1日時 令和6年10月16日(水)13:00~14:34
2場所財務省第3特別会議室及びWEB会議
3出席者
(懇談会メンバー) | ||
秋池玲子 |
ボストン・コンサルティング・グループ 日本共同代表 |
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秋山咲恵 |
株式会社サキコーポレーション ファウンダー |
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伊藤元重 |
東京大学 名誉教授 |
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江川雅子 |
成蹊学園 学園長 |
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角和夫 |
阪急電鉄株式会社 会長 |
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田中直毅 |
国際公共政策研究センター 理事長 |
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広瀬道明 |
東京ガス株式会社 相談役 |
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山本清 |
東京大学名誉教授、 |
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座長吉野直行 |
慶應義塾大学名誉教授、金融庁金融研究センター顧問、 |
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(敬称略、五十音順) |
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(財務省) 新川事務次官、坂本官房長、青木主税局長 |
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(国税庁) 奥国税庁長官、中村国税庁審議官、松代監督評価官室長 |
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(事務局) 渡邊政策立案総括審議官、佐藤政策評価室長 |
4議題
(1)令和5事務年度国税庁実績評価書(案)について
(2)令和6事務年度国税庁実績評価事前分析表の一部変更(案)について
5議事概要
事務局より議題について説明を行い、その後、メンバーから意見等を伺った。
メンバーからの政策評価に関する主な意見等は以下のとおり。
≪令和5事務年度国税庁実績評価書関係≫
全体
- いつも丁寧に作業いただき、特にコメントはない。
- 国税職員の皆さんが納税者との関係において、一つ一つ実績を積み重ねながら、納税に関わる慣行を作っていることに対して敬意を表している。
- 国税当局がこれまで、実績評価という形で自己の評価やチェックを繰り返してきたことは、大変評価する。
- 令和5事務年度の実績評価について、個々の項目ごとに踏み込んで検討されており、また評価が下がったものも数字的には微々たるものなので、特に異論はない。
- 評価全体について、1%の未達でも、SがAになるという大変厳しく評価しているところも含め、異論はない。
- 国税庁の職員の皆さんは、大変な仕事をされていると思うので、モチベーション維持に留意して仕事に取り組んで欲しい。
- 今回の評定結果並びに評定の理由については、いずれも理解と納得ができるものばかりであり、特段の異論はない。
- 全体として今回の評価は妥当であり、引き続き頑張っていただきたい。
- 知り合いの税理士に税務署の取組について気づいたことを尋ねたところ、多くのコメントがあり、関心が高いのだと感じた。
- 評価は、目標値を設定し、実績値との乖離で判断することになるため、目標値の設定によっては、実績の良し悪しに関わらず極端な評価となってしまう可能性がある。目標値が本当に妥当な数字であるのか検討することが重要。また、実績値がどう推移しているのか、他国と比較してどうなのかというような形で実績値の変化を見ることも重要。
実績目標(大)1(内国税の適正かつ公平な賦課及び徴収)
- 参考指標として「収納済税額」約85兆7,000億円、「租税及び印紙収入」約67兆2,500億円と記載がある。定義の違いだということは分かる人には分かると思うが、やはり国民の方、納税者にもう少し分かりやすい記述をしていただけるとよいのではないか。
実績目標(小)1-1(税務行政の適正な執行)
- 守秘義務違反は、納税者からすればあってはいけないことである。件数や具体的な対応の説明をするなど、何らかの工夫をしていただき、対策を行っていただくことを、今後の対納税者あるいは国民に対しての理解を得るという意味において、もう少しご検討いただきたい。
実績目標(小)1-2(税務行政のデジタル・トランスフォーメーション)
- デジタル化の取組を整理されているのは素晴らしいが、これから何をやらなくてはいけないのか、現在何ができていないのかといったことについても可能な範囲で是非お知らせいただきたい。
- 日本の税務行政のデジタル化がどれくらい進んでいるのか、海外のベストプラクティスと比べてどうなのか、ということが非常に気になる。厳密な比較は困難なものの、他国において既に行われているにも関わらず、日本では行われていないことがあるのならば、将来チャレンジする対象となるのか。
- 国税庁自身のデジタル化だけではなく、事業者や関係機関も含めてデジタル化を進めていくことをうたっているので、そういった観点で是非進めていただきたい。
- 実績目標(小)1-2(税務行政のデジタル・トランスフォーメーション)や業績目標1-4-2(期限内収納の実現及び滞納の整理促進への取組)などで記載のあるAIの活用といった点を今後更に進めていただきたいと考えており、大変期待している。
- 政策評価の流れの中で、大きなテーマとしてデジタル化やオンラインによる税務手続が大きなトレンドやモメンタムになっている。
業績目標1-2-1(オンラインによる税務手続の推進)
- 納税や申告はとても重要な活動のため、それがデジタル化されることで、社会全体のデジタル化にとっても大きな推進力になるのではないか。
- 徴税のデジタル化については、これまでいろいろ努力あるいは工夫をしていただき、相当実績も上がってきていると思うが、そもそも日本は行政サービスのデジタル化が遅れている。行政サービスの最たるものが徴税である。e-Taxも含めて徴税業務が行政サービスのデジタル化の先頭を走っているということになれば、非常にシンボリックなものになると思うので、これからも是非、取組を加速していただきたい。
- あらゆる税務手続をオンラインでできる社会を作るという高い目標を掲げ、努力を続けてもらいたい。
- デジタル化を後押しするような政策をぜひ進めていくべきだと思う。また、国税庁あるいは財務省の政策によってマイナンバー制度の普及を後押しするといったことが必要ではないか。
- 施策〔業1-2-1-2〕マイナンバー制度の普及定着について、給与所得の源泉徴収票情報の連携は今までできなかったのか。
- 施策〔業1-2-1-1〕オンライン申告の推進の測定指標である各税目等に係るe-Taxの利用状況・申告状況、利用満足度のうち、利用満足度は非常に重要な指標だと考える。オンライン化は国民及び国税庁にとってもメリットが大きいと考えられる中、利用満足度のみが前年から上昇しなかったことについては、改善に向けてご尽力いただきたい。
- デジタル化を進めていく上で、例えば簡単なソフトやプログラムを中小企業や個人事業主に配布することでデジタルを使いやすくしていくという方法もあるのではないか。
- e-Taxの利用割合について、各国税局や地域によって数字が異なるのではないか。どのような理由でその地域によってe-Taxが進んでいるのか遅れているのかを比較することで、国税局同士の競争が起き、更にe-Taxの利用が進むことが望ましい。
業績目標1-2-2(デジタルの活用による業務の効率化・高度化)
- 今回の評価年度の国税専門官の採用試験において、「理工・デジタル系」の試験区分から81名が採用されたということは非常に素晴らしい。少子化の問題もあるが、公務員に対する優秀な人材の確保という点においても非常に由々しき事態が他省庁で生じている状況下で、国税専門官ではこれだけの人数を採用できたということは、デジタル化においても非常に意義深いこと。どのような努力によるところかというのが分かれば、他省庁にとっても参考になるのではないか。
- オンライン及びデジタル化は非常に重要であり、国税専門官の採用試験に「理工・デジタル系」の試験区分を設ける取組や、今回の目標見直しについても非常に良い傾向。
- デジタル化が進むことで内部での業務が整理され、職員の方が実地調査にかける時間を増やすことが可能なのではないか。これからは、実地調査がしっかり増加しているというような数字も出していただきたい。
業績目標1-4-1(適正申告の実現及び的確な調査・行政指導の実施)
- デジタル化が進むことで内部での業務が整理され、職員の方が実地調査にかける時間を増やすことが可能なのではないか。これからは、実地調査がしっかり増加しているというような数字も出していただきたい。【再掲】
業績目標1-4-2(期限内収納の実現及び滞納の整理促進への取組)
- 実績目標(小)1-2(税務行政のデジタル・トランスフォーメーション)や業績目標1-4-2(期限内収納の実現及び滞納の整理促進への取組)などで記載のあるAIの活用といった点を今後更に進めていただきたいと考えており、大変期待している。【再掲】
実績目標(大)2(酒類業の健全な発達の促進)
- 酒類の輸出は大分伸びてきたとはいえ、フランスなどの国と比較すると依然小さい。例えば日本酒で言えば、製造元は小さな企業が多く、大企業のような展開ができない。こういった家族経営や中小企業の方が作っている酒類も輸出できるようなやり方を、必ずしも国税庁だけによるものではないが、是非進めていただきたい。
≪その他≫
政策評価制度
- SやAといった評価そのものではなく、本質的に良い取組になっているか、国民にも取組に対する理解が深まっているか、国税庁・財務省が取組に向けて組織能力を高めているか、ということが重要。そういった視点で評価に取り組んでいくとよいのではないか。
財政・税制・財務管理・経済運営関係
- ウクライナ危機以降、日本は防衛費を増やす際に増税ができるのか、という問いがあり、ヨーロッパで日本国債の評価は低下している。残念ながらそれに対する日本からの財務状況についての正確なコメントが出ているとは思えない。
- 年末調整廃止の議論が昔からあるが、デジタル化の進展を踏まえ、展望はあるか。
- 前政権において、防衛費の状況、少子化対策、GXといった課題に対する財源として増税議論が出た。これらは国の根幹に関わるような、非常に大きく重要な政策である上、予算規模も大きく、長期にわたることから、しっかりとした財源として税が必要になる。税のことなので当然痛みを伴うし、きちんと説明しなくてはいけない。逃げずに是非正面から向き合っていただきたい。
- ようやく基礎的財政収支(プライマリーバランス)が黒字化できるというところまできたことに対して、心より敬意を表したい。
- 税は、徴収される側のことばかりで、その受益を国民が感じにくい。これは国税庁ということでなく全財務省として、より国民に税を理解してもらえるようなコミュニケーションがあればよいのではないか。
- 高齢者についてはできるだけ早く、65歳ではなく70歳までは誰でも働くという社会にシフトしていかないと、日本の将来は大変なことになるのではないかと考えている。
- 70歳まで働くことによって健康が維持でき、医療費が下がるという効果も見込める。できるだけ早期に65歳定年を70歳まで延ばして、なおかつ、その後も最低5年は健康であれば基本的には働くという社会ができればよいのではないか。
- 健康で働き、税をきちんと納める人達を増やす施策を是非とも政府にはお願いしたい。
- プライマリーバランスについては、次のステップとして「プライマリーバランス+利払費」があり、これらを含めたもので黒字にならないといけない。
- 高齢化の中では定年の年齢を上げていき、なるべく長く働いていただく、それと同時に、生産性に応じた給与体系というのをきちんと日本で確立できるようにすれば、高齢者の方々に長く働いていただき、社会保障の歳出部分を減らしていくという動きも可能であり、重要ではないか。
- 現在、日本ではカーボンプライシングや、グリーンボンド、カーボンクレジットレーティングなどいろいろなことが言われているが、CO2の排出量をしっかり見るという点では結局同じになる。そうなるとするとカーボンタックスでかけるのが一番楽。何らかの形で、カーボンタックスのメリット、もちろんデメリットもあるが、それも言っていただきたい。
- アメリカのソーシャルセキュリティナンバーのように、マイナンバーが、入学試験や、現在それぞれの大学で付番されている学生の番号の代用として使えるようになると便利。
≪令和6事務年度国税庁実績評価事前分析表の一部変更関係≫
全体
- 測定指標の目標値の見直しについては、様々な仕組みが整い、精緻に数字を算出できるようになったからこその前向きな変更だと思うので、異論はない。
- 目標値の見直しについても、デジタル化を進める観点からのもの。こうした取組をさらに更に進めていただくよう期待している。
以上
(速報のため事後修正の可能性あり)