このページの本文へ移動

第75回財務省政策評価懇談会(10月6日開催)議事要旨

日時    令和4年10月6日(木)10:30~12:03

場所WEB会議(財務省第3特別会議室を含む)

出席者

懇談会メンバー
(懇談会メンバー)

秋池玲子

ボストン・コンサルティング・グループ 日本共同代表

秋山咲恵

株式会社サキコーポレーションファウンダー

伊藤元重

東京大学名誉教授

江川雅子

成蹊学園学園長

百合

株式会社日本総合研究所理事長

和夫

阪急電鉄株式会社代表取締役会長

田中直毅

国際公共政策研究センター理事長

田辺国昭

国立社会保障・人口問題研究所所長

広瀬道明

東京ガス株式会社取締役会長

山本

鎌倉女子大学教授、東京大学名誉教授

座長吉野直行

慶應義塾大学名誉教授、金融庁金融研究センター長
政策研究大学院大学客員教授

(敬称略、五十音順)

(財務省)

茶谷事務次官、青木官房長、住澤主税局長、諏訪園関税局長、三村国際局長

(国税庁)

阪田長官、中村審議官、原監督評価官室長

(事務局)

渡部政策立案総括審議官、原田政策評価室長

議題

(1)令和3事務年度国税庁実績評価書(案)について

(2)令和4年度財務省政策評価の事前分析表の一部変更(案)について

議事概要

事務局より議題(1)及び(2)について説明を行い、その後、メンバーから意見等を伺った。

メンバーからの主な意見等は以下のとおり。

≪令和3事務年度国税庁実績評価書関係≫

  全体

  • 適切な業務運営がなされており、国税庁の実績評価について異論はない。
  • 一般的にPDCAの実践は難しいと感じているが、国税庁にあっては、評価の中に次に向けた要素を織り込むなど、PDCAを長年継続して回しており、非常に優れた組織の取組であると評価している。
  • 今回はコロナの影響を念頭に置いた評価となっているところ、それ自体に異論はないが、次回以降、いつ通常の状態に戻すのかという議論も必要になってくると思う。
  • 経済環境の変化やコロナの影響で現場の仕事のやり方や重点が変わっていくことは十分あり得る。与えられたレールの上で見るだけではなく、柔軟性を持ちしっかり評価する、つまりきめ細やかな対応と丁寧に説明していくという姿勢は、今後も是非続けていただきたい。
  • コロナ禍の3年間で、デジタル化が予想以上に進み、働き方の前提条件が変わった面がある。今後、単に元に戻すというよりも、将来を見据えて何が必要で適切な指標かを考えていってもらいたい。
  • コロナという状況の中、組織の内側の作業の仕方を変えていくという側面、同時に国税庁と国民との関係を変えていくということに適切に寄与した点に関して、コロナとDXの目標が相まってプラスに転じたかと思う。
  • 国税庁は、納税者サービスと、同時に公権力の行使もやっているので、国税当局における信頼なり信任に基本的な目標なり長期的なトレンドを把握することをやってもいいと思う。
  • コロナにより現場に行けなかったなどの物理的な障壁等々で目標が達成できないような状況と、満足度が低くなったりギリギリになって目標達成できないのとでは、同じ目標達成できなかったでも意味するところが違うのではないか。満足度がどういう要素で成り立っているのか満足度要因分析も進めていくと、効率性、質の向上にもつながると思う。

  実績目標(大)1-1(内国税の適正かつ公平な賦課及び徴収)

  • 今回「B」という評価だが前向きに生かせればその時点で「A」に値するものになっていくと思う。
  • コロナ禍で国税庁の方々が非常によく頑張られているが、そこは良い人材を確保されているということだと思う。今後とも良い人材を確保する上で、表彰制度というのをやっていただくとよいのではないか。そういうことが職員のやる気につながり、長期に良い仕事をしようというインセンティブにもなると思う。

  実績目標(小)1-2(税務行政のデジタル・トランスフォーメーション)

  • 新たに設定されたDXの目標に「利用者目線に立った」「従来の慣行にとらわれることなく」というキーワードが入っていることが大変素晴らしいと思った。
  • デジタル化が進めば、日本でも行政機関の複数の手続がワンストップで対応できるような形での業務の効率化・高度化、並びにオンラインによる税務手続の推進ということが大きく進むのではないかと考えており、今後の取組に大変期待をしている。
  • DXについて、新しい目標を見直したのは非常によいことである。
  • デジタル・トランスフォーメーションにおいて、ユーザーの視点というのが極めて重要で、この評価を上げていくこと、また業務を抜本的に見直した上でデジタル化をすることが、業務の効率化、効果的な業務にもつながるので、しっかり取り組んでいただきたい。
  • スマホによる利用が1.5倍と急速に伸びている。DXが広がった後は、スマホの中でできることの拡大、利用のしやすさの点に配慮していってもらいたい。
  • 不服申立てまで行かないにしても、納税者の不平、不満、苦情は今後も増えてくると思う。また、デジタル化の取組も長い目で見れば効率化して便利になるが移行期は不平、不満、苦情につながる。そういう面で広報・広聴活動に更に力を入れ、納税者の困りごとや相談事に対してきめ細かく対応していくことが必要だと思う。
  • デジタル化を進める上で、利用者目線から考えていることはすごく良いことだと思う。ただ、高齢者の方々の目線も中に入れて、お年寄りの方々がご自宅からも税務のことが少しできるようになれば、本当に全体の目線になると思う。
  • 国税庁には、いろいろな指標で世界一を目指してほしい。デジタル化でエストニアが各国から注目されているように、国税庁も各国から注目されるように頑張っていただけると素晴らしいと思う。

  業績目標1-2-1(オンラインによる税務手続の推進)

  • マイナンバーの利用可能範囲を今後どのように広げていけるか、またデジタル化を進める中で従来のアナログの行政手続を極力残さず、二重行政にならないようにすることが重要である。
  • マイナンバー普及が進んでいない中で、マイナンバー制度の普及・定着に向けた取組が、昨年も今年も「S評価」をつけていることは気になるところである。
  • マイナンバーが普及しないとDXやいろいろなことが進まないのは明らか。所掌は総務省と承知しているが、政府全体として何をすべきかをしっかり考えて取り組み、その中で国税庁としても最大限の努力をしていってもらいたい。
  • 国税庁がデジタルを進めると同時に、マイナンバーの普及・活用も必要だと思う。

  業績目標1-3-1(広報・広聴活動等の充実)

  • 不服申立てまで行かないにしても、納税者の不平、不満、苦情は今後も増えてくると思う。また、デジタル化の取組も長い目で見れば効率化して便利になるが移行期は不平、不満、苦情につながる。そういう面で広報・広聴活動に更に力を入れ、納税者の困りごとや相談事に対してきめ細かく対応していくことが必要だと思う。【再掲】

  業績目標1-4-3(不服申立てへの取組)

  • 不服申立ての案件が難しくなっているのは理解しているが、期間内に処理できない案件の滞留が重なってしまうのは非常によくないので、難しい案件の処理を次年度に先送りしないで、適切に質を保ちながら対応していってほしい。
  • 不服申立てに対する取組について厳しく評価し、更に改善していくことを自らに課したことは大変良いことだと思う。

  実績目標(大)2(酒類業の健全な発達の促進)

  • ワイン等が世界中に受け入れられている状況を考えると、日本酒もポテンシャルがあると思うし、日本文化の発信にもつながるので引き続き努力を続けてもらいたい。
  • 酒類の輸出については拡大の余地があると思うので、オンラインを上手く活用し輸出を促進してほしい。
  • 日本酒をもっと海外に販売できるように、大使館も通じて宣伝していただきたい。フランスのワインだけでなく、日本酒も美味しいというところを見せてほしい。

≪令和4年度財務省政策評価の事前分析表の一部変更(案)関係≫

  • 財務省政策評価の事前分析表の一部変更に異論はない。
  • ウクライナ情勢の持つ広がりが、今後、経済情勢や目標全体に影響を与えていくのではないかと思っている。

≪その他≫

  政策評価制度

  • 世の中の大きな変化に対してどう対応していくのか、また、変化をどう取り込んでいくのかという通常状態とは違った形の政策に対応するというのが非常に重要になってきている。通常状態をどうフォローするかということ以外に、変化のとらえ方や政策目標の微調整への関わり方を含め、どういうところに重点を置きながらやっていくのかということを、懇談会の場で議論できていければいいと思う。
  • 今ある状態を見て目標との違いで評価するというのもあるが、例えば海外の事例など、比較する軸があると評価の中身が濃くなってくると思う。
  • 政策評価懇談会は、目標を立てることで自らを律する仕組みで国民の意向を受けて出来たが、問題は、現場ではなく企画調整に係る部分でこの機能が発揮されていないことだと思う。政策評価懇談会において、問うべき、あるいは答えるべきことをもう一度定義し直す必要があるのではないか。
  • この政策評価懇談会は、他の審議会と違い、国全体、あるいは財務省全体、国税庁全体を包括的に考えてどういう方向にあるべきかを大所高所からご意見をいただく、これがこの政策評価懇談会の役割だと思う。

  財政・税制・財務管理・経済運営等関係

  • 産業や社会の変化が激しく、転職が当たり前になっている中で、日本企業の伝統的な後払い的な退職金制度が足かせになってきていると思う。今後退職金制度の見直しや、兼業など柔軟な働き方なども反映した税金のかけ方を考えていって欲しい。
  • ロシアのウクライナ侵攻により日本経済も大きな影響を受けており、資源高、円安、物価高という大きな財政支出圧力が増している。また、コロナによる大きな財政支出圧力や少子化の問題もある。日本にとって本当に必要なものにはしっかり予算をつける必要はあるが、しっかりメリハリをつけて歳出改革を行ってほしい。
  • 2025年問題が最近議論されていないことに危機感を持っている。生活保護世帯の医療費負担や、要支援者の介護費の自己負担比率の見直し等、受益者負担を見直すべきではないか。また、地方自治体において、子どもの医療費の無償化が競って導入されているが、目先のいわゆるポピュリズム的な政策が先行しているように思うので、これを抑制するような手立てを取っていただきたい。
  • 防衛費とカーボンニュートラルの国際公約を実現するための財源手当てについては、企業も国民も広く薄くシンプルに負担するしか道は無いと思う。まずは、外形的標準課税の制度を変えて、その後、消費税の税率を上げていくというような議論をお願いしたい。
  • 防衛費におけるサイバー・宇宙への投資が大事だと考えている。主要国の国防研究開発費の政府負担割合と比較すると日本は低い状況である。もう少し研究開発を強化していかないといけないと思う。
  • 政府全体としてDXを進めていく中で、一つは税、もう一つは医療制度においてDXを広げることが肝になっている。税と医療の違いは2点あり、システムの負担について、税は政府負担、医療は医療機関が一部負担となっていて、この負担の配分の問題がかなりDXの進展を妨げている。
  • ウクライナ情勢の持つ広がりが、今後、経済情勢や目標全体に影響を与えていくのではないかと思っている。【再掲】
  • コロナ前とコロナ後で経済構造が同じではないことが分かってきているので、財政政策、財務省の政策も根本的に少し違った形で考えないといけない方向性になっていると思う。
  • 国債を増やさないと同時に、今後、国債を日本銀行が売却することになったときに、どうやって国債を吸収するのかという問題がある。
  • 社会保障費を増大させない、むしろ減少させるようにしないと、いくらいろいろな税を上げても間に合わないと思う。そのためには、定年は延長して、賃金は年功序列ではなく、生産性、社会に貢献できるかということでやっていかないといけないと思う。
  • 消費税を上げることも必要だが、税を拡充していくことも必要ではないかと思う。G7で日本が炭素税の議論を進めてはどうか。
  • いろいろな事業を行うときに、官の資金だけでなくて民の資金を利用していく方法として、クラウドファンディングを利用する方法もあるのではないか。

以上

(速報のため事後修正の可能性あり)