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1.日時 令和3年6月7日(月)15:00~16:00

2.場所 財務省 国際会議室(オンライン開催)

3.内容
    (1) 個人向け国債の販売動向等
    (2) 個人向け国債販売にあたっての取組事例
    (3) 発行当局と取扱機関との連携強化
    (4) 個人向け国債の広告
    (5) 個人向け国債販売にあたっての取組事例(金融機関より説明)

理財局から議題(1)~(4)について、資料1に基づき以下のとおり説明を行った。

(1)個人向け国債の販売動向等について
  • 令和2年度の個人向け国債販売額は直近5年間で最低となった。一方で、3年債については好調な販売となっており、銀行や信用金庫における取扱いの割合が増加している。
(2)個人向け国債販売にあたっての取組事例について
  • 各金融機関が販売に当たって工夫されている点について、実際に販売に携わる職員の方々に商品性などをよく理解していただくことなど、理財局が意見交換を通じて聞き取った例を整理している。
(3)発行当局と取扱機関との連携強化について
  • 取扱機関として御登録いただいている機関数は約950あるが、今回トップリテーラー会議に御参加いただいている20機関で約8割の販売額を占めている状況である。
  • また、この約950機関のうち、昨年度1年間で販売実績のない機関も約4割ある。これらの方々にも、皆様のように販売に関心を持っていただくことも、大きな課題と考えている。
  • 会議体の在り方について、このトップリテーラー会議に加えて、業態別や地域別での意見交換を検討しており、その実施に当たっては皆様に御協力いただければと考えている。
(4)個人向け国債の広告について
  • P.10右側赤字表記の数字で示しているとおり、金融商品を購入したことがない若年層における個人向け国債の認知度の低さが課題になっており、今年度はこの層への認知度向上に向けた広告を実施したいと考えている。
  • 具体的にはP.11、P.12に掲載のとおり、個人向け国債の「個子ちゃん」を使用し、様々な情報発信を行っていくことを予定している。
  • また、地域の著名人を起用したポスターやテレビCMの作成、イベント、セミナーの開催など、地方プロモーションを今年度も実施する。今年度は石川、沖縄、静岡の3県を予定しているが、昨年度以前に実施した地域においてもできる限りフォローアップを行っていきたいと考えており、御地元で開催させていただく際には、皆様に御協力をいただければと考えている。

続いて、みずほ銀行、トマト銀行、宮崎中央農業協同組合より、議題(5)について、資料2に基づき以下のとおり説明が行われた。

  みずほ銀行
  • 総合資産コンサルティングを実現するために、ライフデザイン・ナビゲーションというツールを用いて、お客様にポートフォリオ提案をしている。将来の夢や希望の実現のために、人生とお金の計画を立て、お客様の課題認識からポートフォリオを提案するようなツールとなっている。
  • ツールの中身としては、将来何歳のときに何がありますか、例えば、年金のスタートは、旅行はいつ頃までにしたいですか、住宅リフォームはなされますか、などのライフデザイン機能とマネーライフプラン機能を分類したうえで、家族の情報や実現したい夢といったライフイベントの情報を基にデザイン年表を表示することができ、お客様御自身が望まれるこれらの人生を見える化して、実現のために必要な資産形成をワンストップにサポートする、このような機能を備えたツールとなっている。
  • 具体的なポートフォリオ提案の例はP.5のとおり。何歳のときに何々したいですかとか、70歳のときにはどうされていますか、楽しむ余暇としては何をしたいですか等、将来に向けたライフデザインをヒアリングしていき、その結果として、資産状況を見える化する。その上で、どれだけ増やさなければいけないのかといった、運用プランに適したポートフォリオと、具体的な商品提案というものをサポートする。
  • P.5の右側に例を記載しているが、円グラフの左側は現在の資産配分、そして右側はお客様のライフデザインや、やりたいことを実現するためには、こういうポートフォリオにしてみたらいかがでしょうか、というような形でお示ししている。個人向け国債についても、この中に表示される形で組み入れている。
  • P.6に記載のとおり提案書といった形で、コンサルティングの結果をお客様にお示ししている。これからお客様の将来に向けた夢を実現するために、今のポートフォリオをこのように変えていきましょうというような提案をして、総合資産コンサルティングにつなげているといった取組を当社では進めている。
  • また、当社の個人向け国債に対する取組として、共同カンパニー長(役員)が、営業担当者に説明する動画を発信しており、そこでしっかりと個人向け国債の重要性についても触れている。個人RM(リレーションシップマネジメント)はどうしても、投信や保険等の運用資産に目が向きがちだが、個人向け国債は投資のドアノックツールとして、また岩盤預金崩しとして、非常に重要なプロダクトの一つであるということを、役員自らが発信することで、営業担当者の意識も非常に高まっている。
  トマト銀行
  • 当社が個人向け国債に注力した時期は2020年1月からであり、それまでは、当社からお客様への提案はほぼできておらず、残高は僅か8億円にとどまっている状況であった。1か月前の2019年12月、個人向け国債に注力する意義等について研修を実施し、2020年1月から販売に注力したが、最初は、今まで販売したことがないので自信がない、端末オペレーションが不安、書類が多過ぎるといった営業店の声が、本部に多数寄せられた。
  • そこで、本部として1月から追加研修を実施。また、個人向け国債を販売しても営業成績として評価されない体系であったため、起爆剤として、販売額の5分の1を営業成績に反映させるという措置をとった。さらに、日々の営業店の販売状況を、翌日タイムリーに全店に公表した。その効果は絶大で、1月の販売額は僅か1億円であったが、3月には7億円にまで拡大することに成功した。
  • P.9に記載のとおり、2020年4月から、若い社員の意識が変わり、自信を持ち始めた。先輩社員は投資信託、高度な知識がまだない私たちは個人向け国債、と変化し、端末オペレーションにも慣れてきた。本部としても、業績評価に個人向け国債が寄与するということを強調して発信した甲斐もあり、2020年上半期は62億円の販売実績を残すことができた。そして2020年10月からの下半期は、勢いはそのままに、キャンペーンの再開もあり、57億円の販売実績を残すことができた。個人向け国債に注力して1年3か月の実績で、130億円を販売し、8億円の残額が138億円となった。
  • この取組をするに当たり、当初、お客様と社員の意識を変える必要があったが、お客様にはキャッシュバックキャンペーンで、社員には業績評価で、意識を変えることに成功した。
  • 現在はさらに販売できるよう、タブレットによる販売についてシステム開発中である。また、営業店の負荷が大きいオペレーションの簡素化にも着手している。販売実績がない状態では、そこにコストはかけられなかったが、販売実績を基に、効率化、事務の改善にも着手でき、社員の教育、やりがい向上にもつながっており、まさに好循環を回すことに成功した。
  宮崎中央農業協同組合
  • 当JAの金融部門は、P.11下の図に記載のとおり、貯金という形でお客様からお預かりをして、県信連への預け金や有価証券、融資等で運用をしている。昨今の低金利環境下でその利息や売却益等の利回りが低下しており、経営財源の確保が年々厳しくなっている。こうしたことを背景として、P.12に記載のとおり、当JAでは資金調達量の維持・増加と、利息以外の経営財源を確保するという点をキャッチコピーに個人向け国債販売への注力を始めた。
  • この2つの目的を達成するために、2017年から個人向け国債への取組を本格的に開始した。P.12下の図に記載のとおり、目的としては資金調達量の維持・増加と、国債販売による取扱手数料の確保ということで、調達の財源を確保することで運用を増やし、利回り低下をカバーしようという点と、国債の手数料による新たな経営財源を確保したいという点が最初の目的であった。
  • 他方、2016年まで国債についてはほとんど取扱いをしておらず、セールスはしていたものの、単体での販売ではなかなか難しいということと、地域的なお客様層として、国債になかなかなじみがないお客様が多かった点も踏まえ、なじみのある定期貯金とセットで販売してみようと、2017年より「ひかり」という名称で個人向け国債のセット型定期預金の販売を開始した。
  • それぞれの国債の種類に応じて上乗せ金利を変えて、お客様に提供しているが、P.13に記載のとおり、国債販売取扱手数料で、この「ひかり」の上乗せ金利の費用を補うことで、PR性の高い金利上乗せ商品ができている。
  • 年々お客様の関心も高まり、リピーターの方も増えている。宮崎の地域柄、お客様がなかなか国債に馴染みがなかったが、定期貯金とセットであれば通常のキャンペーンと同じような形で窓口で話を聞いていただけるというケースが増えてきた。窓口職員もなかなか国債についての知識がなかったが、お客様の対応をする上で自然に覚えていき、また、県信連に協力していただいて定期的な研修をすることで、2020年に年間5億8,000万円の国債を販売することができた。
  • 当JAのメリットとお客様のメリットであるが、当JAについては、定期貯金による資金調達量の確保と、新たな経営財源の確保という点であり、お客様については、低金利下の時代に金利性に優れた定期貯金を享受できるという点と、信頼性の高い国債で通常の貯金利息より優れた資金運用が可能であるという点だと考えている。
  • 今後の方針であるが、低金利下の貯金利息にさほど関心がないお客様が多く見受けられる中、当JAは、商品本位のセールス営業ではなく、窓口・外回りでの会話の中でお客様のニーズをキャッチして、顧客本位の考えで提案できる体制が重要だと考えており、今年度からPDCAを意識した提案会議というものを実施して、窓口渉外担当職員の情報共有、提案手法の向上に取り組んでいる。 
出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

(1)個人向け国債の販売動向等について
  • 令和2年度については、新型コロナウイルス感染拡大の影響により活動が制限されたため、電話等の活用により事前のアポイントを取った上での活動を実施した。活動が制限されていた中ではあったが、2020年度実績は前年度比25億円増の148億円の販売実績だった。商品内訳としては、3年債を希望される方が多く、3年債が132億円と全体の89%を占めている。
    国債販売が順調に推移している要因としては、当社の営業基本方針に沿った営業活動の中で、安全志向の高いお客様が多かったことが挙げられる。お金の色分けを行い、お客様の御意向を確認した中で、最適な商品として個人向け国債が選ばれた、ということが販売増加要因だったと推察される。今年度も約87億円の個人向け国債の償還を迎えるが、引き続きフォロー活動と基本方針を徹底した取組を行っていきたいと考えている。
  • 個人向け国債については、長年の社員教育のエントリー商品に位置づけ、ほぼ全ての職員に浸透している。今回、コロナ禍で投資信託等のリスク資産の利幅が大きかったことから、恐らく安全資産への回帰ということで資金が集まり、目標を大幅に上回る販売結果となった。
  • 当社においては、コロナ禍はもとより、上期はキャンペーンを中止したこともあり販売は落ちこんだものの、下期からキャンペーンを再開することにより、オンライン、電話、ネット、後はメールといったツールを使うことで、販売額も回復した。特段、新たな取組はしていなかったが、キャンペーン活用も含めて、銀行預金の代替商品として個人向け国債の人気が戻ってきた。
    また、当社については、銀行連携を活用しており、キャンペーンの利用等も含めて、最初の投資の入り口として個人向け国債の販売をしている。月次販売総額に対して、新規口座開設での購入については販売総額のうち平均でならすと2割から3割程度が銀行からの紹介、既存・新規合わせると8割から9割程度が銀行紹介のお客様からの発注でもある。一度紹介を受けたお客様を継続フォローさせていただき、退職金時期であれば退職金の取り込み等も含めて、継続的な個人向け国債の販売を行っている。
(2)個人向け国債販売にあたっての取組事例について
  • 昨年の4月に全営業員にタブレット端末を配付した。もともと昨年度中にタブレット端末を全営業員に配ることを計画していたが、新型コロナウイルスの感染拡大が一つの契機となり、半年程度前倒しして導入した。これによって、場所を選ばずいろいろなお客様へのアクセスが可能になったことは、1つ大きな意義があった。もちろん、タブレット端末を配付しただけではなく、携帯電話等でのアクセスも可能となっており、そういう意味では、個人のお客様に対しても大きな影響があったのではないかと思っている。
    eラーニングを用いた研修はぜひ参考にしたいと思っている。現状、新人教育や営業教育の一環として、スクール形式による勉強の機会を各営業員には提供はしており、イントラネット上にも個人国債に対するQ&A集を取りまとめて掲載しているが、必要なときに各人がそれぞれ見直す機会は全く用意していなかったので、こちらを我々も何とかして取り込んでいきたいなと思っている。
  • 当社もオペレーションへの慣れや商品性の理解は重要と考えており、eラーニングの活用や事務フローなどの一覧表を用意して、速やかに対応できるような工夫を行っている。eラーニングは半年に1回のペースで実施しており、中途換金の方法や社内的な事務手続を繰り返し学習することで、速やかな対応ができるようになり、顧客サービスの向上につながっている。一覧表は事務フローや関連規定などのリンクを取り纏めのうえ、社員が常日頃利用する掲示板にアップしておき、必要に応じて担当者が確認できるようにしている。速やかなオペレーションを可能とすることで、サービス向上につなげている。
  • 当社ではATMで個人向け国債の購入が可能となっている。平成15年より開始して、現在では当社の個人向け国債販売の約9割がATMでの購入となっており、結果的には、コロナ禍における非接触の対策に寄与している。
    2020年度は個人向け国債の販売の評価基準を、投資信託や保険商品などと並列とした結果、販売は堅調に推移した。
  • 当社は、コロナ禍において、顧客の生活支援に注力した。具体的には、給与収入が減少し、住宅ローン等の月々の返済が厳しいお客様や、ボーナスがなくなってしまい困っているお客様に対して、丁寧な相談対応を行うとともに、コロナ禍で生活に困っている方への低金利なローンの取扱いを拡大してきた。それらの活動に注力するため、2020年度は早々に、国債を含めた全ての営業目標を白紙、ゼロにする決断をした。結果として、これらの活動を多くのお客様に支持していただいたと勝手ながら思っている。そういった環境下においても、国債は約195億円の販売ができた。
    一方では、新たに取り組んだものもあり、具体的には、顧客の利便性の向上、受付事務の短縮、事務ミスの削減等を目的に、タブレットによる受付頻度の向上に、会社を挙げて取り組んだ。国債の受付業務はほぼタブレットで受付している状況であり、お客様から高い評価をいただくとともに、コスト削減にも寄与していると感じている。
  • 新規先については、毎期100万円以上の預かり資産残高のお客様のリストを全店に配信している。その中で、昨今かなり低金利であることも踏まえ、定期預金を保有しているお客様に対して、「大切な御預金について10分ぐらいお時間いただけませんでしょうか」、というような形で来店を誘導している。そうした中で、お客様のライフプランを実現するためにどうしたらいいのかという観点から、使うお金、近い将来使うお金、当分使わないお金といった形でお金の色分けを行い、当分使わないお金について、特に運用方針が保守的なお客様に個人向け国債をお勧めしている。やはり投資初心者向けの商品であり、新規先の一層の拡大という観点から、その戦略的な商品と位置づけ、積極的なお声がけをしている。
    既存先のロールについて、毎期初めに当期の償還予定先のリストを、全店に配信している。事前に償還予定のお客様にお声がけを行い、「この償還資金の使い道は何かございますか」といったことをお伺いすることを徹底することにより、実際に4割程度のお客様が、再度国債を選択しているという状況である。
  • 当社では、商品売りをするような活動はしておらず、お客様一人一人に寄り添い、お客様の意向を伺った上で適切な商品・サービスの案内をすることを基本方針としている。また、個人向け国債を保有しているお客様で、今年度償還を迎えるお客様に対しては、個人向け国債償還管理表を作成し、本部から還元して、国債償還前にフォロー活動を励行している。
  • 個人向け国債の専用申込書の新規調整をして、お客さまと職員双方に係る取組の所要時間を削減できた。従来の用度品は、個人向け国債以外の各種債券の申込書を兼ねた複写式の用度品で、個人向け国債の場合には記入が不要の欄も多々あり、お客さまが記入すべき箇所の内容が分かりづらいといった問題点があった。紙の申込書であるため、お客さまの記入負担が一定程度あり、記入内容の不備割合も高く、マイナンバーの申告書など、本来申込書と同時に受領すべき書面の徴求漏れも発生するといった、お客さまと職員双方にとって非効率な状況となっていた。
    今回新設した申込書は、個人向け国債の申込に必要な記入欄に絞り、お客さまの記入・確認欄を少なくして分かりやすくした。お客さまのニーズを聞いた行員が申込に関する情報を専用の入力シートに事前にインプットし、その結果を印刷、お客さまには、印刷された内容をご確認いただきご署名のみをいただく、Excelベースのプレ印字用度品という形で解決した。申込時に必要な書類を全て自動で印刷する仕組みとなったことで、必要書類の受領漏れも防止している。
    結果、書類準備から書類徴求までの時間を10分間短縮し、3分の1程度にした。書面不備、必要書類の受領漏れに起因するお客さまの再来店もほぼ発生しなくなったという状況である。営業店からは、記入項目も少なくなり、非常に使いやすいという声や、削減できた時間でより深い説明をすることができたといった前向きな声もいただいている。昨年度、コロナ禍において営業時間の短縮が非常に大きな枷であったが、今回の取組が、コロナ禍での営業に大きく貢献できた。
(3)発行当局と取扱機関との連携強化について
  • 会議体の在り方について、他業態の意見交換や地域別の意見交換の有効性の検討に関連して、例えばフィデューシャリー・デューティ改定に伴う重要情報シートの活用等、預り資産業務については毎年のように何らかの制度変更や法令上の変更が行われており、他社、他業態の方たちがどのように取り組んでいるのか、非常に気になるところである。また、この業務に携わる人員についても非常にタイトであり、業務の効率化が求められている中で、例えば非対面チャネルの強化やペーパーレス化など、先進的な取組をされている他社と、ぜひ情報を交換したいと考えている。専門セクションのため、人員は限られ、孤独で悩みは尽きない部署でもあり、そういった悩みの共有もありがたいと考えている。横のつながりは、なかなかきっかけがないと難しいところがあるので、当社としては大いに歓迎したいと考えている。
  • これからの会議体の在り方という点について、当社としては、国債をほかの運用商品一般と変わらずの評価、変わらずの販売方針という形で対応している。その一方、これは運用商品全般に言えることだが、地域別の特色が非常に出づらい、見い出しづらいというところもあり、そういった意味合いで、業態ごとにいろいろな悩みがあるかと思う。地域別となると、どこまで情報を共有できるか。提供できる情報もなく心細いところもあり、どちらかというと、業態ごとに異なる工夫をしていったとか、いろいろ会社の規模とか業態によって、悩みはそれぞれ違うこともあるかと思うので、業態ごとで意見交換する機会をもらえれば、我々も情報を提供しながら参考にして、より国債の販売を進めることができると考えている。
  • 当社では、共働きの多い勤労世代や、退職世代であっても第二の職場で働かれている方にコンタクトするため、各営業店で、現在半期ごとに、数回程度であるが、休日営業を始めた。まだ取扱いとしては十分でない状況であるが、平日も、昼間に会えない世代へコンタクトするためにどのような取組をされているのか、このような場でまた情報交換できるとありがたいと思っている。
  • 都道府県別のプロモーション等を行う際には、事前に情報連携をいただけると非常にありがたい。そうすることにより、当社営業員にもその情報を伝え、お客様との会話の中で話題にすることも可能となり、強化すべき地域における認知度向上にも貢献できるものと考えている。財務省とタイミングを合わせてマーケティングをすることで、より大きな相乗効果が生まれるものと考えている。地域特性に応じてマーケティングを連携して行っていくことは非常に有効であると考えており、今後ともぜひ情報交換していきたい。
  • 発行当局と取扱機関との連携強化について、このようにトップリテーラー会議を開催して、各社の意見を伺い、参考にさせていただける点を非常にありがたく考えている。昨年から導入された管理手数料と募集取扱手数料の変更は、今後、取扱金融機関に対して、この管理手数料の考え方等の情報共有をぜひ進めてもらいたいと考えている。当社においても、販売手数料重視だけではなく、投資信託の信託報酬や保険の継続手数料といったストック収入に非常に今、力を入れており、その考え方でいけば、個人向け国債の販売手数料も同じような考え方に基づくものと考えている。
    個人向け国債もストックビジネスとして非常に有力なツールであることをお互いに認識をすり合わせて、この難しい低金利の時代、また収益もどんどん下がっていくというところのアイデアをお互いに交換して、セールス等もこれからも伸ばしていくような機会にしてもらえればと考えている。
(4)個人向け国債の広告について
  • 当社でも、30代、20代の若年層に対する個人向け国債の販売について、プロモーションを図りたく思っているが、現状はなかなかその顧客層にはリーチできていない状況である。その意味では、こうしたSNSを使った広告配信、あるいはインターネット広告は重要な施策であると考えている。
    当社ではLINEを使った情報配信、これは個人向け国債ではなく、当社商品の案内をしている施策があるが、実は配信数の半分が読まれていないという状況がある。さらに、その配信を読まれた方から、商品案内にアクセスされる方となると、さらに数パーセントと、情報に到達するまでのところに課題があると考えている。そういう意味では、十分なターゲティングと魅力あるコンテンツを作って、お客様にアピールすることが必要であると考えている。
  • 当社としても、ぜひ財務省と積極的に連携を強化し、個人向け国債マーケティングを行っていきたいと考えている。ここのところ財務省では、特に都道府県単位の広告に力を入れており、地方プロモーションにも積極的に注力していると思っている。当社も全国展開を行っているが、中心の顧客層は都市部に偏っているという面は否めない状況であり、投資家層を広げる意味合いでも、地方店舗でのマーケティング強化は必須であると考えている。
  • 正直、大都市圏以外の地域は資産運用という切り口では情報格差があると思っている。したがって、地方のプロモーションを通して、資産形成、すなわちお金を大切に貯めていきましょうとか、そういった啓蒙活動をしていくことは大変良いと感じている。
    当社のお客様はどちらかというと年配者が多いからかもしれないが、今回、20代の若者を意識したポスターを昨年度から作っているものの、若年層はどちらかというと来店しない層であり、ポスターとしては店舗に行く、むしろ高齢の方を意識したパンフレット、ポスターがあったほうが良いかと、個人的には感じている。
(5)個人向け国債販売にあたっての取組事例について(金融機関より説明)
   みずほ銀行の取組に対する意見

  • みずほ銀行のライフデザイン実現に向けた提案の取組は当社でも注力している分野であり、2017年よりライフプランサポート活動という名目で、顧客の潜在ニーズを顕著化させて、ライフプランに沿った提案を第一に掲げて取組をしている。ライフプランも、お客様の年代やニーズによって様々であり、運用だけでなく、ローンやビジネスマッチングなどの商品サービス、コンサルティングにも範囲を拡大しており、ニーズの深掘りをさせてもらって、提案を行っている。
    みずほ銀行のライフデザイン・ナビゲーションについては、お客様一人一人のライフイベントを可視化することで、より分かりやすく案内できるスキームであると感じた。また、ポートフォリオに合った商品案内は、より共感できる取組として参考にさせていただいた。
  • みずほ銀行のライフデザインの実現に向けたポートフォリオ提案に関して、当社も全くそのとおりと感じている。先月、当社が公表した中期経営計画にも、「お客様に一層寄り添ったライフプランコンサルティングの実施」と記載し、その中で、個人向け国債も提案商品の1つとして記載している。
  トマト銀行の取組に対する意見
  • トマト銀行の取組事例について2点質問をしたい。現在、営業店事務負担軽減のために、徴求書類へのオペレーションの簡素化を検討されているとのことだが、具体的にどのような取組をされているか。また、商品別の販売比率を見ると、変動10年債が全体の54%と最も高く、個人向け国債の長期的に安定した運用提案ができているということだと思うが、当社の場合、どうしても3年債や5年債の販売比率が高く、この点、何か工夫されていることがあれば教えていただきたい。
   ▶これに対し、トマト銀行から以下のとおり回答。
  • 業務の簡素化と書類の簡素化について、現在、申込みに当たって、最低でもお客様から徴求する書類は7枚ある。また、社員のチェックリストなど諸々の書類が10枚程度ある中で営業店は販売をしている。一体課税のためのオペレーションがあることから、まず、入り口の段階でお客様からいただく書類を1枚にしようと検討しており、タブレットによる販売システムの中に個人向け国債を導入するシステム開発を行っている。
    オペレーションにおいても、どうしても熟練社員でも5分10分程度かかるため、こちらはRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を使って、本部で一元的に勘定を端末入力しようと考えている。
  • また、変動10年債がなぜ多いのかということであるが、現在、当社においては最適提案ということを強力に推進しており、また、貯蓄から資産形成へと、併せて積立投信も推奨している。積立投信においても、10年保有すればリスクが低いという点を併せて推進しており、個人向け国債も変動10年債を志向してほしいと本部からメッセージを発信している。
  宮崎中央農業協同組合の取組に対する意見
  • 宮崎中央農業協同組合の取組について質問したい。当社でも、貯蓄から資産形成の取組の中でいろいろとアプローチをしているが、特に投資初心者の方々の啓蒙というのは非常に問題意識を持って取組を行っており、その中でエントリーの商品として、個人向け国債は非常に重要なプロダクトと位置づけてアプローチをしている。
    宮崎中央農業協同組合におかれては、まさに初心者向けの啓蒙をいろいろとしているところかと思うが、工夫している取組について、もう少し教えていただけると大変ありがたい。提案会議における担当者の方への啓蒙という点も非常に重要かと思うので、その辺りもコメントをいただけるとありがたい。
   ▶これに対し、宮崎中央農業協同組合から以下のとおり回答。
  • 地域柄、お客様が定期貯金に親しみがあり過ぎて、それに関する問合せしかない状態であり、私たちにできる取組としては、まず定期貯金を表に出して、その中で国債も一緒にPRしていくというところで考えていた。
  • 提案会議について、今まで取組ができていなかったお客様の隠れたニーズを引き出すということで、県信連で準備していただいているガイダンスを用いて、お客様の資産の把握や色分け、どういうニーズを持っているのかというところを確認しつつ、顧客本位の提案ができるよう、月に1回、本店各支店、窓口、外回り、渉外も含めた会議を実施している。投信も今後少し力を入れていくことで、資産を増やすというニーズにも対応していこうと取組をしている。その中で、PRに沿ったチラシを作るというよりも、お金との付き合い方を考えましょうよという形の、独自のチラシ等を現在、作成しているところである。