルの向上が非常に重要となるので、職員研修の充実など、更に踏み込んだ計画等がなされると非常に良いと思う。
  • マイナンバーカードを巡るトラブルが生じており、適切に対処する必要があるが、これだけの大きな変更であるので何らかのトラブルはある程度起こるものだ。将来のことを考えて、腹を括って前に進めて欲しいと思う。

以上

(速報のため事後修正の可能性あり)