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第76回 財務省政策評価懇談会(3月13日開催)議事要旨

日時    令和5年3月13日(月)10:30~12:09

場所WEB会議(財務省第3特別会議室を含む)

出席者

懇談会メンバー
(懇談会メンバー)

秋池玲子

ボストン・コンサルティング・グループ 日本共同代表

秋山咲恵

株式会社サキコーポレーションファウンダー

伊藤元重

東京大学名誉教授

百合

株式会社日本総合研究所理事長

和夫

阪急電鉄株式会社代表取締役会長

田中直毅

国際公共政策研究センター理事長

田辺国昭

国立社会保障・人口問題研究所所長

冨山和彦

株式会社経営共創基盤(IGPI)IGPIグループ会長

広瀬道明

東京ガス株式会社取締役会長

山本

鎌倉女子大学教授、東京大学名誉教授

座長吉野直行

慶應義塾大学名誉教授、金融庁金融研究センター長
政策研究大学院大学客員教授

(敬称略、五十音順)

(財務省)

茶谷事務次官、青木官房長、奥総括審議官、前田主計局次長、住澤主税局長、山崎関税局審議官、齋藤理財局長
三村国際局長、江島財務総合政策研究所長

(国税庁)

阪田長官、中村審議官、原監督評価官室長

(事務局)

渡部政策立案総括審議官、原田政策評価室長

議題

(1)政策評価に関する基本計画等(案)について

(2)令和5年度財務省政策評価実施計画等(案)について

(3)令和5年度予算編成等における政策評価の活用状況について

議事概要

事務局より議題(1)及び(2)について説明を行い、その後、メンバーから意見等を伺った。

メンバーからの主な意見等は以下のとおり。

  【政策評価制度全般】

  • 今回の目標について、かねてから取り組んでいることに加えて、国際的なことやデジタル化も含め、現代だからこそのテーマも取り込んでいるということにおいてよく練られている。
  • 全体として、時宣を得た適切な内容で変更・追加していると思う。
  • 政策評価の方法、仕組みやプロセスが非常に安定化していて、これまでどおり実行していただければいいと思う。
  • 政策評価の在り方について、世の中全体がどう見ているのかを広いコミュニティに、聞いてみるなど、もう少し認識を深めてみることは必要なのではないか。
  • コロナによって今までとは違った政策運営をせざるを得なかった。財政政策についても単一的な答えを出すのは難しいが、振り返って評価して、判断してみるというのは非常に大事なことだと思う。
  • 実施計画案について異論はないが、マクロ経済全体への影響や総合的なインパクト、財政政策がどういう形で効果的に実現できているかという評価ができておらず、政策評価の在り方が大きな課題だと考える。
  • 計画の策定について、国際的な状況、ウクライナの問題や経済安全保障という考え方を国際経済の取組みの中に組み込むような形で対応していくという点は評価したい。
  • 国内の取組では、デジタル化やグリーントランスフォーメーションを目標に入れた上で、どういう形で対応するのか、さらに目標設定をどうするのかということを議論したところは評価できる。
  • 基本計画期間の5年の間に、人口減少が進み、地域経済をどういう形で支えていくのかという点や少子化への対応という点について、骨太の方針に盛り込まれるなどの政府のアクションがあると思うが、財務省の目標や指標に関してもローリングしていっていただきたい。
  • 今回の計画はかなり洗練されている。
  • PDCA的アプローチは環境変化が少しずつ進む状況にフィットしているマネジメント方法である。そもそも論の大戦略とか基本戦略をピボットしないといけない状況においてどうやっていくかは、トップダウン的アプローチでやっていかなければならない。
  • 総合目標なり、政策目標の中で重点施策を明示して、重点的に評価していってはどうか。
  • 総合目標6に関して、東日本大震災の復興に対応した実施計画と同様に、新型コロナ対応も実施計画で明示してはどうか。

  【財政・経済運営等関係】

  • 財政についてどう考えていくかということは、変わらず努力を続けていってほしい。
  • 財政支出の圧力が非常に大きく、歳出改革をいかに行っていくかは大きな課題であるがコロナ補正や予備費の問題を政策評価でどう評価しているのか。
  • 政策ごとに当初予算、補正予算、執行状況等について、しっかり管理されて改善されているとは必ずしもいえないため、財務省として、世の中の関心にこたえて、開示やマネジメントにより取り組んでいくべき。
  • 26兆円という防衛予算を43兆円にするという計画が示されているが、原資をどこに求めるのかという問題がある。一応の案が出ているが、防衛というのは永遠に続くわけなので、もう少し安定財源にいずれは切り込んでいかなければならないと思う。
  • ゴールデンウイーク明けに5類になり、コロナによる財政出動もほぼ確定される。この機会に、財政出動した部分について償還しなければならないという議論をスタートさせるべきではないか。
  • ウクライナ侵攻により、世界や日本人の認識は変わったが、財政規律に関わるところは、日本人の意識が戻っていない。
  • ウクライナ侵攻と同様のことが東アジア周辺で起きる可能性が出てきた時に、財政規律を無視して持つのかという議論が十分にあるとは言えないのでないか。
  • DX、GX、或いは安全保障環境は、今後大きく変動する。日本の財政状況もいろいろな意味で非常にリスキーな状況に入るので、今後は、少しずつ環境が変わっていく状況ではなくなっていくので、経営的な組織能力を財務省としてどう高めていくかが大事になる。
  • コロナ対応がスムーズにいったのは財政による貢献が大きかったと思うが、その分、財政が相当傷んでしまったと感じる。ウィズコロナに向かう中、有事から平時に戻れる正念場を迎えているところ、その財政を担当している財務省の責任は非常に大きいため、是非頑張って欲しい。
  • 今後クラウディングアウトのようなことが起こる可能性がある中で、財政赤字を減らして、民間に資金が流れるようにしなければならない。

  【税制関係】

  • 社会保障に限定されている付加価値税の中に、社会保障だけではなく、グリーン、防衛予算、この三つの要素を組み込んだ改革をして、広く薄く、シンプルに、国民も企業も負担をするしか方法がないと思う。1%ずつの増税であれば、あまり大きな経済への影響はないという主張もあり、また、いろいろな要素があるので今すぐにということではないがその議論をお願いしたい。
  • 税制に関する広報について、現在は納税促進が中心となっているが、日本は財政に無関心な国であると評価されているため、税金の使われ方等の財政と税制を一体とした広報をお願いしたい。
  • 税制あるいは財政、場合によっては租税教育など、将来の納税者への広報は非常に重要であり、長いスパンで考えていく必要があると思う。具体的に計画の中に記載するといいのではないか。

  【国債関係】

  • 現状の国債市場の機能不全をいかに正常化させるかに大きな課題があるため、日本銀行とも連携して国債市場の流動性や機能の正常化について、しっかり取り組んでいただきたい。
  • GX経済移行債について、歳入面で一般的な国債等がどう違うのか、あるいは歳出の面で従来のエネルギー環境予算との関係がどうなっているのかが分かり難いと感じる。また、その使途については、民間では難しい長期的な課題に取組む等、民間とうまく棲み分けて進めて欲しい。
  • ヨーロッパにおけるグリーンボンドについて、今のGXは、CO₂20%カットもあれば40%カットもあるが、クリーンエネルギーへの投資であれば発行できるようになっている。それでは資金の配分を歪めることになるので、この点を格付けすることで何%にするかということを考えながら進めていく必要があると思う。

  【世界経済・金融市場関係】

  • シリコンバレーバンクが破綻し、ステーブルコインにも大きな影響を与えるという新しい国際金融の負のフェーズが出てきた。新たなステーブルコインや預金金融機関との新しい形態のデジタル金融の関係を見つつ、国際金融システムの安定について見ていくことが大事。
  • ウクライナ問題については、財政支援、あるいは復興復旧において地道に取組んでいくことが重要。
  • 国際金融については、潮目が変わることにより顕在化するリスクについて、日銀や金融庁と一体となって対応することが重要。
  • 5月に新潟で開催されるG7については、日本のリーダーシップを発揮する良い機会であるため、是非、頑張っていただきたい。
  • 為替レートの大きな変動に際して、介入を行ったのは、市場にウォーニングを発したという意味で正しかったと思う。

  【デジタル】

  • 税関の原産地証明のデジタル化の運用開始を今年度始めることができることは、大変すばらしいことだと思う。貿易実務の現場においては、大きく生産性が向上するという効果があるので、こういったことを一部ではなく全体そして他のいろいろな機能について広げてほしい。
  • 税関のデジタル化の取り組みに、ビッグデータ、SNS、動画といったキーワードの活用方針が示されており、取り組みをさらに進めてほしい。
  • 財務省として、社会実態の変容にしっかりキャッチアップしていくことが、政策の実効性を確保する必要条件と考えており、デジタル化の取り組みについては、ぜひチャレンジ精神を持って引き続き進めていただきたい。
  • 外国ではコロナ後もリモートワークが相当続いている。日本でもリモートワークを定着させ、いろんな人が自宅から勤務できるということが必要だと思う。

  【その他】

  • 日本の産業界と、国の機関が、今以上に連携をして、日本の国際競争力も上げていくという観点をぜひ取り入れてほしい。
  • 少子化は、もっと生産性を上げて、可処分所得を上げなければ、根本的な対策にはならないと思う。今からでもフランスが2000年ぐらいから10年15年をかけて、少子化対策に成功した例にもっと学ぶべきではないか。

以上

(速報のため事後修正の可能性あり)