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内容 1. 令和7年度国債発行計画の変更について 2. 令和7年7-9月期における流動性供給入札の実施額等について 3. 令和7年7-9月期における物価連動債の発行額等について
〇令和7年度国債発行計画の変更について、理財局から以下のように説明を行った。
・令和7年度国債発行計画は昨年末に策定したところだが、策定から約半年が経ち、この間、国債市場において大きな動きが見られたことを踏まえ、令和7年度国債発行計画の変更を検討してきたところ。
・特に超長期ゾーンについて、4月の相互関税ショック以降、他の年限に比して大きく金利上昇する動きが見られてきた。
・超長期ゾーンの売買動向については、日本証券業協会が公表している「公社債等店頭売買高」から、令和7年1月~2月を境に、国内投資家からの需要が顕著に減退したと承知している。
・こうした最近の状況は、種々の要因によって生じていると思われ、どこまでが一時的・短期的なものなのかは今しばらく見極める必要があるが、現下の状況に対しては、国債管理政策上の対応が必要。
・国債発行計画における対応の前に、まずは、国債管理政策の基本的目標について、改めて確認する。
・国債管理政策は、財政健全化を推進し、新規財源債の発行額を抑制することを前提としつつ、 ① 確実かつ円滑な発行 ② 中長期的な調達コストの抑制 という2つの基本的目標に基づき運営しており、国債発行計画はこの目標を達成するため、皆様とのこうした場も活用しながら、市場との対話を踏まえて策定・運営している。
・国債管理政策において、一時的・短期的な需要の変化に過度に対応することはないが、これは裏返せば、構造的・継続的な状況変化には必要な対応を取る余地があるということになる。市場参加者にとっての透明性・予見可能性確保と、中長期的な需要動向への対応のバランスを考えつつ、国債管理政策を行っていく必要があり、こうした考え方を念頭に置きつつ、国債市場特別参加者や投資家の皆様からいただいた御意見を踏まえ、令和7年度国債発行計画の変更案を策定した。
・国債市場特別参加者や投資家の皆様からいただいた御意見においては、この数カ月の市場の状況を踏まえ、超長期ゾーンの発行減額が必要との認識は概ね各社共通であったと認識。減額対象については、40年債・30年債・20年債のいずれも減額すべきとの意見が多く、特に20年債について、そうした声が聞かれた。また、見合いの増額対象としては、短中期ゾーンは相対的に需要が堅調といった御意見が多く見られた。加えて、流動性供給入札についても、超長期ゾーン分を減額し、中期ゾーン分に付け替えることが適当と御意見が多く見られた。
・このような国債市場特別参加者・投資家の皆様からいただいた御意見も勘案し、当局案においては、 ・7月より直ちに、40年債・30年債を各1,000億円/回、20年債を2,000億円/回減額し、 ・流動性供給入札についても超長期ゾーン分を1,000億円/回減額して中期ゾーン分に付け替え、 ・超長期ゾーンの減額分は、2年債、短期国債の増額及び個人向け販売分の上振れ実績を反映すること等により対応 することとしている。
・最後に、オフ・ザ・ラン銘柄を対象とした買入消却については、国債市場特別参加者の皆様を中心に要望がある一方、市場の自律性の低下を招く観点から実施すべきでないという声もあると認識。買入消却は、制度上、実施できないわけではなく、今後の検討の可能性を否定するものではないが、国債管理政策におけるあり方や、その必要性、妥当性、流動性供給入札との関係の整理を含めてよく考えるべき課題。仮に実施するとしても、目的、手法、対象とする年限・銘柄等について検討する必要があり、その結果次第では、システムや予算における手当を行う必要がある可能性。直ちに実施できるものではないことから、今回の対応の対象外となることをご理解いただきたい。
・今回の国債発行計画の変更が、国債市場の安定と機能回復につながることを期待。今後も市場動向をよく注視し、必要があれば適切な国債管理政策上の対応を取る姿勢に変わりない旨を付言する。
〇次に、令和7年7-9月期における流動性供給入札の実施額等について、理財局より以下のように説明を行った。
・令和7年7-9月期における流動性供給入札の考え方は、先程、議題1においてご説明した通り。
・具体的な当局案はP.14をご参照いただきたい。残存1-5年ゾーンについては、奇数月の7月は現状通り、5,000億円、9月は現状から1,000億円増額の6,000億円、残存5-15.5年ゾーンについては、現状通り、6,500億円、残存15.5-39年ゾーンについては、偶数月の8月に現状から1,000億円減額の3,500億円の発行とすることを想定している。
〇最後に、令和7年度7-9月期における物価連動債の発行額等について、理財局より以下のように説明を行った。
・令和7年4-6月期に実施した入札等の結果と流通市場の状況はP.16~P.18に掲載している。P.18に掲載のとおり、この間のBEIは、米国関税ショックによる相場急変時に大きく低下する局面がみられたものの、その後値を戻し、足元では150bps程度で推移している。7-9月期の発行額等について事前に皆様にご意見を伺ったところ、ほぼ全ての参加者から、現状を維持することが適当とのご意見を頂いた。
・当局案はP.19の通りである。現状通り、2,500億円の発行入札を8月に1回行いつつ、毎月200億円の買入消却入札を行うことを想定している。
〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。
・発行計画の変更については、概ね当局案に賛成。茲許の超長期金利の上昇について、日本銀行による利上げ期待の後退に伴うベアフラットナーポジションのアンワインドやグローバルに財政拡張懸念が高まったこと等、複合的な要因によって大きく売られたと認識している。 ・マーケットメイカーとしての観点からすると、直近では30年ゾーンでのカレント銘柄の需給タイト化が継続しており、カレント銘柄の流動性を考えると、このタイミングでの新発債の一段の発行減は慎重に考えるべきだと思っていたが、国内の最終投資家である生保勢の購入ニーズは構造的にも減退しているということは十分認識している。 ・実際に一部生保と話をすると、発行減額等の措置によってマーケットが落ち着くことを望む声が聞かれている。また、生保からはファンダメンタルズに沿った金利上昇であれば好ましいがファンダメンタルズに沿わない金利上昇であれば買いに動きづらいといった声があることや、構造的に日本国債のイールドカーブは他国と比べても大幅にスティープニングした形状であり、超長期ゾーン全体の需給による要因が大きいと思われること、中長期的な調達コストの抑制の観点からも超長期ゾーン全体の発行を減らしていくべきではないかと考えているため、当局案に賛成したい。 ・ただ、発行計画の内容については、当社としては、新発債を各1,000億円ずつにして、前回の超長期ゾーンの流動性供給入札が大幅にテールしたことやオフ・ザ・ランの需給がカレント銘柄に比べて悪化していることを考えると、新発債の減額幅は1,000億円ずつに留め、その分流動性供給入札を大幅に減額した方が良いと考えている。
・当局案に賛成ではあるが、利付債の中での減額の優先順位としては、20年債は最も低いと考えている。確かに入札における安定的な需要という意味では乏しい点はあるが、セカンダリーでの動向を見ると、最も需給の緩みが確認されているのは40年債である。 ・20年債については、国内投資家から平準的な買いが見受けられている。こうした平準的な買いが入札における需要にはなかなか繋がらないためテールの出やすい状況が続いているということは確かに言えるため、1,000億円程度の減額は妥当だと考えているが、このセクターの減額については優先度は下がる。 ・30年債については、どちらかと言うと、カレント銘柄については需給がタイトな状況が確認されている一方、オフ・ザ・ランの需給の悪化がセクター全体の流動性の低下を招いていると考えている。実際に投資家、特に生保からの入れ替えの需要は引き続き聞かれており、オフ・ザ・ランの売却の方法を聞かれることが増えており、そういう意味では利付国債の減額は1,000億円ずつの減額に留めて、流動性供給入札を大幅に減らしながら、今後のバイバックについて、制度設計をしっかりと詰めていく必要があると認識しており、検討したい。制度設計をしっかり進めていき、その上で30年債の発行減額、超長期の流動性供給入札の発行額の減額幅を見極めていき、需給の均衡点を見つけていくことが望ましい。 ・バイバックによりオフ・ザ・ランの売りの出口を作ることで入札における安定需要にも繋がるほか、証券会社サイドとしてもバランスシートのストレスを軽減させることができ、投資家としても売りの出口を見つけやすくなると思う。
・超長期ゾーンの発行減額、また、その見合いでの短中期ゾーンの発行増額について賛成。
・20年債・30年債・40年債は、全て発行減額が必要な状況であるが、特に30年債と40年債は減額が必要と認識しており、当社としては、1回の入札あたり20年債が1,000億円、30年債が2,000億円、40年債は場合によっては2,000億円、残存15.5-39年ゾーンの流動性供給入札は1,000億円の減額が妥当だと考えている。一方で、増額する年限については、短中期ゾーンの需給状況を勘案したうえで、適切なものだと考える。 ・今回の発行計画の見直しは、4月以降の超長期ゾーンにおける急速なスティープ化を伴う金利上昇及び当該ゾーンにおける需給のミスマッチに対応するという側面があると思うが、5月は超長期ゾーンだけが突出して金利上昇したのではなく、長期ゾーンも含むカーブ広範にわたって金利上昇した。今回の超長期ゾーンを減額し短中期ゾーンへ付け替えるという対応は、デュレーション換算ベースの発行減額となり、金利急騰リスクを軽減させる効果が期待できる。こうした観点からも、増額する年限はできる限り短い方がよいだろう。 ・今回、発行計画が見直されることになるが、これをもって打ち止めという雰囲気を出さないような発信が重要である。そうした発信があることで、不要なボラティリティの発生が抑制され、国債の安定消化につながると考えている。
・20年債・30年債・40年債の減額幅について、当局の提案に賛成。 ・40年債は、足元、需給の悪化が見受けられるものの、今年度から発行減額されて以降、まだ一度しか入札を終えていないこと、また、現行のダッチ方式の入札の下においては、思いのほか需要が集まった際に強く決まり、結果的に高値でショートカバーを強いられるため、業者の体力の低下、ひいては市場の流動性の低下が懸念されることから、当局案の1,000億円以上減額するべきではない。ダッチ方式は割安に買えるため業者としてもメリットであることから、引き続きダッチ方式の下であれば、1,000億円の減額が限度であり、場合によっては据え置きでも問題ないと考えている。 ・30年債について、4月以降に超長期ゾーンが大幅に金利上昇する中においても、カレント債は海外投資家中心に押し目買いが入ったことで需給はタイト化し、レポは締まり、イールドカーブは30年カレント債近辺だけインバートするなど、カレント債だけに需要が集中する局面が見られた。また、生保の今年度の運用計画を確認したところ、昨年度同様に入れ替え需要が相応にあり、今後カレント債への入替えニーズが出てくることが想定される。セクター全体としては需給が悪いものの、カレント債だけに限定すると需給が悪いというわけではないため、減額しすぎてしまうと、よりカレント債の需給がタイト化し、市場機能が低下する可能性があると考えている。 ・20年債について、当社としては最も需給が脆弱な年限だと考えている。前回の入札では、投資家の需要が集まらなかった一方で、国債市場特別参加者は応札義務があるため、相応の額を応札し、その内かなりの割合を落札することになった。ボラティリティが上昇する中で、業者や投資家が取れるリスク量は昨年度と比較して明らかに小さくなっており、最終投資家が相対的に希薄な20年債は、入札での需要が乏しいとここ1,2ヶ月感じており、相対的に大幅な減額が必要である。 ・流動性供給入札の残存15.5-39年について、昨年度は確りした入札結果が続いた印象で、当社としても必要な銘柄が買えない事例が多かったが、足元の入札では需要がなく、相当程度流れたため減額が必要だと考える。 ・買入消却については、流動性供給入札という制度がある下では、当該セクターを発行する一方で買い入れるということになり、マーケットの自律性の低下を招くため、適切ではないと考えている。
・20~40年債の各1,000億円減額は最低限必要であり、可能であれば更なる減額を念頭にと考えていた。 ・40年債を過剰に減額することについては一定の問題があると認識。 ・30年債はカレント銘柄の需要は強いもののオフ・ザ・ラン銘柄は弱いので、大きく減らすのであれば30年債だろうと考えていたが、20年も10~20年債のカーブ形状をみればリスクプレミアム等が十分織り込まれた状況であるといえるため、提案されている内容に異論はない。 ・超長期ゾーンの流動性供給入札の1,000億円減額についても適切だと考えている。 ・発行減額した分を短期へ振り向けることについても賛成である。 ・短期については、今回、TB6Mを多めに発行するという方針を示されているが、変動利付国債の発行も念頭に、6MT-Billの市場規模がどうあるべきか、という点も来年度以降に向けた検討課題としていただきたい。 ・バイバックについては必要であるという立場だが、様々な検討が必要ということは承知しているため、なるべく早期に実施できるように検討していただくことが必要と考えている。 ・今回は普段と異なる形の発行計画の変更となっている。海外投資家を中心に、今年度が始まった時点において、「当局の発行計画はしばらく変わらない」という認識が非常に強く持たれていた印象がある。米国で実施しているような形で毎四半期発行計画を変更するというようなことは無いにせよ、市場に対してどのような発行額が適切かアンケートを継続的に取っていくこと、それにより発行計画が変わりうるということを示していく必要なのではないかと考える。
・金利上昇によって発行減額ということについては賛成だが、新発債の減額よりは既発債が国債市場特別参加者に在庫として残っていることによって流動性が低下している点を加味し、買入消却を利用したスイッチオークションを行い、ネットベースでの減額を希望。 ・30年債や40年債の既発債で額面を大きく下回っている銘柄が多い印象があることから、30年債や40年債を主な対象として実施することを念頭に、国債市場特別参加者が新発債を購入した分の25%の額面分を当局に売ることができる権利を付してほしい。 ・このようにしていただければ、証券会社は入札で新発債を買い、その分売却することができる権利が生まれる。 ・当局としても額面を大きく割った銘柄に限定して買入消却を行うこととすれば、100円近辺で発行したものを大きく額面を割った価格で買い戻すことができるため、財政的にもよいのではないか。 ・投資家から入れ替えの取引も多くあるなか、カレント銘柄は金利が高いことを背景にニーズはあるものの、既発債を保有していることによってカレント銘柄を買いづらくなっていると認識しており、それが流動性の低下につながっていると考えている。 ・平成25(2013)年の物価連動債の発行再開時、当局は新発債への円滑な乗換えのため、スイッチオークションを実施しており、新発債を購入した額面分を上限に、既発債を買入消却する制度となっていた。当時、これが功を奏したと考えれば、市場参加者からのニーズは現在の超長期ゾーンにおいてもあるのではないかと推察。 ・制度上の検討が必要とのことだが、早急な準備を強く希望。購入価格は前日の日本証券業協会の売買参考統計値を活用する等すればよいのではないか。新発債の入札が大きく流れることを防止する点にも寄与すると認識。
・超長期ゾーンに関しては、当行の投資ゾーンではないが、直近の超長期ゾーンでの金利上昇は当行の投資ゾーンである残存10年以内のところにも少なからず影響が出ている。そのため、一日も早く落ち着きを取り戻してほしい。 ・そのためには、相応の幅での発行減額が必要であると考えている。弊行は、20~40年について各1,000億円の減額に加え、買入消却を30年債と40年債のオフ・ザ・ランに対して実施する、若しくは、すぐに実施しないとしても、将来の実施可能性に向けて検討していくべきという案を当初提出した。 ・買入消却の実施については、制度上やや検討する時間がかかるということであれば、その間、もう少しカレント債の発行減額幅を大きくする対応が必要であると考えている。具体的には、一時的に20年債と30年債の2,000億円の減額を行い、デュレーションのインパクトを押さえるという措置を行うべき。 ・当局の提案に対しては、概ね賛成だが、ご説明のあった買入消却に関する今後の可能性について、個人的には否定的に聞こえた。このままマーケットにこの内容のアナウンスを行うと失望されると思うため、実現可能性の含みを持たせるような形でアナウンスをした方がよいのではないか。 ・超長期ゾーンの発行減額をどこで賄うかという点は、基本的には短中期ゾーン、今回は短期国債で賄うことが望ましいと考えている。 ・4月以降、10年債と5年債の入札を好調にこなすことが難しくなっている。好調にこなせたのは、今月の10年債くらいだろう。5年債については、投資家の札が相応にあるにも関わらず、残りを国債市場特別参加者で受け止められていない。 ・基本的には、それより下のゾーン、2年債や1年債、6か月あたりに振り分けて、今後需要が確認されたら、来年度の発行計画や補正予算のタイミングで中期ゾーンなどに振り替えるのが、あるべき姿だと考えている。 ・物価連動債については、これまでと同じ需給状況であり、4月の米国関税ショックによる相場急変のように不安定な状況も散見されることから、足元程度の発行額と買入消却額の維持が望ましい。
・基本的には当局の提案に賛成。 ・これまでと違う観点から話をすると、今回に関しては30年債と40年債が過去最高水準となり、それだけ利払負担が固定される、つまり国民負担が増加するため、当局がそれなりの動きを行ったと考えている。 ・当局資料28ページの生命保険会社の投資動向に関する累計買越額のグラフでは、一昨年度と比較すると、昨年度の生損保の超長期国債の買い越し額は2.3兆円減少している。海外勢は足が速いと言われているが、今年に入って直近5月まで含めると7.3兆円も買っている。 ・30年債と40年債の発行額は、今年度当初計画の時点で2.4兆円減っていることから、生損保が買わなくなった分と見合っている。需給要因だけで今回のベアスティープ化を説明するのは難しいと考えており、ファンダメンタルズ、つまり財政悪化懸念によって、タームプレミアムが拡大したことが要因である。 ・ドイツの防衛費増大やアメリカのトランプ減税恒久化、といった海外での財政悪化懸念が重なったのは不幸ではあるが、参院選に向けて与野党ともにバラマキ政策に傾斜しているということを懸念したということに集約されると考えている。 ・本日議論した中で、買入消却の実施について、国債市場特別参加者からの要求が強く、実現しないと解消されない部分も残ると思うが、日本銀行でも来年4月から買入オペの減額ピッチを弱めるといった中で、7-9月のオペ紙も10年超の買入額を据え置いている。 ・また、これは当局の働きかけだと思うが、骨太の方針において、国債の安定発行に言及されているということ、不安定とは言いつつも海外勢にはこの水準は魅力的であると聞かれており、過去最大の経常黒字といったことが基本的には最終的なバックストップになると考えている。 ・一番申し上げたいのは、この財政悪化に起因するタームプレミアムの拡大は、ケインズの美人投票でもあるが、理論値がなく、特に夏に向けて今後も度々起こりうる。イールドカーブ・コントロールが終了し、国債市場の価格発見機能が回復したことで、財政悪化に対する市場の警告が今回のように発せられるようになった。 ・海外ではご存じのとおり、トラスショックがあったが、どう見ても我が国の政治家はそういった市場の警告に対して全く聞く耳を持っていない。これまでの議論と離れた部分ではあるが、当局が積極的な啓もう活動や情報発信をしっかりしていかなければ、単に需給を調整するだけでは終わらないということをご理解いただいた方がよいのではないか。
・利付債の発行計画の修正案に関しては概ね賛成。当社の案としては、減額幅が小幅に留まった場合、失望売りに繋がることを懸念していたため、20年債に加えて30年債も2,000億円の減額が良いのではないかと考えていた。既に観測報道等にてマーケットの織り込みは20・30・40年債でそれぞれ1,000億円ずつの減額となっていると理解しており、その時点で市場は落ち着いているように見られているため、当局案で特段問題ないと考えている。 ・40年債入札については先ほど別の参加者から言及があったとおり、ダッチ入札で今後も実施するということであれば、1,000億円程度の減額が限界である。ダッチ入札の悪い側面、特にスクイーズされるような形で事前のATMから金利が大きく下方に乖離するという面が発行減額によって顕在化する可能性がある。改めて、発行の減額に併せて、40年債入札におけるコンベンショナル方式の導入を検討してはどうか。 ・流動性供給入札について、残存1-5年は恒常的にオフ・ザ・ラン銘柄への需要が高いと考えているため、1回の入札当たり4,000億円で毎月発行を希望する。 ・一方で、残存5-15.5年は1回の入札当たり1,000億円程度の減額余地がある。その背景として、今年に入って以降、応募倍率の低下やテールが出ていることもあるため、需要のあるゾーンの発行を行う方がよい。
・超長期ゾーンについては規制対応の進捗により生保業態からの需要が減退している中、超長期ゾーンの発行減額を行って、デュレーションを短期化するという当局案に賛成。発行の減額幅については、イールドカーブの形状、レポレートが低下していることから、カレント債への需要は一定程度あるため、当社としては各カレント債1,000億円ずつの減額を想定していた。 ・40年債は発行減額により発行額が小さくなり過ぎると、カレント債の流動性低下に繋がっていくため、今後、これ以上の減額については留意が必要と考える。 ・流動性供給入札について、残存15.5-39年は昨年度中に1回の入札当たり1,000億円の減額を行い、その後は比較的強い入札結果となっていて、需要が確認出来ていた。今年度は、半額分となる1回の入札当たり500億円を戻したが、好不調双方の結果が見られている。当社としては、超長期ゾーン全体の需給悪化に対応しつつ、個別のオフ・ザ・ラン銘柄への需要にも応えるという観点から1回の入札当たり500億円の減額で、昨年度後半の発行額に戻してはどうかと考えている。見合いで増額するゾーンは、堅調な需要が見られており、発行額が相対的に少ない残存1-5年が適当。 ・利付債のバイバックについて、過去に発行された既発債の売り、カレント債の買いという投資家の需要が見られていることで、既発債が市場に滞留し、イールドカーブも同ゾーンが割安化している。買入消却を実施することで、当局が売買の機会を提供し、市場参加者がポジション調整を行いやすくすることで、流動性の改善が図られ、流動性プレミアムが縮小することになると思われるため、是非検討願いたい。 ・一方で、流動性供給入札との兼ね合い、真に必要とされるゾーンが対象となること、予見性の高さ等の観点から制度設計の難しさがあることについては認識している。
・当社は当局案より積極的な減額、40年債・30年債・20年債それぞれ2,000億円ずつの減額を希望する。今回の超長期の金利上昇は生損保のALM需要の大きな減退がある。それが、国内系の円安・株高を受けたリバランス、キャリー需要を受けオフセットされ、今年に入ってからは海外勢の需要に代替されているという状況を考えると、20年債の2,000億円の減額は必要。それに加え、生保勢の需要減退をきちんと反映して、30年債、40年債も追加で1,000億円の減額が必要と考える。 ・40年債の発行額が減ることで、ダッチ入札の弊害が生じることが考えられるものの、それに対しては発行の頻度を2ヶ月に1回の入札から四半期に1回にし、1回当たりの発行額を増やすことで対応すればよい。 ・日本銀行の国債買入の減額について、今回、残存10-25年の買入額が減少されなかったのは、タイミングによるもの。もし、今後、これまでどおり、発行額に対する割合という形で各ゾーンの買入額を決めるという形を継続するのであれば、10月以降、超長期ゾーンにおける日本銀行の買入額が大きく減ってくる可能性もあるため、今回多めに発行額を減額しておくことが市場の安定化に寄与すると思料。 ・発行減額が不十分な場合には、海外の投機勢等を中心とした売りによって、金利が過度に上昇する局面が見られるという可能性もあるため、そういったリスクを低減するためにも2,000億円ずつの減額を提案する。 ・物価連動債について、足元の当社店頭では、名目債市場の状況や流動性の低下を背景にアクティビティが低下している状況が見られている。また、政府による米価高騰への対応や海外インフレの落ち着きを背景に、BEIの少し軟調な傾向は続いており、当局案は適切と思われるため支持する。 ・超長期ゾーンの十分な減額を行った場合、短いセクターに影響が波及することも期待できる。直近では10年債や5年債が若干軟調な結果になることも見られるが、超長期の減額を十分に行うという条件付きで増額余地があると考える。
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