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第73回 財務省政策評価懇談会(3月9日開催)議事要旨

日時    令和4年3月9日(火)14:58~16:33

場所WEB会議(財務省第3特別会議室を含む)

出席者(懇談会メンバー)

懇談会メンバー

秋池玲子

ボストン・コンサルティング・グループ 日本共同代表

秋山咲恵

株式会社サキコーポレーションファウンダー

伊藤元重

学習院大学国際社会科学部教授

江川 雅子

一橋大学大学院経営管理研究科 特任教授

百合

株式会社日本総合研究所理事長

和夫

阪急電鉄株式会社代表取締役会長

田辺国昭

国立社会保障・人口問題研究所所長

広瀬道明

東京ガス株式会社取締役会長

山本

鎌倉女子大学教授、東京大学名誉教授

座長吉野直行

慶應義塾大学名誉教授、金融庁金融研究センター長
政策研究大学院大学客員教授

(敬称略、五十音順)

(財務省)

矢野事務次官、小野総括審議官、坂本主計局次長、住澤主税局長、阪田関税局長、角田理財局長、
三村国際局長、 栗原財務総合政策研究所長

(国税庁)

日置審議官、本多監督評価官室長

(事務局)

水口政策立案総括審議官、伊藤政策評価室長

議題

(1)令和4年度財務省政策評価実施計画等(案)について

(2)令和4年度予算編成等における政策評価の活用状況について

議事概要

事務局より議題について説明を行い、その後、メンバーから意見等を伺った。

メンバーからの政策評価に関する主な意見等は以下のとおり。

【政策評価全般】

  • 令和4年度財務省実施計画(案)の全体像について、異議、異論はない。
  • 「国の信用を守り、希望ある社会を次世代に引き継ぐ」との財務省の使命に関して、その達成度を定期的に調査・評価していくことができないか。
  • 今回、総合目標2に我々の目の前にある「コロナ」というキーワードが入ったが、中期かつ大局的なテーマを内容とする総合目標の趣旨も踏まえ、頻繁に変えることなく長い目で目標に取り組んでほしい。

【財政・経済運営関係】

  • 財政健全化目標の検証の結果、これを堅持することになったことは本当に良かったと思うし、決して旗を降ろすことなく取り組んでほしい。
  • 今年1月の経済財政諮問会議において、財政健全化の目標年度が変更されなかったことに安心したが、成長と分配の好循環を実現し、かなり高い経済成長を成し遂げる必要がある。
  • 財政健全化の議論をする際、経済成長率などの前提条件が楽観的ではないか。もう少し現実的なシナリオに基づく予算編成ができないのか。
  • 総合目標2に政府方針に従った記述が追加されたが、具体的な内容が明確でない中で「分配」が強調され過ぎることにならないか、財政再建目標を大きく変更する必要はないという判断との矛盾はないか。
  • 今回、税制の目標に「成長と分配の好循環」との言葉が入り、非常に印象深かったが、分配を実現していこうとする場合、歳入面の税制だけではなく、歳出面・財政での取組も出てくるのではないか。
  • 危機対応と長期的な健全化維持とのバランスが求められる中、コロナ危機対応から長期の安定対応へどう転換していくかが重要なポイント。
  • コロナ対応が長期戦になっていることは明らかなので、危機対応モードからサステナブルな政策へ切り替え、財政規律にしっかり注意を払って運営してほしい。
  • コロナ対応は非常に良かったのではないか。倒産や失業などの防止の観点で、財政が有効に機能したということではないか。ただ、財政の悪化に鑑み、復興税のような話や、中小企業の返済などに関するソフトランディングが今後の課題である。
  • 気候変動問題、社会保障費増加、成長と分配の好循環、これら三つの課題を解決するには、受益者負担の見直しと増税以外に道はないと考えており、償還の議論も必要である。歳入歳出の抜本改革の議論に強く期待している。
  • 今後の財政支出の増加には必ず財源を確保する、歳入と歳出をタイアップさせること等の取組により、財政の将来の信頼性を作っていってほしい。
  • 政策評価の手法の一つである総合評価の一環として、コロナの財政出動に関する評価を行ってみてはどうか。
  • コロナ対策がミクロ・マクロでどのように影響してきたかの全体像について、例えば、財務総合政策研究所等において、学者を募り研究をすることも可能ではないか。
  • 先日の財政制度等分科会において、財政の現状をもっと広く国民に認識してもらう必要がある、との意見が複数あったが、大学講義で財政規律の話をしても、残念ながら危機感を持っている学生はほとんどいない。
  • プライマリーバランスは当面の目標としては良いが、対GDP比も重要だと考えており、特に先進国と比べて日本が突出する状況をわかりやすく示すことで、国民に危機感を感じてもらえるのではないか。
  • プライマリーバランスなどの財政指標は重要だが、国の一般会計及び特別会計、国と地方の関連性が複雑であるため、国民向けに、もう少し分かりやすい翻訳が必要ではないか。
  • 会計検査院報告によれば、コロナ関連予算と実績の比較が困難な部分もあるとのことだが、財政再建を進める中では重要な問題ではないか。また、目的と政策が合致しない施策、無駄な支出になってしまった施策を検証し、エビデンスに基づく実効性のある政策を行ってほしい。
  • 財務省からEBPM等の取組を通じワイズスペンディングに取り組んでいくことが、財政健全化、日本の発展を考える上で大事なのではないか。
  • 今後、デフレからインフレ環境へシフトすると、財政・経済運営のあり方等も変わるため、その時々の大きな経済変化にどう対応していくか、常に問われることになる。
  • ウクライナ情勢など政治・経済で局面が大きく変化する中、金融市場の変化にも備える必要がある。公的債務残高の大きい日本は、持続可能性に不安を持たれぬよう、金融市場のモニタリングや発信を通じて、しっかり財政運営することが大事。
  • 社会保障やグリーン等に加え安全保障やエネルギー価格などの資金需要が高まる中で、今後の財政、国の信用と希望のある社会にどのような影響を及ぼすか、大きな転換期を迎えているのではないか。
  • 医療提供体制などに関し、色々な問題が国民の目の前に見えてきているので、この機会を活かし、負担の分かち合いの問題や広報のあり方も含め、社会保障改革にしっかり取り組んでほしい。
  • 少子高齢化、人口減少への対応について、全体の規模よりも1人当たりのGDPやIT・人材投資の生産性の向上に注力すべきである。
  • 人口減少に伴うインフラ集約について、コンパクトシティという方向性はあるが、地域では議論が進んでいない。コロナで注目された医療インフラの機能分担・集約から始めるなど、長期計画を立てた上で財政支出も考えていってほしい。

【税制関係】

  • 総合目標2に政府方針に従った記述が追加されたが、具体的な内容が明確でない中で「分配」が強調され過ぎることにならないか、財政再建目標を大きく変更する必要はないという判断との矛盾はないか。(再掲)
  • 今回、税制の目標に「成長と分配の好循環」との言葉が入り、非常に印象深かったが、分配を実現していこうとする場合、歳入面の税制だけではなく、歳出面・財政での取組も出てくるのではないか。(再掲)

【世界経済、金融市場関係】

  • ウクライナ情勢など政治・経済で局面が大きく変化する中、金融市場の変化にも備える必要がある。公的債務残高の大きい日本は、持続可能性に不安を持たれぬよう、金融市場のモニタリングや発信を通じて、しっかり財政運営することが大事。(再掲)
  • 大学ファンドについては、大学に対しても効果的な政策になるように、しっかり運用のモニタリングをしていかなければならない。
  • ルーブル格下げやルーブル国債の影響の中、日本の国債市場の安定性は非常に重要である。特に、短期国債は外国人保有が増えており、変に影響を及ばさないことが重要。また、国際金融市場の安定性も非常に重要であり、為替市場含め通貨への影響を注視してほしい。

【デジタル化関係】

  • 説明資料のデジタル化の取組はいずれも良いものだが、デジタル化にあたっては、職員の働き方が良くなり、仕事がやりやすくなる観点も、とても大事であると思う。
  • EBPMが推進される中、ビッグデータを活用し、ファクトに基づいた政策の議論や分析・検証を行うため、今後蓄積するデータの様式をそろえるなど、無駄が出ないように取り組んでほしい。
  • データ分析を用いた政策利用はどの程度進んでいるか。国税庁では、税務調査・徴収に当たりビッグデータを使い、AIに近いことをやっているのではないか。財務省は、いわばデータの宝庫であり、データ分析と利用がもう少し前面に出ても良い。
  • データ利活用については、その体制を整えるとともに、国税庁のように集まったデータをある程度外でも使える工夫をすれば、今後、学者に将来シミュレーションなどをしてもらえるのではないか。

以上