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第71回 財務省政策評価懇談会(6月14日開催)議事要旨

日時    令和3年6月14日(月)15:00~16:45

場所WEB会議(財務省第3特別会議室を含む)

出席者(懇談会メンバー)

懇談会メンバー

秋池玲子

ボストン コンサルティング グループ
マネージング・ディレクター&シニア・パートナー

秋山咲恵

株式会社サキコーポレーションファウンダー

伊藤元重

学習院大学国際社会科学部教授

江川 雅子

一橋大学大学院経営管理研究科 特任教授

百合

株式会社日本総合研究所理事長

小林喜光

株式会社三菱ケミカルホールディングス取締役会長

和夫

阪急電鉄株式会社代表取締役会長

田中直毅

国際公共政策研究センター理事長

田辺国昭

国立社会保障・人口問題研究所所長

冨山和彦

株式会社経営共創基盤(IGPI)IGPIグループ会長

山本

鎌倉女子大学教授、東京大学名誉教授

座長吉野直行

慶應義塾大学名誉教授、金融庁金融研究センター長
政策研究大学院大学客員教授

(敬称略、五十音順)

(財務省)

太田事務次官、茶谷官房長、新川総括審議官、矢野主計局長、住澤主税局長、小宮関税局審議官、大鹿理財局長
神田国際局長、阪田財務総合政策研究所長

(国税庁)

可部長官、小宮審議官、椎谷監督評価官室長

(事務局)

藤本政策立案総括審議官、大森政策評価室長

議題

(1)令和2年度財務省政策評価(案)について

(2)令和3事務年度国税庁実績評価実施計画等(案)について

議事概要

事務局より議題(1)及び(2)について説明を行い、その後、メンバーから意見等を伺った。

メンバーからの主な意見等は以下のとおり。

≪令和2年度財務省政策評価書関係≫

  政策評価全般

  • コロナ禍における業務の評価のあり方について、通常通りの業務ができない中、今年は成果が出ていないが、翌年以降に実るものもあるので、良い形で来年度に繋げていけるようにしてもらいたい。
  • 財政の評価がAからCとなっているところに、非常に強い印象を受けた。大きな時代の変化の中で、これまでの評価の仕方などを議論・検討する時期に来ているのではないか。
  • 財政運営に関して、AからCという評価をしたことは、財政の危機感の表明ではあるが、他方で、実績評価の目標として、毎年実現できているかをチェックするという評価のやり方が危機にさらされているのではないか。
  • 従来の役所の単位をまたがる問題が多くなっているため、お金という横串を持っていた財務省を含めて、コントロールができなくなっている状況について、見直しの議論が必要である。

  財政・税制・経済運営関係

  • 財政についての評価がCとなったことについて、今後の財政健全化に向けて、気持ちを引き締めて、一歩踏み出していこうという心構えということで理解している。
  • コロナの影響による財政再建の後退、ここを厳しく評価されたということを大きなメッセージとして理解した。
  • 財政の評価がAからCとなっているところに、非常に強い印象を受けた。大きな時代の変化の中で、これまでの評価の仕方などを議論・検討する時期に来ているのではないか。(再掲)
  • 総合目標1のC評価は、大きな驚きをもって受け止めた。それだけ財政健全化についての危機感が強いということだと思う。このことを国民的議論のきっかけとしてもらいたい。
  • 国と地方の関係について、コロナ対応の中で連携不足が露わになった。地方の実情に合わせた政策が行えるよう、バランスの取れた仕組みに変えていただきたいと思う。
  • 財政健全化についての危機感が、評価Cという形であらわれており、非常に重要なメッセージだと思っている。
  • 社会が変わっていく中で、ワイズスペンディングをどう考えていくのかが非常に重要な課題となってきている。タックスミックスを含め財源を確保し、財政再建をしながら、格差を是正しつつ、経済を復活させていくことに関して、財務省の役割は非常に重要になっていると思う。
  • コロナ禍で、医療提供体制など非常に大きな課題が見つかっていると思う。これを質的に向上させるとともに、社会保障の支出が大きくならないよう抑制していくことについて、しっかり議論していただきたいと思う。
  • 財政に関する評価がCというのは間違いないであろう。2025年度プライマリーバランス黒字化という言葉がまだ残っているが、本当なのかという思いがある。カーボンニュートラルなど、どのような形で資金が使われるのか精査をしながら、タックスミックスも検討する必要があるのではないか。
  • ポストコロナにおいて、GDPをベースとしたリアルエコノミーから、シェアリングエコノミーやバーチャルエコノミーといったインタンジブルな部分をどう評価していくかということを考え直す必要があるのではないか。
  • カーボンニュートラルを達成するためのコスト等、今後、発生する財政負担について、今回のコロナで生じた借金どのように償還していくのかということも含めて、幅広い議論を行っていただきたい。
  • 社会保障の受益と負担のアンバランスが加速することになる。当面の課題として、介護と生活保護について議論が必要だと思う。
  • 新型コロナウイルスによる異常事態が終わった後も戦時の状況にあり、財政規律の維持について、議論を進める必要がある。政策評価懇談会の果たすべき役割は大きい。中国経済の状況など、構造的に日本を取り巻く環境は悪化していることを理解しなければならない。
  • 財政運営に関して、AからCという評価をしたことは、財政の危機感の表明ではあるが、他方で、実績評価の目標として、毎年実現できているかをチェックするという評価のやり方が危機にさらされているのではないか。(再掲)
  • 財政に関する評価をCとしたことは、結局国全体の構造的問題が、財政にしわ寄せされている結果だと思う。
  • 歳出拡大の主たる要因であるコロナ対策について、予備費及び3回の補正の使途を、わかりやすく開示する必要があるのではないか。
  • 財政に関して、様々なシナリオを考えていただき、どのように対応していくかということを、政策分析を含め検討していただきたい。
  • 高齢化社会のなかで、効果のある財政支出を行うためには、構造改革が必要である。

  国債

  • 日本においてもグリーン国債に投資できるようにすることが必要ではないか。

  世界経済

  • 国際金融に関する目標6-1の評価がSに上がっている。コロナ禍においてもモニタリングを行い、ウェブ会議等を駆使し制度構築などに寄与したということは評価したい。

  デジタル化

  • デジタル・トランスフォーメーションについて、国税庁や財務省が他省庁に比べ進んでいるので、省庁全体を引っ張っていただきたい。
  • 国税庁については、業績目標1-2-1で、マイナンバー制度の普及・定着に向けた取組みを掲げてもらっている。財務省が主管ではないが、マイナンバーと全銀行口座を紐付けることについて、早急に目標に掲げていただきたい。
  • デジタル・トランスフォーメーションとは、国税の枠の中の議論ではなく、国民と政府の間のお金のやり取りの関係性をトランスフォームし、デジタルで全部一元化することである。
  • デジタル・トランスフォーメーションを進めていくための人材を確保していくためにも、新しい人材登用、職員のモチベーション管理等、検討する必要があるのではないか。
  • クラウドファンディングを利用して地方における起業を進めることや、デジタル教育を利用して人材育成を進めていくことが重要である。

≪令和3事務年度国税庁実績評価実施計画等関係≫

  • コロナ禍における業務の評価のあり方について、通常通りの業務ができない中、今年は成果が出ていないが翌年以降に実るものもあるので、良い形で来年度に繋げていけるようにしてもらいたい。(再掲)
  • 国税庁では、多くの職員の参画を得て組織理念を作成したことは、非常に良い取組である。今後も取組が継続され、一層良い形で仕事に取り組めるようになることを望んでいる。
  • 国税庁の実施計画において、デジタル化に対応する目標が追加されたことは大変重要なことであると思っている。
  • 税務行政におけるデジタル・トランスフォーメーションについて、どのように取り組んでいくのかが重要である。計画に記載のとおり、従来の慣行にとらわれることなく取り組んでいかれることに、大きな期待をしている。
  • デジタル化により事業者の所得情報を活用し、政策が早期に実現でき、政府に対する国民の信頼度を大きく向上することができる。このような取組みに対する国税庁のリーダーシップの発揮に期待したい。
  • デジタル化に関して、バックオフィス業務の集中化を行うことに止まらず、いろいろな面でデジタル・トランスフォーメーションを進めることで、業務の効率化が進むと思うので、適切な人事配置も考えていただきたい。
  • デジタル・トランスフォーメーションについて、国税庁や財務省が他省庁に比べ進んでいるので、省庁全体を引っ張っていただきたい。(再掲)
  • 国税庁については、業績目標1-2-1で、マイナンバー制度の普及・定着に向けた取組みを掲げてもらっている。財務省が主管ではないが、マイナンバーと全銀行口座を紐付けることについて、早急に目標に掲げていただきたい。(再掲)
  • 国税庁の実施計画において、デジタル・トランスフォーメーションを踏まえた国税庁の仕事のあり方の転換について、目標とした点を高く評価したい。
  • 相談業務について、国税庁は以前から評価が高く、5年間、目標をクリアしている。このこと自体は評価するが、対面で説明することに留まらない評価指標を設定し、その底上げを図っていただければと思う。
  • デジタル・トランスフォーメーションとは、国税の枠の中の議論ではなく、国民と政府の間のお金のやり取りの関係性をトランスフォームし、デジタルで全部一元化することである。(再掲)
  • デジタル・トランスフォーメーションを進めていくための人材を確保していくためにも、新しい人材登用、職員のモチベーション管理等、検討する必要があるのではないか。(再掲)
  • 国税庁のe-Taxにおいて、システム障害やサイバー攻撃に対して、税の信頼性の観点から、しっかり対処していただきたい。
  • 税務データは、いろいろな研究に利用可能である。また、そうした税務データの分析・研究を活用し、日本の政策に反映させていくべきである。
  • 衛星写真を用いて事業者の売上げを推計するなど、デジタル化を利用した税務執行も可能ではないか。

以上