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第74回 財務省政策評価懇談会(6月14日開催)議事要旨

日時    令和4年6月14日(火)14:59~16:50

場所WEB会議(財務省第3特別会議室を含む)

出席者(懇談会メンバー)

懇談会メンバー

秋池玲子

ボストン・コンサルティング・グループ 日本共同代表

秋山咲恵

株式会社サキコーポレーションファウンダー

百合

株式会社日本総合研究所理事長

田中直毅

国際公共政策研究センター理事長

田辺国昭

国立社会保障・人口問題研究所所長

冨山和彦

株式会社経営共創基盤(IGPI)IGPIグループ会長

広瀬道明

東京ガス株式会社取締役会長

座長吉野直行

慶應義塾大学名誉教授、金融庁金融研究センター長
政策研究大学院大学客員教授

(敬称略、五十音順)

(財務省)

矢野事務次官、新川官房長、茶谷主計局長、住澤主税局長、阪田関税局長
角田理財局長、三村国際局長、 栗原財務総合政策研究所長

(国税庁)

大鹿長官、田村審議官、村松監督評価官室長

(事務局)

水口政策立案総括審議官、伊藤政策評価室長

議題

(1)令和3年度財務省政策評価書(案)について

(2)令和4事務年度国税庁実績評価実施計画等(案)について

議事概要

事務局より議題(1)及び(2)について説明を行い、その後、メンバーから意見等を伺った。

メンバーからの政策評価に関する主な意見等は以下のとおり。

≪令和3年度財務省政策評価書関係≫

  政策評価全般

  • 財務省、国税庁ともに、大きな目標に向けて、政策を体系的に構築している姿は非常に重要である。各種政策が一つの方向へ向かい、ベクトルが合わさることでより大きな力になる点はとても評価できる。
  • 総務省政策評価審議会では、行政事業レビューシートを使ったEBPMの徹底強化を進めようとしているが、総務省だけではなく、財務省が予算編成に活用することで、各省庁のモチベーションも変わってくると思う。
  • 令和3年度の財務省の実績評価、国税庁の令和4事務年度計画について、特に異論はない。

  財政・税制・経済運営関係

  • 昨年、「Ⅽ 目標に向かっていない」と評定され、やや衝撃的に受け止めた財政健全化が「B 進展が大きくない」に上がったのは良かったが、目標は先にあるので、歩みを止めることなく取り組んでほしい。
  • 経済成長の実績を見ると、日本は世界から取り残されているような状況であり、コロナ対応もあって極めて厳しい財政状況が続いていることについて、財務省だけの責任として評価していいのか疑問はあるが、所与の条件の中で、引き続き、財務省の努力に期待したい。
  • 最大の課題である財政再建について、先進諸国と比べて異常な財政状況から、改善方向に持っていくためには、2025年度のプライマリーバランス黒字化目標の維持が大切である。
  • グリーン、デジタル、レジリエンス、国防費や社会保障の問題もあり、財政を考える上で相当厳しい状況だが、財務省は、財政健全化の最後の砦として、発言や発信を頑張ってほしい。
  • 今後、経常収支が黒字でなくなってくるのであれば、財政の信頼性にも大きく影響してくる。こうした中、デジタル化等を通じた生産性の向上と経済成長が重要であり、財政・金融政策に頼らない成長戦略が必要である。
  • 予算執行に関して、昨年のコロナ対策では多額の繰越額や不用額が計上された、との会計検査院指摘を踏まえ、事業毎の予算執行状況に係る国民への情報提供が必要ではないか。
  • 補正予算の規模が非常に大きくなった中、予算執行に関する透明性の向上や適正な執行の面で、真剣に考えなければならないのではないか。特に、コロナ対応の予算は、効果検証・分析が必要ではないか。
  • コロナ対策としての様々な政策について、分かりやすく一覧表として公表することにより、学者達による政策の評価や効果検証、分析も可能になるのではないか。
  • 予算執行調査は、影響力が大きく、非常に大きな役割を担っているため、何を調査対象にするか、各省庁へどうフィードバックするかを考慮し、今後も質の高い調査を展開してほしい。
  • 円安が進み、じわじわと金利上昇するなど市場が変化する中、財政の柔軟性確保と健全化維持について、しっかりと考える時期が来ているのではないか。
  • 円が下落し、短中期でもやや危機モードになっているので、国家のCFOである財務省としても危機対応に関する最善の準備が必要ではないか。
  • 欧米では、コロナ対策でも恒久的な赤字を残さないように、増税を含め議論されている。日本でも増税措置を正面から議論していく必要があるのではないか。
  • グリーンや環境問題への対応としては、炭素税、グリーンタックスがあると思う。G7、G20など国際社会と連携し、全世界一律の税率とする必要があるが、導入すれば日本の財政問題にも寄与するのではないか。
  • 財政状況の的確な開示を前提として、国民に理解してもらい、危機感を共有してもらえるような工夫も重要ではないか。

  国債

  • 健全化と成長の両立が本当に大事だと思うが、新しい資本主義実現会議でも言われているGXトランジションボンドに関して、今後、財務省はどのように取り組んでいくのか。
  • 国債の入札結果発表に係る事務ミスにより評価を下げた政策目標3-1は、評価としては相当だが、安定的な国債の発行が重要である中、現場職員に対して、過剰なプレッシャーとならないように留意してほしい。

  その他

  • 持続化給付金の問題からもわかるように、日本は個人に対する給付の仕組みが脆弱である。財務省の守備範囲を超えるが、圧倒的に法人に依存した公助や共助の仕組みから脱却していくことを期待したい。

≪令和4事務年度国税庁実績評価実施計画等関係≫

  実施計画全般

  • 財務省、国税庁ともに、大きな目標に向けて、政策を体系的に構築している姿は非常に重要である。各種政策が一つの方向へ向かい、ベクトルが合わさることでより大きな力になる点はとても評価できる。【再掲】
  • 令和3年度の財務省の実績評価、国税庁の令和4事務年度計画について、特に異論はない。【再掲】

  DX

  • 国税庁のデジタル化は、極めて地に足のついた取り組みになっている。実務上の苦労はあると思うが、中長期的な取組として、腰を据えて取り組んでいってほしい。
  • 国税庁の実施計画は、税のDXが目指す姿を関係者が共有できる形で明確に言語化している点が素晴らしい。また、職員の実務に沿った形で目標があり、その目標の達成によって仕事が評価されることが組織全体に伝わる非常に良い策定方針となっている。
  • DXは、一般国民へ裾野を広げる作業が非常に難しいと思うが、税と医療の2つの分野が揃うと一挙に進展すると思うので、引き続き、税のDXを推進してほしい。
  • テクノロジーの進化は早いので、柔軟に対応することが大事。国税庁のDXもフレキシブルかつアジャイルに対応していくことが大事だと思う。
  • デジタル化を進める中で、DXが国税庁の業務に与える効果を見つつ、それが業務の効率化につながるよう、取組を進めてほしい。
  • e-Taxについては、使い方の簡単な動画を作成し、毎年改善していくことで、自宅からの申告・納税の推進が図られると思う。

  税務行政一般

  • 働き方が多様化し、副業、兼業も増えているため、公平な税の徴収の観点から、こうした課題にもしっかり取り組んでほしい。
  • 税は、信頼性、公平性、簡便性、効率性が重要。高齢化とグローバル化が進む中、贈与税・相続税・法人税などの執行に力を入れて税の信頼性・公平性を堅持してほしい。オンライン申告はオンライン世代が徐々に増えていけば改善されていくと思う。

  その他

  • 持続化給付金が適格な支出になっているかに疑問を持つ国民が多い。国税庁は給付金に関与する位置付けにはなっていないかもしれないが、政府内で実務的な感覚を持ち、事業体に関する知見のある国税庁が何らか関与できないのか、考察いただければと思う。

以上