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日時 令和6年12月11日(水)16:00~16:50 |
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場所 財務省 第3特別会議室 |
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内容 ・まず、令和6年度補正予算案を受けた国債発行計画の変更について説明する。 ・令和6年度補正予算に伴い、新規国債(建設国債・特例国債)の発行額は6.7兆円増加。一方、GX経済移行債の増加、財投債及び借換債等の減額により、国債発行総額は5.5兆円増加となった。 ・調達方法としては、足元の需給逼迫を踏まえ、短期国債の発行を2.4兆円増加。このほか、第Ⅱ非価格競争入札や個人向け販売分の実績を踏まえた上振れを見込んでいる。詳細は資料4ページのとおり。 ・T-Billについては、今回の補正後発行計画でTB6か月物の発行を増額することにより、FB6か月物の発行をFB3か月物に振り替えることで、T-Bill・3か月物の需給改善を図ることとしている。 ・次に、令和7年度国債発行額の規模について説明する。令和7年度国債発行額の規模は、今後の予算編成過程等を踏まえて決定していくが、借換債については、令和6年度当初と同水準を見込んでいる。第Ⅱ非価格競争入札や個人向け販売分については実績を踏まえて決定することになる。 ・前回の本会合・国債投資家懇談会で頂いた主な意見について、資料7~8ページにかけてまとめている。投資家懇においても本会合での意見を紹介し、違和感ないとのご意見を多数頂いた。 ・具体的には、本会合では超長期ゾーンのうち40年債は優先して減額すべきであり、減額の時期については令和7年1月からの減額とすることも考えられるが、1回の入札当たり2,000億円の大幅減額を行う場合は令和7年4月からの減額でよいのではないかという意見が聞かれた。30年債についても1回の入札当たり1,000億円の減額が適当という意見を頂いた。 ・20年債については、現状維持と減額双方の意見が聞かれた。 ・なお、投資家懇では生保からも40年債の減額を許容する意見を頂戴している。30年債・20年債については、他とのバランスで決定されるものと思うが、業界としては発行額の維持を期待するとのことであった。 ・10年以下の年限については、2年債と10年債のどちらを優先するかに違いはあるものの、5年債をはじめ、総じて増額余地があるというご意見を頂いた。 ・そのほか、物価連動債については現状維持。クライメート・トランジション利付国債(CT債)、流動性供給入札についても記載のとおりのご意見を頂いたところである。 〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。 ・令和7年度発行計画の方向感について、前回の会合から当社としての意見に変更はない。これまでに話したとおり、30年債、40年債の需要減に伴う発行減額は許容されるものかと思っており、40年債>30年債と減額優先順位を付けつつも、1回の入札当たり1,000~2,000億円の減額であれば市場への過度なインパクトはないと考えている。他方で、減額の緊急性という観点では、昨年度、令和6年1月から実施した20年債の減額ほどの対応は必要なく、当社としては、令和7年4月からの減額で十分と考えている。 ・T-Bill・3か月物については、当局の補正予算の説明でもあったが、需要が多分にあるため、相応の規模の増額が可能と思っている。イールドカーブ上の歪みを解消することで流動性向上にも資すると思っているため、当該ゾーンがもっとも発行するべきところと理解している。 ・CT債については、国の重要な施策だと理解しており、その発行額は予算規模にもよるかと思っているが、GX政策の浸透、周知、効率的な資調調達等のバランスの中で、個別発行となるCT債の発行額を決定すればよい。 ・11月の前回本会合及び本日も発言があった、30年債・40年債の減額に関しては否定するつもりはなく、落札上位陣がそう言うのであれば従う。ただし、40年債の減額幅について、1回の入札当たり1,000~2,000億円の減額が望ましいという意見が多かったと思うが、2,000億円は減額しすぎ、という気もしている。また、今年度中に減額された残存15.5-39年ゾーンの流動性供給入札の発行額を1回の入札当たり5,000億円に戻して欲しいという意見が多かったと理解している。当該ゾーンの流動性供給入札を増額した上で、30年債・40年債の1,000億円ずつ減額を希望する。 ・T-Bill・3か月物について、増額に賛成。参加者は皆、同意見だろう。 ・その他の点に関しては、落札上位陣に従う。 ・11月の前回本会合や国債投資家懇談会の方向性で特段問題ないが、当社としては、40年債の減額は来年1月から実施してもよいと考えている。11月の40年債入札と今月の30年債入札、ともになんとか消化してはいるが、供給過多ではないかといった考えは根強い。足元、40年債の値動きはしっかりしているが、一時的なものと考えている。来年4月から1回の入札当たり2,000億円減額することで足りるとの意見も理解はできるが、先んじて、例えば1,000億円減額するということも検討に値すると思っている。 ・それ以外の年限に関しては特段コメントなし。 2. 令和7年1-3月期における物価連動債の発行額等について 〇令和7年1-3月期における物価連動債の発行額等について、理財局から以下のように説明を行った。 ・物価連動債の発行額・買入消却額等については、P.10とP.11のとおり、令和6年度発行計画において、「市場参加者との意見交換を踏まえ」、柔軟に調整する等とされている。 ・令和6年10-12月期の物価連動債の入札等の結果および流通市場の状況についてはP.12~P.15に記載している。P.15のとおり、10月以降のBEIは、円安進行等を背景に緩やかに上昇している。 ・令和7年1-3月期の取り扱いについて、事前にご意見を伺ったところ、ほぼ全ての参加者から、現状の取り扱いを維持することが適当とのご意見を頂いた。 ・これを受け、P.16に当局案をお示ししている。令和7年1-3月期については、現状通り、2,500億円の発行入札を1回行いつつ、毎月200億円の買入消却入札を行うことを想定している。 ・今後の市場への見方を含めて、改めて皆様のご意見を頂きたい。 〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。 ・当局案を支持。8月初の相場混乱時と比べてBEIは安定的に推移しているように見受けられるが、引き続き流動性が足かせとなって、本来あるべき水準に相応のプレミアムが上乗せされているほか、投資家の裾野の広がりも道半ばにある。この状況下では、日銀買入を含めて需給バランスを変更するような検討は相当慎重に行うべき。 ・金利のある世界に戻っていく中で、物価連動債は当局や証券会社の尽力によって今後徐々に需要が顕在化していくことを期待したい。当社としてもできる限りの努力を続けていく所存であり、これまでと同様に中長期的な視野に立った慎重な議論をお願いしたい。 ・足元の需給環境は9月の本会合時から変わらず芳しくなく、マクロ環境から見ると引き続きプレミアムが上乗せされている状況。年末要因もあるが、引き続き投資家層の拡大も見えておらず、需給面で全体的なサポートが必要な状況は変わらない。日本銀行の利上げが控えていることに加え、物価連動債の日銀買入オペ減額の声も聞こえてきており、需給面で更にネガティブな状況に陥る可能性もある。当社としては、買入消却の月間100億円増額を希望するが、少数意見と承知しているので、状況に応じて機動的な対応を要する局面であることを伝えておきたい。 ・当局案を支持。8月初の価格ボラティリティの高まりは足元では落ち着いている。また、中期的には償還再投資による投資家需要も期待でき、投資家層の裾野も少しずつ広がっているため、今後は良好な需給環境になっていくと思料。この環境では、まず第Ⅱ非価格競争入札の再開が検討可能ではないか。 3. 令和7年1-3月期における流動性供給入札の実施額等について 〇令和7年1-3月期における流動性供給入札の実施額等について、理財局から以下のように説明を行った。 ・流動性供給入札については、P.18のとおり、令和6年度発行計画において、「市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて柔軟に調整」することとされている。 ・令和6年10-12月期に実施した流動性供給入札の結果等についてはP.19~P.22のとおりである。P.23には、9月の本会合でもご議論のあった、チーペスト銘柄について整理している。左側に記載の通り、チーペスト周辺銘柄については、10月以降の流動性供給入札において追加発行が行われているほか、日本銀行の減額措置も利用されている。この結果、右のグラフのとおり、2025年3月限の国債先物のチーペスト銘柄である10年366回債の市中残高は、足もと1兆円弱まで増加している。 ・令和7年1-3月期の取り扱いについて、事前にご意見を伺ったところ、ほぼ全ての参加者から、前回会合から顕著な変化はないことから、現状の取り扱いを維持することが適当とのご意見を頂いた。また、チーペスト銘柄については、市中残高は増加しつつあるものの、引き続き状況を見ていく必要があるとのご意見を頂いた。 ・これを受け、P.24に当局案をお示ししている。令和7年1-3月期については、現状通り、残存1-5年ゾーンは奇数月に5,000億円、残存5-15.5年ゾーンは毎月6,500億円、残存15.5-39年ゾーンは偶数月に4,000億円の発行とすることを想定している。 ・チーペスト問題への見方を含め、改めて皆様のご意見を頂きたい。 〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。 ・残存5-10年の銘柄の市中残高について、茲許の当該入札による追加発行や日本銀行による補完供給された国債の買戻額を減額する措置(減額措置)の実施によって、ある程度増えている状況だが、引き続き少ない銘柄が多い。これから国債先物のチーペストになる銘柄についても少ない状況が続いている。そのため、一定量の発行規模を維持することは重要。 ・超長期ゾーンについて、一時期よりは需給環境は改善しているが、引き続き需給の緩みは残存しているため、1-3月期も当局の提案を支持する。ただし、残存15.5-39年の流動性供給入札は、足元、非常に堅調な結果が継続しており、投資家の需要が確認できているため、1回の入札当たり4,000億円はやや少ないと感じている。当該ゾーンの需給変化に対応するため、カレント債の減額を実施するタイミングでは、今年度途中に減額した分、元に戻すことを是非検討してほしい。 ・当局の提案に賛成。市場のコンセンサスも現状維持であり、大きな変更を加えると市場に影響を与えることになるため。 ・チーペスト銘柄について、市中残高は流動性供給入札や日本銀行による減額措置によって増えてきているが、まだ安心できるレベルではない。本会合で繰り返し述べているが、現在の15.5年での年限区分を10年に変更することも残高増の一案と考えている。また、現状ではチーペスト銘柄だけでなく、残存5-7年の銘柄も他の年限対比で流動性が低下しており、当該ゾーンの流動性回復のためにも年限区分の変更は必要と考えている。 ・当局作成の資料にもあるが入札結果について、カレント債の入札に比べて流動性供給入札の方がかなり好調な結果となっている。特に超長期ゾーンの入札結果があまりにも違い、流動性供給入札は毎回過熱しているため、来年度の国債発行計画では、残存15.5-39年ゾーンについて、今年度途中に減額した分を元に戻すことが最低限の対応である。それ以外のゾーンについても、投資家、証券会社ともに需要があるため、来年度は大胆な増額が行われることを期待している。 ・当局の提案を支持。 ・1-3月期については現状どおりの発行額でよいと思う一方、来年度の国債発行計画では、11月の本会合でも申したとおり、30年債や40年債の減額と合わせて残存15.5-39年ゾーンの増額を希望。加えて、残存1-5年ゾーンの入札回数の増加または発行増額を希望する。 ・チーペスト銘柄については、当局からの説明のとおり、徐々に市中残高が増えている状況。2025年3月限の建玉の積み上がりも、通常と比べ遅れていたが、会合前日から急増しており、このまま無事に国債先物の限月交代も行われるという感触がある。現時点で特段大きな問題が起きていないと認識している。 ・当局の提案を支持。 ・チーペスト銘柄について、国債先物2025年3月限に対応する10年366回債の市中残高は増加しつつあるものの、来年度以降では10年368回債の市中残高が特に少なくなっており、これらの銘柄が含まれる残存5-15.5年ゾーンは手厚い対応が必要。とはいえ、全般的に需給懸念は後退しており、流動性供給入札での発行だけでなく、日本銀行による減額措置もあったことで、よい方向に向かっているように感じている。 ・残存1-5年ゾーンは、応札倍率だけの見方になるものの基本的に需要が強く、また、過去に日本銀行が多く買い入れた銘柄の年限が短期化してきていることを踏まえると、今後、当該ゾーンへの需要は強くなると考えている。一方で、残存5-15.5年ゾーンは、現状ではチーペスト銘柄をはじめとして需要が強いものの、入札結果は経済合理性が疑われるような割高水準での落札もあるため、この需要が永続的か見ていく必要がある。 4. 新たに発行を予定する変動利付国債の基本的な商品性(案)について 〇新たに発行を予定する変動利付国債の基本的な商品性(案)について、理財局から以下のように説明を行った。 ・変動利付国債について、事前のアンケートやヒアリングへのご協力に感謝申し上げる。 ・皆様から、これまでにいただいたご意見も踏まえ、変動利付国債の発行に向けて、発行当局としても準備を開始しようとしており、その商品性の案として資料P.26のとおり、T-Bill・6か月物の発行利回りを基準金利とする案を考えている。 ・基本的には、国債市場特別参加者及び国債投資家懇談会メンバーの皆様からこちらの商品性について支持があったと認識。 ・発行開始のタイミングについては、日本銀行も含めた発行当局のシステム改修等の準備期間に1年半~2年程度を要することを考えると、早くても令和8年度の途中を見込んでいるが、一部の方からは、「投資家需要が見込めるタイミングで発行を開始することが重要」といったコメントも頂いている。 ・システム改修等の目処が立ち次第、そのときの市場環境等も踏まえて、発行タイミング、金額、頻度等について、皆様とも協議の上、決めてまいりたい。 〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。 ・基本的な商品性について、当局の提案を支持。投資家需要に則した形で決定してほしい。 ・年限について、当社は2年債の優先を希望。海外のフローター債市場を見ると持ちきりが多く、流通市場において流動性を伴って価格が決定される商品ではないという特性があり、本邦においても同じ状況となることを想定している。この場合、発行時には需要があったもののその後需要がなくなり、投資家から売却の相談を受けた際には、証券会社がバランス・シートを使いながら持ち切ることを想定して価格を提案することも考えられる。こういった点を考慮すると、年限が短いものを優先してほしい。 ・他の参加者からも意見のあったとおり、発行年限は2年債とし、需要を慎重に検討するとよい。基準金利をT-Bill・6か月物とすることについて、基準金利の大幅な変動を抑制する方策を検討する必要があるが、システム開発の負荷や商品性の分かりやすさといった点を総合的に考えて賛成。その他の商品性についても、当局の提案に賛成。 ・T-Bill・6か月物に連動する当該商品への投資ニーズとして、利上げ局面における固定利付債の代替需要、中央銀行による運用需要、日銀買入オペや外貨調達用の担保需要が考えられる。また、資金固定化への対価としてターム・プレミアムがスプレッドとして上乗せされる形となるため、発行年限を短くすることで、保守的に運用できるようにすることがよいと考えている。 ・当局にとっても利払費やデュレーション等、トータルとして安定消化の観点から、長い目で見て、取り組む意義があるのではないか。 ・なお、商品設計に加えて、レポ市場や清算機関での取扱い、中央銀行の適格担保、オペでの取扱いをクリアにすることが利便性を高める、といった観点から非常に重要であると考えている。 ・足元の日本銀行による利上げサイクルの中で、多様化する投資家需要への対応として商品を拡充していく方針に異論はない。 ・発行年限については、長い年限を発行するよりも、ある程度短い2年債を選好した方が今後の金融政策動向が見通しやすいことから需要が出てくる可能性が高いと考えている。発行するタイミングで改めて需要を測る必要が当然あると思うが、現段階では2年債の方が優先されると考えている。 ・基準金利であるT-Bill・6か月物に紐付くため、その発行予定の前広な周知を検討してほしい。また、変動利付国債がT-Bill・6か月物に与える影響を勘案して双方の発行額を検討していくべき。 5. 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて 〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。 ・10年債の金利が11月21日、22日に1.095%まで達し、今年の最高水準である1.1%まで目前となった。その背景には日米の選挙結果と日本銀行の金融政策に対する市場のコンセンサスがある。10月の衆議院議員総選挙で与党が過半数を割り込み、国民民主党がキャスティング・ボートを握ることとなったことで、同党の財政拡張的な政策が意識され、ターム・プレミアムが乗った模様。11月の米大統領選ではトランプ前大統領が返り咲きとなり、レッド・スウィープとなったことで、同氏が掲げる政策の実現性も高まっている。 ・足元、日本銀行は、経済と物価の動向がオントラックであれば、金融緩和の度合いを調整していく姿勢を強調しており、11月30日の植田総裁へのインタビュー記事をきっかけに12月のMPMでの利上げ観測が一旦高まりを見せたが、今週に入ってからは、ややその動きは沈静化している。追加利上げは来年3月との見方もあるようだが、市場のコンセンサスとしては1月が有力視されている模様。 ・今後の見通しについては、日本銀行の金融政策及び米経済の行方が2大テーマとなるだろう。なお、政策金利については、0.5%への利上げがおおむね既定路線ながら、0.75%への利上げについては、OISを見る限り、完全に織り込んでいる状態なのは1年3か月よりやや先といったところ。可能性は低いが、この0.75%への利上げ前に、米経済が予想以上にスローダウンすれば、日本銀行も足踏みする状況となるだろう。非常に少数派の意見かもしれないが、個人的には市場で可能性が低いと思われているストーリーをメインシナリオと考えており、その場合、10年債の金利が1.1%を大きく上回ることもなく、むしろ0.7%まで低下しても不思議ではない。ただ、市場の大勢の見方は異なり、緩やかながらも持続的な金利上昇を想定している模様。 ・なお、リスクシナリオとして、米経済のインフレ圧力はまだ根絶されていない中、トランプ氏の政策によってインフレ圧力が再度高められる可能性がある。来年の同氏の大統領就任以降に米経済のインフレが再燃し、FRBが利下げを停止すれば、米長期金利が5%を超え、日米金利が持続的に連れ高となってしまう可能性も十分あるだろう。来年以降は、このような同氏の影響についても確り注視したい。 ・FRBはおそらく12月に利下げすると思っているが、来年のどこか早いタイミングで米経済のインフレ再燃とFRBの利下げ停止が起きても不思議はないだろう。 ・11月にダラス連邦準備銀行のローガン総裁が「様々なモデルを基に米金利の中立水準が2.74%から4.6%のレンジ内にある」と述べていたが、であれば、すでに現在の米金利は中立水準の上限付近にあるのではないかとも言うことができる。今後、この中立水準のレンジ内に入っていく状況下では、FRBによる利下げが相当鈍化する、あるいは停止される展開も意識されやすく、円安ドル高傾向が継続する可能性もあるだろう。 ・また、FRBが12月に利下げする場合、日本銀行は利上げを見送るという見方もあり、12月、来年1月と続けて利上げするわけにもいかない以上、12月は利上げを見送り、為替市場を牽制するための手段をとっておき、1月にFRBが利下げを停止したタイミングで日本銀行も利上げを行うという可能性もあるだろう。ただ、日本の金融政策の決定にあたって、為替を理由にすることもできないため、ロジックの組み立ては非常に困難と思われる。 ・以上を踏まえると日本銀行による利上げは3月も視野に入ってくる。ただ、FRBが利下げを停止したのにも関わらず、日本銀行が3月まで利上げしない、という状況になった場合、2月あたりは日米金利差が意識されてドル高が急速に進行してしまう可能性があり、またポジションの傾きが非常に急になってしまって、今年の7~8月にあったような市場の大幅な調整が来年3月の利上げのタイミングでまた起きてしまう可能性もある。 ・基本的に市場のメインシナリオとしては、来年1月の利上げであるところ、見送られた場合には先述のような市場動向を注視する必要性がある。 ・足元、日本銀行の金融政策や為替の動向、FRBの金融政策及びトランプ氏による関税政策の動向等の多様なファクターを織り込んだマーケットになってきている。 ・円金利全般については、日本銀行が出口戦略を緩やかに推し進めていく中で、徐々に金利上昇してきてはいるものの、市場の期待ほどは上昇しきれなかったというのが現状と捉えている。来年も同じような動向が継続すると考えており、政策金利を0.5%に利上げしても、即座に10年債が激しく売られるという展開は想定していない。 ・現在の金利に織り込まれている0.5%への利上げが実行された場合でも、金利が上がった先で新しい水準の居所を見つけて一旦落ち着き、さらなる利上げを織り込めるようになったタイミングで、売って調整をしていくというプロセスが基本的には続いていくものと見ている。 ・なお中立金利の水準については、日米ともに不確かな部分があるため、徐々に調整が進むというのがメインシナリオだと思っている。 |
問い合わせ先
財務省 理財局 国債業務課 市場総括係
電話 代表 03-3581-4111 内線 5700
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