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第65回財務省政策評価懇談会(3月12日開催)議事要旨

日時平成31年3月12日(火)10:29~11:54

場所財務省第3特別会議室

出席者(懇談会メンバー)

懇談会メンバー

秋池玲子

ボストン コンサルティング グループ
シニア・パートナー&マネージングディレクター

秋山咲恵

株式会社サキコーポレーションファウンダー

和夫

阪急電鉄株式会社代表取締役会長

田中直毅

国際公共政策研究センター理事長

田辺国昭

東京大学大学院法学政治学研究科教授

山本

鎌倉女子大学教授、東京大学客員教授

座長吉野直行

慶應義塾大学名誉教授

(敬称略、五十音順)

(財務省)

岡本事務次官、矢野官房長、三村副財務官、小宮総合政策課長、太田主計局長、彦谷主税局総務課長、高見関税局審議官、可部理財局長、武内国際局長、美並財務総合政策研究所長、木村会計課長

(国税庁)

藤井長官、武藤審議官、天野監督評価官室長

(事務局)

岡本政策立案総括審議官、江島文書課長、渡部政策評価室長

議題等

(1)平成31年度財務省政策評価実施計画等(案)について

(2)政策評価に関する基本計画等の一部改正(案)について

(3)「平成31年度予算編成等における政策評価の活用状況」について

議事概要

事務局より議題(1)及び(2)について説明を行い、その後、メンバーから意見等を伺った。

メンバーからの主な意見等は以下のとおり。

【政策評価全般】

  • 評価については、この数年間で資料が理解しやすいものになっており、内容についても厳しめに評価されている。財務省の場合は、取り組む期間が非常に長いテーマも多いので、1年で達成できないものや、状況によってはターゲット自体のハードルが更に上がるような類いのものもあると思うが、そういったことも含めて公正な評価がなされている。
  • 総合目標5に「世界経済の持続的発展」という文言があるが、持続性は今後の世界の中でも非常に重要なキーワードになってきている。財政の健全化自体も経済の持続的発展のために実施していることであり、そういったキーワードが財務省の様々な仕事の中にあると思うので、そこに光を当てると更に進められることもあるのではないか。
  • 定量的な測定指標での評価はよいことであるが、目標と測定指標の関係に齟齬があると、誤った測定指標によるいびつな評価になってしまうので、これからも良い測定指標を選んで進めていっていただきたい。
  • 政策評価・EBPM等に関連して、政策立案総括審議官が設置されたことは非常によかった。
  • 政策評価の前提として、国民に対してどういうメッセージを一つ一つの政策で伝えるのかが重要である。

    今回の消費税率の引上げは、現役世代が税負担を先送りしない、財政赤字について放置しないという国民の意思を体現して、それを消費税率の引上げとすることであるにも拘わらず、国民に対してメッセージを伝え切れていないというおそれがある。財務省の政策評価の前提として、鮮明なメッセージを伝えるということに絞って我々は議論すべきではないか。

  • 国有財産と国際金融に関して、政策のまとまりを国民に対して見やすい形で束ねるともに、定性的な測定指標に加え、なるべく定量的な測定指標も設定するという方向性を支持する。他方、評価時には、複数の軸をおいて適切な指標で判断することが必要になるので、今回の改正は見やすさと評価のしやすさを調和させた改正であると思う。
  • 今回の議題は、政策評価の実施計画と事前分析表に係るものであり、2019年度に財務省としてのメッセージをどうやって対外的に発するかということであるので、コミットメント的なものを打ち出せればよいのではないか。
  • 政策評価全体の書きぶりとしては、組織管理や組織目標との関係の扱い方についても整理することにより、実施計画を更に改善できるのではないか。
  • 2018年度以降の実施計画等について、英文が財務省ウェブサイトに掲載されていない。英文ウェブサイトについて、アクセス数だけではなく、アクセスしている者の類型、閲覧ページ及びアクセス増加の要因・時期等に係る分析も行い、政策評価の一環として取り組んでいただきたい。
  • 様々な政策について、それを地域又はミクロで見たときに、どのように現場に影響を与えているかを分析するなど、現場を見る力を引き続き保持していただきたい。

【財政・経済運営関係】

  • 現状、世界経済の転調に起因して景気が変調し始めており、財政再建への逆風がこれから強くなることも想定され、税収アップも見通しづらいと懸念される。したがって、税制の構造と予算配分の仕組みをできる限り合理的でシンプルなものに変えていく努力を一層進めていく必要があり、複雑過ぎる仕組みは、現場を含めて行政の疲弊の原因の1つであることを民間の目線で申し上げたい。
  • 昨年6月の財政健全化計画の中で、残念ながら、2020年のプライマリーバランス黒字化が5年間延期されたが、その際には、2019年から2021年の3年間での社会保障の抜本的な見直しが掲げられている。2022年には団塊の世代が75歳になるなど、今回がラストチャンスなので、しっかり取り組んでいただきたい。
  • 財政の健全性が一番重要な目標であり、国債の発行はツケを将来に回しているということを、国民全員が考えないといけない。
  • これまでは国債を大量に発行しても、ゼロ金利で利払いがほとんどなかったが、今後は金利が上がることも予想される中、金利まで含めた意味での歳入と歳出のバランスを考える必要がある。
  • 財務省は歳出と歳入を常に同時方程式で考え、それによって国民がどういう選択をしていくのかというのを考えていただく必要があるのではないか。

【国有財産関係】

  • 国有財産の処分について、将来の人口動態を考慮すると、保育や介護を充実させていくためには、売却ではなく定借の部分を増やすなど、このようなニーズに応えていくべきではないか。

【国際関係】

  • 今年、日本で開催されるG20においては、ユニバーサル・ヘルスケアや質の高いインフラなど様々な視点があると思うが、G20をうまくまとめつつ、世界に向けよい発信をしていただきたい。
  • アジアを対象とした様々なビジネスは、これからも成長する可能性が高いと思うので、欧米とアジアの両方を見ながら、バランス良く国際局の政策を実施していただきたい。

【EBPM・データ活用関係】

  • ロジックモデルによる証明は、都合のよい部分を切り出し、あたかも説明したかのように見せることもできるので、予算や税を担当する財務省としては、それを見極める能力を高めていくなど、経済の総合的な分析力といったものがより一層求められていくのではないか。
  • 今後、更にEBPMの手法等を取り入れながらデータを活用するためには、政策評価で財務省が示した方向性について、政策全般においてEBPMの浸透を図っていくプロセスにおいても、リーダーシップを発揮していただきたい。
  • ロジックモデルに反映されるロジックは、将来に向けての新しい価値感を反映していくものでなければならない。また、常にロジックが有効かどうかをレビューし検証していくことが重要である。
  • エビデンスに基づく政策立案という大きな政府の方針がありながら、エビデンスに対する信頼が厚生労働省の問題などで損なわれたことは非常に残念である。これを見直すポイントとしては、アナログからデジタルに変わっていっている社会の中で、もう少し近代的・合理的な手法がないのかということである。

    また、昨年の5月に次世代医療基盤法が改正され、医療データを匿名化し、ビッグデータとして二次利用が可能となったように、エビデンスについても利用の仕方が変わっていけばよいと思う。

  • 財務省の政策は、基本、マクロ政策でロジックモデル化に適さないが、他省庁が作成したロジックモデルを予算査定等においてどのように活用するかが、財務省の腕の見せどころである。各省庁もエビデンスをきちんと示すとともに、査定、評価にこれらを活かせるようにエビデンスを積み重ねていくことになるので、その好循環を今後作り出していくような契機になればよい。
  • 国税のデータを含め、行政機関が保有するデータの更なる活用を図るべきであり、詳細なデータの提供により、例えばインフラ投資に関しても、その経済効果がどのように税収に影響を与え、どのような業種に影響を与えるか研究できるようになるなど、様々な研究が可能となる。

    また、そのように財務省が持っているデータを様々なところで活用できれば、それを使って多様な政策評価が可能になると思う。

議題(3)について、関係各局より、「平成31年度予算編成等における政策評価の活用状況」について説明を行った。

以上

(速報のため事後修正の可能性あり)